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償いの雪が降る
償いの雪が降る
アレン・エスケンス、務台夏子/東京創元社
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総合評価

71件)
4.1
24
27
11
3
0
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    お星様★7〜8個くらいっ!! ミユキさんのレビューがきっかけで購入しました♪ 私はとにかく翻訳モノは苦手でして、、、 まず自分から買ったりしないのですが、ミユキさんとのコメントの中で、師匠が感情移入型の私にビタっとハマると教えて下さり、即Amazonでポチりました! そして! Amazonなのにちゃんと届きました (๑˃̵ᴗ˂̵)و よっしゃ! 最近Amazonを信じていない私(笑) うわぁーーーー!!! これ、最初っから全力で面白いです!! 突き抜けて面白いです!!! 真ん中も面白いですっ!!! 最後まで面白いですっ!!! 何これ!? 最高じゃないですかっ!!! お星様5個なんかじゃ全然足りませんて! 面白すぎですって! だいたい展開は読めるんですけど、読めても面白い。ってか大好きなヤツ(*´꒳`*) これはシリーズ全部買いたいわぁ♡ 主人公のジョーが、ただのボンボン学生とかではなく、過去に秘密があったり、毒親との関係、また自閉症の弟、隣に住むライラとの関係。これら全てがうまいこと物語に作用しているんですよね〜。 いいです!こういうの大好きですっ! 師匠、ミユキさんっ! ありがとうございますm(_ _)m 過去の罪と真実をめぐる心揺さぶるミステリー。 大学生ジョーが末期がんの元服役囚カールと出会い、彼の「臨終の供述」を通じて30年前の殺人事件の真相に迫る。 ジョーは大学の授業で、身近な年長者の伝記を書く課題を与えられる。 カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、仮釈放後に施設で余生を過ごしている人物だった。ジョーは彼から話を聞くことに。 ジョーはカールの話を聞くうちに、事件の真相に疑問を抱き、独自に調査を始める。 隣人のライラや弟ジェレミーと関わりながら、真実を追い求めていく。

    112
    投稿日: 2025.11.02
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    ひまわりめろんさんお勧めの海外ミステリー本 登場人物はそこまで多くないはず… 本を開いてびっくり!登場人物21人(前回読了した海外ミステリは登場人物5人) 第一章から母としての役目を全くしていない母親と自閉症の弟ジェレミーのことで、時間とお金と心を奪われ、それでも最善の方法を考えて行動する主人公ジョーに強く惹かれました   ジョー、ライラ、もちろんカールやヴァージルも、環境であきらめたり、期待したりそれぞれの生き方には時代背景も感じます 印象的なライラの言葉 「誰にでも背負うべき荷物はあるものでしょ」 「なんの障害もなく生きていける人なんていない」 カールのベトナム戦争の体験談 ジョーの車中からの脱出劇 最後の決着 私には刺激が強すぎましたが、怖いところは速読で切り抜けました ジョー、ジェレミー、ライラにはこれからも仲よく力を合わせて幸せになってほしいと思いました 特にジェレミーにはいつも心穏やかに幸せでいてほしいかも カールは十分に雪が見られたのでしょうか 雪が印象的な作品でした 作品名も翻訳なのでしょうか 絶妙な作品名だと思いました 理不尽なことが多い作品でしたが、頑張り続けたジョーのおかげで私も読了することができました

    122
    投稿日: 2025.10.24
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    先が読めてしまうストーリー展開で、多少物足りなさはあったが、楽しめた。 犯人はもちろん、主人公ジョーの母親など不愉快なキャラクターも多いが、悲惨な家庭環境にも関わらず強く優しく穏やかなジョーは魅力的。 自閉症の弟を守り続ける姿も心温まる。

    3
    投稿日: 2025.08.28
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    良い小説だった。 帯に書いてあった様に、読み進めるほどに心温まる。 自閉症の弟、ひとでなしの母親に関する記載が始めはちょっとくどいかな、と思えたけど良いアクセントなんだな。 良い作家に出会えた。他の作品も楽しみ。

    0
    投稿日: 2025.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ストーリーは面白くて一気に読んだ。 けど、住所バレてるのにライラとジェレミーを連れて家に戻ってくるのは解せない。

    2
    投稿日: 2025.05.16
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    とても面白かった。30年数年前に起こった事件の謎を追うパートと、主人公が抱える家庭の問題や隣人との人間関係の進展を見守るパートが交互に続くのだけど、どちらも登場人物たちの罪の告白をきっかけとして、話が大きく進んでいく。最後の方は「間に合うのか?間に合わないのか?」とハラハラ。邦題のセンスがいいなあ。読み終わって、表紙を見なおしてそう思った。

    0
    投稿日: 2025.04.27
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    「告白」がテーマになっている作品と感じた。 あととあるキャラの「生きること」についての見解がかなり印象的で覚えておきたいと思った。 話の根底にある事件のその犯人はかなり胸糞悪いし主人公の周囲にもろくでもない大人が複数いるけれど、それを覆すくらい主人公と味方になるキャラが魅力的なので気持ちよく読めた。

    0
    投稿日: 2025.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネットで見かけて。 学校の課題で過去の殺人事件を調べ、 危険に身をさらしながら冤罪を晴らす。 比較的最近同じような設定の「自由研究には向かない殺人」を読んだので、 どうしても比べてしまった。 「自由研究」の方が、 主人公が高校生と若く、育った町で起こった殺人と身近で、 SNSを駆使すると新しく、謎解きとして意外なひねりもあって、 ぴりぴりする感じがして面白かったように思いながら読んでいた。 それに対して、この作品はアルコール依存症の母親と自閉症の弟を抱え、 祖父が水の事故で亡くなったのは自分のせいだと悔いており、 話を聞き始めた殺人犯は、 三十年以上刑務所暮らしのあげく末期がんで苦しんでいる、と現実的だ。 被害者の少女の日記に暗号が書かれていて、 それを解読することが真実への突破口となる、という展開は 現実的かもしれないがちょっと安直で残念。 主人公が閉じ込められた車のトランクから逃げ出し、 自力で山から下りていくところや、 恋人を人質に取られ犯人を駆け引きしながら助けに行くところが、 等身大ながら必死に頭をひねって難関を突破しているところが好感が持てた。 冤罪を晴らせたことを本人に伝えられたのも良かったし、 犯人逮捕の懸賞金を手に入れて、 無事大学生活を続けながら弟と一緒に暮らせるようになったという、 サクセスストーリーだったところも良かったのかも。 この作品も面白かった、ということで良いと思う。 そして、 「The Life We Bury」という原題とは全く異なっているが、 長年刑務所にいて雪を見ることのなかった殺人犯、いや被害者にとって とても重要な意味を持つ「雪」にスポットをあてたこのタイトルは素晴らしい。

    0
    投稿日: 2024.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・あらすじ 大学生のジョーは課題で身近な年長者の伝記を書くことになった。 祖父母、父親はおらず母親はアル中という家庭環境のため題材探しのために訪れた先の介護施設で14歳の少女の強姦殺人の罪で服役していたカールを紹介される。 カールは膵癌のため余命宣告を受けていた。 カールにインタビューをする中でカールが無実ではないかと疑いを抱いたジョーは独自に調査を開始する。 ・感想 定番、王道な展開だった。 王道は嫌いじゃないけどもうちょっと何かが足りない。 面白くない訳ではないんだけど…キャラクターの味付けも事件も全部ありふれてる感じがした。 ミステリーというよりサスペンスかも。 サスペンスにしても起こる出来事が全部予定調和っていうか終始予測可能な範囲内で展開してた。 ボーディの子供時代である4作目を1番最初に読んだからボーディが出てきたの嬉しかった。

    2
    投稿日: 2024.09.13
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    すごく読みやすい海外ミステリーでした!とはいえ、ミステリーよりもサスペンス色が強め。30年以上も前に有罪が確定し、今は病気で死を待つばかりの人物の冤罪を立証しようとすると主人公の話。ハラハラする場面もあり、面白かったです。今作で登場した人物で、主人公でなかった人物が、次作め以降は主人公などで登場するようですので、今後世界観が広がっていきそうで、この作家、追っていきたい作家の1人になりました!

    0
    投稿日: 2024.08.11
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    英語の課題を終わらせるためだけに動いていたジョーだったが、カールへの印象、当時の捜査資料から次第に冤罪の可能性を信じだして自分から積極的に捜査しだす。ジョー自身の不遇な家庭環境から奪われた自主性を取り戻し、ジェレミーとライラと共に未来を切り開いていく今後が楽しみ。何度も窮地に陥るが、精いっぱい頭を使って乗り越えていくシーンはとても良かった。

    0
    投稿日: 2024.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    21歳の大学生ジョー。伝記作成課題の対象にカールという余命わずな殺人犯(少女強姦殺人犯罪)を題材に。冤罪であることが分かってくるが、解決する意思の無いカール。真実を追うジョー。 自閉症の弟 無責任な母と暴力を振るう母の恋人 胸につっかえる祖父の死 カール 冤罪 ベトナム戦争での殺人と殺害 自殺の直前に逮捕されたこと 日記の解読 継父 真犯人

    2
    投稿日: 2024.07.09
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    作者の3作目が刊行されたので、あわてて積読の第1作を読み始める。内容も評価も出版当初からあちこちで目にしていて、ほんとにそんなに上出来なの?とやや斜に構えて手に取ったのだが、 いや面白かった。母親と自閉症児の弟との関係もそんなに重過ぎずからむので、サブテーマが深すぎて辟易することもなく読了。いい話でした。

    5
    投稿日: 2024.04.29
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    めちゃくちゃ良いバンドの1stアルバムを聴いたときみたいなワクワク感がある。 主人公が若くてガンガン行動するタイプゆえに粗い感触も味わえるんだけど、それはあくまで表面の手触りであって、中身はしっかりと密で巧く練られてる。 真犯人は?ジョーの家庭の問題と進路は?ロマンスの行方は?ジョー絶体絶命!っていうラインを追いかける“動”の波と、ジョーとカールの心が少しずつ近づいていく“静”の波が両側から打ち寄せて見事にクライマックスまでボールが運ばれていくその手腕。 続編あるんすか?あざァす!!

    0
    投稿日: 2024.04.04
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    余命幾許もない元受刑者の老人と知り合った青年が約30年前の殺人事件の真相を追う縦軸に、躁鬱病の母親と自閉症の弟を抱える彼の家族問題、アパートの隣に住む女子大生とのロマンスという横軸が絡み合う豊潤なミステリー小説。海外ミステリーを読み慣れていれば中盤で真犯人の予想がつくだろうし、その後の展開も決して目新しくはない。しかしながら、不完全なヒーロー像を体現する主人公・ジョーの奮闘ぶりや爽快感溢れるラストシーンといい、実直かつ熱量のある作風が魅力的だ。ジョーが主人公の正式続編があるようなので、そちらも読むつもり。

    0
    投稿日: 2024.02.19
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    大学生のジョーが、末期癌患者カールの冤罪を晴らすべく、事件の真相に迫る。前半は、ジョーの複雑な家庭環境やカールの半生が語られる。後半は、緊迫感に満ちた、犯人との格闘が綴られる。ハラハラする展開であるが、読後感は良い。自閉症の弟ジェレミーも愛らしい。

    0
    投稿日: 2023.10.06
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    ミステリというよりもスリラー色が強い。謎解きあり、サスペンスあり、人間ドラマもきちんと盛り上がりと読者を楽しませてくれる。ただ、この手の小説はあちこちに溢れていて展開が読めてしまうのが難点(こういうタイプの小説に意外性を求めるのはお門違いかもしれないが)である。ストーリーテリングはしっかりしており、佳作といったところだろうか。

    0
    投稿日: 2023.08.26
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    む。なんか皆さんの評価が高い。むむ。自閉症の弟の面倒を見ながら学生をやっている主人公。課題で老人にインタビュー取材。老人ホームに行ってみる。職員に紹介された人物は、無職の罪で裁かれ、病気であと数ヶ月の命だった。まあ色々あって、この主人公が隣に住む好きな女性と協力してなんと、老人の無実を証明してしまう。。。。もーごめん。途中からなんかひいてしまって、「ありえんやろ」しか感情が浮かんでこず。ちょっとサクサク展開しすぎて、もうちょっと困難が途中にあれば面白かったかも。

    0
    投稿日: 2023.07.28
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    主人公の大学生のジョー・タルバートは、授業で身近な年長者の自伝を書くことになる。 身近に年長者がいないジョーは、介護施設を訪れ、末期癌患者のカール・アイヴァソンを紹介される。 カールは30数年前に少女暴行殺人の罪で服役していたが、病状が進み、仮釈放されて施設で最後の時を迎えようとしていた。 ジョーは断られるのを覚悟で、カールにこれまでの人生を語って欲しいと願い出る。 裁判でも自らの犯罪に全く弁解をしなかったカールは、なぜかジョーの申し出を受け入れ、臨終前の供述を語ることになる。 カールの話を聞き進むに従って、ジョーは事件に疑念を抱くようになり、真相を知るために行動を起こす。 果たして事件の真相にジョーは辿り着けるのか⋯

    0
    投稿日: 2023.07.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    カールもジョーもいい人やん。 こういうのを久しぶりに読むと、なんか安心する。 ミステリ読後の安心感というか、小さな希望はやっぱ必要じゃないだろうか。 ジョーのオカンは、なんとかせな、な。

    2
    投稿日: 2023.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ジョーの大学の課題は身近な誰かの伝記を書く事だが、彼には適当な身内がいないため介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。 カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、今は死の直前なので仮出所が許され施設で過ごしている。 カールはインタビューを了解し過去を語りだす。 以下 ネタバレです。 設定から見てカールは冤罪で、ジョーがその冤罪を晴らすストーリーなのは最初っから分かります。 真犯人も特に意外性はなく、かなり早い段階で推測できます。 カールの語りの中に真犯人や冤罪の証拠が有るのかと思いましたが、そこもチョット違う。 また幾つか引っかかる部分の内の一つで、カールが30年前に裁判を急がせた背景がスッキリしませんでした。 と、面白くなかったかのような感想を書きましたが、全般的には登場人物が皆個性的でストーリー展開も早く大変楽しめました。 原題 “The life we bury” の直訳ではなく、邦題の「償いの雪が降る」は雰囲気が良く出ていると思います。

    0
    投稿日: 2023.02.27
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    久しぶりに軽く読めるフィクションを読みたくなり、ならば文学作品ではなくミステリかなと思って適当に目についたものを図書館で借りてきた。 なんの前知識もなく読んだのだけど、読み終わってこのサイトで他の方々の感想を見て驚いた。すごく人気があるんですね。大絶賛の嵐。 うーん、私はあんまり乗れなかったな。 訳がそもそも微妙だと思った。日本語がおかしいとかいうレベルでは全然ないんだけれど、直訳すぎるというか、いまひとつこなれていないというか。 ストーリーそのものも、昨今は犯罪捜査系の衝撃的なまでにおもしろいドラマが巷にあふれているので、それらと比べてしまって、もう一つかなぁという印象でした。 特に、キャラクターにあまり魅力を感じなかった。 ドラマは俳優個人の魅力が加味されて、喋り方や雰囲気なんかの三次元的なおもしろさが加わるから、文字だけの小説はそのあたりドラマと比べられると不利なのかもしれないけど、でも、文字でしか表現できない魅力もあると思うんですけどね。 ところで、この本のヒロイン、ライラの人物像って、アメリカのオタク系男性にとっては理想のタイプなんでしょうかね? 美人(なのは、全世界共通のヒロイン必須条件だから当たり前だけど)で、気が強くて、主人公も最初は全然相手にされないけど、最終的には特に理由もなく気に入られてヒロインの方から自発的に脱ぐ、というキャラ。 私にとってはデジャブ感がハンパなくて、しかも特に魅力的な人にも思えないので「あーまたこのタイプかよー」って残念に思った。

    0
    投稿日: 2023.02.03
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    購入済み 2023.02.19.読了 なかなかよかった。 犯人探しという視点からするとこの人たちしかいないよね。となるのだが。。。 ジョーと亡くなったお祖父さんとの関係、アイヴァソンのベトナム戦争での体験や自閉症のジェレミー、ライラの悲しい記憶など登場人物それぞれが何かを抱えて生きてきた過去が興味深く、あっという間に読了してしまいました。 最後の最後にドキドキハラハラ。映画でも観ているかの如く、映像が頭の中に浮かびました。 続編も購入済み。とても楽しみ

    0
    投稿日: 2023.02.01
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    ジャケット、タイトルの素敵さから購入。 面白かったです。 アレン・エスケンスさんの日本デビュー作。 主人公のジョーは、毒親、自閉症の弟をもち、大学の学費を払うにもなかなか払えないという苦境にある。 それでも勤労しながら大学に通っている最中、レポートを書くため、老人介護施設で入所者にインタビューをすることになった。そこで出会ったのは、かつて少女を斬殺して有罪となった凶悪犯カール。 さて、どうなるのかといった… 非常に重たい出だしから始まるも、最後はとても印象的なラストを迎える。 少しハッピーエンドすぎるんじゃないかなあ、という。 それにしても 『The Life We Bury』の邦題が『償いの雪が降る』、これは意訳しすぎですよね笑  

    0
    投稿日: 2023.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ジョーはミネソタ大の学生。英語の授業で身近な年長者の伝記を書くことになり、介護施設を訪れ、語る人を紹介してもらう。それは30年前隣人の少女キャシー暴行焼死の罪で有罪となった男カール。末期がんとなり刑務所から出され施設で死期を待っているのだった。 ジョーの家庭が過酷だ。2才下の自閉症の異父弟。共に父の顔は知らない。母はアル中でしばしば弟を家に残し、現在の彼とギャンブルに行き、飲酒運転で捕まってはジョーがアルバイトでためた金から保釈金を払わせる。でもジョーはやはり母を必要とし、弟も愛しいのだった。 そんなジョーの下宿の隣に住むのが同じ大学生のアリス。アリスも過去ありで・・ だが、アリスの協力のもと、カールの事件の真実に迫ってゆく。 そしてまた、カールが殺害したと言われる少女も、継父とその連れ子の兄、母という家族。なんとなくこの家族構成でもしや、という想像はつくのだが。 そしてカールのベトナム戦争での体験。そんなこんなで、瑕持つ人々の過酷な事件。事件の解明はとんとんとうまく進みすぎるが、ジョーとアリスはとても前向きだ。そして自閉症の弟も尊厳を持って生きている、という描き方。そこが読んでいて面白い、と感じるところなんだろう。 フランス語版ウィキより Allen Eskens:1963.3.17生まれ。 マックス・ルパートシリーズ(償いの雪が降るで出てきた刑事) 私たちが埋める人生(償いの雪が降る)The Life We Bury(2014) 別の装いThe Guise of Another(2015) 天国は落ちるかもしれない(たとえ天が落ちようとも)The Heavens May Fall(2016) ディープダークディセンディングThe Deep Dark Descending(2017) 私たちが隠す影(過ちの雨が止む)The Shadows We Hide(2018) その他 これ以上危険なことは何もないNothing More Dangerou(2019) 盗まれた時間The Stolen Hours (2021) 2014発表 2018.12.21初版 図書館

    5
    投稿日: 2022.12.17
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    主人公のジョーは大学生で、アル中の母と自閉症の弟がいる。まったく親として機能しない母と、弟の世話、そして大学生活との板挟みで苦労しながらも、大学の課題として少女暴行殺人で有罪となったカールにインタビューをすることになる。カールと接していくうちに彼が無実ではないかと思い始めて・・・というストーリー。ベトナム帰還兵のトラウマ、それによるカール自身への仕打ちが判決を早め、末期がんとして横たわるカールの心中ははかりしれない。彼が犯人でなければ登場人物は少ないので、ある程度犯人は絞りこめる。犯人に驚きはなくても、いかにもアメリカらしい犯人の最後、主人公の救済があり、ドラマのような展開でおもしろく読めた。主人公は“平凡”という設定だが、土壇場でも適格に判断できる頭の良さ、ろくでもない男たちを撃退する運動神経、堂々と大人達とやり合う度胸の良さ、自分の利だけで流されない愛情深さは正にスーパーヒーロー。続編もあるとのことで楽しみ。

    0
    投稿日: 2022.11.27
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    これは、映画で観てみたい。すごく静かなんだけど、力強いストーリーで素敵な映画になりそう。海外ミステリーは翻訳の文章が苦手であまり読まないけど、この本はとても読みやすい。 登場人物も多くなく全く頭に入らないカタカナの長い名前もない。途中ベトナム戦争の描写もあり、時代と場面が変わり飽きることなく読了。自閉症やヤングケアラー、ネグレスト、心が痛い場面も出てきたが、ジョーやライラ、ジェレミーの人柄が素敵で、みんな重たいものを抱えているのに深刻になりすぎず、前向きな姿勢が好感が持てる。肝心のミステリーの方も途中ハラハラドキドキの手に汗握る場面もあり、最後までストーリーを楽しめます。

    5
    投稿日: 2022.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公のジョーに感情移入出来て応援してしまう 弟もライラも良いキャラで事件解決までの流れも良かった 母親が面倒な人だったが、事件と関係ない面での話が本筋に嫌な絡み方をすることが無かったのも良かったし、サクサク進んだ。 事件自体がシンプルでもう少し何かあっても良かったが、それ以上に登場人物が魅力的で気にならなかった 続編が読みたい

    0
    投稿日: 2022.10.25
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    これ面白い!また凄い作品に出会いました。 大学の授業で身近な年長者の伝記を書くことになったジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最期の時を過ごしていた。話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始める。といった内容。 最初のうちは授業の課題をこなしたり、隣人ライラに恋をしたり、自閉症の弟ジェレミーの面倒を見たりと普通の大学生といった感じだが、ジョーの事件の真相に近づくにつれて運命を大きく変えていくことになる。 また、作中でライラが言った 「誰にでも背負うべき荷物はあるものでしょう」 の一言が印象的。 カールは少女暴行事件、ジョーは自閉症の弟とどうしようもない母親、そして祖父の死の真相、またライラも辛い過去の出来事。 登場人物みんなが何かしらの荷物を背負っている。 とにかく素晴らしい作品。是非読んでみて!

    24
    投稿日: 2022.10.23
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    彼を応援したくなったとの声に同意の挙手を。 私なら家族の問題だけでお手上げだったかも。 そのことに悩み振り回されながらも、同時に事件解明への意思も徐々に固くしてゆく。 蘇る苦い記憶。迫る死。ただの授業の課題だったはずなのに…。 過去のくさびを持つカール、穢れを知らないようなジェレミー。それぞれそこいるだけで、周囲の空気の色合いが違って見えるような気がした。 後半は、エキサイティングなシーンが畳み掛け盛り上げる。 ジョーとカール、よくぞ出会ってくれたと思う。

    5
    投稿日: 2022.08.22
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    理不尽な境遇の中、自分の人生を切り開こうと奮闘する主人公のタフさ、自閉症の弟を思う優しさ、応援したくなる。 最後の方はハラハラドキドキ!手に汗握る怒涛の展開!圧巻!

    9
    投稿日: 2022.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    期待して読み始めたのだが、途中から物語の進み方が強引だったり、つじつまがしっくり合わないところが目立ち始めてさほど面白いと思わなかった。学生が独自に過去の殺人事件を調べて犯人の無実を明らかにするというストーリーは「自由研究には向かない殺人」と似ていて、(こちらの方が発売は先なのだが)情報集めの過程や暗号を解く過程も自由研究〜の方がじっくりと時間をかけて謎に迫っていたのに対し、こちらは暗号が簡単に解けすぎていたり、大怪我を負ったのに病院も行かず何事もなかったかのような行動を取っていたりと登場人物に感情移入しにくかった。

    1
    投稿日: 2022.07.17
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    真っ直ぐなキャラはまずまずだが、単独行動でピンチってのが繰り返されるとストレスになる。あと、家焼けばDNA消滅ってところには疑問。 次作はどうか?

    0
    投稿日: 2022.06.19
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    アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『償いの雪が降る(原題:The Life We Bury)』を読みました。 ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。 -----story------------- 余命わずかな殺人者に、僕は雪を見せたかった。 バリー賞ほか3冠! 心揺さぶるミステリ 授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。 カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。 カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。 話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが……。 バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作!  訳者あとがき=務台夏子 ----------------------- 2014年(平成26年)に刊行された著者デビュー作… ジョー・タルバートシリーズの第1作です。 母子家庭で育ったジョー・タルバートは実家を出て念願の大学進学を果たす… 授業で身近な年長者の伝記を書くことになり、祖父母も父親もいないため介護施設を訪れたところ、末期がん患者のカール・アイヴァソンを紹介される、、、 カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、病気のため仮釈放され、施設で最後の時を過ごしていた… カールは臨終の供述をしたいとジョーのインタビューに応じる。 カールやベトナム戦争での戦友ヴァージル・グレイの話を聴き、裁判記録や証拠写真を確認しているうちに事件に疑問を抱くようになったジョーは、常に問題を起こしている母親や自閉症の弟ジェレミーのトラブルを解決しつつ、アパートの隣人で美人女子大生のライラ・ナッシュとともに真相を探り始めるが…… 。 面白かったー デビュー作とは思えないほどの秀作でしたね、、、 素人探偵として活躍する主人公のジョーが魅力的で共感できる人物に描かれているのが印象的… 大学に進学して実家を離れて、パブの用心棒のアルバイトで稼ぎながら一人暮らしをしているが、ギャンブルやアルコールに溺れがちで常にトラブルを起こす母親(毒親)や自閉症の弟のフォローが欠かせず、祖父の死に関わる心の傷を抱えているという設定に共感してしまうし、正義感と無鉄砲とも思える行動力でカールの冤罪を晴らそうとする姿をハラハラしながら、そして応援しながら読み進めました。 物語の展開もバランスが良いんですよね… 終盤に意外な犯人が判明するミステリ要素も愉しめますが、恋愛小説、青春小説、冒険譚、ヒューマンドラマとしての要素が絶妙なバランスで織り込んであり、これもなかなか良い感じ、、、 本シリーズは続篇が刊行されているので、是非是非読んでみたいですね。

    0
    投稿日: 2022.06.09
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    大学生のジョーは授業の課題として、伝記を書くことになった。身近に年長者がいないジョーは介護施設で元服役囚のカールを紹介される。カールは少女暴行殺人で有罪になり、癌で余命わずかのため釈放された。裁判の過程に疑問を持ったジョーは三十数年前の事件を調べ直し始める。

    0
    投稿日: 2022.05.29
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    いや〜よかった〜! 主人公のジョー(大学生)がとにかく頑張るの! 身体ボロボロで(/ _ ; ) 読んでるこっちも必死になる笑 事件とは関係無いけど弟のジェレミーが可愛い‼︎ ひまわりめろんさん☆5以上レビュー ありがと〜\(//∇//)\

    11
    投稿日: 2022.05.21
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    いやはやとんでもない もちろん自分の記憶の整理整頓のために読み終わった本に★をつけているわけです 加えて一応それなりの基準があるわけですが ★5じゃ足りないと思える傑作には「★5じゃ足りない」というタグを付けています これは自分の感覚的には★8くらいなんです そして今月「★5じゃ足りない」大大傑作がもうこれで4冊目ですよ! 幸せだな〜 主人公ジョーにめちゃくちゃ感情移入できるんですよね ていうかめちゃくちゃ応援したくなるんですよ 隣に住む女の子ライラへのアプローチもそう 弟ジェレミーへの接し方もそう そして元服役囚カールのために奮闘する姿に対しても とにかくジョー頑張れ!!って気持ちがずっと続くんです それはジョーが女の子を一目で恋に落としてしまう外見を持ってる訳でもなく 次々と問題を解決して真相に近付いて行くよう天才的な閃きを持っているわけでもなく むしろうまくいかない事の方が多くて葛藤したり時には致命的な失敗をしたり そして好きな女の子はなかなか振り向いてくれないし だけどジョーは自分の出来る最大限をなんとか実行しようと頑張ります だから応援したくなるしジョーはさらに必死で応援にこたえようとしてくれるのでどんどん好きになるんです この魅力的な主人公と旅を続けることで最高に感動的で最高に幸せな結末を迎えることができました 泣けるぜ!

    43
    投稿日: 2022.05.08
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    タイトルと表紙と帯からしみじみとした大人のミステリーを想像していたら、『自由研究には向かない殺人』と似た設定のサスペンスフルな青春ミステリーでした。但し、あっちのピッパは複雑な家庭環境ながらも温かい家族に恵まれ、こっちのジョーの親はアル中DV。 大学の課題で身近な年長者の伝記を書くことになったとき、親には近寄りたくないから老人介護施設に入居する余命わずかな他人、しかも元殺人犯から話を聴いて冤罪を確信します。 隣人の女子学生やジョーの自閉症の弟との関係性がイイ。ピッパ以上に無謀でハラハラさせられたけど。面白い。

    0
    投稿日: 2022.02.06
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    三十数年前の少女暴行殺人で有罪となった男(末期癌で余命幾ばくもない)の冤罪を証明のため、危険を顧みず真相究明に挑む、ミネソタ大学の学生(ジョ-・タルバ-ト)と彼を取り巻く複雑な人間関係との葛藤を描いたクライム・ノヴェル。 酒に溺れる母親と自閉症の弟を抱えながら苦学する主人公、登場する人物たちの過去のつらい記憶、誰にも言えない秘密、心を苛む罪の意識が掘り起こされていく、心に染みるこの物語は、ミステリ-とサスペンス・スリラ-の要素を併せもつ小説の醍醐味が堪能できる秀作。

    4
    投稿日: 2022.02.01
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    ジャンルで言えばハードボイルドだろうが、タイトルが示す通りかなりウェットな内容。 主人公もヒロインも若いことに起因するのだろうが、”孤高の探偵が汚れた街を行く”などという雰囲気は全くない。 大学のレポート課題で偶然に終身刑者にインタビューしたことをきっかけに、30年前に起こった殺人事件の謎を解くという展開だが、話はシンプルだし、キャラもさほど印象には残らない。 どのキャラのエピソードもどこかで聞いたり見たような話ばかりだし、犯人に至っては大体想像通り。 それでもこの小説を魅力あるものにしているのは、作者の筆力に尽きる。ちょっと修飾過剰の気はあるが、比喩や例えが抜群にうまいうえに、季節や環境をもうまく写しとっていて、その優しいリズムで読み終えられるし、読後感もよい。 このキャラでの次作はきついかもしれないが、作家としての力量はあるので次回作が楽しみ。

    1
    投稿日: 2022.01.08
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    良い作品です。丁寧に描かれています。 人物描写が良く、特に主人公には感情移入してしまいます。 展開は、まあ、ベタですが個人的には好きです。 終わり方がイマイチで、消化不良的後味ですね。最後の最後でタイトルに還る描写にして欲しかったな。 五十嵐貴久先生とか、太田愛先生ならきっと最後のフィニッシュにもっと神経使っただろうな。 たぶん、訳者の方が上手で、それに助けられていると感じました。 ー

    4
    投稿日: 2021.08.23
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    面白かった。希望を感じさせつつもほろ苦いラストがいい。 序盤の30ページくらいはなかなか頁が進まなかったけど、裁判の資料を取り寄せたあたりからぐんぐん勢いがついてきて、そこからは一気に読んでしまった。 事件の真相はすぐに想像がつく(実際ほぼその通りだった)。だが本書の見所はそこではない。 何故そうなったのか?真相をいかに証明するか?その過程でこれでもかと発生するトラブルの数々…。 事件絡みを抜きにしても、主人公ジョーの人生は苦難の連続だ。時には逃げ出したり、見て見ぬふりをしながらも、少しずつ前進していく。 苦学生、死期がせまった人との交流、というのでなんとなく本多孝好の「MOMENT」を思い出した。

    1
    投稿日: 2021.08.22
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    シングルマザーの母親は飲んだくれのアバズレ(死語?)。弟は自閉症。母親や世間から弟と我が身を守りながら必死で高校を卒業し、そして大学入学を期に家を出た主人公、ジョー。 大学の授業で身近な年長者の伝記を書けというレポートが出て、そんな人はいないジョーは近くの介護施設にいる末期がん患者のカールの伝記を書くことにする。彼は三十数年前に少女を暴行して焼き殺したという罪で有罪となっていた。 カールを知るためにジョーは彼の過去を調べ、事件のことを調べていく。 ジョーは実に普通の青年で、自閉症の弟を守らなくてはと思いつつも、弟と喧嘩したりするしずっと家族に縛られるのはゴメンだと家を出たりする。それでも母親が警察に捕まっでしばらく戻れないと分かると弟を自分のアパートに連れてきて面倒をみたりもする。 そのあたりの心の揺れ動きが、聖人ぶっているでもないごく普通の青年の感情として描かれていて、共感させる。 カールは世を捨てた風の言動で、彼の無実を信じようとするジョーをやきもきさせる。 だがジョーは事件の真相を調べるべく、抜群の行動力で動き回る。 わけもわからないまま、いろんな人の知恵や力を借りて事件の謎を解き明かしていくこのあたりは骨太なミステリーとなっている。 カールが何故、自分が無実であるとわかっていつつも罪を受け入れ刑務所へ行ったのか、それは彼のベトナムでの過去が影響していた。その彼の告白は、静かに重くジョーにのしかかる。このくだりは雪を見たいと望むカールの言葉と共に、物語のひとつのクライマックスである。 そしてジョーは真犯人と目星をつけた相手と対峙し、まさに死闘を繰り広げる。しかも二度も。 二度目はひょんなことから一緒に行動するようになった知的な少女、ライラを巡っての戦いだった。 ここからラストまでは、さながらサスペンス小説のような展開で、手に汗握ってページをめくることになる。 最後に、カールの元へ彼の無罪を報告に行ったジョーに、カールは「ありがとう」と言った。「ありがとう……いろいろ」と。 さらにそれだけではない最後の最後のどんでん返しがジョーを待ち受けていた。 少年と世の中に傷つき心を閉ざした老人との心のふれあいというのは、ハードボイルド小説のテーマとしてよく取り上げられる。そのふれあいを通じての少年少女の活躍、成長を描くというのもハードボイルド的要素である。 この作品はミステリーとしてもよくできているし(ちょっとわかりにくいところはあるし強引なところもあるが、ご愛嬌だろう)、老人が心を閉ざした原因(ベトナム!)の掘り下げも丁寧だし、ラストに向けての手に汗握るサスペンスアクション も面白く、ハードボイルド小説としての出来栄えがとてもよい。 結末があまりに綺麗すぎてちょっと鼻白むが、ジョーとライラ、そして弟のジェレミーの未来が明るければいいなと思う。 「(前略)そしてある日、房の寝棚に横になって、パスカルの賭けについてじっくり考えたわけだよ」 (中略) 「だが、来世がないということは、この世こそがわれわれの天国だということにもなるんだ。(中略)その日、わたしはこの人生を生きることに決めた。ただ存在するだけじゃなく、生きることに」 カールの言葉の通り、ジョーたちはきっと彼らの人生を生きていくのだろう。

    0
    投稿日: 2021.07.23
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    ミネソタは雪の街 そのまま口にしていいほど、美しくもない, 降り積もる雪の音を聴くがいい。 それで充分ではないか

    1
    投稿日: 2021.07.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学の課題で、“身近な人の伝記”を書くために老人介護施設を訪れたジョーが紹介されたのは、少女暴行殺人犯として服役していたが、末期がんのため仮出所し最後の時を過ごしていたカールという男だった。 カールの半生をインタビューするうちに彼が犯人とは思えなくなったジョーは、やがてカールの無実を証明するために真犯人に迫ろうとするが… フォロー中のsanaさんのレビューを読んで、手に取った本。アレン・エスケンスも初読というか、これがデビュー作だから当然か。 大筋はだいたい予想と違わず、ジョーは美人のお隣さんとしっかり恋を実らせて、真犯人を見つけ出し、いくつものピンチを切り抜けてカールの名誉を回復するわけだけれど… 一見、物語の大筋とは関係なさげなジョーの生い立ち、アル中の母親や自閉症の弟への愛憎が、爽やか一直線な青春ミステリーではない雰囲気にしているようだ。 ジョーが祖父との辛いエピソードを語ってから、カールも心のうちを明かすようになっていくあたりが良かった。 ジョーの無鉄砲さがあまりにひどすぎるとも思ったけれど、強いていえばそこがデビュー作らしさかも。

    6
    投稿日: 2021.06.03
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    デビュー作品・・・これが?! あまり面白過ぎて一気に深夜まで読んでしまった とにかく読むのを止められなかった いい本に巡り会えた幸せ

    1
    投稿日: 2021.05.17
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    主人公の大学生ジョーが、決して恵まれてるとは言えない家庭に生まれて、逃げるように大学生になって、とりあえず「伝記執筆」と言う科目を取って、祖父母が居ないのでお年寄りが居そうな施設を訪れる事になって、何もかもが妥協で選んだ感じな導入部分がいい。妥協と偶然、所詮課題でしかない。 主人公のジョーが、母はアル中、弟は自閉症で、この二人から自分を切り離したいと願っていながら母の保釈金を払い、母に弟の面倒を見て貰わないと自分で大学にも通えない、大学には逃げ出したと思っているにも関わらず、肉親ときっぱり縁が切れない所が…凄く切ない。ドン・ウィンズロウのニールっぽい。 ジョーは決して正義感が強いとか、肉体的にもタフでもないし、外見も平凡だし、なんだが、アルコール依存症の母、自閉症の弟がいる家から、自力で抜け出す為に自力で大学に進学するお金を貯めて、でも自分を好きな弟を置いて行った罪悪感にも苛まれつつ、じりじり真実に迫って行く等身大の主人公。真犯人から逃げる時、苦労を重ねて来たからこその色んな知恵が、爆発的にではなく、あくまで等身大の頭脳の中で考えて、乗り切ってしまうとか、そう言う「誇張しない」描写も好き。

    4
    投稿日: 2021.04.19
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    たとえ天が、、が素晴らしかったので作者デビュー作も読んでみました。たとえ天が、、に比べると事件は凄惨ですが、ストーリー的には軽めです。ラストは良かったな、としみじみ思いました。マックスとボーディの存在感もそんなに大きくなく、そこはちょっと肩透かしかも。ほかの作品も読んでみたいです。特に第四作。

    0
    投稿日: 2021.01.18
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    最期が近い死刑囚が隠している謎を追う大学生とガールフレンドというありがちな話、さらに自閉症の弟も絡めるというベタな設定にもかかわらず、厄介な問題から逃げない主人公の一所懸命さに巻き込まれてしまう初々しさと熱気に溢れたデビュー作。第二作、三作は本編にも登場した刑事もののようだが、最近巻の四作目では主人公が再登場するとのことで読むのが待ち遠しい。

    3
    投稿日: 2020.12.31
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    「たとえ天が墜ちようとも」の作者のデビュー作。 ミステリの暗号解読なんて何十年ぶりだろう。 かなりスリラー度が高い内容。

    0
    投稿日: 2020.11.16
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    若者が大学の課題で、過去ある老人の話を聞きに行ったところ、次第に冤罪を疑い…? 人間関係が丁寧に描かれ、心温まります。 大学生になったばかりのジョーは、身近な老人の話を聞いて伝記を書くという課題に、途方にくれます。 母は酒浸り、時々変わる相手の男は身勝手で、ジョーのバイト代を使い果たすような大人ばかり。 自閉症の弟のことが気になりつつも、家出同然にやっと大学生になったのです。 近くの老人ホームを訪ね、殺人罪で服役していたカールに話を聞くことにします。 話してみると30数年前に少女を殺したとはとても思えない人物。ヴェトナムでの戦友も、カールの人柄を保証します。 過去の事実も調べ始めたジョー。 弟を見捨てた苦しみも乗り越えて引き取り、隣室のライラとも次第に親しくなってゆきます。 刑事のルパート、冤罪に詳しい教授とも知り合い、真相に近づくにつれ、今度はジョーの身に危険が…!? 親に頼れず、努力してきたジョーがとても良い子なのが何より好印象で、バイトで鍛えて体力もあったりするのが頼もしい。 ヒューマンな出来事と、冒険のスリルと盛り上がり、どちらもあって、満足の読み応えでした☆

    31
    投稿日: 2020.10.01
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    主人公のジョーは、身近な年長者の伝記を書くという大学での課題のため、身近に年配者がいないため、介護施設で末期がん患者のカールの話を聞くことにする。 カールは過去に少女暴行殺人の罪で有罪となり服役していた男。しかし、話を聞くうち、過去の事件の真相に疑問を抱くようになる。 そして真実を求めてそのことを調べ始め…。 物語の展開もよく、事件の本筋とともに、主人公の家庭問題が絡みながら、さまざなまことが進んでいく。 登場人物の設定、描写もよく、また、各々が抱えている過去の物語も全体に影響を与えている。 中盤から終盤にかけての、事件解決に向かうスリリングな展開、事件解決後の話も味わいがある。 事件を解決する過程を読んでいて、物語だからできることで、一般の素人は絶対に首をだしてはいけない、警察官に任せるべきなんだな、と、変な所で我に返った。 真面目に大学生生活を続ける一方、かなり問題多き母親、自閉症の弟の世話に追われながらも、くじけず、たくましく対処していく主人公ジョーの姿は、輝く。個人的には、過剰に善人すぎず、好人物だと思える主人公に感じた。

    0
    投稿日: 2020.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図書館の本 読了 内容(「BOOK」データベースより) 授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが…。バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作! 面白かった。読みやすい文章も手伝ってほぼ一気読みでした。 人生を振り返るとどうしても哲学っぽくなると言うのは明言だと思う。 罪を犯して罰に問われないと罪を重ねるのか。 ジョーの背負っているもの、カールのせおっているもの、そしてジョーイの障害。 カールの最期の時が報われて良かった。 いい作家だと思うので次作を待ちたいと思います。 The life we bury by Allen Eskens

    3
    投稿日: 2019.10.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごい勢いで読んだ。 主人公が心配で。 半分はおじいさんの昔に迫っていく部分 ここはすごくいい。 主人公とお隣さん(のちの彼女) の関係性が少しずつ変わっていく よくできている。 そして、そこに弟、母が関わってくる うまいなあ。 後半。 主人公が真犯人に追い詰められていく よくできている、んだと思う。 しかし、怖いものがだめな私には、 怖すぎた・・。 なんかもうはらはらしちゃってだめなんだよね。 作品がよいから怖いんだと思うが もう最後まですごい勢いで 主人公が助かるかだけを考えて読んだ。 「ギッブスの命を奪う権利など私にはなかった」 カール言った。 「アメリカに帰れば、彼には奥さんと ふたりの子供がいた。なのに私は彼を殺害 したわけだ。・・以下略 こういうところを読んで、 第二次世界大戦のときに作られた 日本の紙芝居には 敵の姿をわざと描かないことによって 相手にも家族や恋人がいるんだ ってことにまで 思い至らせないようにしていたんだっけな なんてことを考えながら読んだ。 というか、私はこういうことを 考えながら読みたい人なのだろう。 一方で 小説家さんの講演会を聞いた後に読んだので ああ、人物の関わりがしっかり描けてるな、とか ここで、この人がしゃべるかあ、なるほど、とか 逃げ出すところの描写がすごいな、とか 雑念が入ってきて、完全にお話に入り込む ことができなかったが、 それでも楽しく読めた。 しかし怖いのでもう読めない・・。

    9
    投稿日: 2019.08.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文句無く素晴らしい。タイトルも秀逸。償いの雪がふるですよ。センスいい。 ミステリーなんですが、ヒューマンドラマでもある。好い人たちとそれ以外の人たちの落差が激しい。また、登場人物がみんな可哀想な重い暗い過去があって気が滅入る。そしてお約束の殺人犯の家に単身乗り込む主人公。 心に体力がある時に読むべき。 最後はみんな幸せになって良かった。 これが著者の1作目らしいので、次も読んでみたい。

    8
    投稿日: 2019.08.09
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    少女殺しの罪で服役する余命僅かの男と、学校の課題のため彼にインタビューを申し出る青年の物語。男は本当に殺人を犯したのか。殺人事件の謎解きに加えて、主人公の青年の苦しい生活とささやかな恋愛の話もあり、感情移入がしやすい話だと思う。ただ、優しくてひ弱?なイメージの主人公と思っていたら、実はかなりタフで喧嘩も強く、窮地に立たされてもガンガンにサバイバルできてしまう。「ミステリーの主人公を張るスキル」が超絶高いじゃねーかと笑った。とはいえ、著者は新人の方と思えないほど良くできているお話でした。

    0
    投稿日: 2019.08.05
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    本書はフォロワーさんのレビューで気になっていた本。末期癌であるレイプ殺人犯の伝記を書く大学生という設定に惹かれて読んでみました。 ミステリーサスペンスとして非常に面白かった。一気読みでしたね。 登場するキャラクターがそれぞれ非常に個性的で良い味を出してるんですよ。特に主人公のジョー・タルバートの造形は秀逸です。 彼は刑事でも、探偵でもなく、もちろんミス研にも入っていない(笑)、ただのミネソタ大学の学生です。しかも母子家庭育ちで、母親は飲んだくれのアル中、何度も飲酒運転をしては警察に逮捕されています。ジョーは週に数回バーでセキュリティとして働き、学費と母親の為の保釈金を稼ぐ、さらに18歳の弟が自閉症を患っていて、こちらもジョーが面倒を見てやらねばならないという絵に描いたような苦学生。 そんなジョーは大学の英語の授業の課題で誰かの伝記を書かなければならなくなりました。身内に適当な対象がいなかったため、たまたま訪れた介護施設で末期癌のカールを紹介されます。カールは30年前に14歳の女の子をレイプして殺し、死体に火を付けたという罪で長期間服役していていましたが、余命わずかということで仮出所し、介護施設に収容されていました。 ジョーはカールへのインタビューの許可を取り付け、カールから当時の話を聞くことができます。 カールのことを調べてみると、ジョーの予想に反して憎むべき少女レイプ殺人鬼であるはずのカールは自らの危険を顧みず身体をはって戦友の命を救いシルバースター勲章(戦闘時における功績に対して授与される勲章としては上から3番目の高級勲章)を受けているヴェトナム戦争の英雄だったのです。 ジョーはカールの話を聞くたびカールへの印象が変わっていきます。 少女殺人事件の犯人はもしかしたらカールではないのではないか? ジョーの頭の中にそんな疑問が生じてきたさなか、ヴェトナム戦争当時の出来事については口を閉ざしていたカールでしたが、意を決して彼が語ったのはヴェトナム戦争で地獄を見た若き兵士達の狂気に満ちた世界、そして戦争に翻弄された若きアメリカ兵・カールが体験した驚愕すべき事実でした。 本書ではカールの回想でかなりヴェトナム戦争の描写が描かれています。 カールが従軍していたのは1968年のことなのでヴェトナム戦争が最も激烈に戦われていた時期です。ヴェトナム戦争・米軍最大の汚点とされている米軍が数百人の無抵抗の村人を無差別に虐殺した『ソンミ村虐殺事件』が発生したのも1968年ですが、このような事件は当時のヴェトナム戦争においてはたぶん氷山の一角なのでしょう。 もしこのあたりの知識が薄いと思われる読者人の方がいるならヴェトナム戦争を描いた傑作戦争映画・オリバー・ストーン監督、チャーリー・シーン主演の『プラトーン』をご覧になると良いと思います。この映画を見ればカールの回想シーンをかなりビビットに思い描くことができるでしょう。カールの心情描写は当時のヴェトナム戦争の過酷な兵士達の状況を理解していないとちょっとピンとこないかなという感じです。 ちなみにヴェトナム戦争を描いた傑作映画というとマイケル・チミノ監督の『ディア・ハンター』、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』やスタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』などもありますが、この3つは内容が抽象的でヴェトナム戦争を戦った一兵士の視点からはかけ離れすぎているので「本書を理解する」という点からするとおすすめできないです。ただ『フルメタル・ジャケット』で登場する兵士がヘリから村人に向かって機関銃を乱射しながら叫ぶ有名なセリフ   『逃げる奴は皆ベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ』 はヴェトナム戦争を戦ったアメリカ兵の象徴的なセリフではありますね。 本書に登場するキャラクター達は、主人公のジョーもカールもジョーを助けることになるジョーの隣人のライラ・ナッシュもそれぞれ過去に傷を負った人達です。その彼らが忘れようとしている過去に向き合い、この事件を通じてそれぞれ向き合っていきます。 本書の原題は“The life we bury(私たちが埋葬している人生)”、意訳するならば『私たちが忘れようとしている、見ないふりをしている人生』となるでしょうか。 誰にでも忘れたいが、いつかは向かい合わなければならない過去というものがあると思います。そういったものに向き合う勇気を少し与えてくれるような、そんな通常のミステリーでは味わえない、ちょっとしたノスタルジーを感じることできる小説でした。 本書の著者はミネソタ大学でジャーナリズムの学位、ハムライン大学で法学の学位を取り、25年間、刑事専門の弁護士として働いてきたという経歴の持ち主です。 本書は、2015年バリー賞(ペーパーバック賞)を受賞した傑作です。著者は既に本書の他数冊を上梓しており、ジョー・タルバートのその後を描いた小説や、本書のラストで重要な役割を演じたマックス・ルパート刑事を主人公としたミステリーもあるということなので是非翻訳してもらいたいと思います。 著者のアレン・エンケンス。今後、要チェックの作者さんになりました。

    14
    投稿日: 2019.07.26
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    推理小説というよりも、ヒューマンドラマのような内容で、人物の構成や描写がとても丁寧で、引き込まれました。 大学の課題から、終身刑の余命いくばくの男性にインタビューすることにした主人公。そこから、ひょっとしたら無実なのではないか?という疑問から、ジャーナリストのように調べ始める。。 学業とアルバイトと複雑な家庭環境。どれも直向きに向き合う主人公ジョーの姿には、応援してあげたくなります。 クリミナルマインドのような内容でしたが、推理ものとしてもなかなか面白かったし、最後もスッキリハッピーな終わり方に、心が穏やかになりました。

    7
    投稿日: 2019.07.04
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    大学の課題のために介護施設の年輩者・カールに話を聞くことになったジョー。末期癌で仮釈放中の犯罪者のカールと少しずつ心を通わせた結果、ジョーは彼の30年前の婦女暴行殺人の冤罪を晴らそうと奔走することになります。物語が進むにつれて見えてくる、カールが戦争で出会ったもの、抱えているもの。さらにはジョー自身が抱えている家庭の問題や傷となっている過去。強くて無鉄砲ででも限りなく優しい彼が立ち向かったものは、30年前の冤罪だけではなかったのです。切なさと怒りにギリギリしながら、夢中で読みました。とても良かったです。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    これは読んで良かった。ジョーとライラがキスをするシーンの美しいこと。この作家のほかの作品も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    魅力的な大学生と老人 - アレン・エスケンス「償いの雪が降る」 ★★★☆☆ 登場人物たちが皆魅力的です。カールは大学生らしくハツラツとしていて好感が持てるし、隣人のライラを口説こうとする様はリアリティがあります。 暗号解読に協力した、自閉症の弟ジェレミーもいいやつかもしれない。 なお、日本人には暗号を解くことは不可能だということをご了承ください。 ミステリーとしては驚きが少なかったのですが、本題以外のストーリーの入れ込みも匠です。

    0
    投稿日: 2019.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    毒親の柵を持つ青年が余命僅かな元服役囚にインタビューってなのが判って、買って失敗した~と思ったが、、、 珍しくに最後に素直に ε-(´∀`*)ホッ

    3
    投稿日: 2019.04.14
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     後悔のない人生なんてない。もう二度取り戻すことのできない失敗の記憶は誰にだってある。そしてそれは、時には、誰にも告げられぬ心の奥の真実である。魂の重荷として人生に付き纏う、影みたいな存在である。本書は、逆境としか見えない家族……アル中で性悪な母と、自閉症の弟、父はそもそも誰であるか知らない……から離れて、完全自立を目指す大学生のジョーが、学業の一端として取り組む課題を通しての、人生の激しい(激し過ぎる?)転機となる事件を、ジョー自身の眼を通して一人称で語る物語である。  彼が取り組もうと決めた課題とは、老人ホームで末期癌に苦しむ少女殺しの犯罪者カールにインタビューし、彼の人生を纏めるというもの。しかし、ジョーは、何度か老人や彼の戦友に会ううちに、どうやら彼が無実で、30年前の少女殺人犯は別にいるらしいと思うようになる。もう一つの真犯人の存在は、ジョーの中で確信に変わってゆく。  元囚人で、今は余命三ヶ月の老人カールは、ヴェトナムでは勇士であったが、戦後は何かの秘密を抱え、自分自身に対して過酷なものであった。カトリックでなければ、自殺をしていた人生、とカールは告白する。誰かに殺されても、死刑に処されても、自殺ではないので受け入れてしまおうと思う人生。そういう人生とは何だろうか?   己れのなかにも贖罪の魂を抱え込んで生きてきたジョーにとって、この件は学業の課題ではなく、己れの存在や生き方を問うまたとない機会でもあった。  事件を再調査すべく、弁護士、刑事などの助けを借りつつ、ジョーは家族の問題も抱えてゆく。身勝手でエゴの強い母との軋轢、独りでは生きてゆけない弟への深い愛情、そして知り合ったばかりの女子大生とは調査の協力を頂く中で、恋愛感情が深まってゆく。  若き大学性という純真をもって、泥濘のように黒ずんだ30年前の少女殺人という悪と暴力に立ち向かわせるこの独特な構図こそが、本書の優れたところだろう。  一人称小説であり、深い人生小説でもあるのに、起承転結がはっきりした構成の豊かさ。元戦友がカールの過去を語るヴェトナムの戦場の回想シーンから、ジョーを見舞う執拗で急激なバイオレンス・シーンに至って、読者の心臓の音は高まるだろう。本書の背景にあるミネソタの大自然、そして冬の雪という季節が、それぞれのシーンに過酷な負担や寒さを容赦なく加えてゆく。ジョーの試練に追い打ちをかける痛み、震え。優れた展開に立ち止まることができなくなる事必至な、静と動綾なす物語の妙。  全体はミステリ色でありながら、ほとんど冒険小説と言っていい。男の矜持。気位。そして人生の傷の深さと、再生へ向かう意志と友情。そうした人間的な深き業と逞しさとを含め、時にダイナミックに、時に静謐に描かれた、相当に奥行の感じられる物語である。最近、冒険小説の復権を思わせるこの手の小説が増えてきた。シンプルに喜ばしいことだ、とぼくは思う。  本書の主人公ジョー・タルバート、本書登場の刑事マックス・ルパート、他、それぞれに、続く長編作品に再登場するようである。翻訳者の務台夏子氏は、この新しい作品たちも早く訳して日本の読者たちに読んで頂きたい、と後記でやや興奮気味に書いている。キャロル・オコンネルの翻訳だけでも実に重たいだろうが、読者としては今回本邦初登場のアレン・エスケンスも、是非どんどん翻訳をお願いしたいところである。

    12
    投稿日: 2019.04.08
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    大学生が30年前の殺人事件の犯人にインタビューして真相を探り始める、という設定に興味を惹かれて読み始めたが、まー面白かった。一気に読んでしまった。終わり方も好き。綺麗で優しい物語だと思った。映画化してほしいわ〜。 続編や刑事のマックス・ルパートを主人公にしたシリーズもあるみたいなのでそちらも楽しみ。

    3
    投稿日: 2019.03.12
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    ジョーはミネソタ大の学生。お金が無くて大変な生活をしている。母親は飲酒運転をするような人で、弟は自閉症。実家からは離れられた。大学の授業で伝記執筆という課題があるが、話を聞ける祖父母がいないので、老人ホームに行って誰かインタビューさせてもらえないかと頼んだ。すると紹介してくれたのは、30年前に14歳の少女を殺害したとして刑務所にいたのだが、末期がんなので釈放されてここに来たカール。話を聞くと、人を殺しそうな人とは思えない。裁判の資料を読んでいくうちに冤罪ではないかと思うようになり・・・ これは良かった。良かった&面白かった。 ジョーの母親や弟の件では、大変な生活を強いられる。母親がどこかに居なくなってしまって、忙しいのに弟の面倒みないといけなくなる。この家庭環境には同情する。 アパートの隣に住む美人と仲良くなったりと青春小説っぽさもありつつ、ミステリーとしてもなかなか。 もし、カールが真犯人ではないとすれば、誰なのか?という本筋も解決までのプロセスがすごく良かった。読みやすかったのは、訳文のおかげなのか、元の文章がいいのか、その両方なのか。

    12
    投稿日: 2019.02.13
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    授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが…。バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作! 予想とは少々違う展開。でも読むペースは最後まで落ちなかった。 「ガラスの動物園」。若いころに舞台を観たことを思い出した。出ていたのが誰かは覚えていないが。

    1
    投稿日: 2019.02.11
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    天国はこの世にも存在しうる。 わたしもカールの言葉を忘れないようにしなくちゃ。 ミステリというよりは青春物語といってもいい。 主人公のジョーがなんとも憎めないキャラですき。 続刊もあるらしいからわくわくしながら待とうと思います。

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    投稿日: 2019.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いい話なんだろうがある程度先が見えるし、しあわせなエンディングを迎えるために読み進めなければいけない途中がツラい。デビュー作だと盛り込み過ぎてしまう傾向はどうしてもあるのだろうが、不幸のてんこ盛りみたいな設定は勘弁してほしいのが正直なところ。主人公に魅力を感じられる人にははまるのでしょう。

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    投稿日: 2019.01.28
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    ストーリー展開が、早く、どんどん読み進めてしまう! 楽しみな作家さん!これから次々新作出てくること待ってます!

    0
    投稿日: 2019.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ひとりの人生を狂わせた殺人事件。過去の事件の真相は。末期ガンのカール。主人公ジョーが事件を調べると見えてくるカールの過去や人となり。カールの孤独や寂しさ、そういうものがある。静かな空気の中に理不尽なことや辛いこと苦しいことが描かれていてでもジョーの優しさもあったりして辛いだけの作品ではなくあたたかく優しさに満ちた物語になっている。

    1
    投稿日: 2019.01.18
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    あらすじを読んで面白そうだったので購入。 引っかかる部分も多少はあるが、登場人物の造形やラストのアクションシーンなど、魅力的な部分が多かった。ミステリというより人間ドラマとして面白い小説だった。 訳者あとがきによると、シリーズ化されるようだ。1冊で綺麗に纏まっているので、続編と聞いてもピンとこないが、どういうものになるのか気になるので、次も邦訳されたら買うだろう。

    0
    投稿日: 2019.01.17