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晴美と寂聴のすべて2 (一九七六~一九九八年)
晴美と寂聴のすべて2 (一九七六~一九九八年)
瀬戸内寂聴/集英社
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    人を傷つけ、人の犠牲の上に咲く芸術の花は、いくら美しくても毒の花ではないだろうか。 読書をしないということは知識欲がないということであり、知識欲がないということは向上心もないということ。何にもまして想像力が培われないということである。本を読む楽しさから教えなければならないことと、現実の生活をふりかえってみる必要がある。 小説家になることは、不良の勲章をもらえるようなものだと思ってかねがね憧れていたが、なってみたら、あまり不良扱いしてくれず。文化人などと呼ばれて居心地が悪かったそうだ。 につ醸成の繰り返しの中で、いつの間にか脳の油が切れかかり、心に垢がたまってくると、旅に憧れる。この世に生きるとは、旅をし続けているようなものだと昔の人は言った。そしてあの世に行ってもひとは旅人ではないだろうか。人間とは旅する動物の意味かもしれない。 自殺しようなんて思ったとき、ああ自分にはまだこんないい友達がいたと、悲しみのどん底でも慰められ、生きていく勇気が湧いてくるものである。 阪神大震災の時、人々は全く予期もしなかった突然の災害の中から、物心ともに想像を絶する御苦労されながら、力いっぱいに不運に立ち向かい、涙ぐましい努力をされて復興へと頑張ってこられた。 人間は死ぬまで、何が起こるかわからないという当たり前のことを感じる。

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    投稿日: 2010.08.15