Reader Store
精霊流し
精霊流し
さだまさし/幻冬舎
作品詳細ページへ戻る

総合評価

44件)
4.0
13
15
11
1
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    雅彦は、少年時代に自分の力が全く及ばなかったこの天女がいま、ふいに羽衣を脱ぎ捨て、生身のまま自分の腰掛けている椅子へ舞い降りてきて人間になったのを見ているような、奇妙な愛しさに貫かれた。言葉の選び方と組み合わせは作詞作曲と同じような感覚なのだろうか?読み進める中で情景とリズムがリンクしていくような気持ちになり知らず知らず涙が溢れます。さださんがこれまで歩まれてきた中で温かく接してくれた大切な人を思う気持ちが優しい言葉となっていると感じました。さださんの小説は全部読みたくなりました。また、映像化された作品と歌も是非聴いてみたくなりました。

    1
    投稿日: 2023.07.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    マジで泣いた…。 さだまさしさんは有名だし、多才である事は知っている。 確か弟さんが事務所の社長をやられているみたいだけど、インタビュー記事に『兄は破天荒だからその後始末が大変だ』みたいな事が書いてあり意外に思った。 でも何処かで兄を尊敬してるような響き(文章だけど)もあって何か魅力のある人なのかも知れないなーと思った覚えがある。 さださんが長崎出身である事は知ってる。『がんばらんば』という曲を出してらっしゃるけど、それが教育テレビで流れていた(中学生くらいの時かな?)結構耳に残るし、九州弁はどこか安心感がある。 この小説も所々に長崎弁が使ってあり、私は九州出身なので普通にスラスラ読めるがそうじゃない人は苦労するのかも知れない。 さださんは私の父と同世代の人で戦争が終わって数年後に生まれている。 この小説はさださんの自伝的小説らしいが、お父さんの事やお母さんの人生をここまで細かく知って覚えているのは凄い。それだけコミニュケーションをしっかりしていらしたんだと思う。 そういうところでも愛というか人情というか…今では忘れてしまった人の美しさが見えてくる。 長崎と言えばやはり『原爆』を連想してしまう。 さださんは経験していないけど、直に経験した人の話を聞いているし、被曝した人を見たりしている。 そういう事をちゃんとカタチとして残したいと思ってこの小説を書いたのだなぁ。 今はスマホで簡単にやり取り出来てしまうし便利ではあるけれど、情報も多く詐欺等もあり田舎の人でも知らない人には警戒してしまい人と人の間に大きな壁が出来たと感じてる。 そこで、この小説を読んだ時に(ああ、こんな時代もあったんだな…)と涙を流してしまった。 無くなってしまったんじゃなくて出せなくなってしまったんだと私は思ってる。 人には愛がある。絶対。

    0
    投稿日: 2022.09.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさしさんの自伝的小説で、主人公、雅彦の子供時代から、アーティストになった後までの家族や友人とのいろんなエピソードが描かれている。 時代があちこち飛ぶので、初めはちょっとわかりにくかったが、ほとんどは別れに関するもので、人の縁のようなものを感じさせる話も多く、かなり泣けた。 個人的には、雅彦が子供の頃、誕生日に祖母が自分の好きなおにぎりをたくさん作ってくれたのに、プレゼントとしては不満で、それを態度に出してしまい、後でそれがお金がないせいだと思い当たり、後悔して謝ったときの祖母の対応や、長崎のお盆の行事、精霊流しに込める人々の思いが描かれたシーンなどが響いた。

    13
    投稿日: 2021.05.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    歌手のさだまさし氏による、おそらく自伝的小説。長崎県出身で、バイオリンを習った主人公とプロフィールが重なる。 テーマは別れ。主人公雅彦が経験した大切な人たちとの別れを中心に、いろいろな時代背景で、ストーリーが進む。ところどころ時代が前後したり、登場人物がたくさんいるので混乱するが、さだ氏特有のやわらかな文章で優しい気持ちで読み進められる。 本書で初めて知った、長崎の精霊流し。手作りの小舟に灯篭を載せて川に流すイメージを勝手に想像していたが、もっとずっとスケールが大きいものだった。そしてそれは現在でも続いているようだ。一隻ずつ、その年に亡くなった故人の魂を送り流すように、長さ5メートルもの舟(型の神輿のようなもの)に、提灯をたくさんともし、爆竹を鳴らしながら町の目抜き通りを海に向かって運んでいくのだ。 大切な人たちとの別れは、温かく切ない。さだ氏の同名の曲もあるそうなので、今度聞いてみようと思う。

    2
    投稿日: 2020.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    既に読んだ他のいくつかの本もだけど、長崎に引っ越してこなければ読まなかっただろうな。 長崎弁がだいぶスムーズに入ってくるようになった。精霊流しはほんと見に行きたい。

    1
    投稿日: 2020.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ばらばらな断片を,時間差攻撃で並べ,それを少しずつつなげ,最後にはっとさせる。これがまさしの得意とするパターンだ。だから慣れていない人には読みにくいだろうなと思いながら読んでいた。特に最初は気負いがあるから,文章が前のめりになっている。 ほとんどのエピソードの輪郭はもうすでに知っていた。まさしのトーク集で,まさしの歌で,まさしの他の本で語られ歌われていたことが小説というかたちを借りて,再発信されていた。にもかかわらず,じーんときた。そこにまさしの歩んできた人生の重さがあり,彼の”生”をささえてきたたくさんの大切な人々の”生”の重さがあるからなのだろう。 自分はピラミッドの頂点にいる。自分の下には父・母,そして祖父,祖母,そしてそれにつながるたくさんの人がいる。その上で自分が生きていることを忘れてはいけない。そんなメッセージが届いてきた。 私は「おばあちゃんのおにぎり」の話が大好きだ。自分が無意識に(いや厳密にいうと意識して)人を傷つけてしまったことに気づいた瞬間。顔から火が出るような瞬間。私の中でもいくつもの場面が焼き付いている。高校時代,親しくしていた友人がせっかく持ってきてくれたミッシェル・ポルナレフのテープとその歌詞を持ち帰るのを忘れて,次の日,友人がそれを見つけてしまった場面・・・。それが私にとっては,「おばあちゃんのおにぎり」だ。 「精霊流し」の中で一番気になった話は,まさしがコンクールで争ったバイオリニストの夭折だ。この話も沁みる。この話が本当なら,彼女の本当の名前を知りたい。そして彼女のバイオリンを聴いてみたい。

    0
    投稿日: 2019.01.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    再読。 -- これはまあ、さださんの生きてきた歴史を脚色して小説に仕上げた、といふ趣。 部分的に共感できる場所はないではないが、小説としてそんなにデキがいいとは考へられない。

    0
    投稿日: 2017.05.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    201601 さだまさしの自伝的小説。家族や周囲の人への愛情や感謝でいっぱいで優しい気持ちで読み進められる。戦前戦後の日本の空気感も伝わって、歴史的にも楽しむことができる。肝心の精霊流しのエピソードにもっと厚みがほしかったのと、時間軸の行き戻り感が戸惑ってしまうほど多かったのがちょっと残念。

    0
    投稿日: 2016.01.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さださんのまわりには、たくさんの方がなくなっている。いとこの春人君、お母さん大好きという手紙残して、そのお母さんも手紙を見ることなく亡くなり、最後の一行、美しく悲しい。

    0
    投稿日: 2015.08.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    親戚含め家族、友、大切な人と紡ぐ絆と、その人たちをおくること。柔らかく精緻な物語で、とてもとても迫るものがあった。

    0
    投稿日: 2014.10.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    生い立ちの記はドキュメンタリーのようであって 自己弁護を含み小説のように客観性に乏しくなりやすい この物語もどっち付かずで 意味のない飾り言葉や知識が織り込まれていることに 馴染めないまま何だか情にほだされてしまいそうな 計算尽くの話しっぷりに シラケてしまう部分が多かったような気がする そんな中でも一箇所だけ「Aマイナーのバラード」で 甥の春人の死の場面にさしかかり フト恋敵の徳恵の死がダブってムナシさを覚えた 自分の過去を伝えることの意味や難しさを感じた 情が絡み妙に押し付けがましく綺麗事に謙虚を装ったりして 自己満足してしまいかねない 言葉というものは演出によって演技するための道具のようだ 部分の切り取りでしかあり得ないし その隙間を誘導する嘘と秘密を孕むことで成り立つ 駆け引きの手段なのだろうか

    0
    投稿日: 2014.10.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かった。 何となく話の全体が読めなくて入りずらいところもありましたが、とてもよかったです。 余韻がとてもいいですよね。 この間、初めて精霊流しを佐世保で見てきましたが、 改めて感慨深くおもいだされました。 さださんの音楽も聞きたくなりましたし、 小説もまた是非他の作品もよみたいです。

    0
    投稿日: 2014.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    仲良しだった読書家の先輩が大学を卒業する時、ごり押しと共に私にくれた本。 最初に読んだ時も「好きだな」って思ったけど、最近再読してみて更に思うのは、私だったら絶対自分の手元に置いておきたいと思うのに、先輩はよく私に譲ってくれたなぁ、と。 挙げればきりがないんだけど、大なり小なり親や地元の期待を背負って故郷を離れたことのある人なら、じーんとくるものがあるんじゃないかな。 後半は、はやり反戦のメッセージが強く感じられました。原爆を経験した方の貴重なお話が、登場人物を通して語られています。 また、タイトルにもなっている「精霊流し」の章では、その行事、というか慣習そのものの切なさが感じられて、何度読んでも泣いてしまう章です。 こういう本にあとどれくらい出会えるのでしょう。

    0
    投稿日: 2014.06.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「面白い!」っていうのともちょっと違うけど・・・でも、つまらないわけではなく・・・でも、一度でいいかな。 ただ、一度長崎まで行って、精霊流しを見てみたい。

    0
    投稿日: 2013.12.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ゆったりとした川の流れに漂っているような気持ちで読みました。時間軸も登場人物もゆらゆらと、この辺が好みの別れるところかもしれませんが、私はとても好き。故郷長崎の風土や気質、さださんの生い立ちや音楽活動への思いが、たくさんの愛を込めて書かれた本だと思います。さださんには詳しくないので、歌詞をググりながら、本で泣き、歌詞で泣き、流れに逆らわず、大変気持ちの良い読書。さだまさし、ちょっと偉そうで、面白いおっさんだけど、只者ではないって思う。偶然見つけた「償い」という曲の詞には泣かされました←本と関係ないけど。

    0
    投稿日: 2013.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    こちらも感動作。命をつなぐということ、偲びつつも亡き人への想いに区切りをつけるということを精霊流しを軸に描いています。中心舞台である長崎の風景の描写も美しい。長崎を故郷とするさださんならではの視点だと思います。

    1
    投稿日: 2013.03.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    覚悟をしていれば、悲しみと驚きはわずかでも軽くなる。けれど、痛みと深さはちっとも変わらない。 死別というのはそういうものなのだと思います。生があるなら死も必ず存在して、それは当たり前のことだけど、受け止めるには、人の心は弱すぎるのだと思います。 『精霊流し』 長崎で毎年8月15日に行われている、故人の魂を送り出し、そして別れを告げる儀式です。故人はもちろん、残された者のための儀式でもあるのだなと思いました。 ところどころ、涙腺を刺激されます。愛情に溢れているなぁと思いました。ただ、ころころと場面が変わって、あれ?ってなることが多かったのが残念です。

    0
    投稿日: 2013.01.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自伝的小説…個人的にははっきりさせて欲しい。^^ どこからどこまでがフィクションなのか、とか気になってしまうから。 そして、どうしてもさださんの顔が浮かぶから。(笑) こういうものは小説として読んだ方が良いのかな? 最初は貧しくてもどんどんステップアップしていくのが読んでいて気持ちが良い。 ま、今はこんなに簡単に這い上がったり出来ないだろう、と思うのだが、これも時代の流れだろうか。 最後の方は少し飽きてしまったけど、引き込まれた。

    0
    投稿日: 2012.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさしの自伝的作品。「大切な人たち」との「大切な記憶」の物語。数々のエピソードとレクイエムにいちいちキュンとします。 祖母のプレゼントを楽しみにしていた雅彦が目にした途端、意気消沈してしまうシーンは、あるある自分にもあったよと思わず遠い目になったし…。 貧乏な暮らしの中で、母が急に作り始めた花壇。やがて薔薇の花が根付いた頃、一家は引っ越すことになる。ミュージシャンとして成功した後に訪れていくシーンは情景が目に浮かぶし…。 砂丘の観光施設で、らくだの代わりに客を乗せる、元競走馬のルーツを調べていく話は、ヴァイオリンで成功を収めた旧友と自分自身を、サラブレッドと元競走馬になぞらえ、最後のくだりで交錯する構成はカッコイイし…。 第八話は、出勤前の電車の中で読んでいたら涙が溢れ参ったし…(この部分は、周りに人がいないところで読むことをお勧めします)。 大切な人とのお別れがテーマなので、気持ちが沈んだまま終わりを迎えるのかと思った。が、最後のエピローグは、「時として人は素敵なことをする」…そんな素敵な出来事でしめくくられています。 解説の朝山実さんがこれまた最後にニクいこと言うんだな。「シーンにどれだけ匂いや風を込められるかが作家の『個性』」とか「実につまらないひっかかりを掘り下げ、釣り上げていくのが『書く』という行為なのかもしれない」…だなんて。多くの説明を言葉にしなくても、何気ないごくふつうのことを目にしたことが自然と文章になり奥行を生み出していく…だからさだまさしの作品好きなんだよなぁ…とずっと言いたくて言い表せなかった敬意をよくぞ言ってくれたと思った。

    0
    投稿日: 2012.10.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    戦後の混乱期。長崎で生まれた雅彦は、三歳の時に両親からヴァイオリンを与えられ、将来を嘱望され幼くして上京する。成長する中で雅彦は、大切な家族、友人、仕事仲間たちとの幸福な出会いと凄絶な別れをくり返してきた。ささやかだけど美しい人生を懸命に生き抜いた、もう帰らない人々への思いを愛惜込めて綴る、涙溢れる自伝的長篇小説。

    0
    投稿日: 2012.10.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさしの生い立ちを本人が小説化した作品。 どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのか分からないが、さだまさしという人の感性に触れる気がした。 もう30年も前にまだフォークギターを担いでジャラジャラと音を出していた頃、さだまさしは大好きな歌い手だった。 あの詩の感性が、言葉遣いが好きだった。 自分も何冊もノートに詩を書き綴ったが、あのノートはもう捨ててしまったんだよな。 今見たらどう感じるのだろう。 題名にある精霊流し、私も一度だけ船を担いだことがある。 長崎の祖父が亡くなった年だった。 はじめ船は作らないといっていた親類一同だったが、親父を始めとする兄弟が「やっぱり船を出そう」と決めたのが、前日だったのではないだろうか? そもそも船はずっと前から準備して盛大に飾り付け、人を集めるということがこの本を読んで分かった。 祖父の船は急ごしらえの小さなものだったので、周りの人からは小さな子供が亡くなったんだよ。という声が聞こえていたのを覚えている。 船は小さかったが、爆竹や花火はどこにも負けないくらいたくさん焚いたという話を後で聞いたが、小学生だった私は、始めて見る、初めて参加する精霊流しに意味も分からずわくわくしたのを覚えている。

    0
    投稿日: 2012.09.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     「解夏」が予想以上に印象に残ったため、今更ながら読んでみました。  昔からのさだまさしファンにとっては、コンサートやラジオ等で聞いていた馴染みがある話の数々が一つの物語につながって小説となっています。今までは単発で聞いていた話の数々のつながりがよくわかり、あぁ、こういうことだったんだと納得する箇所が多々ありました。最初はなんの前知識もなく、完全なフィクションの話だと読みはじめたため、私にとってはいい意味で裏切られました。  逆にさだまさしファンではなく、この本で初めてさだまさしの世界に触れた人たちはどういった感想をもつのかなと思いましたが、そこそこヒットしているようですので、そういう人達にとっても共感できる部分も多いのでしょうか。  この本にまつわる曲を集めたCDも出ているようです。この本で初めてさだまさしに触れた方や、関白宣言や防人の歌にアレルギーがあってそれ以外の曲を聞いたことがない人は一度聴いてみてはいかがでしょうか。

    0
    投稿日: 2012.05.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    長崎で行なわれている精霊流しは「しょうろうながし」と読み、他の場所では「しょうりょうながし」という。「しょうろう」と打ち込んでも文字の変換が無いのは、なるほど地方の言葉だったからか、とひとり納得した。 「解夏」を読んだ時もそうだったが、故郷への愛情が文章からにじみ出ているように思えてならない。長崎の街は暑そうなのに、どこか爽快な気分にさせる。

    0
    投稿日: 2012.03.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    電車の中で読んで泣き、続きを寝る前に読んでも泣き、こんなにどっと感動した本は何年振りか。 貧乏・戦争・大切な人との死別、 「お涙ちょうだい」的な要素は多いが、時代背景のせいか、そんな安いものでない。 雅人が待ち続けたエンとの再会 愛犬パールの死 喜代子がおろしたかもしれない赤ちゃんの死 ばあちゃんの死 たくましく咲くバラの花 野川と洋治との出会い、別れ バンド仲間樫山の死 徳恵ちゃんの死、春人の死 バイオリニスト涼子の死 節子おばちゃんの死 登美子おばちゃんと忠おじの死 一番心に残ったのは、雅彦の子ども時代。 おばあちゃんのおにぎりや、繁と遊んだことや、貧乏で給食費も払えなかったこと。貧乏だけど、家族仲良く幸せに暮らしていた様子が、なぜだかいいなあと思った。 戦後すぐの時代だから、今なら助かるであろう命もあった。 被爆してずっと病気がちだった登美子おばちゃんも。 ナガサキの原爆投下のシーンは悲しかった。 ちょっと遠くへ行こうが海外へ行こうが、現代であればいつでも電話で声を聞けるしメールで近況報告もできる。でもこの時代はそうはいかない。遠くへ行くとなると本当に一生の別れのような感じだし、雅彦が上京したときに送りに来てくれた友達とのエピソードがそれを物語っている。 精霊流しって、あんまり知らなかった。 でも死者の魂を船に乗せて流してあげるって、すごく素敵な風習だなと思う。 ☆唯一この本で面白かったのが、 第5話「精霊流し」で出てくる林幸之助の遺言書 「一、江山楼宴会費用(格安にて) 二、長崎東検番 花代(格安にて) 三、税務署贈与税領収書(格安にて、笑)」 ここだけ、やたら笑えた。 恥ずかしながら精霊流しの曲も聞いたことがなく、この本が本当に自伝的小説だということも読み終えて調べて初めて知った。 でも読み終えてからでよかった・・先入観持たずに読めたから、こんだけ感動できたのかも。 雅彦=さだまさしさん、ですね。 精霊流しは、いとこの春人を思って書いた歌だそうで。 出てくる長崎弁、なつかしかった。 学生時代なぜか九州(特に長崎)出身の子が周りに多く、あったかい感じのするその方言に結構なじんだものだった。 思い出の作品になりそうです。

    0
    投稿日: 2012.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み始めて知った、これはさだまさし自身の自伝的小説なんだと。 いくつかのエピソードがある年の精霊流しに向かって一つになっていく。さださんの小説は初めてだけど、けっこうまいと思う。 初盆を迎えてしまう人間の気持ちが切ない。

    0
    投稿日: 2012.01.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    アーティストとして大好きだったさだまさしさんの過去を知ることができました。 いろんな人との壮絶な別れを繰り返してきたからこそ多くの人の心に響く詩が書けるんですね。

    0
    投稿日: 2012.01.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさし(notU野)の自伝的小説。確か前にNHKでドラマをやってて、坂口憲二がさだまさし役ってのに違和感を感じた気が・・・。 芸能人が書いた小説って文章ヘタなイメージがあったけど(ヒドい)、これはすっごい綺麗な文章だった。着眼点が良いのかな。主人公が変わったり時代が前後したりして読むのが大変だったど、その分繊細な文章をじっくり読むことが出来た。 とにかく暖かくて、哀しくて、何度か泣いた。最後の方に出てくる伯父と伯母の精霊流しの場面の「『あなたを思い切ります』と自分に約束する、壮絶な別れの儀式なのである」というフレーズでグッと物語に深みが増した気がする。そんでまた泣いた。 ちなみに最後は風呂場で読んでて、春ちゃんの手紙のエピソードのとこで号泣して風呂桶に本を落っことしました・・・。

    0
    投稿日: 2011.08.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    さだまさしの自伝的小説。 さださんの小説は、 ”夏解” でこの人、音楽以外にも文才もあるんだ!と感動したが この作品も面白かった。 特に、飲み屋のバイトのくだりは最高!

    0
    投稿日: 2011.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    精霊流しは大切な人と別れる決心を決める。 現在では祭り的な意味が多いと描かれていて でも本当は大切な人を送る訳だから 船は担ぎたくない。 このシーンが一番感動しました。 精霊流しは見たことないけど、 きっと綺麗で悲しい光景なんだろうと、読んでみてそう感じました。

    0
    投稿日: 2011.03.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『解夏』などの映画作品が非常に素敵だったので、さださんの小説も読んでみようと思って、購入しました。 話が進むにつれて、精霊流しとは何か、そしてなぜこの本のタイトルが精霊流しなのか、ということが染み入るようにわかってくる。さださんが今は亡き大切なひとたちへの優しい思いが各章にぎゅっと詰まっています。 最後に一番の山場を持ってきてる、小説デビュー作とは思えないよい作品。ほかのも読んでみたくなりました。

    0
    投稿日: 2011.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    普通に面白かったです。何というか、「人生」を垣間見たというか。自分はまだ若いですが、壮大な人生を疑似体験したような、そんな感覚になりました。読み終わった時の達成感、充実感は、本の厚さのせいだけでは無いと思います。

    0
    投稿日: 2011.01.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これはさだまさしの自伝ですか? はじめて書いたの?にしてはとてもいいのではないでしょうか。本当にあったこととすれば,とても重みのある話です。

    0
    投稿日: 2010.09.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさし氏の自伝的小説で、小説家としての初の作品です。 完全な自伝ではなく自伝的なので、フィクションと事実が混ざり合っている様ですが、とても感動できる作品です。 私が好きなのは、死産で亡くした子供の精霊船を出す夫婦のエピソードです。 自分も子供を持つ親として、涙無くしては読めませんでした。 同名の映画も作られましたが、内容が全く違います。 この作品をどう脚色したら、あんな駄作ができるのか理解出来ません。

    0
    投稿日: 2010.04.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まだ読んでる最中だけど。 解夏から4年ぶりに さだまさし読んだけど、 期待裏切らず! この時代の大学生が考えてたことが 手に取るようにわかる! 自分がいま大学生だから余計面白い。

    0
    投稿日: 2008.08.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     友人に進められ購入。そんなに期待していなかったものの、読み始めると引き込まれる。さだまさしすごい。  泣かされること間違いなし。オススメです。

    0
    投稿日: 2008.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大切な家族・友人・仲間との出会いと別れ。 ラストシーンで大泣き、という小説はあったけど、 全編にわたって 切なくて涙溢れる小説は初めて。 そんな歌手がいる程度の認識でしたが、読んでびっくり、さだまさしってすごいです。 引き続き、さだまさしの「解夏」を読み始めました。

    0
    投稿日: 2007.11.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    長崎が舞台。 それぞれの家族の精霊流しにかける思い。 一度長崎を訪れてみたくなりました。 050725

    0
    投稿日: 2007.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     泣けるっていうか、胸が痛むっていうか・・。  なんとなく手に取った本なんだけど、 すごくいい本でした。

    0
    投稿日: 2007.05.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とにかく丁寧な印象。言葉ひとつひとつが、優しく温かく、とても丁寧に気持ちを込めて書いたのだろうという感じがする。一話一話で人の死に考えさせられ思わず涙が出てしまう、大切な人に会いたくなる本。

    0
    投稿日: 2007.03.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    少年時代の思い出を綴った第一話に始まり、叔父と叔母の精霊流しの第八話までを、写真を通じて書かれている。 文章も読みやすく、どんどん読み進めていけた。でも、ほぼ1話ごとに誰かが亡くなってしまう、とても悲しい話だった。 私には、「今まで出会った人が一人でも欠けたら、今の自分はない」とよく言う友人がいるけれど、この本はそういう感じの本。大切な誰かに何かを伝えるなら、「伝えたいと思う気持」が生まれた時にがんばって伝えるのが大切だなと思った。 第8話で実二郎が「その写真ばよう見てごらん。その女性は笑ろうとるやろ」と長崎の原爆直後の写真をみんなに見せて、「人間は原爆の直後にこげんよか笑顔のできるとやろうか」「人間て言う生き物はほんとうに不思議か・・・」という場面が何故か悲しくて、めちゃめちゃ泣いてしまった(笑)。 何か悲しいことや辛いことがあっても立ち直れるのが人だと思うし、「もうだめだ」と思っても、ちゃんとご飯食べて、笑ってがんばっていかないといけないのが人なのだろうとふと思った。 たまにはそんなことを考えてみようという時に、オススメの一冊。 ちなみにその友人(九州出身)「この本読んで、久々に(故郷に)帰りたくなった」と一言。

    0
    投稿日: 2007.01.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさしの自伝的な処女小説。 題名が題名だけに今は亡き人達を偲ぶ切なく、悲しく、そして優しい物語。彼の歌同様、叙情的な「さだワールド」満載。薔薇の話、おばあちゃんの話は思わずホロッ。一度、長崎の精霊流しを見てみたい。

    0
    投稿日: 2006.11.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さだまさしの作家デビュー作。 同じタイトルの歌を元にした作品。 かなり泣けます。 私は、大学の講義中に読んでて泣きそうになりました。 この中に出てくるエピソードのいくつかは、コンサートでもふつうに語られています。 まぁ、一度読んでみてください。

    0
    投稿日: 2005.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人の想いが伝わってくるような作品で 良い話でした。 解夏がすごく気に入ったので これも読みたくなって買った作品です。

    0
    投稿日: 2004.12.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この作品を読んだ後に、実際の精霊流しを見た。精霊流しの本質と言える部分がかなり鮮明に書かれている。小説でも泣き、実際の精霊流しでも泣きそうになった。

    0
    投稿日: 2004.09.20