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複眼の映像  私と黒澤明
複眼の映像 私と黒澤明
橋本 忍/文藝春秋
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総合評価

22件)
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    黒澤明監督作品で橋本忍が脚本に関わったものでは、 『生きる』『七人の侍』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『悪い奴ほどよく眠る』を 橋本忍が脚本に関わっていない黒澤作品は 『野良犬』『天国と地獄』『用心棒』、 黒澤作品ではない橋本忍脚本は 『砂の器』『八甲田山』 を見たことがあります。 その中では、『悪い奴ほどよく眠る』と『天国と地獄』が好きで、 黒澤映画の現代劇が好きなのかなーと思ってました。 製作年をはっきり把握しておらず、『生きる』は後期のものと思い込んでおりました。 どうやってあの名作映画の脚本を作り上げているのか興味がありましたが、 想像しないものでした。そもそも脚本作りについて全く知らないので意外も何もないかもですが…。 近現代の小説家なんかが宿に泊まっていたのは耳にしたことありますが、本当に宿に止まって書き上げるんだー…。 定刻できっちり仕事するところにも驚きました。 共同脚本の初期の小國さんの司令塔のような働きぶりは驚き、最初はそのすごさを理解できなかったのですが、全体を見渡せる人のいる重要性がだんだんわかりました。またそのプレッシャーも。 がむしゃらに書いて、豪腕でまとめる方がそれはそれで楽なのですかね。 脚本の仕事でも映像製作でもないですが、先にテーマをしっかり決めてぶれずにやりきるとか、豪腕で突き進んでも難しいとか、はっきりとは自分でも掴めないのですがどこか一般の仕事でも教訓にできそうな匂いを嗅ぎ取りました。

    0
    投稿日: 2025.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    黒澤明作品を見る中で、脚本への強烈なこだわりを知った。 脚本を書く、というか脚本家を巻き込んでホンを生もうとすること、さらにその手法を確立しようとすることが映画製作の一部であった、と。 それを脚本家の側から書いたのが、この本。 「ライター先行形」、「いきなり決定稿」なるほどなるほど。 ネットで知っただけの「侍の一日」という未完作についても。 で、面白いのはこの本の文体で、なかなかこってり味なのだ。 なんでも1918年生2018年没の作者が、2006年に発表したもの。 つまり80代後半。 日記の習慣がないという人なのに、あの時あの場面で誰がどうしたかを明確に描いている。 つまり多分盛ってる。 だからこそ面白いし、だからこそ事実ベースの研究とはそぐわない。 だいたい繰り返しが多いし。 そもそも橋本忍の個性も強いし。 ちょっと笑っちゃったのは、死にそうな人の病床にお見舞いに行って、半分説明半分恨み節なドストエフスキーばりの長広舌を繰り広げるところ。 そんなんに付き合わされたら死ぬわ。 また、伊丹万作の幽霊に語り掛けるところとか、もう作者半分向こう側じゃね。とか。

    5
    投稿日: 2025.03.07
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    橋本忍が、自身の脚本家人生を振り返り、作品の制作過程や黒澤明などの巨匠との出会い・別れを描いた自伝。 以下2点を主に感じた。 ①脚本作りにおいて重要なこと ・共同脚本の必要性と、ライター先行型といきなり決定稿のメリットデメリット ・脚本において特に重要な要素はテーマ、ストーリー、キャラクターの3つである ・小説は読み物、シナリオは設計書という全く別の種類のものである ・「余裕のある仕事からは何も生まれない。知力も体力も喪失し、性根も尽き果て、血反吐を吐くような状態で尚も書き続け、仕事を成し遂げた場合のみ、初めて体得しうる、物書きの自負と自信と力に似たものである」 ②橋本忍と黒澤明の脚本作成の変化と、庵野監督との類似 ・共同脚本:「同一シーンを複数の人間がかき(複眼)、それらを編集して混声合唱の質感の脚本を作り上げる。それが黒澤脚本の最大の特徴なのである。」 ・「7人の侍」以降の、橋本忍と黒澤明それぞれの脚本作成における変化の仕方が異なる(橋本は本作によって脚本作りの段取りの重要性を知ったが、黒澤明は段取りを捨ててしまった) ・黒澤明と庵野秀明との類似を見た。庵野監督はシン・エヴァンゲリオンを作る際に絵コンテを作らずにさまざまなアングルからのプレビズを作った。またシン・仮面ライダーを撮影する際も、「殺陣が段取りになりすぎている」として0から殺陣のシーンを作り直しており、計画性ではなく偶発性に基づいて作品を作ったという。 これは七人の侍以降の黒澤明の脚本作りにおける姿勢である「いきなり決定稿」、つまり事前準備を避ける姿勢と類似していると感じた。

    1
    投稿日: 2024.05.06
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    半世紀も前、パリのシネマテークで何の予備知識もなく蜘蛛の巣城を観た時、二十歳の自分は初めて日本人であることの誇りや嬉しさを感じた。 橋本忍さんは黒澤明の影に隠れているが世界の映画史上最高の仕事を残した人だとこの本を読んで初めて知った。感謝。

    0
    投稿日: 2024.02.13
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    トップレベルの脚本家や映画監督の視点を垣間見れる作品だ。本書は黒澤明監督と共同で多くの名作を世に送り出した脚本家の橋本忍氏が書いた本だ。 「複眼」というキーワードに惹かれて本書を手に取った。複眼についての説明が現れるのは以下の部分。 「黒沢組の共同脚本とは、同一シーンを複数の人間がそれぞれの眼(複眼)で書き、それらを編集し、混声合唱の脚本を作り上げるーそれが黒沢作品の最大の特質なのである」 想像していた「複眼の映像」ではなかったが、たしかに素晴らしい作品をつくるためには有効な手法だと思った。プロフェッショナルが集まって、分担して作品を作るのではなく、一つの箇所を同時にかつ別々に書いてみて、もっともよく書けているものを採用する。この方法は作品が完成するまでにかかる時間は増えるが、作品の品質は段違いに高くなりそうだ。また、同じ部分について他の脚本家が同時に書いた文章を見ることができ、お互いの文章を比較して、次回の執筆に活かすことができる。この比較による技術の向上効果が大きいように感じた。 この手法は日々の仕事や小中学校での作文に活かすことができるように感じた。仕事で同じことに関する報告書を数人で書かせて、お互いの文章を読みあうことで、他人との違い、自分の欠点、もしくは優位性を把握することができそうだ。

    8
    投稿日: 2023.10.29
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    菊島隆三、小國英雄と並んで黒澤明の全盛期を支えた脚本家、橋本忍の自伝。 伊丹万作に師事した後、黒澤明と出会い、『羅生門』が生まれるまで。またその後『七人の侍』の地獄のような脚本製作の話、また天才監督の野村芳太郎との出会いなど、日本映画の黄金時代を支えた人たちの驚くような話の数々に舌を巻く。 国立フィルムアーカイブから出ている『脚本家 黒澤明』展、『羅生門』展の図録なんかと合わせて読むと、より黒澤明、橋本忍、そしてその周りの人たちのスゴさが理解できるかな、と。

    0
    投稿日: 2023.07.20
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    傷痍軍人療養所のベットに横たわる著者が偶然手にした一篇のシナリオ。伊丹万作に師事、黒澤明との共作「羅生門」で脚本家デビューした著者が、初めて明かす創作秘話。黒澤映画の貴重な一次資料にして、日本映画界を支えた名脚本家の感動の自伝。(親本は2006年刊、2010年文庫化) ・プロローグ ・第一章 「羅生門」の生誕 ・第二章 黒澤明という男 ・第三章 共同脚本の光と影 ・第四章 橋本プロと黒澤さん ・第五章 黒澤さんのその後 ・エピローグ 副題に私と黒澤明とあるとおり、その話がメインである。数々の名作がどの様に作られたのか、読んでいてとても面白い。読了後に、本当にノンフィクションだろうかと疑ってしまうくらい面白い。 黒澤映画は、脚本が「共同脚本」から「いきなり決定稿」へと変わることにより、迷走を続ける。日本映画界も斜陽を迎える。天才ゆえの悲劇が感じられた。

    0
    投稿日: 2020.11.08
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    (01) 日本の著名な映画監督である黒澤明について(*02)の本である.特異な点としては,黒澤が手掛けた映画の頂点をなすとされる「羅生門」や「七人の侍」など1950年代の作品の脚本を共同執筆した著者が,自らの半生を回想した自伝とともに黒澤の方法を証言し,批評している点にある. 脚本の方法論としては,共同脚本という方法に焦点が絞られている.数人で缶詰になり,脚本を推敲しつつ仕上げていく困難な方法が映画の設計図として有効であることを著者は主張する.なかでも,「いきなり決定稿」に取りかかるのではなく,推敲や手戻りも多い「ライター先行形」が最上の方法であり,50年代の名作もこの方法に拠っていたと後知恵として語る. 脚本の方法論としても,興味深く読むことができるが,映画監督の黒澤がもっていた脚本家としての一面を窺い知るとともに,黒澤という不気味な存在も本書には浮かび上がっている. (02) とはいえ,本書に登場する映画人はもちろん黒澤明だけではない. 著者が師と仰ぐ伊丹万作をはじめ,ともに共同脚本をなした小國英雄や菊島隆三,黒澤の助監督で経験を積み,のちに監督となっていった野村芳太郎,森谷司郎のほか,東宝の面々などが登場し,映画という共同作業や,映画界というワークがどのようなものであるかを把握する手がかりにもなっている.

    0
    投稿日: 2020.05.25
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    「生きる」「七人の侍」「八甲田山」砂の器」。予備知識なく見て面白かった映画はみな橋本忍さんの脚本だったのだな。

    0
    投稿日: 2020.03.07
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    脚本という企画。 それは、監督という相手あってのもの。 この共同関係と対立関係が、作品に緊張を生む。

    0
    投稿日: 2020.01.03
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    物心ついてからの黒澤明作品といえば「影武者」であり「乱」だった。巨匠の作品は私にはどうもわからないようだと何十年も彼の作品を見ることはなかったが、たまたま映画館でみたデジタルリマスター版の「七人の侍」に度肝を抜かれた。このあまりに鮮烈な作品のことが知りたくて本書を手に取った。戦いにも似た共同脚本という形式を初めて知った。橋本氏は黒澤明は職人から芸術家になったという。80年代の作品がどうにも理解できず重苦しさだけが残った理由が分かったような気がした。「夢」を観てみようと思う。

    0
    投稿日: 2019.02.14
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    映画で重要なことは何か。脚本はどういう役割でどう作られるべきなのか。その答えが書かれている。まさしく、ある時期までの黒澤映画は「複眼の映像」なのだ、ということがこの本の”テーマ”だ。 脚本家として出発したこの人らしく、この本の書かれ方もとても脚本的。たとえば、感情を直接描かず、風景や画面、もしくは行動や仕草で示している。 映画をそれなりに深く楽しみたい人にはとても示唆に富む一書。

    0
    投稿日: 2017.03.30
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    2014/4/18 読み始め 4/30 読了 黒澤明と羅生門や七人の侍作り出した裏側を中心とした話。脚本家が何をしている人か、映画がどう作られてきたのかを知らなかった自分には、新しい世界が見えたほど勉強になった。おかげで芥川龍之介にも興味がもてたし、黒澤明の映画も見たくなった。 黒澤明のその輝く経歴と比例しているのか、共同執筆後の話はだいぶダレた感は否めず、先を読むのが苦痛だった。気持ち的には☆4.5

    0
    投稿日: 2014.04.18
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    ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/384962496.html 黒澤明が秋田出身で、持ち唄は秋田民謡? 橋本忍は、「七人の侍」の脚本を黒澤明、小國英雄と共同執筆した。 その一事で、世界の映画史に名前が刻まれる脚本家だ。 自身のオリジナルでも、「私は貝になりたい」「砂の器」(山田洋二との共同)「八甲田山」など数々の名作・ヒット作を書き、日本のシナリオライターの最高峰に位置する。 その橋本が、黒澤に声をかけられて「羅生門」の共同脚本を書くところから、8本もの作品を共にしたその執筆の現場が、ありありと、あたかも映画のシーンを見るように再現される。…

    0
    投稿日: 2014.01.13
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    日本映画を代表する脚本家が、共同で脚本を書いた黒澤明監督との仕事や付き合いを中心に書いた自叙伝。 「羅生門」「七人の侍」の脚本製作時の裏話は非常に面白い。七人の侍は2つの映画の没シナリオからでてきたもので「百姓が侍を雇う」というアイデアが出てくる創作過程は当事者ならではの生々しさがある。黒澤監督の凄さや作品の欠点も丹念に論じている。  脚本とは何か、面白さは何かを明確にして黒澤映画の後期作品も俎上にのせて、的確な批評を述べている。非常にためになる意見が多い。  著者は、黒澤監督と別れ、自らのプロダクションをたちあげて映画製作始める。「八甲田山」「八つ墓村」と空前のヒットを飛ばすが、東宝50年記念作品として作ったのが「幻の湖」だ。マラソン、ソープランド、戦国武将、宇宙船という要素を合わせた歴史に残るスカタン映画だ。一週間で配給を取りやめることになる。この映画のことは語らないのかと思っていたが、ちゃんと論じてて面白い。  脚本を作っていく過程で、複数の人間がチェックして問題点を治していかないととんでもないことになるのだなと。これは著者も黒澤監督もなかなかうまくいかなかった。特に巨額な製作費と宣伝が必要とされる映画制作と配給会社との兼ね合いは難しい。これは映画だけのことではないと思う。  いやあ、これは映画ファンは絶対に読むべき本だと思う。ただの資料だけじゃなくて今でも通用する話が多い。引用したい面白いエピソードや意見ももりだくさんだ。

    0
    投稿日: 2012.08.10
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    まず黒澤作品を見ること。 脚本を書くということは才能だ。けれど他の才能もある。あがいてあがいて、その末に、その、才能の無意識が成せる業。 もし私が人を書きたいのであれば、カメラを据えて意味のある顔を探し、観察し尽くす。形に拘らず書き出すこと。しかし、私には続け、終わらせることこそが次に進むための鍵なのだ。 橋本さんは共同脚本を念願にしている。同時競作。それこそがストーリーを複眼でとらえる画期的な手段だと。 映画のために。

    1
    投稿日: 2012.06.27
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    まず、久々にのめり込んで読んだ そもそもこれが日本を代表する脚本家の技なのであろう・・・ 映画ファン、黒澤ファン必読 また、職人と芸術家の差異、プロフェッショナルとは何か、など、仕事論としても価値ある一冊 明らかに名著です

    0
    投稿日: 2012.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    稀代の脚本家、橋本忍が日本映画界の巨匠、黒澤明との葛藤を描く。 以下、まずは気になるところをつらつらと。 ・黒澤明は閃きを掴む。 ・脚本の善し悪しは誰もが手をぬきがちになる人物の彫り。黒澤明の脚本つくりの最大の特徴は手抜きしてはならないものは徹底的に手を抜かない。 ・脚本直しは三流監督。 ・黒澤明は芸術家へと変貌していった。 この本はいわば橋本忍が黒澤明との間に感じた自伝的書である。 作中に黒澤明が自伝はどんなものでも面白いと語っているが、全くその通りである。 人にはそれぞれの人生があり、ドラマがある。 それが面白くないはずはない。 感動する。 巨匠として日本映画界に君臨し続けるイメージのある黒澤明だが、この本の中では監督の苦悩と苦闘が見える。 それは常に複眼の目でともに脚本を作っていた橋本忍だから知っていることである。 橋本の黒沢映画への批評は黒澤という人物を知っているから出来る批評でもある。 そしてなんとまあ、面白く書いてくれるのだ。

    0
    投稿日: 2010.12.17
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    「激マン」好きはぜひ。大傑作。「生きる」「七人の侍」など数々の黒澤明作品の共同脚本を手がけ、独立後は「砂の器」「白い巨塔」などの傑作を残した日本映画界の巨峰にして脚本家の中の脚本家・橋本忍が、黒澤との出会い、シナリオの書き方、そして生涯をハイテンションに綴る。文章うめえし、勉強になる。

    0
    投稿日: 2010.10.04
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    とにかくクロサワの『羅生門』『生きる』『七人の侍』を 読んで、そんでこの本を読んでください。 モノをつくっている人々には必読だと思います。

    0
    投稿日: 2010.05.20
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    脚本家の橋本忍が書いた「複眼の映像」読了。これは文句なしの名著。ビジネス書でもないのに21カ所に付箋を貼った。映画好きに向けた内容だけど、ここに書かれていることはどれも仕事に活かせる話ばかり。特に黒澤明と「七人の侍」の脚本を書くシーンは壮絶&圧巻。

    0
    投稿日: 2010.04.23
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    単行本で一度読みました。橋本氏の現在のお住まいが、私にとって馴染み深いところなので、何だかうれしいです。完全なノンフィクションなのかどうかはともかく、黒澤映画の共同脚本の執筆システムがこれでよく分かります。

    0
    投稿日: 2010.03.29