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隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
ルトガー・ブレグマン、野中香方子/文藝春秋
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総合評価

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    現代人はどうしたらもっと働かなくなるのか。 最近本気で考えていることです。 そんなときにちょうど積読されていた本書を開き、著者の力強いストレートな文章を読んで、ひたすらうなづくことばかりでした。 個人的にベーシックインカムはあった方が良いと思ってますが、受け取る側の意識の変化も大切だと感じます。 ただ「お金がもらえるラッキー」と思うだけでは世の中は変わらない。 デヴィット・グレーバーが言う「クソどうでもいい仕事(ブルシットジョブ)」が、なかなか無くならない現実。 これ以上働き続けたら、地球がもたないというのに。 それに加担している自分も自分。 そんな世の中で、「とんでもない存在」は何を考えるのか。 問われるのは世界を観る想像力ですね

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    投稿日: 2025.11.25
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    「AI」「ベーシックインカム」という単語ばかりが横行していて、労働時間は減るどころか増えているのは何も日本だけではなく、むしろアメリカをはじめとする"上流階級"の人々が感情的に受け入れられないからこそ未だにベーシックインカムは施行されず、「くだらない仕事」がはびこっている。 私は最近日本では底辺職と呼ばれる仕事から転職したが、PCの各企業のソフトウェアを「操作」しているだけで、何も生み出しているわけではない。もしAIが代行するようになれば、一瞬でクビである。まあ、「ワークシェアリング」であり「週20時間」であるから、悪くはない仕事であり、業種としては当分無くなることはないのだが、今後も続けられる仕事か?というとさらにアップグレードが必要であり、考えさせられる。 配偶者は文中にもあるような典型的な貧困労働者であるが、ベーシックインカムがまだ実行されぬうちは、このような本ばかり読んで実際にほぼ働かない私とある意味バランスが取れているのかもしれない。実際ポケットにお金は入るのだし、私は知識でその穴を塞ぐのだ。 安楽死も大麻も同性婚もダメな我が国でベーシックインカムはまだまだ先であろうが、まずはこの年百十数万円を無理なく生み出せる思考と行動が身につけばと考える。

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    投稿日: 2024.10.20
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    #93奈良県立図書情報館ビブリオバトル「救い」で紹介された本です。 #91奈良県立図書情報館ビブリオバトル「歴史」で紹介された本です。 2018.6.16 https://m.facebook.com/events/124940441711273?view=permalink&id=173818203490163暁天ビブリオバトルと題して南都七大寺の大安寺で7時30分から実施しました。 2018.8.18 https://m.facebook.com/events/213162002701618?view=permalink&id=235562167128268 2018.8.18 https://m.facebook.com/events/213162002701618?view=permalink&id=235562167128268

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    投稿日: 2024.10.03
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    労働時間の短縮、BIのメリット(コスト含)の他に、国境を撤廃することを提案しているのが新鮮だった。 世の中のリベラルの思考に少しずつ近づいていく気を抱く。 「思い出そう。奴隷制度の廃止、女性参政権、同性婚、いずれも、当時主張する人々は凶人と見られていたことを。だがそれは、彼らが正しかったことを歴史が証明するまでの話だった。」

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    投稿日: 2024.02.14
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    『希望の歴史』ほどのインパクトはなかったが、ベーシックインカムの制度などが、そこに至るヒントとなったのはまちがいない。

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    投稿日: 2023.12.07
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    私の今までの取組み。だめと反省する前に、まずは、やってみようという、姿勢が大事。背中を押してくれた。ベーシックインカムで、お金をただ渡すのは、ドブに捨てるようなもの、と思う自分に対して、事実は違う、こうだと教えてくれた。

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    投稿日: 2023.08.16
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    日本へ導入するには市民レベルでまず何をすればいいのだろう。人は人のことを分かっているつもりで実は何も分かっていないことがよく分かった。

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    投稿日: 2023.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ベーシックインカム、週15時間労働、国境の開放。過去最大に反映したユートピアだけど幸せを感じないのは何故か。より良い世界を思い描くことができないから。資本主義では現代の豊ぎょう?の地を維持できない。福祉はいらない、直接お金を与えればいい。福祉の複雑なシステムのコストを考えれば財源的にも実現不可能ではない。欠乏の心理。判断力が下がる。同じように貧困も個人のIQを13低下させる。ニクソンはベーシックインカム導入の直前まで行ってた。スピーナムランド制度の報告書問題。GDPが見逃している労働は身の回りに多く存在。お金が動かないとカウントされない。進歩による安価の計算もできない。クズネッツ。富の創造ではなく富の移動を目的とする仕事に優秀な人材がとられている。くだらない仕事が多い。国境を開くことで富は増大する。開発支援の効果はわからない。真実を見抜く1人の声が集団の幻想を覚ます。認知的不協和。集団が同じ答えだと自分の答えを言えない。1人でも別の答えがいると言える。ユートピア主義者になる勇気を備えた忍耐強い思索家が必要。おヴァートンの窓。負け犬の社会主義。常識に流されてはいけない。かつて、奴隷制度の廃止、女性の参政権、同性婚の容認を求めた人々は狂人とみなされていた。

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    投稿日: 2023.06.03
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    おわりに書いてある日本語版編集部の情報によると、英語版の原題はUtopia for Realistsということで「現実主義者のためのユートピア」だったものを、日本語版では著者と相談して「隷属なき道」にしたとのことです。もちろんこれはハイエクの「隷属への道」を意識しているのですが、その心は、シンギュラリティの到来によってAIが人間を上回る日が来る。AIとの競争には勝てない。そのときに人間が生きていくために、つまりAIに隷属しないためにもユニバーサル・ベーシックインカム(国民全員に無条件で一定金額を支給する仕組み。何の資格も審査もない)を導入すべきだということです。  ブレグマンの主張やベーシックインカムは可能性としてはあり得るとは思うのですが、それにしても彼がこの本で挙げている論拠はかなり偏っています。ベーシックインカムの導入を示唆するような研究結果を数字と共に紹介していますが、意図的に自分の主張を補強するような研究結果だけをチョイスしている結果です。それとは反対の結果を示唆する研究結果も同じくらい存在していますので、ベーシックインカムが正しいかどうかという以前に、その姿勢が良くないと思いました。心理学では追認バイアスと呼ばれる行為で、人間は自分の信念を補強するような情報を意図的に選別して頭の中に取り込み信念を補強する傾向が強いのですが、まさに著者自身が追認バイアスの罠にはまっている印象を受けました。 ただ10章のなかで、著者自身もこの問題を自己認識していて、自分の信念と異なる研究結果を見つけたときに、「自分の意見を変えるほどの観察力を持っているだろうか?そうする勇気があるだろうか?」と自問していたので、この箇所で著者に対して少し好感を持つことが出来ました。 しかし好感を持てたとしても、全般的には正直視野が狭い印象は受けました(主張のインパクトは非常に強いのですが視野の狭さを感じる)。主張全体が欧米的あるいはキリスト教的であって、仏教やヒンズー教などの多神教の世界観ではまったく違うとらえかたになると思います。そのような価値観も踏まえたうえで、なおユニバーサル・ベーシックインカムが最良のシナリオである、という主張をしてくれたら、傾聴に値するものになる気がしました。

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    投稿日: 2023.04.30
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    読めば、価値観が変わる本。 いくつかの偏見が補正された。 先ずは生活保護について。アメリカのユタ州、オランダで行われたハウジングファースト戦略。先ずは住まいを提供しようという事だが、ホームレス支援の資金投資に対して2、3倍の利益を導くことがわかった。更にアメリカでのベーシックインカムの社会実験では、学業成績の向上や健康状態の改善に寄与。フリーマネーを与えると、特にそれが必要な人々は、酒やギャンブルに無駄遣いしそうだが、多くは自立するための資金にする事も分かった。工夫の余地はあるが、生活保護制度は必要だ。 もっと大きな規模では、世界初の社会保障制度の一つである19世紀のスピーナムランド制度について。この制度はベーシックインカムに似ていた。結果は怠けの助長による労働市場の競争力低下を齎し、大衆はますます貧しくなったという。しかし、これは王立委員会の捏造報告書だった。結果として1834年にスピーナムランド制度は廃止され、貧困者の自己責任論が高まる。貧困者は救貧院に入れるしかないと考えられ、そこに押し込められ無機質な労働を課された。粉砕して肥料にするための骨をかじる、女性は妊娠しないように餓えさせられ、夫婦は別々に。子供も親から引き離された。1日に3杯の粥、玉ねぎを週に2回、薄切りパンを週に1枚。貧しい人々は失業を恐れ、雇用主は更に賃金を低く抑えることもできた。資本家に仕組まれた捏造報告書により、富の再分配を拒む強者の主張が勝った。実際にはスピームランド制度は貧困に対して効果的な手段だったにも関わらず、現世にも反省を活かせるはずの大いなる負の歴史である。 いくらかの不平等がなければ社会は機能しないが、格差が適切な範囲を超えれば、裕福な人々も不幸になる。気分が塞いだり、疑い深くなったり、治安も悪化。社会的問題を背負いやすくなる。収入の不均衡は、結果的にすべての人の暮らしを不幸にする。 イギリスの哲学者バードランドラッセルは書いた。「人間が幸せでいるためには、あれやこれやの楽しみばかりでなく、希望や冒険心や変化が必要だ。求めるべきは、完成したユートピアではなく、想像と希望が生きて動いている世界である」 格差の固定は希望を齎さない。然るに、生産性を競い合い、勝者が弱者を押さえ込むようなイデオロギーは見直す必要がある。労働の仕方を教育する今の教育モデルに加え、余暇の時間をどう過ごすかを教えるモデルを取り入れ、労働すらエキサイティングな興行にできれば、それらの選択肢に合ったライフスタイルが描けはしないだろうか。その時には、楽しみの無い労働からは解放され、楽しみながら働く人々とベーシックインカムだけで楽しむ人々が共に生きるという時代が到来するだろう。

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    投稿日: 2023.01.21
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     表紙では、ベーシックインカムの導入、一日3時間労働の主張が強調されているが、多数の統計・実証的研究に基づいている地に足の着いた本。貧困が人の長期的な視野・冷静な判断力を奪うという分析は衝撃的だった。  著者の支持するハイエクの新自由主義がどこまで正しいかはわからないが、福祉をやめベーシックインカムを平等に分配することが、むしろ自立につながる、という主張はよく理解できる。ベーシックインカム導入はともあれ、平等な負担で貧困を解消しないと、既得権益(?)を受けている高齢者の福祉制度を維持することも困難となり、共倒れになる。そこでま現状が来ていることを再認識させてくれる一冊。

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    投稿日: 2022.12.28
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    世界的に豊かになり過ぎだ現代において最大の問題は、より良い暮らしを思い描けなくなっていること。 人間が幸福でいるためには、希望や冒険心や変化が必要。 貧困は、個人のIQを13ポイントも低下させる。 特に何かが欠乏(時間やお金)すると短期的な問題解決にばかり頭がいき、長期的な視野は完全に失われる。結果判断能力が鈍る。 判断能力が悪いから貧困に陥るわけではなく、貧困だから判断能力が鈍くなる。 不平等が大きくなりすぎると、裕福な人々も苦しむことになる。 3.11東日本大震災の時、各国のメディアは日本経済は最低最悪水準になると予想したが、現実は逆で復興経済により、翌年にはGDPが2%上がった。 日本に限らず、世界各地で災害や戦争があると、実は経済が上向きになる。 GDPの問題は、金銭価値しか測れないこと。無償のボランティア、家事、育児といった付加価値はGDPに含まれない。 精神疾患、肥満、汚染、犯罪はGDPの観点からは多ければ多いほどよい。一人当たりのGDPが最も高いアメリカが社会問題でも世界トップなことを見れば明白。 効率と生産性ばかり追っていると、教育と介護の真の価値が見えにくくなる。 幸福度を最大限にするには、生活に占める労働と消費の割合を減らすこと。 仕事が多過ぎて忙しいという愚痴の裏には、自分は重要で期待されていて必要とされている人物だという自慢が潜んでいることが問題。 長時間労働の国ほど、テレビの視聴時間も長い。 本物の余暇は堕落でも贅沢でもない。脳にビタミンを送り込むようなもの。 多くの人が有形の価値を生み出さないまま金儲けできるシステムが出来上がった。 特に価値の創造をしているわけではない、職業の方が高級取りなのが問題。銀行員、トレーダー、弁護士など。彼らは価値を創造するわけではなく、移転するだけ。管理職が多い国ほど、生産性と革新性が低い。 Twitter、Facebook、YouTubeなどが付加価値を生み出しているのかというと疑問。 便利になった反面、人々から膨大な時間を奪っている。テレビの代わりになっただけ。 生きていくために必要なコンテンツでないことだけは確か。 私達は本来必要な余暇を潰して、膨大な時間を奪うコンテツを無駄に増やし、そのために無駄な仕事や作業が増えていることにそろそろ気付くべき。 本書の題名は、AIに隷属するのではなく、人々が本当に意味のある人生を取り戻す道に期待をかけるということ。 そのためには、週15時間労働、ベーシックインカム、国境のない世界が必要と著者は述べる。夢物語のようだが、ほんの数十年前まで、奴隷制の廃止、女性参政権、同性婚。。いずれも主張する人は当時、狂人と見られていた。 偉大なアイディアは必ず社会を変える。

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    投稿日: 2022.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    近現代を振り返り、テクノロジーやAIがもたらした人々への経済的な富の内容は興味深かった また、ベーシックインカムに対しての考え方も理解でき、180度見方が変わった 今はまだ世の中には受け入れられないだろうが、近い将来にその道を歩むのは目に見えた いまの社会構造を世界視点で分かりやすい記述で、大変勉強になった

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    投稿日: 2022.08.11
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    これまで、どうでもいい仕事に31年間費やしてしまった自分にとって、ころからの人生で何をすべきかを考えるヒントを与えてもらった気がする。 ケインズが予測したように、週15時間の労働にはなっていないが、それはそう出来るのにしてないだけのような気がする。コロナ禍でその事は既に証明されているが、みんな気付かない振りをしているだけではないか?

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    投稿日: 2022.03.27
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    【目次】 第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか? 産業革命以降の2世紀で、長く停滞していた世界経済は250倍、1人当たりの実質所得は10倍に増えた。これは中世の人々が夢見た「ユートピア」なのか? ではなぜ、うつ病が歴史上かつてないほどの健康問題になっているのか? 第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい 生活保護や母子家庭手当て、就学援助、幾多ある福祉プログラムを全てやめる。 そのかわりに全ての国民に、例えば一律年間150万円の金を与える。それがベーシックインカム。ニクソン大統領はその実施をもくろんでいた p38 ハイエクやフリードマンも支持したベーシックインカム その考えは、まさに時宜を得ている。 p40 ミンカムとは、カナダで行われた初の大規模な社会実験で、世界最大規模のベーシックインカム実験である。 第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる ベーシックインカムがなぜ有効なのかは、貧困がもたらす欠乏の害を調査するとわかる。 貧困はIQを13ポイントも下げる。奨学金や有効な教育プログラムにいくら投資しても、そもそも貧困層にいる人は申し込まないのだ p61 欠乏感を抱いている人間は、短期的な問題を処理するのがうまいのだ。貧しい人々は、短期的には、収入の範囲内でやりくりするのが極めて上手だ。働きすぎのCEOが、取引を巧みにまとめられるのと同じである。 欠乏はあなたの気持ちを、差し迫った不足に集中させる。五分後に始まる打ち合わせとか、翌日に迫った支払いとか。そうなると、長期的な視野は完全に失われる。 「欠乏は人間を消耗させる」 第4章 ニクソンの大いなる撤退 60年代初頭、ベーシックインカムは、フリードマンのような右派からガルブレイスのような左派まで大きな支持を得ていた。 それを潰したのは一部の保守派が持ち出してきた19世紀英国での失敗だった。 ニクソンに渡された報告書 p84 世界初の社会保障制度の一つである十九世紀のスピーナムランド制度 第5章 GDPの大いなる詐術 ロシア人教授クズネッツが80年前に基礎を築いたGDPは進歩を表す神聖なる指標だ。 だがGDPは多くの労働を見逃し、医療や教育のサービス分野でも効率と収益に目を向ける。 人生を価値あるものにする新しい計器盤を検討する p110 「GDPの観点からいえば、アメリカで最悪の家庭は、家族として機能している家庭だ。すなわち、自分たちで料理し、夕食後にみんなで散歩したり、話したりして、子供たちを商業文化に任せっきりにしない家庭である」 p112 「コミュニティの中で唯一、ある階層だけが、金のことを金持ちよりもよく考える」とオスカー・ワイルドは言った。「それは貧困層だ」 p125 数字による統治は、もはや自分が何を求めているのかわからない国、ユートピアのビジョンを持たない国が、最後にすがる手段なのだ。 p126 GDPの考案者であるクズネッツは、その算定に軍事、広告、金融部門の支出を含めることを戒めた。しかし、彼の助言は聞き流された。 第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代 ケインズは1930年の講演で、「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測した。 ところが、産業革命以来続いていた労働時間の短縮は70年代に突然ストップした。 借金によって消費を拡大させる資本主義の登場 p133 カール・マルクスも、いずれ誰もが、「狩人や漁師や牧夫や批評家でなくとも、朝には狩りをし、午後には釣りをし、夕方には家畜の世話をし、夕食後には批評しあえるようになる」と未来を楽観した。 p137 人類は、余暇革命を迎えるはずだった。 p152 死の床にあって、「あともう少し会社にいたかった。もう少しテレビの前に座っていたかった」と考える人はいない。 第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば 「空飛ぶ車が欲しかったのに、得たのは140文字」とピーター・ティールは揶揄する。 過去30年の革新は富の移動に投資されてきた。 優秀な頭脳が銀行員や会計士よりも研究者や技術者を選べば、才能はより社会に還元されるのだ p156 仕事とは他になすべきことを持たない人々の逃げ場である。———オスカー・ワイルド p167 グレーバーの分析によると、数えきれないほど多くの人々が、仕事人生のすべてを、自ら無意味と思う仕事に費やしている。 p168 いくつかの研究は、管理職が多い国ほど、生産性と革新性が低いことを示している。 第8章 AIとの競争には勝てない 産業革命時代、織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。 そして今、AIとロボットが「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。 その結果、富の不均衡は極大化する。 今こそ、時間と富の再分配、労働時間短縮とベーシックインカムが必要だ p182 まず奪われたのは、私たちの給料だ。アメリカでは、平均的なサラリーマンの実質給与が1969年から2009年までの間に、14%下がった。ドイツから日本に至るほかの先進諸国でも、生産性は伸び続けたにもかかわらず、何年にもわたってほとんどの職種で賃金は上がっていない。最大の理由はシンプルで、仕事がどんどん減ってきているのだ。テクノロジーが進歩したせいで、豊穣の地の住人は、世界の数十億の労働者とだけではなく、機械とも競わなければならなくなったのだ。 p202 教育と福祉の革命によって第一次機械化時代を乗り切ったように、第二次機械化時代を乗り切るにも、抜本的な対策が必要だ。例えば、労働時間の短縮と、ユニバーサル・ベーシックインカムである。 p207 不平等は広がり続け、機械にはできない技術を習得しなかった人は、わきに追いやられる。一方で、裕福で高学歴の人々は結束を固めていく。ヨーロッパではすでに、アムステルダム、シュトゥットガルトやミュンヘンなどにコンピュータ技術者が集まっている。 第9章 国境を開くことで富は増大する 西側世界は途上国支援のために50年で5兆ドルを投じてきた。 だが国境を開けば世界総生産は67~147%成長し、65兆ドルの富が生み出される。 わずか62人が35億人の総資産より多い富を所有する偏在の要因は国境にある p221 「グローバリゼーション」のこの時代に、母国外で暮らす人は、世界人口のわずか3%だ。 p257 新自由主義思想を世に広めたハイエクとフリードマン 第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます 1954年12月21日に洪水が来て世界は滅亡する。 そう予言した主婦とそれに付き従った人々。 その予言が外れても信者たちは信念を変えない。 だが、一人の真実を見抜く人の勇気ある声が幻想を崩し、現実を変えることもある 終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること この本で提案したのは、大きな路線変更だ。奴隷制度の廃止、女性の解放も、唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えられていなかった。 そうした「大きな政治」を左派は思い出し、右派も同調する変革へと進むべきだ p268 スイスの国民投票によってベーシックインカムの議論は終わったのではなく、始まったのだ。 解説 欧州の新しい知性の登場 日本語版編集部 p306 ベーシックインカム制度が導入されれば、日本の生活保護をめぐる様々な問題は一挙に解決するだろう。(中略)小田原市の職員が「保護舐めんな!」とプリントされたジャンパーを揃いで作って、生活保護過程を訪問していたような問題もなくなる。

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    投稿日: 2022.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

     人類は有史以来、生産性向上により労働時間を短縮させてきた。農業の始まりから18世紀頃までは大きな変化は見られないが、産業革命以降労働時間は段々と減っていっていた。そのまま減っていくかと思いきや、1980年代以降、減少トレンドは反転し、現在まで労働時間は減らずにむしろ増えてしまっている。このことに対してブレグマンは労働に関する調査から多くの人々が「意味のない仕事」をさせられていると感じていることを示す。また、こうした状況は高所得者により顕著に表れていて、高時給であるがゆえに「働かないことによる逸失コスト」を加味した行動をとってしまうと考えられている。このような状況を打破することはできないか、人々が本当に必要とされ、意義を感じられる仕事ができないか。そこでブレグマンはベーシックインカムによる現金給付こそが人々の行動を変えられるのではないかと説く。ベーシックインカムの議論は往々にして人間の負の側面に着目して、怠惰な人間が増え、社会が破綻してしまうのではないかと言われる。しかし、それに対してブレグマンはあらゆる地域で行われてきた過去の社会実験を再検証し、その実際の効果は非常に有効であることを示した。アメリカでも1960年代に導入が決まりかけていたという事実には驚いた。ベーシックインカムを得た人々は本当に自分にとって必要なものを選び取り、自分にとって最良の人生を歩む手段を手にすることができるのだ。  前回読んだ山口周さんの本に書かれていることが世界各国のさまざまな事例を元に描かれていた。資本主義が200年に渡って人類を大きく成長させ、飢えや貧困から多くの人々を救ってきたが、今後私たちはより平等に人生を謳歌できるような社会システムを気づいていく必要性を感じた。「それって本当に必要?」と思う事象は社会の至る所に存在するが、それらの「幻想によって必要だと思われるから作られたもの」ではなく「各自が本当に望むもの」を手に入れられる環境を作ることが大切だと思った。

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    投稿日: 2022.02.04
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    「ベーシックインカムなんて幻想だ!」という幻想をどうやって私たちが抱かされてきたのか、という幻想解体新書として面白く読んだ。筆者のポジティブさには玄田侑士さん『希望のつくり方』に通じるものがある。できるかどうか、ではなく、どうやって実現させるか、そこが問題だと。 なるほど。 では、ベーシックインカムの金額はどう決めるんだろう?国境をなくすことが前提だから、全世界一律? ベーシックインカムを導入したとして、解決されない介護、保育のニーズの問題は? 1日3時間労働に絶対ならないエッセンシャルワーカーの存在はどう考えるの? うーん。 解除しなければならないバリアはいっぱいあるらしい。けれど、富の偏在ありきで発想して仕事を続けることに、ここ数年、本当に限界を感じている。椅子取りゲームの非倫理性にもうんざり。 けど、人口の3%が本気出すと社会は変わるらしい。 いつ変わるかは分からないけど、変える方に一票。 そう思える本だった。

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    投稿日: 2021.10.11
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    ベーシックインカムを導入したほうがよいということを過去の研究とともに紹介 印象に残っているのは ・ケインズが2030年には労働時間が週15時間と予言していて,今の世界の働き方に対する示唆 ・GDPが工業化の時につくられた指標であり,今の状況を映し出すには背景が違うので別の指標が必要という部分 ・「空が飛ぶ車が欲しかったのに,得たのは140文字」とあるように優秀な頭脳が別のところに使われて社会損失がある という点.様々な研究や事例を読めておもしろい本でした.

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    投稿日: 2021.08.13
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    人間がAIに仕事を奪われることによって貧富の差が拡大する。それを止めるには、全ての人間に無償でお金を配り、週の労働時間を15時間程度にし、国境を開放することが解消する唯一の道であると筆者は説いている。

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    投稿日: 2021.05.18
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    “過去を忘れるものは、過去を繰り返す運命にある” ジョージ・サンタヤーナ “難しいのは、新しい考えに馴染むことではなく、古い考えから抜け出すことだ” ジョン・メイナード・ケインズ “ユートピアは水辺線上にある。私が2歩近づくと、それは2歩遠ざかる。もう10歩近づくと、さらに10分遠ざかる。 どれだけ歩いても、決してたどり着けない。では、ユートピアに何の意味があるのだろう。答えはこうだ。歩き続けよ、とそれは教えてくれるのだ。 エドゥアルド・ガレアーノ 第二章 福祉はいらない、直接お金を与えれば良い ・世界各地で行われた研究により、確たる証拠が示されている。フリーマネー(自由になるお金)は機能する。すでに研究によって、フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊娠、無断欠席の減少につながり、学校の成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらすことがわかっている。 第6章 ケインズが予測した秋15時間労働の時代 ● 1930年、経済学者ケインズは「2030年には人々の労働時間は秋15時間になる。20世紀の最大の課題は増えすぎた余暇だ」と予言した。 第8章 AIとの競争には勝てない ●オックスフォード大学の学者は、20年以内に米国人の仕事の47%以上とヨーロッパ人の仕事の54%が機械に奪われる可能性が高いと予測する。 ●未来学者のレイ・カーツワイルは、2029年までにコンピュータは人間と同等の知能を持つようになると確信している。そして2045年にはコンピューターは全人類の脳の総計より10億倍、賢くなっている、と言う。 ●不平等が広がり続け、機械にはできない技術を習得できなかった人は、脇に追いやられる。一方で、裕福で高学歴の人々は結束を固めていく。ヨーロッパではすでに、アムステルダム、シュトゥットガルトやミュンヘンなどにコンピュータ技術者が集まっている。 貧困は、コンピュータに重いプログラムを並行処理させるようなもの。

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    投稿日: 2021.03.27
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    私たちの生活が「経済的な計算に収束し、技術的な問題や環境問題の解決に追われ、洗練された消費者の要求を満たし続ける」時代において、富の分配をどう再定義するか。 ベーシックインカムの有効性について勉強になる。 "奇妙なことに、最も高額の給料を得ているのは、富を移転するだけで、有形の価値をほとんど生み出さない職業の人々だ。" 強烈。 私たちの生活の大半を占める無償労働が含まれていないGDPでいったい何を測り続けるのか。 著者はジャーナリストのルトガー・ブレグマン。出版時29歳、現32歳。おう。

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    投稿日: 2021.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ベーシックインカムを知るため読んだ1冊。 ええやんBI。他にも関連書籍を読んでみたいー 1章 18世紀より豊かな今はユートピアか? なぜ今うつは10代の若者の最大の健康問題になっているのか?自分は特別な人間と考える若者は1950年の12%から今日では80%、あなたはなりたいものになれる、と自己愛を育てられて…社会に出た途端、そこは過酷な競争社会となっている。そこでは失敗も自己責任なのだ。 格差は心を壊す。 2章 BIが有用である旨の世界各国の研究。 選択肢を得た人間は怠惰にはならなかった。 2009年イギリスや、1970年代カナダのミンカム実験。 減少…栄養失調、犯罪、10代の妊娠、酒タバコの消費。    ヘルスケア費。 増加…学校成績、経済成長、男女平等、小規模ビジネス。 3章 1997年チェロキー族のカジノ。 貧困は休めない。資金繰りに思考リソースを取られて、他への認知能力を常時押し下げられるので、申込手続の煩雑なプログラム…思考リソースを消費する福祉…に申し込む事を貧困家庭は思いつけない。長期的視野も奪う。 5章 ロシアのクズネッツが80年前に築いたGDPは戦争生産能力に優れた指標。人生を価値あるものにするには新しい指標が必要。WikipediaやSkypeはGDPを下げる。 7章 1968年NYのゴミストライキと非常事態宣言。 富の創造より移動に税制優遇され、優秀な人材は移動に投資された。 8章 ロボやAIは人より生産性が高いが、車は買わない。 11章 終章 再選を望む政治家は極端なアイデアを敬遠する。急進的な物、オヴァートンの窓の外にある物を比較的穏当に見せるには、更に破壊的なアイデアを公表するのが戦略。 (著者の立ち位置からかソースノートの参照先は本よりもURLが多い…信憑性はもう本もURLも同等なんですかね。存じ上げず)

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    投稿日: 2021.02.03
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    とても読みやすい。翻訳はとても良い。政治についていまいちど考えるのにいい。オリジナルな研究ではない。

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    投稿日: 2020.11.18
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    隷属なき道AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 著作者:ルトガー・グレグマン 発行者:文藝春秋 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

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    投稿日: 2020.09.13
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    ベーシックインカムについて知りたくて読んだ。 過去の歴史、研究結果などをもとに説明がされている。 むずかしかった。

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    投稿日: 2020.07.26
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    ベーシックインカムについて知るために再購入して読了。 ベーシックインカムだけでなく、労働時間の削減、国境の開放が貧困の解決となるという内容。 著者の言うように現在のところは荒唐無稽な非現実的な案なのかもしれない。しかし、過去において人種差別、女性の参政権、同性婚など非現実と思われたことが 現実のものになっている。 人々の常識というものはその時には今を変えたくないという思いから来るものだ。会社でも同じ。規模は違うが今を変えたくないという社員はたくさんいる。そういう人からすると新たに情報深化といわれても全くピンとこないし、できるわけがないと思うものだ。 印象に残ったフレーズが以下。 「図太くなることだ。人が語る常識に流されてはいけない。世界を変えたいのであれば、私達は非現実的で、無分別で、とんでもない存在になる必要がある」 成し遂げたとき、それは正しいと証明される。信じて突き進むしかない。

    0
    投稿日: 2020.07.14
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    2020年4月「眼横鼻直」 https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/2020/0401-9073.html

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    投稿日: 2020.04.01
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    オランダの若き歴史家ルトガー・ブルグマンがベーシックインカムと国境の廃止によるユートピアの実現を論じる。 すべての福祉を廃止し、国民全員一律にベーシックインカムとして年間約150万円の金額を支給しそれで生活させる。さらにすべての国境を廃止し、人、物、金が世界中に自由に行き来することができるようにする。これにより、世界の富が再配分され、ユートピアが訪れると説く。 本書は非常に説得力があり、読みやすい。もし、これが実現すれば本当に楽園が訪れるかもしれない。 筆者も現状ではこのような話は夢物語であるとは言っているが、200年前には奴隷制廃止や女性への参政権の付与などを論じれば狂人だと思われていた、この理論も将来的に見れば同じことになるだろうと予言している。 しかしながらベーシックインカムを実施するには元手がいる。現在の日本で考えれば2018年の数字で、年金、医療費、介護費などの社会保障給付費の予算総額は約120兆円。これを国民全員(約1億2000万人)で公平に配分すると1人あたり約100万円となる。著者のブルグマンは適切なベーシックインカムの数字は年間国民一人あたり約150万円程度と想定しているので、現在の社会保障給付費だけではかなり足りない(でも良い線いってる)。 ベーシックインカムが実現すれば、役所の福祉課や年金関連の部署も必要なくなり、その他の関連部署もすべていらなくなる。もしそのような部署等で働いている公務員をすべて廃止してその部分の人件費を回せば足りるかもしれない。 家族4人の家庭であれば4人分のベーシックインカムは約600万円。十分に生活できる金額だ。一人暮らしであれば約150万円、これにちょっとしたアルバイトや仕事をして年に100万円くらい稼げば年収約250万円、贅沢をしなければ暮らせる金額だ。高齢者が受給する年金の平均額が約5万5千円、年間にすれば約66万円なので約150万円のベーシックインカムの方がずっと実入りが良い。 どうだろう。これは悪くないかもしれない。ベーシックインカム目当てに子だくさんの家庭が増えれば人口減少も抑えられる。そして医療費が3割負担ではなく全額負担になるとしたら余計な医療費を払わないようするために、もっと健康に気を遣うようになるだろう。 もちろん多くの国民が働かなくなればその分の所得税が入らなくなるので国家予算が減り、税収計算は狂ってしまうし、農業や漁業などの一次産業に従事している人が働かなくなったら農産物も魚も食べられなくなってしまう。う~ん。これは困る。 やはりAIやロボットがもっと発展して人間の代わりに仕事をし、国家予算に充てられるような収入を得られるようになったときこそ、本当に人間が働かなくても良くなる時代が来るのかもしれない。

    7
    投稿日: 2019.05.08
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    社会はどうあるべきかを問うた問題書です。 「優秀な人材が富の創造ではなく、富の移動に投資されてきた。何かを生産しなくても富を得ることができ稼ぎがよいのだから、価値あるものを生み出してきたという虚偽意識を導いた。真の革新や創造性が報われるようにするために、経済、税金、大学は刷新されなければならない」(P178)という指摘は、優秀な人材が未来に投資する教師や技術者や研究職ではなく金融機関に流れてしまったことを嘆く。 さらに、「もしも、私たちの世代の最高の頭脳が、現在の最大の難問、例えば気候変動、高齢化、不平等といったことに取り組むようになれば、きっと真の革新がもたらされるはずだ」(P265) 「わずか62人が、35億人の総資産よりも多い富を所有している」(P217)という富の再配分についてどう考えるか? 様々な示唆に富む本書ですが、逆に装丁(永井翔)は影の薄いものです。

    0
    投稿日: 2019.03.18
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    ●人間はAIとの競争には勝てず、貧富の差は更に広がる。それに対する処方箋は、ベーシックインカムの導入と週15時間労働にすること、そして国境線を開放すること、と主張する。

    0
    投稿日: 2018.10.27
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    「週15時間労働、ベーシックインカム、そして国境のない世界」。 はたして実現するだろうか? ブレグマンは実現すると。 奴隷制度の廃止、女性参政権、同性婚。。。いずれも、当時主張する人々は狂人とみられていた、と。 何度も失敗しながらも、偉大なアイディアは必ず社会を変えるのだ、と。

    0
    投稿日: 2018.10.12
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    ベーシックインカムは、「一定水準の所得に満たない人には、政府が「無条件で」一定金額を支給する」という政策です。仕事をしていようがしていまいが、病気であろうがなかろうが所得が少なければお金をあげる。 日本の主な貧困対策に生活保護があります。でも生活保護は非効率だと言われています。車を持っちゃいけないとか、(裁判にもなったけど)エアコン持っちゃいけないとか、資力調査を受けなきゃいけない。あいつ生活保護もらってるんだぜって後ろ指を指されるスティグマの問題もある。これを維持する行政コストもバカになりません。 でもベーシックインカムって現実的じゃないでしょ?一定金額をどう設定するのか、7万円?10万円?いずれそんな大金どうやって集めるの?借金大国なのにって話です。 そもそも、貧困はなぜいけないのでしょうか。本書によれば、貧困は認知能力を下げます。インドの農村で行われた実験によれば貧困はIQを13〜14下げる効果がある。これは一晩眠れないことや、アルコール依存症の影響に匹敵するほどの大きさなのです。 認知能力を下げるメカニズムはトンネリング効果と呼ばれています。さあ、サランラップの芯を目に当てて、そこらへんにある物を見てみてください。対象物はくっきり見えるけど、周りは全く見えないでしょ?これと同じようなことが貧しい人にはおこっているのです。貧しい人は「お金」に集中するから、やりくりは上手になる。でもそれ以外が見えなくなっちゃう、というわけ。 であるならば、お金を配って貧困から抜け出せれば、解決するはずです。しかも、それは「元が取れる」。アメリカのユタ州では、ホームレスに無条件で家を貸し出す、と言う政策が行われました。これによって治安が回復しただけでなく、彼らに支払った家賃以上に行政コストも減ったのです。 技術革新で労働時間は減らせます。ケインズは「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測しました。ところが産業革命以降続いていた労働時間の短縮は70年代にストップする。技術革新が続いているのになぜでしょう?本書では、2つの要因があったと推察します。1つめは、余暇ではなく消費を(ムダに)拡大したこと。もう1つは、資本に比べて労働の生産性が相対的に減少していることです。機械のほうが人間の労働よりもGDPに貢献してきている。難しい言葉でいうと労働分配率の減少してきていて、庶民の給料は増えていかず、資本家だけがもうかっているのです。 ここから筆者は、必要なのは(経済の拡大よりも)十分な再分配だと主張します。再分配ができれば、一日3時間労働で仕事に縛られない生活ができる。 短時間労働とベーシックインカムの組み合わせは、英語版のタイトルでもある「UTOPIA for REALISTS(現実主義者にとっての理想郷)」であり、これは人々が有意義な生活を送るための効率的な貧困対策です。かつては奴隷解放も、女性参政権も狂気の沙汰だった。まだ世間で理解されている政策ではありませんが、本書を読めばきっとバカな政策ではないことが理解できると思います。

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    投稿日: 2018.09.22
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    ベーシックインカムが生む、新しいうねりを教えてくれる一冊。 力強い言葉。 未来を作ろうとする真摯な姿勢に喚起される。 今、が抱える様々な問題に対する回答は、実現されればいいと思わせる 説得力がある。

    0
    投稿日: 2018.08.27
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    内容もさることながら、文章表現が美しい。翻訳というフィルターを通しても尚それは色褪せない。世界をより良くしたいというルトガーブレグマン青年の強い意志が文面から滲み出ている。

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    投稿日: 2018.08.22
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    例えば生活保護を受けるための、馬鹿みたいに煩雑な基準・手順・書類を全部なくして、全員にお金を支給すればいいじゃん、って本。 馬鹿みたいに煩雑な基準を作る人や、書類をチェックする人の無駄で不毛で膨大な労働時間が減って、かえってコストがかからなくなりますよ、とのこと。 すごく賛成。

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    投稿日: 2018.07.28
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    本質を見抜く炯眼と思考の柔軟さが光ります。「GDP の大いなる詐術」は目から鱗でした。生産性の向上が労働時間の短縮を生まず、天文学的な所得格差となっています。この状況でAIを導入すれば更に悪化するという将来が許容できないというのが執筆動機でしょう。ベーシックインカムは魅力的な提案ですが、導入に際してのシミュレーションが欲しい。国境の解放は現実性がありません。知的刺激に富む提言で、今後の活躍が楽しみなオピニオンリーダーです。なお、邦題は適切ではありません。

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    投稿日: 2018.06.19
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    働かなくてよいのなら働きたくない身として、さらに世界は不平等だなと思う事多々なので気になってた本。一部の金持ちだけが牛耳る世界は嫌だし明らかに今後仕事は減ってくだろうしまぁ不安だらけの世の中だけど、まだやれることはありそうねと少し元気づけてくれる内容でした。さて、どこから手をつけたらよいか考えないとね。

    0
    投稿日: 2018.06.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ベーシックインカムについて知りたくて読んだ。ニクソン大統領が実施を目論んでいたとは知らなかった。 私はベーシックインカムに興味があるほうだと思っている。でも、日本で導入したらどうなるのかな?よい結果になるのかな?というのは引き続き疑問で、この本で答えが出たわけではなかった。国全体が現状発展途上で貧困、という国では、効果がありそうだとは思う。 この本を読んで、なにかがクリアになったわけではなけれど、とらわれずに常に柔軟でありたいと思わされた。

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    投稿日: 2018.05.27
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    これまで当たり前のように考えていたことが、そうではないかもしれない。この感覚は大事。ニュースさえもフェイクニュースが取りざたされる時代。自分の足で確かめることが大事。

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    投稿日: 2018.05.13
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    目からうろこ、としか言いようがない。これまでの常識を覆す新しいアイディアに、そわそわしてしまう。少しの不安と、少しのわくわく。本当にそれは現実になるのだろうか?経済学の本を読むと、社会心理学の話が必ずついてくるね。

    1
    投稿日: 2018.04.18
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    オランダのジャーナリストがベーシックインカムの導入を提唱しつつ、過去に存在した福祉プログラムがなぜ批判され頓挫したのか、若者が「価値あるものを作らずに金を儲ける」バンカーをめざすとはどういうことなのか、等々を語る本。 非常に読みやすく、原著が日本だったらちょっと分厚い新書で出てたのでは。タイトルは高尚な感じですが、最初のオランダ語版では『ただでお金を配りましょう』だったとか。ちなみに日本語版サブタイトルの「AIとの競争に勝つ」というのは無理やりバズワードを呑み込んだなという印象で、本著第8章は「AIとの競争には勝てない」というものです(笑 過去の事例を収集し、データを集め、整理されたロジックで、左側のスタンスの人には「最もお金をかけずに効果を上げる福祉で、被支援者の自立心を妨げない」、右側のスタンスの人には「ベーシックインカムが結果的に政府の歳出削減に繋がる」となり、読んでいると「早く導入すれば良いのに」としか思えなくなる本です。 個人的には、工場などの効率化で作った時間の余裕を、医療や教育といった労働集約的な部門に活用でき、高齢者や弱者のケア、個々人に合った教育に注力できるようになるというのは夢がある話だと感じました。 とは言え、じゃあなぜ世界中にベーシックインカムがすぐ普及しないのか、とも思ってしまう訳で。 著者もその現実は理解しているものの、本著の最後に書かれたアドバイスは「同じ考えの人はたくさんいるよ!」「他人の常識に流されずに図太くなれ!」の2つで、ちょっと切ない気持ちになります。。 まぁ、あとは世論の広がりや、政策(ひょっとすると政局?)や制度への落とし込みではないかと思うので、本著の範疇ではないのかもしれませんが。 スーパー性善説な政策、面白いと思いますが、さてどうなるか。個人的にはやってみれば良いとも思うのですが。

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    投稿日: 2018.02.25
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    概要: 現金給付は福祉として最も有効; 貧困は認知負荷を高め人の判断力を奪う (IQ13ポイント相当); 19世紀イギリスのBI制度は批判されたが実は成功だった ([1]ではトーンが異なる); 値段がつかない福利はGDPに数えられない(災害はGDPを増やす); ケインズは週15時間労働を予測したが現実は逆、労働時間を減らそう(しかし具体論はない); 富の創造でなく移動に人材が空費されている->高額所得者の所得税を増やせ; AIによる労働市場の二極化と格差の拡大->再配分せよ; 国境を開け 感想: 言ってることにはほぼ全て賛成だが、実現するための具体的な方策は何もなくて残念 [1] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%91%E8%B2%A7%E6%B3%95#%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%88%B6%E5%BA%A6

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    投稿日: 2017.12.31
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    特に驚くようなことは書いてなかった。何十年経っても理想を実現できない人類への苛立ちや絶望のようなものを感じながら読んだ。

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    投稿日: 2017.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者はオランダのジャーナリスト。プラットフォーム「デ・コレスポンデント」初の書籍らしい。原題は「ただでお金を配りましょう」だったらしい。なのにこの邦題…。ハイエクの代表作を想像させるし、更に副題は内容との乖離が大きい。繰り返し出て来る「ベーシックインカム」のみに焦点を当てた方が誠実だと思うが。 第6章の週15時間労働や第8章のAIの話より、印象的だったのは、第4章のスピーナムランド制度、第5章のGDPの発明、そして何より、第7章のNYゴミ収集作業員のスト。 わずが2日で、膝の高さまでゴミに埋もれた街とか…想像したくない。

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    投稿日: 2017.12.22
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    ベーシックインカムの本。 読む前は、なんとなく胡散臭いものに思えていたベーシックインカムが、かなり良さげな選択に思えてきた。 AIが人間の能力を超えていくことが予測されるなかで、なかなか明るい未来が描けないのであるが、著者は、ベーシックインカムと労働時間の大幅縮減、国境の解放というのが答えであると主張する。 信者になった訳じゃないけど、著者がいうように、いろいろな社会実験をやってみるだけの価値のあるアイディアだと思う。 これまでの思い込みを心地よくひっくり返してくれる。

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    投稿日: 2017.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本書では、今後も広がり続ける貧富の格差や中流階級の消滅を食い止めるには、ベーシックインカムの導入と労働時間の短縮を訴え続けてきた。非現実的に考えられるベーシックインカムの導入が、実は現在行われている福祉政策よりも費用がかからずに効果を得られるということを各種データを用いて論理的に訴えている。著者も自ら記しているように、これまで3年間訴え続けてきてようやく聞く耳を持ってもらえるようにはなってきたものの、まだまだ実現するのは遠い道のりである。しかし、かつての奴隷制度廃止や女性参政権なども当初は誰にも相手をされなかったという例を挙げて、今後も活動を続けていくと締めくくっている。私も彼の主張を応援したいと思う。 ・ベーシックインカムとは、文字通り、フリーマネーであり、「すべての人」に与えられる。好意としてではなく、権利として与えられるのだ。「共産主義へと至る資本主義の道」と呼べるだろうか。月々の手当は生活するには十分で、もらったからと言って何かをする必要はない。唯一の条件は、あなたに「脈がある」つまり、生きているということだけだ。その金を賢く使っているかどうかを見張られているわけではないし、役に立つているかどうかを質問されることもない。特別給付や補助プログラムもない。あるのはせいぜいシニア、失業者、働けない人々への追加手当だ。 ・資本主義は繁栄へ向かうすばらしいエンジンだ。「それはエジプトのピラミッド、ローマの水道橋、ゴシック建築の大聖堂をはるかにしのぐ奇跡だ」と、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスがその著書「共産党宣言」で記したとおりだ。だが、資本主義を賞賛できるのは、わたしたちが豊かになり、進歩の歴史の次の段階に自力で進むことが可能になったからだ。その段階とは、すべての人にべーシックインカムという保障を与えることだ。それこそが、資本主義が目指すべきことである。それを過去の世代の血と汗と涙によって可能になった進歩の配当と考えよう。結局、わたしたちが享受しているこの繁栄のうち、わたしたち自身の努力によるのは、ごく一部にすぎないのだ。豊能の地の住人であるわたしたちは、制度と、知識と、先人が蓄積してくれた社会資産のおかげで豊かでいられる。この富は、わたしたち全員に帰するものだ。そして、べーシックインカムは、わたしたち全員がそれを分かち合うことを可能にする。 ・「欠乏は相対的な概念だ」とシャファーは言う。「収入が足りないから欠乏を感じるのだろうが、期待しすぎというのも、欠乏感の原因になる」。簡単な話だ。もっと多くの金や時間や友人や食べ物を欲しいと思う人は、欠乏を覚える可能性が高い。そして、何を欲しいと思うかは、たいていの場合、周囲の人が何を持っているかによって決まる。シャファーが言いうように、「西欧諸国で格差が広がっていることが、この点に関して大きな障害となっている」。もし多くの人が最新のスマートフォンを持っていれば、あなたもそれを欲しいと思うだろう。格差が広がり続ける限り、国内総精神的バンドウィズは縮小し続けるのだ。 ・国家的規模で見れば、お金の効力には限界がある。一人当たりのGDPが年間約五〇〇〇ドルになるまでは、平均寿命は延びる一方だ。しかし、食卓に十分な食べ物が並び、屋根から雨漏りがしなくなり、清潔な水道水が飲めるようになると、経済成長率は幸福を保証するものではなくなる。その時点からは、お金より平等が幸福のより正確な予測因子になる。「経済成長は先進諸国の物質的な状況を向上させるために出来る限りのことをした。しかし、人は何かを手に入れれば入れるほど、幸せでなくなっていくのだ。」ぜなら、相対的貧困がすべてだからだ。国がどれだけ裕福になろうと、不平等はつきものだ。裕福な国での貧困は、どこでもほとんど誰もが貧しかった数世紀前の貧困とは全く異なる。 ・最も高額の給料を得ているのは、富を移転するだけで、有形の価値をほとんど生み出さない職業の人々だ。実に不思議で、逆説的な状況である。社会の繁栄を支えている教師や警察官や看護師が安月給に耐えているのに、社会にとって重要でも必要でもなく、破壊的ですらある富の移転者が富み栄えるというようなことが、なぜ起こり得るのだろう? ・何が真に価値あるものであるかを決めるのは、市場やテクノロジーではなく、社会である。今世紀のうちに全ての人がより豊かになることを望むなら、すべての仕事に意味があるという信条を捨てるべきだ。合わせて、給料が高ければその仕事の社会的価値も高いという誤った考えを捨てようではないか。そうすれば、わたしたちは、価値の創造という意味では、銀行員になることが必ずしも良い選択ではないと悟るだろう。 ・世界が小さくなればなるほど、勝者の数は少なくなる。世界がどんどん縮小するにしたがって、マイナーリーグの選手はグラウンドから追い出されたのだ。同じ経過をたどって、スポーツや音楽、出版の様相も一変し、それらも今では少数の大物に支配されている。チップと箱とインターネット販売の時代には、他よりほんのわずか優れていれば、一つの戦いだけでなく、すべての戦いを制することができるのだ。経済学者はこの現象を「勝者が独り勝ちする社会」と呼ぶ。小さな会計事務所は税金計算ソフトによって駆逐され、地方の書店はオンラインのメガストアを相手に苦戦を強いられている。世界が小さくなっているにもかかわらず、どの業界でも、巨人がますます巨大化してきた。そして現在では、ほとんどすべての先進国で不平等が拡大している。アメリカでは、貧富の差はすでに、奴隷労働の上に成り立っていた古代ローマ時代より大きくなっている。ヨーロッパでも、持てる者と持たぎる者の溝は、広がる一方だ。企業家や政治家、ポップスターからなる排他的な世界経済フォ経済学者が「労働市場の両極化」と呼ぶもの、つまり、「劣悪な仕事」と「素晴らしい仕事」との格差の広がりの一面でフォーラムでさえ、この拡大する不平等を、世界経済が直面する最大の脅威と評した。 ・経済学者が「労働市場の両極化」と呼ぶもの、つまり、「劣悪な仕事」と「素晴らしい仕事」との格差の広がりの一面である。高度な技術を要する仕事と、技術を要しない仕事の割合は依然としてかなり安定しているが、その中間の、平均的な技術を要する仕事は減ってきている。ゆっくりだが確実に、近代デモクラシーの基盤となってきた「中流」が消え去るうとしているのだ。そして、アメリカがこのプロセスをリードしているとはいえ、他の先進諸国もすぐ後ろに続いている。現代の豊能の地の住人の中には、健康で、意気盛んで、やる気満々であるにもかかわらず、すっかり脇へ追いやられた人もいる。アジア人やアフリカ人、あるいはロボット労働者は、いつでも彼らより安く働くだろう。そして、アジアやアフリカに安く仕事を外注するのは、今のところ効率的だが、それらの国々の時給や技術が高くなると、そこでもロボットが人間に勝つだろう。つまるところ、外注は、途中の踏み石にすぎない。最終的には、べトナムやバングラデシュの労働搾取工場さえ、オートメーション化されるのだ。 ・今世紀のどこかの時点で、生きていくには働かなければならないというドグマを捨てることだ。社会が経済的に豊かになればなるほど、労働市場における富の分配はうまくいかなくなる。テクノロジーの恩恵を手放したくないのであれば、選択肢はただ一つ、再分配である。それも、大規模な再分配だ。金銭(べーシックインカム)、時間(労働時間の短縮)、課税(労働に対してではなく、資本に対して)を再分配し、もちろん、ロボットも再分配する。一九世紀まで遡ると、オスカー・ワイルドは、だれもが「全員の所有物」である知能機械の恩恵を受けられる日を待望した。テクノロジーの進歩は、社会を全体としてはさらに豊かにするかもしれないが、だれもが利益を得ることを保証する経済法則は存在しないのだ。 ・国境は世界の歴史の全てに置いて、差別をもたらす唯一最大の原因である。同じ国に暮らす人々の格差は、別々の国に暮らす人々の格差に比べると、無いに等しい。今日、最も豊かな8%の人が、世界の総所得の半分を得ており、最も豊かな1%の人が、世界の富の半分以上を所有している。消費に占める割合は、最も貧しい一〇億の人々はほんの1%、最も豊かな10億人は72%だ。 基本的な生産性が等しい労働者の賃金に及ぼすアメリカ国境の影響は、「かつて」測定されたいかなる形の賃金差別(性別、人種、民族による差別)より大きい」と、三人の経済学者が述べた。これは地球規模のアパルトヘイトだ。21世紀における真のエリートは、望ましい家や階級に生まれた人ではなく、望ましい国に生まれた人なのだ。だが、この現代のエリートたちは、自分がいかに幸運かということに、ほとんど気づいていない。 ・いつの日か自分たちの理想の正しきが認められることを確信して、空中に城を築くことに人生を捧げた人物が二人いるとしたらそれは、多方面に活躍した哲学者、フリードリヒ・ハイエクと、世に知られた知識人、ミルトン・フリードマンだ。「新自由主義」の創始者である二人を、わたしは尊敬している。 ・ベストセラーになったフリードマン著「資本主義と自由」(マグロウヒル好学社、1975年)の前書きに彼は、代わりとなるアイデアを提供し続けるのは思索家の義務だと記した。今日、「政治的に不可能」に見えるアイデアも、いつの日か、「政治的必然」となる可能性がある、と。後は、決定的な瞬間が来るのを待つだけだ。「現実のものであれ、認識上のものであれ、危機のみが真の変化をもたらす」とフリードマンは説いた。「危機に際してとられる行動は、すでにそこにあるアイデアによって決まる」。 ・この三年間、ユニバーサル・べーシツクインカム、労働時間の短縮、貧困の撲滅について訴えてきたが、幾度となく、非現実的だ、負担が大きすぎると批判され、あるいは露骨に無視された。少々時間がかかったが、その「非現実的だ」という批判が、わたしの理論の欠陥とはほぼ無関係であることに気づいた。「非現実的」というのはつまり、「現状を変えるつもりはない」という気持ちを手短に表現しただけなのだ。人を黙らせる最も効果的な方法は、相手に自分は愚かだと思わせることだ。そうすればほぼ確実にロをつぐむので、検閲より効果がある。 ・人が語る常識に流されてはいけない。世界を変えたいのであれば、わたしたちは非現実的で、無分別で、とんでもない存在になる必要がある。思い出そう。かつて、奴隷制度の廃止、女性の選挙権、同性婚の容認を求めた人々が狂人と見なされたことを。だがそれは、彼らが正しかったことを歴史が証明するまでの話だった。

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    投稿日: 2017.11.26
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    ベーシックインカムと1日3時間の労働で、人類はやっていけるだけの豊かさをすでに手にしている。問題はその再配分だ。多くのバリアがその実現を阻もうとするが、正しいアイデアはいずれ実現する。奴隷解放や女性参政権や同性婚が、はじめどれほどバカげて見え、批判されてきたかを思えば、ベーシックインカムや国境の開放はあり得るアイデアだ。 オランダのような風通しの良さからは最も遠く離れた腐海の底の国でもまた、本書が広く読まれ、ありだなと思う人が増えることを望みたい。

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    投稿日: 2017.11.24
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    現在の労働・社会状況についてとても示唆に富む優れた本だと思う。現在の「豊かさ」がどんな状況にあるか多くの説得力あるデータと過去の比較をもとに解説される。そしてそう遠くない未来、人間が機械と「共に手を取り合って」生産を上昇させた20世紀と違い、テクノロジーの進歩が人間の生産性を置いてきぼりにして急上昇する来たるべき時代を予測する。 そこでは現在の労働時間では人の労働力が過剰になる。また今では多くの労働者が収入が減っても余暇を求めているのは先進国で特に多い。これらを解決する方策としてベーシックインカムを著者ルドガー・ブレグマンは提唱する。著者は試行したカナダなどの実例から効果は明らかだとしている。ただまだそう断定するだけのデータやエビデンスに不足しているのは否めないだろう。これは議論では解決せず、何らかの試行実験が必要だろう。(そしてメディアや反対者が声高に批判して ぐじゃぐじゃにする……)が、とりあえずやってみないことには効果は測れず、その結果をもとに結論を下すべきだと思う。その際の試行実験は若干のリスクを伴うが、より良く大きく変える可能性もあるのだ。 この本を読んで意外な発見が2つ。ケインズが1930年、「100年後には人々の労働時間は週15時間になる」と予測していること。(ところが87年後の現状は過労死も問題化する日本大企業が典型だが、世界を制するアメリカ金融業やIT業界もさらに膨大な労働時間であり、発展著しい中国企業や韓国サムソンまで人類史上最高の労働時間を要求されているのが現実であり、驚くのはこれらが勝ち組と呼ばれる企業であることである)。 そしてもう一つは、日本という国が一人あたりの国内総生産が優れた「豊かな国」の範疇で社会的状況が他国と比較して最も良く、不平等さも最も少ない。つまり他国と比較すれば結構な差で世界で最もバランスの取れた国であることが示されている(出典:ウィルキンソン&ピケットの調査)。日本国内メディアの現状批判についてはこのことを無視して国内の貧困の問題を声高に語る傾向があるのは留意すべきではないか。 著者はいわゆるリベラルに属する言論人だが、エビデンスや科学的検証をもとに実際の変革を提案する姿勢は、日本の自称リベラルの変化や改革に反対し、都合よくこねくり回した概念の空疎な説教言論ばかりを展開する日本のいわゆるもはや反動と言って良い存在でしかないのとはある意味対極ではないだろうか。

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    投稿日: 2017.11.12
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    隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋 AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働 原題を「UTOPIA FOR REALISTS」と言う この本でグレグマンが主張することを一言で表せば 狩猟採集時代の自在性と対等性を取り戻すということだ 個々がそれぞれに中心となって手段として自主的に集う 全体観である 嘘と秘密を無くして透明度の高い再分配の徹底を目指し 押し付けられた社会的価値観による労働環境を必要最小限にし 権力による縄張りの理不尽な国境線を取り払うことによって 個々の自由な裁量と切磋琢磨によって競争世界を卒業し 個性という凸凹を補い合う相乗効果をもたらすと言うものだ 縄文時代と違いA I とロボットによる客観的な判断で戦争を無くし 過不足のない技術力と生産性で飛躍的な自由自在性を得た人類は 奴隷なしの直接民主主義を手にするチャンスを勝ち取り 形を持たない意識の成長を目指す創造の世界に向かって 丸腰で歩む喜びと冒険を可能にしたことを この本によって証明したのである 生産性の向上と分配制度の確立で得た具象的な生命維持の安定は 人生の大半を占めてきた手段である限りない所有欲と権力の獲得を 限りなく薄めてくれる それは人生の目的である抽象的な精神性の探求と表現に 打ち込む事を可能にする新たな次元へのアプローチとなる すべての人に理解してもらいたい本である 中でも官僚を始めホワイトカラーに読んでもらいたい 客観性と具体性に満ちた説得力のある内容で歴史を紐解き 近未来を想定する有史以来の対立関係から 共生関係に社会を脱皮させるための手続きが示されている 洗脳されてきた競争原理を卒業して 切磋琢磨の共生関係を目指す事を可能にする 広告のないWEBメディアで描き出す次の時代の処方箋である AIとロボットの出現で社会の主流をなしてきた中間層が無くなり 貧富の差が限りなく広がり続けているこの時代に必要なのは 余暇を十分に活用できる意識改革であり それを支えるユニバーサルベーシックインカムと 社会的な生産に関わる労働を減らすことであると言う コレが機械への隷属を卒業して 対等性と自在性を生み出す意識革命の道である 貧困は人間個々のIQを13ポイントも下げる 貧困家庭の子は見栄とプライドで奨学金を避ける 差別的で損得の福祉だと依存してしまうが 安心と信頼を生み出すBI制度ならば自主的に選択して行動しだす BIはジョンソンやニクソン政権下で実現寸前まで行ったが ニセの統計に騙されてツマズク ケインズが2030年までに週15時間労働になると 1930年に予言した 1960年まで減り続けた労働時間が 80年代から女性の参加もあって増え始めた 現在62人の大富豪が持つ富が 底辺の35億人の総資産よりも多い 国境の開放で労働力が移動し世界の総生産は67%以上増える 米人の仕事の47%と欧州人の仕事の54%が 20年以内にAIに奪われる 余剰生産物が多くなるほど再分配を掠め取る経済システムが作られ ホワイトカラーという生産に関わらない無味乾燥な仕事が 利益の多くを吸い取るようになる 生産に注ぎ込まれるはずの株はデイトレーダーによって利権に利用され 社会の手段であった経済を目的にお仕上げる 人間本来の目的であった出合いの選択と 切磋琢磨による意識の向上と言う日々の冒険を失い 生き甲斐もやり甲斐も無くしてしまう 嘘をつき相手をだまして奪い殺すという所有欲を満たすだけのために 不安恐怖の中で過去の権利と暴力に依存する無味乾燥な人生に 落ち込む情けない生き様になる そこに登場するのが完全無条件のベーシックインカムなのである

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    投稿日: 2017.11.07
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    AIやロボットの発達によって一人あたりの生産は指数関数的に増える。しかしその分配は少数の恵まれたひとに偏るだろう。それを解決するのがベーシックインカムという方法だ。累進課税だけでは不十分だ。これはSFに描かれた世界を実現するためのひとつの方法である。

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    投稿日: 2017.11.07
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    期待外れな内容と結末 ベーシックインカムという甘美な構想をどう具体的に説明してくれるのかと期待していたのですが、内容は不十分と言わざるを得ません。 著者の課題意識には共感できますが、解決策としては全く不十分だと思います。 特に違和感を感じたのは、第6章でGDPという考え方に疑問を呈しながら、結論に近い第9章では逆にGDPを増大させる方法を主張している点。 結局は「成長と分配」「公正(効率)と公平」という価値観の下で、十分な分配を実現するには、経済成長が必要ということなのかと感じました。 事例や図は豊富で読みやすいのですが、肝心のベーシックインカムを実現できるのかの説明になっていません。例えば、本書でベーシックインカムの成功例として取り上げられたロンドンのホームレスの件は単なる社会福祉政策の実施方法の変更であって、ユニバーサルベーシックインカムにはつながらないですし、アフリカへのフリーマネーの取り組みは、先進国から途上国に支援資金を移転させてだけですね。 では、先進国に住む私たちに、ユニバーサルベーシックインカムはどのようにしてもたらされるのか?本書では何も語られていません。 右のコップの水を左のコップに移すのは、それほど難しくありませんが、右のコップの水を公平に分けるのは、本当に難しいと思います。 知りたいのはその方法なのですが。 [参考になった点] 第3章の図4と図5によれば、先進国の中で日本は一人あたりGDPはG20のほぼ真ん中ながら、貧富の差は最小で社会状況は最良となっています。 著者は、アメリカは一人あたりGDPが最高なのに貧富の差が先進国で最大、かつ社会状況は最悪と述べていますが、日本人にとっては意外な結果ですね。

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    投稿日: 2017.10.29
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    今の行き詰まった経済に対して救いの一手となるか,はたまた,しのびよるAIとロボットとの競争への対抗策となるか,やってみなければ分からないとはいえ,非常に興味深い.特に,国境線を解放することの意義は実現できれば本当に素晴らしいことだ. 国家の経済,福祉などの関わりの歴史もわかりやすく解説されていて,とても為になった.

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    投稿日: 2017.10.22
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    著者はまだ20代。 読んでいない人は必ず読んでほしい。 未来を見通しているのは年寄りではなく、常に若者である。

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    投稿日: 2017.10.17
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    格差の拡大したグローバル社会では貧困層にお金を与える(ベーシックインカム)が貧困層を助ける一番の道とのこと。なぜなら彼らはセーフティーネットを利用する方法を知らないからだ。これからは人工網膜デバイス、歩行アシスト装置等が出てくる。教育に投資し労働時間を減らしていくことが必要、わずか62人が世界人口の貧しい半数より多くを所有、富の偏在、これからは自分の人生を生きよ。資本主義の世の中でベーシックインカムの重要性がよくわかった。それが社会のインフラになるからだ。

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    投稿日: 2017.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私たちはかつてないほど豊かな社会に暮らしているが、それがゆえにユートピアを想像できずにいる。資本主義とは別の、生活の質を上げる道を見つけなければならない。 という趣旨の1章からはじまり、ベーシックインカムの話が2〜4章まで続く。 初めの問題意識はかなり共感できたので、この本を買った。ベーシックインカムにはこれまで懐疑的、というかあまりよく考えたこともなかったが、これを読んで、こんなにうまくいくものならやればやればいいんじゃないか、と思った。筆者が言うように、貧困は怠惰の表れなんかではなく、単にお金がないことなのだ。 5章はGDPはおかしいという話、 6章は1日の労働時間3時間を目指そうという話、 7章は優秀な人材はくだらない仕事につかない方がいいという話、 8章はAIが発展したら不平等は更に広がるという話、 9章は国境は最大の不平等の源であるから無くすべきで、無くせば世界の富は大幅に増える、という話、 10章・終章は、アイデアで世界を変えようという話。 装丁や邦題がいまいち。 原題はUTOPIA FOR REALISTS。

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    投稿日: 2017.08.10
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    サブタイトルは「AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」。  世界は過去最高の繁栄の中にあるのに、不幸に苦しむ人がいる、格差は拡大するばかり。そして、AIとロボットの進化は確実にそれをさらに推し進める。「資本主義だけでは、豊穣の地を維持することはできないのだ。(中略) 生活の質を上げる別の道を見つけなければならない。」と著者は言う。その答えが、ベーシックインカムと週15時間労働と国境の開放なのである。  「福祉はいらない、直接お金を与えればいい」など、刺激的な主張が続く。その主張にはどれも様々な調査や実験によるエビデンスが提示される。  なぜBIなのか、ということはここに全て書かれている。技術的なことは書かれていない。今必要なのは、大きな物語を語ることなのである。「アイデアは、どれほど途方もないものであっても、世界を変えてきたし、再び変えるだろう。「実際」、とケインズは記した。「アイデアの他に世界を支配するものはほとんどない。」」

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    投稿日: 2017.07.30
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    今広がっている貧困をまず無くすこと、そして教育や文化のレベルを引き上げるべき。そのためにまず生活を保障しなくてはならないから、ベーシックインカムは方策の一つとして大いに有効と思う。日本で導入するならどういう形にし、財源をどうするべきか、考えている人もいるようす。是非実現して欲しい。

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    投稿日: 2017.07.26
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    新自由主義、マネー資本主義が行き詰った今、私たちは新たな社会のあり方を真剣に考えなくていけない。著者は、その一つのあり方を本書で提示している。生活に必要な資金はベーシック・インカム(以下BI)として全ての国民に配られ、人は儲かる仕事ではなく、すべき仕事に専念する。それが、著書が描くユートピアである。BIについては、予算の問題と心理・行動面への悪影響が懸念されるが、後者についてはBIが経済成長をもたらし、子供の学校での成績を伸ばし、医療費の削減にもつながっているという確かな反証をあげている。BIは予算面でも可能だというが、そこの記述はほとんどないので他の資料にあたるべきだろう。日本でのBIの可能性については原田泰の『ベーシック・インカム』(中公新書)に詳しいので、そちらを読んでほしい。

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    投稿日: 2017.06.07
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    ケインズやハイエクを渉猟しながら、AI以後の人間の『隷属なき道』を構想する、オランダ『デ・コレスポンデント』創設メンバーの書。説得的な定量データを示しながら、ユニバーサル・ベーシック・インカムは実現できると提唱する。 GDPを算出するには、非常に多くのデータポイントを結びつけ、どれを参入し、どれを無視するかについて、数百の主観的な選択がなされる。このような方法論にもかかわらず、GDPはハードサイエンスと見なされ、そのわずかな変動が、政治家が再選されるか消え去るかを決めることもある。しかし、その見かけ上の正確さは幻想にすぎない。GDPは「測定」されるのを待っている確かな数字ではない。GDPを測定するというのは、思考を測定しようとすることなのだ。p118 文筆家のケビン・ケリーが言うように、「生産性はロボットにまかせておけばいい。人間は時間を浪費したり、実験したり、遊んだり、創造したり、探検したりすることに秀でているのだから」p125 ケインズ「孫の世代の経済的可能性」p131 「オヴァートンの窓」p260

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    投稿日: 2017.06.01
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    【欧州29歳の知性、自費出版で出たその本が世界的に話題になっている】産業革命以来、減少を続けた労働時間は、70年代を境に上昇、貧富の差は極端に拡大、我々は機械との競争に敗れつつある。

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    投稿日: 2017.05.18