
総合評価
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powered by ブクログ国内国際、政治、経済、地域、生活、教育、災害、事件、等々、世の中のありとあらゆる課題を正面から取り上げ、深めていく。頭が下がります。「ハルバースタムの警告」、なるほど。テレビに限らず「分かりやすさ」を求められる今日ですが、世の中、そんな単純じゃないですよね。複雑極まりない。単純化ではなく、手間をかけて深めていくことが、今、全てに求められている気がします。国谷さんの言葉、力強いですね。一語一語にエネルギーを感じます。マスコミ界にはもちろん、我々一般人としても肝に銘ずべきことが沢山見つかりました。
0投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログ国谷裕子(1957年~)氏は、大阪府生まれ、聖心インターナショナルスクール、米ブラウン大学卒。父の勤務に伴い、幼稚園から中学校まで、ニューヨーク、サンフランシスコ、香港、日本を行き来しながら過ごした。P&Gジャパンに就職するも1年で退職し、その後、知人の紹介でNHKに仕事を得、「NHKニュース」英語放送の通訳者、ニューヨーク総局のリサーチャー、「ワールドニュース」駐米キャスター、「NHKニュースTODAY」の国際コーナー担当等を経て、1993年4月から2016年3月まで23年間、「クローズアップ現代」のレギュラーキャスターを務めた。現在は、東京藝大理事、国連食糧農業機関(FAO)日本担当親善大使、等として幅広く活躍。菊池寛賞(国谷裕子と「クローズアップ現代」制作スタッフ/2002年)、日本記者クラブ賞(2011年)等を受賞。 私は、国谷さんの少し下の世代だが、若い頃から「クローズアップ現代」は好きで、その看板である、知的で凛々しい国谷さんのファンでもあったが、昨年末の「クローズアップ現代・放送30周年 年末拡大スペシャル」に、ゲストとして出演した国谷さんを久し振りに見て、本書のことを思い出し(本書のことを知ってはいたが、読んではいなかった)、早速入手し読んでみた。 本書は、基本的には、国谷さんがNHKに仕事を得てから、「クローズアップ現代」のキャスターを降板するまでの、キャスターとして成長していく過程、「クローズアップ現代」制作の舞台裏、印象に残る放映やインタビューの相手、更には、キャスターとはどうあるべきか等を、率直に綴ったものである。 その中で特に印象に残ったのは、テレビ報道の持つリスクと、それを踏まえてキャスターはどうあるべきかという部分である。 テレビ報道は、その映像の力により、当該事象を端的にわかり易く伝える強力なツールになり得るし、加えて、メッセージがシンプルな方が視聴率を稼げるともいう。しかし、世の中の事象の多くは、実際にはそんなシンプルなものではなく、安易にわかり易くすることは、当該事象の深さ、複雑さ、多面性をそぎ落としてしまうことになる。そして、更に危ういことは、視聴者がそのようなシンプルなメッセージに慣れてしまうことにより、わかり易いものにしか興味を持てなくなることである。そのようなテレビのデメリットを補うために、キャスターは、テレビに映し出された映像がいかなる意味を持ち、その背景に何があるのかを、言葉にして視聴者に伝える必要があり、それはときには、難しい問題を難しい問題として、視聴者に受け取ってもらうということでもあるのである。 翻って、昨今は(本書の出版から5年ほどしか経っていないのだが)、テレビすら見ることなく、インターネットやSNSで自分の知りたい情報・わかる情報にしかアクセスしない人が増えており(そもそも、閲覧履歴からそのような情報ばかりを提示するようにプログラムされている)、それが、社会の分断を煽る原因のひとつとなっていることは周知の通りである。 そう考えると、国谷さんが提示する、「テレビ報道とは、キャスターとは、どうあるべきか?」という問いは、我々の民主主義の将来につながる重要な問いでもあるのだ。 また、終章では、「ここ二、三年、自分が理解していたニュースや報道番組での公平公正のあり方に対して今までとは異なる風が吹いてきていることを感じた。その風を受けてNHK内の空気にも変化が起きてきたように思う。」と書き、特定秘密保護法案や安全保障関連法案について(十分に)取り上げられなかったことを指摘しているのだが、それが何らかの巨大な意思によるもので、また、国谷さんの降板とも関係があるのだとすれば、由々しきことである。 ともあれ、本書は、テレビ報道とキャスターに焦点を当てて書かれているが、「クローズアップ現代」が扱ってきた様々なテーマについての国谷さんの思いも聞いてみたいと思う。 (2024年1月了)
3投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログ私には難しく読むのに時間を要した。公平、公正、フェアな報道番組を作ろうとしていた人がいるんだなと思った。逆風が吹いても、しなやかに風に吹かれ、攻撃的にならずに聞くべきことは誰にも聞く。これからも、こんなテレビ番組なら観たいと思う。
0投稿日: 2024.01.11
powered by ブクログクローズアップ現代のキャスターとして政治、経済、社会などを鋭い語り口で切り込まれた国谷氏の新書。何事にもフェアで真摯な態度で臨まれていた姿が懐かしい。TVのエンタメ化の裏で報道番組の公平公正のあり方が変わっている、との一文に深く納得した。
1投稿日: 2023.09.25
powered by ブクログ世の第一線で放送された番組の制作者のひとり、キャスターとして見て捉えた世界を知れる本。 また、国谷裕子さんの職業半生を自伝的に知れたこともとても印象的だった。たまに番組を見ていた当時はまったくそう思わなかったが、国谷さんが帰国子女であり日本語にコンプレックスを抱えてキャリアをスタートさせていたというのはとても意外で、人に歴史ありだなと思った。
0投稿日: 2021.12.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
キャスターという仕事 (岩波新書) 新書 – 2017/1/21 キャスターとは不明瞭なものをはっきりと定義付けすることだ 2017年4月3日記述 クローズアップ現代で23年キャスターを勤めた国谷裕子氏による自身とクローズアップ現代を振り返った書籍である。 ただ単純にわかりやすいだけを目指すのではなく、ものの底流に何があるのか どんな背景があるのか等の映像では伝えきれない面を言葉で伝えてきたのだという。 確かに本書を読むとクローズアップ現代という番組がそうだった事に気がつく。 普段ニュース7の後でそのまま見ていることも多かった。しかしもっと注意深く視聴しておけばと悔やまれる。 彼女が1993年にはじまったクローズアップ現代のキャスターを行う前にニューストゥデーの国際担当キャスターを外されるという挫折を味わったと 述べる項目はあの国谷裕子さんが!という思いがしたし意外だった。 (誰でもはじめは素人だし最初からバリバリ凄い人は極わずかであろう) キャスターとしてのはじまり(海外のNYだが)、リベンジとして1000本ノックとして修行したのも衛星放送だった。 そういう意味で著者は幸運であった。 また再び訪れたチャンスをものにする力を持っていたのだ。 (何がダメでどうすれば改善できるか正確に把握し実行することは案外難しい) 中国の天安門事件を録画したテープを持って空港を出る為、機材をヘアドライアーと述べて日本国内に持ち帰る場面はリアリティがある。 またジャーナリズム魂を感じる。 また冒頭で紹介したハルバースタム、途中に紹介するテッドコペル氏のナイトラインのあり方は今でも放送機関のあるべき姿を示していると思われる。 当事者がナイトラインに出演を避ければ、視聴者は何か説明できない都合の悪いことがあるに違いないとまで思わせる存在感のある番組だったと。 今、森友学園への不当に8億円も安く国有地を売却した問題が報道されるがナイトラインのような存在感ある番組が厳しく安倍内閣を追求出来ていない 今の日本は未だにジャーナリズム後進国としか言えないのだろう。 第4章でキャスターとしての役割について述べている。 視聴者と取材者の橋渡し役自分(キャスター)の言葉で語る(個人の主観、私見を語ることではない) 言葉探し(新しい事象に言葉、名前が与えられることで不明瞭なものがはっきりしてくる。 後半には出家詐欺騒動についても振り返っている。 ただ試写の段階で気が付かなったというのは同情する。 取材そのものを全否定するまでは判断出来ないだろう。。。 難しい問題である。
0投稿日: 2021.12.14
powered by ブクログNHK「クローズアップ現代」のキャスターを1993年の初回から2016年まで23年にわたり務め終えてまもない頃の国谷さんの著書。彼女が出てる番組を何度かは見たことがあるけれど、一方で絶賛する人がわりと身近にもいながら番組の進行役としてしか認識していなかった自分。 ところが、この本を読むと彼女が23年もの間、真摯に伝えることをまっとうしようと番組に向き合ってきたことがわかる。この本では「キャスター」といっているけど、彼女自身が本書中で紹介しているように、米国ではこういう立場の人は、メディアの情報を視聴者に渡す最後の走者という意味で「アンカー」という。彼女はその責任を十分に認識しながらアンカーを務めていたんだなあ。 「クローズアップ現代」が23年も続いていたんだということも、数えればわかることながらもっと短い印象だった。そしてこの23年を振り返る本書の終盤を読んで、日本が世界が経済の停滞とか安全保障の均衡とかいろんな意味であんまりよくない方向に向かいつつある感じを強くもった。漠然とした印象では、世界はだんだんよくなっているものと(このコロナ下の2年くらいを除いては)思っていたんだけどそうではないのか。 国谷さんの人物像にしろ、日本経済や世界情勢にしろ、漠然とした印象だけで物事をとらえてるのっていかん、いかん。
0投稿日: 2021.12.12
powered by ブクログ毎日幅広いテーマに自分の言葉で切り込むクローズアップ現代が好きだった。気になるテーマの深層も、知らなかった国内外の問題も、日常生活では見過ごしてしまいそうなニュースを伝え、知識の窓を広げてくれた。 その番組の製作過程や、よく知らなかった国谷氏自身の経歴など、番組ファンとして十分に楽しめた。 ニュースもネットのおすすめ順、フィルターバブルの中で満足しかけていた自分への警告になった。 一方で、国谷氏が言葉をどれだけ大切にしていたか、文章の端々に表れており、深く共感した。
0投稿日: 2021.08.23
powered by ブクログ期待していた内容とは違った。 キャスターという仕事や、「クローズアップ現代」という番組に、それこそクローズアップ現代的な切り込み方をしてくれるのかと期待していたのだが、そのような内容もないわけではないけれども、ほとんど国谷さんの個人的な回顧・感想で埋め尽くされていて、自画自賛かなと思ってしまった。 特に第9章の「失った信頼」は分析が弱かったし、あとがきの中でも、SNSに懐疑的な記述がみられたが、SNSの普及の一要因に一般の人々の既存メディアへの不信があると言われているにもかかわらず、そのことに関する言及はなかった。国谷さんも所詮オールドメディアの人なのかとちょっとがっかりしてしまった。
0投稿日: 2021.07.29
powered by ブクログ外出自粛で新型コロナのテレビを観る。今こそ国谷裕子さんの『クローズアップ現代』が観たい。23年、3784回、この熱気に圧倒される。新型コロナの悪夢はウィルスだけではない。社会や政治の動向にも、注意してなくてはいけない。
0投稿日: 2020.04.11
powered by ブクログクローズアップ現代のキャスターを長年務めている国谷裕子の自伝的内容。 自分はクロ現見てないのであまり詳しいことはわからないが、硬派な番組の裏側を知ることができた。
0投稿日: 2020.04.10
powered by ブクログそんなにずっと見ていたわけではないが、私はNHKの「クローズアップ現代」という番組が大好きだった。 時事ネタもあれば、必ずしもそうでないものもある。 基本的には固い内容が多かったようにも思うが、時々スポーツや柔らかいテーマの時もあった。 この番組は23年続いていて、その期間はほぼ私が働き始めてからの期間と重なるのでいろいろな見方もしていた。 一時期は「クローズアップ現代」を文字起こしするという人がおられてそのメールマガジンを購読していたこともある。 この本は、その「クローズアップ現代」のキャスターを務めてこられた国谷裕子さんのキャスターとしての自叙伝のような形になっている。 キャスターとしての自覚を持つに至るまで、そしてキャスターの自負を持って取り組んできた時代、そして番組から降板するに至った時までの記録でもある。 一番印象に残っているのは、「クローズアップ現代」の番組の作り方である。 いろいろな部署が取材等で持ち寄ったものを素材に関係者が全員集まって試写が行われる。 見ているとこれがこの番組の肝だったようだ。 その試写は前日に行われるものと当日に行われるもの。 これが戦いの場であり、いいものを作り上げようとする生産の場でもある。 これがあったから、30分に満たない時間で濃厚な内容を楽しむことができたのだ。 本当に感謝したい。 また、インタビューにおいてフェアであることを信条としてきたとある。 ここのところ日本には明らかな「同調圧力」なるものが存在している。 その中でもNHKとして聞かなければならないこと、触れなければならないことに触れた米国大使とのインタビューは圧巻である。 報道する側としておかしなことは権力側に対して聞かなければならない。 何と言われようと。 最後にSDGsの話が少し出てくる。 今自分の周りではようやく用語として登場するようになってきたSDGs。 その「誰一人取り残さない」という考え方をこの番組は2015年に取り上げている。 何という早さだろうか、いやこちらが遅いだけなのだろうか。 現在も「クローズアップ現代+」という番組は続いているが、NHKのアナウンサーが担当しているのと国谷さんが担当しているのではやはり掘り下げ方に違いがあるように思う。 とはいえ、その番組の精神は受け継がれているはずでもう一度見てみようかという気にさせてくれた、そのくらい影響力のある一冊である。
1投稿日: 2019.09.10
powered by ブクログNHKの「クローズアップ現代」で20年以上もキャスターとしての仕事をしてきた著者。本書には,話の流れ上自伝的な内容も出てきますが,「社会の見方考え方」を学ぶことのできる内容が満載です(私には…ですが)。 国営放送という日本の中心的なマスコミの世界で,生中継の番組を続けてきたと言うだけで,もう,すごい人だと思います。その国谷さんが,様々なスタッフと一緒に番組を作るなかで,そして様々なゲストとインタビューするなかでどんなことを考え,何を大切にし,どんな失敗をし,そこから何を学んできたのか…一つ一つが重い言葉となって伝わってきます。 日本が右傾化してきたと言われています。これは「左」が減ってきただけではないでしょう。いろんなことを自己責任として受け入れ,社会には興味がなくなってきた若者たちがたくさんいるのです。そんな中で,社会の問題を抉り出すドキュメンタリー番組も減ってきたように思います。チャンネルを回せば,娯楽番組ばかり…。 こんなときこそ,政治の動きにモノ申すことのできるマスコミが成長して欲しいです。だれかが発表した事実だけを伝えているのでは,あまりにも情けない…。
1投稿日: 2019.07.13
powered by ブクログ切り口が面白いクローズアップ現代のキャスター 番組を面白くしているのは編成もさることながら、徹底した掘り下げと、ネガティブなキャスターの視点だと言う。 それが視聴者のwant を引き出しているのだとある。 番組作りの過程やキャスター個人の成長を読んでいると、生き生きして仕事しておりとても羨ましい。 成功する人は真剣だ。手を抜いてる所がないか?自問して仕事に向かっていると感じた。 しかし筆者のネガティブが強調され過ぎて、明るい所が見当たらなかった。23年もするのだから立派だが、なんか暗い
2投稿日: 2019.07.09
powered by ブクログ国谷さんのクローズアップ現代、すごく好きだった。視聴者目線を徹底してたんだね。 もがいてキャスターになっていった過程も、初めて知った。 インタビューという言葉の力で、真実を浮かび上がらせようとしたっていうテッド・コペルの番組、見たいな。
1投稿日: 2019.06.05
powered by ブクログ【Webook 2017.02.12】 __《 この本のツボは? 》_________ "クロ現"と略され親しまれてきた国谷さんのクローズアップ現代が終わったとき、なんともいえな い寂寥感がありました。丁寧な言葉でありながら、本質を鋭く捉える国谷さんの質問が視聴者にと っては、痛快だったように思います。 今日の本は、クローズアップ現代のキャスターとして番組を引っ張ってきた国谷さんが、番組に寄 せていた思いやキャスターという仕事に真剣に向き合った道のりを語った本です。 あの番組が23年間もの間続いてきた長寿番組であったことを知りました。23年とひと口にいっ ても、実は激動の歴史がありました。政治、経済、国際情勢、そして市民の暮らしが大きく変化し た時代の中で、折々のホットなテーマとリアルタイムに向き合う・・・。それは、ハードな仕事だ ったと述懐されています。 番組の舞台裏では、各部門から選ばれたスタッフや編集者との真剣で闊達な議論が毎回繰り返され てきたといいます。あの番組を見ていて、いつも思ったのは、毎日(月〜木)よくあれだけの内容 を連日編成できるな〜ということでした。取材やVTR編集のほか、毎回2回の試写が行われ、そこ で番組の公平性や言葉の適正さなどが真剣に議論されていたというのは驚きです。 スタッフと真剣な議論や準備は、常に「時代を映す鏡でありたい」という強い思いからきていたの でした。 クローズアップ現代に抜擢された国谷さんは、キャスターという役割について、徐々に様々な役割 を認識されてきたといいます。一つは、視聴者と取材者の橋渡し、一つは、自分の言葉で語ること 、そしてもう一つは、新しい事象に言葉を与えるということ。 最後の「新しい事象に言葉を与える」というのは、メディアにとって重要なことです。時に素晴ら しい社会の動きにつながり、逆に、意図せず偏った見方へ誘導する落とし穴に陥るからです。 3つめの"言葉探し"という役割を国谷さんは、こう語ります。 新しい事象に「言葉」が与えられることで、それまで光が当てられずにきた課題が、広く社会 問題として認識され、その解決策の模索が急速に進むということがある。 メディアは、そんな役割を与えられているのでしょうね。「犯罪被害者」、「ウーマノミクス」 など番組から生まれた言葉は、社会が変化するきっかけとして寄与したようです。 国谷さんは、メディアが伝える「言葉」にことのほか気を配ったようです。 ひとつの表現は、その言葉が言わんとする表の意図とは別に、ことなるメッセージを伝えてしまう 危うさを併せ持っているからです。 たとえば、「憲法改正論議は、まだ十分な理解がなされていない」という表現。これは、聞き流せ ば確かにそうだな・・といえるところだけれど、ある意味、憲法改正は正しいことで、その説明が 不十分であり理解が進んでいない・・という自民党寄りの意味合いを伝えてしまう恐れがある。 そういうことにも気を使い、番組は作られていたのです。 この本では、クローズアップ現代を振り返り、国谷さんがキャスターを努めて来られた23年の 日本の社会構造の変動などが振り返ることができる。 アラファト議長、シュレーダー首相など国際情勢の動行を写す人たちへのインタビューや、自民 党を飛び出した羽田攻へのインタビュー、銀行で汚点を残した石原都知事へのインタビュー、あ るいは、映画俳優の高倉健との対話などいろいろなことがあった23年を国谷さんの言葉でレビ ューできるのも楽しい。(高倉健との対話で、17秒の沈黙というのはTVでは衝撃的?) 本書の冒頭で、テレビ報道の持つ危うさを次のように語っています。 「事実の豊かさを、そぎ落としてしまう」 「視聴者に感情の共有化、一体化を促してしまう」 「視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまう」 こうした危うさがあることを、私たし視聴者も認識してテレビに向き合う必要がありそうです。 それは、ネットでの情報の拡散においても同じでしょう。イギリスのEU離脱、トランプ大統領の 誕生、今、様々な変動がおきていますが、その根底にある何かを冷静に見極めて行く見識が求め られている時代になりました。 国谷さんは、テレビが写す映像が、見る人の思考能力を奪ってしまう・・というリスクについて 強い懸念を示されています。 戦争の悲惨さ、地震や津波の悲惨さは、短い映像でもインパクトが大きく、見る人をある共通 の感覚に導く。しかし、その映像は、起きている事実のごく一部の真実でしかない。その裏に 隠れてしまった大切なことに目をむける思考能力や想像力を一挙に奪い取ってしまう危険性が ある。 こうした映像のもつ危険性にも心を配り、いかにほんとうのところを伝えるか、そこに腐心して こられたかというのがとても印象深いですね。 合計3784回にもおよぶ放送は、確かに"時代を映す鏡"だったのではないでしょうか。 益々、国谷さんのファンになりました。次のステージは、どんな場所でしょうか。 時代が国谷さんを求めているように思えてなりません。 本書、とってもおすすめです。 (ジェイカレッジ99回は、国谷さんをお招きしたいな〜)(どなたか繋いで・・) __《 おすすめ度は? 》___________ ★★★★★+言葉の力と危うさ __《 知りたい? 》_______ ・国谷さんのファンの方 ・国谷さんのクローズアップ現代を楽しみにしていた方 ・国谷さんについてもっと知りたい方 __《 買いたい? 》_______114/→ ・アマゾン → http://bit.ly/KUROGEN23 ---------------------------------------------------------------------- ■■今日のおまけ:(アドラー心理学:課題の分離、目的論) ”これは、私の課題ではない。” TVの刑事物ドラマ「嫌われる勇気」に登場するセリフですね。番組では、アドラー心理学が ところどころに散りばめられていて、なかなか面白い。 先日、ジェイカレッジでご登壇いただいた小林嘉男さんも、アドラー心理学からの知見を いくつか教えてくださいました。 課題の分離という考え方で、人の課題に踏み込んではいけない・・というのが印象的です。 子どもに勉強しなさい!と強要しがちですが、子どもの課題であって、親の課題ではない。 強要しがちなのは、親の見栄や他者との比較などさまざまな思いから、つい子どもの課題 に踏み込んでしまうからです。親がすべきは、勉強する意味やしないリスクを伝え、勉強す るための環境支援であって、勉強するしないは子どもの課題なので、そこに踏み込んでは いけない・・・ということのようです。他の場面でもいえるかもですね。 また、目的論と原因論の対比もとても示唆に富んでいました。 原因論の思考は、何が悪い?どこを直せばいい? 目的論の思考は、本当はどうなればいい? 何はできてる? もっとよくするには? というふうに思考のベクトルはまったく逆向きです。 私達はついつい、原因は?、なぜなぜなぜ?と迫ってしまいますが、機械相手ならいいけ れど、対人関係では目的論がよさそうです。 アドラーの視点、なかなか面白いです。 しつもん会議でも取り入れてみましょう。
0投稿日: 2019.05.31
powered by ブクログ2年ほど積ん読にしていたものを、仕事に対する迷いが出てきたこの時期に読ませていただきました。国谷さんがいかに真摯に、キャスターという仕事に取り組まれてきたかを知り、いまこの本を読めて良かったと思います。 常に多角的な視点、対立する2つの意見の間にある「無限のグラデーション」に光を当てようとされていたことが印象に残りました。
1投稿日: 2019.05.04
powered by ブクログ★4.3(3.92) 2017年1月発行。令和に入って最初に読了。NHKの「クローズアップ現代」は何と23年間も続いたんですね。これまで、マスゴミと批判してきた僕だが、こんなに純粋に事実を伝えようとしていたキャスターがいたんですね。国谷さんの性格がそのまま伝わるようなこの本ですが、大勢の製作者の中での苦悩はきっと多かっただろうなぁと。それでも、これまでNHKという大組織の中で立ち向かっていった国谷さんのことはほとんど知らなかったが、人柄が滲み出るような、内容のとても濃い本ですね。これからの活躍にも期待。
1投稿日: 2019.05.01
powered by ブクログまだ生活の中にTVがあった頃、クローズアップ現代はよく観ていた番組だった。しかしここまで考えられて作られているようには見えなかったし、いつも尻切れトンボで締まりのない番組との印象しかなかった。残念ながら少なくとも自分には彼女のコダワリは十分に伝わっていなかった。 テレビの持つ特性として、物事を過度に単純化し、視聴者の共感を促す事が挙げられていたが、これは制作側がよほど抑制的に番組作りをしなければ強力な扇動装置になりうることを意味する。今どきテレビを見ている層は複雑な思考を嫌う情報弱者に限られつつあるから、余計に扇動に乗せやすい側面もあろう。テレビの影響力が減っていくのは良いことだ思う。
1投稿日: 2019.01.29
powered by ブクログNHKクローズアップ現代のキャスターであった国谷裕子氏が23年に渡る番組を振り返りつつ、キャスターという職業への矜持を述べる1冊。著者が地に足のついた国谷氏、しかも出版が岩波新書という組み合わせ。内容は期待を裏切りません。 原稿を忠実に正確に伝えるのがアナウンサー、伝える言葉を自ら探し出すのがキャスターという明確な区別から始まり、キャスターとして守り続けた事を番組制作の裏側を紹介しつつ述べています。平日に毎日4日間連続で放映された「クローズアップ現代」の舞台裏は非常に興味深い描写でした。 国谷氏が述べるキャスターの仕事とは1.視聴者と取材者との橋渡し、2.自分の言葉で語ること(自分の主観を表現するのではない)、3.新しい価値観を持った事象に的確な言葉を探すこと、4.インタビューの4つです。それぞれへのこだわりが明確に理路整然と述べられています。 「人気の高い人物に対して批判的に切り込んだインタビューをすると想像以上の反発があるが、それでも訊くべき事は聞かなければならい」、「安易に視聴者の感情に寄り添うばかりに問題の複雑さを切り捨て、”分かり易さ”ばかりを追い求めていないか」等々、示唆に富む文章が満載です。 民放が芸能人ゲストを集めてクイズ形式みたいなニュース解説番組を放映し続ける昨今、改めて報道番組とはどうあるべきかというテーマについて正面から切り込んでいるのが非常に好感を持てました。
2投稿日: 2019.01.12
powered by ブクログ2018.12.16読了(図書館) ☆3.3 著者の仕事に対する向き合い方に触れ、同じ女性としてすごく尊敬した。 インタビューに臨む姿勢などはビジネスにも通ずるところがあるので、男性が読んでも十分参考になると思う。
1投稿日: 2018.12.19
powered by ブクログニュースキャスターとしての国谷さんの姿勢はすごいと思った。プロ意識というものが人を成長させ、仕事に対しても深く向き合っていけるようになるのだなと分かった。
1投稿日: 2018.12.13
powered by ブクログクロ現についてもっと突っ込んだことが書いてあると思っていたんだけど、国谷さん個人の話がほとんどだった。目論見違いではあったけど、クロ現については、今はまだ書けないことも多いのかなとも思った。 さらっとしか書いてないけど、国谷さんの勉強量がものすごいことはよくわかる。責任感も強いし、覚悟もある。一時代を作った番組、国谷さんなくしてはありえなかった。
1投稿日: 2018.11.28
powered by ブクログ"23年間NHKクローズアップ現代のキャスターを務めた国谷さん。これまでの仕事を振り返って語る自伝的であり、キャスターとはどのような仕事かを語りつくした一冊。 インタビューをする場合、相手の人がどのようなことを成し遂げてきたのかを学んでおかなければならない。その方法なども気になるところだが、取材や資料の読み込み方などは特に触れられていない。 プロフェッショナリズムに徹した彼女の生きざまが語られている。 今後はどのようなご活躍をされるのだろう。これからも応援しています。"
1投稿日: 2018.11.25
powered by ブクログN○ケー、稀有な人材を手放したのう。クレバーな国谷さんの目線で、社会情勢が色々な方向から深く見えてきた気がする。もう一度番組を見直したいし、興味を惹かれた題材もあり。今後の彼女の動向も気になります。
1投稿日: 2018.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実家に住んでいた頃は、 よく見ていた番組、「クローズアップ現代」。 キャスターの国谷さん、カッコいい女性だなあと思っていました。 本書を読んで、相当な覚悟で挑んでいた番組だったことがよく分かりました。 私事ですが、 ちょうどこちらを読んだ時期、 この先、無謀と思われる大きな仕事が待ち受けています。 ときどき、 「引き受けなければよかったなあ」と不安に思う時があり、そんな最中に、本書を読みました。 勇気づけられました。 「真正面から取り組み覚悟」 「ひたむきに」 「全身で」 「真剣勝負」 このような言葉が、私のプレッシャーを心地よいチャレンジ精神に変化させてくれました。 また、国谷さんの「フェアへのこだわり」が強く感じられました。見習おうと思います。とても強い方です。 真似できないかもしれませんが、真似したいです。
1投稿日: 2018.07.07
powered by ブクログ面白い。23年間キャスターとして努めてきた著者の熱量が凄い。キャスターとは、報道とはどうあるべきか。常に自問自答し続けて、突っ走って来たのだろう。惜しむらくは一つ一つのエピソードが、単発で突っ込んでいないために没入感があまりないことか。恐らく番組を見ていた人ならばわかるのかも知れないが、、、、
1投稿日: 2018.05.08
powered by ブクログテレビが世間に与える影響力はインターネットが普及してもなお大きい。本書の中で語られる国内外の情勢を報道する者の姿勢は、報道関係者だけでなく、他の業界にも適用できると感じた。
1投稿日: 2018.04.23
powered by ブクログ積極的にテレビを見なくなって10年、もっぱら朝は「ラジオ」。 朝からワイドショーやニュースを見てしまうと、ついつい映像に取り込まれて手が止まってしまうのが嫌だから。 でも、ラジオなら耳から入ってくるし、言葉から情景を想像することができるので、自分で考える余地がある。でも、テレビは映像という圧倒的インパクトにより、想像力が欠落してしまう。 これは「本」も同じ!映画やドラマは好きだけど、どうしても映像の力に頼ってしまう。でも、活字は自分の想像力(時には間違ってしまうこともあるけど)を養うこともできるから楽しい! NHK「クローズアップ現代」のキャスターを23年務めた著者も映像の力に頼るジャーナリズムは時として事実を捻じ曲げたり、誤認させたりすると警鐘を鳴らしています。社会問題は、一人または一側面だけで捉えようとすると事実を間違って捉えてしまいます。(または偏った考え)なので、いろんな側面から捉えて、自分なりの考えを持つことが大事ですね!
0投稿日: 2018.04.04
powered by ブクログ真摯さ、真面目に取り組む姿勢は、どんなときでも良い印象を受ける。『もしドラ』で「真摯さ」が大事だと書いてあったのを思い出した。クロ現やクロ現+が終了時間ギリギリになったり、途中で切れてしまったりしたのを観たことがある。原則ゲストを呼んでの生放送であって、流れによって司会者がゲストから言葉を引き出していくためそういうことが置きうるのだなと、現場のギリギリ感がよく分かった。
1投稿日: 2018.01.19
powered by ブクログ日本で唯一アンカーと呼べる存在だと思います。番組がなくなった時には、またひとつNHKの良心が消失し、大衆に阿る度合が増し、受信料を払いたくなくなった、と思った記憶があります。 著者の真摯な姿勢が著作にもあらわれてます。特に失った信頼の9章は良かった。 また本筋ではないですが、最終回の柳田邦男氏の「危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条」(原文)は感動しました。コピーを子供たちに渡そうと思いました。
1投稿日: 2018.01.06
powered by ブクログ2017年後半は怒涛の日々で、本と向き合う時間がまるでなかった・・・というより本と向き合う心の余裕がなかった。そんな日々も終わり、2018年は取り戻すぞー!な気分で手にしたのがこれ。 同業というのはおこがましいけど、放送の現場を知る人間にとって、読み応えのある内容で付箋だらけの1冊となりました。 放送開始が平成5年のクローズアップ現代。私の入社が平成4年。報道に関わる人間としてリアルタイムで放送を見てきた。いつも泰然としてしなやかに切り込んでいく、そんな印象を持っていたけど、キャスターとして挑んだ国谷さんの強い思いを知り、その姿勢を知り、勉強になることばかりだった・・今さらだけど(笑) 〇インタビューは自分の能力と準備の深さが試されるものであり、それがさらけ出されるもの。入念に準備して、その準備とおりインタビューしようとすると大失敗につながりかねない。実際のインタビューの場になったら、準備してきたものをすべて捨てなければならない。 〇キャスターの役割は自分の言葉で語ること。それは個性を打ち出すことや、「個人の主観」「私見」を語るということではない。 〇テレビ報道の3つの危うさ ①事実の豊かさをそぎ落としてしまう ②視聴者に感情の共有化、一体化を促してしまう ③視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまう なんとなくぼんやり感じていたことを言葉にしてもらえるスッキリ感・・・天童荒太さんにも感じた感覚で読了。
2投稿日: 2018.01.05
powered by ブクログ国谷キャスターの半生記。クローズアップ現代以前から以降まで。よく見る番組だったので面白く読んだ。 1990年の国谷さんは,地上波を一年で降ろされて,挫折の後の衛星放送時代。やはり死ぬほど働いてた模様…。 “睡眠時間が三時間という日もざらで、五時間寝たら今日は本当によく寝たと思える日々”p.42 クロ現の仕事が長くなり「女性が活躍できる社会を」って風潮になって,自分の体験を苦々しく思い返すそうだ。 “無我夢中で仕事をし、キャスターとして認められたかった私は、体の具合が悪く、熱があっても、吐き気を催しても決して休まなかった。バケツを席の下に置きながら放送したことも”p.43 聞くべきことをきちんと聞くというインタビューの基本について。これは適切な例でないと感じた。 (田舎のアップルパイコンテストで優勝した)“おばあちゃんに、「添加物を使っていないか?」とあえて尋ねる、まさにジャーナリズムとしてのインタビュー機能が失われてもよいのだろうか。”p.174
1投稿日: 2017.11.23
powered by ブクログ・テレビ報道の危うさ 1 事実の豊かさを、削ぎ落としてしまう 2 視聴者の感情の共有化、一体化をうながしてしまう 3 視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまう ・わかりにくいことをわかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える
1投稿日: 2017.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私はキャスターとして、「想像力」「常に全体から俯瞰する力」「ものごとの後ろに隠れている事実を洞察する力」、そうした力を持つことの大切さ、映像では見えない部分への想像力を言葉の力で喚起することを大事にしながら、日々番組を伝え続けることになった。(p.12) 「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」(是枝裕和、p.15) 結論をすぐ求めるのではなく、出来れば課題の提起、そしてその課題解決へ向けた多角的な思考のプロセス、課題の持つ深さの理解、解決の方向性の検討、といった流れを一緒に追体験してほしい。そんな思いで私は、番組に、そして視聴者に向き合ってきた気がする。(p.15) テーマのすべてを知る必要はない。むしろ最初に抱いた疑問を忘れないようにする。もの知りになってしまうと視聴者との距離が離れる。そうすることで初めて、取材者と視聴者を結びつける橋渡し役が可能になる。(p.69) 報道の言葉は、新しい事実や、不確かなこと、不明瞭なものを明確に言い表すことが求められる。つまり新しい事象から新しいコンセプトを取り出し、新しい言葉を生み出さなければならないのだ。(p.76) 言葉の持つ力は絶大だ。いったん流通し始めてしまえば、誰にも止められない。メディアは、そして私たちは、そのことにどこまで自覚的だったのか。一言でわかりやすくするための、いわば造語や言い換え言葉の持つ危うさが、「ねじれ国会」という言葉には象徴的に表れていると思えた。(p.103) 準備は徹底的にするが、あらかじめ想定したシナリオは捨てること。言葉だけでなく、その人全体から発せられているメッセージをしっかりと受け止めること。そして大事なことは、きちんとした答えを求めて、しつこくこだわること。長い間、インタビューを続けてきて、たどり着いた結論は、このことに尽きると思っている。(p.150) 23年間、〈クローズアップ現代〉のキャスターとしての仕事の核は、問いを出し続けることであったように思う。それはインタビューの相手にだけでなく、視聴者への問いかけであり、そして絶えず自らへの問いかけでもあった。言葉による伝達ではなく、「言葉による問いかけ」。これが23年前に抱いた、キャスターは何をする仕事かという疑問に対する、私なりの答えかもしれない。(p.175) 1. 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間をもつ。感情に流されずに論理的に考える力をつける。 2. 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題を読み解く力をつける。 3. 他者の心情や考えを理解するように努める。 4. 多様な考え方があることを知る。 5. 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。 6. 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠された底辺の現実が見えてくる。 7. 現場、現実、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心がける。 8. 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。(柳田邦男、pp.233-234)
1投稿日: 2017.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
長きにわたり継続した「クロ現」の舞台裏話を中心に構成された自叙伝。 クロ現の終了の意味や裏面の開陳はないので、昨今のNHKの体質に切り込んだ書ではない。すなわち、限界は当然に存する一方、長所も持ち合わせているテレビ報道の意味と価値に言及する点を買うべきなんだろう。 つまり、私のようにクロ現の内輪話や著者の履歴に関心がなければ、テレビ報道をマクロ的に見たエッセイという意味で、第1、9〜10、終章の読破で充分か。 もっとも、真面目な意味で、「クロ現」におけるインタビューその他の失敗談を開陳する点は好感度高し。
1投稿日: 2017.09.17
powered by ブクログ政権にぶっこみ過ぎたことでクローズアップ現代のキャスター降板となったと巷では言われている国谷さんが、テレビの仕事に携わり始めてから、クローズアップ現代のキャスターとして番組が終わるまでを振り返った本。 結局、現政権にだけ批判的だったというわけではなく、聞くべきことを聞くという彼女のスタンスを貫いたっていうことだけだよな。忖度せずに。 「聞く」と「聴く」のスタンスは、キャスターだけでなく、我々も人の話をきく際には意識するべき点だと思った。
2投稿日: 2017.09.03
powered by ブクログ良書。 23年間クローズアップ現代を担当されただけあって、素晴らしい内容。 誰が相手でも動じず、客観的に的確に判断し、女性らしさもあり、素晴らしいキャスターの印象。 だが、帰国子女のコンプレックス、経験不足から苦労されたことを知った。 めぐり合わせ、チャンス、本人の努力・やる気が大事なのかと思った。
1投稿日: 2017.07.15
powered by ブクログ「クローズアップ現代」のキャスターとして23年間、鋭い視点から社会に切り込んできた著者の総括ともいうべき書。NHKアナウンサーとしての失敗から始まり、代表する顔になったこの方自身にも興味があるが、書の中で紹介されているインタビュー経験の裏話の数々は珠玉の記録だ。高倉健の17秒間の沈黙とその後の言葉、そして爾後の高倉健からのお礼の連絡。また石原都知事の際には中途で怒って帰ってしまうことまで想定した準備。倉本聰とのクリスマスを巡る憤り、フジモリ・ペルー大統領、田中康夫長野県知事、菅官房長官らへの厳しい質問。この方が自分自身の立ち位置に真剣に悩みながらゲストに質問で斬り込んでいく様子が、この番組の魅力をいまさらながら教えられる。15年3月の降板の経緯は十分に語られていないが、柳田邦夫氏を最終ゲストに招き、著者が語った言葉が引用されている。正に、著者の遺した遺言のような重みを感じた。3784本目(最終回)番組名サブタイトル「痛みを越えて~若者たち未来への風」の締めくくりの言葉。「社会に貢献することで充足感を得たいという若者が増えていることを示しています。とはいえ、激しい競争、管理の強化、横並びに従わざるをえない同調圧力といったプレッシャーによって、けっして声を上げたり行動がしやすいとは言えない社会。今夜はそうした中で自ら声を上げ、痛みを乗り越えていくために行動を始めた姿を通して若者たちの志を見つめます。」感動的な言葉だ。この方の子ども、若者への視線が優しい。東北大震災の子どもたちへの重松清氏の言葉の紹介もそうだ。なお、引用されている是枝裕和氏の言葉、「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える。」が著者のバックボーンだったことがよく分かった。
1投稿日: 2017.07.05
powered by ブクログNHKで夜7時半より放送していた「クローズアップ現代」は毎回見ていた。社会問題を扱う硬派の番組としていつも興味深く視聴していたのだが、唐突に終わってしまった。 番組終了の理由などわかるはずもないが、その後安倍官邸との軋轢が世に流れた。番組内の菅官房長官へのインタビューが逆鱗に触れたというのである。 その菅官房長官との集団的自衛権についてのインタビューも小生は見ていた。国谷裕子キャスターの鋭いツッコミ、菅官房長官の反論、そこまで聞くかとつぶやきがでるようなさらなる質問。ヒリヒリするような緊張感が張り詰める。エンドテーマが流れる、残り時間が無い! さらに質問をたたみかけるキャスター。菅官房長官の発言途中で番組はブツッと終わった。 官房長官の発言内容の評価は人によって違うだろうが、この終わり方はやはり菅官房長官の醜態に見えた。当然安倍官邸は怒っただろう。 まさにジャーナリズムの原点は権力の監視にあることを国谷キャスターは教えてくれている。この迫力はどんなドラマよりも勝る。 その国谷キャスターが書いた「キャスターという仕事」が面白くないわけがない。本書は夢中で読み終えることができる本である。 2017年6月読了。
1投稿日: 2017.06.23
powered by ブクログ著者はNHKで「クローズアップ現代」のキャスターとして 23年間勤めた。 その現場での経験した生の声と、スタッフ達との番組製作に奮闘する 姿がカッコイイ。 アナウンサーとニュースキャスターの違いって分かりにくい。 簡単に言うと、アナウンサーは原稿どおりに正確に読み伝えること。 一方、ニュースキャスターは話し言葉で送り手と受け手のパイプ役に なり、その個性が発揮できる。 その反面、客観性の高いニュースを私見という目線が入ることで厄介なことも 起きる。 その厄介な事が色んな人に誤解を招いてクレームに繋がるらしい。 その際たるものが、「出家詐欺」ねつ造放送騒動だ。 寺院で「得度」という儀式を受けると戸籍の名義が変えられるのを悪用した 「出家詐欺」が広がっているという報道で、「やらせ」とか「過剰演出」があったと クレームが付き、クローズアップ現代の汚点になってしまった。 現場での人材育成に最適なものがこの番組にはある。 それは、試写が二回あることだ。 若い担当者が作成したレポートを他のスタッフと議論してダメ出しをされて、 自分の視点との違いを知り、さらに深く突っ込んだ議論になる。 前日に一回目、そして当日の昼に二回目の試写を行い、生放送本番に向かう。 クローズアップ現代は試写が一番面白いと言う関係者もいる位に熱を帯びる。 その試写2回を得て本番という流れを23年間続けてきた 著者は改めて感じるという。 クローズアップ現代の役割は、物事を「わかりやすく」して伝えるだけでなく、 一見「わかりやすい」ことの裏側にある難しさ、課題の大きさを明らかにして 視聴者に提示することだと。
2投稿日: 2017.06.11
powered by ブクログテレビ報道の危うさ 1.事実の豊かさを、削ぎ落としてしまうという危うさ 2. 視聴者に感情の共有化、一体化を促してしまうという危うさ 3. 視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまうという危うさ 是枝裕和 わかりにくいことを、わかりやすくするものではなく、わかりやすいと思われていることをの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える 無知は恐怖を生み、恐怖は怒りに変わる。やがてその怒りは殺意につながるからです 井上ひさし 風向きの法則 風向きがメディアによって広められていくうちに、その風が次第に大きくなり、誰も逆らえないほどに大きくなると、「みんながそういっている」ということになってしまう。風向きの法則が起こるのだ 村上龍 日本は自信を失いかけているときに、より一体感を欲する。それは非常に危険だ。 流れに逆らうことなく多数に同調しなさい、同調するのが当たり前といった同調圧力は、日本では様々な場面で登場してくる。ここ数年は、その圧力が強まっているとさえ感じる 柳田邦男 危機的な日本で生きる若者たちに八ヶ条 1. 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間をもつ。感情に流されずに論理的に考える力をつける 2. 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題を読み解く力をつける 3. 他者の心情や考えを理解するように努める 4.多様な考え方があることを知る 5. 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力 56. 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠された底辺の現実が見えてくる。 7. 現場、現実、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心がける 8. 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける
1投稿日: 2017.06.01
powered by ブクログ『キャスターという仕事』(国谷裕子) 読むきっかけは「久米宏のラジオなんですけど」にゲスト実演していたのを拝聴してこの本の存在を知りました。 【クローズアップ現代】は21:30〜の頃は食卓で頻繁に見ていた記憶がありましたが、19:30〜に移ってからは、まだ帰宅していることが少なく、通っていたジムのサウナで何度か見ることがある程度でした。 当時、番組を観ていて「意外と小さな社会の問題でも拾い上げ、しっかりした意見を提示する番組だなぁ」というのが印象でした。 この本を読んでその印象が変わったということはありませんでしたが、そういう印象を受けた番組の、キャスターである国谷裕子さんが与えていた知的で隙のなさのようなものの、背景をよく理解できました。 では、簡単に紹介します。 この本は国谷裕子さんが『クローズアップ現代』及びそれ以前の仕事も含めて振り返りながら「キャスターとしての国谷裕子」と「キャスターとしてのあるべき(めざすべき)姿」を綴ったもの(だけれど、メッセージは別のところにあるります。) そしてその切り口として用意したのは必ずしも時系列に並べられていない。『クローズアップ現代』で経験した印象に残る制作番組を、社会が流動する起点に配してその底に映し出されるものと、テレビ(メディア)のあり様を自分の私見を交えながら紹介しています。 (オマケ)番組制作の現場のイメージも緊張感も伝わってきて、ニュース番組の見方に深みが増すようにしてくれます。 これを読んでいて感じたのは、国谷裕子さんがここで紹介されている挫折や苦悩をすべて彼女が成長のステップしているということ。 失敗、挫折を不運と捉えるのではなく、試練と捉える。 (優れたリーダーたちが共通してもつ心の習慣を育んでいたこと) それらをもう少し具体的に、その環境も踏まえて観ていきます。 ①制作現場のスタッフの情熱に応える。 放送前に行われる二回のVTRリポート試写に二回とも参加して、作り手の意図や熱意を感じとり、自らのなかで視聴者に‘伝える型’のイメージ作りに早い段階から関わる。 これは、リーダーがチームを牽引していくうえで欠かせない情熱の共有の手段。 ②「前説」に込める思い。番組冒頭の1分半〜2分半に、現場スタッフから引くついできた情熱を、視聴者のひとりに向かって自分言葉で伝える。(何を、何故、どうやって伝えていくかを表明する重要な時間) この姿がチームメンバーの心に響く。絆を深め、信頼感の醸成につながる。 ③良き支援者を巻き込む 性格やキャラで築いた人脈ではなく、仕事を通じて、信頼で結びついた人脈は硬く強くときに厳しい。だが、彼らは必ず必要な人を必要なときに、支えてくれる。 ここには、書くことはしなかったけれど、メディアに対する考察や、柳田邦男さんとの最後の番組で語られた若者へのメッセージ、 隠れている「地雷」や「事情」をいろいろと考えさせられ、想像させてくれる良い本です。 何より、国谷裕子さんの実直さがよく伝わる文章でした。 今後の国谷裕子さんの活躍を期待します。 2017/05/18
2投稿日: 2017.05.18
powered by ブクログ硬派な番組で、突然の交代劇もあったクローズアップ現代のキャスターであった著者が今となって語るものは何かという興味で読んだ。著者のキャスターとしての歩みと、キャスターという仕事、そしてクローズアップ現代という番組が23年間の間に何を伝えてきたのかを振り返ることができた。ポストツルースの時代にあえて感情に流されずに抑えて筆致で淡々と語られる主張が小気味よい。言葉の大事さ、聞くことから聴くことへ、そして問い続けることといった、キャスターとして大事なこと、インタビューとして大事なことを、これも取材された方の言葉を引用することで述べられており、私達の仕事にもつながることが書かれており勉強になった。個人的には前説の大切さと、その準備の苦労話などためになった。最後に柳田邦夫氏が「危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条」が転載されており、そのまま著者の主張につながるものと思う。1.自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える力を持つ。2.政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題を読み解く力をつける。3.他者の心情や考える力を理解するように努める。4.多様な考えがあることを知る。5.適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。6.小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と合うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠れた底辺の現実が見えてくる。7.現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心掛ける。8.失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。以上。
1投稿日: 2017.05.14
powered by ブクログクローズアップ現代を毎日進行されていた国谷さん、どういう経歴か、またどんな風にクロ現に取り組んで来られたのか知りたくて読んだ。 「わかりやすさ」を追求ばかりしていると、視聴者は、「わかりやすい」情報のみしか興味がなくなる。わかりやすいことの奥にある難しさや課題の大きさを伝えることがクロ現の役割。インタビューについて、視聴者が聞きたいことをしつこく聞いたこと、当時のヒューレットパッカードCEOとの対談。嫌がられる質問でも聞いてきたこと、など。 17秒の沈黙を待った高倉健さんのインタビューについて、「待つことも聴くこと」であると。 つい、沈黙が怖くて何か話し出してしまうことがあるが、相手は考えている、それを遮ってはいけないと気づく。
1投稿日: 2017.05.14
powered by ブクログ同等圧力に屈しないこと、暗いつぶやきにヒントがあること、問いを続けること。 筆者ががむしゃらに、それでいて大切に守り続けて来た姿勢はテレビメディアだけじゃなくあらゆるジャーナリズムに通用すると思います。ライターや編集者も一緒。
1投稿日: 2017.05.05
powered by ブクログすごいなこの人! 小学生くらいの時が親の影響で最もクロ現を見てたけど、この本読んでなんで見てなかったのかと非常に後悔! NHKで生特集番組を23年間もやってるのは傑出した才能と努力の賜物であることは間違いない! 池上さんみたいな存在になってくのだろうか..
1投稿日: 2017.04.27
powered by ブクログ国谷裕子さんの努力を感じる本。すごい人だし、能力も高い人だと羨ましくなる。 マスメディアの中ではマイノリティな人になってしまうのかもしれないけど、こういうキャスターはもっと出てほしい。
1投稿日: 2017.04.23
powered by ブクログ番組の印象そのままの本。言葉使いの難しさ、表現の難しさ、決められた枠の中で番組を作ることの難しさ等々、報道の難しさに彼女は立ち向かっていき、最後まで役割を果たした。常に最善を尽くそうとする姿勢はすばらしいし、実際に番組はそうだったと思う。週に1回、年中ずっとではないとはいえ、報道番組の中でも密度の濃いものを作り続けるのは大変。 番組の製作関係者のほとんどが男性で、男性社会だったがゆえに、社会における女性の役割や立場の変化に関して番組で取り上げる機会が少なかった点に気づいたのが降板後だった、というのは残念だがやむなしか。 ただし彼女はあの番組の製作スタッフのうち氷山の一角。海上に見える部分でしかない。水面下の人たちの、特にプロデューサーや編責といった方々はどうなのか。そういう人たちの書いた本があれば読んでみたい。 テレビ局で報道にかかわる人たちは絶対に読むべし。特に局アナ。自分をタレントと勘違いしている女子アナには理解できないかもしれないが。
2投稿日: 2017.04.22
powered by ブクログクローズアップ現代はスタート当初からずっと観ていたので馴染みもある。その裏話のようなそうでもない様なものだった。 でも、ああ実は裏ではこういうことになっていたのかと納得できたこともいくつかあった。 一つのことを長く続けるのは、それを惰性でないことにするなら、非常に大変なことだなと、本質ではないところで感じさせられた。 著者が伝えたかったのは、おそらくもっと違うことなのだろうなとも思いながら。
1投稿日: 2017.04.20
powered by ブクログ言わずと知れたクローズアップ現代のキャスター。この本を読んで如何に彼女があの毎回切れ味のある質問を生み出しているかがよくわかる。人に質問をするということは、どれだけ相手のことを理解しているかと一般人の目線でいられるか。いまのクローズアップ現代ではこのレベルまでは達することは難しそうだ。
1投稿日: 2017.04.15
powered by ブクログクローズアップ現代をいつも見ていた訳ではないけど、こんな思いで作られていたんだと感動した。国谷さん、素晴らしい!
1投稿日: 2017.04.11
powered by ブクログ帯文:”真摯に、果敢に問いを発し続けてきた〈クローズアップ現代〉のキャスターが23年間の挑戦の日々を語る” 目次:第1章 ハルバースタムの警告、第2章 自分へのリベンジ、第3章 クローズアップ現代、第4章 キャスターの役割、第5章 試写という戦場、第6章 前説とトーク、第7章 インタビューの仕事…他
1投稿日: 2017.04.10
powered by ブクログ「クローズアップ現代」の23年の軌跡. クローズアップ現代が始まった時は,その密度,深さに新鮮な驚きがあった.そのキャスターは知的な美人で私の憧れだった. その後,私は多くのことに関心を失い,この番組も見なくなってしまった. さて,この本を読んで思うのは週に4回番組を作ることの慌ただしさである.いくら勉強するといっても,いくら専門家の力を借りるといっても,やはり,なかなか自分の中で問題を深める時間はないだろうな. それにしても能力抜群の生真面目なスーパーウーマンである.そのストイックさには頭がさがる.
1投稿日: 2017.04.08
powered by ブクログ報道がどうやって作られるか、真実を伝えたいという多くの役割の人達の努力の結晶であることを理解できる。筆者は、世界中の著名な人びとや現代の問題を抱える無名の人びとへのインタビューを通して成長する▼帰国子女のキャスターとして悩み、経験を積み、勉強し、成長してゆく著者。報道を伝えるキャスターとして視聴者への誠意を保とうとするが、「同調圧力」は大きく、少数者弱者は声を上げにくい▼そのなかで、自分の立場を相手に知らせたうえで、問うべきことを深く問い続いける姿勢を貫いた。言葉による「伝達」ではなく、言葉による「問いかけ」が大事という▼イラク戦争からの教訓についてインタビューしたときの、ABC放送コぺル氏の返答が印象的。「どのような軍事行動も軍事計画も、最初の弾丸が放たれるまでの命です。予期していたことと違うことが常におきます。そして、ある行動を起こすと、次の行動を起こさざるを得なくなっていくのです。」戦争は動きだすとコントロールできない。▼柳田国男 「危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条」は啓発的:(1)自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える習慣をつける。感情に流されず論理的に考える。(2)情報を読み解く力をつける。(3)他者の心情や考えを理解する力をつける。(4)多様な考えがあることを知る。(5)適切な表現、他者に正確に理解してもらえる力をつける。(6)行動し、いろんな人に会い、それにより、自分を理解する。他者のための活動をする。(7)頭でだけ考えないで、現場を大事にする。(8)失敗しても、地道に続ける。
1投稿日: 2017.04.03
powered by ブクログ思ったほどたいした内容じゃなかった。 国谷さんの半生には興味ないし、クロ現の捏造取材についての言い訳もどうでもいい。 番組制作の裏話も興味をそそらない。 第10章の「変わりゆく時代のなかで」をもっと読みたかった。 23年の間に世界が大きく変わりNHKも変わった。 国谷さんじゃなく、第三者がクロ現の23年間を客観的に分析して時代を読む、という企画の方が面白かったんじゃないだろうか。
2投稿日: 2017.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者が、アメリカに残って大学院に進むか、日本に帰ってテレビの仕事に就くか、学部長に相談したとき得たアドバイスがいい。 わかりにくいものをわかりやすく伝えるというので良いのだろうか、視聴者がわかりやすいものにしか興味を持たなくなるのではないか、難しい問題はやはり難しい問題だということを視聴者にわかってもらうべきではないか、という著者の考えに賛成である。 番組で語りかけるときに使うものの言い方を、どれほど慎重に吟味したかもよくわかる。
1投稿日: 2017.03.28
powered by ブクログ文中にもあるように、正直自分の中では関心が薄いテーマもあったと思うが、 よい番組を視聴者に届けるためにはテーマが何であれ 真摯に向き合う。 ただ、台本を読むだけのニュースとは一線を画す。 例え30分の番組だったとしてもそれをここまで続けてこれたのは 国谷キャスターと周りのスタッフとの 真摯さとの向き合い なくしてはないだろう。 最後に、、、クローズアップ現代を作り続けたきた関係者の皆さん。お疲れ様でした。 番組をありがとう。 【ココメモポイント】 ・「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、 わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」-是枝裕和 P.15 ・お互いがぶつかり合い、最後の最後まで番組を良くしていきたいと思わなければ良質で深い番組は生まれない P.84 ・前説の中でポイントになるところは、きちんと私の正面の顔に映像を戻してほしいと注文した P.100 ・柳田邦男 危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条 1 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。 感情に流されずに論理的に考える力をつける 2 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底に ある問題を読み解く力をつける 3 他者の心情や考え理解するように努める 4 多様な考えがあることを知る 5 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に 正確に理解してもらう努力 6 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな 人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かに する最善の道であることを心得、実践する。特に ボランティア活動など、他者のためになることを 実践する。社会の隠された底辺の現実が見えて くる 7 現場、現物、現人間(経験者、かんけいしゃ)こそ 自分の思考力を活性化する最高の教科書だることを 胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを 心掛ける 8 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、 自分の考えを大切にして地道に行動を続ける P.233 ・インターネットで情報を得る人々が増えているが、感情的に共感しやすいものだけに接する傾向が見られ、 結果として異なる意見を幅広く知る機会が失われている。 そして、異質なものに触れる機会が減ることで、全体を俯瞰したり物事の後ろに隠されている事実に 気づきにくく、また社会の分断が進みやすくなってもいる P.242
1投稿日: 2017.03.20
powered by ブクログ本を読む、そして知る、学ぶ。とても大切なことで、この本を通してもそれを思いました。 国谷裕子さんの想像を絶するご苦労の一部を垣間見させてもらった感じです。ますます国谷さんファンの度合いが増しました。 学び、感動したもののほんの一部の抜粋。 〈本から〉 是枝裕和さん 「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」 国谷さん 「新しい事象を新しい言葉で定義し、使用して、多様化している視聴者に共通の認識の場を提供する、このとが「クローズアップ現代」のような報道番組の大事な役割だと思って取り組んでいます」(『問う力ー始まりのコミュニケーション 長田弘 連続対談 みすず書房より』 日産自動車のゴーン社長 「曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。明確な定義を持つ言葉でコミュニケーションすれば、その人は自分の言葉に責任を持つようになる」 コペルの〈ナイトラン〉は視聴者に信頼され、2005年11月まで25年間続いた。〈ナイトラン〉に出演することは、コペルという「精細な秤」に載せられることを意味した。当事者が〈ナイトラン〉への出演を避ければ、視聴者に何か説明できない都合の悪いことがあるに違いないとまで思わせる存在感のある番組だった。 日本語の何となくストレートに聞けない曖昧さをどうやって排除していくか。それは、インタビューしていくうえで大きな課題だ。 危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条 柳田邦男さん 一 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える 時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える 力をつける。 二 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底に ある問題を読み解く力をつける。 三 他者の心情や考え理解するように努める。 四 多様な考えがあることを知る。 五 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に 正確に理解してもらう努力。 六 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな 人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かに する最善の道であることを心得、実践する。特に ボランティア活動など、他者のためになることを 実践する。社会の隠された底辺の現実が見えて くる。 七 現場、現物、現人間(経験者、かんけいしゃ)こそ 自分の思考力を活性化する最高の教科書だることを 胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを 心掛ける。 八 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することも なく、自分の考えを大切にして地道に行動を 続ける。
1投稿日: 2017.03.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
メディア。テレビ。 社会人として働きだした頃から23年務めた『クローズアップ現代』での出来事について書かれた本。あの時の放送のことを思い浮かべながら読めて、なるほどだった。
1投稿日: 2017.03.11
powered by ブクログ世のありとあらゆるテーマに鋭く切り込んだ、クローズアップ現代の歴史をキャスターが振り返る。自らの失敗や未熟を率直に語る。あの出家詐欺事件についても。放送同様、力強く響く言葉に、あらためて現代を代表するジャーナリストであったことを実感。
1投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
国谷裕子『キャスターという仕事』(岩波新書、2017年1月)読了。 帯広出張のお供だった。 色々な意味でおすすめの本。 たとえば人にものごとを伝えるための心構えを理解するために。たとえば意見の違いを見分ける意識を持つとはどういうことなのかを理解するために。たとえば分かりやすい文章の書き方を理解するために。たとえば、人から批判されるとはどういうことなのかを理解するために。 ふだん、本を読んでいない(活字は苦手)という方でも難なく読めると思われる。それほど平易でうまい文章だ。 内容は1993年4月の放送開始以来、これまで3,784本放送された『クローズアップ現代』について、その前史、そして特徴的な回の紹介をしながらキャスターとしての役割や位置付け、心構えなどを綴っている。 『クローズアップ現代』は今年も国谷キャスターで継続予定だったものが、NHK上層部の判断で時間枠の変更と衣替えを理由に降板させられる。このあたりの事情も記載されていて興味深いが、その裏側には政治的な動きがあったとも噂されている(本書ではこの噂には触れていない)。 一方で痛恨の出来事として悔しさが行間からにじみ出てくるのが、「出家詐欺」を扱った第9章「失った信頼」。番組に登場した人物が週刊誌で内容を告発し(ほとんどが虚偽や事実関係の誤り)、その後、BPOでの審査で「過剰な演出」「視聴者に誤解を与える編集」とされた。 3,784本のうちの1本だし、しかもBPOではVTR部分以外は「報道番組として高く評価すべきもの」と結論付けられているので、『クローズアップ現代』それ自体の評価、あるいはキャスターとしての国谷氏の評価を貶めるものではない。 しかし、国谷氏はたった1本でも視聴者の信頼を失えば、失地を回復できないとの強い意識を持ってキャスターを務めてきた。なので「出家詐欺」問題には、かなり強い衝撃を受けたようだ。 本書の内容から見ればやや傍流に属するエピソードをひとつ。 米国にいた国谷氏に、NHKは『ニューストゥデー』(1988年4月放送開始)のキャスターを依頼する。同じ頃、ジャーナリズムを学ぶ大学院への入学が決まっていて帰国するか進学しようかと悩んだ末、大学に相談に行ったそうだ。そこで入試担当の学部長は「学校は待てます。しかし仕事がめぐってくるチャンスはそう多くありませんよ」とアドバイスしたという。"School can wait"は国谷氏の迷いを吹き飛ばしたという。[pp.34-35] たしかにいい言葉だと思う、School can wait. 『クローズアップ現代』は、VTRよりも国谷氏が鋭く切り込んでいくインタビュー場面が好きだった。本書を読んで鋭く切り込むためにどれほどの準備をしていたのかを知り、『これは論文を書く作業と変わらないな』と驚いた。 知的な見目姿に密かに憧れもしたが、『クローズアップ現代』が終了して出演した『徹子の部屋』で、キャスター時代とは違う柔和さを感じ、ますます惹き付けられた。 まあとにかく、いろいろ感じて考えさせられた良書だった。こういう広がりのある新書を教材で使いたいなあ。領域が違いすぎて小生の授業では扱えませんが。
1投稿日: 2017.02.15
powered by ブクログNHK「クローズアップ現代」のキャスターだった国谷さんが、その23年間を振り返りまとめた本。発刊されて、すぐに購入しました。 僕自身はほとんど番組を見たことがなく、昨年の番組終了に関わる様々な状況を見聞きすること中で、恥ずかしながら番組の存在や国谷さんのことを知りました。 ある事象を伝えるときにテレビという媒体の特性と危うさを理解しながら、視聴者自身に伝え・考える機会を提供していくこと。疑問をそのままにせず、聞くべきことは聞き追求していくこと。わかりやすさだけを求めるのではなく、深く物事を捉えられるようにしていくこと(見えないことを伝えること)等、23年間の歩みの中で積み上げられてきたたくさんのメッセージが本には書かれています。言葉の力を信じそのことを高める努力を続けながら時代を見続けきた番組と国谷さんは、とても大切な仕事をして来られたのだなと思いました。 不寛容な時代、危機的と言える世界と日本の中でどう生きるかが問われています。長期的に多角的に物事を捉えることに、粘り強く取り組んでいくことが大事だと感じています。この本には、読み手に具体的に考えることを促す力があると思います(番組が目指してきたことですね) ぜひたくさんの人に読んでほしい一冊です。
2投稿日: 2017.02.11
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国谷裕子さんの『キャスターという仕事』 23年間にわたりNHK『クローズアップ現代』のキャスターとして活躍された国谷さん。月~木の19:30から放送されていたので、なかなか見ることはできませんでしたが、VTRリポートとインタビューでその時々の問題に深く切り込んでいく興味深い番組だなと思っていました。 この本では国谷さんが長年キャスターとしてやってきて常に感じてきたテレビの報道番組が抱える難しさと危うさについてや、それをどう乗り越えようとしてきたのかについて丁寧に書かれていました。 "シンプルでわかりやすい表現を使用することで視聴者の情報に寄り添い、視聴者の「感情の共同体」に同化してしまうことの危険性。メディア、とくにテレビはこの危険に陥りやすい。だからこそ、たとえ反発はあっても、きちんと問いを出すこと、問いを出し続けることが大事だ。単純化、一元化してしまうことのないよう、多様性の視点、異質性の視点を踏まえた問いかけが重要なのだ。" インターネットの登場以降、様々な事柄に対して分かりやすさを求める風潮がどんどん強くなってきました。分かりやすさを追求するということは、極端な話、白か黒かになり、その間にある豊かな視点が排除されてしまうということ。その結果が、ギャグのようなトランプ大統領の誕生だと思います。 単純明快なものは理解しやすいし楽ですが、そればかりだと排他的な思考に陥ってしまいます。平和な社会を望むなら、一人ひとりが分かりやすさ信仰から脱却して多様な視点を身につけていかないといけませんね。
1投稿日: 2017.02.10
powered by ブクログ情報を編集して、伝える。インタビューでメッセージを引き出す・創り出す。 その丁寧な仕事の重要さが伝わってくる。
0投稿日: 2017.01.25
