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イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北
イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北
内藤正典/集英社
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総合評価

21件)
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    イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北 著:内藤 正典 集英社新書 中東におけるイスラム教徒の紛争とはいくつか軸があるように思えます。 本書は残念ながら総花的うまく軸を捉えて切れていないように感じました。 基本:イスラム教とは何か 軸1:アフガニスタンのタリバンから、イスラム国、ボコハラムに至る過激派の系譜 軸2:シーア派とスンニ派との対立 軸3:パレスチナをめぐる、イスラエルとアラブ諸国との闘い 軸4:トルコの対ロシア戦略 軸5:クルド人の情勢 軸6:湾岸諸国の産油国の動向 軸7:親米イスラム諸国の動向 ・イスラムを創始したムハマンド自身商人でしたので、その教えには、都市に暮らす商人の宗教としての性格が色濃く映し出されています ・イスラムとその信徒をターゲットにしているわけではない、と欧米はうそぶきつつ、テロとは無関係のしみんを犠牲にしてきました。 ・CIAが凄惨な拷問を繰り返してきたという事実まで明らかにされるなど、そうしたことの積み重ねの結果、解決の糸口すらないような状況を作りだしました ・トルコは、シリアからの100万をこえる難民を受け入れました。難民の大半はイスラム国の攻撃によって逃れたわけではありません。 ・それ以前に、シリアのアサド政権によって迫害され、アサド政権軍と戦う自由シリア軍(FSA)や、ヌスラ戦線というアルカイダ系のイスラム主義の武装組織などが入り乱れて衝突するために、住んでいられなくなって、トルコ側に逃れたのです。 ・2014年7月、日本は憲政史上大きな転換を迎えました。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したからです。 ・パキスタンの軍統合情報部が協力して、アフガニスタンの反抗勢力やイスラム神学校の若者をムジャーヒディーンとして育てました。 ・パキスタン軍は、隣国のアフガニスタンに親パキスタンの勢力を育てたかったのです ・ムジャーヒディーンとはジハードの戦死のことです ・抵抗勢力がムジャーヒディーンを名乗ったのは、ソ連軍という共産主義者の無神論者と戦うことで自分たちの信仰、すなわちイスラムを守ろうという意識が底流にあったからです。 ・ソ連軍撤退後のアフガニスタンの秩序を回復しようと勢力を増したのが、タリバンです。 ・豪族をバックにもたない学生集団から出発したタリバンは、部族集団の支配を崩しました。 ・タリバンは、1996年にイスラムによる統治を掲げるアフガニスタン・イスラム首長国を誕生させたのです ・最終的にフセインは処刑されますが、アルカイダと無関係だったことが判明します。 ・そして、フセインがいなくなったイラクは、政治的利権をめぐって、シーア派、スンナ派が争い、国が事実上分裂してしまいます。 ・現在、世界中には、15億から16億のムスリムがいます ・新疆ウイグル自治区から西へトルコまで、基本的にイスラム圏です。こうしたイスラム世界の規模を日本人は理解できていません。 ・中東におけるアメリカの最大の同盟国はどこでしょうか。イスラエルではありません。答えはトルコです ・トルコは強大な軍事力を有し、NATOの加盟国でもあります。もともと対ソ連の橋頭保でした。 ・ムスリムに原理主義といっても何のことは理解できません。なぜなら、イスラム原理主義とはアメリガ作った造語だからです ・1991年に湾岸戦争が起きると、サウジアラビアなどペルシャ湾岸の諸国がアメリカ軍の保護をうけるようになります。 ・つまり石油を守るため、アメリカ軍の駐留を認めたわけです。 ・現在、読み書きができない成人の人口は世界で7億7400万と推定されていますが、そのうち、女性は3分の2を占めると指摘されています 等 目次 はじめに 日本は決してこの戦争に参加してはならない 序章 中東で起きていること 第1章 一六億人のムスリムを味方にするか、敵に回すか 第2章 まちがいだらけのイスラム報道 第3章 イスラム世界の堕落とイスラム国の衝撃 第4章 日本人にとってのイスラム おわりに 戦争は人の心の中で生まれる あとがき ISBN:9784087207705 出版社:集英社 判型:新書 ページ数:256ページ 定価:760円(本体) 発売日:2015年01月21日第1刷 発売日:2015年02月18日第4刷

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    投稿日: 2023.12.19
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    いまいち。 最終章の記載は、著者の専門領域での蓄積をいかんなく発揮できているものの、専門外の分野では明らかな誤り(存在しない「イラン民族」や、イランは「シーア派イスラーム主義」との記載)が散見され、本全体の信頼性を失わらせている。また中東各国の現代史をこの厚さの本で説明するのはいささか無理があり、背景知識を持っていなければ理解はできない、もしくは誤解してしまう。 思い切って、著者自身の憲法9条に対する考えと、最終章の記載のみを1冊の本にしたほうがまだよかったかもしれない。

    0
    投稿日: 2018.08.17
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    ヨーロッパにおけるムスリム移民やトルコ等を研究対象にしている 著者による、第1次世界大戦以降から現在までのムスリムと欧米 による中東政策を解説した作品である。 「はじめに」で「日本は決してこの戦争に参加してはならない」とされ ているのだが、残念ながら著者の思いは実らなかった。日本政府は 言い逃れをしているけれど、ISが拘束している邦人2人の殺害に 至ったのは、やはり安倍信三の演説が引き金だもの。 状況を公平に見ようと思っても、どうしてもバイアスがかかるんだよな。 特に日本の報道は欧米メディアの視点でしか中東関係を報道しない。 以前は衛星放送でアルジャジーラの放送が見られたけど、今じゃ 報道番組でもアルジャジーラの報道内容を引用するところがない ものな。 それが無理解だったり、差別に繋がるのではないかと思った。例えば フランスの「ブルカ着用禁止法」。政教分離を厳格にしているフランス だから仕方ないのかもしれなけどね。確か公共の場に十字架を掲げる のも禁止だったはずだから。 それでもヨーロッパに渡ったムスリムたちが差別を受けていることに 変わりはない。差別に耐えて耐えて、それが爆発したらどうなるか? ヨーロッパからシリアに入りISへ入ろうとする若者が多いと報道され たように、自分たちの信仰を基礎にした国を作ろうとすることにな るんだろうな。 かといって、私もISを支持する訳じゃない。本書でも触れられているが 以前、日本の私学がアフガニスタンがカルザイ政権の時、大臣や 元タリバンの指導者を招いたことがある。敵対していたはずの人々が 日本の居酒屋で鍋を囲んでいるっていいじゃないか。 多分、出来ることがある。武器で制圧するのではく、対話の糸口を 見つけることだろう。本書ではトルコを例に取って解説されているが、 実際、ISに対して窓口を持っている唯一の国だろう。ロシアから「IS から石油買ってるだろう」と言われているけれど。 著者のように日本はトルコを手本にしてアメリカの要求を突っぱねろ とは思わない。トルコにもそれなりの思惑はありそうだから。ただ、 アメリカの尻馬に乗るのではなく、軍事力を使わずに仲介役になる ことも考えないといけないんじゃないだろうか。 ムスリム視点で現在の中東の混乱を理解するにはいいのだけれど、 前半部分でしつこいほどに集団的自衛権絡みに話になっているのが 残念。 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心緒中に平和 のとりでを築かなければならない。 相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人 民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信の ために、諸人民の不一致があまりにもしばしな戦争となった。」 ユネスコ憲章の前文なんだが、結局は理想論なんだよな。相手を 知ろうとしないから今でも妙なことが起こっている。「コーラン」を 読まなきゃならないかな。

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    投稿日: 2017.08.22
  • 正直、良く意味の分からないタイトル

    「イスラムの怒り」(2009年著)は、イスラムに疎い日本人への警告書として良書と思いましたので、著者の内藤氏による、その後のアップデートと思って、こちらの本も読んでみました。 非科学的な態度を取ると映るムスリムへの嫌悪と、欧米社会での移民の疎外感と差別体験が悪循環を作ってきたのかという背景説明については、取り上げられている事例こそ新しいですが、本質的には前作の繰り返しのように感じました。 むしろ本書でのアップデートは、 1.「集団的自衛権」の発動を可能とする安保法案は、日本をイスラムとの戦いに巻き込む危険性を高めるだけという論旨と、 2.憲法第九条を頂く平和国家として、紛争当事者の和解の場の設定する「Doshisha Process」こそが日本の役割とするの著者の主張 の2点に集約されます。 そう考えると、「イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北」を本書のタイトルとする理由が、良く分かりません。 「イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北」の意味自体は、平たく言えは以下の意味でしょう。 ・現行の国境線は、欧米的価値観に基づき当時の列強が勝手に引いたものであって、ムスリムからすれば、正しい信仰の実践の結果としての、正しいイスラム世界の行を作る上で阻害要因でしかない。 ・よって「イスラム国」の目的は、欧米的価値観そのものへの挑戦であり、欧米的価値観と国際秩序を守ろうとする欧米諸国と、既得権益を守ろうとする中東諸国の政府は、「イスラム国」を本気で潰そうとして戦争になっている。しかし、正しいイスラム運動の結果としての「イスラム国」勝利の暁には、西洋が作った「中東」は崩壊し、中東諸国の国境線も無くなっているということでしょう。 しかし、現実問題そんなことが可能でしょうか? 百歩譲って、非常に長い目で見て可能だとして、「イスラム国」の勝利が、世界と日本に真の平和をもたらすのでしょうか? 評者には、タイトルの意味を真に受け、極論すれば、『日本も含めて世界全体が「イスラム国」になった時が答えである』と言っているに等しいように思えます。それは、一人の日本人としての評者には、「受け入れ難い答え(=求めている答えになっていない)」です。 上記は極端な解釈かもしれませんが、何ともすっきりしない読後感でした。しかし、この「すっきりしなさ加減」こそが「イスラム国」問題の本質なのでしょうね。

    1
    投稿日: 2017.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一般向けに書かれたイスラム文化書では、内藤先生の解説がとてもわかりやすいと思う。 一番わかりやすい本は『となりのイスラム』だが、本書も難しい内容ではない。 なるほどとうなった部分を挙げる。 <人頭税について> テロ組織が異教徒を人質にして身代金を要求することは、人頭税の一種ということ。 欧米はテロ資金の源になると批判するが、イスラムにはイスラムの考え方があり、相手の文化を知らなければ、相互理解(=平和)には結びつかない。 地獄の沙汰も金次第という言葉が頭をよぎった。 <人材不足> 中東のエキスパートが不足しているということ。 そもそも中東に興味を持つ人が今後増えるのかどうか怪しい。 ニュースでよく見るイスラムとは何か、と一歩踏み出して(少し大げさだが)、本を読む人間が増えれば良いと思う。私もその中のひとりである。 <ドイツでの事件> とても痛ましく涙が出てしまった。日本でこれほどの差別を見たことがないので、想像するのが難しいが、本当にこれほどの差別がヨーロッパでは起こっているのだと信じられない思いだ。

    1
    投稿日: 2017.03.14
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    中田さんの論理を通訳してくれてるようだなと思ったらやはり親交があるようで、同志社でカルザイ政権とタリバンの有力者を集めての話とかが読めてよかった。 一章目がアメリカの中東における有力な同盟国ながら思い通りには動かないトルコから日本も学べるってところで、集団的自衛権と中東情勢についておれには新しい視点だった。 他にも疑ってかかるべき中東、イスラーム関連の報道とか。

    0
    投稿日: 2016.02.16
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    この1年、内藤先生のツイッターを通じて、中東、イスラム世界のことを知ろうとしてきた。 学生時代からずっと、中東問題について、もっと知りたいと思っていたのだが、イランとイラク、スンニ派たシーア派が、どっちがどっちかすぐわからなくなるくらいの全くいい加減なものだった。1年前(多分、日本人人質殺害事件をきっかけに)内藤先生と(勝手に、一方的に)出会い、この先生を通して学ぼうとおもった。 情けないことに本を読むのは初めてだった。 「生」内藤先生を拝見する機会を控え、大あわてで読んだ。大変わかりやすく書かれていて、もっと早く読むべきであった。 私のような、中東問題、イスラム社会について知りたい気持ちは強いのだが、難しく、複雑で、なかなか理解しにくい、頭に入りにくいと思っている人に、是非オススメしたい。

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    投稿日: 2016.01.17
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    イスラム地域研究の専門家が、イスラム国の台頭に至る中東地域の混迷について、歴史、宗教、政治権力、世界のパワーバランス等様々な角度から分析、解説し、今後の日本の取るべきスタンスを提言している。 本書で著者は、 ◆1979年のイラン・イスラム革命以降の米国の中東政策は失敗の連続であり、その原因は、イスラムに関する無知、先入観、偏見に根差した「イスラム・フォビア(イスラム嫌悪)」にある。 ◆ムスリムには、同じ唯一絶対神から啓示を受けた「啓典の民」であるキリスト教徒やユダヤ教徒に対する憎しみはなく、彼らの敵意は、歴史的に自分たちを力で支配してきた英仏などの欧州列強諸国、シオニズムに基づく領域民族国家イスラエル、対テロ戦争と称して多くの市民を犠牲にした米国という国家に向いたものである。 ◆イスラム国が目指す国とは、イスラム主義に基づき、主権が国民ではなく神にあり、カリフにバイア(臣従の誓い)を立てれば世界中のどこにいても国民となれる国である。即ち、西欧発祥の主権が国民にある民族国家とは全く異質であり、共約不可能な存在である。 ◆一方、中東のイスラム国家の多くは世俗主義的ムスリム政権であり、こうしたムスリム政権やサウジアラビアの王族は、西洋諸国と持ちつ持たれつで国家・政権を維持してきた経緯があり、イスラム主義を掲げるイスラム国のような存在は、彼らにとって最大の脅威と言える。 ◆日本は無批判に米国に追随し、世界中のムスリムを敵に回すのではなく、中東で米国の最大の同盟国トルコが、長年の米国からの参戦要請を拒否している姿勢に学ぶべきである。 と述べている。 イスラム国は「国の体裁を整えた初めてのテロ組織」などと言われるが、イスラム国台頭の最大の意味は、本書でも語られているように、主権が国民になく、領土すらも必要としない、新たな国家形態が提示されたことはなのではないかと思う。産業革命時の英国に始まり、21世紀初頭において国家形態の普遍的なスタンダードとなりつつあるnation state(=民族国家)と共約不可能な国家形態の登場は、もしかすると、数百年というスパンでの歴史の転換の契機になるのかも知れない。 短期的に日本が中東地域の混乱に対してどのようなスタンスを取るべきかという問題はもとより、更に深いテーマを提示する一冊である。 (2015年1月了)

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    投稿日: 2016.01.11
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    この頃 目の疲れもあって、本があまり読めない。でもこの本はよかった。著者はムスリムでないが、中田考さんを肯定しており、「国家」というものを理解しており、9条の力をわかっている人です。

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    投稿日: 2015.12.27
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     読後の感想は少し変わったのだが、全体的な感想を述べれば正直、ガッカリだった。前著の「イスラムの怒り」を興味深く読ませていただいただけに、その期待を大きく裏切られた気分が残った。  問題点はいくつも指摘できるが、根本的な部分ではやはり「タイトルや章が不適切である」点と「論拠、準拠が明示されていない」点だろう。特に後者は致命的であり、その点についてここでは説明しておく。  この本の中では繰り返し「我々はイスラムに対して無知・無関心でありすぎた」と指摘されている。我々とあるが、まあ実際は「日本人は」と入れ替えて構わないだろう。専門家による世間批判である。  にもかかわらず、ここで論じられた内容についてさらに深く追求しようと読者が望んだとしても、詳しい専門書はおろか、類書でさえ知ることができない。新書はあくまで入り口であり、より深い知性を求めるためのきっかけだろう。にもかかわらず、この本は、どこにもつながっていないどこでもドアのように、抜けた先に何もない。  本書の内容いかん以前に問題がある、というのは、大きなマイナスである。内容がほとんど断定調であり、「アメリカはこう考えている」「アメリカの軍需産業はこう考えている」「イスラムの人間はこう考えている」と論じているのに、その論拠が示されていない点で本書の信頼性は著しく落ちる。  知識は豊富であり、それだけに三章の内容(イスラム世界の現状)をベースにするのか、二章の内容(日本人のイスラムに対する無知)をベースにするのか、どちらかに絞って書くべきだっただろうと思う。  この本は一冊としてみた場合、知識の点で半端であり、論説としても浅い。また、知識はあれど、知見がないのも気になるところだ。  三章以降の内容は悪くなかった(むしろ良かった)だけに、とても残念な一冊だった。星三つと評価したい。

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    投稿日: 2015.06.29
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    イスラム問題を欧米の発表に頼らない著者自信の視点から解説している.所々ビンラディンやイスラム国を擁護するよるにも取れる記述があり、日頃の報道に慣れてしまった目には違和感を覚えるが、基本的には武力で紛争は解決しないとするスタンスは共感できる.

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    投稿日: 2015.05.21
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    イスラムについて、本当に知らないことが多すぎる。政治家たちも日本のことを考えるのならこういう人の声に耳を傾けないといけないのだと思うが、安倍さんを始め政治家は金儲けばかり考えるので、9条を改正してまでも戦争参加へと進んでいくのだろう。怖いことだ!

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    投稿日: 2015.05.19
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    長年、欧米の理不尽な振る舞いを目の当たりにすれば、憤るのは最もです。現在のイスラムのカオスは欧米による翻弄の結果でしょう。それでも、アラー風刺画に対する極端な反応、略奪し奴隷にするのを認めるコーラン、ISISの振る舞いなど、イスラムへの理解が難しいのは事実です。理想はトルコをイスラムの成功モデルとして発展をサポートすることでしょうか。ただ、日本が軍事バランスを見直しているのは、朝鮮半島・中国大陸の脅威が顕在化しているからです。集団自衛権行使による中東派兵の動きを監視していくことは当然です。

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    投稿日: 2015.05.15
  • 敵対するもの同士の対話の実践

    日本人はイスラムについてあまりにも無知だと言われる。 だが、知識人レベルで見ると、日本のイスラム研究者の中には、見識の深さと誠実な姿勢において、多いに学ぶべき人物もいる。 その一人が本書の著者、内藤正典氏であろう。 多くのイスラム研究者はアラブやイランを専門とするが、 内藤氏はトルコからイスラム世界を見る。(主にヨーロッパに移民しているトルコ人のことなど) トルコはイスラム教徒が多数を占める国でありながら、徹底した政教分離政策を行い、 NATO加盟国で朝鮮戦争にも参戦しており、今もまた、欧米とイスラム世界の間で板挟みとなっている。 本書が中心として扱うのはトルコではなく、イスラム世界と欧米、そして日本のあり方であるが、 長年トルコを通して世界を見てきた人だけあって、 イスラムにもヨーロッパにもアメリカにも、冷静で鋭い目が向けられている。 特に、日本のイスラム理解が欧米のバイヤスが掛かりすぎていることを危惧している。 そのバイヤスについては本書の本題なので、そちらに譲ろう。 知識が豊富ゆえに話が難しくなってしまう人や、無知による単純化を行ってしまう人が多いが、 本書はそのどちらにも陥らず、豊富な知識と鋭い観察点をわかりやすい言葉で読者に伝えている。 本書の魅力は論理的に整理されていることだけではない。 かつてシリアに留学し、その後もトルコやシリアを中心にフィールドワークを重ねてきた著者。 本書では、著者が研究科長を務める同志社大学グローバルスタディーズ研究科で、 アフガニスタン大統領のカルザイ氏と、 タリバンの幹部を招き、学生たちのいきつけの酒場で鍋を囲んだ話も紹介されている。 後にカルザイ大統領が"Doshisha Process"と呼んだできごとであるが、これについて、 フランスのAFP通信が著者に対して「タリバンのようなテロ組織を招待して恥ずかしく思わないのか」と質問した。 著者は「タリバンだけでなく、政府代表も呼んだのです。 敵対するどうしが対話を開始しなくて、一体どうやって和解が成立するでしょう」と答えたという。 この信念は今も揺らがないという。 私もこの時ではないが、同志社大学での公開講演で著者のトルコについての講演や、 ユダヤ教、イスラム教の様々な人を招いた講演会に何度か出席し、いろいろ考えるところがあった。 一応言っておくが、同志社はキリスト教の学校法人である。 だが、なのか、だからこそなのか、イスラムとの対話に非常に力を入れている。 敵対するもの同士、理解しあえないもの同士だからこそ、対話を開始しなければならない、 ということを実践しているわけだ。 こうした講演に参加できる人はそれほど多くはないだろうが (一応、「同志社大学一神教学際センター」で検索すると公開講演の案内を見ることができ、また過去の講演会の要旨や動画もある)、 新書という形で、そのような活動を知ることができるのは喜ばしいことだ。 理論と実際の取り組みを紹介する中で、著者の「対話」への誠実な姿勢を感じる。

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    投稿日: 2015.04.28
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    イスラムをもっと理解することから始める必要があることを教えてくれる良書。 明治維新以降、英、米、独を中心とする欧米の考え方、政治体制に多大な影響を受けてきた。遠く離れたイスラムのことを欧米視点による情報を鵜呑みにしてしまくことに対して注意喚起をしている。 そもそもイスラムでは主権は国民にはなく、神にあるという考え方の違いすら知らなかった。今まで多くの日本人が培ってきた欧米流の考え方と相容れないわけだ。 イスラムについては、少なくともオスマン帝国時代ぐらいにさかのぼって歴史を学ぶ必要があると感じた。

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    投稿日: 2015.03.28
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    ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/413703045.html 内藤が説いてやまない、多文化の共生という理念にむかって進む以外にない。それは、カルト教団の現実の脅威を力で排除することをさまたげないはず。できれば、アラブ諸国がみずからの手でイスラム国の脅威をとりのぞいたという形になってほしい。日本は、武力行使をしない国という国際的な立ち位置を守って、イスラム地域の人びとに貢献できることがあるはず。

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    投稿日: 2015.03.25
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    テロ行為は決して容認しないが、イスラムを否定し無下に断罪する世論に異を唱える。世にはびこるイスラム・フォビアを憂い、そこまでに至った経緯とこれからに向けた提言を記した好著。

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    投稿日: 2015.03.22
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    イスラムとの多文化共生を真摯に考えてきた内藤氏が今般の危機について熱く語る。 イスラムは寛容の宗教。商人の教えとして始まった穏健なもの。そういう趣旨の著者の本はいくつか読んできて,なるほどなと感じてもいた。しかし本書は話題が話題だけに反欧米が明瞭に表れすぎていて,記述にもだいぶ無理がある。そんな印象を受けた。 著者の主張は要するに,イスラム国のような過激な組織を作り出したのは,20世紀の帝国主義列強の横暴と,イスラエルによるパレスチナでの殺戮,冷戦後の欧米諸国によるイスラム敵視,911後のアメリカを中心としたアフガニスタンやイラクでの殺戮,信仰を徹底しない欧米追従アラブ諸国による国民弾圧であって,責めは全面的に西洋社会に帰するというもの。もはや力による解決は不可能。それに荷担してこなかった日本,九条をもつ日本が果たすべき役割は別のところにあるはずだ。欧米の流す偏った情報に乗せられて,イスラム過激派を敵に回すことは愚の骨頂である。そういうことを縷々述べている。 確かにここ百数十年の歴史が,イスラム社会を虐げ,苦しめて来たことは間違いないし,それへの反発がISILのような過激派を生み出してきたこともその通りだろう。欧米発のニュースにバイアスがかかっていることも,情報戦の結果として当然のことだろう。しかし著者はその点に注目するあまり,過激なイスラム主義の問題点に目を瞑りすぎている。 幾つか引用したい。 「カリフ制によるイスラム国の建設は、どうしようもなく堕落したムスリム世界の再生をめざす一つの実験…その面を重視すべきではないかと思います」p.93 「世俗的イデオロギーには闘争心を煽るようなところがありますが、イスラム主義の最終的な目標は、個人も社会も自由や安寧を求めるところにあるのです」p.119 「イスラムでは奴隷を認めるのか、言語道断だと言うことはできます。しかし、イスラムの本質は神の命に全面的にしたがうということですから、神の言葉を集成した『クルアーン』の、良いところは利用して悪いところは使わないといったことは原理的にできないのです。残念ながら、西欧的価値観に基づいて善悪の判断を下そうとし続ける限りは共存の入り口にすらたどり着きません」pp.156-157 「イスラム国などイスラムではない、ただのテロ組織だと宣言するのならば、アメリカやイスラエルやエジプトの政府が市民を殺すときも、あんな国は国家じゃない、ただのテロ組織だ、という主張に説得力が出てくることを覚悟しなくてはなりません」p.240 イデオロギーと宗教の異質性を強調するあまり,信仰を利用することの問題点を過小評価してしまっている。過去のテキストに忠実に従い,理想に向けて邁進することの弊害を,人類は学んできた筈ではなかったか。 もちろん著者もISILの動機はともかく行動を支持しているわけではなく,テロや人質殺害には明確に反対している。そして問題の解決策についても触れている。軍事力の行使は紛争解決に貢献しない。この非対称な戦争を終わらせる方法は,平和憲法を奉じる日本の仲介による和平合意ではないか。そう示唆して本書は閉じられている。 日本人人質事件が報道されたのは,本書執筆の後のようではあるが,当時としてもあまり現実的な解決策とは感じられなかった。彼らとの歩み寄りは可能なのだろうか。 イスラム法学者の「ハサン中田考先生」を著者は随分評価しているようで,彼の言葉をところどころに引用しているのもなんだか違和感があった。

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    投稿日: 2015.02.27
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    「戦争は人の心の中に起こるもの」 終わりの方のページで、ユネスコの憲章から引用されたこの言葉が印象に残った。 憎しみが憎しみを呼び、戦争はまた新たな戦争を引き起こす。 われわれ日本人が無知であるイスラムに対する誤解を解き、理解を深める一冊。グローバルな視点で世界を捉えるのに必読の書であろう。

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    投稿日: 2015.02.19
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    イスラムを巡る政治状況を歴史的背景を解き明かしながら平易に解説し、あるべき中東政策の処方を提示。西欧諸国の一方的な視点の怖さを痛感させられる。

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    投稿日: 2015.02.01
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    読書中。 イスラムのことがよくわかる。 共存するためにはまず相手を理解するよう努力することから始まる。

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    投稿日: 2015.01.25