
総合評価
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powered by ブクログ図書館リファレンスカウンターをやっている失われた本を探し出したりする中、いつの間にかN市の図書館存続をかけて、市議会の委員会で演説する羽目になってしまう。何日もかけて導き出した市民にとっての図書館のあるべき姿とは。
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ図書館のレファレンスサービスの職員のお話。レファレンスサービスとは、おさがしの本を探すサービスとのこと。 舞台となる図書館の存続の危機なんかもちらつかされながら話が進んでいきました。 言い回しや表現が古風なせいか、はじめ主人公は中年男性なのかと思っていたくらいで。 古風な言い回し&うんちくや色々な知識が盛り込まれているので、意識がそれたり遠くに行きかける箇所もまぁまぁありました。 ですが、全体的に重くなくコミカルな雰囲気も多めなので(あれ、ちがう?)楽しく読み進めることができました。 登場人物のバックグラウンドが沢山描かれているわけではないから内容のみに集中できやすかったのかななんて思ったり、、、。 主人公、いいキャラしてますね。あんな、30代半ばちょっと貫禄がすごすぎるけど はたから見てる分には面白いと思います。 恋の行方も気になるところ。
8投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
始め、主人公は年配の偏屈な男性なのかと思った。 長年の勤めで不満が溜まって、感じが悪くなっちゃったのかと思ったから。 もう少し人物描写があると良かったな。 「図書館ではお静かに」は、その大学の図書室での話だったらもう少し自然な流れに思えたかも。 「モリリン」や「モリカズト」は面白かった。 人としても、司書としても、この話の主人公は余り好きじゃなかった。 何十年も前の私物の本が、登録もされず、紛れたまま残っていることがあるかな?
0投稿日: 2025.08.01
powered by ブクログ図書館のレファレンスサービス?という人に是非読んでもらいたい作品。 公共事業である図書館の、財政難とレファレンスサービスの奥深さを知ることができます!
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログ主人公の職場は図書館の レファレンス・カウンターで、利用者の依頼で本を探し出すのが仕事である。ある日、財政難による図書館廃止が噂され主人公の心に仕事への情熱が再び湧き上がってくる。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく。 バラエティに富んだ 本探しの中に多彩なうんちくが織り込まれており、改めて本の持つ世界の豊かさを感じられる作品が揃っている。また身近にある図書館がどれだけかけがえのない存在なのかを実感せずにはいられない。連作短編集。
1投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ難しかったなぁ 文章がかたいし、昔の言葉も訳されてないし、昔の文豪があたかも普通の知識として誰もがしってる前提で書かれててなんも分からんかった でも図書館存続とかのテーマは今の時代ならではで、本を読む人からしたら存続してほしいけど世間的にみたら違うのかなとかも思ってたから最後の存続派の弁論は確かになと納得した。 あと 「書物というのは、ただ人間を助けるだけの存在。最終的な問題の解決はあくまでも人間自身がおこなわなければならない」 この文章にとっても心を打たれました。 自分を変えたくて色んな本を読み漁ってもあくまで、自分自身が行動を起こさないとなにも解決しないと思えた。
7投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ図書館や本をテーマにしている本が好きなのでタイトルに惹かれて図書館で借りました。 読み進めていくと面白いなとは思うのですが、探している本についての説明などがちょっと私には堅いというか難しいというかあまり頭に入って来ず挫折してしまいました。 また読みたいと思ったときにチャレンジしてみようと思います!
4投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館のレファレンスのお仕事についての小説。気楽に読めるし、門井さんのは安定感がある。短編集だけど、わかりやすく図書館廃止をもくろむ悪役(でも完全悪ではない)、ほのかなロマンスの香り、などなどで全体通してのストーリーもあり。最後はそうきたか、だけど。公務員だしね。
1投稿日: 2024.05.29
powered by ブクログリファレンスカウンターに来る人たちの何気ないような質問が実は複雑怪奇。 そこを苦労しながら答えに辿り着く過程がとても面白い! 最終的には市の図書館の存続までもが、相談事項になってしまう。 読み進めるうちにがっつり応援してしまっているところも著者の思い通りなんでしょうー 友人から勧めてもらった読み応えのある一冊でした。
1投稿日: 2024.04.29
powered by ブクログ図書館に対しての懐かしい気持ち 年月が経って思い出す本ってやっぱりあるなって思った。それはもう題名も分からないけど、、、 小さい図書館の司書さんのことは今でも思い出します
0投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログレファレンスの難しさは言うに及ばず。地道に推理していくところに親近感を覚える。ほんのちょっぴり添えられた恋愛要素が一輪の花のよう。
0投稿日: 2023.12.24
powered by ブクログ図書館司書が主人公の話。 レファレンスカウンターにやってきた利用者の求める本を仲間と共に知恵を出し合って探し出すところは面白がったが、最後の章で、図書館存続のための議員への演説は、説得力が今ひとつだったのが残念だった。
0投稿日: 2023.11.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリと間違えて図書館から借りた(´・ω・`) 主人公は市立図書館のレファレンスコーナー勤務、 図書館廃止の脅威が湧きなぜか議会で廃止論の館長 と対立して参考意見することに・・・そもそも図書 館は「無料貸本屋」になり、公的機関が扱う情報を 無価値化にしてしまった まして経費削減の美名の下、民間委託(丸投げ)し たツタヤが問題を噴出、住民サービス向上には何も 寄与せず「情報の選別化」もできず風俗本を購入w
0投稿日: 2023.09.18
powered by ブクログこの作品は、図書館に興味のない人が読んだら、多分とてもつまらないのでは…? ドラマティックな感じがなくて、青年設定の主人公に、若さが感じられない。全体的に地味なのです。 でも、図書館に関わったことがある人は、多分とっても楽しめるのだろうなぁ。 本探しの細やかなエピソード一つ一つに説得力があって(多分そうなのだと思えて)読みながらにんまりしてしまう。 物語として読むというよりも、図書館、書物、読書の知識本(オタク本とも言える?)のよう。 この作者の『家康、江戸を建てる』を読んだ時と同じような満足感を抱きました。
5投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログいち図書館員として、虚構とリアルの間で読ませていただきました。 尻を叩かれる思いで最後まで読み切り、ラストはいち図書館員としては少し寂しく思いましたが、市長に対する最後の隆彦のあの言葉が、図書館員としての道しるべであり、そしてこの物語の全てであると、ストンと胸に着地した事でスッキリ読み終える事が出来ました。
0投稿日: 2023.08.30
powered by ブクログ図書館員の和久山が、相手の探す本を知識と推察力をもとに探していきます。 普段推理物をあまり読まない私も、主人公の淡々とした様子のおかげか、すらすら読み進めることができました。一緒に推理するような感じでわくわくして読めました! そしてラスト、図書館と行政との関係に触れます。図書館とはどんな存在か。 いつも図書館を利用している私にとって、図書館は生活を豊かにする大切な場所です。とても印象に残りました。
0投稿日: 2023.05.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館のレファレンス・カウンターでの本探しの依頼という小さなテーマかと思いきや、図書館の存続を巡る大きな問題にまで発展していき、すごく奥行きを感じる小説でした! それぞれの章で取り上げられている「探してほしい本」が印象的で、その本を自分も読んでみたくなります♪ テーマの本についての解説が丁寧で、今後「アンパンマン」という単語を知的な目で見られそうです笑 図書館存続派の主人公和久山と廃止派の潟田さんとのやり取りの中で、潟田さんの実は本好きな面が見えてどこか憎めない暖かさを感じました。
0投稿日: 2023.05.12
powered by ブクログレファレンスカウンターに勤める図書館員のお話。私がいつも利用している図書館にはそんな専門のカウンターはないし、そもそも相談しようと思ったことすらないので、小説とはいえこうして読んでみるとなるほどなぁと思います。話は図書館存亡の危機にまで及びますが、地方自治体の内情というか政情というかも垣間見えて、なかなか興味深かったです。にしても、「ただただ買うためのお金がもったいないというだけの理由で人気作家の新作をごっそり借り出す老人もいます」とのくだりには、思わず肩身が狭くなってしまいました(^^;
0投稿日: 2023.02.11
powered by ブクログ一回読んですぐに売ろうと思ってたけど、なかなか良かったので、置いときたいと思う。もう一度、読みたい作品。
0投稿日: 2023.01.27
powered by ブクログ主人公の和久山隆彦は図書館のレファレンスカウンターで本探しの仕事をしている。仕事への熱はあまりなかったが、新しい副館長に図書館廃止派の人間が就任したことで、図書館の意義を見つめなおすことになる。 本探しのパートはいわゆるビブリオもの。本を探すための専門的な知識はすごいと思うのだが、少し謎ありきな感じがした。また、同じジャンルの人気作と比べると少しエンタメ性に欠けていた。 図書館存続のための隆彦の演説は、そこまで説得されるようなものではなかった。参考資料を聞かれるほどか?と思ってしまった。
4投稿日: 2022.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館のレファレンスカウンターで働く主人公の殺伐本探しミステリー。先にれんげ畑〜を読んでしまったせいか、こっちの方が随分硬く感じる。実際図書館廃止やら市政絡みで物騒だったけど…。 副館長から館長にそしてまた市長秘書室に戻っていった、敵と見せかけて実は味方な潟田のキャラが良かった。人間関係で言うならこれも館内恋愛になっちゃった⁈(最終的には館内じゃなくなるけど。第一話に出てきた女子大生がワトソン役の本探しミステリーでも面白かったのでは、と思ったり。
0投稿日: 2022.07.06
powered by ブクログ文学崇拝の様に感じられて少し好きになれませんでした 内容は図書館員の本探しでしたが、微妙な記憶違いや有名な作品との取り違えなどが面白く読めました
0投稿日: 2022.04.23
powered by ブクログレファレンスと図書館存続をテーマにした連作短編集。 リアルと言うにはツッコミどころもあるが、図書館を行政の観点から描いたところは、ちょっと新鮮。 主人公の仕事への無力感も、捨てきれない情熱も、なんかわかる。 切れ者な新館長(図書館廃止派)との対決が面白い。 「図書館滅ぶべし」の研修問題は、日本語学かじった人か、小さい子どもと関わる人はピンとくるのでは。 「赤い富士山」は文章表現だけだと該当の本がどんな本か想像しにくいかも。
0投稿日: 2022.03.26
powered by ブクログN市の図書館で、レファレンスカウンターという、本を探している来館者の手伝いをする和久山。そこへ短大生と思われる女性が本を探しに来た。彼女の示す作家名は「林森太郎」…? 図書館司書をテーマにした5本のアンソロジー小説。言われたとおりに探しても見つからず、紆余曲折の後にようやく目的の本にたどり着くというようなストーリーがメインとなっている。 後半部分では、N市の図書館を守るべく、図書館廃止派と渡り合う展開になり、そこから困難が待ち受けるが、その中でも本を探すという話は続く。 森見登美彦あたりに憧れているのか、途中に妙な文語的表現を挟み込んできたり、普通は使わなさそうな慣用句をねじ込んできたりするため、読みやすいストーリーに急ブレーキがかかるような部分が見られたのは、作者の狙いなのかどうなのか。 メインとなる短編のストーリー部分は、当然ながら理解しやすいもので、ほとんどの読者はそれ以外印象に残らずに終わってしまうのだろう。 一方で、本を見つけるための推理であったり、検証部分は頑張ってこね繰り返していることで、少しは厚みが出ているのかな。 全体には、ほとんどの作品で、決めつけては「違う」と一蹴されるパターンばかりだったのは今ひとつかな。続編への道筋を自ら塞いでしまったが、もう少し人と人との絡みだとかを生かして、シリーズ化してもいい作品だと思う。
0投稿日: 2022.03.17
powered by ブクログ読了2021.09.20 図書館のレファレンス・カウンター職員が主人公。 利用者の依頼を受け本を探す手法がミステリ的。福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」が頭を過ぎります。 物語は図書館廃止という行政問題と図書館の意義にも踏み込み、甘酸っぱい恋もあり。
0投稿日: 2022.01.23
powered by ブクログN市立図書館に勤務する和久山隆彦は、利用者の依頼で本を探し出すリファレンス・カウンター。彼の元へとくる利用者からの奇妙な依頼は、もちろん本に絡んだモノ。本好きなら引き込まれる要素たっぷりの連作短編集。 それぞれが魅力的な短編なのだが、読み終えてみると和久山の成長物語と図書館存亡に纏わる一冊の長編の体をなしており、やはりそこはサービス精神旺盛な門井本。 一筋縄ではいかない。楽しませてくれる。
14投稿日: 2022.01.04
powered by ブクログ5章からなる連作短編集。 なかなか面白かったです。 主人公は図書館職員の和久山隆彦、レファレンスカウンターで利用者の依頼で本を探し出すお仕事。 難しいヒントから一冊の本を探し出す。 文学の知識が少ない私には、未知の作家や書籍が多く登場する。 しかし専門知識がないと楽しめない内容ではなく、ぐいぐいと先へ進める。 そして知らなかった書籍に興味を引かれる、お得な内容と言えるかもしれない。 主人公の和久山を、いつの間にか応援していました。 門井さんはミステリー作品が多いんですね。 著者作品は「銀河鉄道の父」しか読んでいないので、本作が二冊目。 この本には続編もあるそうです。
19投稿日: 2022.01.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
駄目だった。『図書館ではお静かに』を読み始めてすぐに、こんな職員に相談なんかしたくないと思ってしまった。言葉にも態度にも優しさを感じない。気分が悪い。もしかしたら、あえて、そういう設定の主人公なの?と読み進めてみたけど。他の登場人物の誰からも優しさを感じることが出来なかった。この作者さんと合わないのかな?
4投稿日: 2021.09.05
powered by ブクログ大多数の人に必要なものであることだけが重要なのではなくて、ほんの一部の、でもそれを確かに必要としている人を助けられる存在があることも重要。何に対してもそういう見方ができれば、もっと豊かでいられるだろうなって思った。いろんな本が読みたくなる。
0投稿日: 2021.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『図書館滅ぶべし』がものすごく面白かった。 本なのか図書館なのか…醍醐味が味わえた。アンパンマンを見る目が変わる。 その次の『ハヤカワの本』も知識欲がそそられて面白かった。 ただ、最後はうーん、つまらない。曖昧すぎる。 まあ、潟田さんは気になるキャラではあるけれど。
0投稿日: 2021.02.16
powered by ブクログよく出来てるなぁとは思った 登場人物からなのか 作者からなのかは分からないけれど 終始「自分 よく知ってるでしょ?」感が出ていて「はい すごいですね」としか言えないなぁと苦笑いしたくなる 図書館好きとしては 食いつかざるを得ない あらすじに 期待値が上がり過ぎていたかな
1投稿日: 2020.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
幼い頃からの本好きで、希望していた市立図書館のレファレンスカウンターに勤務するまでになった和久山。 しかし現実の業務を日々こなすうち、利用者や行政への不満、そしていつしか融通のきかないお役所仕事に徹するようになってしまっていた自分にも嫌気がさしていた。 そこに、異例のタイミングで副館長として赴任してきた潟田は、なんと就任の挨拶に『図書館不要論』を堂々と展開したのだ! やがて館長となった潟田は、何故かやたらと和久田にからんでくるのだが… 門井慶喜さん、初読。 『銀河鉄道の父』を読んでみたくて著者名を気にしていたら、図書館の棚にこのタイトルが。 お、まさに『おさがしの本』かも? レファレンスカウンターに持ち込まれる難題を和久田が鮮やかに解き明かすミステリかと思い、実際最初の一編はそんな感じ。 さてはこの女子大生がまた難問を持ち込むのかと思ったらそうではなく… 最後は、和久田は「図書館の外」に飛び出して新しい活躍の場を得るという、予想外の展開。 何より、はじめは和久田の悶々としている姿が、ただお仕事3年目のモヤモヤにハマって、自分は専門知識があるが…と見下している若造に見えてイラッとしたけれど、潟田の登場から俄然面白くなった。 潟田という、大人の鉄壁の理屈をまとった読書家に挑むことで、和久田が逆に大人風の鎧を脱ぎ捨てて、いい意味で青臭さを取り戻していく。 単純なお仕事小説でも、日常ミステリでもない、“初心にかえる成長物語”になっていた。 もう何冊か読んでみたい。 ところで、解説にあった“図書館の物語”にもまだ未読のものもあるけれど… 私のブクログの本棚のなかでは、 『図書室の秘密』ジョー・ウォルトン 『図書館の魔女』高田大介 『叡智の図書館と十の謎』多崎礼 なんていかがでしょう?
14投稿日: 2020.07.04
powered by ブクログうーん。図書館と本への愛に溢れた本に関するミステリ、または池井戸潤みたいな図書館を守るため戦う男のビジネスロマン、みたいな感じか。 図書館のことを調べて書いてはいるのよね。 でも、司書は借りている人の情報をP17のようには漏らしません。 1話目、NDLは探さないの?と大いに疑問。 2話目も、図書館は蔵書点検してるからありえない。当時(データベースがなかった時代)であれば原簿があり、原簿にない本は図書館の本ではない。図書館の本なら受け入れ印がある。あと、本当に児童書が好きな人は、ミッフィーじゃなくてうさこちゃんって言う人が多いです。石井桃子さんを尊敬しているので。 3話目も、すぐアンパンマンかバーバパパだと思った。理由は地位の高い教養あるオジサンが出した問題なんだから、本人に相応しくなさそうな本だろう。さらに喃語で発音できる本とくれば、どっちかだろうよ、と。(バーバパパの方が発音はしやすい。アンパンマンは、パンパンマンになりやすい。)もちろん作者はアンパンマンありきで書いたんだろうけど、そこに至るまでの推理がかったるい。ここは児童書担当の人に訊いた方がよい。 あと最終話の紅茶の出がらしで財をなしたエピソードは『日本永代蔵』の「茶の十徳も一度に皆」ですね。 この本が図書館を知らない人に面白いのか、よくわからない。 こういう熱意と能力のある若い司書なんて、公立図書館には、ほとんどいません。なぜならどこも指定管理になり、館長以外は業者から雇われた非正規労働者だから。能力があっても活かされないし低賃金です。コロナで給与がガクッと減って、皆不安でいっぱいだろう。 この本みたいに他の施設の方が大事だから図書館を潰せという議員は実際にはいないが、指定管理で安くあげようとした結果とんでもないことになっているところはある。この本でも郷土資料などは役所にあればいいと言う人物が出てくるが、保存すればいいのではなく、管理・分類して、利用できるようにするのが図書館の仕事なんだから、主人公もそこはちゃんと言わないと。 あと、レファレンスサービスは、本を探し出すことだけではないからね。 描かれている図書館像がちょっと古いなあと思わざるを得なかった。
4投稿日: 2020.04.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はじめは物足りなく、面白味が感じられなかったが、敵役←あくまで形式上が出てきたあたりから、図書館存続のためにどう話が転ぶのか、予想する楽しみができて、読み進めるモチベーションになった。 個人的には、この終わり方は意外。 一、図書リファレンスカウンターとしての職を全うするのかと疑わなかったから。 もともとモヤモヤした葛藤は抱いているという描写は前半にあるので、その意味では目的は達せられたのかもしれない。 私は自分でも本は好きな方とは思うけど、本好きの奥深さは海のごとく。 読後感はすごく良いです!
1投稿日: 2020.04.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
年末ということでまとめて読もうと思い付きまして。 まあ、よかろうと。ちょっと表紙とか汚いですよ!本屋さん
0投稿日: 2019.12.22
powered by ブクログ某市入職7年、市立図書館の調査相談課に配属されて3年の和久山隆彦は如何にも融通の利かない仕事一辺倒の独身男性。彼を取り巻く本が主役みたいな5編のリレー小説だけどけっこう洒落てる。 各編 甲乙付け難いけど「赤い富士山」が良かったかなぁ。さすがに門井慶喜さんの作品、ちりばめられた書物に纏わる蘊蓄が知的好奇心を擽る♪ 冴えない和久山さんが だんだんキリリと見えてくるのが楽しいね。
9投稿日: 2019.12.09
powered by ブクログこの作品は、入職して七年の図書館員でレファレンス・カウンターに勤める、和久山隆彦が利用者らの「おさがしの本」を見つけ出す連作短編集です。 作品内で「本」が重要な要素となるミステリーはビブリオ・ミステリーと呼ばれるそうです。それらの中にはこの作品のように図書館を舞台にした作品も少なくないそうです。 第一話「図書館ではお静かに」は森林太郎をシンリンタロウと読む短大国文科の女子学生に、森鴎外の本名だとうんちくを語り、説教めいたことをしてしまいますが、最後には意外な事実が判明します。 第二話は「赤い富士山」小学5年生の時に赤い富士山が表紙に描いてある本を置き忘れたから返してほしいと初老の男性が訪ねてきます。「赤い富士山」の絵の本とは何か?同僚の藤崎沙理と北斎の絵ではないかとか、太宰治の『富嶽百景』ではないかなどと推理していきますが、果たして真相は? 第三話「図書館滅ぶべし」では新任の副館長が「図書館というのははたしてN市にほんとうに必要なのだろうか」と言い無理難題を隆彦らに出題します。 そして第四話「ハヤカワの本」第五話「最後の仕事」へと、ストーリーは本探しをしながら図書館の存続問題となっていき、隆彦は図書館の存続のために演説をするという展開へと発展していきます。 図書館の本探しは大変面白く、もっと続きが読みたいところでした。 巻末の解説で、書評ライターの小池啓介さんが、ビブリオ・ミステリーで図書館を舞台にした作品を何冊か紹介されているので、そちらも是非読んでみたいと思っています。
34投稿日: 2019.11.29
powered by ブクログ図書館でレファレンス業務に携わる主人公が本にまつわる難題を解決していく連作短編集。 個人的には後半の図書館存続の話より前半のリファレンス業務の話の方が楽しんで読めた。 文書が固く少し読みづらく感じたが本にまつわる蘊蓄はおもしろかった。 姉妹編があるようなので読んでみたい。
0投稿日: 2019.11.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
目次 ・図書館ではお静かに ・赤い富士山 ・図書館滅ぶべし ・ハヤカワの本 ・最後の仕事 初めての門井慶喜でした。 時代小説作家だと勘違いしていました。 だから図書館の仕事について、本質的に理解されていることに驚きました。 作家に対して失礼ですね。 主人公は公立の図書館でレファレンスの仕事をしています。 そこへ、課題のレポートを作成するために林森太郎の『日本文学史』を探す女子大生が現れます。 主人公の和久山は”林森太郎”ではなく”森林太郎”ではないか?と確認します。 (女子大生は、”もりりん”なんて変な苗字!と言いますが…国文学を勉強していてこの明治の文豪の本名を知らないのかと脱力したのは私です) 結局探している本は存在しないのですが、その訳は本書を読んでいただくとして、「(本がないというのなら)どうすればいいでしょう」とあくまでも人任せの彼女に和久山は ”勉強するのは君自身。しかし勉強のための資料探しに話をかぎるなら協力を惜しまない。それがレファレンス・カウンター。” と言います。 そう。 レファレンス・カウンターが図書館の肝と言ってもいいくらい、大事な業務であることはあまり知られていません。 しかし財政難を理由に市立図書館を閉鎖しようという動きが持ち上がります。 救急医療センターや市営住宅、ごみ処理施設の整備など、市にはやらなければならないことがたくさんあるのに、無料の貸本屋のようなことを、どうして市のお金を使ってやらなければならないのか。 必要な資料はネット検索でいくらでも調べられるのだから、図書館はもう不要だろう。 ”図書館にはレファレンス・カウンターがあり、そこには人間がいるんです。コンピューターには絶対代わりの務まらない、血の通った人間が。そうしてその点こそ、図書館という地味な施設の、レンタルショップや貸本屋とは決定的に違う点なのです。” 日々本に触れている本の専門職だから見つけられる資料というのが、確かにあるんです。 それは学校の勉強に使うものだけではなく、子どもの頃に好きだった本を不確かな記憶をもとに探し出したり、趣味を深めたり興味の幅を広げるための本を紹介してくれたり。 人の心に寄り添ったアドバイスができるのです。 あともう1点。 資料の保存・管理というのも図書館の大事な業務のひとつで、それについての言及がなかったのが残念でしたが、なせ図書館が必要なのか、市議会で参考人として和久山が主張したことだけでも、図書館不要論者には読んでいただきたいです。 行政とはそういうものなので。 本の貸し出しだけが図書館の仕事じゃないんだぞ!っていうことを書いてくれたことだけで、嬉しくて舞い上がっちゃいました。 図書館司書でも何でもないですが。 でも、ここの短篇としては図書館不要論とは無関係に「赤い富士山」と「ハヤカワの本」が面白かった。 「ハヤカワの本」というタイトルから早川書房を想起するようにミスリードしているところまではわかりましたが、そこまでするか!という愛書家の世界が深すぎる。 「赤い富士山」も、コンピュータでは絶対に辿りつかない富士山への着地が素晴らしい。 図書館不要論筆頭の図書館長・潟田の人となりが謎のままというのが気になるけれど(なぜあれほどまでに図書に造詣が深いのか)、本探しのワクワクを十分堪能させていただきました。
3投稿日: 2019.09.22
powered by ブクログへえ〜〜〜〜。っていう感嘆の気持ち。図書館好きにはたまらないけど、そうじゃない人にはちょっと退屈かな。私は興味深く読んだ。
1投稿日: 2019.09.02
powered by ブクログちょっと退屈しました。 何が物足りないのかわかりませんが、もういいやと思って放置してしまいました。 また読むことあるかなぁ?
0投稿日: 2019.08.08
powered by ブクログ市立図書館のレファレンス担当の隆彦が、少しの情報でその本を探すのだが、図書館の存続危機や市の情勢なども絡む。ポップな内容でなく堅い感じ。しかし、こんな親切な図書館はある?ってか、私の行く市立図書館で訊ねると、ネットの内容まんまの薄い、陳腐な反応しかもらえませんが…
0投稿日: 2019.03.28
powered by ブクログ和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。 利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。 だが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まれる日々を送っていた。 ある日、財政難による図書館廃止が噂され、和久山の心に仕事への情熱が再びわき上がってくる…。 様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。
0投稿日: 2018.06.17
powered by ブクログ主人公の図書館員がとても堅苦しい人物で、この人と一冊を共にするのはいやだなぁと思いながらも読み進めると、いつのまにか主人公のことが苦手ではなくなり、むしろ応援したくなっていました。レファレンス・カウンターにやってくる利用者の「おさがしの本」を探す過程が、ミステリーを読んでいるみたいでした。
0投稿日: 2018.05.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本大好き! 図書館という場所も、大好き! その影響で、子供たちも小さい時から 本好きになり、大学院の時には京都の吉田本町にある大学の図書館に指定席(?)がある(笑)位の本好きなった。 作者 門井慶喜氏もきっと、本好きなのであろう。 本の内容だけでなく、それに付属する系列の本を紹介している所、調べるだけでも大変であったと想像する。 この本は、5話から構成されているのだが、最終的にN市の財政難から、図書館を存続できるかどうかに、市の図書館員のレファレンス・カウンターの和久山孝彦に、その役が、回ってくる。 あなたは、本が好きですか? 図書館は必要だと思いますか? それは、どうして必要なのでしょうか? 答える事が、出来ますか? その答えが、この本の「最後の仕事」の所で、あなたの思っている所の気持ちを、主人公が代弁してくれています。 最初の「シンリン太郎」の本を調べることについて、即、本好きのあなたなら、「森 林太郎」と、頭に描くはず。 私もそうでしたが、この最初にして、レファレンスの奥が、深い事に気付きます。 人間の子供が、最初に発する音が、「アンパンマン」という潟田館長の本探しの問題も、主人公が、どのようにして、探し出したか?が、興味深い所です! 私は、この2月に東京の図書館ヘ行ってみたのだが、レファレンスカウンターでは、無かったのか?、、、本の種類だけを言って、館内のどの場所にあるのかを尋ねたのだが、それすら、答えられないカウンター員であったのが、残念であった。 この本のような、レファレンス・サービスをしている人に出会ってみたいと、思った。 そんな1冊の本でした。
0投稿日: 2018.03.24
powered by ブクログ連作短編5編 始めはおさがしの本はという感じだったのだが,途中から図書館存続問題がクローズアップしてきて,どちらかというとおさがしの本は刺身のつまのようになっていた.でもこちらの方にシフトしてからの方が断然面白くなった.
0投稿日: 2018.03.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
多分、東京タワーは富士山なのだろう。単なる造形場の相似を遥かに超えた、もっと本質的な意味において。そう、現代の我々が東京タワーに捧げる憧憬は、昔の人々が富士山で捧げた信仰とあまり変わりないのだ 貸し出しの実績を見ても、購入図書の一覧を見ても、事実上、無料本屋ではないか 文字を読む能力を最も大規模に、かつ最も組織的に養い、鍛え、保ち、深めるための装置は一体何か。これはもう書物以外にはない
0投稿日: 2018.02.21
powered by ブクログ・ニヒリストだが実は正義感で情熱的な部分もあり、周囲からは愛されているやれやれ系主人公 ・異動してきた有能上司とぶつかってしまうが、心の何処かでは敬意を抱く「僕はあの人に勝ちたい」 ・やがて迎える決闘の場、恋人候補の存在の力も借りて全力を尽くし、勝利。「よくやったな、これからは俺と力を合わせて行こうぜ」敵対した上司のお蔭で出世 ↑人気の出る連ドラ的展開ですが、まあ良くこのパターンを公共図書館に当て嵌めたなあと。また、各話本に纏わるミステリ要素を鏤めている所も感心いたします。 正直申しますと、これらが経験と云うよりとても勉強されて書かれた感じがするのが惜しい感じ。
0投稿日: 2018.02.20
powered by ブクログ内容がとても渋い。レファレンスカウンターの仕事はある意味で探偵みたいなものだなぁと感じました。短い話が多くてサクサク読めますが、内容が渋すぎます。解決したところでその本を知っているわけでもなく、爽快感は薄め。でも答えに行き着くまでの過程や、意外にも役人的な図書館員の姿の描写なんかが興味深くて、読みやすさとコッテリ感がちょっとクセになる感じでした。 先に、姉妹編の小説あります。を読んでいたので、和久山さんと例の彼女とのアッサリした関係がなんだか良かったです。最初の大学生とのやりとりも楽しかったのですが、和久山さんは不思議と応援したくなる有能な堅物さんです。
2投稿日: 2018.02.05
powered by ブクログ市の図書館のカンファレンスカウンター担当のお話。門井さん直木賞受賞ということで、過去作を読んでみた(ミーハー)。 本をテーマにしたミステリー(ビブリオミステリというらしい)ということで、「ビブリア古書堂の事件手帖」に似た内容だなと感じた。 断片的な情報から、本を特定するストーリーを短編集形式にしたもの。ただ、この「断片的な情報」というのが曲者で、現代の単語を用いた機械検索だと特定しづらいような情報。 カンファレンスカウンターとしての知識量だけでなく、発想込みで誇りをもって本を探求する展開が良い。
0投稿日: 2018.01.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【あらすじ】 和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。だが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まれる日々を送っていた。ある日、財政難による図書館廃止が噂され、和久山の心に仕事への情熱が再びわき上がってくる…。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。 【感想】
0投稿日: 2017.08.07
powered by ブクログ短編集。 「図書館滅ぶべし」感想 新任の図書館副館長は、図書館を廃止しようとする側の人間だった。 時期外れに着任した副館長は、さっそく「宿題」という名目で和久山たちを試験しようとする。 かなりの難問と思われた課題を、和久山は同僚の楢本と協力しあい正解を導きだそうとする・・・。 単純に本を検索するだけならコンピューターに探してもらえばいい。 でも、「題名がわからない」や「〇〇を調べたいけれど何を読めばいいのかわからない」といった要望に応えることはコンピューターでは難しい。 対面でしっかりと相手の話を聞き、本にたどり着くための情報を拾い上げ、様々な角度から目当ての本を探していく。 細やかな対応。それこそがレファレンス・カウンターの役割だ。 図書館の存続意義なんて考えたこともなかった。 学校教育法施行規則の中に「学校の設備・設置」という条項がある。 図書室は保健室などとともに、学校教育の中で不可欠な施設として記載されている。 子どもの頃から学校に図書室があるのはあたり前だった。 大人になっても図書館があるのはあたり前だと思っていた。 「本当に必要なのか?」と聞かれることに違和感を感じてしまうことが、逆にとても幸せなことなのかもしれない。 最近はすっかり図書館を利用していない。 たまには足を運んでみるのも悪くないだろう。
0投稿日: 2017.02.27
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N市立図書館レファレンス・カウンター担当和久山隆彦が主人公。利用者からの依頼で本を探し出すのが仕事。大学生のレポート作成の資料探しをしたり、幼い時に読んだ「赤井富士山」の写真の本を探したり。図書館廃止派の新任副館長との対峙はどうなるかと思ったけど、政治的決着(?)。対立する立場だったけど副館長結構いい人でしたね。 高校生の頃は図書館によく通いましたが、転居してからはなかなか利用する機会がないなぁ。今度行ってみようかな。
0投稿日: 2016.12.23
powered by ブクログ図書館のレファレンス・カウンターを担当する和久山隆彦が主人公となり、訪れる人々の本を探しながら、図書館廃止と戦う物語。 まず主人公和久山隆彦という人物に魅力を感じられない。憧れの図書館で働きながらもお役所業務に嫌気がさしている。そんな彼のもとに「シンリン太郎」の本を探す女子大学生がやって来るところから始まる連作物。 「シンリン太郎」事件から何やらお役所仕事から脱出したように見えるのだが、いったいどうしてあの件で脱出したのかが謎である。「シンリン太郎」を探しに来た女子大生は普段から本を読まない上に、レポートの締切ギリギリにレファレンスカウンターを頼るという始末。到底同情できるものではない。自分の無知を思い知ったという風ではないから、その後に上がる図書館廃止論と戦う人にしては、本当になくなって欲しくないの? どうなの? と思ってしまう。しかも最終的には──してしまうのだから、なんだかなぁ、と思う。 あらゆる人に目をかけてもらっているが、どうにも主人公の魅力が一切伝わらない上に、主人公だからこそ解いているという風でもない。あらゆる人の手伝いあってこそ、ようやく謎解きができている。 それなのにすべて和久山のおかげ、という風な流れになってしまっているので、ますますつまらない。 図書館とは当たり前にあるもので、確かに廃止論を考えたことなどなかったのでおもしろい着眼点だとは思ったが、主人公の魅力のなさが本当に残念でならない。
0投稿日: 2016.04.02
powered by ブクログレファレンス業務に携わる司書の謎解き物語。 なるほど、これもミステリなんだ。 ミステリにあまり馴染みがない私には、これも新鮮。 林森太郎の話にはびっくりした。 こういう風に本好きにはおやっ、と思うようなネタを軸に、単発的な話が連なっていくのかと思っていた。 が、後半は、本好きの図書館廃止論者潟田館長との対決になっていった。 潟田という人物が、なかなか面白い。
0投稿日: 2016.01.02
powered by ブクログ図書館をなくすなんて市があるの⁇ そこがなんかスペクタクルみたいに言われても なんかピンと来ないけど、 他の小ネタ系のはマニアックで楽しかった。 ただこの人あまり自力では探せてないから あんまり偉そうにしてほしくないんですが… キャラがイマイチ好きになれなかった。
0投稿日: 2015.09.09
powered by ブクログ市立図書館のレファレンスカウンターで働く青年、隆彦を主人公とした連作短編集。 訪れる人の探している本を知識と推理と根気で見つけ出すなかで図書館の存在意義とやりがいを見つけていく。 図書館不要論などは本好きとしては考えさせられるテーマで、全体として綺麗にまとまった構成だった。 ただ風変わりな依頼ではあるがどれも本を探して欲しいというものでミステリというにはやや物足りない。 主人公がすごく平凡で、もうちょっと個性があればよかったかなと思う。
0投稿日: 2015.06.17
powered by ブクログ最初は取っつきにくかったけど、だんだん面白くなった。レファレンスカウンターなんてあったかしら、近くの図書館。私のような利用者にはちと耳の痛い指摘も ^_^
0投稿日: 2015.04.18
powered by ブクログタイトルが気になって読んでみる。主人公は図書館のレファレンス・カウンターを担当する和久山隆彦。図書館によっては「調査相談」とか「しらべもの」という札がかかっているこのレファレンスという職務は、「調べもののお手伝い」をする。私は調べたり探したりはあまり苦にならないが、自分の調べでは限界と思うときや、違う切り口で探してほしいと思ったときには図書館でお願いする。 へぇぇ、そんな本があるんですか!と思うときもあるし、どうやって調べていったのか時間がゆるすなら詳しく伺いたいと思うときもある(図書館のカウンターは忙しそうなので、なかなかそういう機会はないが)。 私はこれまで住んできた自治体あるいは通勤通学先の自治体、さらには通ってきた学校の図書館、図書室、さかのぼれば近所のおばちゃんがやっていた文庫まで、ずーっと図書館の類に入り浸ってきたので、こういう図書館モノの小説を読むと、自分の経験に照らしてあれこれと思う。 「ほんの一部の人々しか貸出サービスを利用しない」(p.23)とか、「レファレンス・カウンターなどは存在しないに等しい」(p.24)などと読むと、これは話の展開に必要な場面設定なのだろうが、この図書館は朝から晩までどんな感じなのか、書架の高さはどれくらいで、どういう向きに並んでるのか、カウンターはどんな風かと想像するのだった。 主人公の和久山は、大学で司書資格をとり、公務員試験に通って、N市立図書館に入職して6年目。「しょせん図書館など知の宝庫ではない。単なる無料貸本屋か、そうでなければコーヒーを出さない喫茶店にすぎないのだ。少なくとも市民の目にはそうなのだ」(p.25)という諦めのような境地に至っている。 この著者の本を読むのは初めてだが、推理小説の新人賞をとってデビューした人だそうで、この小説も図書館を舞台に、主人公の担うレファレンス業務のところで謎解きをからめたつくりになっている。 人口に膾炙した作者名とよく似た名の別の作者の本が出てきたり、よく知られた版元名の勘違いだろうと思っていたら実はそれが人物名だったり、レファレンス・カウンターに持ち込まれた案件に対応する和久山自身が、当初想定して探したのとは違った資料にたどりつく経緯がおもしろい。著者はいったい、どこでどうやってこういうおもしろいネタを考えついたのか、どこかで思いがけず見つけた本や資料があったのかと、そこが知りたくなる。 和久山が少ないながらも利用者からのレファレンスに応えているN市では、財政難による図書館廃止がもちあがる。こういう事態はどこの自治体でもありうる現状だけに、廃止派の理屈と存続派の主張の、どちらが市議や市民を説得できるだろうかと思いながら読んだ。 和久山の勤める図書館に、廃止派の館長・潟田が送りこまれてきて、その最初のあいさつで「図書館というのは、はたしてN市にほんとうに必要なのだろうか」(p.116)と話し始めたのである。 ▼自分(潟田)はこれまで秘書室の副室長の職にあり、大所高所から市の仕事を見わたす機会をたびたび持ったが、率直なところ、現在のN市はあまりにお金の使いどころを誤っていると言わざるを得ない。救急センターも未整備だし、市営住宅も老朽化しているし、ごみ処理施設も拡充しなければならないというのに、図書館などという腹の足しにもならぬ文化施設に少なからぬ予算をぶちこむとは本末転倒もはなはだしい、分不相応この上ない。 むろん諸君(職員)としては不満だろう。腹の足しにもならぬと頭ごなしに決めつけられたのでは。しかしこのなかで誰かひとりでも胸を張って言うことができるか? この図書館が、図書館でなければ果たせない機能をしっかり果たしていると。貸出の実績を見ても、購入図書の一覧を見ても、事実上、無料貸本屋ではないか。そんな仕事ならわざわざ自治体が手をわずらわせることはない、書店なり新古書店なり大手チェーンを誘致するほうがいいだろう。レンタルショップを併設させれば視聴覚資料もまかなえる。市民の生活の文化度はそこなわれないし、市は新たな税収が期待できる。これを一石二鳥と呼ばずして何と呼ぶ。(p.117) 図書館が無料貸本屋だという批判は、本の著者や版元、本屋からも出たりする。図書館が本をぐるぐると貸し出すせいで、100人に読まれても、売れるのは図書館の買う数冊だけ、商売あがったりだという具合に。 それとともに、自治体がやるべき仕事は何なのか、官か民かという話。自治体が設置するものの、運営はいわゆる「民」に任せる指定管理や業務委託というかたちは、ますます増えている。 ハコモノだけではなくて、最近では住民票の写しをコンビニで出せるとか、税金や保険料の納入をコンビニでできるとか、いったいそのデータを扱う責任はどこでだれが負っているのかよく分からない仕事もある。 郵便だって昔は公務員が集めて公務員が仕分けして公務員が配っていた。「公務」って何やろうと思う。仕事のあり方も、働き方も、社会のあれこれの変化につれて変わっていってるのは事実だが、「自治体が手をわずらわせることはない」という理屈に対して、何が言えるかなあと思う。 さて、そういう図書館廃止派の館長がやってきた図書館で、やはりレファレンス対応をしながら、和久山はひょんなことから、市議会の文教常任委員会で存続派として意見を述べることになる。同じ委員会で、廃止派が立てる弁士は館長の潟田だという。まだ態度を決めていない中立の委員がいる、その委員に向けて説得してほしいと、存続派の市議・増川から頼まれたのだ。 和久山が最初に用意した原稿は、増川に却下された。 ▼「君はこういうことを言いたいのだろう。読書はおよそ少年の情操をやしない、青年の教養を深め、壮年の知識の泉となり、かつ老人のいわゆる生涯学習にも資するものである。だからN市が図書館を廃止し、市民から読書の習慣を遠ざけるのは文化的な暴挙というほかない。断固反対」(p.239) ありきたりとまでは言わないが、むやみと常識的でむやみと様子がいいだけだと増川は言い、「こんな演説を耳にしたら、委員の心がますます図書館廃止のほうへ向かうのは避けられない。君や私のこころざしは逆の結果を招く」(p.239)と断じた。 文化的な暴挙だ、というだけでは説得できないやろうなと私も思う。それで説得できるくらいなら、こんな廃止論はハナから起こらないだろう。といって、増川も、どう書いたらよいかは分からない。分からないからこそ、図書館で実務を担う和久山に白羽の矢を立てたのである。 それから悩み、増川にダメ出しされながら草稿を4度書きなおし、同僚にも相談して、最後は徹夜して迎えた委員会の日、和久山は語った。 近代日本は法治国家であり、それは大事なことはみな広い意味で文書によって提供されるテキスト国家であって、こうした社会において文字を読むことは近代的生存のために必須、その文字を読む能力をもっとも大規模かつ組織的に養ってくれるのは書物以外にないと述べたあとに、和久山は、その支援に自治体が公金を投じる意味についてこう続ける。 ▼考えてみれば、市民の九割は救急センターを使いません。それほどの身体的な危機におちいることがないからです。同様に市民の九割は─もちろん数字は正確ではありませんが─市営住宅の世話にはならない。何とか自分でやりくりして住まいを買ったり借りたりできるからです。つまり行政が手をさしのべる対象はたった一割というわけですが、これはこれでいい。というより、むしろ対象がそういう特殊な少数、わけありの少数であるところにこそ、公金を投じる意義も理由もあるわけです。 ならば図書館も同じでしょう。図書館もつまるところは処置を必要とする人のために存在する。書店にない本が読みたいとか、何冊もの事典や辞書をいっぺんに見くらべる羽目になったとか、あるいは自分の主題に見あう本がどれなのか見当もつかないとか、そういう非常の─けれども案外よくある─状態におちいった人間のために存在するのです。繰り返しますが文字を読むのは近代の人間に必須の能力。すなわち図書館は、その必須のおびやかされる機においてこそ真面目をあらわすのです。(pp282-283) 付け加えて、もちろん理想と現実は違い、ただひまつぶしとか、買うためのお金がもったいないという理由の利用もあるけれど、だからといって、そういう人たちのために図書館の価値が傷つけられることはないと和久山は述べる。「ちょっとした病気やケガでむやみと救急車を呼びつける人はたしかに迷惑だけれども、だからといって私たちは救急車を走らせないわけにはいかないのだから」(p.283)と。 私はこの和久山の話にものすごく説得された感じはしないけれど(N市では議員や職員に大変評判がよかった、という話になっている)、"文化を破壊する暴挙だ"論よりは、廃止派とわたりあえる可能性は高いやろうなと思った。 この和久山の演説よりも、私には印象深かったのは、「結局仕事をするのは人なのだ」という話。あの委員会での演説草稿をつくった際に君が参照した資料をぜひ教えてほしいという市長からのレファレンス依頼に対し、和久山は、ただの一冊も本の助けを借りていませんと答えたうえで、市長にこう言った。 ▼「レファレンス・カウンターは調査を助ける存在です。調査そのものは相談者自身がしなければならない。それと同様、書物というのは、ただ人間を助けるだけの存在なのです。最終的な問題の解決はあくまでも人間自身がおこなわなければならない」(p.323) 私も図書室で働いていたころに「情報相談」という名目で、調べたり探したりをしたことがある。そのときによく、これは対応する人が違えば、ときにはかなり違う資料の紹介になるやろうなと思った。誰が対応しても"同じサービス"というわけにはいかないのを、それでいいものかと当時はよく思ったが、やっぱり違う人が"同じサービス"は無理やんなーと、かつての仕事のことを考えた。 著者の名は「かどいよしのぶ」と読む。江戸幕府の最後の将軍と同じ名である。 (2/1了)
0投稿日: 2015.02.08
powered by ブクログこの本をよむとレファレンスカウンターへ行って無理なお願いをしてみたくなる。 もっとも、自分にその必要がないといく理由も無いのだけれど。 肝心の内容はとても楽しくよめて良かった。 もちろん、現実はそういう物でもないのだろうと思うけれど、小説としては十分にスリルを味わいながらも安心して読めるのでエンタテイメントとしては十分だし、他にもいろいろと本を読んでみたくなる。
0投稿日: 2014.12.09
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図書館で利用客の出すヒントを元に本を探し出す。こんなことがミステリーとして成立することにびっくりでした。それも杓子定規なお役所仕事ではなく、きちんとエンターテインメントになってる。 連作短編として、1冊を通してより大きな話に展開していく構成も面白いですし、主人公の心情が段々と変化していく過程も面白かったです。敵役である潟田館長との丁々発止のやり取りも、どこか小気味いい。なかなか読み心地のいい本でした。
0投稿日: 2014.08.19
powered by ブクログ本を巡る小説というのは、そんなに数が多いわけではないが少なからず存在する。大抵はマニアックな人が書いていますという感じだが、本書はそこまでマニアックなものではない。却ってそれ故に読みやすいのかもしれない。 本を巡る小ネタを題材に小説として膨らませたいう感じ。5編の短編からなるが、全体として大きなストーリー立てはある。現在の図書館が抱えている諸問題ならびにそれを踏まえて図書館をどう変えていくかというテーマなのだろうが、テーマに対する踏み込み方はとても浅いように思う。通り一遍。 総体として軽めの本(ライトノベル?)であるが、軽く読み流すには悪く無い本である。 一番はじめに載っている「図書館ではお静かに」はチョットひねりがあって面白い。
0投稿日: 2014.08.06
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図書館の職員としてレファレンス・カウンターを担当している主人公の「本探し」を描いた物語。 レファレンスカウンターというのを知らなかったが、近所の図書館にもあって、この物語のように探してくれるのだろうか。 内容がこんな感じだったという曖昧なイメージだけで書籍を探し出す、司書の能力を知ることが出来る。 自治体としての図書館不要論に一石投じているのだが、今では多くの図書館が民間委託だろうし、武雄市のケースもあったりするし、ここまで踏み込むならもう少し現実的な話しにしても良かった。 最初の本探しの入りには引き込まれたので、最後まで「本探し」で終わらせて欲しかった。
0投稿日: 2014.07.09
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図書館のレファレンスカウンターに勤める主人公。断片的な情報をもとに目的の本を探し当てる短編は、初期の「ビブリア古書堂」に似た雰囲気を感じます。 本探しエピソードと同時に図書館廃止の話が浮上し、それをどのように回避するかが本作の話の軸。世界観を同じくする「小説あります」では、人はなぜ小説を読むのか、という問いかけがありましたが、本作では図書館の存在意義が問われています。 クライマックスで主人公がそれを語るのですが、個人的に…激しく同意!とはいかず、そんな考え方もあるのかぁーくらいの印象。作中でもスタンディングオベーションみたいなことにはならず、政治的に上手くまとめた形での結末で、嫌な感じはしませんが強い感動もなく、な読後感。 本探しの話でいくつか面白いものがあったので、そこが特に楽しめたポイントかな、と思います。副館長から出された難題の解答が、その難易度と超反比例するほど皆が良く知るあの作品だったというエピソードは声が出そうなほど驚かされました。
0投稿日: 2014.05.08
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図書館は迷宮(ラビリンス) 本探しは謎解き(ミステリー) 丹念な調査の先に、思いがけない答えが待っている―― 「レファレンス・カウンター」 それはわずかなヒントを手がかりに、目的へ迫る本の探偵事務所。 どんな曖昧な記憶からでも、お求めの1冊を必ず見つけます。 図書館のレファレンス・カウンターで勤務する男性を中心に、本にまつわる小さな謎を描く連作短編集。 主人公は、型通りでしか動けない行政の仕組みや、大半の利用者が新刊書を借りることしかしないことなどに対する不満から、無力感に苛まれる日々を送っていたが、 新たな館長が図書館廃止を提案することで、仕事に向き合うことになる……というお話。 日頃図書館に対して自分も疑問に思っているところを解決してくれたような1冊。 必要ではあると思います、図書館。 ミステリ :☆☆☆ ストーリー :☆☆☆☆ 人物 :☆☆☆☆ 文章 :☆☆☆☆
0投稿日: 2014.05.03
powered by ブクログいわゆるビブリオ・ミステリー 本のうんちくを絡めたライトタッチのミステリー。本探しが主軸で悪くないんだが、なぜか新鮮さに欠ける感じが先行し、第一話だけでパスしてしまった。読み手側の問題だろうが、ワクワクしなかったなぁ。
0投稿日: 2014.04.24
powered by ブクログ二回目のいろは遠征で読む。そして、帰宅後お風呂で読んでいたら洗濯機の裏に落とす。 図書館ミステリ…というかなんというか。本を探すのが主なんだけど、だんだん政治的なことが絡んできて。無機質な印象を受ける、これは悪い意味ではなく。たんたんとしている。 図書館のあり方について考えちゃった。わたしは新刊図書ばかり借りるだめな利用者なのかなー、とか。貸本屋と勘違いしてるあほなのかなー、とか。でも、本を読んで世界をひろげること自体が素晴らしいし、そもそも娯楽だし、それを否定される筋合いもないしなあとか。現代作家に失礼すぎない、とか。うーん。レファレンスカウンター、卒論でお世話になってみようかな。 図書館で働くのも、同じことの繰り返し感がはんぱなく強そうで、大変そう。
0投稿日: 2014.04.23
powered by ブクログ図書館のレファレンスカウンターの職員が、「本を探す」作業を描いた作品。 後半では図書館閉館の危機も訪れる。
0投稿日: 2014.03.11
powered by ブクログレファレンス・カウンターで働く、図書館司書が、来館者の思いでなどの本を探すの話。 最初は全然話に入り込めず、読むの辞めてしまおうかなと思ったが、新図書館館長と図書館存続をかけて戦うことになるちゅう後半戦は面白い。 でも、お探しの本を探すくだりがマニアックだからか?やっぱりしっくり来ず勿体無い感。
0投稿日: 2014.03.10
powered by ブクログなんとなく読み始め、なんとなく読み続けましたが、最後がなんとなくよかったなあとぼんやり思った。。。 ただ、もう少し、違う作品も読んでみたいとも。
0投稿日: 2014.02.15
powered by ブクログ読み始めは、癖のある言い回しについていくのが苦痛でした。 中身より表現の仕方で読み手に印象を残そうとしているようで、強引な感じがしました。慣れるに従って、主人公よりその上司の魅力が光って、読み終わった後は、まあ清々しいのかな、という感じです。もうちょっとキャラクターに深みが欲しいところ。舞台設定は面白いのですが。
0投稿日: 2014.01.24
powered by ブクログとある地方都市の図書館。 レファレンスカウンターの職員を主人公に、そこに舞い込む相談を軸に展開する短編連作集です。 雑誌に連載されていたお話らしく、次の話に引っ張る要素もありますが、 最後はしっかり終ってしまって、 もっと続きを読んでみたいと思ったので残念です。 図書館に行くのが好きな人に特にオススメです。
0投稿日: 2014.01.21
powered by ブクログ本探しを通して成長していく図書館職員のお話。ミステリー? 途中まで心に響くものも特になく平坦な印象だったけど、図書館が存続の危機に瀕してから面白くなってきた。 図書館はかなり久しぶりに去年から利用再開だったのにあれだけど、なくなってほしくない。。
0投稿日: 2014.01.12
powered by ブクログ図書館のレファレンスカウンターの担当者が主人公。 利用者さんから持ち込まれる資料探しがお仕事。確かに、いくつかのヒントを与えられるだけで目的の本を見つけなくてはならないって、ミステリーだよなぁと、あらためて思います。 「この本を探す経緯を、こういう薀蓄で語りたい」というのが強いのか、ちょっと薀蓄が長い(しつこい)と感じられる部分があったり、エピソードとの結びつきが強引かな?と思える部分があったりしますが、こんなに親身に相談にのってくれるなんて、大変な仕事だなぁと尊敬の念を覚えます。 確かに、単なる公務員なのに。 私も、子供の頃に読んだ、どうしてもタイトル・作者を思い出せない本、というのがあるので、見つけてくれる人のありがたみがよくわかります。 後半は、図書館必要論・不要論の話。 確かに、図書館は、コストばかりかかって、たったの1円も利益を生まない施設です。私はよく利用するからありがたいけど、使わない人もたくさんいるし、確かにいらない施設の筆頭かもしれないです。流行して、当時はたくさんの人が待ち行列を作っていた本が、今では何冊も棚に並んでいるのを見ると、がっかりします。それが、一回読んで話題にのれればそれでおしまい、という類の本だと、確かにお金の無駄遣いだとも思います。 図書館ってなんだろうな。
0投稿日: 2013.11.24
powered by ブクログ図書館のレファレンスカウンターで本の相談を担当する和久山。 彼のもとには様々な本にまつわる難題が持ち込まれ、それを解決していくというミステリ短編集。 本のうんちくがくどいけど、中々面白いなあ・・・と思いながら読んでいくと、終盤は主人公が図書館存続をかけた議論に巻き込まれ、参考人として市議会に招致されるという壮大(?)な話に発展していきます。 読者の斜め上をいくこの展開の切れ味の鋭さには、舌を巻きました。 また、最終的な落としどころがとってもリアルで、地方自治の在り方や図書館の存在意義についても考えさせられます。 ユーモラスな機微に富みながらシリアスな変化球を読み手の心にぶちこみ、そしてほんの少しの恋の予感も感じさせてくれる――滋味あふれる粋なお話でした。
0投稿日: 2013.09.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館のレファレンス・カウンターで働く主人公。学生のレポートの資料探しから、年配の男性の子どもの頃の本探し、果ては市立図書館の存続のために市議会で演説する羽目になるという、なかなか面白い展開でした。 図書館で背表紙を眺めて手に取った本でしたが、「当たり」でした^^
0投稿日: 2013.09.15
powered by ブクログレファレンス・カウンターに勤めている図書館司書のお話。膨大な量の本の中から、いくつかの手掛かりだけで、利用者の望む本を探せるのは、本当にすごいなぁと思う。知識量が半端ではなく必要だ。 本探しの妙もあって、面白かった。
0投稿日: 2013.09.12
powered by ブクログ図書館のレファレンスカウンターの職員を主人公とした連作短編集。 本の知識をはじめ様々な雑学を話の中に織り込んでの目的の本を探す過程が読んでいて楽しかったです。本来ならミステリーにすることのない本探しの過程を、見事ミステリーに昇華させた著者の門井さんの目の付け所がいいのだろうなあ、と思います。 それだけでなく、連作の後半は主人公の勤める図書館の存続問題が持ち上がってきて図書館の存在意義とはなんなのか、という問題も問いかけられます。これに対する主人公の回答もよかったなあ、と思います。 自分がよくいく図書館はこの本の図書館ほど大きいわけでもなく、レファレンスカウンターなんてしゃれたものもないのですが、こういう本を読むとすべての図書館員さんに感謝の気持ちがわいてきました。お金の問題とかいろいろあるけどやっぱり図書館は必要です!
4投稿日: 2013.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3+ 物語は本探しから始まるのだが、徐々に図書館とは何ぞやという割とシリアスなエピソードに移行していいく中で、本探し成分はかなり希薄になっていく。だが、個人的にはその後半の方が面白かった。1話目は主人公が知らなくて早とちりして間違える、2話目はかなり強引なプロットで残念、3話目は自分がすぐにわかってしまった(単なる思いつきだが)、4話目も主人公は知らなくて思い込み、真相もそれがどうした的なもの、と本作での本探し自体、特別なことをしているわけでもなく、ポンと膝を打つようなひらめきがあるわけでもなく、単純に知っているかどうか、調べた結果どうかというだけのこと。加えて出てきた答えがさして意外でもない、あるいは大して面白くもないときては、読みどころは蘊蓄ぐらい。ただ、読み始めの最初の印象から徐々に盛り返してきた感があり、後半に進むにつれて主人公の心境、あるいは心情の変化はなかなか興味深く、委員会での屁理屈議論もニヤニヤできるし、結末もまま丸く収まり、なかなか爽やかな読後感である。
0投稿日: 2013.07.09
powered by ブクログ面白い。 図書館にこんな人いるよなーとくすっとさせられる。 こんな熱心な図書館司書が本当にいたら良いのに。
0投稿日: 2013.01.09
powered by ブクログキャラクターに引きずられてなのか文章までもが固い印象を受けた。 比喩表現が分かりずら過ぎる。 独特といえば独特だが。
0投稿日: 2013.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
だいぶ前に読んだので記憶が曖昧なんだよなあ。 ただ、それより前に読んだ本の記憶ははっきりしてるからなあ。 記憶にあるのは、文章があまり好みでなかったこと。 読みやすいエピソードなわりに余裕がなく感じてしまったので。 うーん。
0投稿日: 2012.12.31
powered by ブクログ図書館の職員さんはただの公務員さんなんだ、という事実になんとなく変な感じがしながら読み進めました。 ただの仕事の一部として事務的に作業をこなしているような人も多い中、この作品の主人公たちのように親身になって、温かみを持って一生懸命対応してくれる方がいるのは嬉しいことです。 この本を読んでから、図書館で本を借りるときには職員さんとちゃんと目を合わせて会話することを心がけるようになりました。 公務員のもどかしさと、ちょっとした痛快さを味わいたい方にお勧めの1冊☆
1投稿日: 2012.11.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
題名と裏書で興味を持ち読んでみましたが、 面白くも無くつまらなくもないというのが正直な感想。 会話文が多くて、ライトノベルに近い感覚で読みました。 主人公が、小説の登場人物としては魅力に欠けている気がします。 不器用とか堅物とか、反骨精神があるなどの表現はあるものの、なんだか薄っぺらい。 財政難による図書館廃止は是か否かを問うところまで話が発展したのは一番の見せ場かと思ったのですが、 結局、話をどこにもって行きたいのか不明なままで、 宙ぶらりんな印象が残ってしまいました。 図書館や本についての薀蓄が多かったのは良かったのですが、 説明が長いうえに小難しく描かれ、謎を解く過程に面白みが少なく、 答えがわかってもスッキリした感じを味わえなかったのが残念です。
1投稿日: 2012.11.18
powered by ブクログ著者の博識、いや痴書ぶりに舌を巻く。 図書館を舞台にしたミステリー。ミステリーと言っても、殺人なんかは出てこない。 門井氏の、知識をひけらかしたりするのではなく、毒者の知的好奇心を掻き立てる技は、健在。 本そのものの、豊かさを享受できる一冊。 読了語、きっと少しだけ役人に優しくなれるかもしれない。
0投稿日: 2012.11.06
powered by ブクログ評価を★二つにしようかどうしようか悩みました。 私にはあまり合わなかったけれど、半ば過ぎから展開が面白くなってきたので★三つ。 本についての説明がくどくど長すぎて、しかもそれが物語には直接関係ないようなことに感じられて読み飛ばすこともしばしば。私みたいなにわか読書人間にはちょっとしんどかったです。 あとは純粋に文体が私には合わなかった。直前まで有川さんの図書館戦争シリーズを読んでてすごくテンションが上がっていただけに、違和感は拭いきれませんでした。 誰にも読みやすい話だとは思うけれど、面白みがあまり感じられなくて残念。
0投稿日: 2012.09.23
powered by ブクログ職場の方が読んでいたので。この主人公、まさしく私そのものなんです。私はこんなに優秀でもないけど。 さて、レファレンスカウンターというところ、公共図書館では利用したことありません。でも、大変だというのはよく聞きます。 利用者の最善のために、お手伝いをする。明確な答えは用意しない。本当にできる人じゃないと、公共図書館なんかはやっていけないのではと思ってしまう。ちょっと立場が妙なところにいる私にとっては、すごいなーと感心しきりでした。
0投稿日: 2012.09.21
powered by ブクログ本書の解説で「ビブリオ・ミステリー」という語を見て、そういうミステリーのジャンルがあることを初めて知り、どんなものだろうと思い購入。 殺人事件や犯人捜しがあまり好きではなく、通常のミステリー小説だと、つい後ろから読んでしまって、楽しみを半分くらい失いがちな私にとって、本格派ビブリオ・ミステリーの本書は、純粋に謎解きを楽しむことができてよかった。 この本、三省堂本店で「書店員のおすすめ」になっていたけれど、その気持ちは非常によくわかる。文献資料のリサーチや分類・整理に関わったことのある人であれば、自分の求める文献資料を探しているときのワクワク感がそのまま味わえるだろう。
0投稿日: 2012.09.03
powered by ブクログ図書館のレファレンスカウンターのお話、という。 図書館の存続をかけて!ということで、リアル図書館戦争かなーと思っておりました。 実際図書館戦争よりもこのみでございます。 レファレンスの過程が細々書かれているので、勉強になりました。 欲を言えば理系レファレンスも見たかったです。 楢本さん編の続編を期待したい! ただ、台詞まわりの地の文が飲み込みにくいのが難点です。 ストーリーに関して申せば、民間委託で落ちなくてよかった!と。これでまとまったら駄作ですがね! 単語だけでもひやひやしてしまいます。 読み終えて、ひとまず武田泰淳を読まねばならぬと思いました。 最近軽図書ばかりなのでちょっと固めなのにかえります。
1投稿日: 2012.07.14
powered by ブクログ最近はやりなのかも?本にまつわる小説。 舞台は図書館。 和久山と副館長とのやりとりが好きだった。 本のうんちくについては、ちょっとマニアックかも。。。
0投稿日: 2012.07.11
powered by ブクログはじめは和久山のこと、嫌味な人だなーって思ったけど、最後にはすごく人間味のある人になってたよね。 新任の副館長からの難題を答えるシーンはすかっとした! 図書館って、当たり前にあるものだと思ってたけど、最初に切られちゃう場所なんだね。 いま、大阪市でも問題になってるけど…。
1投稿日: 2012.06.29
powered by ブクログ図書館で本探し=日常の謎系ですね分かりました~と読み進めていくと、あらビックリ。図書館存廃論にまで話が発展して、あれよあれよと矢面に立たされる地味な図書館司書員が面白い( ^ ^ ) 前半は純粋なリファレンスもので、司書さんってそんな事までしてくれちゃうの…と感心しきり。私も主人公と似たような問い合わせをバイトで受けたりしますが、「うーん、曲の一部とかどこで聞いたかだけでも分かれば検索できるんですけどね~」で濁して終わりますよ私は(最悪)。 前半と一転、県から派遣された新しい副館長はバリバリの図書館廃止論者でした!という後半の攻防は、主人公の熱血になり切れないキャラが功を奏して、ありがち展開にならずに進んでいって最後はお決まりな大団円!そして相変わらず最後まで地味な主人公!(笑) 最初のうちこそ「魅力ない主人公だな…」と若干冷めた気分で読んでいましたが、副館長のイイキャラが良い差し色になって際立ってくるから不思議です(笑)。 私自身は本は借りるより買う派だし、図書館で無料で借りて読む本より自分のお金で買った本の方が印象にも残るし、何より出版不況が叫ばれる昨今は買ったほうが良いじゃん本好きとしては!と考えている人間です。やっぱり、好きな作家の本は多くの人が購入することでこそ次作に繋がってるんじゃないかなあと夢見てる人間なんで(笑)。 でも、図書館廃止が現実化したらきっと許せません。本好きとして。そういう議題が出たら、反対集会とか出ますよ、多分。 本の収蔵キャパに限界がある人間には、図書館は天国みたいなものですもんね~( ^ ^ )貴重な文献の保管とか色々役割あるんだろうけど、そんなん知りません!笑 私は、好きな作家の本を並べてたり、そんなん誰が読むの⁈っていう本をひっそり並べてたり、なあの空間が好きなんだー!!!(自己中発言
0投稿日: 2012.06.28
powered by ブクログ■生まじめでカタブツの図書館員が、お手伝いいたします。 和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。コンピューターにはつとまらない。短大生のレポート作成を手助けすることも。年配の市民の思い出の本をさがし出してあげることも。苦しい財政のなか、この施設を存続させる理由を考え出すことも。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。ところで。あなたにとって、図書館は必要ですか?
1投稿日: 2012.06.18
powered by ブクログ昨今の状況もあり読み返したくなって文庫化購入。書店とはまた違う図書館のレファレンスを読みたくて読むと多分なんか違う。図書館というものが一般にどう捉えられているのか、をしみじみ思い知る、というか(ーー;) 図書館滅ぶべし て、いやものすごい章題。 それでもなんでも面白く読んだのは著者の力量かと。例に漏れず潟田さんにやられたし(^^;;
0投稿日: 2012.06.01
powered by ブクログ本をテーマにしたミステリってところでしょうか? 主人公は図書館の司書さん。 そこで、「こんな本を探してほしい」というレファレンスを担当しているのですが、毎回クセのある本探しをしています。 本を題材にしたミステリだと、北村薫さんの『六の宮の姫君』がありますが、こちらの方がずっと読みやすかったです。 あと、何気に主人公がハードボイルドでカッコ良い。
0投稿日: 2012.05.13
powered by ブクログ久々に本屋でジャケ買い!人が死なないミステリを求めて(笑) この著者さんの作品は初めて読みましたが、言い回しや説明が固くて、若干読みにくかったです。 ただ、ライバル(と言っていいものなのか)が登場してからは俄然面白くなってきて、続きが気になってサクサク読めました。 とある有名児童書のくだりは、素直に感心しました。 図書館の在り方についても、色々考えさせられる一冊でした。 この著者さんの別の作品も読んでみたいけど、また固いんでしょうか…
1投稿日: 2012.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
20120422 図書館ものと本探しものは自分の好みだから、評価は甘め。 思ったよりも読みにくく、最初はなかなか進まなかった。 慣れると読めるのだけど。 潟田さんとのかけあいは面白かった。 短編そのものも面白かったけど、全体を通しての緊張感もよかった。 恋愛ほんのりしてて可愛かったけど、そんなにたよりにしてたんだー とあんまり感じられなかったのはごめんなさい。
0投稿日: 2012.04.23
powered by ブクログ3月24日、珍しく1日で読了。 本が好き、本屋が好き、図書館も、なのでその辺を題材にしたものは結構手にとってしまう。 本にまつわる謎解き、いろんな本を読んでいる人なら予想つくのかもしれないけど(どうなんだろう?)、私はそこまで幅広く読んでいるわけでもないので、本についての勉強にもなった気がする。 一番好きだったのは「赤い富士」の回。ぐぐっときてしまったくらい。 そして読み終えて思う、司書さんって、大変だなあ。どれだけ知識が必要なんだろう。
0投稿日: 2012.03.23
powered by ブクログ図書館の存在意義を考える一冊。現実問題として、多くの利用者が「図書館など知の宝庫ではない。単なる無料貸本屋か、コーヒーを出さない喫茶店にすぎない」。 しかし、私も子供の頃、沢山利用して読書の素晴らしさを知ることになった。限りない可能性を秘めた未成年者には、必要な文化施設であると思う。「アンパンマン」の秘密なんて、図書館ならではの調べ物。
0投稿日: 2012.03.03
powered by ブクログ図書館のレファレンスサービスだけの話かと思いきや、思わぬ方向へ話が進んで行った。が、おもしろい。 そして、主人公が特別な能力を持っているでもなく、最後までふつうの人間(反抗的ではあるけど)であってくれて親近感がわいた。 いい人間関係で、うらやましい限り。
0投稿日: 2012.02.19
