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私小説
私小説
瀬戸内寂聴/集英社
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総合評価

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    著者は俗評にまでまみれた超の付く著名人だが、著作を読んだのは本作が初。 挑戦的?とも思えるタイトルについ惹かれ、手に取って読んでみた次第。 これは傑作だ。読みながら何度も繰り返しそう確信しながら読み進む。こんなこと、珍しい。文章が、表現が、描写が、構成が、どれも唸るほど美しく、心に染み入る。 作中で著者自身も書いている通り、「私小説」なるタイトルには幾重にもトリックがあるようだが、それは決して薄っぺらく安っぽい試みではない。多くの登場人物に実在のモデルが居ることも容易に分かるが、さりとてその「実物」と作中の人物がどこまで重なるのか?…というような俗物的な詮索をする気など全く起こらない。そのくらい見事に「小説化」されている。その筆力がスゴイ。 他の著作を一切読んでいないが、何となく「本作こそが著者の最高傑作なのでは」と確信するに近い読み応えが味わえた。 ご存命のうちに、一度でも良いので生のお声を聴きたかった。

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    投稿日: 2024.09.04