
完訳 ギリシア・ローマ神話 上下合本版
トマス・ブルフィンチ、大久保博/KADOKAWA
作品詳細ページへ戻る
総合評価
(1件)3.0
0 | ||
0 | ||
1 | ||
0 | ||
0 |
19世紀版教養としてのギリシア神話
1855年、ボストンで初版が出版された"Age of Fable"の翻訳。「伝説の時代」、「神話の時代」くらいの意味になりましょうか。大部分はギリシア・ローマというか、ギリシア神話で、最後の方の10%ぐらいが東洋(インドから中東あたり)と北欧に触れています。1970年に日本語訳され、その際、出版社側のリクエストでギリシア・ローマを強調した現在の題名となり、2004年に増補改訂版が上下巻で出版されました。 ローマ経由のギリシア神話を19世紀の英米文学の文脈で解説するという、ちょっと特殊な形式となっています。「ホメロスを引用したウェルギリウスを引用したバイロンを引用して解説」と言えばよろしいでしょうか…… また当時の倫理観を反映してか、ギリシア神話の下世話で猥雑な部分がかなりマイルドにぼかされています。一般的なギリシア神話の入門書としてはあまり向かないかもしれません。 19世紀までの英米文学を読みたい、読んでいるけれども、ギリシア神話の比喩がまったく分からないので入門書を探している、という人がもしいれば本書がうってつけかもしれません。
0投稿日: 2019.01.05