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眩(新潮文庫)
眩(新潮文庫)
朝井まかて/新潮社
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総合評価

55件)
4.4
23
19
5
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    かなり面白かったです。 長野県小布施の岩松院の本堂の天井にある、葛飾北斎が89歳の時の絵「八方睨み鳳凰図」はお栄が描いた部分もあったことが興味深い。近年、お栄が「吉原格子先之図」などの作品を通じて「江戸のレンブラント」と呼ばれるような実力が既に「八方睨み鳳凰図」を描いた頃からあったということが、分かりました。

    0
    投稿日: 2025.11.30
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    北斎が主役の舞台を見るために読みました。別の方の作品も読みましたがこちらの方が現代的な言い回しが多く読みやすかったです。北斎の作品の背景も理解できますし、とてもおすすめです。

    0
    投稿日: 2025.11.11
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    「そうだ、京都へ行こう」のノリで 「そうだ、北斎美術館に行こう」と謎の閃きに突き動かされ、 あれよあれよと北斎に魅せられて結局、 こちらもコンプリート。 面白くて引き込まれて…娘の人生も味わい深い。 映画『おーい、応為』を鑑賞したけれど、 小説とは打って変わって凡庸な、というか まぁ人1人の人生ってこんなもんだよな… と思い出させるような、 人生において忘れられないような大きな出来事が起こった時でさえも現実の生活が続いていく(しかない)日々の儚さの方が強くが描かれていて。 小説ではもっと激動で、リズミカルで まさに北斎の『The Great Waves 』のような 色彩豊かな応為の人生が描かれている。 私は映画より小説の中の応為に魅せられた… もっと、善次郎との関係を、知ってみたかった。

    30
    投稿日: 2025.10.30
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    北斎の孫の借金がひどかったというのは知ってたけど、小説になって書かれると、いやぁこれは縁も切りたくなるし魔除けの絵も毎日描きたくなるな、と思った。

    0
    投稿日: 2025.10.15
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    葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)が光を求めて生きていく物語。面白かった。 「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。やっちまったもんをつべこべ悔いる暇があったら、次の仕事にとっとと掛かりやがれ」 オランダ商館の依頼で取り組んだ西洋画の出来に満足できていない弟子達に、親父どのがかけた言葉。一番印象に残っている。 もともと北斎についてそんなに知識があるわけではなく、「変わった人」というくらいのイメージしかなかったが、読み進めるうちに絵や仕事に対する凄まじい情熱を感じて熱くなった。 登場する絵にもストーリーを感じられてとても良い。 「大きな波が天に届かんばかりにうねり、今、まさに砕け散らんとしている。その波頭は飛沫を上げ、お栄は己の顔に潮を浴びたような気さえする。 荒波に揉まれているのは、江戸に向かって懸命に繰る三杯の荷舟だ。それぞれの舟には何人もの男たちが身を伏せ、波の勢いにただひたすら身をまかせているようにも見える。 ふだんは穏やかで、江戸と気軽に行き来できる神奈川沖なのだ。魚や薪炭を運んで、それを暮らしの生計にしている。 けれどいざとなれば海はかくもそびえ立って、襲いかかってくる。波に舟ごと呑まれて死ぬか、それとも乗り切れるかの瀬戸際がここには描かれていた。だが人々は、これらの舟は決して沈まぬと信じるだろう。 絵の中心に、富士の山が描かれているからである。 ふだん、江戸のそこかしこで見上げ、霊山として拝みもしてきたその山があることで、人は希みを見出すのだ。己ではどうしようもない境涯であっても、富士の山はいつも揺るぎなく美しい。 死んじまうその刹那まで、生き抜こうじゃねぇか。 親父どのの呟きが響いたような気がした。深刻な声じゃない。いつものように肩の力が抜けた、洒落のめすような物言いだ。 紙の左上には「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と画題が刻まれ、北斎改為一筆と落款が記されていた。」 お栄から見た神奈川沖浪裏の描写だ。己丑の大火(文政の大火)で大きな被害を受けながらも、富嶽三十六景の大勝負で再起を図る西村屋や北斎たちそのもののを見ているような気にもなってくる。これは希望の絵だ。 さて、当のお栄。 父北斎に似て絵以外の事には頓着しない性格。親父どのとの日常のやり取りは、常識を欠くが見ていて面白い。特に西瓜をもらった時の下りが印象的だった。 絵については親父どのの信頼も厚いが、父と同様にどれだけ描いても満足せず、自分の絵を求めてもがいていたように思う。その中でお栄が見出したのが光だ。西洋画っぽい色彩を取り入れつつも、日本画っぽい構図という独特の世界観を感じる。オランダ商館の仕事がとてもいい伏線になっている。夜桜美人図や吉原格子先之図を見ると、光の陰影とそこから伝わる温もりを感じる。とても素敵な絵だと思う。 そしてお栄自身も絵に人生の光を見出して、齢60にして旅に出るのだ。 太田記念美術館(原宿) **葛飾応為 吉原格子先之図 **葛飾北斎 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 北斎館(小布施) **葛飾北斎 富士越龍図 メナード美術館(愛知県小牧市) **葛飾応為 夜桜美人図

    0
    投稿日: 2025.09.08
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    葛飾北斎という偉大な父であり師匠を持つお栄。 波瀾万丈な人生の中で、筆を置くことはなく、ひたすらに描き続けた。絵そして己に向き合い、力強く歩む姿が目に浮かぶようでした。 蔦屋とか西村屋の名前が出てくるのも熱い(べらぼう)歴史に関する小説も色々と読んでいきたいな。

    7
    投稿日: 2025.08.30
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    2025年4月12日、Tiktokアプリ開いたらいきなり回ってきた動画が20時間前に配信されたばかりの、「南生会【介護施設】」というアカウントの「あなたはどんな女性がいいと思いますか?#介護士 #介護施設 #介護 #南生会」ってタイトルで、おじいさんに「結婚するならどんな女性がいいかアドバイスください」って質問してるやつで、おじいさんが膝にのせてた読み途中の本がこれだった。文庫じゃなくて大活字版があるみたいなので、おじいさんはそっちかも知れないが。 https://lite.tiktok.com/t/ZSrunsRGc/

    0
    投稿日: 2025.04.12
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    江戸町人物のアート小説という捉えで存分に楽しみました。特に「夜桜美人図」や「富士越龍図」の章では、まるでその制作の様子を見ていたかのような描写が素晴らしい。それら美術作品の画像を見ながら読むと、一層朝田さんの言葉による表現の巧みさが味わえました。さて、次は本作を原作として映像化した、宮﨑あおいさん主演のドラマで楽しむことにします。

    1
    投稿日: 2025.03.23
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    小布施の北斎美術館、高山鴻山記念館、岩松院、すみだ北斎美術館にも行った。結構知ってるつもりだったのに、お栄の人生を辿ると、もう一度足を運びたくなった。 お栄の様に絵の具を自分で作るところから始めて描いていたら、そりゃぁ家事なんかしてる時間は無いに決まってる。それだけ没頭しなければ、あの肉筆画は描けない。この親子の物語は借金苦や、江戸の人情があって、更に葛飾北斎、応為を魅力的な存在にしている。 この色は何から作ったのだろうかと思い巡らせながら、もう一度天井画など観てみたい。

    1
    投稿日: 2025.03.08
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    彼女と私を考えた。 少し似ていて、決定的に違っていて、彼女は私の師匠にはなるかもしれない、同年代なら親友にはなれないけど、ライバルにはなれるかもしれない。 志すものは違えど、無二のライバルに。 それは自分を高く見積もりすぎかしら、「あんたなんか眼中にありゃしねぇよ」と嗤われるかしら。 そんなことを考えた。 彼女の生き様は私には決して真似できないものではあって、美しくも不格好で誇り高い絵師の生き様だった。 時折あまりに女の思考回路に虫酸が走ったこともあったけど、最後の数章のお栄は生き生きとしてこれぞ葛飾応為なのだと思った。 波乱であったとしてもいい人生を生きたのだろうと思うこの物語の最後がとても美しくてとても清々しいと思う。 いい作品を読めた。 作中の葛飾北斎の言葉を自分自身のために残しておこうと思う。 「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。」 私も忘れてはいけない言葉だと思う。 まだ三流であったとしても、玄人でありたい。 これからも高みを目指す、玄人であり続けたい。

    0
    投稿日: 2024.10.09
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    葛飾北斎の娘である応為の物語。たばこやお酒を嗜み江戸っ子のきっぷのいい姿が気持ちいい。 絵に対する姿勢もいい。 同年代の友達のような感覚で読む。

    2
    投稿日: 2024.04.12
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    余韻の残る良い話でした。場面転換が激しくて途中着いて行くのに苦労したところはありましたが、その分主人公の生き方の迫力は増したと思います。親しい人たちが去って行くところは寂しかった。絵画は何も分からないのですが吉原格子先之図は素晴らしいと思います。

    1
    投稿日: 2024.01.29
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    朝井まかてさんらしい今回も、化粧っ気のない女性のストーリーでした。エピソードが絵の名前ごとに別れていて、絵をネットで検索して見ながら読むと面白かったです。天然の絵の具で絵を描くことは一苦労である事がわかり、自分の中で昔の絵の価値がグッと上がりました。

    1
    投稿日: 2024.01.24
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    葛飾北斎の娘、応為の視点で彼女自身と北斎の絵にかける想いを綴った作品。 いずれかの代表作が完成するまでの過程を描きながらも作品そのものへの描写ではなく、あくまでそれが完成するまでの過程を父娘の生き方を交えて辿っている。 各作品の肝となる部分が、もしかしたらこんな背景から生まれたものかもと想像しながら読むと、小説と浮世絵の2つを同時に味わえるような非常に贅沢な一冊でした。 ここまで深みのある作品となったのは、朝井さんの絵に対する視点の賜物だと思います。

    1
    投稿日: 2024.01.16
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    始まりからぐいっと引き込まれ、晴れ晴れと終わる。小気味よい一冊だった。 決して明るく楽しい日々が描かれているわけではない。思うようにいかないことの方が多く、理不尽に苦しめられ、親しく心を通わせた人たちとも死に別れ、富にも名誉にも縁がないまま、年老いていく。こう書けば鬱々とした暗い物語になりそうなものなのに、そう感じないのは、北斎もお栄も、自分の人生を自分の生きたいように生き切っているからなのだろうか。

    1
    投稿日: 2024.01.15
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    ずっと読みたいと思っていた本。この夏に北斎展を見に行く機会があったので、今だ!と思い手に取った。とても良かった!!時代物?を読むのは久しぶりだったので、独特の言い回しや語彙は調べながら…(勉強になった)江戸の人々の生き生きした様子や人情、季節の移ろい、何といってもお栄のサバサバした感じが読んでいてスカッとした。 お栄は色彩感覚に優れていたらしいのだが、文章中の色彩表現、描いている動きの表現は豊かで楽しかった。読了後、各章の題になっている作品を調べたら驚いてしまった。『夜桜美人図』『吉原格子先之図』、お栄が探究した灯籠の光と影の描き方に感動した。なんて幻想的で美しいのだろう。ぜひ調べてみてほしい。 物語は、父と娘、母と娘の親子関係から、淡い(?)恋、甥とのいざこざなどなど…読み応えあると思う。善次郎いい男らしいけどどんな顔だろう…妄想が広がる…

    1
    投稿日: 2023.09.17
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    お栄さん、格好良かった。善さんとの関係は切ないけどなんか分かる気がする。 時太郎が憎い。 本物を見てみたいな 「もう六十かもしれないが、先々のあたしから見たら、今日のあたしがいっち若いじゃないか」

    1
    投稿日: 2023.08.26
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    なおなおさんの北斎本レビューおしゃべりで、みんみんさんからお勧めされてお取り寄せ。みんみんさんありがとうございます! カバー装画 「吉原格子先之図」 時代小説読めるかなと心配してたけど、ページをめくるのが楽しくて夢中に。 章ごとにドラマをみているような臨場感。 お栄の生き様、枠にはまりきれない才能と心意気が格好いい。絵師としていろんな材料で色を創る場面が真剣勝負。酒が強いお栄と甘いものに目がない北斎親爺どのとの掛け合い。人たらしの善次郎(渓斎英泉)がとても魅力的。純黒朱「びろうどみてえな深い光」の話をしている善次郎との魂が通い合ったような時間。いちは三味線、ゆきは琴、なみは胡弓という三人の合奏を聞きながらの宴。夜桜美人画に対する善次郎の相対するような絵、「井のはたの、桜あぶなし、酒の酔」。シーボルトからの西画の依頼に対するやりとりに腕試しと呟く。馬琴の叱咤激励と柚子の卒中薬のお見舞いという粋な計らいと奇跡的な親爺どのの復活。富嶽三十六景の誕生の様子や日課獅子に向き合う親爺どのの姿勢を見つめるお栄。どの場面も生命力があって絵師としての生涯に疾走感があり、作品を途中調べたりして味わうことも楽しい。「その名にふさわしい絵をいつか、ものにするために。描こう。」

    22
    投稿日: 2023.05.22
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    とにかく面白かった。北斎の娘がかっこよすぎる。男前すぎる。 最後の数ページ、なんだかぐっと来てしまった。 なんか、背中を押してもらえた感じ。 なんか、素晴らしい読後感。

    0
    投稿日: 2023.05.21
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    葛飾北斎の娘、葛飾應為ことお栄さんの話。 当時では女性絵師は珍しい。女性は家事というジェンダーロールが疑いなく信じられていた頃。 お栄は、描かずにいられない絵師の業が身体に備わっている。絵の才もある。父親の北斎と同じ。 しかし女性であるお栄の感覚は、母親や夫からは欠陥としか見做されない。 やりきれない夫婦生活が破綻したところから小説が始まる。 父であり師であり親方の北斎の工房で、お栄は絵筆を振るう。この辺りはワクワクするお仕事小説になる。 北斎を慕う渓斎英泉との交流も読みどころ。 渓斎英泉がとても良い。色っぽい男だなあと思った。 女性だから、元夫よりも、絵への情熱も才気もあるのに、独り立ちの仕事をさせてもらえない状況は、何とも息苦しい。 表紙絵もお栄さんの作品で、現代の目で見ても、上手いと思える。これを浮世絵の時代に描いたお栄さんは、北斎の娘というだけではない、絵の才と技術、探究心のあるすごい絵師。しかし、家事も苦手で子も産まない、当時の女性の常識としては欠陥だらけ。夫に勝る才能があることも、当時の感覚としては生意気で欠点扱いになる。 早く亡くなった姉の子を北斎一家で面倒を見るが、この甥がまあとんでもないクズ。後半はこの甥に北斎とお栄さんは苦しめられ続ける。 窮屈な価値観の中で、絵師としてしっかり自分を確立していこうとするお栄さんの人生。 とても読み応えのある小説だった。

    5
    投稿日: 2022.12.04
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    自分自身もそうなのですが、浮世絵だったり、北斎に興味を持ち始めた人が読むのに、おすすめしたい作品です。娘の眼を通して、葛飾北斎を取り巻く暮らしぶりがよくわかります。富嶽三十六景を出版したきっかけや、ゴッホが作品を模写した渓斎英泉が登場することも興味深かったです。

    1
    投稿日: 2022.11.16
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    北斎の娘、葛飾應爲(お栄)の一生。8割が北斎の晩年の足跡とお栄の関係ということで物足りない感じが続く中、友であり懸想相手の英泉(善治郎)の死や北斎の死を挟んで自ら絵師として大きく一歩を踏み出す姿に最終的には引き込まれた。 言い方は難しいが、愛する父北斎が彼女の重石になっていたのかと感じた。北斎が長生きでなかったら、應爲ももっと多くの名作を残していたのだろうか。 本作では甥の時次郎がキーとなっている。読み手としては何ともムカつく出来損ないの甥で厄病神である一方で、最後に見せたお栄と時次郎の互いへの親族愛のようなものを見ると血の繋がりの良さと厄介さをより感じた。また、今読んでいる北斎にまつわる作品で「北斎は本当に貧乏だったのか」という謎が出てくるが、本作の設定、つまり甥の借金の肩代わりをし、そのために引っ越しを繰り返していたというのは小説ならではであるが面白いと思った。

    1
    投稿日: 2022.08.20
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    四月から続いた大きな仕事が一区切りした。 ようやく楽しみのために本が読めるようになった。 というわけで、お盆休みのおともの一冊に本書を選ぶ。 葛飾北斎の娘で、絵師となった栄の物語。 偉大な父であり師を持ったお栄。 現代なら、プレッシャーに押しつぶされそうな環境だ。 ところが、彼女はただ、絵の上達に励む。 いわゆる朝ドラ的な前向きさとは違う。 自分が自分になるために、どんなに苦しくても、そうするのだ。 そのためには、女性としての生き方の規範などに拘泥しない。 その振り切り方には、羨望をこめて、かっこいいという言葉しか出てこない。 彼女がそのような人生を歩めるのは、父北斎自身、晩年に至るまで、もっとうまくなりたいともがき続けたからだろう。 親子の葛藤は、意外なほどない。 そのあたりが、若干不思議。 親方の名前で世に出る作品を、工房の弟子たちで作っていくような関係がベースにあるからか? むしろ、家族の葛藤は、甥の時次郎をめぐって展開される。 何年か前のお正月、NHKのドラマになった本だと思う。 主演は宮崎あおいさん。 映像として美しいドラマだったと思う。 でも、善次郎役は誰だっけ? ちっとも記憶に残っていないが、こんなに物語にとって重要な役回りを担っていたとは…。

    0
    投稿日: 2022.08.18
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    葛飾北斎の娘、葛飾応為(應爲)(かつしかおうい)のお話。 小さい頃から絵を描くことが大好きだった彼女、大きくなれば当然のように父の仕事を手伝い始め、自らも絵師としてのキャリアを積んでいく。絵にばかり夢中で母小兎(こと)からは結婚できないのではないかと心配される始末。なんとか結婚することができても家事もできない、絵にばかり夢中で結婚生活は破綻、早々に離縁して父の工房に舞い戻る。 ある日オランダのシーボルトから北斎へ依頼が舞い込む。非常においしい仕事なのだが条件が「西画でお願いします」つまり、西洋の画法を取り入れよ。と...この難題に北斎、応為は挑む。この辺りの北斎のプロフェッショナルな考え方が最高にかっこいい。 そして北斎の突然の中気(脳卒中)、右半身がやられて絵筆も握れずこれまでかと思われたがその後の奇跡的な復活。その後も母の死、己丑の大火、甥の借金問題、天保の大飢饉、その後の改革で絵などの規制が厳しくなるなどの凶事が重なるもなんとか切り抜けていく北斎親子。そして北斎の死。 北斎の出来事に寄り添いがちだが、応為自身の物語、心理描写もたくさんあるのでそこは問題なし。とりわけ浮世絵師、渓斎英泉こと善次郎とのライバル心、秘密の恋という不思議な距離感は良かった。ろくでなしの甥に対する複雑な心境なども味わい深い。絵師として「もっと良い絵を...」と懊悩する様は共感できるところ多々あり。 ストーリーを追いながらどんな作品が作られたかにももちろん触れられているので読んだ後画像を調べたりしてその絵と物語に想いを馳せたりすることで2倍楽しめた。となるとできれば本物を見に行きたい欲がばんばんでてくるわけで...笑 本物を見に行けたら3倍は楽しめるだろう。非常におすすめな作品でした。

    6
    投稿日: 2022.03.02
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    お栄がかっこいい。 この時代に女性がこういう風に活躍するのはむしろ稀だったんだろうなと思うから、誰もやっていないことを先駆けてやる女性はやっぱりかっこいい。 ドラマで演じた宮崎あおいさんもかっこよかったです。

    1
    投稿日: 2022.02.20
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    葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた歴史小説。 朝井まかてさんの小説って近作を読めば読むほどに、名人芸の域に達してるような気がします。葛飾応為のことは全く知らなかったのですが、鮮やかに彼女の生き様が思い浮かんでくる。 天才葛飾北斎を父に持ち、幼いころから絵に親しみ、父の元で腕を磨いてきた応為ことお栄。口うるさい母親、つかみどころのない甥、気まぐれな兄弟子、そして偉大ではあるけれど、人間味のある父の北斎。そうした周りの人々の姿を生き生きと描き、そしてお栄自身の描写もとても生き生きと、それでいて心理は丁寧に描かれる。 父や兄弟子と比べての自分の絵の腕に対する葛藤、絵ではその兄弟子にライバル心を燃やしつつも、一方で想いを寄せる複雑な女心。結婚や女性としての生き方を口が酸っぱくなるほど説教する母に対する反発心。トラブルばかり起こす甥に対する苛立ち。 ちゃきちゃきで歯切れのよい江戸弁の中で描かれる、お栄の心理描写。それはまさに応為の絵の陰影のように小説に光と影の陰影を作ります。 そして様々なトラブルに遭いながらも、芸術に真摯に生きようとする人々の姿も素晴らしい。病気で体が不自由になった北斎に、滝沢馬琴が叱咤激励を言いに来る場面や、お栄の兄弟子の善次郎やその姉妹である芸者の妹たちの姿。 そして父の看病、母の死、甥の借金騒ぎ、火災にあったり想いを寄せた人との別れを経験し、徐々に自分の絵を極めていくお栄。 彼女の気づき、そして自分の生き方を見つける場面の爽やかさは特に素晴らしかった! 読み終えてから画像検索で応為の作品をいくつか見ました。彼女の作品の陰影の裏にあるドラマを勝手ながら想像し、勝手に胸を熱くしました。 第22回中山義秀文学賞

    6
    投稿日: 2022.01.23
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    北斎の娘、葛飾応為 お栄は小さい頃から絵が大好き。女好きの兄弟子善次郎、甥の時次郎に困らされたり、お栄らしさが少しづつわかった!北斎の偉大さや周りとの関わり方が面白い! 解説を数年前に亡くなった葉室麟が傑作ですと書いていた。

    2
    投稿日: 2021.12.28
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    朝井先生の本は面白いです。後半は、葛飾應為の絵を調べながら読み進めましたが、本物を見たくなりますね。小布施や太田浮世絵美術館を訪れてみたいです。後日、スイカの皮の絵など、ストーリーに纏わる絵に出会えるのはとても楽しいことでした。

    1
    投稿日: 2021.12.26
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    お栄がからっとした性格で、ひたむきに絵を描く。主人公にしては報われないぞと思ったら、実在する人物か!とわかってからは、ただ応援しながら読んだ。かっこいい人生だった。

    1
    投稿日: 2021.08.25
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    原宿の太田記念美術館で見た「夜桜美人図」「吉原格子先之図」 ?サントリーだったかしら? ?北斎美術館だったかしら?動く人形もあったし? 図書館でカラーコピーした絵を見続けてたら本物を見た気に? いやいや匂いを嗅ぎたいと考えたんだから、見ているわ。それに、おえいちゃんがいた場所と私のいる場合が重なっているのね!と感動したし。 あの北斎についていけるのは、並大抵の人間じゃないよね。 凄い人が、さらりと生きた話しでした。

    0
    投稿日: 2021.08.16
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    評価が高い! 購入済み。いつか読もう 2023.01.30.どうしても興味がわかない。ブックオフへ

    1
    投稿日: 2021.07.08
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    北斎やお栄の、絵つまり仕事に向き合う姿勢が本当に一本気で真剣で、ときに周りに迷惑をかけようが信じる道を行くというところが、芸術家だな、と思う。とてもそんな気持ちをずっと保ってはいられないなと思う一方、仕事とは一面かくあるべきなんだろうなとも思う。 「これが稼業だ。限りある時でいかに描くか、その肚がくくれねぇんなら素人に戻れ」 「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。――こうして恥をしのぶからだ」 と、出来映えに満足できない弟子たちに納期の大切さを説くかと思えば、 「描けば描くほど、絵がよくわからなくなる」 と最晩年になっても満足していないことを吐露する。そうやって全身全霊で絵に向かった父の背中をお栄はずっとそばで見て、共に走り続けた。善次郎の結婚に心をざわつかせ、その死に打ちのめされてもなお、絵を描くことで自分を奮い立たせる。 「挑む方が、面白いじゃないか」 誰にも助言を求めず、ただ己の心とのみ向き合い自問するお栄は端から見れば偏屈で生きるのが下手なのかもしれない。でも本人は自分をごまかさずに生きて前へ進んでいるのだから、常に求める何かがある、生きがいのある人生だったんだろうなあ。

    2
    投稿日: 2021.04.25
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    江戸時代の暮らしぶり、浮世絵を生業とする人々の生活が伝わってくる作品。後から葛飾北斎や葛飾応為の作品と合わせてみると、なお染み入る。「吉原格子先之図」と「夜桜美人図」は、その繊細な美しさに溜息が漏れてしまった。

    2
    投稿日: 2021.03.18
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     葛飾北斎の娘、お栄。絵を描くことが好きだが「北斎の娘」という肩書きが重い…しかし、あまりに偉大な父の影響を受けながら自分も絵師となり、父に負けない、いい絵を描こう…だが…父にはかなわない………と、もがくお栄。 兄弟子への恋情、納得のいく作品が描けないことへの苛立ち、借金の尻拭い… 地べたにはいつくばり、形のないものを形にしていく地道な生業に、身も心も捧げる…。 眩しく、愛おしい話です。

    6
    投稿日: 2021.03.10
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    楽しかったー。 葛飾応為こと、お栄の半生。百日紅は嫁ぐ前の話だったが、こちらは離縁したあとのお話。 数少ない(よく知らないけど)史実から、ここまで人物像を描けるなんて。 お栄は、しっかりと自分の絵の仕事に向き合う。口うるさい母親、介護、とんでもない甥っ子、恋心。心が乱れそうになっても、仕事と向き合う。現代の女性となんら変わりはない。かっこいいなあ。 そしてお栄を通して伝わる、画狂老人の偉大さよ。 北斎美術館にお栄の痕跡をさがしいにいこうかな。 まかてファンになりそうです。

    17
    投稿日: 2021.02.27
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    色を示す言葉が文章の中からポンと浮かび上がって見える。葛飾応為の半生を追えば、あらゆる出来事は必然で、全て『吉原格子先之図』に向かって収斂してゆくのであった。老いてなお「挑む方が、面白いじゃないか」と言う彼女だからいつまでも若々しい。こと善次郎に関してはいつまでも初心なお栄であった。

    1
    投稿日: 2021.01.29
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    女性が活躍する時代は、平和である。 平和だからなのか、女性だからなのかは、たいした問題ではない。 江戸時代は、身分制度に縛られだ封建社会で、貧しく虐げられた階層と権力階層の武士、影の支配層の商人の構図がよくあるが、「町民」は案外自由で闊達で逞ましく、武士より人生を謳歌している。 物語の背後の情景には、その様子が「隣町」のように生き生きと描かれている。 読書中は、お栄とともに江戸の町の「北斎工房」で暮らしていた。 物語自体は、ブクログ「作品紹介」や、この本の巻末の葉室麟「あとがき」に尽き、それ以上の表現は、思いつかない。 傑作でした。

    0
    投稿日: 2020.10.14
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    藤沢周平の次の時代小説の担い手は朝井まかてかもしれない。 私はまかてのファンでは無い。読了もこれが3冊目だ。1冊目は、直木賞受賞直前で、「恋歌」の読者モニターで感想を送ってサイン本さえ頂いてはいるが、ファンにはならなかった。もちろん傑作だったが、女性の情念には私はのめり込めない。 それでも、これは「恋歌」よりも更に一歩踏み込んだ傑作だと思う。一頁一頁の書き込みが、そんじゃそこらの他の作家の比では無い。「自分は親父どの(北斎)の才能を引き継いでいない」と自覚しながら、のめり込まざるを得ない美の世界への執着を、これでもかと描いている。ドラマでは美人の宮崎あおいが力演していたのだが、私は北斎美術館のリアルなジオラマのお栄を見ている。痩せていて顎がしゃくれてお世辞にも美人とは言えなかった。コンプレックスを情熱に換えて、彼女は焔の見せる緋色と闇の中の光と影に美を見出す。それを表現する。その過程の描写にやはり、私は藤沢周平を想起した。 冨獄三十六景。小説では、お栄は失恋し、北斎は孫の時太郎の不良化に悩み、板元の西村屋は大火事で焼け出され、それらが末の逆転劇として描かれている。大判錦絵。 「景色に金子を出す物好きなんぞ、いやしねぇよ。三代目は自前で打ってでるらしい」 「正気の沙汰じゃねぇな。葛飾親父も三つ巴印の泥舟に乗せられなすって、気の毒なこった。情に流されてとうとう一緒に沈みなさるか。なんまいだぶ」 事前の評判は最悪だ。けれど北斎が提示した10枚に魅力されて彫り師も、摺し師も、当時の名人が集った。西村屋はそれを見て三十六景を提案する。 最初の刷りは、神奈川沖浪裏。今や、北斎のアイコンである。錦絵は、版木は8枚使われる。北斎も、8枚に色指定をしながら描かなくてはならない。それを寸分違わず彫り、寸分違わず摺る。それを三十六景仕上げる。全て富士山の絵で、趣向を全て変えて。今でこそ、我々は文庫本(岩波文庫)で観ることはできるが、当時としては大博打で、しかし、北斎の天才がなければ無理の趣向だったことは間違いない。初板摺が二百枚だった「冨獄三十六景(実際は四十六景)」は、5年後には軽く万を超えたらしい(とは言っても重版出来で潤ったのは西村屋だけらしいが、北斎の名前は売れた)。そして、細かいところはお栄が描いた。 文庫表紙にもなっているお栄の代表作「吉原格子先之図」。安政の大地震で浅草の山之宿町に移った、新吉原の図とは知らなかった。西洋画の陰影も取り入れながら、浮世絵しか描けない真実を描く。「命が見せる束の間の賑わいをこそ、光と影に託すのだ」くらくらするような傑作である。

    52
    投稿日: 2020.09.30
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    歴史小説としてはやや短いけど、葛飾親子の生涯が1章ごと1作品ごと、人生の節目をコンパクトに描いていて疾走感がありました。北斎大好きだし長命だったのでもっと読んでたいなぁとは思ったけど。。日本人本来の職人気質と少しのドロ臭さがカッコよくて、日本が誇る偉人だと再認識しました。北斎に滝沢馬琴が喝を入れるシーンと宮崎あおいが好きです

    1
    投稿日: 2020.09.18
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    北斎の娘・お栄。父同様に絵の道を進む、彼女の熱い生涯を描く。 第一章 悪玉踊り  第二章 カナアリア  第三章 揚羽 第四章 花魁と禿図 第五章 手踊図    第六章 柚子 第七章 鷽     第八章 冨嶽三十六景  第九章 夜桜美人図   第十章 三曲合奏図  第十一章 冨士越龍図  第十二章 吉原格子先之図 参考文献有り。葉室麟による解説と対しての謝辞。 絵を描くこと、色彩に魅せられ、絵師の道を歩む北斎の娘・お栄。 家族との確執、報われぬ恋、老いた父・北斎の世話等、 ままならぬ生活の中での、彼女の生き様を描いています。 それにしても北斎の存在の重さ。独り立ちした者にも、お栄にも、 北斎の側にいた喜びと共に“本物の絵師”への憬れからは 逃れられない。絵師を辞めた善次郎。苦悩する五助。時太郎も? 人生ばくち打ちなのは“北斎の孫”が付き纏うからなのか? 悪事に手を染めるのも、自分を見て欲しいという愛への渇望か? だからこそ、大地震の時の「姉ちゃんっ」の叫びは、本心と 思いたいです。 先に画集と評伝に接していたため、史料と作品の少なさは 知っていましたが、それらを創作に取り込み描いたお栄の姿。 なんて生き生きと動いていることか! ラスト・・・どこでも行ける。どこで生きてもあたしは絵師。 60歳になっても絵師と言い切る潔さは、素晴らしい! 章も、応為の絵の題名や関連のある名称で、画集で観た絵を 思い出させてくれました。

    7
    投稿日: 2020.07.30
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    葛飾応為、お栄を浅井まかて流に描いた一作。山本昌代の応為坦坦録が北斎とお栄に焦点を当てているのに対して、お栄を中心に虚実の物語を組み合わせて、新たな物語を紡ぎだしている。巣ごもりのこの時期に退屈させないi一冊だった。

    1
    投稿日: 2020.05.05
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    葛飾北斎の娘にて、”江戸のレンブラント”とも称される天才絵師の知られざる生涯を描く筆者渾身の物語。お栄は、町絵師と夫婦になったのも束の間、絵筆を忘れる事が出来ず北斎のもとへ戻ることに。そして、北斎も追及してやまなかった光と影に生涯をかけて情熱を注ぐ事になる。時が過ぎ、北斎もこの世を去り、お栄は一つの真実にたどり着く。。。特徴は、歯切れの良い江戸弁を交え、色彩豊かな文体にて圧倒的なリアリティを描いている点かな。迷いながらもひたむきに生きたお栄の生き様が詰まった最後の一行に間違いなくパワーをもらえますよ。ちなみに、真実にて描かれた作品を、すみだ北斎美術館にて目にした時は心が震えました!コロナが収束したらぜひ、見学にいく事をお勧めしま〜す。

    2
    投稿日: 2020.04.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    葛飾北斎の娘、お栄ちゃん。 才能はあるのに、いつも父親の影となり、本人はそれで満足なようだが、自分の作品として勝負して欲しいなーと(これは善さんも言っていた)歯痒い部分もありましたが。 彼女の作品て実は知らないのだが、本の表紙がそうなんですね。ライティングが素晴らしい! 光と影の陰影に気付いた彼女は素晴らしい絵師なのでしょう。 あんなクズな時坊のために、借金を返済し、彼女の人となりも魅力的。

    1
    投稿日: 2020.04.02
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    葛飾北斎の娘にして女絵師の葛飾応為、名はお栄。彼女の作品として確認されたのは10数点しかなく記録に残る伝聞も少ない、謎の多い彼女を人間味溢れる一人の絵師としての生き様を描いた作品。 北斎や応為の代表作の制作シーンが随所に躍動感のある文章で語られる。 『夜桜美人図』、『三曲合奏図』、表紙にある『吉原格子先之図』の絵の構図や色合いをどのように考えぬいて描いたのか、手元の図録で作品を眺めながら読むとナルホド!と感心するばかり。天才的才能を持っていたとしてもその人の心の持ちようと飽くなき努力によって人を感動させる作品が生まれるのであろう。

    5
    投稿日: 2020.03.15
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    北斎の娘の一生 派手な事件が起きるわけでもないのだけれど物語は起伏に富み、最後まで飽きさせない作者の力量が素晴らしい。

    13
    投稿日: 2020.02.28
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    葛飾応為こと北斎の娘・お栄の物語。 今の時代にも通じる、女性にありがちの日常のあれこれのわずらわしさ、家族のごたごた、こちらの思いを理解しようともせず、自分の価値観を押し付けてくる母親との軋轢、泡沫の恋・・・そんなものを背中にしょったまま、絵画の道を歩く女性の姿が、身に染みる。お栄は、作者の分身でもあるのかしら。 この作品をもとにしたドラマがあった(と思う)せいか、冒頭の北斎が絵筆を取る場面を読んでいたら、絵が浮かび上がってきて動き出すのが見えたような気がしました。合奏の場面も、3人の姿が見え、音が聞こえるようで、楽しかったです。

    4
    投稿日: 2019.12.20
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    初まかて。兎に角、葛飾応為こと北斎の娘・お栄の人物描写が秀逸。絵に真っ直ぐな、お栄の姿が眩しい。こんなにまで自分を捧げる“何か”があるってのは本当に羨ましい——。ただ物語を描く上で必要だったとは言え、北斎の孫・時太郎が最後の最後までクズすぎて…。評価は星四つ。

    2
    投稿日: 2019.08.19
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    葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)を主人公とした物語。北斎の工房に小さな時から入り浸りいつのまにか自身も絵描きになったお栄。北斎の絵の凄さを身近に知っているが故に、自身の画力に満足せずひたすら研鑽に努める様が心地よい。北斎もお栄も絵を描くのが好きでたまらないというのが伝わってくる。小説にも出てくる晩年近くの作品、吉原格子先之図は、夜の光と影を自分のものとしたお栄の技がよくわかる作品だ。当時としては画期的だったと思う。小説とともにネットで絵を見ながら読むとより一層深く読める。たまたま北斎の浮世絵に影響されたゴッホの人生を描いた原田マハの「たゆたえども沈まず」を読んだ直後だったので、連作のように感じられて楽しかった。観てはいないが、宮崎あおいをお栄役としたNHKのドラマは、宮崎の演技力でこそ表現できたのではないか。

    2
    投稿日: 2019.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2018/4/6 北斎の娘お栄の話。 芸術家の業の話大好物。 とは言え、お栄は芸術家だから仕方ないと周りから保護される部分が少なくもどかしい。 そしてそのもどかしさがなかなか新鮮。 疫病神の甥っ子や弟の嫁なんかは本気で腹が立つんだけどね。あと贋作作らせようとした奴らとか。 家出してくれてスッキリしたわ。 芸術ってやっぱりウチから迸り出るものなのだろうね。 マグマのように溜まっているものがあるのだろうね。 それを写し取るべく技術を磨くのだろうか。 シンプルで美しいよね。

    6
    投稿日: 2019.04.07
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    北斎ほどには知られてないが、彼の画業を手伝いながら、自らも絵師として活躍した北斎の娘お栄が主人公。 史実とフィクションとの融合により、圧巻の時代小説となっている。 表紙は現代作家のイラストかと思っていたが、本書の主人公お栄=葛飾応為作だったとは!! 江戸時代の絵は、浮世絵に代表される平面的な絵ばかりだと思っていた浅学を恥じたい。江戸のレンブラントと謳われるのも御意。 彼女の描いた絵が、後半の章の題名になっている。 「夜桜美人図」 「三曲合奏図」 「吉原格子先之図」 どれも、実物を見たいものだ。

    8
    投稿日: 2019.01.16
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    ひとつのことを極めるというのは、生き方すら凄まじいものにしてしまうのだなと。 其処には男女の別はない。 その人物の覚悟ひとつ。 お栄はそれを生涯貫いた、お見事‼️

    3
    投稿日: 2018.11.14
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    謎多き葛飾応為の人物像を、よくここまで生き生きと描けるなと感服。レンブラントやカラヴァッジォのような光と闇のコントラストを描く日本の画家は応為くらいであり、もっと多くの絵を見たかった。

    2
    投稿日: 2018.11.10
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    葛飾北斎の娘、お栄。偉大な絵師が父だと絵師を目指す娘にはかなりの重圧と思いきや、ひたすらに己の絵を追求する彼女の姿勢には惚れ惚れする。老いた父の世話、とんでもない甥の後始末、ままならない淡い恋、先立つものの無い辛さ。みんなばっと抱えてどんどん前へ進んでいくそのエネルギーに眩々する。

    5
    投稿日: 2018.10.26
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    創作を生きることの糧にしている者なら、ぶんぶん肯首して涙ぐんでしまうシーンが随所に。たまらなかった。 北斎と応為、並べて見てみたい。

    2
    投稿日: 2018.10.19
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    葛飾北斎の三女 応為栄女 こと お栄。 幼き時から、偉大な父の膝で、絵筆を持ちながら育ったお栄。 絵に没頭するあまりに、結婚しても、家事一切せずに、離婚されるのだが、オチベーションの高さで、又、自分の絵が、好きなだけ描けると、喜ぶ。 兄弟子の善次郎とのひたむきな思いも、絵にのめり込むために、必要だったのか? 落語家が、芸の肥やしにと、廓に出かけたような、、、、 父を師と仰ぎ、右腕となっ、風景画も春画も、、、何でもこなす。 傑作の「吉原格子先之図」の説明が、文中に描かれていた通り、表紙の絵が、この当時に描かれていたのとは、、、 凄い腕前であったのだと、、、、 父以上に、遠近法や、提灯の灯りに、人影の動き、そして花魁の衣装の細かさに、目が奪われて、どうして、もっと、世に広まらなかったのだろうか?と、問わざるを得ない。 実生活は、いつも父と一緒に、甥の後始末などで、借金ばかり、、、 天災等でも、ちょっとしたことでも、引っ越しをしなくては、いけなかったお栄。 父が、母よりも、早くに逝ってしまうと思っていたのに、長生きしてくれたことに、絵の才能も、開花して行ったのだろうと思うのだが、、、 人生、子供も持たず、還暦を迎えるのに、兄の家に厄介になるのだかが、、、、 自由奔放、安穏な日々からの出立に、筆1本で、旅立とうとする勇気、度胸、意欲。 その素晴らしさを、朝井まかて氏が、描いている。 時代小説まだまだ、60歳の女が、まだまだ、活躍することを表している所も素敵であった。

    2
    投稿日: 2018.10.07