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ぬるい毒(新潮文庫)
ぬるい毒(新潮文庫)
本谷有希子/新潮社
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総合評価

68件)
3.2
6
16
23
11
4
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    まさに本谷有希子作品。誰もが持つ人間の嫌な部分を蒸留して千倍濃縮したような毒性がありますよね。 素直に共感はできないが、自分の中にある何がえぐりだされて後ろめたさを感じるような。 すごく良かったです。

    0
    投稿日: 2025.10.24
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    なぜそんなに酷いことができるのか 登場人物全員嫌い でも、同族嫌悪を意味を含めて わからなく、ない 人間すぎる 短いのにしんどさが圧縮されていた 中身のない人たち でも、わからなくない

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    本谷有希子のステレオタイプとは違う作風にはなるが、この人の毒がダイレクトに出ただけという気もしないでもない。

    20
    投稿日: 2025.04.28
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    うーん… 人を傷つけることを何とも思っていなくて、意図するままに周りを操って生きている、まさにサイコパスなこの男に費やした時間がもったいないねーとしか思えない。 みんなそれぞれこじらせすぎていて全く共感はなし。

    6
    投稿日: 2025.04.16
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    熊田という女性は入り組んだパズルのような不可解な自意識を持っている。そしてそれが真摯に描かれていると思った。向伊が彼女にとって強烈な光源となって彼女自身の濃密な影を浮かび上がらせている。 彼女の自意識は生まれなどの現実に歪められ、嘘によって繋ぎ止められている。彼女自身を損なうこと、周囲を傷つけること、それのどこまでが嘘によって取り繕われたものなのだろうか?

    0
    投稿日: 2024.11.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この子と同じ切実さで全身がぐったりした。なんとなく思い当たるような惨めさをひとつ残らず目の前に突きつけてくる力強さに痺れた。読み終わった後も言葉の渦が頭から消えない。 家庭環境の複雑さに縛られていることはパーソナリティに大きく関わる事柄のはずなのに、こうした情報が整然と提示されることはなく、むしろ向伊との交渉という物語の必要によってようやく明かされる。そういう事情と向伊との交渉がどうやら一続きであるようだと読み手の立場からは受け取れてしまうけど、彼女自身は全く関心を払っていなそうなことにビックリした。他にも何が語られないかを見ると面白くて、向伊とのセックスも妄想の内容は生々しく描写されるのに実際の行為については割愛されることとか。ひたすらに自意識のたたかいの話だった。大好き

    1
    投稿日: 2024.11.03
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    タイトルの「ぬるい毒」まさにそのまま(笑) すごいタイトルがしっくりきたし、手が止まらない面白さがあったので星5。 こんな男に5年も……もったいないね(´;ω;`)

    0
    投稿日: 2024.09.25
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    登場人物誰一人として共感できなかった 学生の頃の恋愛を思い起こしてみてもダメだった 何が起こってるのか 何をどうしたいのか 誰が悪くて誰が正しいのか 全く理解できなかった これは、、、純文学だから? よくある売れない小さな劇団の訳のわからない寸劇を見ているような感覚 これが分かるセンスもってるオレって玄人でしょって言われてるそんな気分

    3
    投稿日: 2024.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ⚫︎感想 まず、知らない人から電話がかかってくるパターン、好きだった笑 一気に読むつもりはなく読み始めたけど、一気読みした。 自分が自意識過剰だと気づかない19歳。もう昔の自分でもないし、その他大勢の女どもでもない。全てを分かっている。馬鹿にされていることも分かった上で、手のひらの上で転がされているのを演じている。いつかひっくり返してやる。…という全能感に近いような思いを秘めている反面、自分の欲望をコントロールできてはいない、そんな若く危うくて、自分のことが嫌いで好き、尊いけど本当は矮小で一般的な主人公や他の登場人物を通して、読者は多かれ少なかれ、どこかに自分の姿を思うのではないかと思った。こんな気持ち悪い登場人物ばっかりの世界、ある?と思ったけど、読み終わった頃には、振り返ってみれば20代前半、拒絶したくなるような、恥ずかしい、未熟な自分が確かにいたよなと思わされ、「ぬるい毒」がまわった。 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで――。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。

    31
    投稿日: 2024.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    向伊にどんなひどい目に合わされるかと怖くて、でも続きが気になって読み進めた。 とことん侮蔑されたら意外と平気だった。 恐れているものに目を背けず対峙すると案外スルッと抜けだせるのかも。

    0
    投稿日: 2024.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    帰省したときに電話をよこし会いに来る。 友達もセット。 他人を見下して嘘を平気でつき、思い通りに動かせると思っている、浅い男なのにそう思っていない男。 何でも言うことを聞く女、弄ばれたふりをして彼を欺く日を待つ女。 19歳からの5年間をかけて相手にやることかな…、こういう男は反省もなにもない、相手の立場になって考えても時間の無駄、と思うけど…、終わらせるタイミングは何度かあるけれど彼女は進む…。 読み進めるのがきつかった。どっちにも共感できず。向伊の魅力がザックリとしすぎていて、そこまで魅力のある人にはうつらなかった。最後の方で説明あったけど(p139) 向伊の世界のぬるさをようやく気がつくのに、嘘を吐いてほしいと願っていたり 男女やり方は違うが承認欲求のはなし。p149 笑われるのはそれほどのことじゃない、むしろなれてしまえば病み付きになる…。 彼女は5年かけてそれを学ぶために傷ついたとしたら、もったいないと思うけど。

    0
    投稿日: 2023.09.04
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    向伊を考えている時間か考えていない時間かの二択とか、想像上の粘液(だっけ?唾液だっけ?)とか、ものすごい言葉がたくさん並んでいて、私の脳みその中身かと思った

    0
    投稿日: 2023.08.10
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    申し訳ないですが途中リタイアしてしまいました… 魅力たっぷりの男を目の前に美人の恋人熊田が復讐するために媚びる内容がどうにも合いませんでした。作品が悪いというよりも私と熊田、向伊の間に共感できる内容がなさ過ぎて「なんでこの人はこんなことをしているのだろうか、気持ち悪い…」という思いです。 内容は超ディープでけっこうどっしり系の恋愛?を描いてます。 この手の話が得意な方は独特で異様な雰囲気を持つ本作にしっかり 対応できると思います。

    0
    投稿日: 2023.07.31
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    本屋で手に取り数ページ読んでみると、これは自分を投影させた話のように思えて思わず購入してしまった。 家や容姿、過去の経験などから構築された圧倒的な熊田の自意識と、向伊の出現により熊田自身が向き合わなければならない状況へと引き摺り込まれる様子をまざまざとそして冷静に描かれている様に感じた。 ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかも読み手に委ねられているようだった。

    1
    投稿日: 2023.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんだかヌメヌメとしたものが心の中に張り付いてくる1冊。 これは恋なのかはたまた恋じゃないのか 分かってた上で近づく主人公 でも実は私たちの周りでどこでも起こっていそうな。 いい意味での気持ち悪さがある話だった

    1
    投稿日: 2023.04.19
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    むかついたーーーって。 嘘をついたり演技をしたり、劇団を持つ本谷さんならではの言葉がすごく生々しく感じられた。 熊田の狂気を帯びた世界観はどこか憎めない、共感すら覚えるもので、とてもよかった。

    0
    投稿日: 2023.01.16
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    主人公の考え方に共感?というか自分に似たものを感じて、どんどん読み進めてしまいました。 ただ、途中の時代劇のような場面は理解ができませんでした。が、そこをどんな意味があるのだろうと考えることもまた面白さがあるなと思いました。 人間の汚さとか東京の大学生の下品さが自分もその場にいるように感じるくらい伝わってきて、気持ち悪かったりしますが、それが癖になっていきます。

    1
    投稿日: 2022.12.17
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    難しい内容だった。 正直理解が難しかった。熊田の考え方に共感する部分はなかったし、なんだかひねくれてる世界だなと思った。 出来事に目を向ける話ではなくて、熊田の思考に目を向ける感じだった。 あまり面白くなかった。理解できないかもしれない。 でもまたいつか読んでみたいかもしれないし。

    0
    投稿日: 2022.10.07
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    腑抜けども•••は映画を見たことがあるけど、読書ははじめまして、な本谷有希子。 いやはや、難解。登場人物みんな自意識過剰でなんだか気持ちが悪い。気持ちが悪いまんま終わる。ええええ・・・。自意識と外部との境界が曖昧で終始クラクラする。 こんな時期自分もあったかな・・・あったっけ・・・? 堅苦しい家に生まれ、地元の短大から地元に就職した熊田さんと、東京の大学に進学し、帰省するたびにちょっかいをだしてくる向伊。危険な魅力の向伊くん、ほんといけすかない。若い時に、こういういけすかない男にあえてひっかかるのもまあ、いい思い出だよね?と意味がわからなすぎて逃避。他の作品はもう少し読みやすいようなので、またチャレンジしてみます。

    6
    投稿日: 2022.07.16
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    ゆったり、ねっとりとしていて最高だった。ムカイのクズ男っぷりも最高。自意識過剰すぎるクマダさんも最高! 好きな男と不幸になる幸せ,,, はぁ、うっとり。

    0
    投稿日: 2022.05.30
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    最初は読むとえぐられる感じかと思ったけど、途中からなんだかありきたりな物にしか思えなくてほっとしたようながっかりしたような。 作品がどうというより自分の都合だろうけど。 歳かな。

    0
    投稿日: 2022.05.23
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    ぬるいのがしんどいのか、毒がしんどいのか。読みながら息苦しくなった。誰かをコントロールできるという肥大な自意識を持った都会の大学生とそれを見透かしていると思うことで自意識を保つ田舎の女って実際にありそう。知らんけど。

    1
    投稿日: 2022.04.02
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    沸々と煮詰める鍋の様に、嫌悪や嘘や傲慢や勘違いや見栄がずーっと地を張ってる様な物語だった。 普段本を全く読まない私が偶然図書館で手にしたこの本は、人間みんなが持ってる(けど隠してる)醜い部分が巧みな表現で描かれていて、「あ、自分もこういうことあるある。人に言えないけど」ってジワジワ思わされ続けた。 人に言えないそれらが初めて共感を得た瞬間だったかもしれない。 とにかく出てくる奴らみんな醜くて、いやほんとはというか、誰かにとっては良い奴なんだろうけど、そいつ裏ではそんなもんよ?みんな、 って思ったな。はい、私もそうです。 久々の読書ってこともあり、個人的には非常に面白く読めました。

    0
    投稿日: 2022.01.08
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    セブンルールの本谷さんの本ずっと気になってた。 本谷さんぽいなあと思った。 私の共感できるキャパを超えるくらいの女の子で、でもこういう風に思ってる都会の女子大生沢山いそう。

    0
    投稿日: 2021.12.14
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    自分もいつかぬるい毒に陥ってしまう時が来るのかもしれないと思った。魅力の塊のような男性に出会ってしまったら、私はどうするのだろう。もう出会ってしまった時点で毒されてしまう気がする。非常に非現実的な側面を持ちながら、自分もいつかそうなってしまいそうで非常に恐怖を覚えた。

    0
    投稿日: 2021.05.24
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    タイトル通り「ぬるい」毒にじわじわと人生を蝕まれていく主人公に同情しつつ共感する。後味は決して良くないけど、本谷作品という感じ。

    0
    投稿日: 2021.04.10
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    皮膚を剥がされているような感覚 胸焼けするくらいドクドクした甘い重たいチーズケーキを食べている時間なるべく長くずっと続いているようだった

    0
    投稿日: 2021.03.27
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    急に知らない男から電話がかかってきた。 高校の時お金を貸した関係だという。 その男と会うが記憶にはない。 しかもその男はとても魅力的だった。 その一年後また電話があった。 その時に同級生と飲んでいるからと呼び出される。 そこで起きる値踏み。 また一年後連絡が来る。今度は心霊スポットに2人で向かう。その後結局関係を持ってしまった。ただ彼には彼女がいる。私は彼とともに地獄へ奈落の底に堕ちることを決めた。 男に値踏みされる経験。女として嬲られてるように感じる情緒。求められるエロさ。なんでそんなものに応えなきゃいけないの????女だから?? 私は人生で一度だけ地獄でも生きていけそうなものになる。鬼。それが私の人生でたった一度だけ訪れる、光り輝くときだ。きっとそのことは死ぬまで誰にも打ち明けない。でも、鬼としてでも〈生きた〉人生と、そうでない人生は意味が何もかも違うのだ。

    0
    投稿日: 2021.02.22
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    読み終えた時、吐き気がした。 本のタイトルのように毒を飲まされた感覚。 明日になれば、そういやアイツの生きる世界ってぬるいよなとか思えるかもしれないけど、今は胸の辺りが黒くなってて、何も考えられない。

    0
    投稿日: 2021.01.15
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    初めての本谷有希子さんの小説を読了。 どこかに盛り上がりがあるわけでもなく、 ずーーーっと「しんどい」が続く感じでした。 熊田は家庭環境や自尊心のなさ、世間・同年代への劣等感を全て内側で抱え込んで、魅力的な向伊にいいように利用されていることを分かった上で自分は騙されて「あげて」いるだけで、本当は更に上の存在だと思うことが精神的な拠り所だったのかもしれない。 全ての負の感情を自分の中に押し留めることしかできず、それが鬼、傷が治る男の人、トラックの運転手を生み出すことによって精神的な安定を保っていられたのだろう。 心の底では「生きたい」と思っている人がリストカットをするような感じ。 ただ、向伊も奥出も野村も、胸くそが悪い男しかいなかったなぁ。 結局は彼らの上をいったわけではなく、自分の中で吹っ切れて折り合いが付いただけだし。 一発かましてほしかったけど、自分の負を乗り越えることと他人を踏み台をすることは関係がない(相手が一枚上手で表向き踏み台にできなくても自分自身が踏み越えていけばいいだけ)、というところが物語ではなくてリアルなんだろう。

    1
    投稿日: 2020.05.05
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    同じことを繰り返し繰り返しなぶるような内容で、冗長に感じた。こういう女の子はいっぱいいて、ほんとうの狙いはあるものの実際にはできなくて、という面もまさにそれ。内面描写が上手で最後まで読めたが、途中からは退屈に感じはじめてしまった。

    0
    投稿日: 2019.12.21
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    後味が悪すぎる~。 恋愛が良いものだとおもえなくなる本。 確かにああいう、小悪魔?的な人っているけど男の人がそうなるとタチがわるい。まぁ、抜け出せない女の人も悪いのかもしれないけど。

    0
    投稿日: 2019.10.27
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    本谷有希子さんが可愛いことに気付いたので、どんな本書いてんだろ、と試しに読んでみました。 女性と分かっていて読んだからか、女性作家特有のドロドロ感が心地良くはありましたが、なんだか気に食わないやつしか出てこない小説でした。 やたらとモテる嘘つき男と、そいつを好きになったフリをしているようで、実は本当に好きになっているような感じの主人公と、その主人公を小馬鹿にするモテ男の友達、、、 特にモテ男の口車に乗ってるフリをしているハズなのに、なんか女出しちゃう感じの主人公がなんともムズムズしました。

    0
    投稿日: 2019.06.09
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    あー、めんどくせぇ!でもこのめんどくせぇのにハマってますわ。 いいところなーんにもない。自己中心的な小説をわざわざ書いてるんだろうね。 イヤミスと同じ括り。怖いものみたさのみ。

    0
    投稿日: 2019.03.09
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    文庫版解説にある「弱火でずっと沸騰している感覚」という文言が非常にしっくりときた。 本谷有希子の作品は好き嫌いの激しいものが多いと思うけど、そのぶん宗教的、熱狂的な人気もある。 ただし今作はその信者でさえもふるいにかけるような挑発的な作品だと思う。

    0
    投稿日: 2019.02.03
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    欲望と欲望は惹かれ合う。欲を重ね合う私たちはどこまでが本当でどこまでが嘘かなんてわからない。それは実に滑稽に見えるけれど同時にそれがリアル、でもある。 僕たちが紡ぎ出す言葉や行動は滑稽でなんの思考も介さない浅はかなものに他人の目からは写るだろう。だがその過程には、並々ならぬ葛藤と迷いと、欲望やらが飛び交っているのだ。 この作品は終始熊田の脳内での会話を描いている。手に取るように熊田が感じられ、熊田という女性が自分の中の人格のうちの一人なんじゃないかと錯覚するような読書体験だ。共感はしないけれど、お腹の中の何かを煮えくり返されるようで面白かった。

    0
    投稿日: 2018.06.14
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    (01) 罪や罰,自意識,渇きと潤いというさまざまな連関があり,中盤あたりを読み進めるうちに,ふと,ドストエフスキーの独白に思い当たった. 文庫版の解説にもあるように,確かにこの小さな物語は,主人公の女性の長いモノローグ(*02)であったのかもしれない.そこには他者が存在しているようでもある.男性,女ども,家の歴史,水,そして他人のような自分など,モノローグを語る主体の存在の危うさも示され,主体が他者の関係性の間にか発生していないようにも思える. 対話や会話の内容はいつも嘘であること,その嘘を成立させている身体や物の方にアイデンティティの対象が向いてしまうのは,そちらの即物の間の関係のほうがより安定的であるからでもあるだろう.その論理からすれば,物を動かすほどの言葉,つまりは「ぬるくない」嘘に痺れる(*03)ほどの価値があるのは必然でもある. (02) 人称の問題もある.彼女ら彼らはなぜきらびやかな名をもたず姓としてあるのか.1箇所ほど主人公の名が音響されるセリフがあるのはなぜか,僕や俺や私にこだわるのはなぜか,こうした問題は,ドストエフスキー的なモノローグや,物レベルに築かれる安心な関係性にも絡みつく. 個や個性が匿名になってもいいような,匿名になりかけの地点が目指されていることには好感がもてる.その地点が地獄であり,そこを行くものを鬼と呼ぶのかもしれない. (03) この痺れは,おおよそ笑いと同義であろう.笑われることは侮辱されることでもある.こうした痺れ,笑い,侮辱が言葉ではなく,それも物の水準にあって,水面に波紋を織りなすものであることに注意したい.

    0
    投稿日: 2018.03.22
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    2018.2.26 魅力的な人間に対しての表現が鍵がしっくりおさまるようにぴったりくる表現でとてもよかった すきだと思う気持ちと暴くという気持ちを同時に持ってしまう感情をわたしももったことがある、最後までこれが恋なのかわからなかったし暴いたと思った瞬間どうでもよくなったりした そしてこういう人間との出会いをわたしは本当に求めている、旅をしている これが興味というものなのだろうか?そうだとすればたしかに興味はひとを殺しかねないぬるい毒だ ひとりの人間の奇妙さみたいなものをリアルにいきていても見つめていたいし、小説にして解説したい気持ちをずっと思っているので、やりたいことも作品の意図もとても心の深いところまで染み込んだ

    0
    投稿日: 2018.03.03
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    「嘘にはその人の個性がどうしようもなく出ると思う。…向井が嘘を吐く。その時間が自分にって貴重だった。」 第三者から見れば滑稽にしか思えない嘘も、主人公にとってはため息の出るような嘘であり、恋だったのかもしれない。しかし、緻密に練られた嘘は次第にメッキが剥がれ落ち、段々とその精度が落ちていく。騙されている自分を演じることに陶酔したり、後半、笑われ慣れることに病みつきになるなど、主人公の自傷的な考えに、どうしても共感はできなかった。

    0
    投稿日: 2018.02.25
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    一文一文が独創的ながら的確。例えば、黒鍵の上を歩いているような男だとか、顔を旅行できるだとか。同時に、全体としてのうねりにも引き込まれ、圧倒される。 類型化した理解というのは追いつかなくて、読めるのだけれど分からない、でも引き込まれるというところになる。精度よく丁寧に書かれたものから「分かる」ような何かを見つけ出すのは困難だけれど、それでも入ってくる。 「好きな男ができた、行動は完全に彼に引きつけられている、そのことを自分で認められず悪い感情を抱いている」なんて構造が一方でミエミエなのに、一方では移入して狭い視野を共有せずにはいられない。そして現実・建設的な思考・妄想の境界が崩れていく。 「23歳」というモチーフも印象的。あとは、金目当てだとわかった時のみじめさとか、処女のこじらせた欲求だとか。

    0
    投稿日: 2017.03.31
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    あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで――。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。

    0
    投稿日: 2016.10.06
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    しんどい読書だった。主人公はコンプレックスの塊の自意識過剰人間なのだが、個人的にとてもよく共感できてしまって苦しい。さらに、出てくる男がどいつもこいつも人を舐め腐ってるタイプの最低な人間で、主人公を何度も精神的に辱めるものだから、気分が悪くて人間不信が悪化しそうになった。復讐劇を成功させて欲しかったけど、実際にこういう人たちに自分で復讐を果たすのは極めて難しいのは分かるし、自分は立ち向かったんだということで満足するのができる限りの最高の落とし所なんだと思う。最後に主人公が言う、笑われるのも慣れれば良いものだ、というのは私には理解しかねるしそんなことに慣れたくはないと思うが、決定的な反抗を示すことで嫌な出来事も気持ち的にすっきり決別できるのは確かだよね。だから、不当な扱いをされても毅然と反抗できる人間になれたらいいけど……。 文章は正直うまくないと思うけど、爆発するようなエネルギーが感じられる。溜まりに溜まった負の感情に基づく反抗というような話を本谷有希子はいつも書いてるイメージだが、なんでそういう話を書くのか気になった。

    0
    投稿日: 2016.08.14
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    結局 主人公目線の世界がどこまで本当で、本当の世界はどんななのかな?! と 考えずにはいられない おもしろさ。 序盤では話が掴みきれずになかなか興味がそそられなかったけど、中盤からは 結末に何が待っているのか…?!と前のめりで読んでしまった。

    0
    投稿日: 2016.03.24
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    自意識、 その生き残りをかけた壮絶な戦いの物語。 自分を保ちたい。自分が相手をコントロールしていると思いたい。自分の思っているように世界を回したい。 もし、そんな想いが崩されたらどうなるのだろう。自意識をずたずたにされたらどうなるのだろう。傷つけられることは怖い。 でも、自意識との戦いに本書はヒントをくれる。自意識を引き裂かれることに恐れはある。ただ、思うほど悪いものでもないかもしれない。

    0
    投稿日: 2016.01.03
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     タイトル通りじんわりとぬるい毒が体内に巡っていくような、しんどい読後感。ガツンとした衝撃はないけど、確実にダメージを受けた気分。  私は本谷さんがおっしゃるように(あとがきより)、熊田は向伊に恋をしてはいないと思う。だけど強烈に引き込まれているのは確かで、そこまで魅力ある向伊に会ってみたい、人を平気で嘲笑える嫌な男なのに会ってみたいと思ってしまう。それが熊田が(ある意味)虜になった向伊の魅力なら、怖い。ラストは熊田の徹底的な逆襲が見られる訳でもないところがまた、こちらをじんわりと重たくさせる。

    0
    投稿日: 2015.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    エキセントリックな女の子ものではなく、嘘の毒牙に酔わされつつ逆襲を画策する、内面に潜り込んだ小説。 痛快さはない。 精神面における崩壊感覚。 初期のエキセントリックな「痛い女子」 →本作 →じんわりと描かれる「痛い女」 その分岐点。

    0
    投稿日: 2015.11.03
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    本谷有希子ワールド。主人公は、分裂気味。スパンが長いのに、主人公にとっては、先週程度に感じているように思う。向伊たちのサディスティックな遊びは主人公の思い込みなのかなんなのか、わからない。ただひとつ、女、女どもと呼ばれる種類の女たちに対する嫌悪感には同感。この小説の解釈を聞きたい。興味ある。

    0
    投稿日: 2015.10.08
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    ざっくり言うと、若い男女の、恋のような恋でないような人間模様の話。 面白かったかどうかは置いておいて、まず主人公の女の子の自己愛?自意識?が強すぎて、どこまで真実か分からない。まあそれは、誰にでも当てはまることなのだけれど・・・ 主人公のお相手である男の子、かっこよくて魅力的だけど嘘つきで人でなしという設定だけど本当か分からないし 主人公も、昔は垢抜けてなかったけど今は芸能人になれるよって言われるくらい美人ていう設定だけどそれも分からないし だって物語が一人称で語られてるから。 面白かったかどうかでいうと、それも、うーん。なんかこう、生ぬるいんだよなあ・・・。 でもタイトルが「ぬるい毒」だから、何とも言えない。絶妙なとこついてくるなあという感じ。 本谷有希子を初めて知ったのは、映画「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」。すごく面白くて、その原作が本谷有希子の舞台で。じゃあ舞台も見たい!ということで見た初舞台が「幸せ最高ありがとうマジで!」。それも良かったので次に見たのが「来来来来来」。これもまあよかった。 小説は、難解さが回りくどくて分からないときもあれば、痛快なときもあるので、あまり期待はしてないけどやめられない。

    0
    投稿日: 2015.08.13
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    比喩がと形容が独特。これは復讐をしたかった少女の物語であり、独り相撲の物語。共感する部分は多かれど、理解には今一歩届かず。 主人公の少女の自意識がそもそもの元凶なのではないのか、という気もするが、登場人物の鼻持ちならないキャラクター性は太宰の親友交歓なみに本格的。

    0
    投稿日: 2015.06.19
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    生ぬるい。沸騰もしない。ポコポコと湧き立つ沼。 気分の良い瞬間がない。救いはほぼない。後に残るは、全員が自身の首を意識的にも無意識的にも絞め続けているかのような、強烈な息苦しさと不快感。

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    投稿日: 2015.05.12
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    舞台で観てから、原作を読了。 舞台で見た不快感と原作の不快感が、同じであり大きく異なっていて、 両作品とも、とても素晴らしいと思いました。 人に勧める作品ではないけどね。

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    投稿日: 2015.05.01
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    タイトルがめちゃくちゃ好きで何回も唱えました。 が、内容は高度すぎて、わからなかった。わからなかったということすら、解説を読ませていただくまでわからなかった。本谷さん大好きなんですが、ほんとレベルが追いつかず申し訳ないとしか言い様がない。

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    投稿日: 2014.10.10
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    本谷氏の小説は好きだ。が、ここ最近は切れ味がマンネリ気味な気がする。大江賞を取った短編に期待しよう。

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    投稿日: 2014.08.18
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    この作家さんはいつもこんなふうに考えながら生きてるのだとしたら、生きるの大変だろうなあって思う。私も面倒くさいほうだけど、この人は狂気というか脅威。でも嫌いじゃない。友達にはなれないけど。

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    投稿日: 2014.08.03
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    本谷有希子作品を初めて読んだけど、 思っていたほど衝撃的ではなく、まさにぬるいというか 生ぬるい中で人を精神的に追い詰めていく感じ。 ちゃんと理解はできなかったけれど、 他の作品も読んでみたい。 2014.7.23読了

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    投稿日: 2014.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いいか悪いかは別にして、自分自身に効く薬、全く効かない薬がある。今話題?の"超高速!参勤交代"の抜け忍、雲隠段蔵は毒が効かない体質らしい。実は心のある生き物にとって、身体に直接効く毒よりも、心に忍ばせた毒のほうが、じわじわでも効いて怖い気がする。ほんの少しの毒なら、戒めとして働くけれど、毒なのに"ぬるい"のは、役に立つところがない。それゆえ、この作品の価値は引き立つのかもしれない。

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    投稿日: 2014.07.03
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    久々に大傑作に当たった。 声が出る程醜い! 声が出る程汚い! あまりにも感情が揺さぶられすぎ、 読みながらリアルに涎が出てしまった。 全てはこの涎が滴り落ちる瞬間の ための読書体験です。 激ヤバ鬼マスト!!

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    投稿日: 2014.06.24
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    『私は胸の音を鎮めようと、息を吸った。それから自分に言い聞かせた。勝手に女性ホルモンを出すんじゃない、あばずれ。』 『私は、この人間の思い通りにいかないことが一つくらいあってほしかった。』 『ここだけの本当の話。一年一年、約束したかのように私は輝きを失っているのだ。』 『いまなら分かる。あのファミレスで笑ったとき、原からもこの音が聞こえたから。人が傷を負っていくときには音が聞こえるのだ。心が壊れる音。ごめんね。ごめんね。ごめんね。』 『〈なんだ、そうだったんだ。私も両親も人間ですらなかったんだ。人じゃないのに、お金を持ってる必要はないね。だったら、お金を取ったあと、全員殺してくれたらいいのに!〉』

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    投稿日: 2014.06.10
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    この小説の論点として吉田大八が「『恋』か、そうではない(本谷曰く『戦い』)か」を挙げていることがとても興味深い。 どう読んでいくか、そして決めた道でどこまで掘り下げられるのかが気になるところだ。 まだ共感だとか説得力には欠けるかもしれなくとも、女の自意識にたどり着くまでのプロセスを、これまでの本谷作品と比べればたしかに感じられたので面白かった。

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    投稿日: 2014.05.06
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    えげつないほど生々しい、平凡な日常に対する抵抗。 本当は恋愛も男もセックスもどうでもいいくせに、それから逃れたい為に溺れる。簡単に足の着く浅瀬だとわかっているのに、気付かない振りをして溺れる。 死なない程度のリストカットを繰り返し、血を見て悦ぶ子供と同じように。 本谷有希子の小説は、小説の体裁を取りながらもいつも別のものであるように感じる。 例えば、そう。私以上に私を愛し、憎み、蔑むひとは、この世のどこにもいないだろうーーそれを知ってしまった人の悲鳴だ。

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    投稿日: 2014.04.21
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    気色の悪い小説。その一言に尽きる。 登場する人物、向伊にしても熊田にしても誰にしても、その思考回路・発想というものが、まったく理解できない。人の見下し合い・馬鹿にし合い、軽蔑。読むにつれて、ひたすら疲れていく。 さっさと読んでしまうに限る、っていうわけでさっさと読み終わったのだけれども、不快になったほかは何も残らなかった。 ただ、気色の悪い人たちが、気色の悪いことばかり考えていて、気色の悪い描写に徹した作者の、その文学的野心というものが、実に下品でうんざりしてしまった。 フィクションというのは一種のゲームみたいなもので、自分が体験できない事柄を、ゲームを通して体験できるというところに魅力があるのだけれど、不快さだけが残ってしまうというのは、俗に言うところの「糞ゲー」であって、しかも、この小説は、リセットすればすべて無に帰することのできるゲームとは異なり、読み終わっても不快感がべったりとこびりついてしまうから非常に性質が悪い。 ほかの本を読んで、この小説を早くに浄化(=記憶から抹殺)したい。

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    投稿日: 2014.04.14
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    人の心を弄ぶ男の魅力にやられてしまった女の自意識過剰なモノローグが終始タレ流される。締めつけられるような嫌悪感を覚えつつ、一気に読んでしまった。このイタさを受け入れられるかどうかが評価の分かれ道なのでは?後半をもっと丁寧に書いてほしかった。

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    投稿日: 2014.03.25
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    この小説に対して何も思うことはない。だから私の今の気持ちだけ。胸くそが悪い。こういう小説が一番嫌い。ブクログの足しにはなったかな。

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    投稿日: 2014.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あぁ虚しいな苦しいな 人が信じられないって、 その人を信じられないことがその人を魅力的にみせるって どこまで私を騙せるのか どこまで私が騙されるのか 自分を使ってゲームをしてる たぶん魅力的なゲームだ かけてるものが大きいからね 中毒性があるね もっと華麗な嘘で鮮やかに騙してほしい でもきっとそこまで手をかけてもらえないんだろう どこで終わるんだろうって思ってたけど あぁそうふぅんそういう風に終わるんだって思った あぁほんとうにぬるいなぁ

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    投稿日: 2014.03.21
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    ひたすら苦しかった。熊田の戦いは、すべての女が経験することだと勝手に思った。ここにはわたしが描かれている、太宰の女生徒くらいの衝撃があった。昏い魅力に溢れている人間は実際いるし、知れば知るほど彼らは悪魔的だ。引きずりこまれたなら、毎日毎晩自分が鬼になる瞬間を想像しながら精一杯生きて苦しんで、自分が愛おしいかなしい生き物だと気づく以外に、逃れられる道はないのかもしれない。

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    投稿日: 2014.03.17
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    はじめて読む作家さん。 もっと毒々しいものを期待していたけれど、「ぬるい毒」だった。よく分からないと思いながら読み始めたけど、結局よく分からないまま読み終えた。もっと時間をかけて読めばよかったかな。 そしたらこの「ぬるさ」にもっと違う感覚を覚えたのかも。

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    投稿日: 2014.03.13
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    文庫で再読。 単行本で読んだときはなんかイマイチな感じだったのだけれど、文庫が出たので改めて読んでみた。そしたら面白かった。この感想の違いは何故だろう、ということを考えてみた結果、以前にイマイチだと思ったのは、同著者の「ほんたにちゃん」を読んで間がなかったからなのではないか、ということに思い至った。 「ほんたにちゃん」と「ぬるい毒」の主人公は真逆である。それは「男と女」のように「全く性質が異なる」ということではなくて、「右と左」のように「相反する方向に向かっている」という意味での真逆である。 どちらも「自分は特別である、他の女どもとは違うんだ」という過剰な自意識を起点にして、それを外に向けて膨張し、炸裂させたのが「ほんたにちゃん」、内に向けて収縮し、どす黒い塊にしてしまったのが「ぬるい毒」である。と、私は思うのだ。 「ほんたにちゃん」は著者の処女小説をリメイクしたもの、ということもあり、荒々しくて衝動的でものすごい勢いがあって、作品の主題(?)でもある「若気の至り」というヤツがグサグサくる感じだった。 たいして「ぬるい毒」は、同じ系統の「痛い女」を描いているのに雰囲気は全然違って、じめじめした空気感、人肌の匂いと温度が色濃く漂っていて、慎重に練られたのであろう心理描写は吐き気を感じるくらい生ぬるくてドロドロしている。 つまり同じカテゴリの女性を描きながら全く手触りの違う小説を短期間に読んだせいで、その強烈なギャップを処理できずに気持ち悪くなってしまった、ということだったのかもしれない。と、今になって思った。 この作品が野間文芸新人賞受賞という、著者の作家としてのキャリアにおける最大の評価を受けていることに実は疑問を感じていた。 けれど再読してみて、これは「痛い女」を描きつづけてきた著者の明らかな成熟を見せつける作品であり、のちの「嵐のピクニック」や「自分を好きになる方法」に繋がる一つの到達点だったのだな、と、改めて思ったりした。

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    投稿日: 2014.03.11
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    読んでも全然すっきりしないし、言ってしまえば、後味が悪い。 でも、自分でいろんなことを言い聞かせながら、言い訳しながら、向伊というだめな男にハマっていく主人公の姿は、人間の痛さをありありと描いていると思う。

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    投稿日: 2014.03.11