
総合評価
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powered by ブクログまなちゃんは家でも友だちとも自然と主人公になる。 でもその人に苦しめられる人たちもいるんだなぁ 私はどちらかというとまなちゃん寄りで割と可愛がってもらえてる気がする。 確かに誉みたいな子がいたら自分みたいなおっちょこちょい系とは違って、しっかり者だからすごいなぁって褒めてるつもりでいる でもそれが相手にもしっかり者を演じさせてしまっているのかもしれないと思った。 昔は失敗が許されない環境にいてどうにか許してもらえる方法を見つけたのが今のキャラクター もうこれでしか生きられなくなったけどね まなちゃんも同じようになにか過去があったのかな
0投稿日: 2025.12.11
powered by ブクログ村田沙耶香さんの描く物語には、文字を追うにつれ、主人公と自分の境目がわからなくなるほど、のめり込んでしまう。 本書では、少女たちが課せられた呪縛から免れる為にレンアイをしたり、大人になろうとする。しかし、そんな願いも潰え、何が残っているかが分からない。呪いから解放されない。 読了後も自分が少女らから離れられたか分からない程、私は彼女が描く物語に魅了されている。
18投稿日: 2025.11.21
powered by ブクログ「ひかりのあしおと」 最初の数ページは一気に読まされた。登場人物はみんな狂っている。平静を装った文章の中で皆狂っている。記憶にある中では唯一、蛍に対して誉が困っているからやめるようにたしなめた青年だけがまともだ。蛍はちょっとむとんちゃくなだけの青年かと思ったが、誉の行動に付き合っているところを見るとやはりどこか狂っているのだ。これだけ全員が狂っているのは村田沙耶香の中でも珍しいような気がした。やはり塾の先生なんだ。最初に女子中学生に手を出したのは。はあ。 「ギンイロノウタ」 裏表のある母親、残業と出張でほとんど家を顧みない父親、家にいたとしても母親に当たり散らす父親、そういう親が影響するのか、遺伝か、環境か、少女は自分の世界に入り込んでいく。しょちょうを迎える前の少女が生理用品を下着に貼り付ける。使う予定のないコンドームを被せて自慰に耽る少年とはわけが違うだろうな。中3の担任は自分の正義感で、自分の世界に閉じこもっている少女を救い出そうと無理矢理引き出そうとする。すぐに学校には行かなくなるのかと思ったが、卒業式の日まで通い続ける、殺意を抱きながら。殺すな、決して自分で手を下すな。結局思いは通じたということか、卒業後、事故で担任は亡くなっている。入学した高校では努力が認められる。一瞬、光が見える。そしてコンビニでのバイト。ここでコンビニ人間が誕生するのかと思いたかった。しかし、このどんくささ、言い訳女。副店長の叱責。優しさをまとった店長からのセクハラ。ここで塾の先生が登場しなかったことだけが救い。ノートに書き殴られた殺意。その意識だけがさらに高まっていく。学校に行かなくなり、バイトにも行かなくなり、とうとう実行に移す日がやってくる。やるな、やめろ、手を下すな、殺すな、、、自分のあばらの浮き出た胸元に手が伸びる。ギンイロノトビラが開かれる音がする。そこには微かな希望の光が見えるのか。そうであってほしいと思う。 どちらの作品も重い、苦しい、ため息しか出ない。初期の作品群はとんでもない設定でないだけに(あり得る設定であるだけに)特に気が重くなる。しかし、小中学校の教員などにはぜひ読んでみてほしいと思う。ところで、カバーに著者の若いころの顔写真が載っているが、いまに比べるとかなり細い。つらかったのか、苦しかったのか、それとも、砂糖の仕業でいまの姿があるのか。
2投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでいるときは主人公たちが強烈だけど、読み終わると周囲からは単に印象の薄い人くらいに見えていたんだろうなと考えた。 普通に見えるから教師が面倒な関わり方をしてきたり恋人が次々に出来たりをするのだろう。 愛菜ちゃんも突表紙なく思えるけど周囲との関わり方を見ると、やっぱり普通の範囲内で可愛らしい人に見えそう。 裏の顔とか内心が怖いなって感じた話。
1投稿日: 2025.10.17
powered by ブクログ今回の村田沙耶香ワールドは、男女ではなく親子 どうしてそうなっちゃうの的な主人公の行動の後ろには歪んだ母親がいて、その歪みを助長したり作ったりする父親 お母さんがアカオさんになる描写が自分のようで恐ろしい 異常殺人犯の心理ってこういうことなのかと理解したくもないのに同情してしまうのが悔しい
1投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『ひかりのあしおと』 誘拐する側の話はあまり読んだことがなかった。蛍があまりにも純粋なので、どうか傷つけないでほしいと願ってしまった。いわば同意のないまま関係が進んでしまったということだと思うので、後に傷になることもあるだろう。 母と娘の関係もあまりに歪なので、読んでいて苦しかった。母に対する不快感をどうしたらいいのかわからなかった。でも現実にこういう親子って存在していると思うのだ。リアルなフィクションでありあまり他人事とも思えない、その点が一番苦しい。 『ギンイロノウタ』 私が化け物だとして、なんて書き出しの小説、苦しいに決まっていた。ひとり静かに狂気に侵食されていく過程を見せられていたのだと思った。 何が起こるのか予想ができず、主人公の衝動と殺意がどうなってしまうのか不安で仕方なかった。生きづらさの域をもうずっと超えていて、救いの手はどこからも差し伸べられないことが絶望でもあった。ある意味では、銀色の扉を自分の体に見つけたことはせめてもの救いであったのか? 何がどうなっているのか、まったくわからないのに読者を引きずりこむのが凄い。
0投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ今まで読んできた著者の作品の中でも癖の強い2作が収録されている。 思春期の未成熟な心と体のバランスにもがく少女たちの葛藤を狂気とも感じ取れるほど繊細に描かれていて怖いのに文字を追わずにはいられなかった。 少女たちが見つけた自身を脅かす正体から安息する術は傍から見ると歪で理解し難い。 しかし、他者からの理解より自身が内に秘めた自身と共存できた時に少女から大人へと変化していくのかも知れないと思った。
0投稿日: 2025.09.17
powered by ブクログお気に入りの銀のステッキを持って、押入れという秘密の場所で遊ぶ。そこは性欲と殺意に満ちた世界。少女のいたいけな遊びではなく、怪物になるための儀式のようだった。いや〜、恐い!ひたすらに狂ってる!
8投稿日: 2025.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
娘を批判しかしない父親と、娘に「愛菜ちゃん」と呼ばれる母親の関係性が誉の人間性に影響を及ぼしていることは間違いないが、本人はそれを小学生の頃の事件のせいだと思っている。(ひかりのあしおと) 誰とも感情を共有できない有里は性で人と関わろうとするが失敗する。性への欲が殺人への欲に変化していく。(ギンイロノウタ)
1投稿日: 2025.08.11
powered by ブクログ村田さんの作品の中で1番自分的には落とし込むのが難しかった作品。特にギンイロノウタの方は、どうして主人公の人間形成がこのようになったのか、探ろうとしたけど難しい。お母さんが二面性を持っていて、お父さんも子供に興味が無さそうだったから、そんな2人の顔を伺って幼少期を過ごしたから、必要なものが逸脱してしまった感はある。救われない主人公だけど、自分の核となる軸は曲げずにずっとずっと忠実にいる。なんだか孤独だった。
1投稿日: 2025.06.18
powered by ブクログ今まで数々読んできた村田沙耶香作品の中でも、突出して内省化が著しい小説。 正直、キツいなと思いながら読み進めた。どこかの海外の不気味な祭祀を遠巻きに眺めるような、拒絶を備えながら恐る恐る触れる感覚をもっていた。 だけど、最後の6〜7ページですべてが翻った。十全な語彙をもってしても決して言語化の叶わない、異質で奇特な感動を得た。 わたしは村田沙耶香の小説が好きだし、彼女がどこかで話していた「小説家とは職業ではなく人間の状態を表す」という言葉も好きだ。でもそれはすなわち、2008年(本作初出)の彼女によって、アンサーのしようのない濁った空白へと放り込まれたことを意味する。今後も村田作品に触れる機会はたくさんあるだろうけれど、そのたびに苦しめられつ慰められつ浸っているこの感覚が思い出されてしまうのかな。
1投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログまさか可愛いって思うことになるとは想像していなかった。「コンビニ人間」「消滅世界」に続いて三冊目。 変態小説… 変態観察をしている感覚… 変態を安全な場所から"覗き見"しているといった感じに近いかな。変態が変態として成長していく課程を垣間見るだけじゃなく、変態の脳の中まで覗くことができてしまい、観察をやめれなくなる中毒性… 何かしらの"毒"を含んでいるんですよね。 「勃起していた私の手のひらは、いつの間にか萎えていた。私は顔をしかめて母の乾いた皮膚を見つめた。裏に汗をびっしょりかいた、生臭い皮膚。宿っていた欲望はすっかりなくなり、母の表皮を蔑む気持ちに変わっていた。」 これが変態の生の表現だ! #ギンイロノウタ #村田沙耶香
1投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ表題作とひかりのあしおとの2作。独特な表現が物語の世界観をより引き立てている。いずれの作品も歪みから歪みが生まれその環境から脱する事ができない…そんな話。考えるのではなく、感じる一冊。
43投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログこの世に同じ感情や興奮なんて1つもないはずなのに、恋とか愛とか言葉が先行してしまっているから、私たちは無意識にそこに当てはまるように軌道修正しているんだろうなと気付かされた。
3投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログ村田さんの作品を読むのは2回目ですが、こちらも気味が悪いほどのリアリティのある表現が巧みで凄く個性的で良かったです。病んでいる感じが自分にも共感できるところがあるので、表現しにくいドロドロしたものも描かれていて流石だと思いました。
3投稿日: 2024.10.18
powered by ブクログ村田沙耶香さんの小説に出てくる登場人物って確かに狂ってるけどなんかほんのちょっとのキッカケでそっち側に転がって行ってしまいそうな感覚が理解できてしまうのが怖い。 特に思春期の自分なんか今思い出すとあの頃の自分て狂ってたなぁって思うもんね。 誰でも抱えてる心の闇とか病的な部分を表現するのが上手いんだと思う。
2投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログあなたは、子供だった頃、親に知られたくない秘密の場所がありましたか? 子供時代は好奇心に満ち溢れた時代です。大人にとっては何のことはないようなことにも敏感に心が反応していく時代でもあります。一方で、それは大人の世界の扉を開く、もしくは大人の世界を覗き見するようなことでもあります。 そんな中では、親に内緒にするという感覚自体に気持ちが昂りもします。両親の『廊下の足音に用心し』ながらも秘密を自分の中で大切にしていく、そんな場面もあるでしょうし、そんな秘密の隠れ家のような場所も愛おしくなってもいくものです。 さてここに、『銀色の扉から「大人の国」へ行けば、闇の中で全ての目玉が一斉にこちらを向くのだ』という思いの先に、押入れの下段を秘密の場所にする一人の少女が主人公となる物語があります。『自分の身体』の変化を意識し、『どこから膨らんでくるのだろうか。乳房だろうか、お尻だろうか』とその日を待ち続ける主人公が描かれるこの作品。そんな先に、『男の人の瞳にむしゃむしゃと食べられる』ことを『待ち遠しい』と感じる主人公の心の内が赤裸々に描かれるこの作品。そしてそれは、「ギンイロノウタ」という書名の奥深さに読者が感じ入る他ない、”村田沙耶香ワールド”の極みを見る物語です。 『その夏の日、私は小学校の二年生でした』と過去を振り返るのは主人公の古島誉。『明日から夏休みで騒がしい学校を終えた』誉は、『駅を出てすぐ目の前の広場に設置された』『「ニュータウン完成予定模型」と札に書かれた長さ二メートルほどの大きな模型』へと近づき『精密な模型を覗き込み』ます。そんな時、『背後から近づいてくるもの』を感じた誉が振り返ると『そこには不可解なものが立っていました』。『巨大な花のつぼみに見え』る『怪人』に『恐怖で後ずさり』する誉。そんな中に『イウコトヲキケ…』、『ススメ。ススメ。ススメ』と音声が流れてきます。そんな時『布越しにワンピースの胸元を摑まれ』た誉は、『怪人』に『強い力』で『見たことのある公園』へ『連れてこられ』ます。そして、『公衆トイレ』の個室へと『押し込まれ』た誉は、『開けて。開けてください』と『擦れた声をだ』すも返答はありません。しゃがみこんだ誉の耳に『ピジイテチンノンヨチイクン』と『不可解な言葉が聞こえてきて』、『とめどなく繰り返され』ます。『祈れ。これは呪文なんだよ。繰り返せ…』と『誰かが急にそう叫び、笑い声がはじけ』、『耳をふさいで目を閉じ』る誉。『どれほどそうしていたの』か、ようやく外が静かになっているのに気づいた誉はドアを開けたものの『子供の笑い声が聞こえたような気がし』、『猛烈に走り出し』、『やっとの思いで家にたどりつき』ました。そして、『誉、どうしたんだ?…』と『呑気な父の声』に迎えられた誉は、一方で『いつもと違う道をお散歩してたら、道に迷ってしまったの』と言う母の姿も目にします。『行っても行っても、知らない道なの。誰もいないし…』と言う母、『おまえのお母さんは、すごく大変な目にあったんだぞ』という父。場面は変わり、『ねえ、先週、この講義出てた?』と『側に座っていた女の子』に訊かれたものの『目もあわせずに鞄から筆箱とノートを取り出』す誉。『さらに何かを言おうと』する女の子を『連れらしい髪の長い女の子』が連れていった後、『あの人、なんか、気持ち悪くない?』という声が聞こえます。『大学というのは不思議なところ』と思う誉は、『少し不気味がられても、それはこの騒がしい空間にすぐに溶けてなくな』ると思います。『小さいころは、「岩」というのが私の渾名』だったという誉は『ふと、横の席に目をや』ると、そこにオレンジ色の服を着た男の子が『腕に顔を半分埋めて、目を閉じて眠ってい』るのに気づきます。急に身体を起こした男の子は『紙袋から取り出したハンバーガーに、身を乗り出して大きくかぶりつ』きます。そして、『ねえ、一年生?次、後期の説明会あるよね』、『おれ、場所がわかんないんだ』と訊かれた誉は『春に入学式をやったところです』と答えます。そんな中に『廻ってきた』『プリント』に誉が名前を記入すると『あれ?それ、おれの名前と似てる』と言う男の子。『なんて読むの?』と訊かれ『… ほまれです。古島誉』と言うと、『読み方も似てる。ほらね』と言う男の子のプリントには『太い字で「芹沢蛍」と』書かれていました。『誉と蛍という名がそれほど似ている気』がしない誉ですが、『男の子は満足そうに』しています。そして、『講堂まで一緒にいく』と『前から友達だったみたいに気軽に尋ね』られるも『…私、行かないですから』と言う誉は、『いそいで携帯を開き』、『今日、説明会さぼります。二時には行けそうです』とメールを打つと『校門の前で待ちなさい。迎えにいく』とすぐに返信がありました。『真面目そうなのに、度胸いいんだなあ。面白いね。ばいばい』と芹沢蛍に言われる中、『荷物をまとめてすぐに教室を飛び出し』た誉。校門には『待った?』と声をかける『隆志さんの車』がありました。『友達を作るのはあれほど下手なくせに、私は恋人を作るのがとても上手』という誉。『ピジイテチンノンヨチイクン』という声が聞こえてくる誉の日常が描かれていきます…という短編〈ひかりのあしおと〉。なんとも難解で不思議な雰囲気感に支配された好編でした。 “少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編”と内容紹介にうたわれる通り、短編二つが収録されたこの作品。表題作の〈ギンイロノウタ〉の方は2009年に第31回野間文芸新人賞を受賞しています。その一方でこの作品は”村田沙耶香さんの作品の中でも一番難解”とも言われる作品でもあります。村田沙耶香さんはやがて「コンビニ人間」で芥川賞を受賞をされますが、芥川賞作家さんの作品には難解と思える作品はつきものです。読書は学校の勉強ではないので無理に難解な作品を選ぶ必要はありません。しかし、それでもそこに見え隠れする独特な世界観に惹かれて私は難解と言われると読みたくなってしまいます。この作品の難解さは、金原ひとみさん「AMEBIC」に似たところもあるようにも思います。それは二編ともに極めて危うい女性が主人公として登場するところでもあります。しかし、金原さんの作品が”らりった”女性であるのに対して、村田さんのこの作品に登場する女性は思春期ならではの危うさを秘める少女という点の違いは大きなものがあります。また、文章表現の不気味さがそんな雰囲気感を演出してもいきます。 まずは、そんな不気味な文章表現を見てみましょう。せっかくですので全編に渡って頻繁に登場する『目玉』という言葉に注目してみましょう。 『父の背の後ろで、目玉を取り出して唾液でぬらしてからまたはめ込んだのではないかと私は思いました。目の周りが乾いているのに、目玉だけが水まみれになっていたからです』。 これは、〈ひかりのあしおと〉の中で主人公の誉の母親・愛菜が登場する場面で使われる表現です。要は涙ぐんでいるという表情を表現しているだけども言えますが、『目玉を取り出して…』といったホラーとしか思えない表現の登場には思わずギョッとさせられます。 『枯れた向日葵は崩れた目玉に見えます』。 こちらは、ある展開の中で誉が芹沢蛍を『庭に設置された古ぼけた物置』へと導く場面で登場します。『枯れた向日葵』を『崩れた目玉』に比喩するという感覚には驚きます。そもそも『崩れた目玉』って何?という疑問がわきもしますが、わざわざ『目玉』を比喩に登場させるのは、『目玉』という表現の畳みかけの意図あってのことと思います。いずれにしても間違いなく不気味です。そしてもう一つは〈ギンイロノウタ〉から抜き出しましょう。『同じ階に住むおばさん』に話しかけられた主人公の有里という場面です。 『身体はこわばり、目玉だけがせわしなく上下左右に動き始めた。重い瞼の肉の隙間を、私の淀んだ黒目は湿った便所の隅で逃げ回っている虫の背中そっくりに這いずり回った。その動きが、相手に靴の裏で踏み潰して動きを止めてしまいたい衝動を与えていると思えば思うほど、目玉の上下は激しくなり、私は気づかれないように可能な限り深く俯いた』。 『住民同士の交流は薄』いという緊張感の中にいる有里を描写したものですが、そんな緊張を『目玉』で表していきます。『玉』をつけずに『目』だけでも良いように思いますが、『目玉』とすることで印象が別物になるのを感じます。これ以外にも『目玉』という表現がこの作品には多数登場します。特に二編めの〈ギンイロノウタ〉ではこの『目玉』が指すもの自体が大きな意味を持ってもいきます。 そんなこの作品は上記した通り極めて難解です。レビューするのも一苦労というところですがそうも言っていられないので頑張って二つの作品をもう少し細かく見てみたいと思います。 まずは、一編目〈ひかりのあしおと〉の冒頭をまとめてみます。 〈ひかりのあしおと〉: 『小学校の二年生』だった時、『怪人』に『公園の隅にある公衆トイレ』の個室へと『押し込まれ』た主人公の誉は『ピジイテチンノンヨチイクン』という『不可解な言葉』を聞きます。大学生になり『あの人、なんか、気持ち悪くない?』と言われるのを聞く誉は『小さいころは、「岩」という』渾名で呼ばれていたことを思い出します。そんな中にオレンジ色が印象的な男の子・芹沢蛍から声をかけられた誉ですが、『友達を作る』のが苦手なこともあり、誘いを振り切って恋人である『隆志さんの車』に乗り込みます。『私は恋人を作るのがとても上手』と認識する誉。『それじゃあ、シートを倒すよ』と言われ『二人力をあわせて白濁液を出すのが私達に課せられている義務』と行為を進める誉…。 まず一編目の〈ひかりのあしおと〉では、主人公で女子大生である古島誉の日常が描かれていきます。そこには、『小さいころは、「岩」という』渾名で呼ばれ、大学生の今も居場所なく閉塞感の中で生きる誉の姿が浮かびあがります。一方でそんな誉は『レンアイ』をする中に違う姿も見せます。 『私のような、いつも閉じて押し黙っている人間が少しでも気を許すということは、それだけでほとんどボタンを外してしまっているのと同じ意味を持つのです』。 そこに描かれるのはまるで壊れたかのような姿を見せる性描写の場面です。教室で芹沢蛍に見せた姿からは思えないような姿を隆志の前で見せる誉。一方で『恋愛』でなく『レンアイ』と表現されるそれは、 『どのみち、光への恐怖が増してくると同時にいつもレンアイは終わるのです。少し早まったところで、レンアイが使い捨ての救命道具であることに変わりはありません』。 そのような現実も見せます。女子大生としての描写がリアルな側面を見せることもあって、逆に半端ない閉塞感が伝わってもきます。そんな中に壊れていく誉の姿が痛々しく描かれていくこの短編。上記した『目玉』の表現など不気味さがそんな彼女の見るもの、聞くもの、感じるものを描いてもいく物語は表題作〈ギンイロノウタ〉よりもリアリティがある分、強く響いてくるものがありました。 次に、二編目〈ギンイロノウタ〉も同様に見ていきましょう。 〈ギンイロノウタ〉: 『あら、有里ちゃん、ママとお買い物?いいわねえ』と『同じ階に住むおばさん』に話しかけられ『顔を伏せ』るのは主人公の土屋有里。『本当に、有里ちゃんは大人しい子ね』と続けるおばさんに『そうなんですよ、陰気な子で…』と返す母親。家に入り『魔法使いパールちゃん』というアニメを見る有里は『鏡さん、鏡さん、このステッキと同じ色の、魔法の扉になあれ』と『ステッキを振』る『パールちゃん』のことを凝視する有里。『テレビが終わ』り『子供部屋へ戻った』有里は『色鉛筆のケース』から『一本の銀色の棒を取り出し』ます。『あのう。このステッキと同じ色の扉になってください』と『真剣に襖に話しかけ』ますが変化はありません。そんな有里は押入れへと入り『ステッキ』を振ると、そこに『銀色の光沢』が…。 二編目の表題作〈ギンイロノウタ〉では、『魔法』という言葉が登場します。村田紗耶香さんというと、「魔法少女ミラクリーナ」をはじめ「地球星人」でも『魔法』という世界観が登場します。まさに村田さんは『魔法』と相性抜群という気がしますが、この作品ではテレビアニメに影響を受けた主人公の有里が『魔法使いパールちゃん』の真似をする先に物語が展開していきます。と、そのように書くと明るい、夢のあるような印象も受けますが、実際は真逆です。一作目同様に内へ内へとひたすらに籠り孤独の先に突き進んでいくかのような主人公の姿が描かれていきます。そのきっかけこそが次の言葉にあるものです。 『私は、強烈な磁力で一瞬のうちに大量の男性を吸い寄せたパールちゃんを、初めて憎らしく思った』。 この引用では意味不明かもしれませんが、この場面はアニメの中で『パールちゃん』の服が脱げてしまい、そこに男性の視線が集中する様子を描いています。子供の純真さがあるが故にさまざまな情景を冷静にみてしまう感情がそこにありますが、上記引用のような感覚を描く村田さんの鋭さが光ります。そして、物語はその先に大きく展開していきます。 『私は涎を垂らして見つめられる、完成された食べ物になる。それを食べるのは男の人の見開かれた瞳で、私は瞬きで何度も咀嚼されながら、男の人の瞳にむしゃむしゃと食べられる。私はその日が待ち遠しい』。 物語は少しずつ大人になっていく有里の姿が描かれていきます。そして、 『自分があの目玉の部屋でしていることが「じい」であることもこれらの本で知った』。 そこには、書名の〈ギンイロノウタ〉にも繋がる描写がなされていきます。そこに象徴的に登場する『目玉』のインパクトが物語を不気味に、一方で強い意味を持ってもきます。そんな中に物語は限りなく重々しさを増していきます。この世はこれほどまでに生きづらいものなのか、この世を生きるには生きづらさとの葛藤を超えていく他ないのか。壮絶としか言いようのない物語展開は読むものを一瞬たりとも活字から話すことを許さないレベルの密度感で読者に迫ってきます。そう、そこには思春期の苦しみを生きる一人の少女、孤独の中に彷徨いながらも光を求め続けもする一人の少女の生きることへの葛藤が、ひりつく様な感覚の中に描かれていました。 『暗闇は私の身体に魔法をかけてくれる。この中では、自分の未熟さを忘れて大人の肉体になることができた』。 『自慰を繰り返すたびに身体の中に現れる銀色の星屑』に強い思いを抱く主人公の有里が大人になっていく中でもがき苦しむ様を描く表題作〈ギンイロノウタ〉と、幼き頃に『公園の隅にある公衆トイレ』で聞こえた『ピジイテチンノンヨチイクン』という言葉のことを思う主人公の誉の大学生の日常を描く〈ひかりのあしおと〉の二編が収録されたこの作品。そこには、村田紗耶香さんならではの振り切った描写の連続に、10代の脆い青春を生きる二人の少女の心の叫びが赤裸々に描かれていました。不気味な表現の数々に独特な雰囲気感が形作られるこの作品。『性』の描写が重々しさをもって迫ってくるこの作品。 読み終わった後もどっしりと何かに押さえつけられるような感覚がいつまでも尾を引く素晴らしい作品でした。
229投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログ引っ込み思案で友達ともうまく行かない有里。中学では友達のリーダー格に嫌われ、一人でいるところに、空回りする教師に目をつけられ、毎日スピーチをさせられることに。そんなとき、自分を持てるのが、幼稚園のときにいとこに買ってもらった銀色の携帯指し棒と、押し入れの中に貼り付けた男の目玉の写真…。 『コンビニ人間』の印象で読んでしまう村田沙耶香だが、本作に含まれる2本とも漠然とした恐怖と性をテーマにした作品だ。 1本目の『ひかりのあしおと』は光が怖い少女が恐怖から逃げるために性に逃げ込む。話はわかるがちょっと収束点がわからないところが有ったが、やはり表題作の閉塞感から、銀色の扉を探すために話が危ない方向に"駆け上がっていく"感覚で苦しくなっていくところが醍醐味だ。 『コンビニ人間』のままならない押し流されていくが起伏の少ない感じではなく、思ったようにいかないために前にも後ろにも進めない状況を暴力的に壊そうとするアグレッシブな2本。好き嫌いが分かれそうな作品では有る。
3投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村田沙耶香さんの他作品「地球星人」と似た雰囲気のある表題作。 主人公の置かれている環境や周囲の人の感じが、「うわあこういう人いるよね」「これ辛いな...」と思うようなことばかりで主人公に感情移入できる場面も多い前半ですが、そんな主人公が後半に行くにつれて徐々に常軌を逸していく様子はとてもハラハラした。 最後のステッキの場面は表現が美しくて感動した。
1投稿日: 2023.05.15
powered by ブクログ不器用な者や自分の感情や目の前の出来事に 上手く折り合いをつけられなくては、どんどんと 深みにハマっていくしかないのだろうか。 それかあえて気付かないふりをしている人が多いのか分からないが、それでも自分の行き所を 模索している姿に惹かれる部分もあるのではなかろうか。
3投稿日: 2023.04.21
powered by ブクログ衝撃。 土壌によって、常識も倫理観も全く異なって成熟する。 この本の主人公たちの常識も、実際成り立ち得るだろう。 解像度の高さがすごい。
1投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログ少しずつ滲み出し現実となっていく少女の狂気。 その狂気を醸成していった学校や家、バイト先での日常の出来事の一つ一つが身に覚えのあるものがあり、心が苦しかった。 銀色の扉を開いた彼女はどこに行ってしまったのだろうか。
2投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログ『星が吸う水』以来の村田沙耶香san。 少女の顔をした、化け物が目覚める。私となんの関係もないあなたを、私は殺したい-。 1話目「ひかりのあしおと」は、小学二年生の誉(ほまれ)が<ピンク色の怪人>にトイレに閉じ込められるシーンから始まり、<レンアイ>を経て、呪文と光に苦しめられながら大学生となっていく物語。冒頭から「私」が敬語で語り出す距離感、大学の教室で蛍から声を掛けられた時に、「不意に、とてもきれいな発音の日本語が私に放たれました。」という表現が素敵でした。 2話目は表題作「ギンイロノウタ」。「私が”化け物”だとして、それはある日突然そうなったのか~」から始まる恐ろしさ。主人公の少女・友里(ゆり)が病院で生まれるシーンから始まり、常に夫の顔色を窺い態度を変える母親(お母さんとアカオさん)、魔法のステッキ、押し入れの世界等。後半で日記が具体的になって来て、ナイフを持ち、外に出たところはハラハラしながら読みました。 誉と友里の魂の叫びと祈りが、外の世界に届きますように。 【第31回野間文芸新人賞】
1投稿日: 2023.03.21
powered by ブクログ人の内部ってこんなに複雑なんだと(他人事みたいだけど)思った。 たった一瞬の取るに足りない動きを3行もかけてじっくりゆっくり描写する感じがたまらなく好き 本読んでるって感じがする 気味が悪いけど惹きつけられる、 なんかすごい恥ずかしい気持ちになる本でした
1投稿日: 2023.03.11
powered by ブクログひかりのあしおと の方が個人的に好きだったなー 村田沙耶香の本で殺人衝動に駆られる主人公の話はあまり読んだことがなかったけど、これは2話ともそうだったから新鮮だった。 読みすすめるのが怖いくらい何が起こるか分からなくて面白かった! ギンイロノウタの最後は、どういうことなんだろう?結局、他人ではなくステッキの中に己の衝動があったということ? 有里の自分を誤魔化したり言い訳したりする描写がめっっっちゃリアルで見ててキツかった笑
2投稿日: 2023.03.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村田さんの作品は「生きづらさ」という日々のもやもやを的確に言語化してくれる気がします。結末は突飛に感じることもありますが、そこに至るまでの経緯や登場人物たちの感情・言動には共感できることも多いです。 「ギンイロノウタ」でうわぁ分かる…!となったのが、花いちもんめのシーン。 「私の体は強ばっていた。この遊びで私は、いつも最後の方まで残ってしまうからだ。人気のある女の子は何度も名前を呼ばれ、いったりきたりの取り合いになっていた。(略)私はいつまでも名前を呼ばれないまま、細い声で歌いながら前後に動いていた。」 何て緻密に文章化するんだろうと思いました。 他にも「失敗してはいけないと思えば思うほど失敗してしまう」描写がリアルでした。スプーン目玉焼き新聞のチラシ3連続は読んでいて辛かったです。その他、大人の名前尽くしで迫られるシーンや修学旅行の写真等、解像度が非常に高い。 幼少期や学生時代の苦い思い出の一方、学校の先輩との性行為のシーンはちょっと笑ってしまいましたが。 多分結構前の作品なのかな?魔法少女やコンビニでのアルバイト等、後々の作品にも繋がりそうなコンセプトも入っていて興味深かったです。
3投稿日: 2023.02.12
powered by ブクログ中編2作品収録 2作品とも著者の独特の世界を感じさせる内容でした 主人公はいずれも女性 ひとことで言ってきもこわ系な感じでしょうか 他にない世界観が好きです
9投稿日: 2023.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
歪な家庭環境で育てられた主人公がその呪縛から逃れるために、いろいろともがく話。短編が二編収められているが、状況設定はとてもよく似ていると感じた。ただ解釈が様々になるように描写されていることも多く、私の読み取り不足によるところもあるかもしれない。 似ている点としては、主人公は両方とも親から何かを押し付けられるというところが挙げられ、「ひかりのあしおと」では、大人っぽくあることを、「ギンイロノウタ」では臆病であることを押し付けられて、そのせいで孤独を強いられていた。 大きな違いとして「ひかりのあしおと」では、主人公は自分の家庭や自身についての異常性を認識しており、それ故に普通になることを目指していたり、敢えて親と同じような状況になるようにしたりと親が求めることに反抗しようとしていた。一方、「ギンイロノウタ」では、主人公はずっと自分を守ることに一生懸命で、主人公を守ってくれるものが成長とともにステッキ、ノート、扉、ナイフという風に変化していっているだけだった。その結果、結末や話の向かう先に変化があったのがとても興味深かった。 個人的には「ギンイロノウタ」の方が「ひかりのあしおと」より複雑でかつ表現も真に迫っていて好みだった。また、「ギンイロノウタ」でステッキをなくしてノートになった後、また自分の中に銀色の魔法を見付けるという流れも人は変わらないことを示しているようで好きだった。
6投稿日: 2023.01.13
powered by ブクログ母親を表しているとは思えない気味の物体を観察するような表現の気持ち悪さがすき この作品に限らずまたぶっとんでいて電車内で小さな子どもの横でこの本を読んでいることに後ろめたさを感じるほどの あとがきにも書いてあったけど、もう自分の中ではとっくに終わったはずで記憶からなくしていた小さな傷を掘り返されるような ホラーかも
1投稿日: 2022.12.15
powered by ブクログ「ひかりのあしおと」 女子大生の「私」の家族は、少女の様な純真さと幼女の様な不確実さを持ち合わせる母親と、その母を溺愛し慈しむ父親。母親の狂気の純真さ(最近あみ子でもこのフレーズ使ったかも)から逃げられない。 彼女は恋人達に依存していくが、徐々に殺意と狂気に支配される。 「ギンイロノウタ」 少女の家族は、愛を感じない厳しい父親と、それに従う母親。従順な妻から、少女曰く“アカオさん”にめくり上がる様に変貌する事がある。少女のその鬱積から逃避する手段としてのセクシャルな感覚と行動。早く大人の女性になりたいという願望。そこに自由を夢見る。 少女達が成長過程で受けた家庭の違和感の蓄積が、自身の破壊願望へと導いていく。どちらも、母親の描写が許せないほど、気持ち悪い。それは誇張された自分でもあるかもしれないから許せないのよっ。 何書いてんのか、もう、わからないわ。村田さんの作品は、思考機能を低下させるのだと思う。
41投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログ表題作+1の2編。2007年発表の「ひかりのあしおと」は、「地球星人」へ繋がるプロトタイプに感じた。野間文芸新人賞受賞の「ギンイロノウタ」も「コンビニ人間」とそれ以降へ続いていく重要なステップだったと思う。発表順に作品を読まなかったことを後悔してしまうほど、作家の遂げた進化が凄まじい。
4投稿日: 2022.10.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「ひかりのあしおと」「ギンイロノウタ」の2作品とも、主人公視点での淡々とした語り口が特徴的で、何が正常で何が異常・狂気なのかと不思議な気持ちになった。 「ギンイロノウタ」後半は物語がどんどん救いようのない方向に進んでいくが、つらいと思いながらも引き込まれて一気に読んでしまった。 巻末の藤田香織さんの解説に "怖い。でも知りたい。怖い。だけど見たい。抗いきれないのは作者の中に住む「狂気」が、ともすれば自分のなかにあるかもしれない、と思わされるからです。" とあるが、私の覚えた感想もまさにその通りだった。 「ギンイロノウタ」について言えば、「家族や教師との不和などの問題が主人公の感性を歪ませた」というだけの話ではなく、子供向けアニメ、第二次性徴といった一般的に無害なものや誰にでもある経験が全て衝撃的な展開に繋がっていくところに引き込まれたのであった。 正直なところ「ギンイロノウタ」のインパクトが強すぎて、先に読んだ「ひかりのあしおと」が平和な話だったかのように記憶が書き換えられているため、落ち着いたら単独で再読したい。
3投稿日: 2022.09.24
powered by ブクログ「ひかりのあしおと」の娘に嫉妬する母親の醜態が印象的だった。 娘の成長を無邪気さを装って阻む様子がとても陰湿で不気味だった。
2投稿日: 2022.09.09
powered by ブクログ両方親との関係性の歪さがメイン?というか、まぁ重要なファクターだった感じ ひかりのあしあとは、女性ならではの性欲と自己欲求欲の扱い方?みたいなのが垣間見えると同時に、それを使った女性のヒステリー?母親も含む、の描写って感じがして、噛み砕くのが難しいけど男の子君はすごく良いやつだな…と思ってもうた ギンイロノウタも性欲?何かの欲に対しての向き合い方ってことかな お米を蒸した虫の卵みたいな例え、すごく気持ち悪いけど腑に落ちて良かった 自分の身体を武器にしかこの世を渡れないという気付きがもう幼稚園から芽生えてしまっているという異常さが良かった 最後はステッキと再会してどうなってしまったんや? 自殺??ずっと絶望してて人を開けないと解決しないと思うまで思い詰められてるのが悲しかった 魔法少女とか幼少期のおもちゃを重要なプロップとして物語を進めるパターンが多いが、毎回違うアプローチで好き またか、ではなくオナジミとして楽しめるから毎回感嘆してます
2投稿日: 2022.07.06
powered by ブクログ2作品はどちらも未完成感はあるものの、やはり村田沙耶香は面白い。 ギンイロノウタは最後はちょっとついていけなくなったが、性欲の描き方がリアルに感じた。
1投稿日: 2022.06.19
powered by ブクログひかりのあしあと この作品を読んで思った言葉、それは「気持ち悪い」。 母親と娘を批判しかしない父親と、娘に「愛菜ちゃん」と呼ばれる母親の関係性が誉の人間性に影響を及ぼしていることは間違いないが、本人はそれを小学生の頃の事件のせいだと思っている。 気付いたら斧を持って好きな男の子を脅迫しているあたりもサイコパスだと感じた。 ギンイロノウタ ひかりのあしあと同様、この小説にもサイコパスを感じた。「このまま土屋先生を殺してしまうんだろうな」と思っていたがそのような展開でなかったあたりも物語に引き寄せられた。
2投稿日: 2022.05.31
powered by ブクログ二つの作品とも生きづらい環境、世界の中でどうにかしてもがいている様子が描かれている。 人間の内側の狂気的な部分がありありと描かれていて、恐ろしい。
1投稿日: 2022.05.18
powered by ブクログここまで怖いと思った作品はありませんでした。 ホラー的な怖さではなくて、人間の狂気の部分が ここまで、生々しく描かれていることに恐怖を感じる自分もいれば、どこか、自分と重なる所もあるなと感じました。「コンビニ人間」にも通ずる部分も あると感じました。藤田香織さんの解説も素晴らしかったです。
18投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログやっぱり村田沙耶香、良すぎる…… まず「ひかりのあしあと」。 ピジイテチンノンヨチイクン。ピジイテチンノンヨチイクン。 奇妙で生々しくて、でもどこかすっと入ってくる夢の中に引き込まれているような心地良いグロテスクな彼女の世界観が、本当に好きだ。 社会に溶け込めない少女とその少女に関わるオレンジ色の少年の眩しくも同じく世界に溶け込まない異端さが歯車を動かしていく。 狂わされていく彼女の理性と狂気的なクライマックスは村田沙耶香さながらの世界観。 ラストで落ち着いたものの最後まで奇妙な世界観を残したまま夢から覚めさせられることなく、夢の中で完結するような心地良さでした。 ですます口調なのも良かった。 「ギンイロノウタ」。 ラストでの狂気じみた村田沙耶香ワールドのスピード感全開と言った感じ。 臓器の描写がどんどんリアルに生々しく描かれていく。 村田沙耶香の作品の特徴として主人公と親の関係性が大体奇妙であるのが特徴的だがこの本においてもどちらの話も奇妙だった。 ひかりのあしあとは過保護で不安定で自立のして無さに気持ち悪ささえ感じられる母親像、ギンイロノウタは過剰に主人公を無意識に蔑み萎縮させてしまう母親像だった。 どちらの話も家族との関係性、社会との不適合性、独特の性表現、グロテスクな描写、これらの村田沙耶香の作品の特徴がよく滲み出た作品だった。
1投稿日: 2022.01.24
powered by ブクログ鬱屈した狂気、毒親、歪んだ性...。この世界観にどっぷりと飲み込まれ圧倒される。生きづらさを抱える人たちがいることは想像できるのが、周囲にはいないと思っている時点で、無意識に目を背けているだけなのだろう。でも見てみたい衝動を満たしてくれる一冊。
7投稿日: 2021.12.21
powered by ブクログ表現が凄い…!世界観がすごい…! 友達のオススメで読みました! 主人公の女の子の語りで物語が進むから、主人公の狂気な思考や行動が目の前で起こっているような気がして、背中がゾクゾクするような作品だった。 もちろん面白いって思う人は面白いのかもしれないけど、ファンタジーで明るいハッピーエンドが好きな私にはちょっと重かったかも(?) びっくりな事に、お話で出てきた呪文が、私の夢でも出てきて久々に怖い思いをした(;_;)
2投稿日: 2021.09.23
powered by ブクログ村田さんの異様な世界観が詰まっていました。 ただただ眺めることしかできなくて、圧倒されました。 この人の頭の中はどうなってるんだ…って思わされます。
2投稿日: 2021.09.16
powered by ブクログ워낙 무라타 사야카를 좋아하는 사람으로서 이번 작품도 높은 기대감을 갖고 보게 되었다. 책 표지와 같은 밝고 유쾌한 내용을 상상했지만 정확히 정반대의 이야기들을 보여주었다. 책은 옴니버스 형식으로 2개의 중편 소설로 이루어져 있다. 두가지 소설의 공통점은 특이한 가정환경이 미성숙한 소녀에게 미치는 영향을 보여 준다. ひかりのあしおと(빛의 발소리)는 순한맛이라면 ギンイロノウタ(은색의 노래)는 매운맛이랄까.. 또 다른 관점에서는 어렸을적 겪었던 누구나의 미세한 떨림 같은 변화나 행동들이 증폭되어 큰 파동의 형태로 변화된 것 같은 소설일 수도 있겠다.
2投稿日: 2021.07.31
powered by ブクログ人間の心の闇を感じた。家庭環境が隠れたテーマになっているのかな。有里ちゃんの家庭は、特に心に刺さるものがあった。大人は素性を隠しているつもりなんだろうけど、子供はお世辞とか諸々感じ取ってしまうんだよね。お母さんがアカオさんに変わる時の怖さは想像するだけでも恐ろしいし、ストレス。この環境を変えられず、主人公の内面だけが変化していく様子は凄くリアリティがあって心が揺さぶられた。
1投稿日: 2021.07.20
powered by ブクログ少女である私は、女性であることの気持ち悪さと大人の女性への嫌悪感と憧れに共感した。薄っぺらい不安定な自己肯定感が常に付き纏う。
1投稿日: 2021.06.07
powered by ブクログ極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは…。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
1投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログ◯ひかりのあしおと 愛菜ちゃんははたからみてかわいらしい女性で、娘を持つ母親としての部分より自分の人生を持つ人である部分のほうが多いようです。 私は母親が私の学費を稼ぐために働いてくれたり、ごはんを作ってくれるのがありがたい反面、完全に母親であろうとする母親の趣味を持たないことや友達を作らないことに窮屈さを感じています。なので、愛菜ちゃんについて読んでいると微笑ましく、こんな風になりたいとさえ思いました。お父さんも優しいので。けれど、この物語の主人公視点から観ればこの母親像も辛いのかもしれないと気付きました。初めは憧れの姿であった愛菜ちゃんが、後半車内のシーンにはうとましくもっと色んなことを知ってくれとさえ感じました。 ◯ギンイロノウタ 最初の方はまたクセがある主人公なんだなあと呑気に読んでいましたが、読み進めるたび辛くなってきました。先輩の家でのシーンは、私が女であるからなのか痛々しく感じましたし、日記をつけるあたりからはもうやめてくれ、と最悪の結末を頭の隅におきながら読んでいました。 正直私にはラストのくだりがどういう意味なのかなどわからなかったのですが、タダイマトビラと似た感覚になりました。
1投稿日: 2020.11.10
powered by ブクログ主人公たちの内面がおかしいのは期待通りだったのだが求めていた狂気は今ひとつだった。やってることは完全におかしいんだがそこに至るまでが普通というか… きっと今回の話は周りにおかしい人が少ないからだと思う。もっとトチ狂った世界観が読みたい
1投稿日: 2020.09.20
powered by ブクログ『コンビニ人間』で村田沙耶香に魅せられたのをきっかけに手に取ってみたが、あまりに生々しくてびっくりした。 極めつけが、藤田香織さんによる解説だ。「常に微笑みをたやさず、しかもそれが『仮面』とは思えない。穏やかで華奢で嫌味がない」 そんな彼女が、こんな仰々しい物語を紡ぐのがもっとも恐ろしい。 おとなしく、口下手な少女のなかに潜む殺意と、異性への強烈な憧れ。少女が抱く紙切れのように薄い自己肯定感に触れるたびにこちらまで情けなく惨めでちっぽけな気持ちになってしまう。自分の幼少期の記憶を細長い棒でほじくられていく。ページを捲る指が重い。それでも読むことをやめられない。 コンビニ人間もそうだけど、村田沙耶香の小説に出てくる主人公はどこか歪んでいて、でも人間らしくてゾッとする。どうしてまわりと同じように振舞わなければいけないんだろうとか、どうして人を殺しちゃいけないんだろうとか。日常に溶け込んで「普通」に陳列している疑問をこじ開ける。 痛いなぁ。
3投稿日: 2020.05.20
powered by ブクログ「ひかりのあしおと」 おもしろい表現がところどころにあり、主人公の独特な価値観に引き込まれる。主人公の誉は、光に恐怖を感じ、恋愛に救いを求める。が、男は誰もトラウマからは救ってくれない。そんな中、出会った蛍という男の子。蛍と一緒にいれば光を怖がることはない。…だからといって、蛍がいればトラウマ解消でめでたしなんて話ではない。恐れるものが無くなった怖いもの知らずの人間は暴挙に出る。最終的には救いのある描写にはなるんだけど、蛍が良い子すぎるだけにラストは切ない。もうちょっとどうにかならなかったのだろうか、と思ってしまった。ちょっと難解だった。それしても、あんな母親がいたら、ほんとに困る(笑) 「ギンイロノウタ」 良い主婦に見られることだけに必死な母、家庭に無関心でいばりちらす父、内気すぎる主人公・有里。 有里は内気すぎて、やることなすこと遅くて失敗ばかりで周りを苛立たせる。 テレビアニメで裸の女が男の視線を集めたことに衝撃を受け、早く自分も大人の体になりたいと願うが、その夢も叶わず。うまく周りに馴染めず、しまいには殺害衝動をなんとか堪えて日々を過ごすことに…。 いったいどんな悲惨な展開になるのかと途中、ハラハラしたけど、たまにいてる殺害理由が理解不能な殺人犯はこんな感じなんだろうか。こうしてちゃんと物語にしてくれると理解できる。最後には道が開けたようでしたが、こちらも難解。これから大人になったら仕事も恋愛も、もう少し自分の殻を破ってがんばってね、と思ってしまった。赤津じゃないけど(笑) 2作とも、主人公から見た世界が延々と綴られている中、客観的な視点、第三者からの世界の見方が時々挿入されることで、主人公がいかに閉じられた世界で生きているのかがわかる。でも10代の時ってひとりよがりな世界で生きてるもんじゃなかろうか。だから、凄まじい内容ではあるけど、共感も出来てしまう。
2投稿日: 2020.04.05
powered by ブクログ熱気が今にも破裂して、私をずぶ濡れにしてしまいそうです。 そこが陽だまりかと錯覚する様な、机の上に平たく広がっているオレンジ色が、人の背中だと気づいて、私は少し驚きました。 比喩の使い方、捉え方がとてもすき。 狂気を孕む女の子の中身。 共感することは到底できないけれど、不思議と彼女たちの世界に取り込まれていった気がした。 考えれば考えるほど、脳は頭蓋骨から少しずつ体の内へと溶け出していき、その中を漂いながら、ぼやけた視界で必死に宙に手を彷徨わせる。 、、、銀色の扉の先には何があるの?
1投稿日: 2020.03.06
powered by ブクログ「ギンイロノウタ」 村田沙耶香(著) 2014 1/1発行 (株)新潮文庫 2019 3/5 第4刷 2020 1/17 読了 村田沙耶香強化月間と称して (名目上はラジオに向けた準備) 読み進めて来たものの 怖いもの見たさも此処に極まれり。 善意も悪意も紙一重となって 無防備な彼女たちはただ傷付き怯え 日々戦っているのですねー。 到底共感出来はしないはずなのに 「がんばれ!がんばれ!」と応援したりもしているおじさん(ぼく)でした。 この文庫の解説を書かれた藤田香織さんの書評は素晴らしいです。
3投稿日: 2020.01.17
powered by ブクログ村田沙耶香氏の『授乳』『マウス』と続く3作目の中長編小説。本書『ギンイロノウタ』で村田沙耶香氏は2009年、野間文芸新人賞を受賞している。 本書は『ひかりのあしおと』『ギンイロノウタ』といずれも思春期特有の不安定な少女の心情を綴った珠玉の中編作品2篇で構成されている。 僕は『コンビニ人間』『消滅世界』で村田沙耶香の虜になり、そして処女作『授乳』から時系列順に本書まで読みすすめてきた。 村田沙耶香作品の割には読みやすかった前作『マウス』とは打って変わって、本書はまさに「クレイジー沙耶香」節が炸裂している2篇が収録されている。 僕にとって本作は5作目の村田沙耶香作品となり、だいぶ「クレイジー沙耶香」への耐性が付いてきたので、この作品にも何とか、かろうじてついていくことができるようになったのだが、全く村田沙耶香について知識のない読者がいきなりこの『ギンイロノウタ』を読んだら、普通に 「・・・この作者、頭おかしいね・・・」 と一言で終わらせてしまうくらい本書は狂気に満ちている。 そういう意味においては、本作品はかなり『難易度の高い』村田沙耶香作品であることは間違い無い。 この二つの物語のあらすじだが、 一作目の『ひかりのあしおと』は、小学生のころに女子トイレに閉じ込められた経験がトラウマとなり、周囲の人たちと馴染めずに自らの価値観で生きている女子大生・誉とその前に現れた同じ大学に通う男子大学生の蛍との奇妙な交流を描いている。 二作目の『ギンイロノウタ』は、幼稚園児の頃に手に入れた金属製の指示棒(学校の先生が授業などで使う伸縮するアンテナみないなヤツね)を魔法少女が使うステッキに見立てて、中学生になってもそれを大事にしている有里。そんな彼女が中学生の担任の先生を殺すことに興味を持ち始めるまでの狂気の過程を描いている。 という感じだ。 どちら小説も『若者のさわやかさ』や『若者の特有のはち切れるような元気さ』とは全くかけ離れた、思春期の少女の狂気の内面をドロドロと、そしてデロデロと、はっきり言ってビチョビチョと描く、あまりにも気持ち悪い作品である。 村田沙耶香作品の特徴でもあるのだが、この作品でも女性の『性』の部分が極めて異質かつ特異に描かれている。もう僕たち男にはちょっと理解できない範疇にまで達している。 ここまで描写されると「男性だから興奮するだろう」とか「女性の内面を見れて嬉しいでしょう」とか・・・・・・はっきり言って全くない。できれば知りたくなかったという気持ちの方が強いかもしれない。 特に表題作の『ギンイロノウタ』の主人公・有里が「初潮」を心待ちにし「初潮」を迎えることによって、少女を脱却し「大人の女」になることをごく当たり前に期待しているのだが、それが自分の期待通りでなかった時の彼女の落胆を描いている描写は、僕たち男にはちょっと想像が出来ない女性心理である。 そして『娘と母親』との関係のいびつさが描かれるのも村田沙耶香作品の特徴である。 一作目の『ひかりのあしおと』で描かれる主人公の誉とその母親「愛菜ちゃん」の関係は典型的であろう。 娘からも夫からも『愛菜ちゃん』と呼ばれる母親。 この『愛菜ちゃん』を形容する言葉はもはや「可愛い」という言葉しかなく、この『愛菜ちゃん』に勝てる可愛らしさを持ったものといえば、ふわふわの毛皮をまとった小動物くらいしか見当たらないというその異常性。 誉が「初潮」を迎えたとき、母親の『愛菜ちゃん』が娘に向かって「誉ちゃんは大人になったんだね~。私はまだなんだ~」というセリフが当然のことのように思えてしまうくらいの存在である母親。あまりにも倒錯的な世界である。 村田沙耶香作品を読んでいると、もはや同じ人間の営みを見ているというよりも、読者である自分たちが、まるで異星人か地底人かなにかで「地球に住んでいるという『人間』と名付けられた生物」の生態を高性能カメラで撮影したドキュメンタリー作品を見せられているような気分になるのである。 では・・・、毎度同じことを自分に問うのだが、 じゃあ、村田沙耶香作品は嫌いなのか? と問われれば、 ・・・嫌いじゃない。むしろ大好きである と自信を持って答えられる。 それほど、村田沙耶香作品の魅力はある特定の人間の心をドラッグのように蝕んでいくのだ。 そう、まさに当てはまる言葉は『中毒』だ。 この美しい村田沙耶香の文章によって紡ぎ出される、この異常な世界。 この倒錯した世界観に丸ごと取り込まれる、この快感・・・。 ・・・・・・そして僕はもう後戻りのできないところまで進んでしまったに違いないのである。
19投稿日: 2019.10.17
powered by ブクログ2018年度最後の読了。それがこれ(笑)2編の中編作品は、どちらも女の子の性を扱っている。赤裸々、異常という形容は、著者には通用しない。何が「普通」なのか? フツウとは何なのかが徹底的に読者に問われているようだ。もしかしたら私小説なのかも知れない……と思ったが、書評家・藤田香織さんの解説を読む限りはそうではないらしい。
1投稿日: 2019.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中編2作。どちらも凄まじい。 「ひかりのあしおと」 怪人に襲われ呪文を唱えろと脅されたのがトラウマになり、すでに決定的に歪んでしまった大学生。 とはいえすべてがその経験に拠るかといえば疑問。 むしろ性を無化しようとする母と、その少女性を賛美する父および周囲の雰囲気、への抵抗感が語り手の性を一種独特なものに変えてしまったのではないか。 細部の小道具が印象深い。天井の蛍光灯の多さ。向日葵の種。食パン。四肢と頭が切断された蜥蜴。溶けていくアイスクリーム。 「ギンイロノウタ」 こちらはもっと直接的。性と、殺人衝動。 「皮膚の一部が銀色に光っている。あの銀色の扉だと気づく。隙間にナイフをいれると、虹色の部屋が」 「女の人や小さな男の子が無防備に見えてくる。あの皮膚に、扉があるかどうか調べたい。自分の手が勃起している」 そう、殺したい、ではない、扉を開きたいのだ。 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」のハシや、柳美里「ゴールドラッシュ」を思い出す。 これは凄まじいものを読んでしまったぞ。
1投稿日: 2019.03.15
powered by ブクログぼくは全く評価しない。 読んでいると苦しいとか、Mである私に出会う、だとか。感想として誰かが言うであろうという言葉が、すぐに浮かんでくる。 商品として売られる書籍になった段階で、「読むべきもの」という衣装をまとってしまうのが作品というものなので、読者は本になっている「小説」として読むだろう。しかい、同人雑誌に掲載されているとして、これを「いいね!」といえるかどうか? この作品を商品として成り立つとと考えた編集者は、商売人としては有能かもしれない。でもこれって、小説なんですかねえ。
1投稿日: 2019.03.09
powered by ブクログまたもや病んでる少女の話が二つ。『授乳』に続いて読んだが、テーマは同じ方向か。ただ、『授乳』の時よりももっと言葉が大きな塊となって感情に直接訴えてくるような感じがする。 自分の中の狂気をコントロールできるようになる事が大人になるという事なのかな?その狂気に多少なりとも心当たりがある人は、この小説の投げかけに対して、好きとか嫌いではない「無視できない」感情をもってしまうんだろう。 ユング心理学でいう強い自我による自己の抑圧(だっけ?)に悩む少女が自分と向き合えるようになる過程を描いたものとも取れるのかな?ただその表現方法は独特で何とも言えない読後感の悪さも…そこが村田沙耶香ワールド!かなり癖になってきてます。
4投稿日: 2019.01.07
powered by ブクログこわい。でも読みたくてたまらなくなる。心地よいわけではないのに読み進めたくなる。そんなに面白いのかと問われると、面白いのかわからない。
4投稿日: 2018.12.12
powered by ブクログこれまでに読んだこの方の作品と比較すると表現が鮮明でない印象です。 生々しい、グロテスクな表現とぶっ飛んだ世界観が好きだったので、 表現がボヤケテいる点は私好みではなかった。
1投稿日: 2018.10.23
powered by ブクログ面白かったですが、苦しい読書でした。どこかおかしい、狂っている人物の描写に心が塞がって、とても苦しくなります。でもどこか、光を感じるところもあって。光を感じるなんてわたしもどこかおかしいのだろうとも思いますが。排斥はされなかったものの、教室の真ん中にいるキャラでもなかったことをしみじみと思い出しました。村田さんの小説世界は好みなのですが、この2つのお話はそこまでなかったです。
3投稿日: 2017.09.22
powered by ブクログはじめて読んだ著者でしたが、全体的に比喩がとてもうまくて、内容は切ないものでした。 子供の豊かな想像力と、小説家の豊かな表現力で、おそろしさ、切なさ、理不尽なことなどがみっちりと埋め込まれていて、すごい世界観です。 なんだか不思議なのですが、ありきたりな内容ではないところもとても気に入りました。他の本も是非読んでみたいと思いました。
2投稿日: 2017.05.31
powered by ブクログ再読。このなかでは、「ひかりのあしおと」がいちばんすき。村田さんの作品はすきな雰囲気があるんだけど、もっともっと狂気に落ちる瞬間の描写にゾッとしたいなあとおもう。細部、てか使われている小道具はいいのになんか落ちるところだけありきたりになるというか。
2投稿日: 2017.03.14
powered by ブクログ<ひかりのあしおと> あしおとを漢字で「跫」と書くと、「恐」の一部が入っていて何やら怖いイメージがある。この小説でも、主人公を狂気へと誘う「跫」がひたひたと迫ってくる。 「ひかり」と言うと明るいイメージもあるけれど、病室の天井の「光」、無菌室にあるであろう光は、主人公の母のような不気味な印象を受ける。 「熱気が今のも破裂して、私をずぶ濡れにしてしまいそうです」という冒頭の一文からしても、この小説からは「飲み込まれる」という感覚を常に受け続けていたように思う。 自分が逃げていたはずの狂気は、いつの間にか自分を包み込み、知らず知らずのうちに自分自身が狂気の構成員になっている、そんな感じ。 <ギンイロノウタ> 後日加筆
2投稿日: 2016.12.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校の時、新聞の読書欄で知り、図書室で出会い、読み終わりなにか恐ろしいものを知ってしまったように思い忘れられなかった本。 とうとう文庫を買い、怯えながら再読了。 「ひかりのあしおと」は、その無機物めいて乾いた住宅街に古村家族の姿が調和している感覚。 「ギンイロノウタ」は主人公の有里の強迫されてく心理にひたすら息がつまり、唇を噛み締めて読んでいた。 幼少時における性対象としての女性への憧れは個人としても思うところがあり代弁されているようで苦しいくらい。メインではないけれど。 両作とも「父性の不在」「母性の剥離」に主人公2人は苛まれているように思う。 救いようのない、美化もされない、二人の少女が生きづらい世界からいかに身を守ったかというお話と言っていいのだろうか。
2投稿日: 2016.08.19
powered by ブクログまたまた病んでます。ひたすら病んでる内気な少女の話。 「ひかりのあしおと」と「ギンイロノウタ」どちらにも毒味があります。 生臭い感情をどんどん腐らせ、無力なりにもがく彼女たちの姿には、なぜかかつての自分を重ねてしまう。 家族や学校というコミュニティに馴染めず、どんどん一人の世界に閉じこもる。少女たちの世界はどこまでも豊かで永遠だ。 もう読みたくないと思うのに、突き動かされるように最後まで一気に読み進めた。 コインロッカー・ベイビーズのときのような感触でした。
1投稿日: 2016.08.18
powered by ブクログ『しろいろの街の、その骨の体温の』に衝撃を受け、同じ著者の作品を読みたくて手に取りました。 今回も2作とも同級生などから「気持ち悪い」と呼ばれてしまう女の子たちが主人公でした。 彼女たちの抱えるドロドロして生臭い、暗い闇のような「何か」には自分にも身に覚えがあります。 また、親のパーソナリティや両親の関係も、多感な年ごろの子供には大きな影響を与えるのだと改めて実感しました。
1投稿日: 2016.03.14
powered by ブクログあらすじをみて気になって読んだけど、どうしても好きになれなかった。 わくわくとかっていうプラスの感情が一切わかないけど一応全部読んでみた、という感じ。
1投稿日: 2015.12.14
powered by ブクログ光から逃げる為に呪文を唱え続ける少女。 銀色のトビラを開く為に魔法のステッキを振り続ける少女。 自分の世界を創り出しその中で蹲る。 衝動がその中で暴れ回る。 食も性も対人関係も捌け口にはならない。 悲願を達成せねばならない。 おぞましい救いを手に。
2投稿日: 2015.08.14
powered by ブクログ学校や家族に馴染めない違和感。歪んだ適応をして醸成された孤独と狂気の世界。それらを五感を使い生々しく表現する。 彼女の怯えを、不躾に晒される嘲りと蔑み、あるいは憐れみの視線を、行き場の無い衝動に身悶える苦しさを、体感するが良い。全く知らない感覚ということはないはず。 浸食されて、読んでいるこちら側まで人間不信になりそうです。怪作です。
1投稿日: 2015.05.17
powered by ブクログ恐い。 生々しい表現に目をそらしたくなるのに、頁を捲る手が止められない。 主人公たちは、いずれもクラスメイト達からは「気持ち悪い」と評価されている、内気な少女。 その“内”に棲む狂気。 読了後も、作品の真価を掴みかねている。 今はただただ、困惑し、圧倒されるばかり。
1投稿日: 2015.03.19
powered by ブクログどちらの作品の主人公も、スレスレのところで生きている。 それこそ、この作品はスレスレの暗さだった。もう半歩越えたら、全人類へR指定レベル。 特にギンイロノウタの有里の殺人へ興味を覚えていく様は、あまりに生々しくて、見てはいけないものを見た気にさえなった。 でも、その絶望的な暗さ故に最後に一雫だけ差す希望は妙な力強さを持っている。 読後は頭がピリッと痺れた。 作者の全身全霊を感じた作品でした。
1投稿日: 2014.12.21
powered by ブクログ2作とも主人公病んでるナー 親もダメダナー 部分的に好きなとこと わけ分からないとこと あって読みながら 無理ーって思ったり おもしろーってなったり。 とりあえず 違うのも読んでみよ。 いい気分にはなりません。
1投稿日: 2014.11.23
powered by ブクログ少女の、あの頃の特有の気持ち悪さと狂気がどうしても他人ごととは思えない。 読み終わって、自分はもう少女ではないんだ、大人になったんだとホッとしてしまうほど恐ろしかった。
1投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログ開いてしまうと読み進めなきゃいけなくなってしまって一晩で完読。ものすごい狂気・・・なんだか何もかもがおかしいのにたまに現実が出て来る。ちょっとわからなくもないところが怖すぎる 14/1/21
1投稿日: 2014.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりにすごい小説を読んでしまった…。 表題作「ギンイロノウタ」と「ひかりのあしおと」の2編がおさめられている。 どちらも女性が成長過程で抱く鬱屈した思いを描いている。けれどおそらく、すべての女性が共感できるようなものではないだろう。 作中でも言われているように「気持ち悪い」と感じる人すらいると思う。というか大部分の人がそうだと思う。 ただ、一部の人は「共感」とまではいかなくても、ほんのりと「ああ、この感覚、わかるかも」とどんよりした気分になる。私もその一人だ。 「気持ち悪い」と思うけれども、こういった面が自分の中にあるのを私は知っている。ただ嫌悪するだけでは収まらない、見ないようにしている、あるいは忘れていた部分を思い出させられるような気分になった。 2つの物語、両方とも、ラストはどこか救いさえ感じさせる。 けれど同時に、どうしようもない救いのなさ、も感じさせる。 なんとも評価のしにくい作品。少なくとも、人には薦められない。 けれど言葉にしがたい強烈な印象を残されたのは確か。
1投稿日: 2014.01.21
powered by ブクログ表題作+1編。 どちらも書き出しからして秀逸すぎる。作品の持つエネルギーとか不穏な雰囲気が、出だしの一言からしてもうぷんぷんと匂い立っているようだ。 特に「ひかりのあしおと」の方の、「熱気が今にも破裂して、私をずぶ濡れにしてしまいそうです。」という一文。「熱気」が破裂して、私を「ずぶ濡れ」にしてしまうのだという。 全く肌触りの異なる2つの感覚が、いかにも当然の如く、しれっとした顔で並んでいる。こんなに気持ちの悪い一文で始まる小説を、たぶん他に読んだことがない。 少女たちを激しく捉え、病的な、狂気的な行動に走らせるその幻想の根底には母親の存在が深く絡んでいる。 いつまでも幼い少女のような言動で、周りを「見守る者」に仕立てあげてしまう誉の母親。夫や世間の目を異常に気にして、裏返したみたいに顔色を、態度を変えてしまう有里の母親。 「エディプスコンプレックスの克服」ということが物語のテーマにあるのかもしれない。有里が「ステッキ」に異常な執着を抱き、それを思い浮かべて自慰をする、というくだりは、フロイト的に言えば「男根願望」の表れであり、ユング的に言えばステッキは集合的無意識的な男性器の比喩なのだろうか、とも思った。 簡単に言えば、2編とも、少女が幼いころの幻想を克服して、思春期から次の世界へ続く「扉を開く」瞬間の物語、とでも言えるのだろう。 2編とも、(一応は)その幻想を克服した(ようにもとれる)場面で終わる。 けれど、二人の人生が、これからも乗り越えるべき過去や、幻想、コンプレックス、幾つもの試練で満ち満ちていることは想像に難くない。 思春期というステージにこの成長課題があったように、少女はこれからも幾つもの課題を克服して大人になり、子どもを産み、育てていくのだろう。 女性の人生は戦いだ。 男では、到底太刀打ちできない。
2投稿日: 2014.01.12
powered by ブクログ『ひかりのあしおと』と表題作の『ギンイロノウタ』を収録。 初めて読む作家であるが、文章表現の素晴らしさに驚いた。選び抜かれた言葉と表現で綴られる不思議な物語に緊張感を感じた。 二つの作品共に子供から大人に変わりつつある女性の内なる不安と欲望がデフォルメされて描かれている。個人的には表題作よりも、『ひかりのあしおと』の方が良かった。
2投稿日: 2013.12.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
好き好き村田沙耶香さん五冊目。 どの本を読んでも、印象的なことば使いやシーンが必ずあって引き込まれてしまいます。(以下、例〜) ・「アカオさん」←!!! ・愛菜ちゃんが崩壊するトカゲのシーン ・彼に「安全な席を確保するため」始発で学校に向かう主人公 あとがきの人も書いてるけど、健全すぎる蛍くんも相当な人だよね。(となると、わたしの愛するしろいろ〜の伊吹くんも実は結構やばい人なのかな…) あと、村田さんの小説によく登場する「私だけの歌を唄う」みたいなことが、わたしにはまだ理解できずにいます。主人公たちより、ずっと歳をとっているというのに! あとあと、前に「本の雑誌」のインタビューで村田さんが好きだと言っていた本に空気感が似ている部分もあってそれもおもしろかった。 小川洋子さんの「妊娠ダイアリー」の姉と、「ひかりのあしおと」の愛菜ちゃんの気持ち悪さとか。食欲に対する捉え方?とか。 山田詠美さんの「ベッドタイムアイズ」のスプーンにとっての銀色のスプーンと、「ギンイロノウタ」の主人公にとっての指揮棒とか「授乳」の中のぬいぐるみに依存してる女の子とか。 気づけばまわりの音が聞こえなくなっているくらいに読ませる、村田沙耶香さまの文章が大好きです!!!
5投稿日: 2013.12.28
powered by ブクログ文庫本裏表紙の説明が間違ってることにかけては☆三個引いてもいいくらいだな。文章は分かりづらいけど、心情は分かりやすい、素直で普通な物語。ひかりの方はハッピーエンド。
1投稿日: 2013.12.27
