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岸辺の旅
岸辺の旅
湯本香樹実/文藝春秋
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総合評価

98件)
3.5
15
28
31
11
1
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    3年失踪していた夫が突然帰ってきたらどんな気分だろうか。 私なら初めは帰ってきてくれた嬉しさがあり、落ち着いて来ると怒りが湧いてくるだろう。 主人公の瑞希は、待ち焦がれた夫優介の突然の帰りを受け入れるが、、、 瑞希の立場に立って読み進めて行くうちに、自分もあてもない旅をしているような感覚になっていった。 この旅は瑞希にとっての心の慰めである。 瑞希の人生の終わりはまだ先にあり、優介への執着と決別するための旅なのだろう。 物語は始終陰鬱ではあるが根底には瑞希の心の再生が見え隠えする。 読後感は生と死の間を行き来する表現に深みがあって、悪くない。

    0
    投稿日: 2025.11.29
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    読み終わってからずっと心に残ってる。 ずっと一緒にいたい、それが叶わないことが分かっていても、望んでしまうのはわがままなのだろうか。

    1
    投稿日: 2024.06.18
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    ふたりでいるのに重い寂寞感が漂う。不安や哀しみや心の揺れ動きは、旅を続けるうちに消えたのか、諦めがついたのか。それでも寂しさは癒えない気がする。

    1
    投稿日: 2023.12.24
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    ” でももしかしたら、したかったのにできなかったことも、してきたことと同じくらい人のたましいを形づくっているのかもしれない。” 表紙がすてきで購入。 とても静かな作品。ときどき息をのむような美しい表現が、水面に反射しているようにきらっ、きらっとひかる。

    8
    投稿日: 2023.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三年前に失踪した夫との再会。 死者の話は悲しい。今にも実体を失って消えてしまうのではないかと気を揉む妻の切実さがよく伝わってきた。 死んだ夫と二人で足跡を辿る、こんな切ない旅があるだろうか。その先に別れが待ち受けているのを意識しながら二人を見守るのは、胸が引き裂かれそうだった。そこには透明な愛だけがあって、二人がずっと一緒にいられればいいのにと願わずにはいられない。 死者が生者の中に紛れて仕事をしたり物を食べたりしているのは不思議な感覚だった。でもそうだったらいいなと思う。世界との別れにだって納得する時間が欲しいから。 印象的な、口ずさみたくなるような文章がいくつもある。その中でもラストの1、2ページがとても好き。ヤコブの梯子が見える海で、二人熱いコーヒーを飲んで……こんなに静かで美しい別れのシーンがあるなんてと、うっとりしてしまう。そして渡り鳥が飛び立つシーンをそこに持ってくるのがつらい。それだけで、優介が去り瑞季も前に進まねばならないと分かる。儚いけれど二人が在るべき場所へ向かったのならそれが一番良いのだと思う。

    0
    投稿日: 2023.01.21
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    映画になっていたんですね。テレビでこの映画を観てから本へ。映画では深津絵里さんと浅野信忠さんが主人公。静かに静かに物語が進みます。 最後の最後、二人がどうなったのかどうしても思い出せなくて本を読んだのですが、、、明記はないんですね。 もしも死んでしまった人に会えるのなら私も会いたい。

    0
    投稿日: 2022.06.26
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    終始「水」のイメージを強く感じた。 水のように一箇所に留まらず、流されるように旅を続ける瑞希と優介。瑞希の、優介に会えた嬉しさよりも、優介がまた居なくなるかもしれない恐怖が強く感じられて、ずっと光の届かない海底にいるような、ゆらゆらと揺れるような話。

    2
    投稿日: 2022.06.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ようやく再会できた最愛のひとは、果たして私の知ってるあのひとなのか。 水の中をゆらゆら揺れるふたりの関係。姿が掴めない夫の輪郭のなさ。 そこに戸惑いつつも、新たに関係をつむぐふたり。きっと、夫と妻の立場が逆だったらこうはいかないだろう。瑞稀の愛と芯の強さ。 大切な人を亡くした人なら、誰しも幾度となくもう一度会えたら、と思うだろう。夫と旅をする彼女は、羨ましくも映る。 そして、タイトルの秀逸さ。「岸辺の旅」 岸辺は、水と陸地の境にある場所。物語は、その分け隔てられた存在であるふたりが「岸辺」のようにその境が揺れながらでも隔てられていることが印象的。 ひとつに、生と死という隔たり。 瑞稀があちら側にいってしまうのではないか。それが彼女の望むことだと思う。それでも、いくら死の淵に行きかけても彼女は必ず生きる。 これからも生きていくんだということに、著者は読者へ試練であり、希望を与えているように感じた。この終わり方で良かったと思いたい。 さらに、夫婦という存在の隔たり。夫婦という決して血はつながらないのに、最も近しい存在のふたり。 隔たりと強調しつつも、この作品で生と死は親しい。死は忌み嫌うものではなく、もしかしたら本当に死者も生きている人みたいに過ごしているのかもしれないなと思わせる。 あと、出てくる食べ物が非常にリアル。美味しそう。生と死をテーマにした話なのに緩やかで、ファンタジー要素が強いのにリアリティを感じるのは登場する食べ物のおかげだろう。どんな状況にあっても、死者も生者も腹は減る、その愛おしさ。しらたま、鍋、餃子、ロールケーキ、、たべたい。 時間をかけて読んだ。  

    1
    投稿日: 2022.06.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長く失踪していた夫がある夜不意に帰ってくる。 ただしその身は遠い海底で蟹に喰われたという。 ------- 大切な人を突然失ったら、突然でなくても、、、 亡くなった人にもう一度逢いたい、もう一度話をしたい、そんな気持ちになった人なら共感できるでしょう。

    0
    投稿日: 2022.05.05
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    居なくなった優介に全く共感が出来ず、半分で読むのを辞めてしまった。もう少し心に余裕があるときに読み直したいと思う。輪郭のないあやふやさを感じる物語。

    1
    投稿日: 2022.03.14
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    ふわふわと漂うような小説。死んでいるのが分からず働いている新聞屋さんと出会ったり、現実の世界を旅しているのか、死の世界を旅しているのか分からなかったがある農村で旦那の死に憑かれた女を助けた事で現実を旅している事がわかる。 不思議な物語で、最後はどうなったのか分からない終わり方をしている。

    0
    投稿日: 2022.02.27
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    読むたびに、自分のなかの「寂しさ」が溢れてくる。寝る前に読むと眠れなくなる。でも寝る前しか読めない。 いつかはいなくなってしまう。そう分かっているけど、行かないでほしい。ずっとそばにいて欲しい。 そうやって縋りついても、寂しさや不安は消えない。愛しているのに、愛しているから寂しい。 最近別れた恋人に感じていた事を、代弁しているように感じました。 読んでも辛くなるって分かってるのに、読むのをやめられない。そんな本でした。

    0
    投稿日: 2022.02.23
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    西日暮里 BOOK APARTMENTで購入。 表紙が見えないようにされており、「考えると変な話ですが妙に残ってしまいます。」という一文の紹介で購入。 感想「確かに。」

    1
    投稿日: 2022.02.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝ドラの深津絵里が17歳の役を!すごい!となり深津絵里を検索したときに映画『岸辺の旅』のことを知った。原作が小説だったので読んでみることにした。 最初からなかなか掴みどころがないふわふわとした話だと感じた。死んだと思って3年間探し続けた夫が急に目の前に現れた時、そのときの二人の会話からああ、この夫は死んだんだろうなとは何となくわかる。そのあとすぐにふっと消えてしまうのだろうと思ったら、なかなかどうして、ずっとそばにいる。普通にご飯も食べているようだし、主人公以外の人にも見えているようだ。 いわゆる幽霊なの?なんなのこの存在は?と思いながら、いつ消えるのか、いつ消えるのかと思いながら読むけどなかなか消えないので、あれ、これはこのままいくのか?と淡い希望も持つ。 このままずっとそばにいてくれたらいいのにな、と思うけど、そうはいかなさそうだということはきっと主人公にも初めから分かっている。分かっているからこそ、夫のことをしっかり見つめていよう、この手からすり抜けないように掴んでいようとする姿が切ない。 ちょっと中だるみしそうかな…と思った時に、夫には実は浮気相手がおりその人と会って話をするシーンはまた物語に惹きつけられるきっかけになった。夫がいなくなった時に見つけてしまった浮気相手からの手紙が、怒りというよりは夫を探そうという気持ちを応援するお守りのような存在になっていて、そのある意味不謹慎な内容が夫を失踪や死から遠ざけていると感じられて救われていたんだろうなという辺りには、人間の複雑な心のありようを感じた。

    5
    投稿日: 2022.01.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    深津絵里に興味を持って主演映画の原作ということで読んでみた こんな本も書く人だったのか そういえば生き死にについてよく書く人だな 夏の庭を読み返そう こんなにも集中して情景を想像するって作業は初めてしたかも 岸辺の旅ってタイトルと装丁がぴったり これも浅野忠信だからか、私の男の、日本の果ての海を思い出した 別れが分かっている時に、おっきな月だねえだなんて関係ないこと言わせるの理解できなかったけど、もし私が同じ場面に立たされたら、ほっとするのかもしれないって初めて思った

    1
    投稿日: 2022.01.03
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     最愛の人を失う。失うは瞬間的ではなくて、失った状態が続くこと。失い続けること。  夫が失踪して3年経ったある日、突然、私の前に夫が姿を表す。    生きているのか。否、3年前に海に身を投げた夫は、既に海底で身体を蟹に食われてしまったと言う。  〝私〟は夫に促されるまま、夫が家にたどり着くまでに、辿った場所、暮らした所、お世話になった人、を巡る、岸辺の旅を、始める。  チベット密教だったろうか、人は死後、様々な場所を霊体となって旅し、転生するという教えがあった気がするが、本作は、死者と生者のファンタジーというより、残された人が、最愛の人の死と共に経験する、喪失の継続を描いているように感じる。  二人が旅で巡り会うのは、死者や、死者となんらかの形で関わり続けている人間。 〝死者は断絶している、生者が断絶しているように。死者は繋がっている、生者と。生者が死者と繋がっているように〟  生者同士は、生きているという共通点を持ちながら、その実、違う時間軸を進んでいる。例えるならば、長い長いマラソンの区切られた隣のレーンの人と接触しないことに似る。  一方、死者はもう前には進めない。地から離れた死者は、ふわりと宙に浮き上がる。死者を思う生者の気持ちが、それまで越えることのできなかった、触れることのできなかった、魂に触れられる。  言い換えれば、死者はもう自分一人では、現界し続けることができない。生者の思いによって輪郭が定まる。死者自身は、生者だけのものになる。生きているとそうは行かない。  先の一文を、〝私〟はこう解釈している。  〝階下から、あいかわらず規則正しい水滴の音が聞こえてくる。どう理屈をつけても、時間を巻き戻せない。私たちはもう二度と、私たちの家でもとどおりに暮らすことはできない。ただひごとに近づく何かわからないもの向かって、進んでゆくことしかできない‥‥でもこの安らぎは何だろう。なぜ今になって私はこんなところで、こんなに安らいでいるのだろう‥‥〟  「安らいでいる」  この言葉が、とてもしっくりくる。最愛の人を失った悲しみも、拭えない喪失感も、容赦のない現実も。それを作り出す「死」という現象が、この上なく、大きな争いようのないものとなって「私」を包み込む。  「死」を尊ぶつもりもないが、そんな側面もあるということが、救いになる。    「私」の感慨にも、そんな描写が現れる。  〝あの頃、時間はひと続きの一本の棒のようなものだった。それが、今はどうだろう、いろいろな時間がそっくりそのまま、別々に存在している。そう私には感じられる。優介と暮らしていた時間、優介がいなくなってからの時間、まだ優介と会う前の時間‥‥いや私が生まれるよりずっと前の時間も、死んだ後の時間もぜんぶ含めて今の今、何一つ損なわれてなどいないのだ。不思議な幸福感が胸に押し寄せる。まるで一足飛びに未来に来てしまったみたいな気がする。想像さえしたかった、広々した、これ以上どこにも行けない未来に。〟  「人は自由の刑に処せられている」とは、よくいったもので、自由は、その言葉が意味する概念よりも自由ではない。  「未来がある」は未来を望む人にとっては自由かもしれない。しかし、望まない人にとっては自由だろうか。  もっと言えば、先住民族に「未来」という概念は無い。無いから自由では無いのか、違う。あるから自由では無いのだ。  「私」は「時間が損なわれ続けるもの」と認識していたが、バラバラに存在することで損なわれてなどいなかったと言う。  過去も未来もない人にとって、時間の概念はおそらくこんな風に解釈されるのではないだろうか。ちょうどそれを象徴するのが水滴の一文だろう。  覆水盆に返らずではない。水は消えない。蒸発しても消えたわけではない。自然のシステムによって循環して、再び地球を巡る。  夜空の星はどうだろう。質量を伴った粒子が輝くが、命を失った星は再び粒子となり、他の粒子と結びつき、また輝く。  水も星も同じ。では、人は。人はどうだろう。人も同じではないか。肉は消え、骨も溶け、土に帰る。その土が‥。  本作は人の在り方にまで、深くメスを入れる。 〝したかったのにできなかったことなんて、数えだしたらきりがない。でももしかしたら。したかったのにできなかったことも、してきたことと同じくらい人の魂を形づくっているかもしれない。この頃はそんな風にも思う。〟  この一文には、随分と考えさせられた。  目に止まったのに、なぜ目に止まったのかが分からなかった。しかし、ようやく気づいたことがある。  「人の魂を形づくっているもの」それは、成し遂げたり、所有したりしたものだけじゃないということ。  それが「心」の正体ではないのか。  輝く星も、手に掬う水も。目には見えない粒子から生まれてきた。心はその粒子を抱える土壌のようなもの。目に見える全ては、全て目に見えないものが無数に集まったもの。  安らぐ。そう考えれば、普段、どれだけ目に見えるものだけで、自分は生きているのだろうかと、ガクリとする。  〝死んだ人のいない家はない〟  だから孤独の人などいない。そう続けたい。本作はここで区切られていたが、読みながら勝手に口ずさんでしまう。  それはとてもとても優しい小説だった。  『夏の庭』に続いて、湯本香樹実さんの小説は二作目となった。  生と死への洞察。捉え方が暖かく、不思議な穏やかさに包まれている。そこが好きだ。  静かな筆致が、小雨のようにサラサラと心地いいのも好きだ。堅苦しい私の筆致も、こういう、優しい筆致に触れることで、和らいで行って欲しい。  そして、大切な人にぜひ勧めたい一冊だ。 (読了1読目 2021.9.28) (感想、2021.10.7)  

    2
    投稿日: 2021.10.07
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    行方不明だった夫が帰ってきた しかし体は蟹に食べられたという・・・ 死者?となった夫との旅物語 語り手の女性はでも普通に受け入れて旅生活を続ける そんな世界があってもいいのかなと感じたけど でも実際にあったらいろいろと混乱するなとも

    5
    投稿日: 2021.10.02
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    静かでじんわりとした余韻が残る作品。 三年前に失踪した、瑞希の夫・優介が、ふいに現れます。 ですが、優介いわく“俺の体は海の底で蟹に喰われてしまった”と。つまり、既に死んでいるというのです。 そんな優介に導かれ、彼の三年間の足どりを遡るように二人は旅に出ます。 旅の間、失踪中の不在だった期間を埋めるようによりそう、二人の何気ないやり取りに、かけがえのない人と過ごす時間の尊さというものが伝わってきます。 もしかしたら、個人的に最近身内を亡くした事もあり、そうした事情で、“死者との繋がり”というものが殊更心に染みてくるのかもしれません。 全体的に“水の気配”が濃厚に漂う、朧げな雰囲気は、常世と現世の狭間を感じさせるものがあります。 この作品は、深津絵理さんと浅野忠信さん主演で映画化されているので、そちらも観てみたいと思いました。

    7
    投稿日: 2021.06.10
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    死んでしまった人に思いのある人にとってなんと心に響く物語だろう。 白玉を作っていたらひょっこり現れた優介。生者のような死者と根源に向かうような旅。静かに流れる時間がそれぞれの過去の時間軸と重なり合ってたゆたって存在している。現実感のある不思議な世界でした。

    1
    投稿日: 2021.05.12
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    非現実的な設定なのに、不思議とすごくリアルで現実的。なんだかずっとふわぁッと夢の中を漂っているようで、堅実に日々の営みを繰り返している。本当に不思議な時間だった。 生と死はそのくらい曖昧なのかな。 その時の自分のステージで受ける印象が変わりそうな作品。またいつか読もう。何度も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2021.01.19
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    行方不明になって3年後、瑞希の夫・優介が突然家に帰ってきます。川を隔てた向こう岸の死後の世界(彼岸)から現世(此岸)へと、たゆたえながらの旅をしながら妻に逢いに来る、哀しさと切なさに震える幽玄界の物語です。優介は瑞希に「さよさら」を伝える旅に誘い出します。優介失踪の背景を探りながら始まった旅先で待っていたのは・・・。「いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。」永遠の別れを切ないまでに語り紡いだ本作は、いつまでも記憶に残る愛情物語です。

    4
    投稿日: 2020.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生と死のはざまってこういうことなのかな? 生きている側も死んだ側も楽しくて辛い旅なんだろうと 感じた作品

    0
    投稿日: 2020.07.28
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    積んで置く状態だった作品に、やっと目を通した。普通の積読ではない。毎日テレビを見る時のそば机の上に積んでいて、目の端で存在を確かめながらまる4年、それでも紐解かなかったのである。いつでも読める、内容は予想がついている、楽しい話ではない、といったことが分かっているときに、私の「直ぐにやらない脳」が発出する。 買ったのは、黒沢清監督「岸辺の旅」(深津絵里・浅野忠信主演)が素晴らしかったからである。私の人生最恐のホラーは黒沢清監督の「回路」である。時々それに似た演出を見せながら、なんと恐怖感情ではなく意も言われぬ感情が出てきた。それを確かめたくて買った。 夫・優介の失踪から3年目のある日、ふと顔をあげると配膳台の奥の薄暗がりに優介が立っているのが見える。瑞希は驚かない。優介の好物のしらたまを作っていたので、彼が幽霊であることを自然に受け入れて会話を始める。 この導入部が素晴らしい。大切な人を亡くした者ならば、必ず思うはずだ。「あの暗がりに出てきてはくれないだろうか‥‥」。 確かめたかったのは、これはいかにも黒沢清らしい演出だったのだが、いったい何処から何処までが、原作から引き出したものなのだろうか、ということだった。結論から言えば、ほぼ原作に忠実に監督は映画をつくっていた。全ての台詞と描写が映画に入っているわけではない。むしろ、どれを削ったかが、監督の仕事だったかのようだった。カンヌで監督賞を受賞したこの作品の世界観は、実は湯本香樹実の世界観だったことを知り、私は心底驚いた。 2人は失踪の3年間の優介の魂の旅を辿り、彼が入水した海の岸辺に至る。映画では何度か確かめたが、優介には影がある。食事もする。ホントは生きているのではないか。亡くなっている人とも出会うが、生きている人と、優介はその間親交を持っていた。けれども、やはり死んでいるのである。それを納得する旅でもあった。岸辺は、此岸(この世)と彼岸(あの世)の境でもある。このとき、瑞希には2つの選択肢があるだろうし、それを迷っているはずだと私は思っていた。即ち、優介を追って後追い自殺をするか、それとも優介の成仏を見送るか。原作ではどうなっているか。結果は、映画と同じだった。そうだよな。それは瑞希の迷いではなく、私の迷いだった。 ふと見上げると、机のそばの暗がりに積読状態だった「岸辺の旅」の文庫本が見えた。私は、自然とそれを読み始めた。

    39
    投稿日: 2020.04.13
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    失踪した夫が戻ってきたけれど、彼は既に海の底で蟹に食べられて死んだ人だった。 衝撃の幕開けだったけれど、その死んだ地から主人公の元へ帰ってくるまでに辿った土地土地をゆっくりと旅する二人のペースはとても心地よかった。

    0
    投稿日: 2020.03.13
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    上手く言えないけど、水のようなクラシック音楽のような文章だった。世界が流れてくる、いつのまにか不思議な世界にいるような感覚。 みっちゃんは受動的なのか逞しいのか。最愛の人とどこかで似通ってて通じ合ってるなら幸せだなと思った。 私は最愛の人そもそもいないし、無くした経験もないけれど、生と死はずっと隣り合ってるよね。物語を通して生と死が揺らぎつつ、くっきりとその境目が見えてくる。 ・夏は急速に色あせ、日の光に繊細な角度がつき、夜の闇は濃くなった。 ・したかったのにできなかったことも、してきたことと同じくらい人のたましいを形づくっているかもしれない。 しらたま作って食べたくなった。

    0
    投稿日: 2019.12.10
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    三年前に失踪した夫が突然、帰ってきた。しかし、自分はすでに海の底にいるという。2人は、優介が瑞希の元に帰るまでの3年間の道程を辿る旅に出た。交番の、優介の公開捜査の色褪せたポスターや、いつ消えてしまうとも知れない恐怖。3年間に優介が関わった生者や死者たちとの交流。瑞希が現実に体験している事なのに、妙にフワフワした気持ちにさせられる。瑞希を裏切っていた優介が残した濃密な2人の時間。旅を終え、優介が伝えたかった事を知った時、瑞希はとても愛してもらえていたんだと思った。2人の想いがとても沁みた。

    1
    投稿日: 2019.12.03
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    自分の前から、この世界からいなくなってしまった人と時間を共にできたらどんなにいいだろう。相手について知りたかった事が全てわかるわけではないけれど、自分の心の整理になる。長い旅が終わりに差し掛かる気配が感じられる箇所では涙が出てきた。いい本でした。

    8
    投稿日: 2019.06.18
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    死んだ夫が帰ってきて、一緒に旅をする話。いわゆる幽霊とは違い、ものを食べたり、生きている人と変わらないような行動をするけれど、夫本人も妻も、彼が死んでいることを判っている。こんなことが本当にできたらいいなと思う一方、ハッピーエンドになりようがないことも判っていて読むわけで、読んでいる間中、ずっとどこか寂しい。

    0
    投稿日: 2019.03.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夫と旅に出る。 3年前突然失踪し命を落とした夫と、夫の死後の軌跡を遡る旅に。 静かで安らかな二人っきりの旅。 会話の少ない二人だけれど、行間から穏やかな想いがひしひしと伝わる。 「忘れてしまえばいいのだ、一度死んだことも、いつか死ぬことも。何もかも忘れて、今日を今日一日のためだけに使いきる。そういう毎日を続けてゆくのだ、ふたりで」 生と死、本来相対する二つの領域の垣根を取り払ったかのように思えた二人。 ずっと二人でこの世をさ迷っていたかった。 けれど二人の間に静かに漂う淡い霧のような境界もいつかは晴れる。 「きみには生き運がある」 夫の発した寂しい言葉だけを後に残こして。 ずっと曖昧に描かれていた生と死の境目。 旅の終わりが近づくにつれ、くっきりと明確になってしまったことが、何より悲しくて辛い。 深津絵里さんと浅野忠信さん主演の映画もいつか観てみたい。

    6
    投稿日: 2019.02.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長い間失踪していた夫・優介がある夜不意に帰ってきた。ただ、もうこの世の人ではないという。妻・瑞希は優介と共に彼が死後歩んだ軌跡をたどる。 彼岸と此岸の行き来しながらの二人の道行きが、湯本さんならではの美しい文章で描かれると、こうして亡くなってからもあの世に行かずに生活している人がいそうな気がしてくるから不思議。 二人の旅の途中で出会う人々もそれぞれに後悔や過去の重たい何かを抱えて生きているのが哀しい。 再生の物語は好きじゃないし、心震える結果にもならなかったけど、湯本さんの文章はどこまでも美しくて、静かな水辺の景色が脳内で再生されて、正に映画化にピッタリの作品だと思った。 もちろん優介は浅野忠信、瑞希は深津絵里で脳内再生。優介が浮気していたのはなんだかな~だったけど、浅野忠信なら許すか・・・

    0
    投稿日: 2019.01.19
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    3年前に失踪した夫が帰ってきた。だがその夫の身体は遠い深い海の底で蟹に食われてしまったという。3年かけて妻のもとに帰ってきたその道を、今度は2人で遡って旅をする。それは過去を遡る旅となり、後悔も、悲しみも、痛みも包み込んで、たどり着くであろう未来への旅路となっていく。 死と生の境目ははっきりとした壁に遮られたものなんかではなく、ほんの少しだけ開かれたドアの隙間から漏れてくるよう光のように交わることがあるのだろう。その光は太陽のような燦々とした光ではなく、朧げで儚げな月の光のようなものだけど。水が高きから低きへ流れて、川となり、海について、また水蒸気となって天に上るように、人の命も流れ流れて巡っているのかもしれない。 人の死という避けえない悲しみを、こんなふうに安らかに静かに受け入れることが出来るならどんなに救われることだろう。それは一瞬にして出来ることではなく、時が味方となって成し得ることなのだろう。 そんな感慨にふけるのでした。

    0
    投稿日: 2018.11.18
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    解離性健忘 長い戒名のついた位牌でも突きつけられたように畏まった 剃刀負け 歯科医らしい器用な指先 一度死んだことも、いつか死ぬことも。何もかも忘れて、今日を今日一日のためだけに使い切る。そういう毎日を続けていくのだ、二人で。 アップライトピアノ 辻説法でもするように彼は今ある世界の不思議を説く 川面が輝いている 諍い 真鍮しんちゅう 荼毘に付された 細かな泡粒あわつぶ 迷い箸をするように鋏を揺らしている そうだ、そうやって少しずつ、お互いの世界をひろげていったのだ。 しらたま 既に体は海の底で蟹に食べられてしまった 生と死がとても親しい 寧ろ混じり合うことを希求するふうに 生と死の狭間で宙吊りにされてきた歳月 くつろ寛い 抗いようなない現実 死と馴染あう用意があったことを見逃してはならない 万物流転ばんぶつるてん 生者と死者がお互いを赦しあう旅でもあるのだった 平松洋子

    0
    投稿日: 2018.03.21
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    「生と死」という概念について、ライフワークとでも申しましょうか、絵本であれ、小説であれ、その境界領域を描いてらっしゃる湯本香樹実さんです。「くまとやまねこ」、大好きです。今回、「岸辺の旅」(2012.8 文庫)を読みました。生者・瑞希(みずき)と夫優介(死者)の彼岸・此岸の旅の物語。なんとも不思議な世界に迷い込みました。生者と死者がお互いを見つめ、お互いを赦し合う、そんな世界なのかもしれません。私には、まだ難しい物語でした。配偶者というのは、わかるという意味、わからないという意味、不思議な関係ですね!

    0
    投稿日: 2018.01.27
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    ただ体が反射的に動いて、指にクリームをのせてしまった。 死んだはずの夫・優介が、夜中に食べるロールケーキのシーンがとても印象的だった。両手で掴んでかぶりつく優介。反対側から出てくるクリームを反射的にすくう妻・瑞樹。彼女のこの行動は、無意識であるが、食べることを忘れないしたたかさを持つ。食べものを通して、少しずつ生きる者と死者との境界線が見えてくる。 不思議だったのが、蟹に食べられて死んだという優介の言葉。タイトルにもあるように、全編を通して水の気配が色濃い。なぜクジラや鯵などではなく、蟹なんだろう。小さくかわいらしい、滑稽な死に方である。

    0
    投稿日: 2017.09.08
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    ファンタジーであり不条理であり寓話でありロードムービーでありコメディでありハートウォーミングものでありホラーでもある。 浅野忠信はもとから魂の抜けているような顔。なのにチャーミングという。 ばっちりの演技。(空も風も痛いという凄まじい台詞は、そこらへんの役者には言えないだろう。) 深津絵里は静かに悲しみを持続しているような顔。 だからこそ笑顔や笑い声が嬉しい。 怒った手つきで白玉団子を作るとか、いい。 なにやかやと手仕事をする所作も素敵だ。 蒼井優の自信たっぷりのしたたか悪女。 ほか、小松政夫をはじめとして「いいツラ構え」のおっさんたち。 旅は4つに分割できると思うが、「自分の死に気づかない人」と生者のそれぞれの在り方を見届けることで、自分たち夫婦の在り方も決着をつけようと決意する。 死者の未練、生者の執着、それぞれがお互いを引き止めたり引っ張ったりする。 この均衡不均衡は、生者死者だけでなく夫婦の関係性でもあるのだ。 死後でも「愛の確認」をしなければならないとは。(恨みの幽霊は存在しない。) そして普段の生活では自分に見せてくれなかった「別の顔」を見て、理解を深めていく。 生死の境界や通り道は、黒ではなく白や霧や湯気のイメージ。 全編仰々しいとともに美しく幸福なオーケストラ。 これも清節と思えてしまえるくらいには盲目的信者である。 しかし、ここまで不穏なのに幸せな感動に浸れるのは、もう清でしかありえないのではないか。 ##### と、映画版で書いた。 抒情的な怖さを醸し出す設定や小道具や人物や背景やは清の工夫なのだろうとてっきり思っていたが、 実は原作をかなり忠実になぞっていた。 ということは「湯本香樹実の黒沢清性」。変な表現だが。 「死者は断絶している、生者が断絶しているように。死者は繋がっている、生者と。生者が死者と繋がっているように」 という台詞なんて、「回路」に出てきてもおかしくない。 死者が自分の死に気づいていなかったり、生者に交じっていたりするところも。 むしろ映画のほうが、ピアノ勝手に触らないで! や、今度結婚するんです、ふふふ不敵な笑み、や、殴り合い、などなど、エモーショナルな場面が多くなっているほど。 つまり原作は相当に淡々としている。それでいての叙情だから、良作なのだ。 また小説で気づいたのは、決して夫婦の話に限定していない、むしろ親と子という軸が盛り込まれた作品なのだということ。 あとは全編を通じて水の気配。これは小説ならではの巧みな技巧だ。

    2
    投稿日: 2017.07.02
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    静謐なお話の中に、思わず読みすすめてしまうものがあった。なんだろう。 非日常な旅の中で描かれる日本の風景が、どれも「この風景見たことあるかも」というリアルな感じで、そのアンバランスからくるものなのかな。

    0
    投稿日: 2017.06.17
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    湯本香樹実の著作は、『夏の庭』『春のオルガン』『ポプラの秋』『西日の町』、どれも大好きだったけど、これはイマイチ。この人といい、椰月美智子といい、児童文学の名手がオトナの小説とかエッセイを書くと、なんだか中途半端に生々しい。どうせなら生々しいなら、桜庭一樹の『私の男』とか桜木紫乃の一連の作品ぐらい絶望的にどろどろしているほうが好き。

    0
    投稿日: 2017.04.26
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    非現実的なお話で、私にはわかりづらい。 でも、夫が失踪しずっと探してた主人公の気持ちを表すには、これくらい非現実的なほうがより哀しさが表現できていいのかも。 夢のような話だけど、哀しみに溢れてると思った。

    0
    投稿日: 2017.02.20
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    失踪した夫が帰ってきた。自分は死んで海の底に沈み、体は半分蟹に食べられたという。そんな夫と二人、失踪をなぞる旅にでるという話。何しろ話も雰囲気も暗くて、昼間にしか読めないほど。映画化されたみたいだが、文字で読むより映画のほうが良いかも。以前の作品のように、わかりやすいけど深みのあるテーマで書いてほしい。この作品は重厚感を求めすぎじゃないかと思う。読者のほうがしらけるほど。

    0
    投稿日: 2017.01.17
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    設定はとても面白いものだと思ったが文学的な世界観がドライな感じでなにか物足りなさを感じてしまった。 そこが本書の味でありこういったものは元々好きなのだけれど、読んだ時期が悪かったのか。残念。。

    0
    投稿日: 2016.12.27
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    読み終えてからしばらく経っても、この本のことを思い出すと、静かに沈み込むような気分が蘇ってきます。そういう小説はそんなにあるものではない、まさにこの表紙の写真のような空気感の物語です。 暗いお話は得意ではないのですが、随所にぞくりとするような表現があったりするので、またこの文章に触れたい、と思ってしまう。

    1
    投稿日: 2016.11.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不幸を背負い込むのはきらいだ。 だけど、血とか肉とかになるのかもしれない。 こころの奥へ。深く深く。

    0
    投稿日: 2016.11.03
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    すごく盛り上がりのあるストーリーというわけではないのに、なぜか早く読み進めたくなる一冊。非現実な設定だけど、夫婦の一つの穏やかな形を垣間見たような、柔らかな感情になれる小説だった。

    0
    投稿日: 2016.07.31
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    読み終わってすぐには感想がすぐに見つからなかった。 なんと表現すればいいのか収まりつかなかったからだ。 3年間失踪していた夫が帰ってきて、いなかった間どうしていたかを話して欲しいと言った。 お互いにいなかった間は分からない。そうしたら夫が過ごしていた場所に連れられた。 死者の世界と生者の世界が交わって、行き来し、何かを共有する。 何か切ない。多分、歳月が過ぎればもっとわかることがあるかもしれない。

    1
    投稿日: 2016.07.17
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    淡々としている物語。 「夏の庭」を中学生ながらに読んで 死について考えさせられて、 読書感想文を書いた。 夏の庭の印象で手に取ったけど、 全然違った。 少し淡々としすぎてる気がした。

    0
    投稿日: 2016.03.29
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    秋に映画をみたので。 映画よりも感情描写がおさえられてる感じがした。その描写が読んでるこちらをかなしい気持ちにさせるような。 薫さんの旦那さんとのやりとりとか、みずきの父親とのシーンは小説のが断然よかった。 生きているうちに、大好きな人たちとたくさんたくさん話をしておきたいと思った。

    1
    投稿日: 2016.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現実と非現実の境が曖昧な町を移りゆくのが魅力的で、 こんな旅してみたいなぁ とか思ったりもした。 不倫の話が出てきたあたりで "あぁ~・・・" となって冷めた。 なんでそーゆーのを持ち込むかね?

    0
    投稿日: 2016.02.14
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    失踪した夫が妻のもとへ戻って来たのは死者として。 そして二人は旅に出る。 まるで揺蕩うように確かなもののない旅は生きることと死ぬことの境目を歩いているよう。 岸辺とは彼岸なのだ。 せつない。

    1
    投稿日: 2016.01.26
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    「夏の庭」で好きになった著者の名が書店で目に入り買ってみた。 今まで読んだ著者の作品が描くものはいずれも今を生きる人々それぞれの思い、そしてそれぞれへの思いやりだったと思う。 けれど本作品の主役は死せる者の心残り、残された者の悲しみ。 その心残りを取り去り、愛する者の死を受け入れる為に彼岸と此岸の狭間で死せる者と残された者が旅を続ける。 その旅で、二人は生きて共に歩んでいた時には知らなかったお互いを知って行く。 愛するものを失った悲しみとは、生きて共にいる時になぜもっとお互いを知ろうとしなかったのかという後悔なのか。

    0
    投稿日: 2016.01.25
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    湯本香樹美さんの作品を読むのは夏の庭以来です。 此方の作品は境界が不明瞭で不確かのものを積み上げるような物語でした。 三年前に失踪した夫(優介)が妻(瑞希)のもとに帰ってくる。 優介は自分が死んだ事を伝え、それを受け入れた瑞希は優介と供に、優介の軌跡を辿る旅に出る!? その旅で新聞屋の老人、中華料理屋の夫婦、タバコを栽培する老人達と出逢う。 優介が何故、瑞希の前に現れたのか? 優介はどんな人だったのか? この旅は何なのか? 彼岸と此岸を行き来するかのような幻想的な旅が今始まります。

    0
    投稿日: 2015.11.24
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    失踪から3年ぶりに死者になって戻ってきた夫。妻は夫と旅に出る。死者と生者の違いとは?そして結末は?独特な世界観で綴られるストーリー。ひょっとして、街中ですれ違っている人の中には、気づかないだけで死者も紛れているのかも。

    1
    投稿日: 2015.11.19
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    映画化されたと知って読んだ一冊。死んだ旦那さんが戻って来て一緒に旅をする。この作家さん読んだの初めてかな?端的な文体での表現が好きだなあって感じた。人物とか時間とかの瞬間を切り取ってくっきり浮き上がらせる。イメージがとてもしやすい。死んだ人と旅をするってどんなものなのだろう。なんとなく、ああ、そうかもしれないなって思ってしまうのが不思議。結局は全て生きている者の為なのかもしれない。 しらたまが、食べたくなった。

    1
    投稿日: 2015.11.08
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    私はすごく好きです。 大きい出来事のない小説はそんなにお気に入りになることはないんですが、これは好き。 行方不明になった夫が死んで戻ってくる。 2人の会話も良いし、この話の中の流れが自分に合ってた気がします。 ずっと大事にしたい本になりました。 映画もみてみたい

    1
    投稿日: 2015.11.05
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    3年前に失踪し自殺したと思われる夫が、残された妻を連れて旅にでる。それは夫が滞在した場所を、ふたりで逆に辿る道であった。 ものごとを形容する言葉は、作者によって違う、それが楽しみなことであるけど、特にこの本は素晴らしいと思う。 水の音、記憶の音、こころの音、水の色、記憶の色、こころの色・・・それらが的確な形容で語られているような、もうこれしかないだろうって思えるような。 死んだ大切な人と旅をするということに、まったく違和感がなくて・・わたしもよく、いまだにそんな感じの夢を見たりするので、、、なんとも言い難いその感覚を言葉にしてしまう作家、という職業に憧れを感じる。 映画になったらしいので観たい。 深津絵里さんと、浅野忠信さんが主演。 ぴったりだと思う。

    1
    投稿日: 2015.10.25
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    本屋で見たのか、ネットで見たのか、映画化されるというので、読んでみた。 三年前に失踪した夫が突然帰ってきて、二人で夫がたどった道を旅する。 すでに終わっているのに、また、終わりに向かう旅。文庫本の表紙の深津絵里の切なげな顔、悲しい。

    1
    投稿日: 2015.10.25
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    淡々と物語は進んでいく。 こんな感じのペースの本は好きだ。 突然行方不明になった夫が3年ぶりに帰ってくる。 聞けば、死んでカニに食べられてしまったという。 3年かけて旅をして、主人公である妻の元へと帰ってきた。 それから2人は一緒に旅に出かける。 夫が3年かけて旅をしてきた道を、再び夫婦2人で旅をする。

    1
    投稿日: 2015.10.19
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     丸い白玉→満月→魚の目→滝の奥の洞窟  連想ゲームのように、読んでいて心に引っかかってくる物が、小説に滑り込んできている。  仏教の輪廻と、夫とともに流れ者のように旅する瑞希の姿には、流転という雰囲気が漂ってきていて、ゾクッとするほど、生きる者と死者との境界線が見えなくなっていた。  ただ夫の失踪後、知らなかった夫の姿を知るために、死を実感したいがために、夫の浮気相手と会うという行為には、首を振りたくなった。  これって愛情?? 知って欲しくない面も知り得てよいのだろか??   だとしたら愛も残酷ですね。

    5
    投稿日: 2015.10.17
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    久しぶりに湯本さんの作品を読んだ。 こどもの時に夏の庭を読んで、いいようのない衝撃を受け、何度読み返したか分からない。 この本は最後までとても静かだった。死んだ夫がしらたまを食べに帰ってくるという始まりから不可解だが、その不可解を解くわけでもなく、ゆるゆると物語が始まり、そのまま静かに終わってゆく。 ただ、真夜中に2人でロールケーキを貪るシーンは、妙にいやらしくてそこだけ暗く激しい絵を見たような気持ちになりびっくりした。

    0
    投稿日: 2015.10.16
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    死者と生者。不思議な世界に引き込まれるストーリー。でも面白い。人と寄り添って生きるっていうのも、楽しい分、失うと辛さも倍増するけど良い事だなって思える。

    0
    投稿日: 2015.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不思議な不可思議な出来事から始まるのに 自然にすっと小説の中に入っていく 生と死が隣り合わせのようで 絶望と希望をいったりきたりする 海の底にいるような静けさの中で 忘れてしまえば楽になるのに これからも続くひとりの時間を想像して 余韻にひたり、いつまでも小説の世界から 抜けきれず、眠れず、夢をみる時間 苦しいけど、とても好きな小説 映画化されるので、文庫の表紙が主人公たち 映画『岸辺の旅』は 浅野忠信さんと深津絵里さんのイメージで読んでしまったけど きっと、ぴったりなんだなと思う 湯本香樹実さんの小説は 『夏の庭』、『ポプラの秋』、『西日の町』、『春のオルガン』と 全部とても好きな本ばかりだけど、 今回の『岸辺の旅』はいつもよりさらに静かで 胸に残ったものが尾をひくような感じだった

    0
    投稿日: 2015.09.28
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    白玉を食べたくなりました。 人が出来なかったこと、そしてやりたかったことが、 その人の魂を形作ってゆくということ。 心象風景のような、普遍的なような小説だと思いました。

    0
    投稿日: 2015.09.27
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    静かでゆっくりと時間の流れる世界。 穏やかであるのに生と死が対立項ではなく、 隣り合って繋がっている。 悲壮感では決してなく、不思議と優しい世界。

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    投稿日: 2015.08.22
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    初めましての湯本さん。 お話の最初からずっと確かなものが何一つなくて。地に足が着いてない。 ふわふわ、ふわふわ。 いつまでも、いつまでも、ずっとふわふわしてる。 最後の最後。 最後の一文だけが、このお話の中の、確かなものだったと思う。

    0
    投稿日: 2015.08.16
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    自分が普段考える常識って、案外ユラユラしてるものかもしれないと思う。 一見あり得ない話が、こんなに静かに心に沁みてくるのだから

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    投稿日: 2015.08.02
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    私の夫は、死んでも何を食べたがるだろう?そんな事を考えた。「泣きながらでもちゃんとご飯食べそう」っていう一文と「死者は断絶している、生者が断絶しているように。死者は繋がっている、生者と。生者と死者が繋がっているように」という一文が心に残った。なんだか白玉食べたい。

    0
    投稿日: 2015.07.23
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    3年前に行方知れずになり、この世の人でないのに戻ってきた夫。まるで生きているような彼と、長い旅をする。 最近身近に、死や、精神を病んだ人がいないので、それほど惹かれる内容ではなかったけれど、やはりこの作者の文章が好きだなと思いました。自分の状況次第では、もっと身に沁みたのではないかと思います。

    0
    投稿日: 2015.07.14
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    きれいな描写で読みやすく、はじめから抵抗なく読み進められた。死者と生者が旅をするというファンタジーだけど、所々にびっくりする展開があったり、共感したりして楽しく読めました。哀しい物語ですが。みっちゃんも優介も好きです。夫婦でさえ生きてる時に分かり合えることは、一部なんだろうなあと思いました。

    0
    投稿日: 2015.07.02
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    瑞希はその後どうしたのかなぁ。 力強さを感じたから、たぶん生きていくんだろうと思うけど。 哀しかったなぁ。 沁みるよ。 冒頭のしらたま、おいしそう。

    0
    投稿日: 2015.06.25
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    不思議な空間に身を置いて、静かな時間を感じながら読んでいました。 物語とともに流れる水の音、後半は風の音 死者と共に旅をするなんて、想像もつかないけれど、きっと誰もが後悔という戻せない時間を抱えているのだと 最期の彼の言葉から、そんな事を想っていました。 お別れする事に納得出来る、こんな時間が持てたら良いなと思った素敵な物語でした。

    0
    投稿日: 2015.06.24
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    夏の庭がとても好きだったので、書店で平積みされて販売されていたのもあり、本書を購入した。 此岸と彼岸に引き離された2人の夫婦の物語。そこに哀しみはあまりなく、突如現れた亡夫との再会により、2人が曖昧な両岸を旅していく。 ふわふわ、ゆらゆらした物語。曖昧な話や感覚的な話が好きな方にはオススメかもしれないが、刺激や感動は特にない。 個人的には、作中であまり深く言及されていない蟹の描写が、もう少し欲しかった。

    0
    投稿日: 2015.06.13
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    蟹に食われたという夫が3年ぶりに帰宅。その帰ってきた道のりを逆にたどる旅。その旅で色々な人と出会い、知らない夫の一面を知ることになる。風景と会話が見事に溶け合っている。波の音、月の満ち欠け、この心地良いリズムは不可思議な設定に違和感を感じさせない。何回か読みたくなる魅力をもっている作品です。 カンヌ映画祭で黒沢清氏が監督賞を受賞。 電線が風に揺れているみたいな音「ひょーん、ひょおぉーん」という表現が繰り返しでてくる。映画では場面転換で使われると予想。どんな音が鳴るのか?楽しみです。

    2
    投稿日: 2015.05.31
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    本屋さんでぷらぷら本を探していて、冒頭を読んだ時、すぐに心を攫われた しらたま 夜の台所で作るしらたま ずっと聞こえてた水音 最後は風の音 15センチのドアの隙間から洩れる光 思ってたよりも複雑な人の心 今自分で思ってることが全てじゃない。今自分が喋ってることとは全然違う自分が居たりする。どれが本当でどれが嘘でとかじゃなくて、出会った人の分だけ、その人の中で、自分の中で、自分が生まれ消えていく それで良いんだと思った

    2
    投稿日: 2015.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夫が失踪して3年あまりの時間は何も書かれていない。「どうして、一体何があったの?」という妻の答えのみつからない苦しみがベースに、この物語は突如現れた夫(しかもすでに死者だという)との二人の旅路を、水の流れる方向へ身を委ねるが如く、やがて本当の永久の別れるその時が来るまでを、淡々と刻々と、時を刻み妻と夫の心を刻みながら、進んでいくストーリーです。 本の帯には「身を引き裂かれたのち、現在を生きる者がみずから魂の再生をなす物語。理不尽な痛みや過去…死さえも受け入れる強さをひとが獲得していくひとつの過程がここにある」と書かれてあります。 でも、自分が実感してない痛みはどんなに主人公の心情に寄り添おうとしても、読めば読むほどに混沌とした気持ちになるのです。少なくても私は再生できるところまでは行きつかなかった。まだ切なくて悲しくて、残されたわが身を呪うことは出来ても。。 愛する人の喪失は想像もしたくないけれど、必ず誰の身にも起きること。 その時が来たら、再びこの本をもう一度、間違いなく手にするでしょう。それまでは、分からないままこの本に抱かれています。

    5
    投稿日: 2014.10.19
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    淡々としたきれいな話だった きれい過ぎて残念ながら腑に落ちないというか共感できない オトナのファンタジーかな

    0
    投稿日: 2014.07.17
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    キレイで静かでふらふらしていて、せつなくて、はっきりしなくて、全部が全部あいまいで、話らしい話もなく、ただただ時間と空気が流れゆくだけなのに、そこに魂だとか再生だとか、そういうことばをくっつけて背表紙の解説にしてあるのだけれども、正直に言って、趣味ではない。 どうでもいい、どうだっていい。 こう言う甘ったるい灰色の話しには、無理してまで付いてゆく気にはなれない。 写経だとかヤコブの梯子だとか妙に宗教と絡めてあるのもおまけみたい。 なんの宗教もなく、哲学もなく、生きる実感さえもなく、感性だけで過ぎてゆく人間を淡々と語られても、現実に生きる私には無縁の世界。

    1
    投稿日: 2014.06.23
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    夏の庭の印象が強いだけに、こういうお話も書かれるんだなぁ、と感じるに留まりました。 亡くなった旦那さんと不思議な旅をする話で、とても綺麗な話なのですが、江國香織さんとか、小川洋子さんとか、川上弘美さんとか、他の作家のお話がどうしても連想されてしまう…。

    0
    投稿日: 2014.03.22
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    失踪していた夫が 水底で蟹に食われたと 帰ってくる。 もうこれ、読むしかないでしょ! こういうゆらゆらしたストーリーは大好き。

    0
    投稿日: 2013.12.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    死んだ人間が目の前に出てきたら、何を話そうか。 二度目のお別れがあるだろうから、そんなことは起きてほしくない、と思うか。 ふと顔をあげると、三年前に死んだ夫が立っていた。妻は夫と共に、三年の間に夫が辿ってきた道程を旅する。 岸辺とは、彼岸と此岸の間のこと。 幽玄にはいくつか意味があるが、 幽;かすか・はかない 玄;奥深い道理 という意味で受け取ると、この小説のイメージに近いか。 『夏の庭ーThe Friends』・『ポプラの秋』の湯本氏らしい、死と生をテーマとした作品。

    0
    投稿日: 2013.12.03
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    死生観をテーマにした本は数多くあれど、本作は全く新しい視点。死とは?生とは?ではなく、死と生が融合していてハッキリとした区別が無い。死んだ夫と生きている妻の旅、という設定でありながら、どちらが死をどちらが生を象徴してるのか至極曖昧。ふたりに共通するのは懺悔や赦しの追求であり、終始それ一貫していた気がする。生も死も本来それらのテーマと切っても切り離せないものなのかもしれない。 著者は音大出身であるせいか流れるような文章が大変繊細で美しい。それだけでも読む価値アリと思います。 尚、本著氏で有名な四季シリーズとは全くタイプの違う作品だと付記して置きます。

    0
    投稿日: 2013.08.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「しらたま」をつくっていたある夜、突然3年前に失踪した夫が帰ってくる。なんでも自分は海の底で身体の一部を蟹に食われたと言う。 そこから夫に連れられるまま旅をする。 物語は静かに進むけれど何も起こらない訳ではない。けれど淡々と進む。物語のそこここにぐっとくる箇所があったのは最近父がなくなったからかもしれない。

    0
    投稿日: 2013.06.11
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    ある日主人公がしらたまを作っていると、不意に夫が帰ってくる。夫は死に、肉体は蟹に食われてしまったという。 ふたりは、水音の聞こえるところに沿って、旅をしていく。 新聞配配達の営業所、中華料理店、たばこの栽培農家...。 不確かなものをなんとなく受け入れたような、よくわからないような形のまま、話が漸化式に進んでいく。 登場人物はみんな穏やかで、落ち着いて取り乱すようにさえ見える。 歯科医の夫、浮気をする夫、父親を許せない夫。 知っている姿、知らない姿が、水彩画のように薄く重なって塗られていく。 死んだ夫が、いよいよ本当に消えてなくなってしまうが、夢からは覚めない。 不思議な物語でした。 夫婦の形も私が想像しているものとはまた別のもので、妻が夫という生き物と暮らす風景が、ひとつひとつ印象的でした。 最後、夫が消えてなくなってしまうのに伴って物語は終わっていくと思っていましたが、主人公はふたり分の荷物を持ってまた歩き始めます。 残された生きているものは前に進むしかない、という、孤独の決意が感じられました。 湯本香樹実さんは、やはり死者を描く人なんですね。

    0
    投稿日: 2013.03.04
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    主人公夫婦と共に水の音を聞き、まぶたの裏では水の中にたゆたっている。水を含んでぶよぶよ鈍いような、だけど水中を揺らめき浮力を感じるような…。もしかしたら彼らのような人々にすれ違ったことがあるのかもしれないと思ってしまうくらい物語と自分の日常とが溶け合い、歪な自然さの中でうっとりした。 …ディズニーランドの水系アトラクションの匂いの中で読みたいとか思っちゃう。

    0
    投稿日: 2012.12.08
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    ある夜しらたまを作る瑞樹のもとに三年間行方不明だった夫、優介がふいに帰ってくる。 そして翌朝、2人は優介が帰ってきた道を辿り始める。 永遠に最期の地に着かなければいいのにと願うように読んだ。 瑞樹と優介は近づいているようでゆっくりと離れていたのだろうか。 自分以外の誰かと生きるということは、なんて怖いことなんだろう。 その人を失う瞬間を思うと怖ろしくて、笑ってなんていられないのでは‥? 優介には瑞樹が知らない顔がいくつもあった。 もちろんそんなのは当然のことだ。誰かのことを全て知るなんてあり得ない。 それでも瑞樹のように二人の間の距離を大切に出来たらいいなと思う。 相手が自分から離れていくこともあるかもしれないけど、それを怖れて無闇に距離を縮めようとすることはきっと何にもならない。 ゆっくりと語られる二人の旅はどのくらいの長さだったのか。 時間はあっという間に流れてしまったのではないかと想像する。 日々をどんなに大切にしていても、振り返れば過ぎ去った時間はいつも一瞬のような短さだ。 寂しくないなんて嘘。後悔しないなんて無理。 でも、楽しかった、大好きだったと思いたい。 なんて幸せな時間だったのだろうと感謝したい。 そう思う。

    3
    投稿日: 2012.11.10
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    ラスト直前になって、もう終わりなんだ、という気に知らず知らずになって、知らず知らずに心が動かされている。そんなさりげなさがある物語。 「夏の庭」を書いた作者ということで読んでみたけれど、繊細な文章を書く人だなぁとあらためて思った。繊細すぎて、説明しすぎな気もするが。 ラストがやや唐突で、突然ぶつっと終了する感じなのが、いただけない。

    0
    投稿日: 2012.11.03
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    彼岸の岸辺を旅する夫婦の物語だった。 行方不明だった夫が突然妻のもとに帰ってきて、自分が既に死者であることを告げる。死者である夫と共に、生死(あの世とこの世)の境界の曖昧な世界を旅する、生者である妻。夫の死への過程を追体験し、夫の死を理解し、夫を見送る妻。 重いと言えば重い話だけれど、淡々として透明感のある文章で、とても読みやすかった。 じんと心の底に溜まるような本。またいつか読み返したい。

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    投稿日: 2012.10.16
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    思わず涙がこぼれるような悲しいではないけれど、物語の底には深い悲しみが常に流れています。 それは水の流れる音や、月の光、海からのひょーん、ひょーんという蟹の呼び声と共に悲しみは深く迫ってくる気がしました。 死者との旅を通して、大切な人の死を受け入れ 再会した夫が、いずれまたいなくなってしまうことをも受け入れ、未来を引き受けて歩き出す。 その最後の姿に、つかみどころのなかった主人公の強さを感じました。

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    投稿日: 2012.10.04
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    う~ん。。。この本は。。。 評価が難しい。 裏表紙や帯のあらすじ的な所を読まずに本文に入るタイプなので、のっけから 「へ?蟹?」・・・・的な・・・ この話はなんなの? この旦那さんはふざけちゃってるの?誤魔化してるの? なんなの?この流れは・・・・ そして終始暗い・・・・ しかし、終盤になってようやく話が飲み込めてきた。 え、まさかそうなの? そうだったのか・・・ そしてラスト ・・・今までののらりくらりとしたストーリーがまるで自分の歩いてきた道の様に思いだされ涙が・・・出なかったけど出そうだった。(笑) なんて話なんだろう 湯本さんの書くお話は好きだ。 でも、これはちょっと違うのかな。と思った。 でも、、、深い もう一度読んだらもっといいかも知れない そして・・・「しらたま」 しらたまの存在がいい。

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    投稿日: 2012.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3年前に失跡した夫がふらりと戻ってきて、でも実は我が身はもう海の底で蟹に食われたのだなんて言い出して、死して後の3年間の旅路を二人であてどなく遡っていく幽霊譚。夢か現かの道行、水の音、あぶく、といったイメージが繰り返されて、水底にいるようなしんとした雰囲気。たがいの三年間の空白を語り合い、共にいた日々、共にいながら共有しなかったできごと、であう前の歳月を回想しつつ、同じように長い旅をしている死者やそのまわりの人々と交流をかさねていく。潮時がくると、淡々とふらりと次の地へ向かう。私たちの「生」もそんな気まぐれな一期一会なのかもしれない。最後は二度目の別れとなるが、その別れも劇的なものはなく淡々とやってくる。が、主人公はそれまでの3年間にはなかった強さを得たようにみえる。 死んでいるのに、髪や髭が伸びたり、食欲旺盛だったり、ほんとのところ死者と生者の区別なんてあいまいなのかもしれない。自分が死んでいるのに気がつかない人もいるし、生きながら死んでいる人もいる。実際すれちがうひとの何%かは死者であってもふしぎじゃない気がしてくる。

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    投稿日: 2012.09.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三年前に失踪した夫がある夜帰ってきて、実は死んでいるのだという。その死んだはずの夫と旅をする話。 文章表現がきれいな作品ではあるものの、おわりかたが私にとっては消化不良感を感じました。

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    投稿日: 2012.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    彼岸と此岸、死者と生者、死ぬことと食べること。 それぞれ相反することではなくて、曖昧な境界線を挟んでつながっているのだと思う。 死んだ人のいない家はない。つまり、誰かを失ったことのない人はいない。それでもそこにあった時間は、記憶は、失われることはなくて、私たちはふたりぶんの荷物を持って、波の寄せる岸辺の旅を続ける。

    2
    投稿日: 2012.09.13
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    のっけから、食べ物。命を繋ぐものとして、でもあり、ふたりを繋ぐもの、でもあり。そして全編を通して食べるという行為がなまなましく描かれる。 喪の儀式、と言えば語るに簡単に過ぎるだろう。けれど生と死とは、もしかしたらこれ程までに近しく存在することもあるのかもしれないと。 淡く淡く、蟹のあぶくのように。

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    投稿日: 2012.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    共感できる部分はあまりありませんでしたが、 身近な人の死に面したとき、自分はどうなるだろう、 と考えさせられました。

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    投稿日: 2012.09.01
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    3年前死んだ夫がある日帰ってきた。死者と言っても生前と全く変わらない姿。そして2人は死後の軌跡をたどる旅にでる。 その旅は突然失踪した夫の後悔や、妻の喪失感を埋めるものなのでしょうが、それが強く表に出てくるわけではありません。死者となった夫が彷徨った3年間に出会った様々な人々との再会が中心に描かれていきます。 面白いかと問われると、ちょっと困ってしまいますが。。。 不思議な話です。死と生が渾然と混じり合って、なんとも言えない独自の世界を作り上げています。 そして如何にもこの物語に相応しい静謐なエンディングでした。

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    投稿日: 2012.08.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    行かないで そう言いたくてたまらないのに 胸の奥で言葉がつっかえてしまって 言えない感じ。 行かないでって言ってはいけないような気がするし それでも強烈に言いたい気持ちが膨れ上がって 心の中が破裂しそうになる。 けれど 物事は 淡々と進んでいく。 人の死は 案外、淡々と進み 死んだあとの 残された人の人生もまた 淡々と進行していく。 けれど明らかに 残される前と、後では ぱっとみて同じように見える淡々とした行動も 実は大きな違いを中に含んでいる。 そういう すぐには見えないけれど中に含まれていることが 人間の、なんだかよくわからない深みみたいなものを 作っていくのかもしれない。

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    投稿日: 2012.08.25
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    大変なものを読んでしまった、という言葉が、最初からぐるぐるぐるぐる渦巻いて、 今も胸の中で響いている。 密やかで甘く冷たく、目を閉じながら指先でどこかさぐっているような、 そのうちにざっくりと傷つけてしまったような、物語。 たぶんこれからも、私は、何度も何度もこの小説を読むでしょう。 そういう予感がします。

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    投稿日: 2012.08.24
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    うーん…川上弘美っぽい…。 夏にこういうじとじとした純文学は私には合わない、かな。 冬に読み直したらまた違う感想かも。

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    投稿日: 2012.08.17
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    のっけから心臓をぎゅっとつかまれたようで、帰省の道すがら、いっきに読んだ。お盆だからかよけいに、今はもういない人に思いをはせて、気持ちが揺らぐ。ぐるぐる。

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    投稿日: 2012.08.14
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    湯本さんの書くものが好きです。 この『岸辺の旅』もしらたまをはじめ、いろいろな食べ物が出てきたり、様々な地を旅して、その地の人に出会ったりとにぎやかなはずなのに、しんと静かだ。そして、透き通った時間が流れる。それが哀しいことなのか幸せなことなのか、まだまだ私には判断がつかない。それでも、このお話も好きだなと思う。

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    投稿日: 2012.08.07