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古代オリエントの宗教
古代オリエントの宗教
青木健/講談社
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総合評価

19件)
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    #54奈良県立図書情報館ビブリオバトル「次回の読書会で読みたい本」で紹介された本です。 大阪ブックフェスタ連動企画として2部制で、1部は、まちライブラリー読書会、2部がビブリオバトルでした。 2015.5.16 https://m.facebook.com/events/1562996537316299?view=permalink&id=1591034237845862

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    投稿日: 2024.09.28
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    ・こうして、「聖書ストーリー」が興隆しはじめる直前に、『旧約聖書』を否定してユダヤ教徒共同体から離脱したマンダ教徒たちは、以後の歴史において、その続編をことごとく否定せざるをえなくなった。これは、結果的には大流行して周囲に浸透してきた「聖書ストーリー」系の宗教をすべて敵に回すことになってしまい、古代末期としては、はなはだ時宜を失した判断であった。 ・ゾロアスター教ズルヴァーン主義の教義によれば、人間は「地水火風の四元素」と「霊魂・知性・芳香」の三点セットの結合から成り立っている。この二つの要素のうち、地水火風の方はいつかは滅びる有限の物質から構成されている。そこで、人間はこの悪の要素を多量に含んだ肉体をあえて死滅させることで、そこに含まれるアフレマンによる世界汚染も取り除き、オフルマズド的な善の世界の浄化に役立つとされる。いわば人間は、肉体部分に悪の要素を含みつつも、死ぬことでそれを減却し、アフレマンが世界創造の際に撒き散らしてしまった害毒を除去するための浄化装置なのである。

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    投稿日: 2022.07.09
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    旧約・新約ゆたつの聖書の世界観に対する古代オリエントの人々の反応、対応について。 旧約をも否定したマンダ教、イエスに焦点を絞り自身もそれに次ぐ使徒としえ「真のキリスト教」を名乗ったマニ教、「聖書ストーリー」に対する「東方の壁」となったゾロアスター教の教義の変遷、キリスト教に飲み込まれたアルメニアのミトラ信仰、預言者の補佐役(イマーム)だけが「聖書ストーリー」の秘儀を開示することができるとするイスラム教シーア派のイスマイール派の展開(十二イマーム派と分裂後の地下活動、ファーティマ朝の樹立、ギリシャの理性的哲学の導入)など。 マニアックな内容がたまらない。

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    投稿日: 2022.04.19
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    キリスト教の拡大からスンナ派イスラームの完成までを範囲とする。大学の講義を元にしているようで,読みやすい本である。その約1000年の期間における,オリエント世界における宗教は次々に変化を遂げていった。元となる「聖書ストーリー」をどう受け取っていったかにより多様性が生まれる。 主な宗教:マンダ教,マーニー教,ミトラ信仰,ゾロアスター教ズルヴァーン主義,イスマーイール派,二元論的ゾロアスター教,スンナ派イスラーム

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    投稿日: 2021.05.31
  • 東 方 の エ ヴ ァ ン ゲ リ オ ン

    目次を開くとまず強烈なパワーワードが目を引きますが、「オリエント」における「福音(書)」の受容、あるいは否定が本書の主題なので、間違いではありません。 旧約聖書を否定したユダヤ人のマンダ教から始まり、真なるキリスト教を自称したマーニー教(マニ教)、ゾロアスター教、イスラム教イスマイール派、シーア派など、二世紀から十二、三世紀くらいまで(あまり古代ではない)オリエントで興隆しては衰退した(どちらかといえば)マージナルな宗教の特徴を、『旧約聖書』、『新訳聖書』、『クルアーン』、それぞれの受容とグノーシスの影響から論じています。 新書ということもあり、同じ著者の講談社メチエの本と比べると、かなり取っつき易くなっています。その分、各宗派の詳細や複雑怪奇なグノーシスの解説などは少なめになっており、興味のある方はそちらをどうぞ、ということなのでしょう。 入門書としてはかなりお勧めですし、各論を読んだ後に全体的な関係を把握するために読むのも良いと思います。

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    投稿日: 2017.12.22
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    新書に相応しい平明な内容と気さくな語り口。古代メソポタミアの宗教に関する知識が新書で手に届くということがまず素晴らしいと思う。「この一冊をきっかけに奥へ読み進める」という意味で入門書としての役割を期待できる。

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    投稿日: 2014.12.02
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    キリスト教やイスラム教に代表される活発な現代宗教が、かつて隆盛を極めたゾロアスター教などのいかにとて変わったのか、シーア派(イスマイール派)とスンニ派の違いはどこで生まれたのかなど、読みごたえのある本。イエスの誕生時に尋ねたとされる当方の三博士が、ゾロアスター教の司祭だとは思ってもみなかった。いわゆる啓典、「聖書ストーリー」から見たゾロアスター教など新しい発見が多かった。

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    投稿日: 2014.03.22
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    読んでいてとてもワクワクした。 マンダ教の存在を初めて知った。 地理的にも情勢的にも過酷な中、離散しつつも現存している(らしい)のが凄い。 なんだかとってもロマンである。

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    投稿日: 2013.05.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    古代オリエントは、多神教の世界である。 その中で、ほぼ唯一、一神教なのが、ユダヤ教。 (イクナートンの宗教改革は突然変異として除外) なぜ、ユダヤ教が一神教なのか。 説明しようとすれば、それなりに説得力があるものもひねり出せるのであろうが、相手は宗教である。 信じるか否かは、理性で説明しようとする一線を越えている。 だから、ユダヤ教がなぜ一神教なのかは、ここでは問わない。 しかし、そのユダヤ教を母体として、キリスト教、イスラームなどが次々に誕生した。 そしてそれらの枝葉は大きく成長し、今や多神教の世界を駆逐して、三大宗教のふたつにまでなっている。 なぜ、このような事態になったのか。 『古代オリエントの宗教』は、パレスティナ発「聖書ストーリー」が、メソポタミア、地中海世界、そしてイラン高原へと拡大していく様子を、聖書が誕生した頃の「神話並立時代」、聖書ストーリーが爆発的な力を得て他の神々を駆逐する「聖書ストーリー発展期」、最後にイスラームによる「聖書ストーリーの完成と安定」と、大きく段階を3つにわけて概観する。 また、そもそも「聖書ストーリー」そのものの発展についても、主に東方教会においては、「グノーシス的理解からの聖書再検討」、「土着宗教の聖書ストーリーへの取り込み」、そして「聖書ストーリーの続編の可能性」、といった問いかけが成された、という。 このような問の中で、東方教会世界では、聖書の「アナザーストーリー」「サブストーリー」が次々に生まれた、という。 グノーシス的な聖書再検討、といっても、よほどグノーシスと聖書についての知識がなければ、ピンとこない。 もちろん私もその一人である。 著者によれば、この動きは、グノーシス主義が乱立した2~3世紀と、グノーシスによく似た思想を持つシーア派が出現した8~10世紀に顕著だという。 そもそもグノーシスとは、特別な叡智を指す。 これを会得した人間にしか理解できない秘密がある、とする考えだ。 この系統で聖書を再検討したグループとして、マンダ教、マルキオーン主義、原始キリスト教教会、マーニー(マニ)教、最後にイスラームがある、という。 筆者はこれを「聖書のアナザーストーリー」とよぶ。 要は『旧約聖書』+『新約聖書』をよしとするか、何かを付け加えるか、といった、聖書の構成を再検討する上での立場の違い、と考えて良いようだ。 これに対し、聖書ストーリーが土着宗教を飲み込んでいく中で、当然、土着宗教の神々を、聖書の中でどのように正当化するのか、という宗教習合問題が生まれる。 筆者はこれを「聖書のサブストーリー」とよぶ。 ここでは、ゾロアスター教、ミトラ教などが挙げられている。 そして、本書はそれぞれの様子を、最新の研究成果を盛り込みながら概説する。 本書で取り上げられる宗教は、いわば「負け組」であり、日本人にとってほとんどなじみのないものばかりだ。 前提となる知識が不足しているため、丁寧な解説を心がけて著述されているものの、ややハードルが高い印象だ。 たとえば、ゾロアスター教といえば、善悪二元論や終末論で有名で、ユダヤ教にも大きな影響を与えたらしい、などといわれる。 一方で『アヴェスター』はアケメネス朝からはるか時代が下った7世紀に成立した、という。 善悪二元論や終末論のような、単純であるが故に高度な神学理論が、経典なしに生まれ得るのか?という疑問をもっていた。 その答えとして、本書は「ゾロアスター教はアケメネス朝期にはズルヴァーン主義なる「時間信仰」と、イスラームという「聖書ストーリー」の攻勢にさらされるなかで整備された「善悪二元論」という、同じ宗教と言うにはあまりにかけ離れた内容を持つ」と解説する。 また、マニ教というのも、今ひとつつかみ所がなかったが、本書は「マーニー・ハイイェーは「真のキリスト教」を掲げて、もっともラディカルに聖書のアナザーストーリーを展開し、地中海世界の「原始キリスト教教会」と真っ向衝突した」とあり、なるほど、異端として厳しく弾圧された理由が分かった気がした。 他にも謎の多いミトラ教の遺跡の貴重な写真などもあり、ハードルが高い異国の魔神たちについて知る、入門書的な本といえる。 謎が多いこれらの宗教について、手軽に概観することができる本は少ないので、このくらいの内容がちょうどいいかもしれない。 もっとも、冒頭の問に対する答えは、本書にはない。 本書は「聖書ストーリー」に飲み込まれる側の物語なのだから、主題から外れるのだろう。

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    投稿日: 2013.04.18
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    イスラームが出来る前に聖書物語は複数発展したと。 原典に継ぎ足す形で、どんどん指導者の作ったストーリーが生み出されて、淘汰され、イスラームに吸収されていく過程を描く。 なんでユダヤ人の民族史がここまで世界の歴史に取って代わったのか、伝播力を持ったのか。そこは筆者も疑問に思っていたが答えが出せないようです。テーマもその理由の説明ではなく、その過程なので。気になる。

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    投稿日: 2013.03.09
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    よんだ!けど全然わからん(笑) 最近神話や宗教についての本を乱読してますが、やはり知識がまだまだ足りないと感じることが多いです。高校の世界史からやり直したい。 引用は気に入った所を。

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    投稿日: 2013.01.13
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    読売新聞の書評を見て購読。 中世南仏ではマニ教の流れを汲むカタリ派が流行して、アルビジョワ十字軍が勃発したといわれているので、本書にそのヒントがあるかと期待したのだが、残念ながら直接的な記述はなかった。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A2%E5%8D%81%E5%AD%97%E8%BB%8D ヨーロッパ西方では旧約聖書(ユダヤ人の歴史)+新約聖書(イエスの一代記)が不思議なことにそのまま受け入れられた一方、東方オリエントでは様々な化学反応を起こして、サイドストーリーやサブストーリー化した様子(マンダ教、マニ教、ゾロアスター教、ミトラ信仰、イスラムなど)を知ることができ、格好の入門書だった。カトリックにはしばしば異教の信仰(たとえばクリスマスや聖人信仰とか)がみられるが、東進しつつこれらを飲み込んできたのもうかがえる。 なお、本書では「真のキリスト教」マニ教は3世紀だとしている。アルビジョワ十字軍が13世紀だったことを考えると、千年も潜伏していたと考えるより、イスラムによって復活したグノーシス主義が十字軍や交易によって広まったと考えた方が自然かもしれない。カトリック東進の流れからしても突然変異だったのであろう。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AA%E6%B4%BE

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    投稿日: 2012.12.28
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    旧約聖書と新約聖書をセットとして聖書ストーリー(後にクルアーンも加わる)と名付け、この聖書ストーリーの伝搬が古代オリエントの宗教にどのようなインパクトを与えたかを描いている。オリエント諸民族の土着の神々と聖書ストーリーの影響下に生まれた異端の神が消えていき、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に収斂されていく様子はダイナミックで興味深い。ゾロアスター教の二元論も聖書ストーリーの影響によるとの説には驚いた。聖書ストーリーという概念が、古代オリエントの宗教を理解するには最適であると納得できた。特に、オリエントを席巻したイスラム教を聖書ストーリーの完結として描いているのは説得力が有る。

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    投稿日: 2012.12.03
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    聖書ストーリーというキーワードを元に古代オリエントにおける宗教の伝播と興亡を描く それにしても、なぜユダヤ人のローカルな世界観から始まった一つのストーリーがこうも世界宗教へと広がって行ったのには驚きを覚える。 その影には多くの諸民族の固有のストーリーが消え去っていったのであり、聖書ストーリーに組み込まれることによって民族のアイデンティティは失われたのであろうか。本書でも扱われている聖書ストーリーのローカル化も含めて示唆に富む内容でした。 講義の内容を元にしているので、少し掘り下げが足らないかなと思うところも有ります。

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    投稿日: 2012.10.09
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    古代イスラエル付近で発生した一神教が、オリエントの土着宗教に相対しながら、アメーバの如く伝播していく様を土着宗教ごとに章を立てて解説。 イスラーム内の細かい話しは難解だったが、概ね読み易かった。

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    投稿日: 2012.08.13
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    「古代オリエントの宗教」とはあるが、時代的には、2~3世紀から、旧約聖書・新約聖書の世界が、それまでにあった土着のオリエントの宗教世界に広がっていく10世紀程度のまでの様子を概説している本である。 なかなか難解な専門用語が多く、1つ1つの定義等がわからないことから概観を知ることしかできなかった。そもそも新書1冊の分量で、マンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、ミトラ教、イスラーム教のエッセンスを概観するのも詰め込んである感はあるが、序章での全体像を押さえるとそれぞれの宗教の立場が分かり、全体像をつかみやすい。 個人的に理解できたことは、「旧約聖書・新約聖書」のセットが、西にローマ帝国、東にペルシア帝国という地理的な関係で、ところによっては聖書の解釈が変化したり、聖書の話を取捨選択、追加するなかで、いろいろな解釈に応じた宗教が生まれることがあり、その代表的な5宗教をもとに、その関係を歴史的・地理的な面を含めて説明した本であるといったところか。 オリエントの歴史、キリスト教、ゾロアスター教等の周辺知識があれば、歴史の流れや関係性が分かって、面白いと思う。

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    投稿日: 2012.08.02
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    この辺りは不勉強なので何か言える立場ではないと思うのですが…。 少しでも知識がないと理解できない難しい単語が並び続けるのでとても読むのに難儀しました。 けど、読むのに難儀しただけで中身は難儀するほど難しくはないと思います。表がまた見にくくて…。 思ったよりも、主題についてサラッと流した本だと思います。

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    投稿日: 2012.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    よほど、こういうことに興味がないと、読了するのは辛いと思う。自分も辛かった。しかし、福建省の山奥にマニ教徒らしき人々が暮らす村が発見されたという話には驚いた。

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    投稿日: 2012.07.29
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     西アジアにおいてユダヤ教・キリスト教がイスラム教へと変遷する過程を「聖書ストーリー」を軸に解説している。本書で扱われているのはマンダ教、マーニー教、ゾロアスター教、ミトラ信仰、イスマイール派。それぞれ「聖書ストーリー」を取り込もうとしたり、逆に取り込まれてしまったり、あるいは完全に拒絶したりと反応は様々である。それ故に「聖書ストーリー」のもたらしたインパクトの大きさが伝わってきた。これら古代オリエントの土着信仰に「聖書ストーリー」与えた影響、あるいは「聖書ストーリー」が何を吸収したのかを読み解こうとしているのだが資料が圧倒的に少ないため推測が多くなっているのはしかたのないところか。推測については筆者として特定の説を推している場合もあるが、別の説も紹介しているためバランスはとれている。

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    投稿日: 2012.07.19