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王政復古 天皇と将軍の明治維新
王政復古 天皇と将軍の明治維新
久住真也/講談社
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総合評価

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    幕末から明治期の王政復古の話だが、錦絵や宮中作法から権力の推移を読み解くアプローチがとてもおもしろかった。

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    投稿日: 2022.01.01
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    歴史文化学科の久住先生の本をはじめて読ませていただいたが、面白かった。 君主像(見られる身体としての君主)、政治空間、そして「王政復古は、単なる古代への回帰でも、伝統への回帰でもない。また、無からの出発でもない。天皇統治の「復活」とは、幕末の蓄積された政治的体験の上に登場するのである」(p.80)と端的に述べられているように<幕末の将軍と近代天皇の連続性>など、新しい視角で王政復古の政治史を描く意欲作である。 「天皇は、くりかえし将軍や大名に「会う」ことで、権力者としての地位を高め、固めていった」(p.148)との指摘は重要であり、実際に本書ではその「会う」という行為がおこなわれた時間と場所(空間)の細部まで詳細に描くことによって歴史分析の面白さを伝えているように思う。 新書レベルながら専門研究とのディスタンスにも気が配られて叙述されており、勉強になった。

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    投稿日: 2020.11.30
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    序 歴史に筋書きはない 第1章 将軍と天皇の交錯―上洛から東幸へ(空前の質素と簡易を示す;転換点の将軍家茂;新たな君主像の誕生;東海道を下る天皇) 第2章 宮中参内の政治学(武家参内の幕開け;将軍参内と誓約の空間;天皇とつながる大名たち;一会桑の空間支配) 第3章 天皇という革命―クーデターからの出発(仮建という通路;王政復古政変の衝撃;万機親裁の誕生) 結 幕末と明治をつなぐもの 著者:久住真也(1970-、山梨県、日本史)

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    投稿日: 2018.10.25
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     幕末維新期の「王政復古」=能動的な政治君主の創造過程を政治文化の変容を通して明らかにしている。本書が非常に斬新なのは「幕末の将軍」と「近代の天皇」を連続的に捉えていることにある。徳川家茂の上洛過程に近代の天皇の行幸・巡幸に通じる政治君主像を見出し、近世から近代への視覚的支配の継続を示す。幕末の武家諸侯の参内急増・参内形式変容や、藩士クラスが御所内に進出するルートの確立が、維新後の朝廷内の身分秩序の解体を準備したとみなす。二条城行幸以降、その姿を人臣に曝し、活発な行動を見せるようになる天皇を「将軍化」(という言葉は用いていないが)とみなす。文書に限らず錦絵や摺物などを含む多彩な史料を用い、政治行動を禁裏の通路や部屋の「空間」に即して分析するなど、方法論においても新鮮で、手垢の付いた幕末維新史を鮮やかに更新しており、最近のこの時期を扱った著作では出色の成果である。  なお「王政復古」政変に関しては、『岩倉公実記』『明治天皇紀』などの「天皇親政」を強調する作為を否定し、岩倉具視らの参内に薩摩藩などによる御所封鎖が先行すること(明白な軍事クーデター)、小御所会議は2回行われ(最初の会議は岩倉らの天皇謁見に先行する)、いずれも天皇は臨席していないことを明らかにしている。原口清や佐々木克や高橋秀直らの研究を引き継いだものだが、近年刊行の通史でも依然『維新史』に依拠する傾向(例えば宮地正人『幕末維新変革史』)がある中でこれは慧眼であろう。

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    投稿日: 2018.06.04