
総合評価
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powered by ブクログゼノンのパラドクスが投げかけている哲学的問題をていねいに分析し、その考察をおこなっている本です。 著者は、ゼノンのパラドクスを紹介しているアリストテレスのテクストに分析を加え、そこからゼノンの問題がなにであったのかを慎重にとり出します。その結果、ゼノンが師のパルメニデスの哲学を擁護するために、その批判者たちの議論を論駁する目的でパラドクスを考案したということであり、そこで彼が念頭に置いていたパルメニデスの批判者たちの意見とは「多」の理論であったことが明らかにされます。 また著者は、数学における連続についての議論にもとづいてパラドクスの解決を図ろうとするラッセルに代表される見解を批判し、一と多の概念をめぐる形而上学的次元に問題の場面を設定しています。他方、ベルクソンの解釈については、彼がゼノンの意図を誤解していたことを指摘するとともに、ゼノンの真意が意外にもベルクソンの立場に近いものであったと論じられます。 「あとがき」には、難解な本書の議論を読みやすいものにするべく著者が格闘した経緯が語られていますが、そうした著者の苦心のあとは本文のそこかしこにたしかめられます。それでもある程度の根気を必要とされる内容ではありますが、ゼノンのパラドクスに多少とも関心のある読者であれば読み通せるのではないかと思います。
0投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログゼノンの4つの逆理 微分法を当然のように思っていた私の頭にガッときた。 方程式の外にあること 動いている物は動いていない
0投稿日: 2019.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
有名な「アキレスと亀」を始めとするゼノンのパラドクスを通して、時間とは?存在とは?という哲学の根本に迫っていく名著。ゼノンのパラドクスの解明をするのではなく、なぜゼノンがそのようなパラドクスを発案したかを考えることにより哲学を探求していく。読み応えがある。しかしながら、ゼノンのパラドクスのような明らかな詭弁としか思えないものが、未だに論理的に説明ができていないということを知って驚いた。あのバートランド・ラッセルでさえ説明ができないとは(正確には説明をしているが、説明になっていないとは)。。。。なかなか奥が深い。
0投稿日: 2018.07.29
