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公園へ行かないか? 火曜日に
公園へ行かないか? 火曜日に
柴崎友香/新潮社
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総合評価

23件)
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    トランプの大統領就任が決まった瞬間のアメリカの様子が描かれた章がとてもおもしろかったのと、毎回ちらっと現れるリスが愛らしかったのと、音楽や小説や映画だいろいろな国の人とコミュニケーションを図ろうとする姿勢がとてもあ平和的な瞬間、行動だなと感じた。

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    投稿日: 2024.11.28
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    ううむ、アメリカ文化やトランプ当選時の空気感について読みたくて手に取ったのですが、ちょいと期待外れ。著者自身が何度も書くように、英語が苦手だからそこまで深い会話や情報収集ができていないのですよね。「よくわからなかった」「聞き取れなかった」で著者の思考がぶつりと途切れることが多くて苛々してしまった。 それを「ものを分かったような気になって分析しない謙虚さ」と捉えているレビューがあり、なるほどそういう見方もあるかと唸ってしまいました。分からないことを分からないと書ける誠実さ。 海外旅行・留学中って、主に言語力の欠如により自分の得られる情報量が限られている分、物事がシンプルに見えて(本人は気づいていない)、あれこれ語りたくなるものなんですよね。それを自制しているように見える柴崎さんはやはりさすが作家、なのかも。 でも、「英語が苦手だから」があまりにも言い訳的に多用されている気がして…。辛口ごめんなさい。

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    投稿日: 2024.03.29
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    滝口悠生のアイオワ日記、中上健次のアメリカ・アメリカに続いて読んだ、IWPの参加作家の本。 実は柴崎さん自体を読んだのも初めてだったけど、繊細な書き方に引き込まれる。 この人の視点、好きだなあと思った。 読みやすいし丁寧。 ちょくちょく、自分を取るに足らないものに感じられてショックを受ける様子が描かれる。 とくにラストのNY旅行で、アジア人で女で、背が低いから、と扱いが雑にされる様はわたしもよくわかるので苦しくなった。 英語が苦手ながら、周囲の作家たちといい関係でいたいと頑張る様子は新入社員のよう。 でも周囲の人はもっとクールでざっくばらんな感じ。わかるーーーう。 途中、2ヶ月中断を挟んだ本だったけど、時系列ではないパラグラフなので読みやすかった。 ニューオーリンズの幽霊たち、言葉音楽言葉、が面白かった。 映画好き、音楽好きだったことはアメリカ暮らしに幸したはず。 アメリカの博物館事情も興味深い。 アトラクション型や、追体験型がある。なるほど。 ホロコースト記念博物館の話の終わり、ここの警備員が白人至上主義者に撃たれて最近亡くなった、の表示に胸を突かれる。 アメリカは、なんてとこだ、とアメリカにいかなければ、わからないのだし、アメリカにいたことで、日本の社会や日本語での思考に気づくことができるのは普段当たり前にいる世界のレイヤーに気づく好機なんだろう。 同様に、他の国から来た作家の心のうちに想いを馳せたり、自分の大阪弁への思いに気づくのも面白い。 アメリカと野球とか。 柴崎さんの本もいずれ読んでみようと思った。

    1
    投稿日: 2023.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

     最近小説読んでいないのでリハビリ的に読んだ。アイオワ大学のライティングプログラムに参加した話をつづった小説であり、虚実の境が曖昧で日記、エッセイ的な小説でオモシロかった。基本は世界中から集まった作家たちのある種のモラトリアム期間の記録というストレートなオモシロさが一番にくる。アメリカでの生活、参加者間のカルチャーギャップ、誰と何を話したかなど。著者は英語が話せないことを悔いている場面も多いが、それも含めてコミュニケーションの記録であり体験記として興味深かった。例えばこんな風。 *目の前に確かにあるものと、人の意思や関係ややりとりで成り立っていることと、今自分と話している人が思っていること知っていること、私が理解していることが、常に少しずつずれていて、それがときどき重なったりつながったりして、いくつもの層のあいだを漂っているみたいに、暮らしていた。*  以前に滝口悠生さんによる「やがて忘れる過程の途中」という同じくアイオワ大学のライティングプログラムを題材とした小説を読んでいたので大まかな全体の流れは理解していたが、やはり作家が違えばこれだけ書き口、パースペクティブが異なることが興味深かった。一人称で書かれているのだけども、会話描写が少ないからなのか全体に距離を感じた。観察日記的とでも言えばいいのか。起こっていることと自分の考えの擦り合わせについてたくさん書かれている。特にトランプが大統領選で当選したタイミングで当時の現地の空気を日本の小説家の視点で読むのが新鮮だった。もしかすると距離を感じたのはトランプが生んだ分断の空気の影響もあるかもしれない。実際旅行者とはいえその風に晒されているような描写がいくつかあり、あの頃から世界は少しはマシになったのだろうかと考えたりもした。  日本にいるだけでは、相対的な日本および日本語の価値や意味などが掴みにくい。アメリカで英語で周りの人たちとコミュニケーションを取る中で著者による日本語の論考は興味深かった。端的にはこういうこと。いつかいってみたいアイオワ大学。 *ここから見るそこと、そこから見るここ。 ここにいるから見えるそこと、そこにいるから見えるここ。ここにいるから見えないそこ。ここにいるから見えないここ。*

    0
    投稿日: 2023.04.16
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    『公園へ行かないか? 火曜日に』読了。 小説らしいがエッセイのような感覚で読みました。異国のライティングプログラムに参加した主人公。そこで感じる文化の違いや歴史、価値観、社会情勢についてを描かれていた。旅行記は何度か読んだことはあるが留学記は読んだことなかった。とても面白かった。 この方がアメリカに行ったのがトランプ政権が誕生した時だったため、その時のアメリカの様子を知ることができた。本当に白熱した選挙戦だったんだなと。 そして戦争に対する価値観とかも国によって見方が違うのだなあとかも。野球もそう。 世界の広さを知る。アメリカに行ってみたいと思った。 2022.10.10(1回目)

    8
    投稿日: 2022.10.10
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    図書館で見つけたので。小説家と思ったらIWP (International writers program) に参加したエッセイ。アイオワ、NYC、ニューオーリンズ…。情景「だけ」を描写して分析とか心象とかをほとんど書きいれないところが好きだなと思う。 戦争、日本経済の停滞、ニューオーリンズの治安…なんとなく、大事な本だなと思った。買おうかな。

    1
    投稿日: 2022.08.03
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    IWPというアメリカの研修制度に興味があって 関係する書籍をちょこちょこ読むのですが …あれ?小説扱いっていことは 多少の脚色もあるってことかしら。 アイオワの町に2ヶ月近く住んで 大学の用意したプログラムに参加したり 小旅行に行って、文化交流をしたり。 英語が得意ではない上 どちらかというと人見知りっぽい著者が よく参加したなぁ、すごいなぁ、と思います。 でも、そんな性格なりに異国の作家たちと 触れ合ったり、語り合ったりすることで 考えさせられることも多かったみたいですね。 トランプ政権誕生の空気、メジャーリーグの余波 もう〝知らない国〟ではなくなってしまった ともに参加した作家たちの故郷の話。 カバーに、現地で撮った写真が使ってあるのですが うん、たしかに毎朝カーテンを開けて 最初に見るホテルからの風景がこれでは ちょっと気分も盛り下がるかも(笑)

    1
    投稿日: 2021.08.23
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    表紙の美しさに惹かれて手に取り、読み終えて改めて表紙を眺めると、作品内の風景を再度辿るような気持ちになった。文体も激しい盛り上がりなどはないけれども、静かに淡々と日常が描かれる。自分自身の学生時代の異文化理解経験を、どこか懐かしい気持ちで思い起こしながら楽しんで読むことができた。

    0
    投稿日: 2021.04.04
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    柴崎友香さんを初めて知ったのは2015年の7月@国際ブックフェアのトークイベント。その時の対談相手、西加奈子さんとの間で交わされた(力不足で要約できないけど)その日の、降りそうで降らないお天気にちなんだ作家ならではの観察眼の話は今も覚えている。 本書はその翌年(大統領選の年のアメリカで)著者がインターナショナル・ライターズ・プログラムに参加した時のお話。 外国で、(本人いわく)参加者の中で一番英語が苦手だと言う著者が、様々な国から来た作家達と三ヶ月に渡り生活を共にすることでそれぞれの文化を学んだり、心を寄せたり。アメリカ、オハイオ州の広大さシカゴカブスの優勝の瞬間も追体験させてもらえてお得でした。

    0
    投稿日: 2019.09.08
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    小説なのにエッセーのように読んでしまった。 作者のこの時の体験をテーマにした講演を聞いたということもあり、すべて実話であるかのように思ってしまった。 ご自身でも英語があまりできないとおっしゃっていたが、そんなに得意でない状態での3ヶ月、できることとできないこと、とてもリアリティがあった。 英語もっと頑張って、普通の(しかできない)短期留学したいなぁ。

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    投稿日: 2019.08.23
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    一応これは小説、ということでよいのでしょうか。アメリカに語学留学していた頃の柴崎さんの日常を綴ったエッセイのようにも思える。

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    投稿日: 2019.06.19
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     ゆきてはかえる波のように、アメリカでのライティングセミナーの様子が語られる。  最初はよくわからなかったけど、じわじわと言葉の波に足を取られ、楽しく漂えた。

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    投稿日: 2019.02.14
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    紹介文に、小説集とあるので小説をイメージして読み進んだが、これはエッセイだと思う。もしくは異文化コミュニケーション論の資料。直接作品とは関係ないかもですが、期待と現実のギャップを埋めきれない程度の作品。

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    投稿日: 2018.12.31
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    世界には、自分の生まれて育った国とは全く違う歴史や文化背景を持つ国がたくさんあるということを知識として知っていることと、他の国へ実際に赴いてそこで生まれて育った人とのコミュニケーションを通して理解することは次元の違う話なんだと思った。 残念ながら私は日本以外の国の歴史や文化に触れてみたいという好奇心を持つことも、海外に行った経験もほとんどなく、それでも世界中からのニュースを日々見聞きできるけれど、もし他の国で過ごしたりそこの国の人と過ごす経験をしていたら、世界の見え方は変わっていたんだろうか。

    0
    投稿日: 2018.12.19
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    わたしも自分とはちがう(けれど、同じように、わたしとあなたはちがうということをわかっている)人たちに会いに行きたくなった。

    0
    投稿日: 2018.12.17
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    『それを知っているというだけで、なにかが通じたように感じる。共通の背景を確認できれば、わかることがふえる。それはコミュニケーションの重要な要素だと思うと同時に、それはコミュニケーションなのだろうか、とも思っていた』―『It would be great』 この疑問の在り方は、とても柴崎友香らしいと思うと当時に、この作家の少し引いた立ち位置から静かに主張する様に(あるいはそれを謙虚さと呼ぶのが適切なのかも知れないが「よう知らんけど日記」から受ける印象からはそれも少し違うと思う)安心感を覚える。 海外に行くと妙に自分たちの国や文化のことが見えたような気になる。時にそれが災いして、だから○○はだめなんだ、とあたかも自分が初めてそれを指摘したかのように威張って言う人がいて、赤塚不二夫の描くところのイヤミみたいな人はきっと遣唐使の頃から居たんだろうなと妙なことを考えたりする。自分だってついついそんな風にものが分かったような口を利いてしまいがちになるけれど、そこにはきちんと裏打ちされた考察が無いことも多い。だから、さも分かったような気になったことについて何かを語りたくなった時は、よくよく考えてから言葉にした方がよい。 柴崎友香は、もともと疑問符の多い文章を書くイメージがある。あるいはオープンエンドな投げかけが多いと言い換えることもできる。そうであったとしても、初めての海外生活を綴ったこのエッセイには、これまでの作品以上に疑問符が頻発する。そしてそれは、どこか自分自身もかつて感じた疑問であったり、懐かしさを覚えるものであったりする。ああ、似たようなことを自分も東海岸の小さな町で考えたなあとか、何だかサイモンとガーファンクルの歌詞の意味がストレート沁み入って来たなあとか。果たして自分自身がそこから少しは成長できたのか甚だ心許ないが、作家にとってこのアイオワ生活は随分と自分自身を掘り下げる時間となっただろうことが見て取れる。ここから新しい視点や考え方、あるいは表現の仕方などが出て来る予感が大いにする。 『モルタダはエンジニアでもあって、石油関連の会社でも働いていて、幕張に三か月いた、と言った』―『公園へ行かないか、火曜日に』 それは多分、自分も四年程通っていたあの青い大きな施設での三ヶ月。このモルタダは国から選ばれて研修にやって来たエリートであったに違いない。その場所を知っているというたたそれだけのことで、急に分かったような気になる。もちろん、このアラビア語を話す作家の何を知っている訳でも作品を読んだことがある訳でもない。ただそこに単純な共通項を見出しただけのこと。柴崎友香が正しく疑問符を置いたように、それだけで解り合えたように感じつつ何も判った訳ではない。共通のものは互いの共通点を直ちに意味するものではない。それはその通りだが、その互いに知っているものによって作用する共振のようなもの、それはきっとコミュニケーションの根底を成すものなんじゃないかという予感はある。柴崎友香は、それを具体的に言葉にしてくれるのではないか、そんな淡い期待を寄せることができる稀有な作家であると思う。

    2
    投稿日: 2018.11.02
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    +++ アメリカにいるから、考えること。そこにいないから、考えられること。2016年11月8日、わたしはアメリカで歴史的瞬間に居合わせた、はずだった――。世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、英語で議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した3ヶ月。現地での様々な体験から感じたことを描く11の連作小説集。 +++ 限りなくエッセイに近い小説集である。英語が自由に操れず、コミュニケーションが自在に取れないもどかしさの中、アメリカという国にいて、アメリカ以外から集まった作家たちそれぞれの背景や抱える問題、意識の違いなどがリアルにつづられていて興味深い。同じものごとを目にしても、それに対する反応や表現の仕方はさまざまで、それは個性であるとともに国民性でもあり、英語が不自由なゆえに、それらを静かに観察できている様子がよくわかる。日本を離れているから見えること、余計にわからなくなること、その揺らぎが伝わってきて、改めて考えさせられる。等身大の日々が伝わる一冊である。

    0
    投稿日: 2018.10.19
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    ☆3つにしたけど、読んですぐしまったと後悔したのでした。カタカナでも苦手なのに、英語のスペルがそのままで、訳もしてくれない。おバカには無理な本なのでした。 それでも次の予約が回ってこないので我慢してページを拾い、戦争記念館のところとか、トランプが当選したところとか、その場にともかさんはいたのねえ、すごいわねえてな感じでなんとか読了です。

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    投稿日: 2018.09.16
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    ちょうど「GIRLS」を見たところだったので、アイオワ大学の雰囲気がすんなり入ってきた。 外国に行って、はじめて自国の言葉や文化を認識させられる、というのは良い体験だよね。

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    投稿日: 2018.09.15
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    著者の、アメリカでの経験とかそのとき感じたこと、考えたこと、戸惑ったこととかがストレートに心の中に入ってきた。留学してたときのことを思い出した。なにもかもよくわからないまま物事が進んでいって、それは言語が十分にできないことももちろんだけど、それだけじゃなくて、文化や慣習が違いすぎるから。そして日本の生活とか日本にいるからこそ培われた価値観がスタンダードじゃないことに気付かされるし、普段何気なく使ってる「言葉」を深く意識させられることになる。 あとは、火災報知器が原因分からず何度も鳴るのとか、アポなしで部屋に外部の人が来たりするのとかは、海外あるあるなんだなと思った笑 以下引用 日本語では「I」に相当する言葉は多くあって、性別や年齢や上下関係で使い分けられる。・・・話し始める前にそこでの自分の立場、つまり状況が先にあって、主体である自分はそこに合わせることになる。外国語でコミュニケーションをし、日本語以外の言葉を使う人と接していると、自分が無意識に使っている言葉について発見することは多かったし、話すときにどんな意識を持っているか、それはどんな文化や社会のありかたに根ざしているかについて、考えることを突きつけられた。 日本は、民族としての日本人と、日本の国の領域と、日本語を話す人と、その範囲がだいたい重なっていて、それは世界の国の中ではどちらかというと少数派ではないかと、わたしは実感している。・・・アイデンティティ、性別や人種などは逃れられないものだと思う。・・・しかし、そうやって逃れられないものとして意識して格闘することと、生まれたときから決まっている「自然」の「差」として当然のことと疑問を持たないこととは、相当に違う。

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    投稿日: 2018.08.17
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    私小説に当たると思うこの小説集を読んで良かった。IWPに参加した世界じゅうから集まった小説家や詩人たちと、英語が不十分な主人公こと柴崎友香氏がそれでも世界を日本を違ったかたちでとらえる心の動き方は、ワタシをドキドキさせた。文体が好きだ。直接心に響く様に思う。あと、新しい場所で自分以外のみんなが仲良くなって一人に何となくなってしまうところ、めちゃくちゃ共感してしまった。居酒屋に、いったら何となく端っこに座ってしまってはみ出てしまうとかそんな感じ。自分から掴みに行かないといけない、人間関係にめっちゃ疲れててあー柴崎さんも同じように感じているかもしれないなーとか勝手に思ってちょっと嬉しくなったりとか(笑) 張愛玲やトニー・レオン、オラシオ・カステジャーノス・モヤ、好きな作家や俳優のことが出てきて、世界はこういう風に繋がってるねんなって分かったような気もした。同じ時間をどこにいても過ごしてるってこと。時間と距離のこと。大好きな本になった、読めて良かったです。ありがとうございます。

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    投稿日: 2018.08.17
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    すごくよかった。読み終わりたくなかったくらい。 柴崎友香さんが実際に、アイオア大学の、世界各国の作家が集まるライティング・プログラムに参加したときの話。(「小説集」って帯に書いてあったけど、エッセイだよね。エッセイって言っちゃNGなのかな? 小説よりエッセイっていったほうが手に取りやすい気もするけど。わたしも読むまで、小説仕立てになってるのかな?って思ってたけど、エッセイだと思う) 世界各国の作家や詩人が集まって、合宿みたいに大学内に宿泊して朗読会や翻訳会を行ったり、週末には旅行したりするプログラムそのものも興味深く、「留学生活」っぽい話も楽しく、それぞれ話す言葉も境遇も違う作家たちと親しくなっていく話もおもしろいし、そして思いのほか、いろいろなことを考えさせられもした。 たとえば、大統領選挙のときにNYにいて、結果が出る前にサポーターがつくったヒラリーの勝利動画を見て、こういうのがあかんとちゃうのかな、と思ったというくだりとか。大阪出身の柴崎さんは、アメリカでいう「ラストベルト」、工業がすたれて取り残された地域の人々にも共感し、エスタブリッシュメント層のサポーターが多いヒラリーを、NYを、「遠い」と感じたという。 たとえば、日本人は「国」を人がつくった制度とかシステムではなくて、家族の延長みたいな自然にあるものと思っているんじゃないか、と考えるところとか。だから自分たちで「国」を変えようとかどうこうしようとかあまり考えられないというような。 あと、ニューオーリンズの第二次世界大戦博物館を訪れたときの話は胸が苦しくなるようだった。ホロコースト記念博物館の話も。こうした博物館、まるでディズニーランドのアトラクションのようなつくりで、自分が実在する第二次世界大戦中の兵士になったような、ホロコーストを生き延びた人になったような気にさせられるようにできている、っていうのもすごい。 柴崎さんの文章も好き。淡々としているというかおっとりした感じというか。感情をあおるようなところはもちろんなくて、でも情景がすごく見えてくるし、静かな感動とか興奮とかが穏やかに伝わってくるような。 英語がそれほど得意ではないというのとか、話しかけたかったけど話しかけられなかったことがよくあるのとか、旅慣れてないというのとか、そういう、お人柄も好き。

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    投稿日: 2018.08.08
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    柴崎友香が2016年にアイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP)に参加したときの経験を描いた連作短編集。言葉と思考、多様な国から集まる作家たち、アメリカの食べ物、文化、歴史、そして大統領選挙。読みながらまるでそこにいたような気持ちにさせられ、いつの間にか著者と同化する感覚を味わう。なんとなく思考が似ているからかもしれないが、面白い体験だった。 筆致は端正で、英語も大阪弁に変換されるのが柴崎さんならではだな、と思って読んだ。

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    投稿日: 2018.08.02