
総合評価
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powered by ブクログ十字軍が始まり、ボードワン2世が即位するまで。 独特な塩野節は好き嫌いはあるかもしれないが、描かれる主要人物、とくにボエモンやタンクレディは実に生き生きとしている。彼らの地元イタリアの文献をいろいろと参照しているのだろうか。年齢にフォーカスを当てているのも特徴で、他の本だと何かと使い走りさせられる印象のあったタンクレディが若かったのはなるほど、とも思う。
1投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログ塩野七生はあくまで物書きとして、物語として歴史を語る。それが面白い。教科書には「事実」が載っているかもしれないが、人の歴史は感情を抜きにしては味気ない。 歴史を単元として覚えようとすると、とても頭に入って来ない。世界史の授業自体は好きだったが、試験科目にしようとは思わなかった。だが、誰それがどこの領主でどんな性格で軍事経験がどうかといったことを踏まえると、活躍する人物は自然と入ってくる。『ハリー・ポッター』の登場人物を覚えるのと何ら変わりがない。それは塩野七生のおかげで各人物が生き生きと描かれているからだ。 さて、いつの時代の"連合軍"というやつも一枚岩ではないことは共通している。利害関係を越えた繋がりは、個別に見たらあり得るかもしれないが、全くないということはあり得ない。しかしだからこそ面白い。群雄割拠においては、どの人物にも肩入れせず、俯瞰して見ることで、社会の大きな変動を感じることが出来る。それ即ち歴史である。 サラディン、獅子心王、ボードゥアン4世あたりを目当てに読み始めた。全然まだ出て来ないがかなり面白い。皇帝アレクシオスの害悪っぷりは、なかなか。
8投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ面白い。わかりやすい。面白い。 期待通り。これが読みたかったのだ。 作者も書いている通り、感情からはいるのでずっと面白い。 人間の感情が見える、けれどウェットになりすぎない。戦闘の描写は論理的。 登場人物と地名に馴染みがないのでぴんとこないけれど、なんとなくで読みました。 塩野七生さんの描く男たちはいつもとんでもなくかっこいい。 かっこいいとはこういうことさ、のポルコのかっこよさは意味不明だけど、映画は明るくて好きだけど、これだったら私にもわかる。 頭のいい男が好きなのかもしれない。 歴史の作者は1人じゃないから、フィクションでは勝てない面白さがあると思う。 諸侯たちの見分けがつくようになってからはもう、青春だったなあと言う感じ。 こんな人が死にすぎる血生臭い青春があるか、とは思うけれど。 なんとなくずーっと、千夜一夜物語の続きも読みたいのですが。 あまり本を買わないようにしないと。
1投稿日: 2024.09.17
powered by ブクログ塩野七生先生の本を読んでみたいと思いつつ、ローマ人の物語は長大過ぎて手を出せず、こちらをまず読んでみることにしました。 高校では世界史選択だったにも関わらず、十字軍と言えば「十字を背負って苦労する」という1096年の語呂合わせと、教皇の呼びかけに応じて始まったもので何回かに分かれて行われた。この2点しか把握してなかった私ですが、そんな私でも面白く読めました。 結局のところは戦争が行われた訳で罪もなき死ななくても良かった人たちがたくさん殺されたのですが、宗教という旗の下に何年かかるか、そもそも成功するかも分からない行軍に出た諸侯たちのパワーに圧倒されました。最初は耳慣れない名前が多くて読み進めるのに四苦八苦しましたがメモに誰が何をした人かまとめてからは読みやすかったです。 塩野先生の文才なのでしょうが諸侯の一人ひとりが個性豊かに書かれていて惹きつけられます。わたしの贔屓は、自分の責務を淡々とこなしていくゴドフロアと、年齢そのままのキレやすいタンクレディです。ただ最初の頃は鼻についていたサン・ジルでさえも最後の方は憎めなく思えてくるので先生の書き方には圧倒されます。 第一次十字軍は奇襲に近く、キリスト教側も勢いのあった時代の頃のことなので、この先2巻以降どのように話が進んで行くのか歴史自体は知っているにしても気になります。
9投稿日: 2024.02.17
powered by ブクログローマ帝国が滅亡し、暗黒と呼ぶ者さえいる中世、カトリック協会は、イエスが受難した聖地にもかかわらず、長くイスラム教徒の支配下にあるイェルサレムを奪還すべく、十字軍結成を提唱した。 今のエルサレムをどう考えるか。
0投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログ2019/5/4読了 令和になって、最初に読んだ本であった。 十字軍は、聖都エルサレム奪還を目的とした、武力を伴う巡礼という扱いだったとの事。とは言え、200年くらいの十字軍の歴史の中で、エルサレムに近付けもしなかった事(第2次)もあれば、お付きの枢機卿がエルサレム再復のチャンスをブチ壊したり(第5次)、フリードリッヒ2世が外交交渉のみでエルサレム再復した(第6次)のを一切認めず、ルイ9世を送り込んでブチ壊したり(第7次)――そもそも、戦争はロクでもない事だが、神の名を借りて行われると、更にロクでもない事になるのだな、と思わざるを得ない。
0投稿日: 2023.10.01
powered by ブクログ1000年も前の人達の考え方を、現代の私が「なるほど」と理解できること。時代だけでなく遠い異国の地で、自分と全く違う社会を生きた人々だけれど、同じ人間であるという繋がりを感じた。そして、人間の思考というものはどの時代であってもそんなに変わらないんだな、とも。 彼らの動き、策略、性格に至るまでをここまで途切れる事なくみっちり調べ上げた著者は間違いなく素晴らしい。まるで小説を読んでいるかのように情景が頭に浮かんできた。 ノートの赤字を無理矢理頭に叩き込むより、その時人がこうやって生きていたんだと噛み締めた方がスッと入ってくるし面白い。暗記に苦戦し謎の語呂合わせを唱えていた過去の自分に読ませたい。
1投稿日: 2023.08.07
powered by ブクログ1095年のフランス・クレルモン公会議の場において、ロ-マ法王ウルバン二世の「神がそれを望んでおられる」の大義名分の掛け声により、イスラム教徒の支配下にあるイエス受難の地イェルサレムを奪還すべく中世ヨーロッパの各地に領土をもつ諸侯や騎士たちが団結し(時には仲間割れをしながら)、シリア、パレスティ-ナの地に打ち出した第一次十字軍の華々しい歴史を追った歴史長編小説の開幕篇。
2投稿日: 2021.10.15
powered by ブクログ・「十字軍」という響きから、塩野七生の戦記物的なエキサイティングさを期待して読み始めたが、どちらかと言うと十字軍側の人間関係アレコレに終始しており、あまり爽快感はなく、正直なところ、なかなか読書は進まなかった。 ・ただ、敵味方共に英雄不在・グダグダに物事が進行していくという舞台設定は、逆に日々の会社生活に近いという意味では余程リアルな風景であり、そういった解釈をするようになってからは、一気に読書が進んだ。 ・二巻以降は、イスラム側から有能な人物が出てくるらしく、何だかんだ戦記物的なエキサイティングさが出てくることを期待している。
0投稿日: 2021.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ローマやヴェネツィアと比べて、内輪のいがみ合い、足の引っ張りあいから、泥沼感が強い印象。勇敢で恩義に厚い永遠の若者タンクレディや、なんとなく憎めないサン・ジル、GOTのタイウィン・ラニスターを彷彿とさせるボエモンド、魅力的な人物もいた。
0投稿日: 2021.06.05
powered by ブクログイスラム教徒の支配下にあるエルサレムを奪還すべく結成された十字軍の活躍を描く。一人一人の登場人物を生き生きと描き、当時の雰囲気までも伝わって来る。
7投稿日: 2021.04.10
powered by ブクログ十字軍第一世代、キャラがたっておもしれえ! しかし、聖職者と騎士と商人では三位一体とは成れない。よって、この十字軍諸国の寿命は・・・
1投稿日: 2021.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
エデッサ陥落、第二次十字軍、イェルサレム陥落を描いた第二巻。 読んでいて感じるのは、リーダー層の人材が何よりも大事ということ。 常に戦力不足に悩まされながら、城砦とそれを守る病院騎士団や聖堂騎士団、アマルフィ・ヴェネツィア、ピサ、ジェノヴァによる制海力と物資調達力により領土を保っていた十字軍キリスト教国家。 それが十字軍も第二世代になり、そして第三世代となると責任感と経験を備えたリーダーが少なり、弱体化していく。 そのような中、ボードワン四世が身体が崩れ落ちていくという癩病に侵されながら13歳で王に即位し、24歳で燃えつきるまで孤軍奮闘する様子には心を動かされる。 一方でバラバラだったイスラム世界はヌラディン、そしてそれを継ぐサラディンという優れたリーダーが誕生し、バグダッドからダマスカスを経てカイロまでを支配下に置く。 そして1187年。88年ぶりにイェルサレムがイスラム教の支配下に戻る。 1089年にキリスト教の支配下に入った時はイスラム教徒は殺戮されたか奴隷とされたが、1187年には殺戮は起こらず、キリスト教の聖墳墓教会も残されたのが印象的。 イスラム教導師の提言に耳をかさなかったサラディンが強く、先を読む力のあるリーダーだったということだろう。
0投稿日: 2020.02.11
powered by ブクログタンクレディという姓がこの時代からあったことが、個人的トリビア。 絶対的権力を持つ皇帝のような存在が立ち上がったわけではなく、地方貴族の財力によるところが大きかったということと、よっこらせという雰囲気でバラバラにイスラエルに向かったことが意外
0投稿日: 2020.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
十字軍というとケビンコスナーの映画「ロビンフット」のイメージしかなかったが、この本を読んで随分イメージが変わった。もともと十字軍を体系だって書いてある本をあまり知らないので、非常に勉強になった。中世のイスラム教というと狂信的で残忍なイメージがあるが(多分にアメリカ映画ではキリスト教世界の敵役ということからかなりデフォルメして無表情な殺人者として描くことが多いからと思うが)、この本を読むと決してそのようなことはなく、むしろキリスト教側(特にローマ教会)の方が独善的であったようだ。それでも中世という時代だけあり、日本の戦国時代と同様、英雄がどちらの側にも輩出されその英雄譚を読むだけでも価値がある。第一次十字軍のボエモンド、ゴドフロア、ボードワン、タンクレディ、第三次十字軍の獅子心王リチャード、第六次十字軍のフリードリヒ、エルサレム王ボードワン四世、イスラム側のスルタン、ヌラディン、サラディン、アラディール、みな魅力的で格好良い。特にリチャードとサラディンの間には一度も直接会うことはない中で友情のような感情が芽生えるのは、やはり英雄同士だからなのだろう。ハンニバルとスキピオの関係を思い出した。一方、フランス王にはろくな人材が輩出されず、特に十字軍を終焉に導いたルイに至っては最悪なのだが、それがキリスト教の聖人として祀られるなどとは当時のキリスト教の狂信性がよくわかる。いずれにしてもやはり塩野七生の書く中世は面白い。
0投稿日: 2020.02.02
powered by ブクログ十字軍とは何だったのか? なぜ始まったのか? とても面白かったです。 作者がキリスト教徒では無いので、 中立性があったかと思います。 日本人だからかヨーロッパ寄りでしたが。 それでも、物語としてとても面白い物になってます。
0投稿日: 2020.01.05
powered by ブクログ神がそれを望んでおられる。 後世で悪名高き十字軍、キリスト教によるイスラム教への宗教戦争とは何だったのか。 11世紀ヨーロッパは東ローマ帝国、西ローマ帝国に分かれ、それぞれギリシア正教、カトリックと内紛を起こしていた。 西ローマ帝国皇帝ハインリヒ4世のカノッサの屈辱から、ローマを追われたローマ法王グレゴリウス7世の後任、法王ウルバン2世は自らの権威を示すため、キリスト教の共通的を作り出す。 聖地イェルサレムを解放せよ。 この言葉に共鳴したキリスト教徒は十字軍編成を待たずしてオリエントへと旅立ち、そして斃れていった。 その後構成された第一次十字軍はわずか5年弱で地中海沿岸にイェルサレムを中心とした十字軍国家を設立する。 それが残虐であったにせよ、第一次十字軍にはキリスト教側には英雄が誕生し、イスラム教側に傑出した人物がいなかったことが勝敗を分けた。 そして、イスラム教側にとっては、十字軍は単なるキリスト教側の領土拡大の争いだとしか認識していなかったことも災いした。 領土拡大とあれば、領主同士は決して連携しなかったのだ。 第一次十字軍、聖地を目指して戦いを挑んだ第一世代の英雄たちの物語。
1投稿日: 2019.11.19
powered by ブクログイスラムを理解するには、このへんから読むのが良いのかなぁ・・・と思って購入した本。 ボリューム沢山で、流し読みという訳にもいきそうにないので数カ月間積読状態だったのをようやく読了。 数多くの登場人物の中では、タンクレディが一番印象的だったかな。 第二巻もただいま積読状態。
0投稿日: 2019.10.21
powered by ブクログキリスト教の聖地がイスラム諸国の手に落ちてからから400年ちょっと、本書は法王の聖戦への呼びかけに参集した俗にいう第一回十字軍がエルサレム奪還を試みる遠征記になっている。 冒頭から目から鱗がポロポロ落ちる事実の連続であった。急激に発展を遂げるイスラム諸国の度重なる侵略で中東の領地を失い、衰退を辿るビザンチン帝国は教理の違いなど構わずカトリック教会に泣きつく。これを引き金に法王は東ヨーロッパにカトリック教会の影響力を強めようと、ヨーロッパ諸国の君主の上に立ち、指導できる力を示すために十字軍の編成を唱える。十字軍編成には極めて利己的な思惑があったとは・・・。聖戦やらイスラムの圧政に苦しむ人々の解放はすべて建前。宗教はいつの時代も利用されるものだと痛感する。 招集に応じた騎士たちの第一印象は、エルサレムにたどり着くどころかまともに小アジアにたどり着けるか不安をを感じさえるドイツ、フランス、イタリアの寄せ集め騎士部隊だった。第一ランデブーポイントのコンスタンティノープルまでの足並みはバラバラで各諸国手を取り合って進軍することは無かった。しかしエルサレムに近づくにつれてあれだけまとまりがなく行動していた騎士団の団結力が固まり、個々の人間的な成長、指導者としての頭角を現すのを垣間見ることができたのは感動を覚えざる得ない。 遠征自体は想像を絶する過酷さが伺えた。未知なる土地を不衛生極まりない生活環境のもと行進し、食料は基本略奪という名の現地調達のため餓死とは常に隣り合わせ。乗ってきた馬を食料にする騎士もいたそうな(人肉も・・・)兵力の補給も行えず、アウェーでの戦場にも関わらず数多の攻城戦を経てエルサレムまでたどり着き、十字軍国家の成立ができたのは軌跡と言わざるを得ない。 エルサレムを遠くから見下ろす、歓喜で震える十字軍の兵士たち一枚の挿絵が感慨深い。ギュスターヴ・ドレの「Enthusiasm of Crusaders at the First View of Jerusalem」という名の絵らしいのだが感動に震えて、涙する騎士一同の描写が細やかに描かれ、本書を読んだことで十字軍のついに来たという思いがより強く伝わった。 エルサレムを目指した諸侯が聖地を目の前した時と同等の感動、達成感で胸を満たすべく、自分も目標に向かって全力でぶつかって行きたいと強く思う一冊。
0投稿日: 2019.09.16
powered by ブクログ十字軍結成の裏にカノッサの屈辱があるとは初めて知った 面白いね中世のヨーロッパは 第一巻でイェルサレムの解放まで進んでしまった
0投稿日: 2019.08.26
powered by ブクログ突出した主人公が描かれるのではなく、多くのキャラクターが多彩に生き生き描かれている。その中でもやはり、イェルサレムの初代王になったボードワンの懐の大きさと、若き英雄タンクレディの活躍が目を引く。塩野さんに「チンピラ」「十字軍のチンピラ」と何度も書かれているが、チンピラも成長する、すごい。塩野さんの筆には、ボードワンとタンクレディへの愛があふれている。 殺戮と破壊の嵐ではある。戦争なのだから当たり前なのかもしれないが勝った方のやることが苛烈。 まえがきで著者が投げかけているテーマが気になる。今後読み進めると明らかになっていくのか、ぜひ続きを読む予定。 1.200年続いた十字軍時代で勝ったのはイスラム側であり敗れたのはキリスト教側なのに、なぜその後からは両者の立場は逆転したのか。なぜ最終的な勝者はキリスト教側になったのか。 2.十三世紀当時にはイスラムとキリスト教の間で解決できたいわゆる「パレスティーナ問題」が、なぜ七百年が過ぎた現代のイスラムとユダヤの間では解決できないのか。
1投稿日: 2019.08.15
powered by ブクログ☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆ 「十字軍」とは、だれもが知っているようで、実際はよく知らない。そういうものでは無いだろうか。世界史を勉強しても、さらっと第一次だ、第三次だとあらすじをたどるだけで何もわからない。 本書では、十字軍というものが起こされた背景から、当時う人物の息遣いまで感じることができる、読み応えのある作品だ。 まず、背景として「カノッサの屈辱」から筆を進めるのが面白い。カノッサの屈辱の後、ローマ教会はハインリヒ4世に押されに押されたが、巻き返しのため、権威を取り戻すために十字軍が考えられたという。ウルバン2世によって。 「聖地を取り戻す」という目的だけではなかったのか。 そうしてスタートした第一次十字軍が、苦しみながらも聖地までたどり着く。その道のりを描いたのが第一巻。 トゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジル (司教アデマール) ロレーヌ公ゴドフロア・ド・ブイヨン (弟ボードワン) プーリア公ボエモント・ディ・アルタヴィッラ (甥タンクレディ) これらの人々を中心に、十字軍の足跡を辿る。 十字軍といえば、どうしても排他的で残虐なイメージがあるが、勇気や誠実さといった面もある。 十字軍とは何だったのか? 二巻、三巻、四巻もじっくり考えながら読み進めたい。
0投稿日: 2019.08.13
powered by ブクログだいぶ前に、先に『絵で見る十字軍物語』を読んでいたが、改めて『十字軍物語』の方も読んでみた。 十字軍とビザンティンとイスラムの三つ巴の闘いが、人間味の溢れる塩野七生の描写で生々しく目に浮かんでくる。
0投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログ人間は戦争せざるを得ない生き物みたいなことを誰かが言っていたけど、まさしく人類の歴史から戦争を省くことはできないなと、、 結局、どんな正義や意義を振りかざしても略奪行為や紛れもない犯罪はあったわけで、十字軍といえどもただの人間同士の戦争だったのだなと思った。
0投稿日: 2019.05.19
powered by ブクログ十字軍の始まり そして第一回十字軍 イスラムと欧米との争いの始まりである 十字軍 世界史では習ったけど 十字軍の遠征は失敗の歴史だとばかり 思ってました しかし血なまぐさいですな 最初は中々進まなかったけど 中盤から面白く止まらなくなった さすが、塩野先生❤️
0投稿日: 2019.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・塩谷七生「十字軍物語」(新潮文庫)の巻1、巻2読了、結構時間がかかつた。歴史書ではなく物語、とはいふものの、世界史上の重大な出来事である十字軍をまともに採り上げてゐるのだから歴史書風にならざるをえない。いや、もしかしたらこれは年代記であるのかもしれない。中世頃によくあつた年代記風に十字軍をまとめたものであるのかもしれないと思ふ。考へてみれば私は塩谷七生を読んだことがない。この方、ずいぶん昔からいろいろなものを書いてきた。昔のヨーロッパの歴史と言へば良いのであらうか。そんなものばかりであらう。そこでどんな書き方をしてきたのか知らない。あるいはこの十字軍風であつたのかもしれない。いづれにせよ、これは読み易い書である。巻1が十字軍国家の成立までを、巻2がサラディン登場、再びイスラエルがイスラムの手に落ちるまでを描く。先はまだ長い。巻4まである。十字軍を細かく描いていけばかうなる。見事なものである。 ・十字軍といふと私はヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデを思ひ出す。この人はドイツ中世の吟遊詩人、ミンネゼンガーである。晩年は第5次十字軍のレオポルト6世の宮廷に移り、第6次十字軍にも従軍してエルサレムにまで行つたらしい。その時の感動が有名な「パレスチナの歌」になつたといふ。いろいろな演奏があるが、その旋律は一つ、私はこの旋律を忘れられない。今も聴きながら書いてゐる。やはり優れた歌であると思ふ。実際にパレスチナに行つたか どうかは関係ない。これは第5次から第6次にかけての十字軍のこと、第1次はこんなことは言つてはをれなかつた。さすがに苦労したのである。巻1の副題にもなつてゐる「神がそれを望んでおられる」からと聖地イスラエルを目指す。道は長い。現在のフランスやドイツあたりから陸路で行くのである。これだけで時間がかかる。人びとはそれを承知で出かけた。そんな気にさせたのは誰か。「それにしても法王ウルバン二世は、アジテーターとしてもなかなかの巧者だった が、オーガナイザーとしても一級の才能を示すことになる。」(46頁)といふウルバン二世であつた。この法王が1095年、クレルモンの公会議で演説したのである、「東方に住み、絶えずお前たちの助けを求めている『兄弟』の許にかけつけて、この信仰上の同胞に助けの手をさしのべる」(37頁)べきだと。そして、この十字軍に参加する者には完全免罪が与へられる等の決定(46~48頁)もなされた。完全免罪とは、簡単に言ふと、「参加さえすれば天国行きは確 実だ」(46頁)といふことである。これほどありがたいことはない。東方の同胞を助けるべく人びとは十字軍に参加したのである。上は大貴族から、下は貧民十字軍と言はれた人びとまで、実に多くの人びとがゐた。本書でまづおもしろかつたのはフランク人といふ言ひ方であつた。フランス人もドイツ人も、もちろん 西欧の国々の人びとはイスラム教徒からかう呼ばれたといふ。その一方で「ビザンチン帝国の領民であるギリシア人に対しては、『ローマ人』と呼んでいた」 (111頁)といふ。ビザンチン帝国が公式にはローマ帝国を名乗つてゐたからであるらしい。当時は現在で言ふ国はなかつた。もちろんヨーロッパもなかつ た。貴族は政略結婚である。どこの国人と決めやうがない。だから、イスラムの見方は正しい、といふよりさう呼ぶしかなかつたのである。本書には年代記風に 十字軍の歴史が書かれてゐる。それでも必要に応じてこのやうなことが出てくる。十字軍の歴史もおもしろいが、そんなのもおもしろい。そんなわけで、本書は時間はかかつたけれどおもしろい物語、読み物であつた。
0投稿日: 2019.04.30
powered by ブクログ明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。 星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。 平成31年4月30日(平成大晦日)作成
0投稿日: 2019.04.30
powered by ブクログキリスト教の西欧が、イスラムの地になっている聖地イェルサレムを奪還する第一回十字軍の過程が書かれています。これから始まる十字軍の物語の第一回。そのヨーロッパ側の主要人物を中心に物語は書かれています。戦争の連続の中で、それぞれの思惑を、魅力的な人物像と相待って、非常に面白く読ませていただきました。 宗教を掲げてはいるものの、欲や名誉といった一筋縄ではいかない人間の性があるも、共通の目的の元、着実にイェルサレムを目指し、最後にはたどり着く。そしてそのあとどうなったのか。どうなっていくのか。これからの物語が楽しみです。
0投稿日: 2019.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争を書くのを避けていては、歴史はかけません。歴史とは、良くも悪くも戦争の歴史なのですから。しかも、西洋史上での十字軍は、これがあったからこそ古い時代が終わり、新しい時代が始まることになるほどに、重要な歴史上の事件なのです。と前書きにあるように、第1巻は第一十字軍の発足までと、イェルサレム解放までの出来事。 最初の十字軍は教皇の呼びかけに応えた7人の諸侯だけで行われたと言うのに、まずは驚いた。また、イスラーム側との認識の相違、つまり、宗教戦争と領土戦争、がかなりあったことも面白かった。
0投稿日: 2019.04.08
powered by ブクログキリスト教 対 イスラム教の残虐な闘争である十字軍を語ってくれる。 資料が少ないのか、著者の怠慢のか、代表作の「ローマ人の物語」で味わった登場人物に感情移入する感覚は味わえないぐらいあっさりしている。 しかしながら、サラディン、リチャード1世、フリードリヒ2世など高校教科書では試験にでる単語であるが、ピンと来ない英雄達のイメージ作りになる。テンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団との違いも。 そして、現代においてもイェルサレムという聖地が、いつでも中東問題の火種となる事をこの物語を通じて理解させてくれる。
0投稿日: 2019.03.28
powered by ブクログ歴史の教科書ではちゃちゃっと終わる十字軍にこんな背景やこんな戦いがあったなんて! 戦争は権力争いやら領土争いやらなにやらで起こるのが常。 宗教はなんだか利用されて気の毒。
0投稿日: 2019.02.25
powered by ブクログ十字軍がどのようにして成りどのようにイェルサレムを奪還していくかの物語を塩野七生氏の人物を中心にして紡ぐスタンスで描かれる。 この書は十字軍がエルサレムを奪還し、十字軍国家を形成するまでが描かれる。 書くというよりは描かれるというような感覚になるのは塩野七生氏の人物を中心にして感性から入って理屈に繋げていくスタンスならではなのだろう。 事実の列挙とは正反対に位置する氏の描く歴史物語は、フィクションを読んでいるような心地で歴史を読むことができる非常に稀有な本だ。 物語の当時、 ローマ皇帝と法王の対立は「カノッサの屈辱」という事件をきっかけに、決裂は決定的となる。 そこで法王はローマ皇帝に対抗する策として、ローマ皇帝には持ちたくても持てないもの、「神」を持ち出したのだ。 法王という権威を決定的なものにする為に、「神がそれを望んでおられる」という神の指令をイェルサレム奪還という形にして呼びかけるのだ。 個性豊かな諸侯たちが、イスラム教徒からのイェルサレム奪還を目指して、「巡礼」という名目で、足を引っ張り合いながらも必要な時には団結し奪還し、十字軍国家を形成する。 こうして、 各々の行動を現代に生きる者の目から見てみると、いかに愚行であるか、またいかに聡明であるかがよく見て取れるのだが、その最中にいる人にすれば当事者であるが故に、その行動の良し悪しの判断というのは非常に難しいものがあるだあろう。 判断は歴史がしてくれるという言葉の真意は、 歴史を読んでいることでさらに腑に落ちてくる。
0投稿日: 2019.02.05
powered by ブクログ名前は知ってるがこれまでほとんど内容を知らなかった十字軍。自分の中でまた新たな知識が追加される喜びを感じる。第一巻は最初の十字軍について。ボエモンドやタンクレディが魅力的!しかし宗教が第一義になると逆に寛容でなくなり、実利的な人間ほど結果的に寛容な対処を行なっている事が多いのが興味深い…
0投稿日: 2019.02.02
powered by ブクログ第一次十字軍の制覇行。無謀な宗教戦争なようにみえるが、迎え撃つ側の問題で成功してしまう。聖地がいかに一神教には大事なのか、多神教側からは実感しにくいものである。
0投稿日: 2019.01.09
