
総合評価
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powered by ブクログ短編集なのですが、7作入っていて結構読み応えがありました。 いつもの町田さんらしい流れるような文章で、スルスルと読めるんだけどなぜか時間がかかってしまいました。 町田さんの真骨頂は多様な言葉遣いにあり。 現代語、古典風、標準語、関西弁、ふりがなの無いものすごく難しい漢字などが自由に入り混じった独特な文体は好き嫌いが分かれるかもですが、私は大好き。この本も全体的に面白かったです(よくわからない話もあった)。 特に好きな話を選ぶとすると、「先生との旅」が一番笑えて面白かったかな。とにかく怒涛の言葉の連続! 何度も吹き出してしまいました。
13投稿日: 2025.08.22
powered by ブクログ面白かった。でも読みにくかった。内容を難しく感じた。あと読めない漢字が多くて不便だった。予備知識があればもっと楽しめたのかもしれない。なので置いてけぼりにされたような寂しさを感じた。ただそれは町田さんに対する自分自身の過大評価なのかもしれないし、本当に計り知れない知識量が必要なのかもしれないので、結果、面白かったけどよくわからんと言う感想になってしまい、星3つ。
0投稿日: 2024.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集 楠木正成、末摘花の歴史をなぞった短編は自分の知識量が足りないのもありついていけなかった。 「一般の魔力」「尻の泉」はどんな人生を歩み、どんな心理状態になればこんなぶっとんだ発想の小説を書けるのか笑いながらも驚くばかり。
1投稿日: 2023.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
相変わらずの町田節に翻弄された7つの短編集。 一番印象的なのは『末摘花』。 色々な作家さんが描く光源氏を読んだけれど、町田訳・光源氏も躍動感があっていい。 これぞ男の本音、という心理描写が面白い。光源氏ファンには怒られそうだけれど。。 あと、頭の中将ってこんなにウザい男なんだ。。 普段モテモテの光源氏が末摘花に焦らされてキーッとなる過程は、ざまあみろ、といった感じ。ま、自業自得ですね。 町田訳・六条御息所もぜひ読んでみたいので、町田さんいつか描いてくれないかしら。 『楠木正成』を読んていたら、以前読んだ『ギケイキ』を再読したくなった。 大河ドラマの菅田将暉の演じる源義経が『ギケイキ』の町田訳・義経とイメージにピッタリかも。 ラストの『先生との旅』。 何度も出てきた「日本中世におけるポン引きと寺社権門」。内容がとても気になってしょうがない。 表題の『ゴランノスポン』。 てっきり何か意味のある言葉かと思っていた。 表紙のイラストもかわいいし。 中村文則氏の『解説』によると「この番組はご覧のスポンサーの」からきているらしい。現実逃避していたのに現実に引き戻される瞬間を効果的に表すため、とある。 言葉が途中なのは主人公が現実に戻るのを拒否するためチャンネルを変えようとしている、らしい。 各短編の誰もが何かから「醒めた」瞬間を経験しているから…なるほど、と最後で納得。
23投稿日: 2022.06.03
powered by ブクログ読む前も、読んでる途中も、読み終わってからも、 テレビのCM前に流れる「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」から、タイトル思いついたのかなと、どうでもいいことが頭から離れなかった… 全く関係ないけど オススメは、楠木正成 全体的に 怖い 人間的な怖さ こんな人が身内にいたら、嫌だなって思うのと、 自分にも、気付いていないだけで、もしかしたら、こういう嫌な部分あるのかも、という葛藤
0投稿日: 2021.08.27
powered by ブクログ仕事でも日記でもレビューでも、自分が文章を書くときには一応の約束事に乗っかって書いている。「一文を長くしすぎない」とか「文語と口語を区別する」といった、学校で習うような約束事だ。その約束事に乗っかることでどんな内容を書いてもある程度の読みやすさが保たれると思っている。 しかし、町田康の文章ではそういう約束事がまるで無視されているように感じることが多々ある。 頭の中で流れる言葉をそのまま文字にしているような、夢の中で読んでいる文章のような、変な感覚。にも関わらず、内容が入ってくる。 どんな読書体験を経ればこのような文章を書けるに至るのか。 「ゴランノスポン」の陽キャ集団。 「一般の魔力」の常識人ぶった嫌な男。 「二倍」の実態が掴めない会社。 「先生との旅」でずっとあわあわしている男。 どれも楽しかった。
0投稿日: 2019.10.20
powered by ブクログ「楠木正成」 楠木正成はいくさの天才で、いくさに命をかけている それゆえ、つねにやばい状況へと吶喊をかけずにはいられない そういう人なんだと思う 平和ボケしてロマンチストな現代人たる語り手は ミーハーな気分でそれに近づき 適当にあしらわれた挙げ句、流れ矢に当たって死ぬ 複雑な南北朝時代の動きを まあまあわかりやすく解説してくれた語り手だったのに… 「ゴランノスポン」 偽の村上春樹みたいな文体でエコだのロハスだの言い 関係性の広がりが人間を高めるとかいったポストモダンな希望を謳い それでいて狭い身内の外に対しては極めて冷酷な そういうナルシストの偽善が ひとりの仲間の自死によって露呈してしまう 「一般の魔力」 公共の道徳にかこつけて八つ当たりや嫌がらせを繰り返している そんな彼は、自分を模範的な市民だと信じこんでいるのだが 根は怠惰な臆病者なので 娘のエゴや、親としての責任に真っ正面から向き合うことができない 「二倍」 演技で成り立つ演技会社に運良く入社できたものの 仕事上の失敗は演技と言って済まず クビになってしまう ダブルスタンダードじゃないか、と言っても無駄なんだ 常識でものを考えてほしいところだ しかしそれにしても 通常業務に加えて演技までさせられる現代社会とは 実に世知辛いところであるよなあ 「尻の泉」 清浄な泉が尻から湧いている そのため常に下半身がずぶ濡れで 常にオムツをつけてなくてはならない そういう、一種の聖痕を持つがゆえに世間から浮いた我が身の屈託 それが彼の人生をめちゃくちゃにしたのだ しかし堕ちるとこまでとこまで堕ちたとき、尻の泉は枯れ果て そのかわり頭に知恵が湧くようになり 彼は成功者になった すべては神の試練だったわけである そしてそれをクリアしたおれはすごい奴だぜ と思ってたら、実はまだぜんぜん試練は終わってなかったという 「末摘花」 子供のころ、占い師から不吉な予言を言われるなどしたために 光源氏は屈折したやりちん男に育った 女性に対してはマザコン的な高い理想を要求する一方 滅びゆくものたちにシンパシーを感じるニヒリストでもあった それで、零落した貴族の娘に興味を持ち 当時のことだから顔も見ないで同衾するのだけど あとになってこれが、とんでもない醜女であることが発覚した 「先生との旅」 本当はやりたくないんだけど 後々のしがらみを考えると断れなかった講演会 失敗は目に見えているが、なるべくなら大目に見てほしい つーかできれば、理由をつけて逃げ出したい そんな無責任からくる依存心が 救済ともなる災いを呼び込んだのだろうか
0投稿日: 2019.06.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あー面白かった。 ゴランノスポンというタイトルからしてまず感動した。 ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。これを幼少期のわたしは、ゴランノスポン、サーノテーキョウでお送りしました、だと思っていたので、このことばをこんな所でみるとは…!!と、幼少のみぎりのぼんやりとした記憶を呼び起こすとともに衝撃を受けた。 中身も本当に面白かった。どれも胸糞悪くて嫌な気持ちになる読後感でとてもよかったけど、特に一般の魔力がすごい。こいつこそクズ男だよなー、ていうそこら辺にいそうな普通の人で、でも愛猫家愛犬家の町田康がどんな気持ちでこの話書いたんやろうと考えてしまった。 求めていた胸糞悪さがどの話にもあるから堪らないよ。 楠木正成と末摘花は雰囲気違うというか、元々あるものに町田節を無理矢理ひっつけた感があって自然な町田康の感じ感を感じなかったのでほしいっこ減らしちゃったよ。 末摘花は雑誌掲載時に読んどったんやけど、源氏のクズさが引き立ってるよね。
0投稿日: 2019.01.20
powered by ブクログ短篇集。面白いのとパッとしないのとあるんだけどその辺は好き嫌い次第かな。独特の文体が活きてる作品は普通の文体の作品にはない面白さがある。「一般の魔力」とその前後の作品が面白かった。一番最初のは個人的にはぱっとせず。読み進むと面白い作品に遭遇。文体の珍妙さに依るところが大きいのでそのへんを楽しめるかどうかが鍵かな。
0投稿日: 2017.12.18
powered by ブクログ著者の小説、初読み。猫エッセイの文体そのままに、不条理な世界の短編小説が7編収録されていた。表題作「ゴランノスポン」が「ご覧のスポンサーの……」からという解説にショックを受けた。カバーの奈良美智の絵から「ゴランノスノポン」という変な単語が頭の中に何度も出てきてしまった。難しい単語が、ルビもなしにポンポンでてきて、これまた大変だったな。昔読んだ筒井康隆を思い出す。
1投稿日: 2017.08.30
powered by ブクログ源氏物語や楠木正成といった歴史物・古典をの町田調に軽快に訳してあったりといった短篇が幾つか。 先生との旅、ゴランノスポン、尻の泉…いちいち笑わされる。最期がすう、と消えるように終わるのも良い。 町田節を真似て文章を書いてみても、特に古典の町田訳を読んで切に感じるが、古語・口語体・カタカナの多い若者ことば・擬音の入り乱れたそれこそDJスタイル、次々に繰り出されることばのミクスチャーにこりゃ敵わん、とただただ感服する。 中村文則の解説に「ゴランノスポン」は「ご覧のスポンサーの…」の途中だと書いてあって、成る程納得した。どうやら単行本では帯にそのようなことが書いてあったそうだが。 何故表紙が奈良美智なのかも最早笑えてくる。
0投稿日: 2017.03.09
powered by ブクログどれもこれも思い当たる節のあるストーリーで心が痛い。「表層的なハッピー感に拘泥する」ゴランノスポンは就活でよく聞く「仲間に感謝」の行にインスパイアされてる?しかし表層ハッピーは続けられない。一点の綻びから本性があらわになる。 一般の魔力も思い当たる節があってつらい。自分を棚に上げて他人を批判、自分に非があることはすぐ忘れる。自分の嫌な気分を相手に察っしさせたい。この感情は普通なこと? 先生との旅は相手の能力を過大に評価して身動きが取れなくなってしまう物語。自分の中の普通と相手の普通が違うと思い込んでいることが元凶である。そこに至るまでのなんだかんだ理由をつけて断りのメールという嫌なことを先延ばしにする姿勢も私にそっくり。 というか全体的に見に覚えがありすぎてつらい。見られてたのかと思うほどにしっくりきてつらい。 ゴランノスポン(ご覧のスポンサーでお送りしました)というタイトルで幻想から醒める瞬間を表現した物語群らしい。醒める前はあるあると思うことも多いが、醒めた後は完全に町田康の想像。綺麗にまとまりすぎているという感想もあったが、やっぱり結論があったほうがすっきりする。
0投稿日: 2017.02.27
powered by ブクログ町田康の小説は、その他大勢の群衆に埋もれて生きるひとの決して尊くない哀しみが、ぱっと見、明らかに哀しいのに読めば読むほど哀しみに思えず、哀しみであることを忘れさせる。 ページを閉じたあと、もやもやとした形で「哀し…」と脳内を哀しみのもやもやで薄く埋め尽くす、その清々しい脱力というか諦念が堪らない。 そして、でも結局はフィクションなんだよなと、心置きなく離れられる軽さ。 丁度よい悲壮。 短編小説だからこその軽さであって、長編小説では、拭っても拭いきれない後味が残る。 それはそれで、またいいんだけれど。
0投稿日: 2016.11.06
powered by ブクログ「楠木正成」はよくわかりませんでした。ごめんなさい。 「一般の魔力」が印象的。自分のものさしが絶対だと信じてやまない人、恐ろしいな。
0投稿日: 2015.12.26
powered by ブクログ痛快!現代をひたすら皮肉る。最新から最後までにやにやして、たまに声出して笑ってしまう短編集。 「末摘花」は源氏物語のアンソロジーにも収録されていて、多分3回目ぐらいなんだけど、毎回同じ場所で笑う。一番気に入ったのは「尻の泉」。町田康特有のリズムで綴られるいかれた意識の流れ。くだらなさ。尻から泉が出る体質のせいでシャブ中にまで落ち込むどうしようもない主人公の悲しさ。各作品オチが秀逸でした。
0投稿日: 2014.05.09
powered by ブクログ町田康 短編集 世にも奇妙な物語もあり 主人公にむかついたり 笑ったり。 源氏物語の末摘花知ってたらもっとおもしろいんだろうなぁ。
0投稿日: 2014.01.25
powered by ブクログ長い電車旅のお供にぱらぱらめくっていた本 満員電車の中で読むと、うっとする車内がさらにうっとする気がした。 それが作者の思惑通りである気もするけど、「ハッピー!もう一度、読み直そう!」という気は起こらない本であった。 世の中の軽薄なところ、ややもするとお下品なところが詰め込まれている。
0投稿日: 2014.01.07
powered by ブクログ町田康は、たしか「夫婦茶碗」と猫のエッセーを読んだことがあるのだけれど、どうもついていけなくて挫折した覚えが。にもかかわらず、今回手に取ったのは、ひとえにタイトルに惹かれたから。 しかし、やっぱり肌に合わなかった。最初の二編くらいまでは、ニンマリさせられたりしながら、まあ楽しく読んだのだけれど、後半はもう辛くなってきた。 溢れ出てくる言葉のセンスは分かるのだが、根本を貫いている、“ひたすらいい加減”な感じが、ダメなのかな…。
0投稿日: 2014.01.05
powered by ブクログ初めて町田康を読んだ。すごい文章。こういう文章力も文章力なんだと認識。ただ伝わるものと伝わらないものの差が激しく、そこはついて来いと言わんばかり。三つめの「一般の魔力」が一番わかりやすくもあり、面白かった。
0投稿日: 2013.12.24
powered by ブクログ『目を覚ましたらブラインドから縞の光が差しこんでいた。 素晴らしいことだと思う。 太陽が僕たちに降り注いで生命が育つ。大地が潤う。そんななかで自然の一部として僕らは生きているんだ。そのこと自体がとてもありがたい。感謝。誰へ? すべてにだよ。すべてに感謝して生きていく。空に、海に、きみに、自分に。』 『それぞれがそれぞれとしてそこにある。それこそが素晴らしい。空が美しい。感謝。』 『それぞれがそれぞれであること。 それが一番大事だと思う。 それぞれが大事なのさ。』 『けど同じことなんだよ。だってこんなに心がひとつになってるじゃないか。同じ、同じなんだよ。それぞれがそれぞれにみな同じひとつの音楽を聴いてる。あれ? ということはそれぞれの魂じゃないってこと?』 『すべてとすべてとすべてに感謝。自分のすごさを常に忘れないこと。そして感謝すること。』 『僕らはポジティヴな話しかしない。ネガティヴなことをいう奴はひとりもおらないのだ。世界中が僕らみたいな奴だったら戦争なんか一瞬でなくなる。感謝。』 『最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。』 『だから僕なんかは彼らを見て悲しくなる必要は毛頭なく、むしろ生きる勇気みたいなものを貰っているはずなんだ。ホームレス、最高。そして。感謝。』 『本日がデッドということで、そのデッドを超えてデザインが来ないということはどういうことかというと、もしできなかった場合、関係者全員(勿来山先生と事務所の人を除く)が切腹して死ななければならないということである。優秀な介錯人がいればそうでもないが、そうでない場合、切腹というものは苦しいもので、そしていまは介錯ができる人なんてそういないから、切腹は間違いなく苦しいもので、首つりじゃ駄目ですか? といいたいところである』 『ふっふーん、この繋がりはまったく意味が分からないが、よほど深い意味があるのだろう、と勝手に深読みしてくれる可能性がゼロとは言いきれない雰囲気が醸成されない可能性がないこともないこともない。』
0投稿日: 2013.12.23
powered by ブクログ中村文則さんの解説でゴランノスポンの由来を始めて知り、妙に納得し、町田康氏の思慮深い設定に只々感心させられて思わず感嘆の溜息が読了後でてしまった。 現実と夢の狭間で誤魔化しなが毎日を過ごしている。そうでないとやっていられないストレスがある。趣味に没頭したり、旅に出たりして現実逃避する。そして人は自分のやっている事は間違いなく、自分の中でありえない真実は受け入れ難いという傾向があり、ある瞬間それがひっくり返る時に感じる恐怖と滑稽さや人間の傲慢さや信心深さが招く憐れな姿が描かれている。所々、いや随所に笑のツボがあるが、笑ながらゾッとするのは町田康氏ならではだと思う。
0投稿日: 2013.12.23
powered by ブクログ短編集。 全くわけのわからない話もいくてかあったが、人間の本性をありありと表現した作品だと感じた。 登場人物の思考を独り言のようなタッチで描いているところが特に面白く感じて、共感する箇所も多かった。 結局私も上辺だけ繕ったお腹の中は真っ黒な人間なのだ、みな誰しもがそうなのだ、と言われているような気がした。
0投稿日: 2013.12.08
