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菜の花の沖(三)
菜の花の沖(三)
司馬遼太郎/文藝春秋
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総合評価

34件)
4.2
13
13
6
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦国大名や幕末の志士を主人公にした小説が目立つなかで、司馬遼太郎にしてはめずらしく、民間人である廻船商人・高田屋嘉兵衛を主人公にした長篇小説。この高田屋嘉兵衛という人物については、わたし自身はゴローニン事件の一方の当事者として、日本史ですこしだけ習った記憶があったが、ラクスマンやレザノフといった海禁政策下におけるほかの来航者と、それに対して幕府がどのような対応を行ったかという一聯の流れのなかで教わるため、個個の案件や人物については詳しくは知らない人が多いのではないであろうか。わたしもほとんど名前だけしか知らない状態で読み始めたが、この嘉兵衛という人物がじつに魅力的で、なぜいままでもっとよく知らなかったのだと後悔するほどである。嘉兵衛はたんに巨万の財を築きながら、不運にもロシア艦船に拿捕されてしまった被害者というわけではない。嘉兵衛は拉致された人質という立場にありながら、坐してただ助けを待っていたわけではなく、みずから事件解決の糸口を切り開こうと尽力する。突然言語もわからぬまま極寒の地に連れられてきて、希望を失わないどころか事態を理解して日露交渉に活路を見出したその姿勢には舌を巻くばかりである。また、事件に至るまでの前半生もすばらしい。「百姓は生かさず殺さず」という言葉に象徴されるように、江戸幕府がさまざまな規制によって農民を締めつけていたことは有名な話であるが、こと商人に対しても例外ではなく、たとえば船舶の建造にかんしても、じつにさまざまな制約があり、他国に見られるようなより技術的に発達した種類の船の建造は禁じられていた。嘉兵衛はこのような規制を率直におかしいと感じつつ、禁を侵さずにできるだけ最適の構造を追求して建造するなど、開明的な思想の持主であった。開明的といえば蝦夷地開発においてもそうで、当時まだ寂れた漁村に過ぎなかった箱館にその航海上の利点を見出し、開発に尽力したほか、松前藩が非人道的な扱いをしていた土着のアイヌに対しても、ちゃんと人間として尊重して、漁法を教えるなどの交流があった。こんにち、嘆かわしいことにいまだにネット右翼などのあいだでアイヌに対する差別が見受けられるが、いまから200年以上前の高田屋嘉兵衛のほうがよっぽど進歩的な考えの持主であった。嘉兵衛の行動については、それぞれ人質として助かりたい一心からどのように振る舞うことが最適か考えただけに過ぎない、あるいは商人としてひたすらに利益を追求した結果としてこのような姿勢になっただけである、という側面もないとはいえないかもしれないが、たとえそうであったとしてもやはり偉大な人物であることには変わりがないと思う。司馬遼太郎はよくもまあ、教科書にちょっと名前が出てくるだけの商人がこのようにすばらしい人物であるということを「発見」したものである。

    0
    投稿日: 2026.01.02
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    やっと蝦夷まで来ましたね〜。長っ。松前藩の酷さ、幕府若手官僚の優秀+正義感。高田屋嘉兵衛の単なる商売人+船乗りを超えるロマン人の片鱗が出てきました。次巻は本格的に蝦夷でしょうか。北海道大好きなので楽しみ。

    0
    投稿日: 2025.11.18
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    高田屋嘉兵衛が蝦夷に進出する三巻目。 蝦夷人を構造的に搾取し続ける松前藩の傍若無人ぶりは驚きを感じる。

    0
    投稿日: 2025.04.12
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    3巻は千五百石の大船辰悦丸を手に入れ、松前や函館に赴くまで。 当時の蝦夷事情が詳しく描かれている。ロシアの進出についての描写にデジャヴを感じたが、「坂の上の雲」と重なるところがあるからだろう。 アイヌの人々が圧政に苦しんでいたことは知っていたが、借金で外国に連れてかれたりするなど、思っていた以上に酷いようだった。 また、幕府の役人と、松前の役人が深く対立したことも初めて知った。

    0
    投稿日: 2024.11.18
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    ▼高田屋嘉兵衛とその時代を描く第3巻。オモシロイ。江戸時代の真ん中というか後半というか。つまり1800年よりちょいと前なので、実は時代としては「剣客商売」の時代なんですね。その時代の物流と経済、日本の地理などが嘉兵衛の人生を通してじわじわと入ってくるような不思議な小説。 ▼嘉兵衛は巨大な船を作り、念願の松前との貿易を始める。そういう意味では志もうなってしまったとも言えます。ところがこの3巻の終わりくらいから、「蝦夷地の政治との出会い」が始まりますね。嘉兵衛がやや政治的になってくる。あるいは、「高尚な志」を持ってくる。 ▼ハングリーだった頃のほうがオモシロイ、というのが普通の小説なんですが、最早これは普通の小説ではないので、先が楽しみです。わくわく。

    7
    投稿日: 2024.01.18
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    アイヌ人を奴隷化する松前藩の罪深さ 行政(松前藩)が商売をすることは今も昔も失敗する 権力に胡座かく組織は腐敗する。 行政が商売をすると賄賂が横行する 情報の価値化(北風家の重視するもの)

    0
    投稿日: 2023.12.10
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    本格的に面白くなってきました。 何年か前に買って積読にしていたのを、昨年酒田に旅行に行くので読み始めて、ときどき思い出した頃に読み進めてきたけど、ここにきて今どハマり中の金カムと内容がリンクしてきて胸躍る展開に。

    0
    投稿日: 2022.12.17
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     図書館から借りて読んでいるのは単行本。  内容は面白いのだが,小説を読み慣れていないのでずいぶんと時間がかかっている。  第3巻では,いよいよ嘉兵衛が辰悦丸という日本一にの船を作り,箱館まで商売に行くことになる。そして蝦夷と初対面するのだ。  当時の松前藩の蝦夷の扱い方に対する幕府の捉え方がとても興味深い。今後,嘉兵衛がどのように蝦夷と関わり合っていくのか,楽しみだ。  ところで,嘉兵衛の航海中に,いろいろな地名が出てくる。当然肝癌線の様子なども…。そこでわたしは,Googleマップを画面に映し出しながら,小説を読んでいた。 あとがきでは,「灘」「取り付く島もない」の話が興味深い。

    0
    投稿日: 2021.04.15
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    江戸後期に廻船業者として活躍した、高田屋嘉兵衛の伝記小説の第3巻です。 屋号は名乗れないながらも、自らの船で商いをする。 そんな嘉兵衛の二十代後半の生活から、この巻はスタートします。   蝦夷地の産物を扱うという、大望を抱いていた嘉兵衛。 兄弟や出身地である淡路の人々に働いてもらい、千五百石もの大船を建造します。 前半は、その船「辰悦丸」建造、そして蝦夷地への航海が、描かれています。   そして、かなりのページを割いて書かれているのが、蝦夷地に関すること。 この時代、松前藩はどのように蝦夷地を統治していたのか。 周辺国は蝦夷地をどのように見ていたのか。 江戸幕府は松前藩の統治の仕方を、どのように見ていたのか。   嘉兵衛の活躍を読み進めながら、北海道の歴史について、学ばせてもらいました。   続けて第4巻を、読み進めていきたいと思います。   『菜の花の沖 (2)』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/416710587X  .

    0
    投稿日: 2020.07.14
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    大型船「辰悦丸」を入手した嘉兵衛。いよいよ蝦夷地へ。高田屋嘉兵衛の生涯を描く全6巻中の第3巻。 いよいよ嘉兵衛は辰悦丸を完成させ憧れの蝦夷地へ。そこは松前藩がアイヌ人を搾取する地。一方、ロシアの進出を恐れる江戸幕府。密かに蝦夷地を幕府直轄にすべく調査を開始。嘉兵衛は理想に燃える幕府の官吏たちに心を打たれ協力するが、松前藩との板挟みになる。 嘉兵衛が利を捨てて蝦夷地の魅力にひかれていく巻。松前に比べ寒村の箱館。東蝦夷地は幕府直轄に。嘉兵衛の新たな挑戦が始まる。

    0
    投稿日: 2020.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ついに飛躍していく巻となります。 だけれども、松前は嘉兵衛にとっては あこがれとともに、課題の残る場所となりました。 この中には、私たちがこれから 変えていかないといけない部分があります。 それに関しては今も騒がれていることで 必ずその負の連鎖は立たないといけないでしょう。 彼が史実上どのようになっていくかは知っていますが これからが楽しみです。

    1
    投稿日: 2019.11.02
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    三巻読了。 ついに大型船「辰悦丸」が完成し、憧れの蝦夷地へ足を踏みいれる嘉兵衛。 蝦夷人を酷使し、自身の利益と保身しか頭にない松前藩と、実態調査に臨む幕臣達という、政治面ではややこしい事になっていますが、初めての蝦夷地に降り立ち、感動している嘉兵衛が微笑ましいです。今後の高田屋の運命が気になります。

    1
    投稿日: 2018.12.19
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    廻船商人高田屋嘉兵衛の物語。嘉兵衛の人物の大きさ。素晴らしい。司馬さんは初読みだがもっと読みたい。詳細は→http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou23901.html

    0
    投稿日: 2017.08.10
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    http://hinbeee.blog31.fc2.com/blog-entry-2752.html

    0
    投稿日: 2017.01.15
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    年度末&年度初めのドタバタで随分と時間がかかってしまった。別に難解な内容ではなく、冒険小説でありどちらかと言うと読みやすいのだが、それでも空き時間に読書をするよりは身体を休めたり睡眠を優先させたかったため、後回しになってしまったのだ。で、最近ようやく仕事が落ち着いて一気に読了。 さて、主人公の高田屋嘉兵衛、順調に海運業を営んでいく。蝦夷地の方々を周り、最上徳内などの幕府役人と知り合い知己を得る。多くの人間から信頼を得られたのは、ひとえに嘉兵衛の実直な性格ゆえであり、淡路島における年少時の境遇とは無関係ではないだろう。 これから本格的に蝦夷地における交易が中心となり、やがてはロシアに捕らわれることになるのだが、どう展開していくのか楽しみである。そして、たまにしか帰らない旦那をひたすら待つ留守宅のおふさが、今後このまま大人しくしていられるのかも興味深い。全6巻中3巻を読了したので折り返し地点。まぁのんびり読み進めよう。

    1
    投稿日: 2014.12.06
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    2014.10.15 当時は未知の地であったろう、蝦夷。圧政を強いられていて蝦夷を救いたいという役人のあつい思い。貧窮している幕府財政も原因であろうが、蝦夷を直轄地とすることになった。船を手に入れたことで、より自由になり、自分の意思で動き始めた嘉兵衛。政治にも関わることとなるのだが、それは次の話。雄大なロマンを感じさせる。

    0
    投稿日: 2014.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最近並行して、ヴェネツィアや琉球のように貿易立国をしていた地域の事を書いた本を読んでいますが、この「菜の花の沖」は北前船という日本国内貿易について書いているにも関わらず、面白さは群を抜いています。天下取りの英雄や、維新の志士が出てくるわけではありませんが、司馬遼太郎の著作の中でもかなり上位ではないかと。 この巻は蝦夷地における松前藩の支配と、ロシアの南下に対応した江戸幕府の動きがポイント。江戸幕府の外交と言えば、ペリー来航時の無策ぶりから機能不全だったのではとのイメージありましたが、有能な人物の登用等、官僚組織がきちんと機能していたことがよくわかります。

    0
    投稿日: 2014.07.20
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    蝦夷地での活発な展開が広がる。又兵庫県が主な舞台の中心地なので、情景が思い起こし易い。だって、兵庫県生まれですから。

    0
    投稿日: 2014.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3巻に入り、一気に話が進む。 高田屋がはじまり、「高田屋嘉兵衛」の物語になる。 北前船のしきたり、松前藩の状況、アイヌたちの扱われ方、など、引き込まれていく。 厚岸に商売とは別件で向かうなど、今後に繋がるであろう話も出てきた。残り半分。ここからどう進むのか。

    0
    投稿日: 2014.03.18
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    念願の北前航路を就航させて、商いを拡大させていく。さらに幕臣との出会いで蝦夷にさらに深く関わっていくことになり、ロマンを感じる。話がさらに大きくなっていくようで、今後の展開がとても楽しみ。年末に高田屋嘉兵衛さんという人物に出会て、とても嬉しい。

    0
    投稿日: 2013.12.31
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    いよいよ嘉兵衛は蝦夷地にあがる。財産がなくても次の航海で利益が得られると信じて船を建造する度胸はすごいと思う。そして、利益は次の船出で、多くの人々に品物を届けるためと言い切る嘉兵衛を、格好いいと思う。

    0
    投稿日: 2013.04.26
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    読んだきっかけ:古本屋で50円で買った。 かかった時間:7/2-7/22(21日くらい) あらすじ: 蝦夷地の主・松前藩は、アイヌの人々を酷使して豊富な海産物を独占していたが、この内実を他に知られるのを恐れ、北辺に迫る大国ロシアの足音を聞きながら、それを隠し続けた。漸くにして嘉兵衛が巨船を作り上げ、憧れのかの地を踏んだころから、情勢は意外な展開を見せ始めた。幕府が東蝦夷地の経営に乗り出したのだ。(裏表紙より) 感想: 弟嘉蔵の結婚。そして、薬師丸・長慶丸二艘の船で、嘉兵衛はせっせと商いを続ける。無理な航海をしてでも動くのは、無論辰悦丸の支払いに充てるためである。こうして辰悦丸は竣工し、「高田屋」は営業を開始した。 兵庫の北風家との仲にいくぶんかのひびを抱えながら、彼らは同時に、行き急ぐように寛政丸、春日丸を竣工し、商いを始める。 それぞれの船を高田屋で担いつつ、嘉兵衛は辰悦丸で蝦夷地を目指した。 蝦夷地では、松前藩が幕府の目を欺きつつ、アイヌに過酷な労働をさせて利益をあげている。現在の幕府は、戦国時代から長い月日がたち、おいそれと戦争を行うことができない。そして各藩への遠慮ももっており、松前藩を簡単に指弾できない。 そんな中、嘉兵衛は蝦夷地で幕府の蝦夷地探索の幕臣たちに出会い、強く惹かれる。 この人たちの力になり、蝦夷地を本土と同じく開けた土地にしたい・・・。 幕臣たちも、嘉兵衛の、ただの商人以外の心持ちに期待し、彼に蝦夷地解放へ向けての援助を願う。 こうした状況の中、寛政11年(1799年)正月、幕府は東蝦夷地を、松前藩より7年租借することと直接経営を行うこと勧告した・・・。 (続く)

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    投稿日: 2013.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    江戸幕府は、東蝦夷地をアイヌを奴隷のように酷使することによって一方的に搾取することしかしない松前藩から直轄地へとチェンジ! その直前に幕府の要人と偶然親交を結んでいた嘉兵衛さんに大きなチャンスがやってきます。 しかし、それはハイリスク&ハイリターン。 もちろん嘉兵衛さんは突き進むんだろうな…。 いろんな意味で大きな流れが時代を新しい局面に向かわせようとしている力を感じました。

    0
    投稿日: 2012.12.25
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     アイヌ人を酷使する松前藩は豊富な海産物を独占している。北辺にせまる大国ロシアから北海道を守ることには、まったく関心の無い松前藩であった。和人に虐げられるアイヌの人々は、ロシアと手を結ぶこともあり得る。そんな際どい時期に、幕府が東蝦夷地の経営に乗り出す。嘉兵衛は己の商売のみで行動するのではなく、そこに住むアイヌの人々を救おうと幕府の手助けをすることになる。

    0
    投稿日: 2012.09.20
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    この物語のテーマがよく見える巻でした。世の中は商売や諸事のことで人の上下関係を作りたがる。だけど、本来人に上下などないっていうことを主人公を通して強く感じれました。自分も世の中のそういうところに従わない気持ちを持とう。

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    投稿日: 2012.08.25
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    主人公はどんどん蝦夷地にのめりこんでいく。 商売はご飯を食べるだけの暇つぶしであり、本質は冒険をしたいがために、商売をするとのこと。 生き残っていくのは純利益をたくさんだせばいい(そのほうが儲けれる)のだが、儲けるのもほどほどにしないと、手入れが入ったり、世間様から白い目でみられるという。 なんでもほどほどがいいのだ。

    0
    投稿日: 2011.12.25
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    嘉兵衛の商売が軌道に乗り始め、大船を造り、念願の蝦夷入りをし、そこでカルチャーショックを受けて帰って来るまでの話。嘉兵衛はたびたび郷土主義を離れた大局的なものの考え方を持っていることが書かれているが、本巻においてはこれから心持ちとしては「蝦夷の人となる」と発言している。思うに、虐められて郷土を飛び出し、ある意味根無し草的であった自己が初めて確立するまで、が描かれているようだ。ようやっと確立した嘉兵衛という人物がこれからどういう事件に会い、どう立ち向かうかが楽しみ。

    0
    投稿日: 2011.12.10
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    いよいよ、嘉兵衛は自らの巨船で蝦夷(北海道)に渡る。当時の蝦夷における松前藩及び幕府の対応についての記述は興味深い。 既に、幕府(田沼意次)がロシアという外圧を意識し始めていた。 司馬遼太郎の小説は、所々に史実及びその考察が入る。 ・朝鮮は中国以上の儒教国家になり、20世紀初頭になるまで貨幣がなく、自ずと商品経済は発達しなかった。(日本は室町時代から旺盛な商品経済の世になり、これが封建制度の亀裂となっていく)

    0
    投稿日: 2011.07.24
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    「司馬遼太郎」の歴史小説は全部読もうと考え、ブックオフで見つけて一度に購入。あらすじを読んで自分の好きな戦国、幕末ではなく、江戸後期の話であったので、ずっと積読のままであった。 しかし、読んでみて、非常に面白かった。というより、日本にこんな人物がいたのかと知ると日本に生まれてよかったと思えた。主人公の「高田屋嘉兵衛」の人としての偉大さには勇気を与えられたし、その商人哲学には強く感銘を受けた。 ストーリーとしては中盤から終盤の内容もいいが、自分としては序盤から中盤までの商人として主人公が活躍し始めるまでの展開が好きだ。この本を読んで物語の舞台である灘近辺、北方領土にも興味を持てた。

    0
    投稿日: 2011.05.07
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    あらすじ(裏表紙より) エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛に委ねた。彼の成功は、蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすであろう。が、すでにロシアがすぐとなりのウルップ島まで来ていた。 高田屋嘉兵衛の絶頂期でしょうか エトロフ島での活躍が本巻の主題です

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    投稿日: 2010.03.19
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    嘉兵衛がいよいよ船頭として頭角を顕わし、蝦夷地を訪れ「日本」を外から見る目が入ってきて、ぐっと面白くなる。

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    投稿日: 2010.01.31
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    自前の船・辰悦丸が完成。松前から箱館(函館)まで行く。幕府の役人・高橋三平と親しくなり、三橋藤右衛門、最上徳内も船に乗せる。北風との軋轢なども書かれています。この巻は途中、蝦夷地と松前藩、近江商人、アイヌの人々の説明がかなり続いて、航海時のテンポのよさが急に落ちるので、多少辛抱がいります。

    0
    投稿日: 2010.01.10
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    主人公の高田屋嘉兵衛はいよいよ独立。自身の船で松前に初めて向かう。 本の半分以上は、司馬遼太郎の恒例の脱線、というか時代背景の説明に費やされる。 当時の蝦夷地(北海道)を管理していた松前藩は権益にあぐらをかき、蝦夷(アイヌ)を搾取していたのみならず、藩運営ならびにアイヌ虐待の内情を幕府に対して隠ぺいしていた、との由。 一方でロシアは資源を求めてアジアに進出しつつあったため、虐待されているアイヌをロシアが取り込むことで北海道における影響力を増してしまうことを懸念した幕府は、北海道の東半分を直轄領としてしまうところで3巻は終わる。

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    投稿日: 2009.01.07
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    嘉兵衛はかねがね海商である以上は船がりっぱでなければならないと思っていた。 この当然な思想を、名だたる廻船問屋が存外もっていなかった。 船というのは高価なわりには寿命がみじかく、とくに百石以上の大船はせいぜい十五年ぐらいの寿命で、まことにはかない。家屋が恒久材とすれば船は消耗材であろう。 それに北前というような冬季の日本海の荒波を避けねばならぬ航路の船は、一年に一、二航海できる程度で、一隻の生涯が、よく働いても二十往復できればいいほうだった。 このため、つい、船にかける資金をけちけちせざるをえなくなる。その上、難船・破船してしまえば荷もろとも元も子もなくしてしまし、そのため底の浅い廻船問屋はつぶれてしまう。 廻船問屋というのは剛腹な肚づもりを必要とする商売でありながら、その危険の多さと注ぎ込む資金の大きさから考えると、たれでもやれる稼業ではなく、気が小さくなればどこまでも小心になってしまう稼業でもあった。その気の小ささが、すぐれた船をもつという方向にどうにもゆかないものらしかった。 嘉兵衛は旗揚げの最初から日本一の大船を造ってしまった。この船の入費をとりもどすのは大変なことであったが、しかし人目を驚かせる大船であったればこそ、無名の嘉兵衛が、松前上陸早々、土地の商品から信用を得たし、また多分に商人化している松前の御家中からは、あたまも一軍の総帥でもあるかのような敬意をうけるにいたったといえる。(p.127)

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    投稿日: 1996.01.01