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シベリア抑留 最後の帰還者 家族をつないだ52通のハガキ
シベリア抑留 最後の帰還者 家族をつないだ52通のハガキ
栗原俊雄/KADOKAWA
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総合評価

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    戦争終結に際して、日本人の労働をある程度の期間、提供するっていう約束をソ連と交わそうとしてたんだ…。 この夫婦は、最終的にはまた一緒に暮らせて良かったけど、子どもの成長を見守ることが出来なかったんだよね。奥さん、一人で5人も育てたのすごい。

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    投稿日: 2023.03.12
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    シベリア抑留の本は何冊か読んでいたので、本書も似たようなものかと思い、最初は手があまり出なかったが、たまたま見つかったという「家族との52通のハガキ」に心動かされ読んだ。それでも最初のうちは、なにかどこかで読んだような内容だと高をくくっていたが、それもそのはず、栗原さんはぼくが先に読んだ『シベリア抑留』(岩波新書)の著書だったからだ。だから、本書はやはり家族とのハガキの内容に触れたところで生き生きしてくる。ぼくが少し気になったのは、主人公健雄の妻としこが、娘3人と息子、それに義母をかかえ、健雄をときおり批難することである。たとえば、長女は家計をささえるため、嫁にもいかず頑張っている。早く帰ってきてくださいといったことばハガキに何度も書かれるが、それはいつ帰れるともわからない健雄には酷な要求ではなかったろうか。健雄はもともとロシア語を学び満鉄調査部で働いていた。だからこそ、スパイ容疑でつかまり、一番最後の便まで帰してもらえなかった。60万の抑留者のうち、50万人が帰還したというが、そのときの健雄の体はあと半年遅れていたら死んでいたろうといわれるほど弱っていた。歯もぼろぼろだったそうだ。それでも健雄は子どもや孫たちに囲まれ94歳まで生きた。本書では日ソ間の交渉、それに左右される抑留者たちの運命が、家族の52通のハガキの背景を説明するかのようによく描かれている。血肉のあるシベリア抑留史である。

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    投稿日: 2018.02.25