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サマー・アポカリプス
サマー・アポカリプス
笠井潔/東京創元社
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総合評価

40件)
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2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    南仏モンセギュール。南仏財界の帝王と若き後妻、中世史研究家、女性活動家が集まるロシュフォール家。そこで殺害されたドイツ人。カタリ派の遺産を巡る謎。黙示録の騎士に見立てられた連続殺人事件。

    0
    投稿日: 2025.11.08
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     夏のテーマといえば、『サマー・アポカリプス』訳すと『夏の黙示録』。  フランスは猛暑だった。ジリジリと暑いフランスの情景が述べられる。この表現がうまい。  それにしても、本書は難解である。フランスの翻訳本を読んでいるみたいだ。日本人が書いていると思えない。『ヨハネの黙示録』を読んでいないと、理解の半分もできないだろう。新約聖書は青年の時に読んだが、聖書とは無縁の生活を送っていた。笠井潔の知識量が半端でないことを知らしめる本だ。  事実とフィクションが入り混じって進行していく。  知らない言葉が、ゴツゴツと至る所にあり、それを調べて理解しながら進む。実に時間のかかる作業だ。矢吹駆の『バイバイエンジェル』『バラの女』は、読んで、そのパターンをある程度理解したと思ったが、この本には、歯が立たなかった。  矢吹駆は、大学生のナディア・モガール(彼女の父親は警部)と一緒にいるとこを、車から撃たれ、肩に傷を負う。矢吹駆は、異端カタリ派を調査している。カタリ派が異教なのか、異端なのかも問われる。異教はキリスト教とは違う宗教、異端とはキリスト教の中での派閥の違いだ。  矢吹駆は、「カタリ派の運動の中には、魔術と民衆叛乱の自生的な結合がある。正確に言えば、魔術ではなく秘教ということで、マニ教とグノーシス主義を通じて、カタリ派は古代の東方異教の流れを継承している」とナディアにいう。  カタリ派は、新約聖書のイエスの神は愛と救済の神で、旧約聖書の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神は妬みと憎しみに満ちた残酷な神としている。カタリ派は13世紀に滅びた。  カタリ派は、物質世界を「悪」と見なし、霊的浄化と禁欲を重んじた。これは、現代の物質主義や権力構造に対する根源的な否定として描かれる。モンセギュール城での集団火刑など、彼らの最期は「黙示録の四騎士」や「終末の予兆」と重ねられ、物語の殺人事件に絡んでいく。  カタリ派が残したとされる文書や象徴(十字、光、浄化)は、矢吹駆が追う謎の鍵となり、グノーシス的知の探究と結びつく。まぁ。こう書いていても、よくわからない。主流派は、豪華絢爛で、カタリ派は、清貧なイメージがある。この物語は、カタリ派の埋蔵宝物が、聖地モンセギュールに埋めてある。なんか日本で言えば徳川埋蔵金みたいなものだ。そのことが、書いてあるドア文書の一部を矢吹駆は探すのが物語の中心となる。  夏休みは、バルベス警部の故郷の村の近くに、カタリ派の聖地モンセギュールがあり、そこにいく。  ジゼール・ロシュフォールはナディアの友人で、モンセギュールにロシュフォールの山荘がある。そこに、歴史学者のシャルル・シルヴァンも滞在する。ロシュフォールは、原子力発電も行う大きな企業である。ロシュフォール家の長女ジゼールは、ナディアの友人だ。ジゼールの母親のジュヌヴィエーヴは、聖地の山から転落して死んでいる。ロシュフォールの下僕ジャン・ノディエが突き落として殺したと言われ、刑に服している。後妻にニコルという美女が収まっている。ジャン・ノディエは、いわくつきの男だ。重要な役割を果たす。彼は、刑を終えて、モンセギュール周辺を宝探ししている。  矢吹駆の追い求めている文書は、ドア書の削除された一部。コルベール家が持っていたドア書は、1732年にブルボン王家にわたり、ルイ14世がとった。そして、1789年のフランス大革命でブルボン王家が倒れると、フランス共和国のものとなった。そのドア文書の一部が盗まれている。それは、隠されたカタリ派の財宝のことが書かれていたのではないか?それは秘宝伝説もあり、カタリ派の秘宝の伝説が書かれていたかもしれないと推理する。  ロシュフォールは、原子力発電の建設を行なっていて、そこにロシュフォールの家には脅迫状がきていた。「財宝を狙うものには、カタリ派の呪いがかけられる。黙示録の怒りがその頭上に堕ちかかるだろう」という内容だった。  ヨハネの黙示録は、白馬、赤馬、黒馬、青馬と4騎士が現れる。それぞれ、弓矢、剣、天秤が使われる。その黙示録の物語に基づいて、4人の人物が殺されることになる。  ロシュフォールの山荘で、ドイツ人ワルターフェストが最初に殺される。そこには、ロシュフォール夫妻。その娘ジゼール、ジゼールの恋人で原子力研究者のジュリアン・リュミエール、その姉で、原発反対運動しているシモーヌ・リュミエール、カタリ派の大学の研究者シャルル・シルヴァン助教授、ポールソネ神父、そして、ナディアと矢吹駆がその場にいた。当初そのワルターフェストを殺したのが、ジャン・ノディエが犯人とされる。ところが、2番目にジャン・ノディエが首吊りして死んでいた。犯人は誰だということになる。相変わらず、ナディアのナレーションで事件が説明されていき、探偵の役割をする。  矢吹駆は、『バイバイエンジェル』でマチルド・デュラナンを死に追いやったことを苦しんでいた。自分は悪だと思っている。シモーヌ・リュミエールは、マチルドの知人だった。そこから、矢吹駆のことを聞いていたのだ。シモーヌ・リュミエールは、フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユ、1909年生まれである。16歳で哲学のバカロレア(大学入学資格試験)に合格し、高等師範入学準備学級で、哲学者アランと出会い、影響を受ける。過激な赤い処女の煽動家として知られる。スペイン内戦にも関与する。彼女は拒食傾向にあり急性肺結核にかなり、体力がなく34歳で死んだ。死後『重力と恩寵』が発刊され、ベストセラーになった。この物語の真骨頂は、シモーヌと矢吹駆の激論だ。これは、笠井潔の自己問答に近い。  シモーヌ・リュミエールは、西欧秘教の理念に根ざしていて、カソリックの受洗は最後まで拒み通した。カタリ派に高い評価を与えていた。アナルコサンディカリストの戦闘的な革命家だった。第二次世界大戦下のフランスがナチス占領期において、対独抵抗闘争の前線に立った。ドイツと戦う中で「地獄の底」で悪と対峙した経験を持つ。彼女はこの経験をもとに、悪を悪として認識し、それを克服する唯一の道は善の観念に頼ることではなく、むしろ悪を悪としてそのまま受け入れることであると主張する。彼女は現世に存在する悪と向き合い、それを受容することによって神への愛、真の信仰に到達できると説く。この思想は、悪の絶対性と信仰における悪の受容を論じたものであり、そのモデルとして実在の哲学者シモーヌ・ヴェイユの思想を参照している。  一方、矢吹駆は、シモーヌの主張を批判し、「人間的な思考を停止し、信仰という非論理的な概念に逃避している」と評価する。彼は、悪を単なる「悪」としてそのまま受け入れることは、思考を放棄することに等しいと考える。矢吹は、悪の根源を徹底的に現象学的に分析し、その構造を解明することによって、悪を超克しようと試みる。彼にとって、悪は絶対的な存在ではなく、分析と理解によりその実体を明らかにし、相対化可能な対象である。この二人の対立は、悪を信仰の対象として受容すべきか、それとも理性の力によって克服すべき対象とみなすかという、根本的な哲学的問題へと帰着する。  ドア書の一部は、いくつかの時代で、それぞれ重要な意味を持つ。  1209年に始まったアルビジョア十字軍の結果、カタリ派は異端とされた。モンセギュールがその中心だった。1233年にグレゴリウス3世によって、異端審問官を教皇が直接任命。強大な権力を発揮しカタリ派を弾圧。1252年教皇インノケンティウス4世が拷問を公認。拷問を武器にした異端狩り、魔女狩りは、その後4世紀間で述べ数百万人を虐殺した。鉄槌の異端審問官のサン・ジョルジュのインノケンティウス4世教皇庁あての書翰が、ドア書の一部らしい。そこにカタリ派の「悪魔の秘宝」が書かれていた。とにかく、徹底して拷問し、火刑にして殺した。サンジョルジュが亡くなったのが、サンセルナン寺院だった。その書翰が、サンセルナン寺院の床下に、700年にわたって秘蔵された。それにしても、宗教において、異端審問で虐殺するのは、なぜかおかしい。『チ。地球の運動について』で、異端審問ノヴァクの個人的な異端審問にしているが、実際はひどい異端審問だった。  その発見が、地元の研究家アンリ・ドゥルニュであり、神父が立ち会った。その時にナチスの親衛隊が二人いて、ドゥルニュが拘束された。書翰はその親衛隊のワルターフェストの手に渡った。ナチスだったワルターフェストは、第1番目の犠牲者だった。アンリ・ドゥルニュの息子が、大学の研究者シャルル・シルヴァン助教授であることが明らかになる。  ナチズムのことも詳しく書かれていて、シュタイナーがナチズムに反対し、そしてナチスは有機農業を推し進めた。「血と土(Blut und Boden)」は、ナチス・ドイツが掲げた民族主義的スローガンであり、人種的純血性(血)と祖国の土地(土)への結びつきを強調するイデオロギーを、進めた。その中心が、ハインリヒ・ヒムラーであり、ユダヤ人虐殺を推し進めた。  この事件を通じて、矢吹駆を狙っているのは、悪霊、死神と呼ばれるニコライイリイチであることが、見えてくる。ただ、まだその正体はよく分からない。  結局、カタリ派の財宝は、分からずじまいで、ロシュフォール夫妻が亡くなり、ジゼール・ロシュフォールと結婚した原子力研究者のジュリアン・リュミエールが、ロシュフォール企業の代表となり、原発を推し進めるのだった。いやはや、すごい物語だった。フランス思想史が、少しづつ理解できるようになった。 

    4
    投稿日: 2025.08.31
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    笠井潔「サマーアポカリプス」読了。小説も面白かったが、奥泉光の解説がなかなか興味深かったので備忘のためメモ。なぜ笠井潔が探偵小説を書くに至ったかの分析。チャンドラーにも通じるものがあると個人的には思う。 「元来小説は主題や思想に格別の関心をもたない。小説とは多くの細部からなる一個の構造物であり、小説は細部以外のものを何一つ必要としない。・・・主題性を強引に持ち込み際立たせようとすれば、小説の構築性そのものを崩壊させてしまう。とはいえ思想や主題は小説にとって価値がなくとも、人間には大切なものであるから、作家は失敗の危険を冒してでも敢えて主題性にこだわらざるを得ない。」 「単に様式性に無自覚なだけで、自分が束縛されている事実に気づかないが故に自分が自由だと信じているだけである。」 「平凡にとことん留まることで個性を、制度にあくまで内在することで解放を、様式を徹底的に追求することで様式の破壊を求めたのだ。」  

    0
    投稿日: 2022.04.21
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    矢吹駆シリーズ、2作目。 カタリ派の秘宝云々の辺りは二階堂黎人のようなケレン味オカルト話かと思わせられたが、それらはもっと壮大なスケールの哲学論争に包絡される。 トリックの必然性、重厚な謎解き、それらもまた大流の一要素に過ぎない。 (未発表作も含め)あと8作もこのシリーズの作品が残されてるなんて!素晴らしい。

    2
    投稿日: 2019.05.29
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    自らを悪と規定しつつも、根底では人間への信頼を捨てきれない矢吹駆 彼は罪を犯し、母国日本を逃亡した身でありながら 解脱を果たすために赴いたチベットの奥地で、導師に命じられるまま 現世の悪を見極めようと、再び下界へ降りてくる 一方、女教師シモーヌ・リュミエールは 革命の成功が新たな悪を生み出すという現実に打ちのめされながら それでも神のつかさどる善性を信じると言い 世界を我が手で修正しようとする矛盾には気づかぬまま 南仏の反原発運動に携わっていた 前作でラルース家の連続殺人事件を解決した矢吹駆だったが その際、犯行グループの心の弱さを無慈悲にえぐったことに関して 彼らと親しかったナディア・モガールを泣かせてしまう そしてシモーヌ・リュミエールも泣いていた やはり犯人たちと面識のあったシモーヌは 彼らを走らせたやむにやまれぬものの悲しさについても知っていたから 自由意志とその責任にこだわる矢吹の厳しさを傲慢と見なして 非難するしかなかったのだ しかし彼女のそれは、神の威光を借りて他者を抑圧する考えでもあり 周囲に言わせればやはり傲慢ということになるのだろう そういう意味でシモーヌと自分が似ていることに もちろん聡明な矢吹駆は気づいていたに違いないが しかしそういった無意識の傲慢さが 新たな悪を招き寄せることについてはどうだったろうか

    1
    投稿日: 2019.04.12
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    思想部分に触れないとこの物語は語れないと思うが、その思想部分の提示が物語として読むことが出来ず楽しめなかった。やってことはシンプルで、そのシンプルさを出しつつ主人公の思考を出していくかという小説なのかな。

    0
    投稿日: 2018.06.14
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    前作から続く予備知識があれば、また、原発に対する思想論争に造詣が深ければ、もっと楽しめたかもしれないです。理由あって以前から読みたかった作家なんですが、ヴァンパイアのイメージが強くて、ちょっと手が出せず… 本作を読んで、少なくとも“そういう”系の作家では決してない、ってことは分かりました。でも掘り下げて生きたいかといわれると… いわゆる本格系ミステリだと思うんですが、ちょっと突拍子もない部分とか、何か奇を衒った部分がないと、大満足!ってところまではいかないようです、自分。よほどの余力が出てくれば、シリーズ他作品にも手を出してみます。

    0
    投稿日: 2016.03.30
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    前作「バイバイ、エンジェル」は薀蓄が哲学的で非常に難解でしたが、本作は前作ほどではなく、且つ情景描写が多くなっているので、若干取っ付き易くなっていると思います。確かにカケルと女教師シモーヌの思想対決は骨が折れますが、物語の本筋と密接に絡んでいるので不思議と引き込まれます。 ストーリーは、ヨハネ黙示録の見立て殺人、二度殺される死体、密室殺人、アリバイ崩し、キリスト教異端カタリ派の秘宝伝説など、これでもかと言うくらい本格ガジェットのが詰め込まれています。トリックはそれほど凝ったものではありませんが巧さを感じますし、見立てた理由も納得のいくものになっています。途中で語り手のナディアとバルベス警部の推理が披露され二転三転して行く展開もスリリングで秀逸。オールタイムベストに名を連ねるのも頷ける超大作です。

    2
    投稿日: 2015.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悪く言ってしまえば、賢いのかお馬鹿なのか判別がつかない小説だった。どこからどこまでが現実で、どこからがフィクションなのだろうか。 たまに登場する中二病的な台詞や言動や組織には苦笑いしてしまう。あくまでも日本が舞台ではないのが救い。 結末も、一番まともに動機のある人物が犯人で、一番きな臭いい人物が黒幕的な役割だったという、イマイチ意外性のないもので残念だった。 思想モデル:シモーヌ・ヴェイユ

    0
    投稿日: 2015.02.27
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    灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。聖書の言葉どおりに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。ラルース家事件の桎梏を束の間忘れさせてくれた友人が渦中に翻弄され、案じるナディア。謎めく名探偵矢吹駆の言動に隠された意図は。 まさに本格ミステリというような、非常に重厚な作品。 面白いが、果てしなく読みづらい。

    0
    投稿日: 2015.01.16
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    再読。 ミステリとして矢吹駆シリーズは別格レベル。本作を再読してもその思いは変わらず。 しかし今回は、以前気づけなかった重大なシーンを発見した。 『くしゃくしゃの髪を片手の指で整えながら狭い階段を家の戸口まで駆け降りたわたしに、自転車を横に立てたカケルがおもむろにこういう。 「僕も行こう。シモーヌ・リュミエールに話があるんだ」  ゆっくりと走り出した自転車の後ろに、わたしは駆け寄りざま跳び乗った。 「速くね、カケル」』 カケルゥゥゥゥゥゥウウウウウ!!!!!!!!! 何してんのカケル!と思わず悶えるこの場面。 本質直感も吹っ飛ぶこの衝撃。 カケルが自転車に乗ってる!!! しかもなぜか妙にスタイリッシュ!!! イメージ的に全然自転車似合わないキャラしてるのに(笑)  自転車を横に、「おもむろ」に「僕も行こう」と言うカケルの姿がツボにはまってヒドイ。 颯爽と乗り込み、無表情で勢いよく自転車をこぐカケル……想像しても……なにこの画?(笑) その上、ナディアが後ろの二人乗り。 『危うく振り落とされそうになって、わたしは全力でカケルの背にしがみつかなければならなかった』 カケルの背にぎゅっとしがみつくナディアさん。 矢吹駆シリーズにまさかの素敵シチュエーションがここに。 カケルとナディアの名場面として、ここは自分の脳裏に深く刻み込まれた。 (ナディアは『バイバイ、エンジェル』だと「なにこいつ?」と苦手なタイプだったけど、『オイディプス症候群』で一気に好きに) 再読すると発見があるもの。

    0
    投稿日: 2013.07.15
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    矢吹駆シリーズ2作目。 歴史とかいろいろからんでて、いやー、読み応えバッチリ。 でも、ナディアのバルベス警部に対する態度かなんかちょっとなぁ。かなりひどい事、言っているのが何だかなぁって思った。

    1
    投稿日: 2013.03.02
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    難解な背景があって、なかなかとっつきづらい。キリスト教に関連した話で馴染みが薄い分、なおさら。 哲学的な議論と結末。次回に繋がる伏線も。

    0
    投稿日: 2013.02.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ①事件に関しては、ただ自分の関心に沿って考察し判断する。場合によっては捜査関係者を欺くことも厭わない。  ②犯罪を現象学的に考察するために、ひとつの犯罪が現象としてどのようにして生成していくのかを、始めから終わりまではっきりと見届ける必要がある。そのため、事件を未然に防ぐことになる干渉行為は極力行わない。  ③事件が終わるまでは、①②を理由に、社会的な責任や人間的な反応といったものは極力表に出さない。  これは、ラルース家事件の時に、矢吹がナディアに語った、自身が事件に関わるときに決めたルールの要約である。今回も矢吹は、そのルールに従い、最初の事件が起きた時、成り行きを喝破していたにも関わらず沈黙していた。  自身の目的のために。  だが彼は、事件の裏で起きていた思想的対決において、相手に対し優勢になるに従って、彼の苦悩は増していくようだった、とナディアは見た。もしそれが真実ならば、矢吹の「真の」真意とはなんだったのか。  私は、彼は対決によって、相手が自分を負かすことによって、第三の離脱、つまりは「真の解脱」を試み、そしてそれは失敗に終わったとみるのだが、矢吹は沈黙するのみである。

    0
    投稿日: 2012.10.14
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    イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/4909009.html) 日本推理作家協会賞候補(35回/1982年)

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    投稿日: 2012.10.12
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    4 非常に濃密。そして非常に手強い。緻密な情景描写。共感し難い語り手ナディアの心情。少し集中力を切らすと簡単に目が滑る。気が付くと2頁ぐらい進んでるのにさっぱり頭に入っていないなんてことも。語り手の「わからなさ」に計算された一因があるものの、最大の理由はカケルの興味のあることに、私が興味がないからなのだが、だからといってすっ飛ばすわけにもいかない。そこをある程度理解していないと最終章がつまらない。読了後の心地良い疲労感は他に類を見ない。 また、本書を楽しむにあたり、前作「バイバイ、エンジェル」は必読。ネタバレがあるからという以外に、前作を読んでいなければ理解できない事が非常に多い。そして本書を楽しんだからには次作「薔薇の女」も読まざるを得なくなる。既に手元にあるので近いうちに読もうと思う。 前作を読んだ時にも感じたが、会話文に“?”も“!”も用いない姿勢に好感。 個人的な《勝手にサマーアクションシリーズ》第2弾だが、本書は冒頭から過剰なまでの灼熱描写で、うんざりする程の季節感であった。

    0
    投稿日: 2012.07.05
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    カタリ派伝説を手玉にとったミステリーである。 笠井潔を他に知らないが、どんな作家なのだろう? 宗教、ナチズム、カタリ派、社会運動、パレスチナ問題などに正面から立ち向かって所論を述べる。 生半可なエネルギーではない。 脱帽である。 ただしあくまでミステリーのカテゴリーに落とし込む。

    0
    投稿日: 2012.05.21
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    殺人事件(本筋)よりも宗教とか思想とかが面白い。 もちろん、全てが絡み合っているので、全体を通して面白いと言うことなのですが・・・ カケルとシモーヌが会話するシーンは良いですね。 本当は星は4つでも良いかなぁ・・・と思ったのですが 前作から引き続き、どうしてもナディアが好きになれないのです。 あまりにも自信家過ぎるところとか。 まぁ、個人的な好みですw

    0
    投稿日: 2011.11.21
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    たしかに前作を上回る完成度。何重もの黒幕が登場し、どんでん返しの連続。読みごたえあり。「薔薇の名前」みたいだった。

    0
    投稿日: 2011.09.23
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    哲学談義を期待していたのだが、ちょっと好みと違った。フランス史などにも興味はないので、得るものは少なかった。

    0
    投稿日: 2011.09.22
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    スバラシい。小栗虫太郎が実はまだ生きていて、これを書いたのかと思った(離脱/解脱のくだりを除く)。たまりません。

    0
    投稿日: 2011.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    神秘的な名探偵 矢吹カケルの第二弾。中世カタリ派の聖地でおこる、南仏の名門 ロシュフォール家周辺での連続殺人。アルビジョア十字軍等史実を交え、ナチスドイツも登場し、歴史と現在を結ぶものは? 黙示録の四騎士になぞらえた連続殺人。疲れるけど面白い。引き込まれる。

    0
    投稿日: 2011.02.26
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    矢吹駆シリーズ二作目。本格的な探偵小説とそれへのメタ的視点、思想や哲学を一緒にやったのがこのシリーズの特徴だが、今回はカタリ派の財宝やらナチズムの影やらヨーロッパの魔術史やら歴史、伝奇オカルトまで一緒にやろうとした感じすらある。ものすごいペダントリーと蘊蓄である 事件も二回殺された死体や密室の首吊りと本格的で、しかも黙示録に見立ててあるから怪しげな雰囲気は満点。好きな人は一気にはまる大作だろう 今回は矢吹駆があんまり探偵してなくて(ただし、詳しく言えないが後半どんでん返しあり)、純粋にシモーヌ・ヴェイユ神学との対決をしてる印象。しかし今回の矢吹はウザい(笑)!オレが哲学の教師だったらこういう考え方の生徒はぶん殴りたくなる。だけに今回の結末はなんか納得 矢吹のナルシシズムが軽く揺さぶられるのもオレ的にポイント高いが、今回は事件の流れと思想的対決を、ちゃんと小説として密接に絡ませたのがポイント高いなあ。初期の矢吹駆じゃ一番面白いかもしれん。そして浮かび上がる真の悪役、ニコライ・イリイチ。彼との対決は、いよいよ初期三部作のラスト、薔薇の女へ持ち越しか?次回はバタイユ思想と対決するようだ

    1
    投稿日: 2011.01.04
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    凶弾に襲われたカケルを気遣い、南仏へ同行したナディアだったが、二人の目の前でヨハネ黙示録に見立てた殺人事件が発生する。中世異端カタリ派の聖地を舞台にした事件は、連続殺人の様相を呈するが・・・。 二度殺された死体、見立て殺人、古城の密室、秘宝伝説、意匠溢れる本格推理小説の傑作。 とにかく重厚。濃密な思想世界。前作は矢吹駆のペダンチックなキャラクタとか哲学思想に頭がひたすらクラクラしましたが、今作はそれに加えてキリスト教と本格推理小説と相変わらずの現象学と・・・おなかいっぱいというか頭がいっぱいすぐる(^q^) また哲学や宗教の蘊蓄を延々語るんじゃないだろうな・・・と身構えていたら、上記の紹介文のようにしっかり本格しててビックリ。このページ数にこれだけの内容を凝縮した笠井潔・・・脱帽。 相変わらず矢吹駆は主人公らしからぬニヒルなヤツ^^ですが、どこか惹きつけられてしまう危うい魅力がありますね〜。ナディアの気持ちが分らなくもない^^ 哲学・思想・宗教に興味のある読書好きな方は楽しめるはず。

    0
    投稿日: 2010.09.18
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     とても重厚なミステリ。その重厚さは、ミステリとしての趣向だけから来るものではない。殺人事件の犯人を捜す以上に切実な、登場人物たちの哲学的な戦いにある。悪とは何か、人間とは何か、生きるとはどういうことかを巡る戦いである。だからこそ、真犯人がわかった後の展開が、未解決だった時以上の迫力を持って迫ってくるのだ。実際僕は、寝ていたベットから飛び上がってうめいてしまったのだった。  もちろんミステリとしても一流だ。密室殺人も相当しっかりしたものだけど、「見立て殺人」の絵解きには脱帽。 2008/4/25

    0
    投稿日: 2010.09.10
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    ■2度度殺された屍体、見立て、古城の密室、秘宝伝説… 灼熱の太陽に喘ぐパリがようやく黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。聖書の言葉どおりに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。謎めく名探偵矢吹駆の言動に隠された意図は――。

    0
    投稿日: 2010.05.14
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    黙示録見立て殺人、というだけで一気に読む気が倍増した私。ええええ、期待にたがわず、でした。前回に負けず劣らず重いけれど。密室、アリバイ、見立て、ともう要素要素がツボを突きっぱなし。しかしこういうとき、日本にキリスト教があまり馴染んでないのがちょっと不便かな。宗教観があまり理解できないので。「カタリ派」というのも、ああそういえば世界史に出てきたかな……くらいの認識しかないので、今ひとつ分かりにくかったかも。 ところでこれ、当初は「アポカリプス殺人事件」だったらしいけれど、それってすごく語呂悪くない? 絶対「サマー・アポカリプス」のほうがいいでしょ。編集部の意向だったらしいけど。

    0
    投稿日: 2009.12.30
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    フランスの実存主義系女性哲学者シモーヌ・ヴェイユにトンデモ役が振られていて、ミステリーとはいえ、驚きました! ヴェイユは美形だから、人気があるようですが…。 ムード、事件の追跡の仕方はダ・ヴィンチ・コードなどの系統ですが、歴史の謎解きを絡める主要な線では不成功で、ただの人殺しに終わっていました。 ここから、ヴェイユ、異端カタリ派、グノーシス、原始キリスト教などに入れば、一興かも。

    0
    投稿日: 2009.11.23
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    4位 1975年〜1994年までの作品の中から選んだ国内本格ミステリのランキングです。「探偵小説研究会」のメンバーによる選で、笠井潔、法月綸太郎も参加しています。1〜100という順位がはっきりついているのが特徴で、表紙の写真、あらすじ、解説など詳しく紹介されています。東京創元社から出版されておりますので、くわしくはそちらをご覧ください。

    0
    投稿日: 2009.03.03
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    矢吹駆シリーズ 謎の組織に銃撃された駆。ナディアと共に南仏を訪れた駆。アルヴィジョア十字軍の財宝、カタリア派の謎。原子力発電所の建設問題に揺れるロシフォール家。ナディアの友人ジゼールの母・ジュヌヴィエーヌ・ロシュフォールの死の真相。犯人として逮捕されたジャン・ノディエ。遺跡の研究の為に訪れたドイツ人ワルター・フェスト殺害事件。2回殺された死体。黙示録に見立てらた連続殺人。ジャン・ノディエの絞殺事件。ニコル・ロシュフォールの墜落死。ジゼールの婚約者・ジュリアン・リュミエールの推理。ジュリアンの姉・シモーヌに突き付けられた真実。ニコライ・イリイチの影。

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    投稿日: 2008.08.04
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    知人に薦められた本で、読んだらレポートを書いてといわれたのだけど、 結局書きませんでした。 この本のレポートを書くために哲学をやたら勉強せなあかんのがめんどくさかったので。。。

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    投稿日: 2008.05.30
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    灼熱の太陽に疲弊したパリで見えざる敵に狙撃されたカケルを気遣い、南仏へ同行したナディアは、友人の一家を襲う事件を目の当たりにする。中世異端カタリ派の聖地を舞台に、ヨハネ黙示録を主題とする殺人が四度繰り返され……。二度殺された屍体、見立て、古城の密室、秘宝伝説等、こたえられない意匠に溢れる、矢吹駆シリーズ第二弾。

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    投稿日: 2007.05.07
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    再読。初読時よりは理解できるけれど、やはり難解な事には変わりない。 カケルやシモーヌの思想に理解は出来ないけどお話としてはとてもよく出来ていると思います。

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    投稿日: 2007.01.28
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    とにかくものすごく面白い。ミステリーに哲学的思想が絶妙な味を醸し出す作品。食べ始めたら止りませんでしたよ。

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    投稿日: 2006.12.10
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    >灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾― その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。 聖書の言葉通りに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。

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    投稿日: 2006.12.08
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    駆シリーズの中で一番好きな作品です。火花が飛び散る思想と思想のぶつかり合いは、真剣勝負を彷彿とさせ、手に汗を握ってしまいます。

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    投稿日: 2006.11.01
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    矢吹駆シリーズ第二弾。(第1弾は画像がなかったの。単純に)哲学的見地、推理小説的見地、どちらのコドモにもなれずに叩かれることが多いけど、純粋に駆青年にキュンときます。

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    投稿日: 2006.10.16
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    矢吹駆シリーズの2作目。これが一番好きです。思想対決が有名ですが、本格推理としても水準の高いシリーズです。しかも、シリーズ探偵物としてのお約束もちゃんと踏まえてます。もう「さすが」としか。

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    投稿日: 2006.09.11
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    これは…凄い。本格の真髄というか本格マニアがよだれをたらすというか。ヨハネ黙示録に見立てられた死体の乱舞、キリスト教の異端カタリ派の謎、関係者の暗い過去、etc...しかもすべてが論理的に解決される。驚いた。さらにすべてが終わった後に明かされる冷酷にして怜悧な事実。 やっぱりこのころの笠井は輝いてるね…。

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    投稿日: 2005.04.09
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    中世異端カタリ派の聖地を舞台に、ヨハネ黙示録を主題とする連続殺人が起こります。ミステリファンにはたまらない仕掛けと設定、そして謎解き。矢吹駆シリーズの中では一番の作品だと思います。

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    投稿日: 2004.10.06