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文春ジブリ文庫 シネマコミック 風の谷のナウシカ
文春ジブリ文庫 シネマコミック 風の谷のナウシカ
宮崎駿/文藝春秋
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総合評価

10件)
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    映像作品や小説作品等に関して、何度となく題名が耳目に触れて記憶に残っているにも拘らず、その内容を然程詳しく承知していないという場合が多く在ると思う。 題名を承知していて、内容を承知していないという状態に在ったとして、大きな問題は無いと思う。それでも或る時、「あの作品?」と気になる場合が生じると思う。 『風の谷のナウシカ』は、自身にとっては「題名を承知していて、内容を承知していない」の最たるモノかもしれない。他のアニメーション作品に関連する本の存在を知って、それを愉しもうとした際に本書の存在を知ったのである。 知られているアニメーション作品の物語の面白さと画の魅力を漫画のような感じで愉しむことが叶うシリーズを知り、何作かの本を愉しく読んだのだったが、シリーズはこの『風の谷のナウシカ』を契機として順次送り出されていたようだ。 作品は漫画作品を原案として創られたということである。恐るべき兵器を駆使した戦争で文明が損なわれてしまい、生き残った人達とその後裔達が生きる世界となって千年を経た頃が舞台というファンタジーだ。 こうした大胆な設定ということになると「説明」が多々必要になってしまうのかもしれない。が、本作ではそういう「説明」という要素が、作中人物達の言動、作中世界での出来事を介して観る側に順次伝えられる。観る側はゆっくりと作中世界に入って行くことが叶う。 冒頭部、作中人物達がガスマスクのようなモノを着用している様子が出て来る。恐るべき兵器を駆使した戦争で文明が損なわれてしまった後、「瘴気」(しょうき)という有毒ガスを発する「腐海」(ふかい)と呼ばれる森が散在し、その毒を恐れながら人々は暮していた。そして変異か進化かで巨大になった「蟲」が方々に棲息しているような様子だ。 こんな中、荒涼とした地域と、緑豊かな地域とが点在しており、人々は様々な共同体を築いて暮らしている。「風の谷」と地域の通称を冠した共同体では、指導的な人物の下で穏やかな暮しが営まれていた。その指導者の娘で、後継者と目され、住民達から「姫」と呼ばれているのがヒロインのナウシカである。父や年長者の技術や知恵を受け継ぎ、ナウシカは共同体の穏やかな暮しを護り、有毒ガスを発する「腐海」(ふかい)の影響力が弱まるように心を砕いていた。 やがて「風の谷」の穏やかな日々が脅かされる。軍事力を駆使して版図を拡げようと活動する「トルメキア帝国」が動いていた。彼らは「ペジテ市」へ侵攻して征服してしまって、或る重要なモノを輸送機で運ぼうとしていたが、その輸送機が「風の谷」の辺りに墜落してしまう。 この輸送機の墜落が契機で「トルメキア帝国」の軍勢が「風の谷」に現れる。そこに制圧されてしまった「ペジテ市」の関係者も絡み、争いが展開される。こういう状況を何とか解決しようとナウシカが奔走するようになる。 こんな本作の、物語と画の魅力が満載の1冊を夢中で読んだ。旧い作品ということにはなってしまうが、殆ど初めて作品に向き合った自身にとっては新作同然である。そういう意味合いで新作同然と感じてはいたが、本作は長い年月を経ても、断じて劣化等しないと思う。 本作の作中世界では、空を飛び回るメカが色々と使われていて、他方でダチョウのような鳥獣に乗って移動するというような様子や、一部に戦車も登場するが、「文明が損なわれてから千年を経た」という全くのファンタジーである。それでも軍事力を行使する勢力や、それに異論が在る勢力が存在し、「禁断の超兵器」(=文明が損なわれる主な要因になったと見做されるモノ)を巡る動き、毒を発するような、過酷な状態になってしまった環境への対応と、「1980年代に創られた」というように思い悪い程度に「今日的」であると感じた。或いは作品の登場から40年程度にもなる現在こそ「『風の谷のナウシカ』が暗示する何か」が「リアル」になっているような気さえしてしまう。 『風の谷のナウシカ』のアニメーション作品が登場したような頃の後、長く続いた体制が揺らぐような事態や、テロや軍事紛争が相次いだかもしれない。が、近年は巨大な軍事力が蠢き、他方で“無人機”のような威力の他方で手軽なような感じの兵器が平和な街を襲い、不吉な不発弾が多く残り、核兵器の使用を示唆というような話しが何度も伝えられ、恐らく酷い環境負荷が生じているであろう「戦禍」が見受けられるようになってしまっている。こういう禍々しい中であるからこそ、「風の谷」の穏やかな様子を護ろうと奮闘するヒロインの様子が描かれた本作の物語が心に刺さる。 題名を承知していて、内容を承知していないという状態に在ったとして、大きな問題は無いとは思う。しかし、この『風の谷のナウシカ』がそういう状況になっているのだとすれば、それは余りにも残念ということになるのかもしれない。 「今更…」と嘲笑の対象になるようなことかもしれないのだが、本作に出逢えて非常に善かった。

    4
    投稿日: 2025.06.04
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    本当に小さい頃から何回も何回も見てる。本で読んでてもナウシカの声も後ろの音楽も全部聞こえてくる。ジブリはサブスクになくて家に帰らないと見れないけど、この本があれば一緒に色んなところに行けそう。

    8
    投稿日: 2024.05.14
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    本映画は、スタジオジブリ設立前にトップクラフトによって制作された作品(監督・原作・脚本/宮崎駿)で、1984年に公開された。本書は、同名のアニメ映画の全シーン・全セリフを載せた、文庫版のコミック。2013年に、文春ジブリ文庫/シネマ・コミックの第1弾として刊行された。 映画は、『アニメージュ』に連載されていた同名漫画を原作とするものの、第2巻の途中まで連載された時点での作品(原作は全7巻で1994年に完結)であり、最終的な原作と内容は異なる。 物語は、人類の最終戦争により巨大産業文明が崩壊してから1000年が経ち、有毒の森「腐海」に覆われた世界で、生き残った人類は、その森に棲む巨大な虫「大蟲」たちに脅かされていたが、辺境にある「風の谷」で、1000年前に世界を焼き尽くした「巨神兵」を復活させて「腐海」を焼き払おうとするトルメキア国と、「大蟲」を利用してトルメキア国を全滅させようとするペジテ国の戦闘を、「風の谷」の族長の娘・ナウシカが「大蟲」を宥めることによって止め、「風の谷」に再び平和な生活が戻ってくるという、風の谷に古くから伝わる救世主伝説を描いたものである。 ナウシカには、その原作を含めて熱狂的な支持者がいると言われるが、映画版アニメしか知らない私にとっても、戦争による科学文明崩壊後の異形の生態系に覆われた世界を舞台に、人と自然の歩むべき道を示すテーマ設定は、大いに共感を覚えるし、今こそ(作品映画化は、既に36年も前のことなのだ!)改めて問われなければいけないテーマなのだと思う。

    0
    投稿日: 2020.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フルカラーのフィルムコミック。 絶望と希望のディストピア。 【巨神兵 ユパさま 王蟲】色々今の自分の癖にささる

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    投稿日: 2019.08.26
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    【映画の名セリフ・名シーンが鮮やかに蘇る!】オリジナルフィルムを贅沢に使用し、完全新編集で映画の体感速度に限りなく近い躍動感を再現。全1巻にまとめたファン待望の決定版。

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    投稿日: 2014.09.09
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    ジブリ、嫌いや~とか、思っていたのですが、「ハウルの動く城」とか「風立ちぬ」とか、「かぐや姫の物語」とかを見たり、周辺の話を聞くとすごくおもしろいくて。 そして、なによりも、子どもの時に見た(高校生ぐらいか?)「天空の城ラピュタ」はあんまり印象良くなかったのですが、この前、見たらおもしろかったということもあり。 どうやら、感覚が変わってきているみたいです。 年取って、角が丸くなってきたのかも。 ということで、ジブリを再発見ということでジブリ文庫を読むことにしました。 まぁ、しかし、ジブリの教科書の方は読んで楽しいけど、こっちのシネマ・コミックの方は、コミックスではなくて動いているやつが、いるなぁと。 当たり前といえば、当たり前ですが。 それから、実はわたし、原作、後半まだ読んでないので、そっちも読まねば。

    0
    投稿日: 2014.02.24
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    映画を通しで見たことがない気がしたので、読んでみた。 でも、やっぱり映画を見ていないので、よく分からない。 こういう本は、やっぱり映画を見たファンの記念用なのかもしれない。

    0
    投稿日: 2013.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    平和を口にしながらも、生きている限り 1番平和に遠く、地球や他の生物にとって 最も有害な生き物である人間。 自分ももちろんその一人として、平和にボケてしまわず すべての命に感謝し大切に思えるように 1つでもできることをしていかなきゃと、 ナウシカを見るたびに"生きていく"ということの 意味の深さと罪の深さに反省させられる。 雪のように降り積もる美しい死の胞子。 地球の木々と同じように、人間の出した毒を 体内に取り入れて浄化し、綺麗な結晶にして死んでゆく森。 生と死。 毒に脅かされる世界と浄化された死のあとの美しい世界。 相対する世界の狭間で必死に命を守ろうとするナウシカ。 言葉を使い互いの気持ちを伝えあえるからこそ、 人間にしかできない大切なことを地球に還元しながら 美しい地球の命を繋いでいけたらいいなぁ。

    7
    投稿日: 2013.07.17
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    名作「風の谷のナウシカ」の映画のコミック本。 映画自体が原作の漫画の連載中に製作されたため、 原作とは異なる内容になっている。 本作は映画の方を文庫コミック化したもの。 もちろん大きいほうがいいと思うけど、 ナウシカの作品の世界観とキャラクターの母性には原作漫画にしろ、映画にしろ感動する。 また映画がみたくなる一冊。

    0
    投稿日: 2013.06.16
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    DVDやTV放映されるたびに何度も見返したナウシカが、シネマの映像をそのまま切り取って書籍化されるとは! これでいつでも見返せる。個人的にはラピュタも今月シネマコミック化されると聞いたので、そちらが待ち遠しい!

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    投稿日: 2013.05.03