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政略結婚【電子限定イラスト収録版】 (角川ebook)
政略結婚【電子限定イラスト収録版】 (角川ebook)
高殿円、白浜鴎/KADOKAWA
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総合評価

55件)
3.7
8
21
18
1
1
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    幕末から昭和の時代を舞台に、大名または華族と呼ばれた女性たちの、彼女たちが背負った『家』にまつわる3つの物語。 第一話「てんさいの君」 加賀前田藩主の三女として生まれた勇(いさ)姫は、生まれながらにして分家の加賀大聖寺藩の時期藩主・前田利極(としなが)に嫁ぐことが決まっていた。 だが様々な事情により実際の輿入れは遅れ、やっと輿入れできたと思えばなかなか子が出来ず、周囲は利極に側室を勧めようとする…。 家を守ること、その家を次の世代へ繋ぐことの大変さとその使命感とが描かれる。 自分だけの問題ではなく、抱える家臣たちや奥女中たちや民たちの人生にも関わるだけに難しい。 幸いにも夫である利極や周囲の人々が温かったのが救い。 第二話「プリンセス・クタニ」 元加賀藩分家・小松藩藩主、前田子爵家に生まれた万里子。 父が銀行員で海外勤務が長かったため、父に同行していた万里子も気ままな外国暮らしを楽しんでいた。 だが十三歳の時に父から日本に戻るように命じられ、血のつながらない育ての母との気づまりな生活が始まる。 外国暮らしが長く、日本に戻っても外国にしか目が行かない万里子。学習院を卒業したら外国の社交界デビューをする夢を希望に日本の窮屈な暮らしを我慢する。 だが、学校の友人・峰山美子の兄・雅高との出会いで自分の家やルーツである元小松藩の久谷焼への思いが変わっていくのが興味深い。 ここでもヒロイン万里子の環境は二転三転する。だが力強く前向きに生きていく彼女の姿は心地よかった。 第三話「華族女優」 元華族の女優と言えば、入江たか子くらいしか知らないのだが、この物語のヒロイン・深草花音子(かのこ)のような舞台を主にした女優もいたのだろうか。 時代の変化により没落した家族の一つ、深草家に生まれた花音子は、音楽の才能を生かして母と二人三脚で舞台役者としての道を歩み始める。 花音子よりも母・依子(あやこ)の執念が印象に残った。白樺の家と呼ばれた美しい邸宅を追い出され、その時に親類や友人知人が助けてくれることが無かったことが彼女の晩年まで心に傷を残していた。 ついに白樺の家に戻れたものの、その時は華族制度そのものが廃止されてしまう。時代に翻弄された彼女の人生は、娘・花音子との二人三脚で少しは幸せだっただろうか。 タイトルの『政略結婚』のイメージとは少し違う印象の三話だったが、いずれもヒロインが魅力的で前向きで、結婚したヒロインたちはいずれも夫婦仲が良くてホッとした。 現代とは違う感覚の「家を守る」物語が味わえた。

    18
    投稿日: 2025.05.03
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    本の帯に、 不思議な縁でつながる、三つの時代を生き抜いた女性たち。聡明さとしなやかさをなね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らをドラマチックに描き出した、壮大な大河ロマン! とある通り、江戸時代末期から平成の時代まで少なからず関連した女性達の人生をなぞった三遍の物語でした。時代背景や華族の置かれた立場や暮らしぶりなど興味深く読みました。三つ目の「白樺かの子」のストーリーが激動すぎてため息ものでした。350ページ強、2日出読了。

    4
    投稿日: 2025.04.17
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    加賀大聖寺藩へ嫁いだちょっと風変わりな姫君。 廃藩置県で消滅したけど加賀小松藩の、当時としてはとても変わったお姫様。 落ちぶれたお公家さんである家族のお姫様が女優になって…。 それぞれのお姫様の半生とゆーか、生涯ですなぁ。 当時の考え方では、家を絶やさないことが大切で・・・ 結婚→ 後継ぎ→ 後継ぎがいない=養子→ 当主・後継ぎが亡くなった=末期養子・養子の連続なんですねぇ。 (末期養子の末期養子という無茶もありましたねぇ) 3人目のお姫様は、最初の2人のお姫様とは相当違う生き方のようでしたね。

    0
    投稿日: 2024.10.22
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    江戸から平成、それぞれの時代の移り変わりの中で人生を翻弄された3人の女性の物語。 その中心にあったのは、かつて藩主であったという家柄。ある者はそれを守り、ある者はそこから飛び立ち、ある者はその呪縛から逃れる、そのために生き抜いた。 普段家柄なんてもう気にせずに生きるようになっている今、時代錯誤に感じるかもと思ったけどそんなことなく、その時代時代を生き生きと生きる彼女たちの人生が愛おしかった。 最後まで象徴のように顔を出す九谷の皿がとてもよかった。 駿河屋よりも甘いのは 加賀の落雁 九谷のとのさま

    0
    投稿日: 2023.08.15
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    おもしろかった。 脈々と受け継がれていくものと、変化していくもの。 それぞれの時代ごとに、それぞれの生き方がありその人の人生がある。 現代から見れば古臭い習慣やしきたりだったり、風習だったりしても、そこに誇りを持っていたり生きる拠り所としていた人もいるわけで。 価値観は人それぞれだから、たとえ理解はできなくても否定はしたくないと思った。

    0
    投稿日: 2023.02.13
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    江戸末期・明治大正・昭和、百二十年の間に女性の生き方はこう変わった! 金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略) 早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで、 大名の子の結婚はすべて政略結婚、 祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。 私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。――第一章「てんさいの君」より 不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。 聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン! ――― 加賀藩主前田斉広(なりなが)の三女・勇(いさ)は、生後半年で加賀大聖寺藩主前田利之(としこれ)の次男・利極(としなか)のもとに嫁ぐことが決まっていた。やがて生まれ育った金沢を離れ江戸へと嫁いだ勇は、広大な屋敷のなかの複雑な人間関係や新しいしきたりに戸惑いながらも順応し、大聖寺藩になくてはならない人物になっていく。だが、石高十万石を誇る大聖寺藩の内実は苦しかった。その財政を改善させるような産業が必要と考えた利極と勇が注目したのは――(「第一章 てんさいの君」)。 加賀藩の分家・小松藩の子孫である万里子。パリで生まれ、ロンドンで育った彼女は、明治41年帰国し、頑なな日本の伝統文化にカルチャーショックを受ける。やがて家とも深い縁のある九谷焼をアメリカで売る輸出業に携わることとなり、徐々に職業夫人への展望をいだくが、万里子の上に日本伝統のお家の問題が重くのしかかる。日本で始めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオンガールになった女性は、文明開化をどう生きるのか――(「第二章 プリンセス・クタニ」)。 貴族院議員・深草也親を祖父に持つ花音子は、瀟洒豪壮な洋館に生まれ育ち、何不自由なく暮らした。だが、花音子が幼稚園に上がるちょうどその頃、昭和恐慌によって生活は激変。すべてを失った花音子と母・衣子は、新宿の劇場・ラヴィアンローズ武蔵野座に辿り着く。学習院に通いながら身分を隠して舞台に立つ花音子は一躍スターダムにのし上がるが――(「第三章 華族女優」)。

    0
    投稿日: 2022.08.11
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    表紙が可愛くて気になってた本でした。 それぞれの時代を精一杯生きた女性の話です。 流されるように生きているけれどその中で自分にできることをしていて素敵。

    0
    投稿日: 2022.06.06
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    江戸、明治、大正を生きた女性のお話。華族という身分がもたらした宿命。女性の生き方も随分変化したんだな。それぞれの時代に使命があったんだ。 一番好きなのはプリンセス・クタニのお話かな。

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    はじめて高殿円さんの著作を読みました! 表紙はとんがり帽子のアトリエの作者さんが 書いただけありとても素敵です^ ^ 最初読んだ時に、どうしよう、、 こういう時代の小説読み慣れてないから 辞めようか悩みましたが 最後まで読んでよかったです。 ある加賀藩のお姫様のお家が 時代を変えて続いていくのですが それぞれの主人公が痛快に活躍します。 ある物がそれぞれのお話に全部登場するのが 憎いな〜とおもいました笑 1番好きな話はプリンセス・クタニです!

    0
    投稿日: 2021.08.15
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    今回のはイマイチ。 もういいかな。意外性見たいのがないと、この時代に興味があるわけではないので面白くは感じない。

    0
    投稿日: 2021.06.05
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    一文めから読む気起きなくて3章から読んだけどやっぱり途中で飽きてやめた 表紙がとても素敵だったのでコピーして切り絵しようかと思う 白浜鴎さんだって。ちょっと調べたけどこの絵が1番好きだった。

    0
    投稿日: 2021.01.21
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    江戸時代の大名のお姫様からはじまり、明治、大正、昭和と、先祖がなんらかの繋がりがある3人のお姫様の一生を、それぞれの時代を背景に描かれた歴史物語。 タイトルの通り、江戸時代の大名の元に産まれると、すべてが政略結婚。明治に入り、元大名家が華族に変わり、お姫さまの立場も変わっていくと共に、結婚の在り方も徐々に変わっていく様子が面白かった。

    3
    投稿日: 2020.11.19
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    結婚のあり方や意味。 どれだけ大きな決断も自己ではなくお家で決められる時代で、女性の思い生き抜く姿がカッコよく見えました。

    0
    投稿日: 2020.10.13
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    この人の本はすらすら読める。 江戸編と明治編が良かった。昭和編は過去とのつながりがあまりなくちょっと肩透かし感あり。 「高貴なお家」が最後には燃え尽き、時代と共にフィクションの中だけの存在になっていく。その過程が面白かった。

    0
    投稿日: 2019.09.24
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    題名から想像してたのと全く違う内容だった。もっと結婚後のドロドロした懊悩的な話かと思いきや、そもそも3話目の人は結婚すらしてないし。 「家」制度の話なのかなあ。 別に先祖代々の由緒ある家ではない私でさえ、自分の家の跡はどうなるのかなあと心配になるときがある。

    0
    投稿日: 2019.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    江戸から続く血脈を紡いできた女たちのドラマ それぞれの時代をつなぐ為の見過ごされてきた歴史 加賀大聖寺藩/サンフランシスコ万博/新宿の劇場 決してメインストリームでは無い歴史だが今をつなぐのに必要な歴史 それぞれの時代を生きる女性のまっすぐな物語

    0
    投稿日: 2019.03.11
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    江戸末期の勇姫、明治に外国と行き来しプリンセスと呼ばれた万里子、大正生まれの華族女優花音子。昭和の戦前、戦中、戦後を生きた花音子の章が特に、前二つに対してまだ近い時代な事や、激動の中でも境に空白はなくステージに生きる地続きさ、今ときっと変わらない人達が真に迫った。どこまで創作か捉え切れないリアル感。

    0
    投稿日: 2018.10.16
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    江戸、明治、昭和と3つの時代を強く生きた3人の女性。 政略結婚の話という感じでもないですけど(笑) 第一章 てんさいの君 加賀藩主の側室の娘・勇(いさ)は、生後半年で分家に嫁ぐことが決まっていました。 18歳になり、夫となる加賀大聖寺藩の前田利極のいる江戸藩邸へ。 結婚までは会ったこともないのがごく普通の時代、親戚でもあり、素直に受け入れていた勇。 幸い、夫は優しい人で、子供が出来なくとも側室を迎えようとしなかったため、妻に甘いと評判になるほど。 跡取りになるはずの男子が夭折し、夫も早逝、勇はお家の存続を守るため、養子縁組や縁談に力を注ぐ日々がえんえん続く。 そういうことが女性の、とくに御台所の大事な務めだったのですね。 詳しい説明で実情がわかり興味深いですが~やや歴史書っぽいといいますか。 第二章 プリンセス・クタニ 明治末頃。 前田万理子は華族だが、海外駐在の銀行員である父と海外で暮らしてきました。 日本のことをろくに知らないのはけしからんと呼び戻され、祖母たちのしつけを受けることに。 縁談もいくつか持ち上がりますが、アメリカに住む相手に会うという口実で渡米。 加賀藩由来の九谷焼の魅力を改めて知り、事業に乗り出します。 活発なお嬢様の明るい話で、縁談は旧来の感覚で起きるものの、結果は夢のあるラブストーリーに。 第三章 華族女優 深草花音子は、豪華な洋館で何不自由なく生まれ育ちました。 昭和恐慌によって財産を失い、すべてが一変してしまいます。 女子学習院に通いながら新宿の劇場で踊ることになり、のちには女優に。 貧しさに苦しんだ母は、人が変わったようになっていきます。 政略結婚の話は出ないですよね‥ もうそんな時代ではない!ってこと? 華やかなヒロインでいいですが。 なぜこのタイトル、なぜこの構成なのか?微妙な疑問が残りました(笑) 時代と環境は違っても、育ちの良さと、お付きの女性がいる暮らし、というのが3世代で共通しているところかしら。 政略結婚あんがい良い、政略結婚みたいだけど違う、政略結婚は親の代まで、というお話3つ。

    5
    投稿日: 2018.09.03
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    江戸から明治、昭和の三世代、それぞれの時代を自分らしく生き抜いた女性たちの物語。 彼女たちの時代それぞれで、愛や情ではなくとも絆を築けた結婚もあれば、自身で縁をたぐりよせた結婚もある。そのかたちはさまざまだけれど、一つの屋根の下でともに生き続けることの尊さを感じさせてくれる、今の常識だけではとらえきれない時代時代の「人と人、家と家とのつながり方」が描かれていて、興味深く読めました。 作者の女性たちはサバサバっとした人たちが多くて読んでいて小気味よいのですが、この作品でもそのとおりで、たくましくも女性らしさも失わない凛とした姿が素敵な人ばかりでした。 私は第二章のプリンセス・クタニがとても好きでした。ポイントは終盤のあの告白場面ですね。かっこよすぎました。

    2
    投稿日: 2018.07.09
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    タイトルは政略結婚だけど、話の軸になっているのは『伝統』な話。 それぞれちがう時代の三人の女性と、彼女たちにとっての『伝統』が描かれている。 とても面白かった。 特に最後の女性が苛烈で好きだ。 でも最初の女性の穏やかさも好きだし、真ん中の女性のはつらつさも好きだ。 この作者さんはこういう時代物を書くのが上手いなと思う。

    0
    投稿日: 2018.06.29
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    政略結婚というか、その時代時代の女性の生き方が興味深い。時代物は苦手なので一話目はあまり入り込めなかった。二話目は良かった。

    0
    投稿日: 2018.05.31
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    江戸、明治、昭和と時代を生きた女性たちの話。 「てんさいの君」 加賀大聖寺藩前田家に輿入れした姫 勇 は、優しい夫と短いながらも穏やかな生活を送る。夫や子に先立たれた後も藩のため、力を尽くす。 「死なむものは死なむ」という義母の言葉が印象的。 「プリンセス・クタニ」 江戸時代は終わり、女性たちの装いも変わり、祖父母の時代は遠くなった時代に生きる万里子は、お姫様といわれてもまったく実感はなかった。 ある時、国元を訪れた時、そこに住む人たちの姿を見て、家を絶やすわけにはいかないと思うようになる。 「華族女優」 昭和の時代を生き抜いた没落華族の娘、花音子は昭和22年の華族制度廃止でやっと自由を手に入れたと感じる。 家を絶やすことにおびえなくていい時代の到来。 ずっとついててくれた「ひとりでないのがいいんです」という言葉があったかい。 3人のお姫様はそれぞれの生き方を貫いてて、潔かった。それぞれ側についててくれているお付の女性たちが居ましたがその人たちもカッコ良かったですね。 1枚の大皿と共に時代の流れを感じる本でした。

    2
    投稿日: 2018.04.28
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    江戸、明治、大正、昭和の女たち。 彼女たちの共通点は、「おひいさま」。 つまり、姫君であること。 時代に翻弄されながらも彼女たちは誇り高く生きていた。 「てんさいの君」 さとう大根のような夫(夭逝するが)が人生の伴侶。 加賀大聖寺藩前だけの姫として生まれた勇は、この時代の常として次々と当主、子供達を亡くしていく。 悲しみにくれながらも、「死なぬものは死なぬ」として、残されたものの務めと、強く気高く生きていく。 穏やかな夫との短い幸せ。 結婚だけが人生の幸せではないが、こんな優しい殿様だったからこそ、勇は強く生きられたように思う。 「プリンセス・クタニ」 小松藩藩主の娘として生まれた姫。 外国に生まれ、洋風に憧れた身ではあるが、あることをきっかけに自分の「国」を学ぶようになる。 黄色い猿と罵られもしたし、芸者がよく使う手口などと出自をばかにされることもあった。 それをはねのける強さは、彼女が学ぶことをしたからだ。 その強い姫の下にあったのは、さとう大根の絵柄の皿......。 「華族女優」 家族がなくなろうとする時代の物語。 レビューに惹かれ、バラを踏みつける心地よさを知ったかの子。 自らが生まれ育った屋敷を取られながらも、一から這い上がろうとした女。 このタフネスに現代女性は何を見るだろう。 強い女性が好きだ。 鋼鉄の鎧を身に纏うのではなく、彼女たちのような、柳の枝のようなしなやかな生き方がしたい。

    3
    投稿日: 2018.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

     装丁がとても素敵です。  幕末から昭和、平成まで。それぞれの時代を強く生きた3人の「おひいさま」の物語。  少女小説から時代小説まで、幅広いジャンルを書かれる作家さんらしい楽しい一冊でした。  最初のほうは、ほとんど説明ばかりのような文章が続いて味気ない部分もありますが、構成上、章を追うごとにだんだんと面白くなっていきます。  主人公は大名家の娘や華族の令嬢。「家」に縛られることに反発しながらも、やがて「家」のために生きることを己の道と定めるようになる...と言うと、悲観的に語っているようですが、そこには、「家」のために自分にしかできない役目を、自分なりのやり方でまっとうしようと全力で挑む強い女性像があります。  「個」よりも「家」が優先された時代の結婚観というのはこれまでも何度か出会ったことのある題材ですが、江戸から明治に至り、大名家や公家から華族へ姿を変えた「家」が、さらに昭和まで続く激動のなかでどのように長らえてきたかというのは、これまで小説では読んだことがなく、その点で「プリンセス・クタニ」「華族女優」の各章はとても興味深く面白かったです。自由を選ぶこともできる時代になったからこそ、それまでの不自由な時代にひたすら「家」を存続させてきた人々の生きざまが重く響きます。  何百年と続く伝統であっても、そこに生きる人々にとってはたった一度の人生。その一人ひとりに苦悩や葛藤があったのだろうと考えさせられます。「自分の代で家を潰すわけにはいかない」という言葉が印象に残りました。  「政略結婚」というタイトルは、彼女たちの運命を指すのではなく、男も女も、物語のなかでたびたび交わされる婚姻や養子縁組、或いは、そのための過程やそこに関わる人々すべてのことを言っているのだろうなと思います。「政略結婚」は「家」、引いては長らく続いた時代を象徴する言葉だとしみじみ感じます。

    1
    投稿日: 2018.03.23
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    面白かったです。 日本の場合、実は「血」より「家」なんですよね。 この「家」という枠組みを続けるためにどうにか生き残りをかけるという、、、。 主人公は3人。 江戸時代の姫、明治大正の華族令嬢、そして昭和の女優。 いずれも生き方が生き生きしていました。

    0
    投稿日: 2018.03.18
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    金沢ではなく、大聖寺藩ときましたか。 これまた渋いわー。 大聖寺は今でも渋い街並みを残しておりますが、 こんなに苦労してお家をつないでいたとは初耳。 いつの時代も女性は強い。 プリンセス・クタニの話がなんだかんだで好き。 フィクションだからこそのラストの甘さ。 多分こうなるんだろうなーと思いつつ、 そのとおりになった快感。 やっぱりこれぐらいベタな甘さが必要だ。 ラストが最も激動の時代を生き抜いた話なのかな。 江戸と現代は地続きで、 単に年表だけの話ではなく、 そこにはいろいろな人の思いが生きている。 評論の授業でよく言うのですが、 それが一冊の小説となって具現化した印象でした。

    1
    投稿日: 2018.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    加賀百万石前田家縁の3人のお姫様たちが、一枚の皿を通して江戸末期・明治・昭和と時代を超えて繋がる歴史ロマンもの。 ストーリーは面白かったが、説明的な文章が多くてイマイチ頭に入ってこず、何度も章のはじめにある家系図に目をやったり、前の頁を繰ったりしながら読み進めた。 3人の関係性が微妙に遠く、頭の中で家系図を書き直すもピースが足りず。 こういう時代を超えた連作短編物は好きなのだが、各主人公たちの関連性がもう少し密な方が、登場人物に感情移入しやすかったように思う。 第一章に登場する奥女中の「蕗野」が、第二章で主人公のお相手(侍女)の「曾祖母」として登場するが、一部表記が「祖母」になっているのは誤植ではないのか? 登場人物はどこまで歴史上の人物なのか、読みながら色々ググってみたがちっともヒットせず、架空の人物設定が多い模様。 少なくとも最終章の「白樺かの子」は、戦中・戦後の様々な女優像をミックスして作り上げた人物で、終盤の“お昼の30分トーク番組”を20年以上……というくだりは黒柳徹子がモデルのようだ。 第一章の前田勇は、前田家の家系図に「女」と書かれている程度の存在だった人物を、作者の想像で膨らませたのではないか? 第二章の前田万里子には、誰だかは分からなかったが実在の人物のモデルがいそうである。 一章・二章は、歴史ロマン的なファンタジーにほっこりしたのに、最終章で“家に縛られる母”、“娘と自分を同化し、自分の夢を託す母”と一気に現代的な「母から娘への呪い」がテーマの1つとなる。 昭和は遠くなりにけり……といっても、今の平成と地続きの世界なのだ、と実感。

    2
    投稿日: 2018.01.19
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    第一章 てんさいの君/第二章 プリンセス・クタニ/第三章 華族女優  それぞれの生き様が小気味よい。

    0
    投稿日: 2018.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図書館より。 何だかんだで、一気読み。勢いよく読了。 面白かったよ!女性の生きざまが、時代と共に変わろうとも、必死に生きてる感じが何だか好き。 この作者さんは初読みだったけど、別の作品も読んでみたいな。

    0
    投稿日: 2018.01.05
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    表紙が漫画みたいなので、大人が手に取るのはためらわれたが、読んでみたら案外ちゃんと書いてあり、大人でも大丈夫な本だった。こういう表紙に惹かれる層をターゲットにしている作家なのだろうと思うが、表紙をもうちょっとシックにすれば、有吉佐和子を読んでいたような年配の女性にもうける内容だと思う。 なぜ有吉佐和子が浮かんだかというと、ちょっと『青い壺』に似てるから。一つの陶器を縦糸に、その陶器に関わった人々の生き方を描いているところが。 女性の目線で描いた日本近代史でもあるし、大名家、後の華族という人々がどのような価値観で生きていたかもよくわかる。伝統を守り、家名を受け継ぐということがなにより大切だったという、今の人間には実感の持てないことが、この本に出てくる歳を重ねた女性の姿からリアルに伝わる。 真ん中の「プリンセス・クタニ」が恋愛要素もあり、ハッピーエンドで若者にもウケそうだが、「てんさいの君」と「華族女優」は昭和を生きた50代以上の女性のハートも掴むと思う。ドラマ化してもよさそうだけど、セットにお金がかかるので難しいかも。 タイトルに合致するのは、はじめの「てんさいの君」だけで、他は政略結婚はしていないのだが、掴む力のあるタイトルだからいいかな。漫画みたいな絵も、ちゃんと描けているとは思うし、10~20代の女性ならこの絵が好きだから読みたいと思うかもしれない。しかし、もうちょっと落ち着いた絵にしてみたらとは、やはり思う。

    0
    投稿日: 2018.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【図書館】死なぬものは死なぬ。生きているものには役割がある。家を存続させるために駆け回るものと家の名に縛られなくなったことに喜ぶもの。江戸時代から昭和までの3人の女性たちの生き様を通して描かれる話は1枚のお皿で繋がっていたとかドラマチック。ちょっとタイトルからのイメージとは違ったけど、面白かった。2章の万里子のお相手選びとその行く末にどきどきさせられた。

    0
    投稿日: 2017.12.23
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    廃藩置県、文明開化、華族制度の廃止、時代の狭間で自分自身を持って生き抜いた女性たちの物語。 女性は、お家存続のために、それなりの格式のある家と結婚し、子どもを成すことを求められる。 でも、いい人と結婚できなくても、子どもができなくても、時代の変化を見て立派に生き抜いた女性たちは、かっこいい!! そんな感じの物語に感じた。 マリコの国際感覚と自立心はキラキラしていてカッコよかった。 かのこの強かさ、自分の身の立て方は迫力があった。

    0
    投稿日: 2017.12.04
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    前田家の姫たちの名前が勇、厚、隆とやたらと男らしいのは何故だ...なんてことは置いといて、とても良かった。 小松に着いた万里子を元領民たちが歓迎するところが好き。

    0
    投稿日: 2017.11.27
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    江戸11代ぐらいから昭和にかけた繋がりのある物語。 久しぶりに歴史物。 その時代に対して、色々考えながら生きていく女性の話。自分の生まれた場所と自分が生きたい方向を葛藤しながらも生きている感じがとても心に響いた。 きっと読んだことはそのうち忘れちゃう本だけど、久しぶりにゆっくり読む小説としてはとても良かった。

    0
    投稿日: 2017.11.19
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    図書館で借りた本。 それぞれの時代を生きた、3人の女性の話。「てんさいの君」「プリンセス・クタニ」「華族女優」第一話の厚姫の腹違いの妹勇姫の話が一番印象に残った。今の時代とはまったく違った結婚の形。

    0
    投稿日: 2017.11.05
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    政略結婚のお話ではなくて、女性の価値が結婚して子供を産むこと、家を守ること、だと信じられてきた時代に生きた女性の話。 良かった、より、読めなくない、に近いかな。 なんだろなー、悪くないけど物足りない感じ。 個人的にはプリンセスクタニが1番良かった。 2017.10.28 150

    0
    投稿日: 2017.10.28
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    幕末~明治~昭和と続く華族の栄華と没落の歴史。中編3編。 今まで知ったようでよく分かっていなかった「華族」という存在の誕生と消滅までが、それぞれの時代の女たちの生き方を通してよく伝わった。 それこそ「政略結婚」をしてでも繋ぎ続けたかった家名は、妄執と狂気とともに燃え尽きた。 だが最後の物語を読んだ後では「政略結婚」という本の題名には違和感が残る。女流華族、とでも言うべきか。 2017/10

    0
    投稿日: 2017.10.27
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    ある女の生涯。 外から見たら、同じでも、心の中で決断していて、その中で生きている。 決断に後悔をしない すっきりと生きていたことが心地よい 忘れ去られることは寂しくなるけど、あなたが幸せならそれでよい 死なぬものは死なぬから、大丈夫

    0
    投稿日: 2017.10.19
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    つまらないとは言わないけど、面白くもないなーと思いながら読んでいたが。 最後の話は良かった!!刹那的な感じで、切なくて。

    0
    投稿日: 2017.10.10
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    政略結婚というと何かネガティブなイメージですがそんなことはなく、むしろラブラブなご夫婦のエピソードがほほえましい。江戸時代から現代へと3人の女性にエールを送りながら読んでいました。朝ドラにしてくれないですかね?時代の流れも見せられるし、タイプの違うヒロイン3人というのもきっと面白いだろうし。読後は朝ドラの最終回を見終わった気分でした。

    0
    投稿日: 2017.08.29
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     幕末、明治から大正、昭和、それぞれの時代に生きた3人の女性をヒロインとした連作。  まず、この読みやすさはすごい。時代背景や登場人物がことなるのに戸惑わない読みやすさはなかなかのもの。(好みの文体だからかもしれないけれど)  読みやすくて、わくわくして面白かったー。  ただ、なんというか全体的にとんとん拍子で話が進んでいくので、ドラマっぽいというかお約束的な感じがしないでもない。個人的にはお約束に走るなら、もすこし過剰に盛り上げがある方が好きだ。

    0
    投稿日: 2017.08.26
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    表紙の絵のように三代続く(直にではないが)女性たちの物語。 タイトルだけみたら嫌々結婚させられる感じだけど、1話の勇も、2話の万里子も相手に恵まれたと思う。万里子は許婚との結婚ではなかったけど。 3つの話の中ではこの「プリンセス・クタニ」が好きかな。お似合いの2人が一緒になれたから。 でも1話も3話も、もちろん面白かった。お皿が時代を超えた。

    4
    投稿日: 2017.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    華族のおひぃさまのはなし。 連綿と続く血の大河的な話しかと思えば、最初の勇さまは二人とも子どもを亡くしてしまう。蕗野一族がおひぃさまをと思えばそうでもない。ただ「てんさいの君」の皿が残っていたのがグッとくる。広い意味で加賀の前田家のお血すじ。 私的には昭和の姫さまが好き。おたあさまは…だったけど。結婚の話しは中心の話題じゃないのね。表紙、何だかイメージと違うけれど。 最初はこの表紙にそそられたのでした。

    0
    投稿日: 2017.08.15
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    幕末から昭和にかけての女性の結婚や仕事等に関しての行き方を描いている。物語の時代と現在では女性の生き方や価値観の違いはあるが、共通している部分も感じる。現代とは違う恋愛観もあり、純愛さも感じられる。文明開化の時代、大正ロマンの中で女性の生き方と価値観の変化を受け止め、今よりも男性優位だった時代の中で、自分の芯となるものを大事にしてきた3人の女性に強さを感じる。「てんさいの君」に出てきた夫は妻、家族を大切にする、夫婦の鏡だと。家族制度が廃止され、最後の華族女優だった女性の生き方も一歩を踏み出し、共感する。

    0
    投稿日: 2017.08.13
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    タイトルの「政略結婚」に戸惑う。実際、三話目は結婚もしていない華族女優の話である。江戸、明治、昭和と時代に流されながらも逞しく生きた女性達。身分というものがあり、高い身分であるが故の葛藤が面白い。誇りを持って生きる気高さみたいなものを感じた。

    1
    投稿日: 2017.08.11
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    幕末から現代にかけた3人の女性の物語。題名に象徴される身分と時代の重苦しさも、その中で不思議なほど折れないたくましさも、少しずつ繋がっていながら全く違う三者三様の人生が爽快。 勇のおっとりした様子も、万里子の奔放さも、花音子の芸時へののめり込みも、皆それぞれ身分との向き合い方が違って魅力的。 勇の話が特に好きです。 「死なぬものは死なぬ」という台詞がしなやかに前を向く力強さ。 それぞれの物語の終幕にふしぎなおかしさを運んでくる九谷焼のお皿も、なんだか最後にフフッと笑わせてくれた。 装丁も挿絵も素敵で、件のお皿が奥付の隣の頁に配されているのも粋ですね。

    0
    投稿日: 2017.07.17
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    江戸時代末期の加賀前田藩の親戚筋にあたる加賀大聖寺藩に嫁いだ勇(いさ)の采配、明治・大正にかけて九谷焼復興に力を尽くすことになる小松子爵の長女万里子の生き方、大正から昭和・戦後の日本で、没落した旧華族から新宿のショウーの花形、そして映画女優へと転身していく花音子(かのこ)。それぞれの時代の女性の個性的な生き方を描く。 どの時代にも3世代の共通項として大根の描かれた九谷焼の大皿が登場します。 百貨店の外商部の話の時にも感じたけれど、高城円は上流階級の悲喜こもごもをテーマにするのが好みなのかな。やっぱり絵空事に思えてしまうのは、凡人(平民?)の証だったりして。

    0
    投稿日: 2017.07.16
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    ブクログ登録の100冊目はブクログ様からいただきました。献本ありがとうございます。 江戸明治昭和、華族制度がなくなるまでの三人のお姫様のお話です。伝統の中に生きる昔の女性を一枚のお皿とからめて書かれています。 「ご縁をとりもつことが女の一番大事な仕事であった」というのが心に残ります。家を守るため。つい百年少し前まで、あったことなんだなあと、今の時代では信じられなく…まあ、特に身分が高いお家でのことなんでしょうけれど。寿命も短いしね。昭和の三話目は少々色濃かったかな。でも、それぞれの時代にどう生きるのか、女性の力強さがよく描き出されてて、どっぷり物語の世界に浸れました。表紙の絵も素敵です。

    0
    投稿日: 2017.07.09
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    新聞でチラ見していたので購入。図らずも金沢にいるのでサイン本ゲット。 江戸から昭和までの三編。 3人の主人公をつなぐのは工芸・九谷焼。 人はこんなに儚く消えてしまうのに、その人たちが望みをかけるものと希望の力強さよ。 「死なぬものは死なぬ」 一編目のこの言葉が全編にうっすらただよう。 こんな言葉を突きつけながら、泣きたくなるくらいあっさりと、淡々と語られる行間。 其々の時代が、そういった語り口しか持ちえなかったのだろうなとさえ思えてくる。 爽快な一作。

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    投稿日: 2017.07.06
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    作品がドラマ化される前からの、ラノベの頃から好きで読んでいた作家さんで今回の作品、タイトルと表紙ですぐ面白そうだな、と思いました! まだ読んでいないけれどぜひ読みたい作品です❗

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    投稿日: 2017.07.01
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    勇の話が一番良かった。 今の世界では、とても考えられない事が当たり前だったんだなーと。 どの話の女性も強く逞しかった。 ただ最後の話があんまり好みでなかったのが残念かな。、

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    投稿日: 2017.06.29
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    時代と共に変遷する、「伝統」の意味。 江戸~明治~戦後、それぞれの時代の女性3人を主人公にし、彼女たちが「自らの人生」と「受け継がれるもの」との折り合いをどうつけていったのかを見届ける歴史小説。 注目すべきは、主人公たちの「伝統」の解釈が、そのまま彼女たちそれぞれの「結婚観」とそっくり重なるところ。引き継ぐのか、選択するのか、破るのか。そして、現代に生きる四人目の主人公たる私達は、伝統そして結婚をどう捉えたらいいのか? 石川県の大聖寺藩が舞台になったり、地元民としては嬉しいものです。

    0
    投稿日: 2017.06.26
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    江戸、明治、昭和に生まれたおひいさまたちの人生。 「政略結婚」という言葉の持つ、ネガティブなイメージはここには一つもない。それぞれのおひいさまたちの生き生きとした強い笑顔がそこかしこにあふれている。 親や家のために結婚であろうと、自分で決めた結婚であろうと、そして結婚という道を選ばなかったとしても、自分で人生を切り開いていく女たちのたくましさたるや! あぁ、すっきりした!高殿小説の人生賛歌!カッコいいオンナたちに惚れりゃいましたよ!

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    投稿日: 2017.06.24
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    維新間近の江戸末期に生まれた時から決められていた顔も知らない許嫁に嫁ぐ勇、異文化溢れる明治から大正にかけて時代を先取りする軽やかさで国内外を羽ばたく万里子、太平洋戦争が迫る中新宿の劇場で華族の家名という薔薇を踏みつけ歌い踊る花音子。 今からそう遠くない昔。 たった百二十年程の間の出来事だけれど、各時代の空気が濃密に漂ってきて読み応えがあった。 三者三様に「家」を背負う彼女達は一見重苦しい伝統に縛られている様でいて、それでもたくましく成長し自分の世界を広げて行く。様々な事が目まぐるしく変わる激動の時代、現代よりずっと選択肢が少なく不自由であったはずの女性が自分の道を見つけ、ひたむきに進んで行く姿が清々しく格好良い。 終盤、花音子がてんさいの大皿を手にするシーンでは、直接的な親族ではなくとも繋がる縁が嬉しくなり、皿が手にした者達を讃えているような気がした。 彼女達の精神の自由さに、読んでいて力と勇気をもらえる物語。

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    投稿日: 2017.06.23
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    中編3編 幕末,明治,昭和とそれぞれの時代に生きた華族のヒロイン.前田家の関係のあるややこしい系図は結婚問題などで重要であるが,そんなものを差し引いてもどの章の主人公も自分というものがあって魅力的だ.九谷焼のてんさいの大皿が最後にも登場して,作者の「てんさいの君」への思いが伝わってくる.私も大聖寺藩前田利極殿が好きだった.

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    投稿日: 2017.06.05