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エアーズ家の没落 下
エアーズ家の没落 下
サラ・ウォーターズ、中村有希/東京創元社
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総合評価

35件)
3.6
5
17
9
3
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どこをどう受け取るかで、物語の見え方が変わってくる奥深い作品だった。 上巻のレビューで「これはホラーなのか?それともサスペンスなのか?」と書いたけど、下巻を読んで、その答えは読む人によって違ってくると思った。 他の方のレビューを読んでみると、自分とはまったく違う視点から物語を捉えている人もいて面白い。 そうした受け取り方の幅こそが、この作品の魅力だと思う。 私は、幽霊よりも人間の内面に強く恐怖を感じるので、上巻からうっすらと違和感を感じていた“ある人物”が鍵を握るサスペンスだと感じた。 下巻に入ってからのあの人物の内面からじわじわ滲み出ていたものは、自分にとっては1番恐ろしかった。 読者の想像力や読み方によって、この物語はホラーにもサスペンスにもなるし、“誰が”という見方までもが変わってくる。 解説の「カレイドスコープをのぞくような物語」という言葉がまさにぴったりの作品。 謎を解く探偵のような人物は登場しないので、すっきりとした結末を求める人にはオススメできません。 少し長く感じるところもあったけど、不気味な館に没入し、じわじわと忍び寄る恐怖を味わう時間はとても楽しかった。

    99
    投稿日: 2025.06.27
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    皆さんは、どう解釈されただろうか!? 読む前は原題『The Little Stranger』が『エアーズ家の没落』とは、なんとも奥行のない邦題になったものだと思ったが、読了し、その理由がはっきりとわかった。「The Little Stranger」が一体何なのかすら、読者の解釈に委ねられており、訳しようがなかったのだ。 かといって風呂敷を広げるだけ広げて投げっぱなしジャーマンにしているように作品では全くなく、作者の中では全てが綿密に構成されており、絶妙なバランスと巧みな手腕で成り立っていることがわかる。深読みさせるタイトルも、ヒントを与えるようで与えすぎない、作者からの目配せだ。 本作をどう読んだか、誰かと語り合いたくてたまらない。サラ・ウォーターズを読むのは3作目だが、毎作品度肝をぬかせられる。

    0
    投稿日: 2025.02.02
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    ホラーとしてもミステリとしても読める作品で解釈は読者に委ねられる。 視点を変えて読み返したら違う楽しみ方が出来そう。 謎解きを期待すると不完全燃焼。 段々と「語り手」である主人公がおかしくなっていく様が不気味。 ゴシック・ホラー作品をもっと読んでみたくなった。

    0
    投稿日: 2021.11.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夢中になって読んだけれど、途中からファラデーの結婚に対する突っ走り方があまりに独りよがりで、館と家族に関する彼の証言が信用できなくなり、何が本当なのか最後までわからなかった! 原題からするに、ベティがlittle strangerなんだろう。 ベティが館で働き出したことをきっかけに、館の中で澱んでいた負のエネルギーのようなものが力を得ることになり、家族それぞれの前に、それぞれが無意識のうちに恐れを感じたり執着している対象の形になって現れたのかな。とすると、キャロラインが叫んだ「あなた」は最初スーザンのことかと思ったけど、実は彼女はファラデーの幻影を見ていたのかも。結婚に対して怖いくらい前のめりだったから、キャロラインが彼に恐怖を抱いていても不思議ではない(キャロラインは最後、終始理性的に見えたけど)。 でも、この考えでは、なぜベティがそのきっかけになったかということの説明ができない。となるとやっぱりベティが全てを仕組んだということ?でもベティはあの家族をかなり慕っているように見えたのになあ。仕組む理由もよくわからない。うーん。 (となるとやっぱり全てはファラデー?littleていうのは、取るに足らない庶民の彼の形容詞なのかしら??) 解説には、嵐が丘と物語の骨格が似ているとの記載があって、この前たまたま嵐が丘を読んだばかりなので納得した。こうやって点と点がつながるのが楽しいよね。

    0
    投稿日: 2021.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結局、怪奇現象の原因は分からないまま。拍子抜けはしたけど、どうでもよくなるぐらい次々に起こる不幸に翻弄された。主人公が結婚しようと思ったのは館が好きやったからやんね、絶対! 最後の一文で主人公が厄を招いたと思ったが、解説を読んで、原題に注目したら…そういうことか!

    0
    投稿日: 2014.09.05
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     陰鬱になってしまう。だってタイトルからしてエアーズ家は没落することは約束されているんだもの。  出てくる登場人物たちが美男美女ではなく、世間的な意味でのラブロマンスではないのに、どんんどんロマンスになるのは……なんでしょうね。見事としか言えない。  読み終えるのが怖かったー。はい。

    1
    投稿日: 2014.08.13
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    図書館で。何作か読んだことのある作家さんですがコレは合わなかったな。 没落、というタイトル通り旧家の没落なのですがそれよりも語り手である「私」が好きになれず苦労しました。一番家に固執していたのは「私」ではあるまいか?彼の取った行動はどれもこれもエアーズ家の為のようなそうでないような行為なのでこれをお為ごかしとか言うのかなあなんて思いました。 羽振りの良かった一家がそんなつもりは無くても周囲を傷つけていくというのはそういうモノなのかな、などと思いました。

    0
    投稿日: 2014.06.12
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    怖かった。登場人物たちの追い詰められていく心が迫ってきて、びくびくしながら読んだ。 自らが意識しない妄執の、なんと恐ろしいことか。 はっきりとした解答のないまま、すっと手を離されたような最後。

    0
    投稿日: 2013.06.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    下巻では主人公ファラデーと領主館の一人娘キャロラインの恋愛模様が描かれる中、相変わらず館は陰鬱な空気に満たされている。そして起こる悲劇。 真面目で、理性的で、思慮深い主人公。 それなのに、悲劇をますますこじらせ、ややこしくしているのは間違いなく彼であり、彼もまた狂気に蝕まれているのだとわかってくる。 ハンドレッズ領主館って一体なんだったのだろうね、というはっきりした答えがないまま物語は終えたが、そういう作品であることを前もって知っていたのでさほどショックはなかった。 が、しかし。 下巻の末尾にある、三橋曉氏の解説にて一つの疑惑が述べられた時には、ドキリとしてしまった。この作品に一つの解答を導くとするならば、多分それ以外の答えはないのだろう、だがしかし、という感じ。 確かに、原題の"The Little Stranger"の"Little"って何よ、と思いましたけどね。

    0
    投稿日: 2013.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2009年ブッカー賞最終候補作。 この館は生きている? 一家を滅ぼしたのは、狂気か、館の呪いか。 第二次世界大戦後、イング ランド中部のウォリックシャー地方が舞台。 ファラデー少年は、憧れのハンドレッズ領主館に足を踏み入れ興奮していた。普段は優等生の少年が、こっそりと館の一部を持ち帰るほどに魅了された。それ以降、館とは疎遠な毎日の中、ファラデーは親の期待通りに医師となる。とはいっても、しがない町医者で、村人たちのささいな病を診療するのに日々追われていた。 ハンドレッズ領主館への再訪は突然だった。代理でメイドの診察に行くことになったのだ。30年振りの領主館は、幼いころに見た栄華は見る影もなかったが、端々に残る魅力がファラデーの少年の心をくすぐる。だが、エアーズ家に奉公して間もないメイドのベティは、このお屋敷がおっかないと訴える。そして、館では不自然な出来事が多発するようになり、ジワジワと一家を蝕んでいく。 http://www.geocities.jp/british_women_novelists/writers/Sarah_Waters.html

    0
    投稿日: 2012.04.21
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    文庫の解説に、ジャンルを決めきれない作品と書かれていたけれど、少なくても推理文庫に入っているからと言って、推理やミステリの系譜と思うべきじゃない。 謎はあるけれど、謎解きではない。 また、読了にカタルシスは存在しない。 はっきり言って、作者に振り回されただけ。 つまらない内容なのに、最後まで読み通させるウォーターズの筆力にのみ敬意。

    0
    投稿日: 2011.11.12
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    サラ・ウォーターズの新作の翻訳。 時代から取り残されていこうとする家族や館に、次々と悲劇が襲いかかる。 彼らは滅ぶしかない運命なのか?それとも誰かが、何かが彼らを滅ぼしているのか?

    0
    投稿日: 2011.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すっごく平たく言うとイギリス版『斜陽』+不可思議な現象かなあ。でもここに書かれているのは決して滅びの「美学」ではない。生まれながらにして背負わざるをえなかった重圧とそれによって歪まされていく人生にスポットが当てられている。 余談だけど、途中から主人公の空回りっぷりがありありと分かって読んでいて苦しくなった……。どうみたって結婚を申し込むタイミングがおかしいしお嬢様乗り気じゃないの分かるだろ……。

    0
    投稿日: 2011.05.28
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    上巻参照 http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-63.htmlもどうぞ。

    0
    投稿日: 2011.05.19
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    解説にあるように、ジャンル付けが悩む内容。 でも本当に怖くって、ミステリーじゃなくてホラー色の方が強いみたい。 古いお屋敷って確かになにか憑いていそうな感じがあって、そういうイメージを上手く生かしている小説だと思う。

    0
    投稿日: 2011.04.18
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    洋物はほとんど読んだことがなくて文章が若干読みにくい感じがあったけど内容はなかなかのものでした。 館に起きる出来事の謎を最後まで読者に考えさせる感じがよかった

    0
    投稿日: 2011.04.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    買ってしばらく積んでいたのを読み始めたら一気に進んで、さっそく下巻を買ったら続きが怖すぎてまたしばらく放置した。 怖いって、この先に何が起こるかということ。不幸とか裏切りとか絶望とか手の施しようがないとか、そういう事態に、もうかなり自分が入れ込んでしまっているこの登場人物たちが、間違いなく突き進んでいっているのが憂鬱で。 憂鬱で夢も希望もないなりに、きちんと人生を歩いている人が、ふと見つけた謎めく相手にめちゃくちゃに心奪われて、期待をかけて信じて柄にもなくものすごい努力を重ねて、っていう姿にどうもずるずると共感してししまう。 なので、それがどうあっても叶わないのを、認めたくなくて足掻いたあげく裏切られて思い知らされて、それでも人生を続けざるを得ない、というのは、「半身」以上に登場人物が好きだったぶん、けっこう堪えた。 上巻の犬の事件での、「この先後悔することになる瞬間の最初が」みたいなくだりが何度も跳ね返ってくる。 領主館へのエアーズ一族以上の執着とかキャロラインへのぼろぼろの思い入れとか(よく考えたらかなり年の差があると言うかファラデーがいい年だった)、もうファラデー=主人公が一番あぶなっかしい、怖い、しかも本人気付いてなくてどんどん状況が悪くなっている、という一人称の小説で稀にある暗欝な緊張感が味わえた。 ただ、その、語っているのはファラデーだという点がいろいろと疑わしくもさせたり。 わかっていないふりもできるわけだ、とか色々。 最後の事件については「お前だよ」と思う。 それはそれで非常に苦々しい話ではあるけれども、逆にそうであった方がまだファラデーにとってマシだとも思う。完全に部外者のまま、あの館にどんな役割も持てなかったよりは多分。 キャロラインと庭を歩くいくつかの場面や、キャロラインに求婚して頷かれるくだり、ロデリックとちょっと親しくなったり夫人に騎士道精神を見せたり、そういうところどころ素晴らしい情景があるぶん、そもそも回想だというのと合わせてひたすら怪しいし悲惨。

    0
    投稿日: 2011.03.28
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    ホラーミステリーかと思っていたが違った。 ラストがすっきりせずミステリーではなかった。ホラーとしてはどうなんだろう?語り手が遭遇している訳ではないので恐さも伝わってこない。 救いのない物語。

    0
    投稿日: 2011.03.11
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    確かにこの小説のジャンル付けは難しいなぁ……ミステリー?ホラー?スリラー? 語り手を信用出来ないってのも。 エアーズ一家を滅ぼすのはいったい誰?

    0
    投稿日: 2011.02.26
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    幽霊屋敷の話だけれども、一筋縄で終わらないラスト。犯人は誰ということもどうでもよくなる、見事なまでに悲劇的でねちっこい語り口に惑わされる快感。原題が意味深い。

    0
    投稿日: 2011.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ある意味まさかの展開。 そのまま押し通して終わりとは。あっと驚くとまではいかないまでもなんらかの伏線だと思っていたのだが。 ホラーはあんまり面白いと思える質でないので自分的には低評価。 ストーリー的にも同じ文脈の繰り返しが多いし、行きつ戻りつで全体も間延びしてる感じがした。 ■このミス2011海外7位

    1
    投稿日: 2011.02.19
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    う〜〜ん、予想外に大変におもしろかった!!かつては華やかなりし時代を生きた、大領主館エアーズ家。第二次大戦後、大戦で傷ついた若き領主と、母と姉、住み込みのメイドと、おかかえ医師。物語はこの5人でほぼ進むが、問題は「信頼出来ない語り手」である、一人称で語られるという点。ずっとこれは、ミステリーではなく、ゴシックホラーものなのかと思って読み進めたが、最後にきて、う〜ん、これはミステリーになるのかなぁ〜と思ったりして。とにかく、これはいったい何なの?なんだかわからないけど、で、どうなるの?どうなるの??的に、頁を繰ってしまった。最後の最後の行、これは、どうゆうこと・・・それが答えだというのかなぁ・・・ああ、わからないけど、すごくおもしろかた♪

    0
    投稿日: 2011.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こういう終わり方というかこういう類の小説は好みが分かれると思いますが(僕は解決編的なものがあるほうが好き)、読ませますね。館にまつわるミステリと思わせておいて男やもめの奮闘劇でした。

    0
    投稿日: 2011.02.14
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    今回は今までと趣が違うゴシックホラー風の作風。まるでスーザン・ヒルみたいだ。荊の城のようにテンポいい作品ではなく、夜愁のようにじんわり話が進行する。今回は同性愛が出てこなかったのも、これまでとは違うが、キャロラインのキャラは同性愛の女性に近いものを感じる。見た目は悪く、いかつい、気難しい女性だがどこか魅力のあるキャラクター。弟は母に似て美男だが、戦争の傷で美貌は損なわれ障害もある。気難しいが、誇り高く魅力のあるキャラクター。語り手である医者、これがどうしようもない。魅力の無いキャラクターなのだ。しかしこの時代の普通の男性はこんなものなのだろう。モヤモヤしたものが残るが良い作品。再読が必要かな?

    0
    投稿日: 2011.02.03
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    読んでいる間じゅうすんごい怖かった。 なのに、最後まで読むのを止められない。 すごいぜ、サラ・ウォーターズ。

    0
    投稿日: 2011.01.17
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    大部にもかかわらずラストまでまったく飽きさせない。サラ・ウォーターズには安心して時間と五感を預けられる。ブッカー賞最終候補作。

    0
    投稿日: 2010.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    お屋敷に怪奇現象とくれば、これはもう大好物。 どう読むかに関しては読者の手に委ねられているので、読後、「ねぇ、ねぇ、どう読んだ?」と聞いて回りたくなる。 私はといえば・・・・ おや、と気になる、突飛なというか異常ともいえるような行為があったので、上巻なかばからあたりをつけて読み進めていたため、ラストはああ、やっぱり・・・・・と納得。 超常現象をまじえたサイコ・スリラーとして読んだ感じ。 終盤で、登場人物のある決断に伴って件の人物の異常性が、これでもか、とあぶりだされてくるあたり、怖いのなんの。 そう見定めて読むと、原題の The Little Stranger の Little がとてつもない怖ろしさで迫ってくる。 とはいえ、もう一人のstrangerのほうも、手立てがあるしなぁ。   The Little Stranger by Sarah Walters

    1
    投稿日: 2010.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (上巻感想から続く。これから読む人はパスしてください) うーん…。最後の最後まで「半身」みたいなあっと驚く結末を期待していたので、ちょっと肩すかし。こういう「ねじの回転」的味わいも嫌いではないけれど、何というか、スカッとしたかったんだよねえ。全体の語りには大満足なんだけど。

    0
    投稿日: 2010.12.01
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    図書館の本 内容(「BOOK」データベースより) 相次ぐ不幸な出来事の結果、ハンドレッズ領主館はますます寂れていた。一家を案じるファラデー医師は、館への訪問回数を増やし、やがて医師と令嬢キャロラインは、互いを慕う感情を育んでいく。しかし、ふたりの恋が不器用に進行する間も、屋敷では悲劇の連鎖が止まることはなかった…彼らを追いつめるのは誰?ウォーターズが美しくも残酷に描く、ある領主一家の滅びの物語。 やっぱりこの作家さんは「半身」を超える作品はかけないのでしょうか? あのレベルをきたいしちゃうとねぇ。。。。。

    0
    投稿日: 2010.11.12
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    確かにこれはどこに分類されるのでしょう。ミステリー?ホラー?いろいろな解釈でOKなんでしょうか。やはりサラ・ウォーターズは面白い。

    0
    投稿日: 2010.11.06
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    シャイニングとかレベッカを読む前にこれを読んでたら、もっと驚きを感じたかもしれない。肝心なことは覚えてないのに余計なことばっかり覚えてる自分がうらめしい。 しかしながら、怖い。夜には読みたくない。

    0
    投稿日: 2010.11.05
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    このひとの物語の終わらせ方はすごい。 おばけものはこういう人のが怖くていいと思う。 上巻ではあんなに好きだったファラデー先生が…。

    0
    投稿日: 2010.10.28
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    ついに若き当主のロデリックが心労のあまり館を離れることに。 その費用を捻出するために、家族はますます倹約を余儀なくされます。 館のすぐ近くを売った土地に、新しいアパートが建つことに。 果たして、ロデリックの言っていた館の呪いとは…? 説明のつかない不気味な現象に見舞われる館。 残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインを放ってはおけない気持ちのファラデー医師は、ますます頼りにされます。 令嬢キャロラインは地味な外見だが芯は強くいきいきとして、ファラデーとは身分も違うが、しだいに心が通い合うように。 不器用な二人の接近ぶりと行き違いがありありと描かれてまた、見事です。 館の壁に妙な文字が浮かび出て、それを見た夫人は何か思う所がある様子、だんだんと閉じこもっていきます。 幼いときに死んだ最初の子スーザンを夫人は誰よりも愛していたのでした。 スーザンの霊?それとも、夫人の思いなのか、何者かの作為なのか、無意識の生き霊?館にこもる怨念なのか? キャロラインはポルターガイストかと疑います。 あくまで科学的に捕らえようとするファラデーですが…? どんどん崩壊していく館のものすごさ。 ホラー好きな人を満足させる~じわじわと盛り上がる描写。 厚みのある設定でリアリティがあり、単なるホラーではありません。 何通りにも解釈が成り立ちそうで、どれも怖い… ウォーターズはすごい!

    0
    投稿日: 2010.10.22
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    斜陽の旧家の崩壊が本格的に始る下巻。主人公とヒロインの恋愛要素もあるが、ところどころで“滅び”の気配がちらつくので、いつ関係が壊れるのかとヒヤヒヤしっぱなしだった。結末も安易すぎず曖昧すぎず、いい按配だと思う。いろいろな読み方ができそう。 悲劇として良い作品でした。

    0
    投稿日: 2010.10.14
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     ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。  かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。  その姿を主治医の視点から描く。  とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。  ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。  が、ファラデーは決してそれを認めない。  彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。  また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。  誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の恐怖の源なのかもしれない。

    0
    投稿日: 2010.10.05