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源氏供養 草子地宇治十帖
源氏供養 草子地宇治十帖
森谷明子/東京創元社
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総合評価

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    とうとう読み終わってしまった。 最終巻は、宇治十帖をめぐる物語。香子(紫式部)の腹心、阿手木は遠い大宰府へ。そのため、香子の隠棲する宇治で起こった事件が、式部の視点からのみ描かれていることは、これまでと違った趣向だった。 ストーリーテラーである阿手木を香子から引き離してまで、作者は刀伊の入寇を、ひいては襲来後もしなやかに生きていく女たちの姿を描きたかったように思う。 『源氏物語』は光源氏の栄華の物語、因果応報の物語とも言われるが、大和和紀さんは『あさきゆめみし』で、女性の生きざまを前面に押し出して描いた。このシリーズも、藤原道長の栄光の影に隠れがちな、数々の女性たち(修子内親王をはじめ、一条帝女御の元子や敦明親王妃の延子など)にスポットをあてられ、女とはなんと不自由なのか、女とはなんと強いのか、さまざまな生き方を浮き彫りにした。 あとがきによると、このシリーズの1作目『千年の黙 異本源氏物語』でデビューした作者は、2作目に宇治十帖をめぐる作品を書きたかったそうだ。そうした背景もあってか、1作目のストーリーがうまく引き継がれ、ことに、失われた「かかやく日の宮」の問題が決着させられていたことは、最終巻にふさわしい仕掛けだった。

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    投稿日: 2025.10.26
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     デビュー作の『千年の黙』、『白の祝宴』、そして『望月のあと』と続いた平安王朝推理絵巻の完結編。ストーリー的には、第1巻の『千年の黙』のエピローグに繋がっている。  紫式部(香子)は既に出家し、宇治にある寺の庵で暮らしていた。そして、すぐ近くには藤原道長の別荘があり、その近辺で事件(?)が起こるのだが…    本作は香子が宇治十帖を書き上げる話と、彼女に以前仕えていた阿手木が遭遇した刀伊の入寇の話がメインとなっている。この時、阿手木は太宰府の権帥となった藤原隆家の家人源義清の妻として、九州へ共に赴いている。    本作では、源氏物語の中でも作者別人説が強い「匂宮」、「紅梅」と「竹河」の三帖についての作者なりの「解答」が示されており興味深い。また、以前の三作に登場したした人物も幾人かでてくる。しかし、これら三作にある彼ら彼女らのエピソードを読んでいないと分かりにくいと思える。三作を読むことをおすすめする。  また、香子の娘賢子も彰子太皇太后の女房として出仕しており、その後もかなりの出世をすることになる。その処世術の片鱗が伺えて面白い。

    46
    投稿日: 2024.08.15