
総合評価
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powered by ブクログやっぱり桜木紫乃の文章が好き。 はじめの章の美和が強烈だったが決して嫌いではなく、私の大好きな連作短編集なので一気読み。 桜木紫乃らしく、そこここに死の影が漂ってるのだが、最後はみんなでバーベキュー。 登場するペットは犬。なんでネコじゃないのかと思ってたけど(ネコが好きなので)、夫婦で散歩するとか里親同士が犬連れで集まってBBQとか、こういうことができるのはやっぱり犬だよね。 私の推しキャラは、拓郎ちゃんと店長。いい人そう。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログ桜木さんにしては珍しく、ハッピーエンドのお話でした。途中はなかなか暗いですが…。 連作短編集でその中でも特に「おでん」の章が好きでした。
14投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・「子犬を飼いませんか。ラッキーカラーの赤じゃなく、白衣の白なんですけれど」 子犬、と語尾を上げたきり赤沢が黙り込んだ。寿美子はどこから説明しようかと考えあぐね、ひとまず「できれば一緒に」と付け足した。赤沢が大きく息を吸い込む気配。さぁ何から説明しよう。何と言ってこの男を手に入れよう。 里親の条件どおり、幸せになる。決めた。 いい夢は、これからだ──。 ・柿崎美和医師 「鈴音はわたしよりもあんたよりも長生きする。わたしがさせる」 ・柿崎美和医師 あなたに支えてほしいのは、彼女の気力です。志田さんが支えてくださらなければ、どんな治療も効果が出ない。 ・解説 ここには、死ぬということ、生きるということ、愛するということ、友達とつながるということ、そのすべてがある。これ以上の余計な注釈は無用だろう。あとは黙って読まれたい。 最後はみんな仲良く集まって里親会BBQ。 病気も治ってくっつくもの同士はくっついて 死をテーマにしてた本だったけどわたし的には ハッピーエンドでした。
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ処分する前にもう一回読んでおこうと思って読み始めたら一気に引き込まれた。前回読んだ時はそこまで感じた記憶がないが、歳をとったせいか? 逆境の中で自分の気持ちに正直に生きようとする、キャラクターたちの心の動きが鮮やかに描かれていて素晴らしかった。 売るのやめた。
1投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ桜木紫乃さんの本、文章は好きだけど暗くてじっとり湿気があるから読むのに体力がいる、と今日まで思っていました。 大人の恋愛や感情の揺れを描かせたらピカイチなんだけど、なんかしんどい、と今日まで思っていました。 今回は違った!違ってないけど違った。暗く湿り気はあるんだけど希望もある。 現実的にありそうな話で綺麗事ばかりじゃないのが余計にいい。甘いだけの恋愛や都合のいいばかりの友情もいらない。 胸に手をあてて読後感に浸りたい。四十代以上のちゃんと生きてきた大人に薦めたい本です。
5投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ問題を起こして僻地に出向になった医師。母の理想になることを求めすぎて大切な人を失った医師。彼氏にDVを受けた元バイトを匿う店長。患者からの告白に淡い期待をしてしまうベテラン看護師。経済的理由で医学部進学を諦めたことを引け目に感じ続ける技師。それぞれの人生の綻びを紡ぎ直す話。
0投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログ人間の生と死とそして性は繋がっている 登場人物それぞれのドラマの中で綴られて繋がる 後悔するような出来事があっても 人はそこからもう一度歩き出すことができる 人間は意外と強い生き物
15投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スキャンダルを起こした禊ぎとして離島の診療所に派遣された医師の美和。島民の好奇の目に晒されながらも淡々と業務をこなす美和の元に、医師仲間の鈴音からある知らせがもたらされる…。 連作短編集のかたちをとり、美和の周辺の人物たちにそれぞれスポットを当て、物語が進んでいく。 冒頭の「十六夜」は桜木作品らしく、離島に生きる人々の鬱屈した空気と美和のやるせない諦念のようなものがゾクゾクするくらい読み手を引き込む。 続く作品もやさしい雰囲気を意外に感じつつも読後感は好きだったのだが、ラストの「ワン・モア」のそのまたラスト部分はちょっといらなかったのでは、と思う。その後の物語は読者に預けて欲しかった。
1投稿日: 2024.01.12
powered by ブクログ何故か読む度に好きになってしまうのですよ、桜木紫乃さんの世界を♡ ハナマル急上昇中の彼女の作品、次は何を読もうか時間をじっくり掛けて吟味した結果『ワン・モア』に決定 期待した通りとても味わい深い時間を堪能させていただきました 本書は大人の恋愛、それぞれの人生が 色濃く描かれた連作長編です 一話目の『十六夜』は主人公の柿崎美和のやるせない桜木紫乃さんらしい話ですが、二話目以降は趣きが変わって行き、それぞれ語り手が変わります 嬉しい事にどの話にもどっぷりしっかり浸わせてもらい、人間臭いドラマに夢中になってしまいました 解説にもあるのですが、本書の中で心の内が語られていない柿崎美和 多くを語らない美和ですが、自分の信念だけは曲げない彼女の生き方が格好良いのです 謎めいた彼女の存在を仕上げた著者の上手さに感銘を受けました しかし、最終話最後のエピローグ的な五頁は欲しくなかったです 賛否両論だと思いますが、今までどの話も読み応えがあったのに、最後にあの全て良しのノリはらしくない、あくまでも個人的な希望です ですので評価はマイナスしちゃうのですが、元々☆5以上だったので☆5のままです 笑 次何読もうか吟味Time楽しみです♪
94投稿日: 2024.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
桜木紫乃作品にしては暗い重い気持ちにならずに、読後はあったかい気持ちになった。 短編だけど登場人物がみんな繋がっているタイプで、そこは桜木紫乃さんらしいなぁと。 「おでん」の終わり方は、ああこれ店長の自信のなさ、自分が傷つきたくないから押せないってことでしょ?ってがっかりしたのに、最後に夫婦になっててウルッとした。 赤沢さんに会う時になぜか結婚指輪をしちゃう寿美子の気持ちはわからなかったけど、それを会った途端に絆創膏で隠しちゃうとことか、赤沢さんががっかりしちゃうとこ、否定しないとこに胸が苦しくなった。こちらも最後幸せでよかった…。 登場人物の関係性を書き出して整理したいな。笑
1投稿日: 2023.11.30
powered by ブクログ読み始めはずーっと曇天。曇っていて今にも雨が降り出しそうで…そこから雲ひとつない青空に向かっていく、そんな連作だったように思う。 医療に携わる人びとと、命。 うまくいきそうでいかない、素直になれない、それでも前を向いて歩いていく。 桜木紫乃さんの他の本も読んでみたいと思った。
14投稿日: 2022.05.12
powered by ブクログ静かに話が進む連作短編集。人の生命が物語の中心ななるので、特に大きな出来事などがなくても、内容に深みがあり素敵なお話だと思いました。一話ごとでは余韻を持たせる終わりかたでしたが、最終話で綺麗にまとめてあるので、そこもよかったです。星4にちかい3です。
0投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
医療関係の3人の同級生。 鈴音は真面目に生き、親から続く開業医で余命宣告を受け、元旦那と過ごす。主人公は安楽死させたことで離島へ左遷、そこで既婚の元水泳オリンピアと関係に。金メダルを期待されていたが、ドーピングスキャンダルで一線を退き地元に戻っていた。鈴音からの病院を任せたいと呼び出され戻ることとなるが、そこで彼は海の中に消え行方不明に。主人公は悪気なく巻き込まれている。 もう1人の八木は2人ほどの学力がなく経済力もなかったことから、医者を諦め、放射線技師になる。当時から片想いしていた鈴音に同じ病院で働こうと言われたからだ。鈴音は元旦那と余生を過ごし、治療する。近所のスーパー店長が幸せになる話と鈴音が引き抜いたベテラン看護師が幸せになる話も盛り込まれている。 話の内容が想像出来るので1だけど、ほんわかするので嫌いではない。
0投稿日: 2022.02.13
powered by ブクログ主人公を変えつつ、それぞれの恋愛模様描く連作短編。 訳アリで島に流れて来た女医と挫折した五輪候補選手の漁師の「業」を感じさせるような出だし。いつもの桜木さんです。 ところがこの作品は少しづつ柔らかくなって行きます。いやDVの話もあるから、いつもと比較すればというレベルで、他の人に比べたらやはり全体に暗調で閉塞感は有りますが。しかし1話1話が少し明かりが見えたような終わり方です。 そして大団円。 本当に桜木さん?と聞きたくなるようなAll Happy。特に不穏な終わり方だった短編「おでん」のさとうしおさんを登場させたのは良かったなぁ。 対比的な二人の女医と放射線技師の男と言う同級生トリオが粋ですね。映像化したら面白そうです
1投稿日: 2021.10.08
powered by ブクログ無表情で読み切ったけど、心は打ち震えた。これぞ大人の恋愛小説。恋愛のみならず友情、信頼、生と死…こよりのように細くても強い絆を感じさせた。安楽死事件を起こし離島に左遷された孤高の女性医師、美和。余命半年余りと宣告された美和の同僚医師、鈴音。美和は鈴音の病気をきっかけに島を出る決意をする。不器用な登場人物たちに共感しているわけではない。でも心がねじ切れるような気持ちにさせられるのはなぜだろう。そして想像以上に穏やかな最終章を迎え『ワン・モア』という題名が胸に沁みわたる。文字を嚙みしめるようにして読んだ。
2投稿日: 2021.08.27
powered by ブクログ『命の期限を切られると怖いものがなくなるなどというのは実は噓で、本当は怖いものがはっきりとわかるようになる』 自分がいつまで生きられるのか、そんなことを考える瞬間ってないでしょうか。日々の忙しさに追われ、生きること自体に精一杯という時に、休みたいなあ、と思う時があります。でも、そんな時間ができればできたで、自分の人生の長さに思いを馳せてしまう、漠然とした不安に包まれてしまう、そんな瞬間を味わうことになるくらいなら、大変、大変と思いつつも忙しい日々を送る方が幸せとも言えます。しかし、人の世は無情です。今の平穏な日常がいつまでも続いていくと思っていたはずが、健康診断の結果をきっかけにまさかの人生の残り時間を宣告される、そのような事態に、私だって、貴方だって、いつ何時陥ることになるかもしれません。人の人生というのは常に『生』と『死』が背中合わせだからです。では、そんな『死』と対峙することになった時、人はそこに何を思うのでしょうか? ここにそんな事態に直面した内科医が主人公の一人となる物語があります。医師として数多くの余命宣告をしてきたその女性。自身を映した画像を見ながら『半年ってところですか』と同僚の医師と会話するその女性。『自分が何を遺して逝くのか、達観している場合ではなかった』という残り時間との闘い。『残された時間でしなければならないことはたくさんある』と思い、足掻く日々。そして『本当は怖いものがはっきりとわかるようになる』という瞬間が訪れます。しかし、そんな女性が冷静に取っていく行動が、結果として彼女の人生をさらに動かしていくこの作品。それは、『自分に許された時間を、一緒に過ごしてくれないだろうか』と、『死』と対峙しながらも『生』を求め、人と人との繋がりに救いを求める人の生き様を見る物語です。 『北海道の日本海側に浮かぶ』、『昼間は空と海、夜は月と星しかなくなる直径八キロの円い島』という『加良古路島(からころじま)』にやってきて一年半が経った主人公の柿崎美和。『長く不在だった診療所の医師が、スキャンダルを抱えてやってきた人間であることは島民の誰もが知っていた』という美和の赴任。『役場から派遣されている鈴木清美が帰ったあとはもう誰も、滅多なことでは診療所を訪ねてこない』という島唯一の診療所。『清美は美和よりもひとまわり年上の、五十に手が届く保健師』で、『夜中の急患も診療所の美和より彼女の自宅へ連絡が入る』という状況。そんな時『診療所の電話が鳴』ります。『元気でやってる?』というその声は『K高理数科の時代から医学部時代もずっと同じ環境』という友人の滝澤鈴音(たきざわ すずね)。『父親の遺した病院を再建すると同時に結婚した』鈴音。『病院は順調なんだけど、わたしが大腸をやられちゃった。肝転移してるんだ。月単位かな』と言う鈴音。『滝澤鈴音が自分を頼るときは、いよいよなのだと一瞬で覚悟を決めていた』美和。『うちの病院を頼みたいの。今月いっぱいで現場から離れようと思う』と続ける鈴音に『わかった』と答えた美和。『島に残した仕事があるのなら待つと言』われたものの『そんなものはなかった』という島の暮らし。『内科部長の言った「禊」はあと半年残っているが、島をでることは可能だろう』と思う美和。『診療所は閉鎖されて、総合病院との取り次ぎを清美が行う。お飾りの医師が去り、元に戻る。誰も困らない』という診療所の今後。そして『午後九時』になって『十六夜の月が照らし始めた』岸壁を港に向かって歩き出した美和。『係留された船のいちばん向こう端に、小さな灯』の灯る船で七つも年上の美和を待つのは木坂昴。『既に島の誰もが知っていた』というその逢瀬。『島は、昴が年上の女にたぶらかされているという噂でもちきり』で、『妻も彼を追ってはこない』というその逢瀬。そんな美和はこの島に来ることになったあの日のことを思い出します。『当時美和が担当していた九十二歳の女性患者』。『意識混濁が一年以上続いており、胃瘻と下の世話が欠かせない』という『五年のあいだ、生死の境をさまよっては復活することを繰り返していた患者』。緊急連絡先に登録されていた妊娠中の孫に連絡を繰り返したある日のこと。『先生、お願いです。頼むから祖母を楽にしてやってほしい』と目を赤くして訴える孫。そして『点滴のチューブから筋弛緩剤を入れた』という美和の行為。『安楽死を頼んだ孫とは、それきり会う機会を与えられなかった』美和に『姪に聞きましたが、これってもしかしたら殺人なんじゃありませんか』と問いただす『患者の次男』。そして、『禊』として島に赴任した美和。そして、赴任先の診療所に怪我をして駆け込んで来た昴と出会った美和。『転んだ先に、ナタがあった』と説明されたその傷を十二針縫った美和。これが縁で『皓々と月の光が注ぐ船の先で、美和は彼を抱いた』という二人の関係の始まり。そんな美和が鈴音からの『うちの病院を頼みたいの』という電話をきっかけに二人の関係に終わりの時が近づきます。そして…という最初の短編〈十六夜〉。『ためらいの意をもたされている』という『十六夜の月』を背景に巧みに織り込みながら、しっとりとした夜の雰囲気感たっぷりに展開される好編でした。 まさかの『安楽死事件』によって街の病院を追われ、離島の診療所に赴任した柿崎美和が主人公となる冒頭の〈十六夜〉に続く合計六つの短編が連作短編の形式をとるこの作品。全編を通して流れるしっとりとした、それでいて北国の透き通った空気感が一貫して感じられる桜木さんならではの世界観を堪能できる作品に仕上がっていると思います。そんな雰囲気感は〈十六夜〉の中で美和と昴の逢瀬を描く場面でも一貫しています。『背後から十六夜の月が船首を照らしている』という二人の初めての夜。船の上で『ゆりかごに似た揺れに身を任せながら海を見』る美和。『凪の海は鏡のように月と星を映している。どこまでが海なのか、どこからが空なのか、分からない』というその情景。『月が天頂に届きかけたころ、抱きかかえられ船室へ入った』美和は『引き締まった腰に両腕をまわした』という船内の二人。『床に敷いた毛布から、潮の匂いが立ちのぼる』中、『昴の欲望が美和の身体に満ちた。内側にある大きな空洞が埋まった』というその瞬間。『息苦しい快楽が背骨を駆け上がってくる。声が漏れる。上りつめた美和に強く体を沈めたあと、昴も低く咆哮した』というその瞬間。そして、『波が背を押し上げては引き戻す。船底に広がる世界へと、背中から沈んでゆく』という終局。該当シーンの一部をさてさて流で抜き出してご紹介しましたが、このしっとりとした空気感の中に、冷たい炎が燃え上がるような絶品の描写にぞくぞくさせられるこの逢瀬のシーン。これぞ、桜木さんを読む喜び!を感じさせてくれる絶品の描写だと思いました。 そして、そんなこの作品では、『安楽死事件』を引き起こした美和、そして自らの肝臓の画像を見ながら冷静に『半年ってところですか』と診断する鈴音の二人を中心に、看護師の浦田寿美子、高校時代のクラスメイトで放射線技師の八木浩一など各短編ごとに主人公が交代しながら物語は進んでいきます。そんなこの作品は解説の北上次郎さんが書かれている通り『ここには、死ぬということ、生きるということ、愛するということ、友達とつながるということ、そのすべてがある』というように色々な要素が絡み合いながらしっとりとした作品世界が描かれていきます。そんな中でも読者の心に強く刻まれるのが『たくさんの死』と向き合う中での主人公たちの細やかな感情の動きを見る物語だと思います。『安楽死事件』で『これってもしかしたら殺人なんじゃありませんか』と問いただされた美和。鈴音の個人医院開業に前後して相次いで亡くなった鈴音の両親。そして内科医として自身を余命半年と診断する鈴音など。それぞれ、死への手助けを行った立場、不可抗力の死を見送った立場、そして近づく死と対峙する半年を送る立場と、それぞれ『死』というものにそれぞれの立場で対峙してきた主人公たちの姿が物語の軸を構成していきます。一方で、『死』には至らずとも、十二針を縫うことになった昴のキズの本当の理由、DVによって傷つけられた坂木詩緒の描写、そして八木浩一の鬱屈とした思いの顛末など、この作品には随分とマイナス感情に満たされた世界が描かれていることにも気づきます。しかし、そんな作品を読み終わった後に感じるのは、人と人とが温かく繋がっていく物語という全く別の感情に支配された世界でした。DV男から詩緒を必死に守る佐藤亮太、『ひたむきに生をまっとうすることに力を注ぐふたりを、後ろで支えるのが自分の役目だと信じ』て、看護師としての役割を果たす浦田寿美子、そして『わたしは、負ける賭けなんかしない』と全力を賭して鈴音の治療に邁進する美和、と美しく繋がっていくそれら主人公たちの姿は、『死』と対峙し、『死』というものを乗り越え、そして生きることにとことんこだわる人々の力強さを感じさせるものでした。 そんなこの作品は最後の短編〈ワン・モア〉の結末で、えっ?と驚くような”ザ・ハッピー・エンド”を見る中に幕を下ろします。ブクログのレビューでもこのある意味での能天気さ、不自然さを指摘される方もいらっしゃいます。感想は人それぞれですから、もちろんそのような考え方に至るのも分かりますし、私も、えっ?という思いを一瞬なりとも抱いたのは事実です。しかし、読後、本を閉じてこの作品を思い返した時、この結末はこれで良かったのではないか、という結論に思い至りました。それは、この作品は、『死』というものと対峙することによって、逆に、生きること、愛すること、そして繋がること、その大切さとその喜びを謳った作品なのではないか、そのように感じたからです。『いい小説だ。静かで、力強い小説だ』とおっしゃる北上さん。そう、人が力強く生きていく、力強く繋がっていく、そんな未来を垣間見ることのできる喜び、それこそがこの作品の結末に描かれる光景の先にある物語のテーマなんだ、そう思いました。 『安楽死事件』により『自分はもう、医者でも人でもないのだろう。ただのくらげ、と腹の中でつぶやいた』という主人公・美和が、一方で医者として友人に迫り来る『死』と正面から対峙していく姿が描かれるこの作品。主人公たちの人としての優しさと、人と人との繋がりの先に未来に続いていくそれぞれの道を垣間見るこの作品。しっとりと描かれるその作品世界の中に『死』と対峙することで見えてくる『生』の素晴らしさと喜びがふっと浮かび上がる絶品でした。
82投稿日: 2021.05.01
powered by ブクログあと一つ手を伸ばし、幸せを掴もうとする人達の物語。 北海道の日本海側、昼は空と海、夜は月と星しかない小さい島の診療所の医師美和。まっすぐで奔放な美和、安楽死事件をおこし、離島に飛ばされてきた。ここでも島の男性と逢瀬を重ね村人の知るところとなっている。 連作短編で、友人医師鈴音、関わる人達と話は進む。 個人的には、亮太と詩織の「おでん」が好みだった。亮太は真面目でいい人だが、女性には縁が無い。偶然目の前に詩織が転がり込んでくる。別れたのか、と思える終わりかた。が後半の連作で結ばれたことがわかる。良かった。 全体に、思わぬ方向に明るく進んだ。暗さから明るさへイメージが逆転した感が強かった。 余命宣告された、医師鈴音。別れた夫に「一緒に居てほしい(また住もう)」と懇願するところは、正直微妙な気分になった。自分だったら、と考える。
23投稿日: 2021.02.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「十六夜」安楽死事件を起こし離島へと左遷された内科医柿崎美和と昴。 「ワンダフル・ライフ」美和の同級生で末期癌の滝澤鈴音と元夫志田拓郎。 「おでん」本屋の店長佐藤亮太と坂木詩織。 「ラッキーカラー」看護師浦田寿美子と!赤沢邦夫。 「感傷主義」同級生八木浩一と米倉レイナ。 「ワン・モア」志田拓郎と鈴音と父。 其々の人生に関わる桜木紫乃らしい連作長編。 最後はリンとその子たちで繋がっている。 何度も込み上げる感情で、最高に面白い。
0投稿日: 2021.01.28
powered by ブクログその日のまえにを彷彿とさせる連続性のある短編集。ドラマになりそうな感じもするが今の私にはどの人もそこまでリアルには迫ってこなかった。
0投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログそれぞれの物語が描かれていて、いろいろ抱える中でも前向きな小説でよかったと思う。不器用だな、人間って
0投稿日: 2020.07.25
powered by ブクログ週末の土日にサラッと読めた。この世界に入って、小説の楽しみ方の王道か。 初めに登場するのは柿崎美和。安楽死を施した疑いで、北海道の日本海側に浮かぶ島に飛ばされた医師。そこへ高校の同期生、医師の滝沢鈴音から、余命僅かなので、自分の医院を継いでほしいと電話が入る。 そこから、何人かの登場人物があるが、物語の軸は鈴音。皆が鈴音を頼っているとか、自分の望みを賭けていたり。 なぜ、ワン・モアなのか。いろいろ可能性、感じ方が残されるのが面白い。
3投稿日: 2019.12.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短い作品なのでサクッと読める。 読後感は良い。 生きることの辛さと、前を向くことをしみじみ作品から感じた。
1投稿日: 2018.08.05
powered by ブクログ特に今回のお話は、美和をはじめ、かなり芯のずしんとした強い女性が多いが、どのひとも可愛さがある。一人ひとり登場するごとに人物に色や形が増していき大きな物語となった。少し大袈裟だが曲「ボレロ」を感じた。 最後のワンちゃんまで加わる大集合には、好き嫌いが分かれるようだが、自分はとても好き。みんなのワンモアが積み重なっている。それにしてもものすごく上手い。 このところ桜木さん作品が多くなり、一旦休憩します。
1投稿日: 2018.04.13今回も独特の世界観
独特の世界観ですが、最後は珍しく(?)ハッピーエンドです。 切ないけどあたたかい、よい物語でした。
0投稿日: 2018.03.13
powered by ブクログ短編集なようだけど、登場人物を介して全てが繋がっている構成。桜木紫乃、やっぱいいわぁ。世界観が好き。
1投稿日: 2017.06.25
powered by ブクログ美和、問題ありの医者の危ない恋から始まる物語。美和は自分の信念に基づき行動する。白い目で見られても後ろ指さされても自分が信じた道を歩く。大切なことは何かを分かっている。だからかっこいい。美和を中心にいろいろな人物が関わり合ってくる連作短編集。佐藤店長の話はどうなることかと。あと赤沢さんのけじめ。そして鈴音が捨て身で拓郎にぶつかっていった結果。どれも良かった。泣かされた。登場人物が全員集合する最終話。人生はまだまだ続く、問題もあるだろう。けれどなんとかなる。希望を捨てずに前に進めば。そんな気持ちになる一冊。
4投稿日: 2017.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
連作短篇集。「十六夜」と「ワンダフル・ライフ」が好き。犬じゃない方のすばるは結局みつからないままだろうか?どうなったか気になる。短編を読み進めるごとに、美和の人物像がどんどん人間臭くなっている気がする。 余命が短いとわかった時側にいて欲しい誰かがいることだけでも幸せだと思う。生まれた子犬を託すことで託した相手に幸せでいることを約束させる行為はエゴなんだけど、愛を感じる。
0投稿日: 2017.04.14桜木さんにしては演歌でなくポップス系の話し・・・と (^0^)/
爺が今まで読んだ桜木さんの本の中では一番ポップス系の話しでした。 これまで読んだ本(と言っても4冊ですが↷)は桂銀淑の唄がピッタシの演歌小説でしたが、作風が変わった感じのする話しです。 タイトルの「ワン・モア」が最後のエピソードとなる6編の連作です。一つ一つのエピソードが登場人物を取り巻く、その時の瞬間を語り最後のエピソードの「ワン・モア」へと繋がって行きます。 初めのエピソードを読み始めた時「また桜木ワールドの演歌に嵌ったなぁ~(-.-;)」と思ったのですが、2つ目のエピソード辺りから趣が変わり、4・5エピソード辺りに成ると、「桜木さんこれ有り?」 と戸惑いと新たな喜びを感じて来ました。(チョット大袈裟か・・・笑) でも爺の様な順で桜木作品読んで来ると、異色と思える驚きがあります。 釧路の冬の晴天の如き輝きがあります。 読んで見て下さい。また、桜木ワールドのファンになります。
5投稿日: 2016.10.23
powered by ブクログ登場人物それぞれの物語が少しずつ繋がっていく連作。それぞれが幸せになっていくのを素直に喜んで読める。作者の技量が上がったと感じる。
1投稿日: 2016.04.11
powered by ブクログ桜木紫乃って最初はそんなに好きじゃないと思ってたけど だんだん好きになるかも。この人って文章がうまいだけじゃなくて ひとの造形がうまいっていうか。これはこの人のなかでも1番のハッピーエンドって感じだけど そこが好き。
6投稿日: 2016.01.20
powered by ブクログ桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。 これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。 が~! 訂正です。 この【ワン・モア】が一番好きです。 医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。 高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。 そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。 離島から鈴音のもとに帰る美和。 そんな二人を取り巻く人たち。 それぞれが抱える人生。 いろんなことがあって、いろんなことに傷つくけれど… 来年はもっと桜木さんの本を読んでみよう! そう思わせてくれた一冊です。
6投稿日: 2015.12.19
powered by ブクログ安楽死事件を起こして離島に飛ばされた女医の美和と、友人で開業医の鈴音。二人の女性を中心に、孤独な人生を過ごす人々の絆と再生の物語。 連作短篇集なので、主人公がバトンタッチするように変わっていく。個人的に、『おでん』のトキワ書店店長・亮太の恋の行方が心配で心配で。強く相手を想うことってやっぱり大切だと思った。ちゃんと『サトウ シオ』になって安心した。
1投稿日: 2015.11.01ちょっと甘い、だがいい❗
相変わらず上手いです。 モテる男女とモテない男女の純愛ストーリー。 ラストが甘い❗でもこれしかないか?
0投稿日: 2015.10.12小さな幸せのためのちょっとの勇気
ホッとあたたくなる一冊です。 まず、柿崎美和が描かれ、その友達の鈴音と八木の存在を知ります。そして、鈴音が病気のために、美和に鈴音の個人病院を任せたいというところから連作は始まります。ほんの少しの不幸が、少しずつ幸せに変化していき、最後は当人の少しの勇気で幸せになっていく・・・。ホッとできる瞬間です。 暖かな気持ちになりたい方にお勧めです。 さて、この電子書籍には、珍しく『解説』もついています。本の読み方は個人の自由なので、解説なんていらないと思っていました。 けれども、こういう読み方もできるんだと感心したり、自分とは読み方が違うなぁと思ったり、やっぱり解説はあった方がいいですね。 この本のような物語の進め方を「連作」というのも解説で知りました。
3投稿日: 2015.09.24
powered by ブクログ多忙な仕事の合間をぬって、かなり時間をかけて読みました。 今まで無かったの桜木紫乃作品のなかでは、前向きで、読了後に元気をいただけました。 登場人物が、それぞれいろんな悩みや人生を抱えながら、一生懸命に生きている。 小さな どこの街にもある、普通の医院に関わる人たちそれぞれが、人生の主役。 桜木紫乃作品にしては、ドロドロとした、やり場のない感情が残らない、清々しい話。 私てきには、桜木紫乃作品の中ではNo.1でした。
0投稿日: 2015.09.22
powered by ブクログまだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです! 巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。 死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。 最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・モア」の最後のバーベキューの場面では、気になっていたトキワ書店の店長さんのその後を知ることができて、みんなで子犬のの誕生会をする平和な様子にじんわりと涙ぐみました。 あまり正面から「頑張れ」と言われるのも辛い、この作品には、押しつけがましくない前向きさを貰えた気がしました。
1投稿日: 2015.06.21
powered by ブクログ物語を紡ぐことに 長けていますね。 桜木さんの作品の中では ふうわり優しく 幸福な物語でした。 爽やかな読後感を 得られるかわりに、 ズンとした重みやアクが ない軽めの感触。
0投稿日: 2015.04.30
powered by ブクログ連作長編。 北海道の離島で医師をしている美和から話が始まり、その友人の鈴音、鈴音の離婚した夫、それぞれに個性的に描かれています。 ストーリーはどうと言う話でもないけれど、それぞれの視点で描かれた物語は共感できて、読後感もいいです。
0投稿日: 2015.04.11ワン・モア
今回も北海道を舞台に繰り広げられる短編集です。 この方の作品はどれもあまり明るいイメージがないですが、この本に関しては短編がすべて関連付けされていて、 最後には短編ごとの主人公すべてにパッと明るい希望の見える作品となっています。 読後には自分も頑張ろうという気分にさせられますし、あっという間に読み終えました。
3投稿日: 2015.04.10
powered by ブクログ美和、鈴音、八木 高校時代の同級生たちが中年になってからの3人とその周辺の人々の物語。美和、鈴音は医師となり、八木は放射線技師になった。安楽死事件を起こし病院を追われた美和は離島でかつてオリンピック競泳選手でドーピングが原因で転落した男と逢瀬を重ねる。そこへ鈴音から余命半年で個人病院を任せたいという電話がかかってきて・・・。人生を重ねてきたが器用には生きられない人たちに温かいまなざしが注がれている。とくに看護師の浦田さんの物語はこれまでの人生に慣れ、幸せへの一歩を踏み出すことに憶病になってしまう気持ちに共感した。鈴音の犬リンのプラチナホワイトの子犬をもらった浦田さん。子犬の生命力にそっと背中を押される姿の大げさでないところもよかった。
0投稿日: 2015.03.19
powered by ブクログ初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。 高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。 登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。 2017/04/24再読。
2投稿日: 2015.03.03
powered by ブクログ人それぞれに歴史もあり、違った価値観もありといった多様性の中で、夫婦として2人がつながり、また友人としてもつながる。そこには融合がある。本来、異質であるものを受け入れて溶け合い一つのものに育っていくんだろう。ハッピーエンドで人間の関係が肯定的に描かれてあることがなんとなく嬉しいと感じる。
0投稿日: 2015.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
安定・安心のハッピーエンド。 いかんせん、薄っぺらい。みんな結婚したら幸せなのか?特に、志緒さんはあの店長と結婚して幸せなのか?好きになって結婚という過程が設定ありきというか、短絡的というか電池でいう所の直列繋ぎというか・・・。もう狭い田舎のコミュニティで相手を見つけなければいけない感がどうにも苦手だった。
0投稿日: 2015.02.27
powered by ブクログ末期がんで余命宣告された女医を中心として、生きづらい世の中を自分なりに生きている中年男女の群像劇。 連作短編の形をとって主人公が変わっていく。 筆者の過去の作品のイメージとは裏腹にどれもハッピーエンドである。安心して読める感と、ちょっとできすぎだなと思う気持ち両方が残る。 『十六夜』 安楽死事件を起こして離島の診療所に飛ばされた女医の美和。 クールな性格で男女関係に奔放な美和は、針の筵のような島の暮らしも飄々と過ごし、妻のある男と漁船の上で逢瀬を交わしている。 男は将来を嘱望された競泳選手だったが、ドーピングにより選手生命を絶たれ漁師となっていた。 神経症気味の男の妻と美和のやりとり、もう壊れかけている男が美和に見せる執着と、あくまでドライで自分本位な部分のある美和の対比が鮮やかである。 島の住人たちも存在感があって、短い話だが濃厚であった。 収録された6話の中で一番鮮やかな関係が描かれていた。この調子で進むのかと思ったが、この話だけ毛色の違う物語だった。 『ワンダフル・ライフ』 父の病院を再建し、仕事に邁進する鈴音は末期がんが発覚し、余命宣告される。 旧友の美和に病院を託し、身辺整理を進めながらも、離婚した夫のことが忘れられず、元夫を家に招く。 結局なんで離婚したのかという部分と、ふたりはヨリを戻すのだが、その流れがふわっとしていてよくわからなかった。 ドラマチックさに煙に巻かれた感。 『おでん』 連作短編によくある、本流以外の人物を切り取った一話。 書店店長でひとはいいが女に縁のない佐藤。 片思いをしていた元アルバイト店員が恋人に暴力を受けアパートに転がり込んでくる。 なんか煮え切らないままに終わるのだが、別の短編でふたりの後日談が。 鈴音夫婦と同じく、綺麗にまとまりすぎ感はいなめない。 佐藤は鈴音の病院に雑誌を納品しているというつながりがある。 『ラッキーカラー』 頼れる看護師として、鈴音と美和の右腕的存在である寿美子。50歳を直前に、5年前に恋心を告げられたがん患者と再会を果たす。 『感傷主義』 鈴音と美和の高校時代の同級生で、共に医学部を目指していたが家庭の事情で放射線技師になった男。 ずっとコンプレックスを抱えていたが、鈴音の病気をきっかけにわだかまりと向き合う。 『ワン・モア』 最後の締の立ち位置の一話。美和の夫である拓郎が主人公となっている。 見事な大団円。 全体としていい話として終わっているのだが、この作り物感は評価が分かれそう。 個人的には『十六夜』が一番物語として質が高いように思えた。
0投稿日: 2015.02.23
powered by ブクログ桜木柴乃らしい作品だけど、全体的に明るいストーリーだった。 島流しにされた女医の、世間の噂に流されずに自分を貫く姿勢、 余命わずかながら、自分の本当の幸せに気付き最愛の男性と過ごす女医、 5年間の空白を経て結ばれた独身の看護師、 登場人物それぞれの「幸せ」にフォーカスされた、素敵な作品。
0投稿日: 2015.02.15
powered by ブクログ良かった。 私も医師の端くれ。 しかも開業予定。 二人の女医のそれぞれの個性にそれぞれ共感した。 1人医師の道を諦めた八木のような男にも覚えがある。経験上そういう人は医療関係にいるのはかえって残酷だ。 八木も屈折している。 だけど登場人物みんな折り合いをつけて自分の人生を生きている。 一人は寂しい。 犬を通じて再びできた人との繋がり、連鎖を羨ましく思う。 「ワン・モア」と言わずまたその後が知りたい。
1投稿日: 2015.02.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
6編から成る連作集。一編ごとに主人公が変わるものの、常に一人の女性の姿が見え隠れしているという、筆者の得意とする手法の作品だ。 中心にいるのは、余命いくばくもないと宣告を受けた女性開業医。その周辺にいる友人、看護師、元夫らは、それぞれ苦しみを抱えながら生きている。 とくに、患者を安楽死させて左遷され虚無的に過ごす、友人である女医が光っている。島流し先では、結果的に若い不倫相手をも自殺に追い込んでしまう。が、死期の迫った友人に頼まれて医院を引き継ぎ、懸命に命を救おうと治療を試みる。それは、友人を救うと同時に、彼女の生きる気力にもつながっている。 終盤、死が色濃くなるなかで、主人公の飼っている犬が子供を生む。その仔犬を周りの人たちが引き取り、命がつながつていく。光の射した明るいエンデイングで、ほっとした。
0投稿日: 2015.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
桜木紫乃さんの小説を読むといつも感じる 狭い世界、土地に生きる人たちの閉塞感は やはり、今作でも同じように感じながら やるせなく、悲しく、寂しいけれど 人間らしく、そして再生していくさまに 心がじんわりとあたたかくなってきた いい時間を過ごせたな
0投稿日: 2015.02.03
powered by ブクログ連作短編形式の何とも言えない味わいの作品である。登場する淋しさを抱えた女性たちにより、人生の縮図を見せられるかのようだった。 最初の『十六夜』では、市民病院で安楽死事件を起こし、離島に飛ばされた女医の美和が島を去ると決意した後、不倫の果てに…逞しく、余りに残酷で、奔放な美和に驚かされた。この最初の短編を読んだ時、泥々した男女の愛憎劇かと思ったのだが、そんな単純な作品ではなかった。 『ワンダフル・ライフ』では美和の同級生の開業医の鈴音を主人公に、彼女に訪れた不幸と再生を描く。『おでん』では主人公は書店の店長と元アルバイト店員へと代わり、物語は細い線でつながるものの、美和と鈴音はどうしたんだと思う。 『ラッキー・カラー』でも鈴音の病院の看護師が主人公となり、『感傷主義』、最後の『ワン・モア』で物語が見事に帰結する。 最後の『ワン・モア』を読み、この作品は桜木紫乃による淋しさを抱えた人達へのエールなんだと納得。
3投稿日: 2015.02.01
