
邪宗門
北原 白秋/ゴマブックス
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総合評価
(1件)5.0
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邪宗門
名高い作品なので読んでみました。 明治初期の欧米文化に対する愛憎まじりあった奇怪な表現が興に乗るとはまります。ポエムが入ってきた影響か、和歌の詩格を利用しつつ、表現に苦心した苦労が見て取れます。 現代人から見ると何ということもない表現ですが、当時は斬新だったのでしょう。 詩人というものは自然を歌い上げるものです。 邪宗門の名の通り、北原白秋のキリスト教文化への期待と挫折がつづられた作品です。受験の失敗なども色濃くこの詩に反映されているのでしょう。北原が華族ではないことも影響している痕跡があるように感じます。 市民階級よりも上だとは言いたいけれど、華族ではない。 欧米文化を親しむが、日本人の価値観は譲れない。 衒学を楽しむが、本心が惹かれるキリスト教には邪宗と呼ぶ。 日本人の欧米文化への愛憎混じった複雑さが垣間見える一作です。 まあ、偉そうに書きましたが、結局、私も日本人の欧米文化への愛憎からは抜け出せないような気もしますが…。 星は5つ。
0投稿日: 2019.06.26
