Reader Store
明智小五郎事件簿9 「大金塊」「怪人二十面相」
明智小五郎事件簿9 「大金塊」「怪人二十面相」
江戸川乱歩/集英社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

4件)
4.0
1
1
1
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    明智小五郎が関わった事件を事件発生順に並べたシリーズ。 『大金塊』は1930年晩春、『怪人二十面相』は1931年10月11日から12月10日の出来事です。 後書きの解説によると『大金塊』では江戸川乱歩が「『少年探偵団』や『妖怪博士』をお読みになった読者の皆さんは明智小五郎の少年助手小林くんのことはよく知っていると思いますが…」と書いているので、出版されたのはそれらのほうが先だけど、事件発生は『大金塊』が先ってことらしいです。 こちらの二作品は児童向けのため、小林芳雄くんたち少年たちが活躍し、敵も大仕掛けの割には殺人はしない悪党というソフトな描写になり、地の文章の言葉遣いも丁寧です。「お仕事は〇〇をなさっているのです」の言葉遣いで、会話でも息子は父を「おとうさま」と呼ぶなど、児童教育にも配慮されている 笑 少年たちが活躍する物語は、明智小五郎は「頼りになる大人」で(本来この人かなり子供っぽいと思うんだが)、愛妻文代さんは「とても綺麗な明智先生の奥さん」存在が書かれるだけで殆ど出てこない。『蜘蛛男』あたりでは文代さんと小林くんは姉弟な印象だったけれど、少年探偵ものだと明智夫妻のほぼ養子のようなものな印象です。なお、私は勝手に「小林くんは戦争孤児で明智夫妻に引き取られたのかな」などと思い込んでいたんだが、物語の時代はまだ戦前なのでそういう感じでもなかったようだ。 『大金塊』 美術収集家の宮瀬氏の先祖が隠した埋蔵金「大金塊」が謎の盗賊団に狙われた! 宮瀬氏と息子の不二夫くん、名探偵明智小五郎と少年助手の冒険活劇。 今回児童向け小説のため、小林少年や不二夫くんが大冒険・大活躍します。小林少年は14歳くらいかな。盗賊団に誘拐されて牢のような部屋に閉じ込められてもそこを抜け出し、賊の首領の正体を見破り、宮瀬家から盗まれた物まで取り返してしまう。残念ながら少年らしい甘さ・冒険心・虚栄心から盗賊団は取り逃がしてしまうが、師匠明智小五郎だって自信と冒険心で賊を逃がしたことは何度もあるからねー。 物語後半は「大金塊」が埋められている孤島に渡っての大冒険。 少年探偵の活躍、暗号解読、地底洞穴探検、真っ暗闇の恐怖、少年たちの勇気など、一難去ってまた一難、最後まで気が抜けない、んだけど、児童向けのため最後は絶対勝つ!という安心感のある物語になっています。 『怪人二十面相』 冒頭は明智小五郎、海外出張中。え、素人探偵、ついに国家仕事に呼ばれるように!?(初出では「満州国政府からの依頼」だそうです) そんな折に日本中を騒がしていたのは「怪人二十面相」という盗賊だ。変装の名人、現金より美術品を狙い、狙った宝物は予告して必ず盗み出し、血を見るのは大嫌い、という大怪盗。 まずは明智先生の留守中に代理を任されている小林少年が怪人二十面相を出し抜いてみせた。 だが怪人二十面相も負けてはいない、新たな盗みを大成功させる。 いよいよ帰国した明智小五郎と、怪人二十面相の全面対決が始まる。 === この後も末永く明智小五郎や少年探偵団と対決する怪人二十面相の初登場。「少年探偵団」もここで開設されました。カッコよく二十面相と対峙した小林お兄ちゃんを「崇拝」しちゃった小学生たちが自主的に集まりました。 自分が子供の頃に読んだときは、二十面相は変装達人・脱獄名人・催眠術達人・家にすごい仕掛けする人・という魔法使いのような盗賊の印象でしたが、大人になって読み返すと、戦争前後の混乱期にスリルを楽しみに縦横無尽に生きる自由人という感じがしてきた。そして小林少年や少年探偵団に、適度なスリルを与えつつあまりひどいことはせず付き合ってくれる案外いいいやつだ。今回だって小林少年を捕らえて閉じ込めておきながら「君が持っているピストルを渡してくれたら美味しい朝ご飯を出してあげよう」と言って、暖かいおむすび三個、ハム、生卵、お茶を差し入れてくれた、という馳走っぷり。私だって「美味しそうだ!」って思ってしまいましたよ 笑・笑・笑 その小林少年は「探偵七つ道具」とやらを持っていて、牢を抜けたり、助けを求めたりできます。私の「明智小五郎は名探偵というより冒険家」という印象がますます深まった。

    29
    投稿日: 2025.04.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    子ども向けに書かれている?からか、ひらがな多め。 文体も優しめに書かれていてグロさも控えめ。 ツッコミどころも多々あるけど、子ども向け?だし、 大きな心で気楽に読み進められる。 少年探偵団結成の経緯がわかって面白い。 流石に怪しい人物は読んでて察しがつく。

    0
    投稿日: 2024.11.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    江戸川乱歩『明智小五郎事件簿 9 「大金塊」「怪人二十面相」』集英社文庫。 名探偵・明智小五郎の活躍を事件発生順に並べた興味深いコレクションの第9巻。 小学生の頃、学校の図書館から全巻借りて読んだポプラ社の『少年探偵 江戸川乱歩全集』には、『大金塊』『怪人二十面相』のようなジュブナイル作品もあれば、少し妖しくエロチックな大人向け作品も収録されていた。今、読むと非常に懐かしく、読んでいるうちにストーリーだけでなく、細部まで思い出すのは、当時の印象が相当強かったからだろう。 『大金塊』。ジュブナイル作品だけに色々と突っ込みどころはあるのだが、当時はそんなことはお構い無しに、小林少年は一体どうなるんだとドキドキしながら読んだものだ。そして、思い出したのはこの作品で、小林少年の本名が『小林芳雄』と初めて知ったということ。 『怪人二十面相』。言わずと知れた少年の冒険心を刺激する名作。小林少年が率いる少年探偵団が明智小五郎と共に怪人二十面相に闘う図式の完成。解説で三上延が、怪人二十面相を”全力で少年探偵たちに付き合ってくれる「大人の遊び相手」”と少年の純粋な心を踏みにじるようなことを書いているが、これは良くない。 今回も巻末に平山雄一の『明智小五郎年代記』が収録されており、作品の背景、登場の風俗や世相を知ることが出来る。

    3
    投稿日: 2017.03.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    クロニクル第9巻は『大金塊』『怪人二十面相』。 子供向けの冒険譚という性格が強いが、乱歩というとこの辺りから読んだ読者が多いのではないだろうか。『です』『ます』体の語り口調、小林くんの活躍……ただただ懐かしい。 これでクロニクルも残り3冊となった。完結が楽しみなような、寂しいような……。

    0
    投稿日: 2017.01.26