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ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃
ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃
小林雅一/講談社
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総合評価

23件)
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    2025年3月27日、メルカリでキーワード「低位株」で出てきた「個人投資家が勝てる低位株投資」を出してる人がほかに出品している本。450円。2025年の今ではもう古い内容なのか? 東大に関係ありそうな本を出品してる人だった。 ほかの出品物を見てると「株トレード 1億円を目指すチャートパターン 短期急騰銘柄で資金を回転させる!」という本があり、その本のAmazon︎︎レビューを見たら、その本は良くないと書いてる人がいた。→このあとこの人が高評価してる本を10冊ぐらい登録した。★4に入れた。

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    投稿日: 2025.03.27
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    DNA そのものを作り変えるゲノム編集。その技術概要と生命、社会に与える影響を概説。 特定の特徴を持つ人間を優先的に作り出すことにならないか、寿命を延ばすことはどこまで許されるかなど、倫理的な課題が大きいと感じた。既存の宗教や哲学では対応できない課題。神の領域ともいえる技術だけに、早い義論が必要だろう。

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    投稿日: 2024.07.20
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    遺伝子組換えが危険と言われるのは何故か? ゲノム編集は遺伝子組換えとは異なるのか? ゲノム編集の仕組みは? 最近、食の遺伝子組み換えに興味があったので、手に取ってみた。 ゲノム編集について、大まかに知ることのできる良書。

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    投稿日: 2023.06.22
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    第一章 「人間の寿命は500歳まで延びる」は本当か──ゲノム編集「クリスパー」の衝撃 DNAのメス 遺伝子組み換えの限界 生命科学とITの融合 第二章 解明されてきた人間の「病気」「能力」「特徴」──パーソナル・ゲノムの時代 SNP 行動遺伝学 エピジェネティックス 第三章 ゲノム編集の歴史と熾烈な特許争いの舞台裏──誰が「世紀の発明」を成し遂げたのか ノマド科学者 神頼みの手法からの転換 ゲノム編集の歴史 第四章 私たち人類は神になる準備ができているか──グーグルとアマゾンの戦略 不老長寿の夢 どこまでが許容範囲か

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    投稿日: 2022.06.29
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    人類は“神の領域”に足を踏み入れつつある?人間や動植物のDNAを思うままに操作できる「ゲノム編集」。その技術の実態を、最新鋭の「クリスパー」に焦点を当て、解説する書籍。 ゲノム編集とは、ワープロで文章を編集するように、DNAを自由自在に書き換える技術のこと。中でも、クリスパーと呼ばれる最新鋭のゲノム編集技術は、汎用性に富んでいる。 ・漁業、農業:クリスパーを使い、肉量が従来の1.5倍の真鯛が作られた。収穫量の多い小麦などの開発も進んでいる。 ・医療:従来の医療は対症療法だが、クリスパーには根本的な原因、「遺伝子の変異」を直接治療できる可能性がある。 現在、科学者らは、皮膚や臓器などの「体細胞」をクリスパーで治療することは問題ないとしているが、「生殖細胞」のゲノム編集については抵抗感を示す。生殖細胞の遺伝的変化は子孫へ受け継がれるからだ。さらに、親が子供の容姿や知能を出生前に決める「デザイナー・ベビー」に使われる懸念もある。 人類にとって都合の悪い遺伝子を人為的に駆逐し、都合のいい遺伝子を繁殖させる技術を「遺伝子ドライブ」という。 近年、この技術がクリスパーの力で実現したが、実際に生物を改造すれば、生態系や環境に予想外のダメージを与えかねない。 ゲノム編集の先を見越した研究も進んでいる。 例えば、ヒトのDNAを完全に化学合成するプロジェクトがある。原理的には、人工的に作ったDNAで人造人間を誕生させることは可能だ。 ゲノム編集の「医療目的」と「それ以外の目的」の境界線は曖昧だ。最初は、重度の知的障害の治療が目的でも、徐々に条件が緩和され、赤ちゃんの知的能力に関する遺伝子を改良することは親の義務である、という時代になるかもしれない。

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    投稿日: 2021.11.18
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    crispr cas9によるゲノム編集と、 従来の遺伝子組換えの違いがよく分かった。 ノーベル賞を受賞するのも良く分かるし、 『衝撃』という言葉にも納得。

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    投稿日: 2021.06.09
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    「CRISPR-Cas9」を用いたゲノム編集技術誕生の歴史と社会にもたらす影響について解説した本。 分子生物学の基礎的な知識や遺伝子組み換えとの違いを踏まえて、ゲノム編集の凄さが解説されていて分かりやすかったですが、ゲノム編集の原理についての解説が少ない点が気になりました。 ゲノム編集技術は誰でも簡単に遺伝子操作ができるため、基礎研究に革命をもたらし、今後の医療分野への応用や食料問題の解決が期待されますが、人類の遺伝子操作がどこまで許されるのかを早急に考える必要があることを理解しました。

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    投稿日: 2021.03.15
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    ゲノム編集「クリスパー」に関する入門的な解説本。クリスパーを理解するための必要な分子生物学知識や従来の遺伝子組み換え技術、GMOを巡る規制等も対比として解説されており、非常に分かりやすい。また、特許権争い、Googleの動向などにも言及しており、この一冊でクリスパーとその周辺事項は一通り知ることができる。著者である小林雅一氏は過去に人工知能に関する良書も書かれており、そちらも一読をオススメする。現代のフロンティアの一端を知ることができる。

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    投稿日: 2020.12.20
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    「クリスパー・キャス9」を中心にゲノム編集技術とその歴史、この技術が社会と未来に与える影響力を説明する。やっぱりブルーバックスより分かりやすい。やっと遺伝子組換えと遺伝子編集の違いが分かったよ。 技術の進歩には驚くばかりだけど、それ以上にこの技術の使い方にはもっと慎重であって欲しい。そのためには多くの人間が関心を寄せることが必要だし、できれば経済のシステムから切り離したところで開発を進められないかな。

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    投稿日: 2020.11.29
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    SNP single nucleotide polymorphis SNV アルコール 2段階で分解  1段階 アルコールからアセトアルデヒド(毒性)  2段階 アセトアルデヒドから酢酸 12番染色体のALDH2遺伝子 その塩基配列の一部がAだと、第2段階の分解がうまくいかない CRIPAR Clustered regularly interspaced short palindromic repeats palindromic 回文 ノックアウトマウス 精度低く、時間がかかる 肥満の遺伝子30個程度みつかっているが、遺伝的要因の全体にしめる割合は1.5% 身長に関する遺伝子 700個 全体に占める割合は16% TALEN

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    投稿日: 2019.06.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2016年刊。著者は情報セキュリティ大学院大学客員准教授。  遺伝子組換え技術であれば、これまでも存在し、またそもそも品種改良という点では、それこそ古代から既に存在したと言い得るだろう。  しかしながら、かつての常識的な品種改良の現実から容易に想起できそうだが、改良の所要時間は極めて長期で、また効果面でも奏効する例は極めて少数かつ不確実という問題があった。  これは従来型遺伝子組換え技術でも同様である。  ところが、それを著しく短縮し、確実性を飛躍的に向上させる技術が見つかった。それは「クリスパー」の利用である。  この革新は食糧問題。また難治性疾患の治療。伝染病予防やバイオマス・エネルギー源や生化学的材料工学にも利用可能な技術であり、その進展を飛躍的に進めていくことが期待され、一部は現実のものとなっている。  しかしながら、当然に、人間(勿論、胎児や受精卵、さらには精子・卵子を包含)への応用適用は生命倫理の問題を生む。また、生態系破壊や遺伝子改変に伴う予期せぬ疾患の発生など、従来型組換え技術が予想した問題・不都合がより広く、簡易に、さらにはあっという間に発生・拡散する危険を内包している。  しかも、莫大な利益を先行者だけが独占(特許権者であるが、発明者とは限らない)することに加え、巨大マネーが、先の倫理的問題を無視して遺伝子改変に邁進する危険性があろう。  本書は、簡明にこれら点を(クリスパーの生物学的な機構も含め)解説する。ただし内容面では、やや繰返しが多いかなとは思う)叙述する。  従来型遺伝子組換えとの比較、ゲノム編集のカギ「clispr cas9」の化学的・分子生物学的メカニズムの説明は素人(=私)にも判り易くていいなとは思うところ。

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    投稿日: 2018.04.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    純粋な科学技術は日進月歩で進んでるんだろうが、遺伝子治療の倫理問題とかGMO規制とか、結局は技術の外側の問題が厄介で難航するのが現実世界。 原子力開発の二の舞は避けたいよなあ。

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    投稿日: 2017.10.30
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    ★科学道100 / まるで魔法 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11600705

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    投稿日: 2017.07.05
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    話題のゲノム編集技術がもたらしうる未来について。一般読者にはわかりやすいはず。専門家にとっても社会と新技術との向き合い方を考察するのにとても参考になる。

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    投稿日: 2017.05.22
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    従来の遺伝子組み換えと違い、目的のDNAを的確に切り貼りできる技術が開発されました。 これを用いれば、怪我・病気に強く、知能や体力や容姿が優れている強化された人間を作り出すことも理論上可能です。 簡単で確実な技術であるため、自分を改良、自分の子孫を改良、人造遺伝子によって生まれる完全に近い人間の誕生、などは遠くない未来の話となるかもしれません。 SFの世界が現実となりつつある今、参考となる一冊。

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    投稿日: 2017.03.11
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    人類はクリスパーという名の優れたメスを手に入れた。しかし、どこを切ればいいのかを示す地図は未だなく、その公算も立ってはいない。

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    投稿日: 2017.02.09
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    遺伝子編集技術として革命的な「クリスパー・キャス9技術」を紹介した本。遺伝病の克服など多くの分野での利用が期待されている。クリスパー・キャス9の特長は、「DNA上の狙った箇所をピンポイントで切断、あるいは改変する脅威的な精度とスピード」にあるという。これまでの遺伝子組み換え技術とは格段の差が生まれる。また、これまでの技術がマウスに対してのみ適用可能な技術であったりしたところが、汎用的にすべての生物で使えるようになったことも大きい。 クリスパー・キャス9の説明だけでなく、エクソンやイントロン、選択的スプライシングの話など最新の遺伝子工学の知見を解説した記述も多く楽しめる。チンパンジーとヒトでは98%の遺伝子を共有しているとか、ヒト同士であれば、個人間のゲノムの違いは0.1%でしかない(0.1%でも320万箇所だが)とか、ヒトよりもネズミや稲の方が遺伝子が多いとか、いった雑学的な情報も入っている。SNPやSNVの定義も初めて知ったかもしれない。また、自然界での突然変異は比較的ありふれたものである。いずれにせよ、NHK編の『ゲノム編集の衝撃』よりも細かいことが書かれている。 ダウドナ、シャルパンティエというUSCの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間での特許権の争いにも触れられている。膨大な金額が動いてもおかしくない技術でもあるので、なかなか泥沼的なにおいがしている。 「「全能の技術」を手に入れてしまった私たち人類は、これから、どう進むべき道を決めていけばいいのか? 今の筆者に、その答えは思い浮かばない。あなたはわかるだろうか? 少なくとも、それを考える手がかりに本書がなり得たと願って、その筆をおきたい」と最後に書く。今後ともにその応用事例含めて追いかけらるべき技術でもある。 2016年9月、遺伝子組み換え種子で有名なモンサント社を独バイエル社が買収。彼らが使ってきた遺伝子組み換え技術とクリスパー・キャス9の遺伝子編集技術とは異なるものであることは本書でも解説されているが、こういった合併による巨大化よって、ますますDNAの研究と商用開発も加速していくのかもしれない。

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    投稿日: 2017.01.01
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    グーグルやアマゾンといったIT企業が取り組んでいると書いてあったから興味があって読んでみたのだけど、ITは全く関係なかった。 ゲノム編集というものを自分は全く知らなかったのだけど、遺伝子を簡単に修正できるという革新的な技術らしい。生物学は全く感心がなかったけど、結構すごいことになってるんだなぁ。よくわからないけど、高校生でも短期間で使えるようになるんだとか。とりあえず、鼻炎とアトピーを治したい。 なお、シンギュラリティーで有名なカーツワイルは、シンギュラリティーの起こる2045年まで生きるために250種類ものサプリメントを飲んでいるのだとか。それって、余計に体に悪そうな気がするのだけれども……。 遺伝子の数と知能の数は比例しないということに結構驚いた。人よりも、マウスや稲のほうが多いぐらいらしい。 後、自分のALDH2の遺伝子はA(アデニン)なんだろうなと。下戸で、お酒飲めないし(コップ半分飲むと吐くことがあるので、もう飲まないことにした)。 それと、妊婦が極端なダイエットをすると、生まれてくる子どもが肥満になりやすいというのも驚いた。理由は、胎児の間に栄養不足でも生き残る性質になったため。てっきり、逆なのかと思ってた。 まあ、これだけすごい技術なので、そのうちノーベル賞をとるのは間違いないとのこと。残念ながら、日本人は候補に入らなさそうだけど、ノーベル賞候補となる技術を先に知っていることによる優越感に浸っておこうと思う(ただし、ゲノム編集のきっかけとなったクリスパーというものを発見した人は日本人らしいので、ありえなくはないとのこと)

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    投稿日: 2016.11.17
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    クリスパーという技術はちょっとすごい。 大げさに言えば農業革命、産業革命、IT・AI革命に匹敵する遺伝子革命になり得るだろう。 人間というものは、理念や目的なんかではなく、技術が歴史をドライブしていくのだと改めて痛感。

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    投稿日: 2016.11.02
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    「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1~2年。 正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷解するよう、最新の情報とともに分かりやすく説明してくれている。 科学的な理屈を最低限、キッチリと解説しつつも、門外漢に理解不能なレヴェルに陥らない、絶妙なバランスで書かれていると思う。 技術的に"できる"ことであるならば、その極限に挑み、押し上げ続けるのは研究者の性であろうし、また存在意義でもある。 このゲノム編集という技術に関しては、当然そこに「倫理」という別の枠組みを導入すべきなのは間違いないが、それがどこまで機能するのか、疑念は拭い去ることはできない。 ここまで技術は進んでいたのか、と先達の功績に感動を覚えるとともに、来るべき未来にうすら寒さのようなものを感じてしまう、そんな一冊だった。

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    投稿日: 2016.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最近よく耳にするクリスパーCasについてよくまとまっている。 ・ノーベル賞間違いなしと言われているが、この技術の特許を巡ってダウドナ、シャルパンティエというUSBの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間で熾烈な競争があるらしい(著者はダウドナーシャルパンティエ組の肩を持ちたいような書きぶりだが、実際の応用が早かったということや米国の先発見主義(論文発表は遅かったが実験ノートを提出して発見は早かったことを主張した)のからみもありフェン・チャンが今のところ基本的な特許を認められているらしい) ・クリスパーは回文構造になっている。すなわち、AGGに対するTCCのように、数十文字の回文がいくつかあり、その間に宿主をかつて攻撃してきたウイルスの断片が挟まっている。 クリスパーの近辺にはCsn1(後にCas9という名前に変更された)というヌクレアーゼ酵素がある。これはクリスパー構造によって認識されたDNA二本鎖を日本とも同時に切ることができる。 従来のノックアウトマウスの作成法では、DNA断片を導入するだけで100万分の1の確率であった。しかも導入は一本鎖にしか行なわれなかったため、その後、マウスを交配して相同組換えをおこして二本ともノックアウトする必要があり、うまくいっても一年がかりの作業であった。クリスパーCasであれば3週間で完了する。 ・21000人の患者と38000人の健常者を対象としたGWAS研究によって統合失調症のリスクとなるSNP108個が同定されているが、全てを足し合わせても発症要因の5−7%にしかならない。25万人を対象としたGWASで身長を規定する遺伝因子も697個見つかったが、やはりこれ全てを足し合わせても身長を決める遺伝的要因の16%程度にしかならないと見積もられている。

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    投稿日: 2016.09.24
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    将来ノーベル賞をとるクリスパーの開発経緯。それによってどのような臨床的な応用がされたか、今後されていくのか。 わくわくするような革新的な技術のことがよく分かる良書。

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    投稿日: 2016.08.30
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    KDDI総研リサーチフェローである小林雅一氏が、遺伝子工学・生命科学の分野で、過去に例を見ない驚異的な技術として近年注目を浴び、“神の技術”とも呼ばれる「ゲノム編集」について、一般向けに分かり易く解説したもの。 本書の内容は凡そ以下である。 ◆動植物の遺伝子を操作する「遺伝子組み換え」という技術は既に1970年代からあり、遺伝子組み換え作物やノックアウト・マウスの作成に使われてきたが、精度が極めて低く、膨大なコストと期間を要するものであった。 ◆これに対し「ゲノム編集」では、医師や科学者らが狙った遺伝子やDNAを構成する「G」、「C」、「A」、「T」からなる無限に近い文字列を一文字一文字ピンポイントで削除したり、書き換えることができ、中でも“DNAのメス”とも呼ばれる「クリスパー」という最新鋭の技術は、“高校生でも使える”くらいに扱いやすく、かつ汎用性に富むもので、要する期間やコストが劇的に圧縮された。 ◆クリスパーは近い将来間違いなく人間の治療に適用される。原因となる遺伝子変異が明確に特定されている「メンデル性疾患」と呼ばれる一群の遺伝病には特に有効だが、そのほか「遺伝子治療」、「iPS細胞」、「細胞移植治療」等の異なる技術と組み合わせることにより、何らかの病気(筋ジストロフィーやエイズなど)が発症した患者にも適用できる。がん、糖尿病、アルツハイマー病などの現代社会に多く見られる病気は、いくつもの遺伝子変異が環境要因と相互作用しつつ発症すると考えられているが、グーグルやアマゾン等の世界的ハイテクIT企業は現在、様々な病院や研究機関と連携して無数の患者から集めたゲノム・データを先端AI(人工知能)でパターン解析することにより、複雑な病気の原因遺伝子や発症メカニズムの解明を進めており、ゲノム編集はそれらの病気の治療にも応用できると考えられる。 ◆しかし、医療への応用は「デザイナー・ベビー」を意図的に作り出すような「人類の改良」とも言える発想や、ナチスが声高に叫んだ、いわゆる優生学的な思想の復活に繋がりかねず、いずれ人類が真正面から向き合わなければならない極めて重大な問題である。 ◆また、ゲノム編集により、人間にとっての害虫(マラリアやジカ熱を引き起こす蚊など)を意図的に駆逐してしまう「遺伝子ドライブ」は、長期的に見て地球の生態系に思わぬダメージを与える恐れがあり、慎重な取り組みが求められる。 人類は、ゲノム編集技術により、動植物や自らのいのち、更には地球の生態系をも変える力を手に入れ、まさに「神の領域」に足を踏み入れようとしているが、その技術の具体的な実態と、人間として我々は今後何を考えていかなければならないのかを知る上で、有益な一冊と思う。 (2016年8月了)

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    投稿日: 2016.08.28