
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
観光地としての沖縄ではなく、 むしろ異界の入り口としての沖縄の姿をまざまざと見せつけられたような感覚に包まれた。 土着の信仰と幻想、そして現実とが絶妙に融合し、そこにしかない「気配」が漂っている。 恒川光太郎の描く沖縄は、単なる舞台装置として存在するのではなく、 そこに生きる人々の日常と深く結びつきながら、非日常を自然に溶け込ませている。 その空気感は、まるで幼い頃にだけ感じられた「何か」、例えば黄昏時に遠くでじっとこちらを見つめている妖かしのような存在を想起させる。 作中に発現する怪異は、人間の善悪や理解を超越して、ただ「そこに在る」。それらは時に恐ろしくもあり、時に優しくもある。意味の外側に存在し、ただ生きているそんな怪異の存在に、 自身の生命の在りようが重なって見える。
1投稿日: 2025.07.29
powered by ブクログ再読。 高校生の頃に一度読んで、怖すぎてもう読まないと思ってたのを読みながら思い出して後悔しつつ、結局面白すぎてしっかり読了。 全て沖縄を舞台にしているが、足を踏み外したらすぐそこにある怪異にどうしても他人事ではいられない恐怖を感じた。 どれも好きだけど夜のパーラーが特に怖い。あれは人間の皮を被った妖怪。 この真夏の始まりにぴったりな一冊。
1投稿日: 2025.07.27
powered by ブクログ【2025年79冊目】 胡弓が呼び寄せるもの、靴を集める魔物の住処、無人島の洞窟に棲う軟体生物、夜のパーラーと人の欲望、お化け電車と女の一生、月夜の預言者、転生を繰り返す女――美しい海に囲まれた島の国、琉球を舞台にして、異界へと片足を踏み入れる7つの短編集。 全編に渡って不可思議さが漂い、どの物語も引き込まれるように読みました。ファンタジーでもSFでもない、奇異で独特な世界観は、もはや恒川光太郎ワールドというジャンルがあっても良いのではと思うほど。 やっぱり人間のシンプルな怖さに惹かれてしまうので、中でもやっぱり「夜のパーラー」が一番好きかも。日常の中でありえそうな感じがする話だけに余計に。 話によっても文体が異なっているのも、面白い。一人アンソロジーみたいになってる、でも恒川光太郎さんだなぁと思う、魅力が迸っている。 今作も楽しんで読ませて頂きました!
1投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログ相変わらず独特の雰囲気と距離感で、なんとも言えない、ざわざわとした怖さを感じさせる。 沖縄という、より異界と近い土地を効果的に使用している。「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」以外は、魔に飲み込まれていく話。唯一「月夜の夢の、帰り道」だけは魔を跳ね返す力強さがあって、特に好きだった。 こんな稀有な作家、恒川光太郎にはもっと作品を出してもらいたい。
57投稿日: 2024.09.28
powered by ブクログ舞台は沖縄。もしかしたら自分にも起こりうるかもしれないと感じる、現実味のある異世界感。それが絶妙に怖い。どれも大好きだけど特に最後の2作が秀逸です。
2投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全てのお話が、胡弓の調べで紡がれるでーじ上等の「弥勒節」みたいでとてもよかった。 恒川さんの物語は昔話みたいだし、異界がすぐ隣にある世界だけれど、この作品集は舞台が沖縄というのもあり、更に異界とこちらが共存しているなと感じました。それが住む人たちにとってあたり前なのも。 そして、沖縄を描くには沖縄戦を描かないわけにはいかない、というところも誠実です。沖縄が経てきた悲しみから沖縄戦を外すことはできません。 「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」がよかった。やり直すきっかけだったり、道を切り開いたり。 「ニョラ穴」「夜のパーラー」は真逆で、それも怖かったです。
1投稿日: 2024.06.15
powered by ブクログ2011年の『私はフーイー』の改題文庫版。 沖縄を舞台にした幻想譚。短編7編を収録。 現実と不思議な世界が交錯する恒川ワールド。 最初の「弥勒節」、最後の「私はフーイー」の時間軸の大きさがいい。 薄めの文庫本なので、他の本が読み終わりそうなとき、荷物を減らしたいときに ちまちま読んだ。
0投稿日: 2024.04.25
powered by ブクログ幻想的で仄暗い恒川さんの世界。 沖縄が舞台の短編集。 独特な文化が育まれてきた地と不可思議な物語が好相性。
0投稿日: 2024.01.05
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私はフーイーが一番好き 他は人間が怖い話ばかりで後味悪くて胸焼け気味だったんだけどフーイーで清々しく読み終えられた この話なかったらムリだったかも パーラーの話と洞窟の奥にいる怪物の話がかなり怖かった イモガイの毒を売る男とかも 私はフーイーの、牙がある首刈りの人も悪い人だけど本土から来た警察官をリンチするような人間の心を引き継いでる感じがしてなんとも言えない
1投稿日: 2023.11.15
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沖縄舞台の短編7編。沖縄だけど明るいリゾート地じゃなく、現実と虚構と歴史と狂気が混ざったパワースポットっぽい感じ。 ・よかった編 「私はフーイー」 「100万回生きたねこ」みたいだなぁと思いながら読む。何のためにと問われても答えられない転生。ねこは愛を得て終わりにできたけど、フーイーは島に人が生き続ける限り流転を繰り返すのかなーそれもまた大変だと。でもその背に翼が生えても、自由じゃなく故郷を求めて一直線なのが眩しくて切ない。 「幻灯電車」 「生きているから生きている。その時が来るまで生きている。」何のために、と考えていた昔の方がまだ希望があったんだと思わせる諦念が痛い。奪われ歯向かい、得ては失い、疲れ果てた彼女が最後に乗った電車の行き先が安寧の地であればいいなあと思う。 ・良くなかった編 特にない。でも前に見たことある断片が多いかなあという気はした。共通項が多いことが一概に悪い訳じゃないけど、新しい世界が見たいというのも読者のわがまま。 <総評> 文章にほの暗さと掴みどころのない色気が滲むのは詩才だなあと思う。あと「クームン」とかもそうだけど、恋が生まれて関係ができる所がものすごいさらっと書かれていて、ギュウギュウ悩んでドタバタするラブコメ(最近読んだ別作)とかとえらい違いじゃ、と思うと同時にうまくいく時はそういうもんだよな、というのも思った。あとはこの個性を生かしたまま違うタイプの新鮮さを、と思うんだけど、どうなんだろう同じものしか書けない(書かない)作家さんなのだろうかうむうむ。
2投稿日: 2023.07.16
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とても幻想的な小説だった 不思議な雰囲気だが、それ以上に感じる恐怖 個人的には、夜のパーラーが一番怖かった。もはや人間なのか妖怪なのかも分からない、、
3投稿日: 2023.03.29
powered by ブクログこの本を読むのは2回目、なのだが初読時の内容が記憶に残っておらず。。。 改めて読んで、こんなに美しい作品をなぜ覚えていなかったのかと、自分を責めた。「美しい」以外に似合う言葉はないと思う。 収録されている7篇、全部美しいが、「夜のパーラー」を含む後半の4篇がお気に入り。 「夜のパーラー」は他の作品よりも現実味があって、特に怖かった。
1投稿日: 2023.01.16
powered by ブクログ南の島に伝わる伝承のような短編。 全ての短編において現実世界の中に怪異がふと顔を覗かせている。 全て全く違う話ではあるもののキーワードでは繋がりを感じる。泉や、胡弓、山羊など。そして共通項として死が深くストーリーに絡まっている。 生という日常の対立効果として死という未知なる異界・存在が際立つことで、この不思議な話に引き込まれていく。 この小説の色は黒に近いグレーかな。 そもそもホラー文庫から出発されてはいるけれど、恒川作品の中では明るい話が少なくて、個人的には星3つ。 ・弥勒節 ある楽器で弥勒節を引いたらヨマブリが吸い取られる。 ヨマブリは瘴気みたいなもの? ヨマブリに触れたり当たったりしたら最悪死に至る。最終的に弥勒節でヨマブリの存在自体を吸い取ってしまった。最後まではっきりとヨマブリがなにかわからないけど、うやむやなところがこの世に存在する都市伝説みたいで本当にありそうに感じた。 ・クームン クームン→廃屋に住みつき靴紐を愛する清潔感なさそうな男性。鳥には好かれる。言葉は話せず身振りのみ。 一見あきらかやばい存在だけど、実は妖怪?幽霊?願いを叶えてくれたり守ったりしてくれる存在でもある。沖縄のお話。 ・ニョラ穴 ニョラという軟体動物の妖怪が洞窟の奥にいる。 ニョラの臭いを自覚したら白昼夢に陥るらしい。 こうやって民話のような伝説は語り継がれていくんだなと感じる作品。 ・夜のパーラー 現代のお話。これまでのような都市伝説のような話ではなく、生と死の人間くささが感じられる。 おばあが妖怪のような人間なのか、人間のような妖怪なのかは謎だけど、1番怖いのは人間ですね。 というかここまで全ての話で死が密接に関係している。 ・幻灯電車 昭和初期のお話。 幽霊電車が今回の不思議体験ネタ。 乗客はのっぺらぼうで車掌はヤギのような角がある。 今回も生と死が根幹にあった。 死が近くなると幽霊電車が現れるのかな? ・月夜の夢の、帰り道 読み終わってからタイトルを読み直して納得。 小学生の頃、旅行先の祭りで宣告されて運命。それ以降の主人公の未来は結果的に夢だった。夢とは少し違くてその運命を受け入れた通りの現実でもある。その運命を過去の自分達が否定すること、強い意志を持つことで語られる主人公の現実は消滅し、また小学生の視点に戻った。 ・私はフーイー フーイーという女性が50年おきに蘇りを繰り返す話。50年おきだから必ずフーイーを知っている知人がいる。そして、フーイーが接する死の瞬間に立ち会うもう1人の男もまたフーイーと同じく蘇りを繰り返していた。
4投稿日: 2022.07.12
powered by ブクログ久しぶりの読書。 久しぶりの恒川光太郎 。夏になると彼の作品が読みたくなる。ので、未読だったこちらの短編集を。 やっぱり彼の描く異界と、現実世界とが交わる時の滲むように曖昧な境界の表現が大好きだ。 七篇の中でも特に『弥勒節』が気に入った。序盤に森で老婆に会うシーン、死者と語らっているとは思えない不思議な空間だった。 読んでいてなぜか、『草祭』に出てきた天化が読みたくなった。膨大な数の声と人生とが胡弓に吸い込まれていく様が、なんだか天化の盤上を眺めていた時の感覚に近かったのかもしれない。 表題作の『月夜の島渡り』はラストに向かって収束とも、救いのあるループの再回転ともとれる演出がとても心地よかった。あとオタクはどうしても転生譚のような『わたしはフーイー』が好き。五十年という、前世で関わりのあった人々の晩年と絶妙に被る周期で“思い出す”ことで生まれる交流や仕掛けもお見事です。
3投稿日: 2022.06.10
powered by ブクログ沖縄が舞台の7つの怪異譚。 沖縄に訪れた時、観光地から一歩外れて静寂で少し不気味な道に迷い込んだことを思い出した。 異界への入口があちこちにありそうな沖縄の雰囲気と、恒川さんの筆致の相乗効果で、現実と怪異の境目が曖昧になる。 「月夜の夢の、帰り道」が特に好き。
0投稿日: 2022.05.05
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沖縄を舞台に、妖しいモノが出てくる短編集。今まで読んだ恒川さんの話に比べるとグッと現実寄りな気がする。幻想と島の伝説が融合したような世界で、仄暗さと哀しさが付き纏う物語ばかりだった。
1投稿日: 2022.04.08
powered by ブクログ面白かった。現実的な非現実、ありそうもないありそうな話。絶妙なバランスで、特に沖縄好きにはたまらない。
0投稿日: 2022.02.26
powered by ブクログとにかく語り口が絶妙。沖縄独特の空気感がとてもよく出ていた。奇妙だけどリアル、不気味なのに癒される、そんなファンタジー。
2投稿日: 2022.01.22
powered by ブクログ#読了 沖縄を舞台にした短編集。南国の昼間の濃い影の中に潜む何か、日常と隣り合わせの恐怖にゾクっとした。
0投稿日: 2021.11.11
powered by ブクログ舞台は、沖縄、というか琉球って言った方が雰囲気的には合うな。 実に怪しい。 琉球も異界の入口が、すぐ隣りにある感じなんかな?京都みたいに。 実は沖縄は行った事ないんやけど、何か目的もなく行ってみたい気もするな。 シーサーなどに守られている異界の街。 そういう身近な異界をテーマにしてそうな短編集7つ。 雰囲気、実に良し! そうホラー、ホラーって感じより、こういう怪しいの好き! 妖怪というか、異形の者が、ホンマに近くにいそうで怖いけど… でも、命の価値はめちゃ低い…
26投稿日: 2021.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この文庫本は、2012年に刊行された単行本「私はフーイー 沖縄怪談短篇集」が改題され、文庫化されたものです。前題の通り、沖縄を舞台にした7つの短篇で構成されています。 私自身は、恒川光太郎さんの作品はこれで5つ目です。今回は、自分には馴染みのない沖縄が舞台でしたが、節々に見られる方言などの沖縄らしさがとても新鮮でした。 ちなみに、この中での私のお気に入りは「クームン」です。恒川さんらしさ全開の、温く、残酷で、どこか懐かしいストーリーでした。
3投稿日: 2020.11.19
powered by ブクログ妖怪幽霊系のホラー初めて読んだから耐性なくて素直に面白い!と思えなかったけど、独特な雰囲気かあって引き込まれた
0投稿日: 2020.11.11
powered by ブクログ珍しい、沖縄を舞台にしたホラー。 沖縄の自然、精神性、夜、方言… 沖縄という舞台でしか醸成できない、ぬるくて畏怖の念を覚える空気感を、各短編ごとに、見事に描いていた。
0投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログ沖縄を舞台にしたホラー小説。 じめっとして暑い雰囲気があります。 恒川氏の小説は夜市が代表作として挙げられることが多いですが、ホラーの雰囲気としてはこの本の方が好きです。
0投稿日: 2020.02.20
powered by ブクログ沖縄を舞台にしたファンタジーホラー短編集。情緒がたまらない。夢と現の境目の曖昧さを柔らかい筆でなぞる、大変色気のある作品集でした。沖縄の島っていう舞台がまた良いと思ったら、恒川先生沖縄ご在住なんですね!不思議な夢をみて目が覚めたときのような気持ちになりました。
2投稿日: 2020.01.15沖縄幻想異譚集
幻想物語というのは色々あるが、これは本当に怪異な幻想譚だった。これほどなんとも言えない不思議な味わいのある物語にはこれまでお目にかかったことがない。 どの話も怪異が絡んでいて少し幻想的で、そして後味が悪い。嫌な気分で終わるかどうかは人それぞれだと思うが、どの話もめでたしめでたし‥では終わらず、そのゆえに胸に苦しいような切ないような、そんな余韻を残す。 一読してみれば、きっとこの何とも言い難い不思議さを感じてもらえるだろう。 時折会話に挟まれる沖縄の方言はさっぱり分からなかったが、効果的に「島」の雰囲気を伝えてくれて良かった。
0投稿日: 2019.05.02
powered by ブクログ今回は全て沖縄でのお話し。 沖縄も京都とは違う異世界への入口がそこかしこに さりげなく口を開けてるって感じがしてます その期待を十分すぎる程に淡々と時に優しく 時に不気味に 時に理不尽に異界へと誘います。 これが好きなんですよぉ~ 7つの不思議なお話です。 「クームン」と「私はフーイー」がお気に入りです。
2投稿日: 2018.11.03
powered by ブクログ沖縄が舞台の異界譚 どの物語も楽しめた。 沖縄の持つ神秘的で奇怪な雰囲気を上手く表現してて、「沖縄ってこういう不思議なところがあるかも」と読みながら実感させられた。 似たようなシリーズがあればまた読みたい。
0投稿日: 2017.08.06
powered by ブクログ恒川光太郎氏の沖縄異界譚。相変わらず異界がとても身近で、暗闇がすぐそばにあるような読了感。暗闇を覗いた後に浮かぶのは恐怖だけではないところも魅力。 収録作品:『弥勒節』『クームン』『ニョラ穴』『夜のパーラー』『幻灯電車』『月夜の夢の、帰り道』『私はフーイー』
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
冬に買ったが、夏向きなので、ねかせておいた本。 「弥勒節」「クームン」と「私はフーイー」が面白かった。 首刈り男は、ハワイに移民したので米兵となって殺しにくるかと思ったが、そんな事はなかった。 胡弓の音楽を聴きたくなった。 沖縄行ってみたいなぁ。
1投稿日: 2016.07.21
powered by ブクログこれはいい!恒川流琉球怪異譚は面白い!前回読んだ『南の子供…』は外国の架空の島という設定で個人的に違和感を覚えちょっとしっくりこなかったが、今回の沖縄を舞台にした物語は非常に楽しめた。沖縄の歴史的な背景や風土・風習に現実と異世界が絶妙にマッチし独特な世界観を醸し出している。人間の奥底に眠る残虐性は異世界でも現実でもいつ目覚めるか分からない怖さをこの作品は皮膚感覚として残してくれた。美ら海の切ない波音がいつまでも心に響く。
0投稿日: 2016.05.04
powered by ブクログ沖縄の話。こういう、現実に近い異世界を描くのが上手だな、と。沖縄という舞台もそれに合っているし。 でも、なにか残るかと言ったら、その時間を楽しく過せる、くらいかな。 短編だしね。
0投稿日: 2016.02.28
powered by ブクログ沖縄を舞台に展開する7つの物語。今回はホラー色が強め。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou17007.html
0投稿日: 2016.02.25
powered by ブクログ恒川 光太郎さんの作品を読むのは2冊目。前回読んだ代表作の『夜市』よりも今作は私好みで一つ一つのお話全てが素晴らしすぎて感動すらある。沖縄なのか異界なのか。神聖なる異形のものたち。しかし、ファンタジーとかホラーという一言では括れない物語の重圧さで十分に堪能いたしました。<追記>クームンの庭先の木に掛けてある無数の靴、そして…(ネタバレになるので伏せます)。先日読んだ『新耳袋殴り込み 最恐伝説』新世界の首吊り廃墟でも同じような無数の靴…そして…。実在する何かのマジナイですかね…。
0投稿日: 2016.02.16沖縄の不思議な物語集
私の好きな作家さんの、沖縄怪談短編集。沖縄ならではの、亜熱帯の湿気の多い空気、離島の人気のない海岸やジャングル。未だどこかにあるかもしれない死人の魂とリンクする風習、くりかえされる生まれ変わりの伝説。この作品は、これらを今の自分に関係ない伝説としてではなく、今の沖縄の生活や自然の中を舞台に書いてくれています、もし自分が沖縄にいったら同じ体験をしてしまうかもしれない、そう思わせてくれるのが新鮮。恐怖ではありません。どちらかと言えば切ない気持です。もしかしたら遠野物語を現代の人を主人公にして沖縄を舞台に書いたらこんな感じかもしれません。最終話「私はフーイー」の最後のシーンが、すごく心に響く作品でした。
8投稿日: 2015.11.30
powered by ブクログ恒川さん3作目 沖縄を舞台にした 異世界ワールド オムニバスが7話の 妙な怖さと余韻が 不思議と心地良い作品たち 沖縄に行きたくなります。
0投稿日: 2015.09.30
powered by ブクログ2015年34冊目はパラボスアウォード常連恒川光太郎の短編集(気になる方はコチラを参照してください。→ http://togetter.com/li/840283 )。全て沖縄を舞台にした全七編。 では、極々簡単にあらすじ&感想を……。 弥勒節:青年が老女から受け継いだ、特殊な霊力を持つ胡弓にまつわる物語。 全体のオープニングの役割も果たしている一編。 クームン:クームンという妖怪(?)の話。 少年期の淡い想い出が現在へと……。 ニョラ穴:洞窟に棲むニョラという化物にまつわる男の手記。 ニョラの魔力?最後はモヤっとフェードアウト。 夜のパーラー:深夜二時まで営業のパーラーの店員と客にまつわるモノ。 七編の中では、比較的、王道ホラーな一編。 幻灯電車:特殊な霊的体験とその後のイビツな家族像。 キャラ設定はイイが、全体としては、少し弱い印象。 月夜の夢の、帰り道:幽霊のような女性に父の死を予言された少年はその後……。 なんとなく、展開は読めたが、コレもラストは様々な捉え方が出来る。 私はフーイー:異国から渡ってきた霊力を持つ女性の憑依的転生譚。 ハードカバー時の表題作。全体のエンディングであり、オーラスはメッセージなのかな? 「クームン」「ニョラ」「フーイー」等、本書中でも独特の語感センスは光ってる。しかも、沖縄の地言葉との相乗効果まである。 今回はそれぞれ、30、40p程度にまとめられていて、テンポ良く読める。また、ヴァラエティーも豊富。一方で、ハズレはないが、コレ❗という綺麗な長打もない印象。その中で、読後感があまり良くないホラー「夜のパーラー」が一番好みかな。作者の他の作品と比べ、ハードル上がり、★★★☆☆。 いや、夏まで読むのを待った1冊だったが、熱帯夜(今夜は涼し目)の読書にチョイスしたのは、我ながら正解。←自画自賛とも言う。
0投稿日: 2015.08.17
powered by ブクログうーむ...いつもの恒川さんの幻想的なホラーが読みたくて、期待して購入しましたが....。 ただ人間の汚さが全面に出ているといいますか...幻想的な雰囲気があまり無いです。 弥勒節が良かったです
0投稿日: 2015.08.03
powered by ブクログなぜ「わったー」を一人称で使うのか、それが気になって釈然としない。 しかも全ての話に出てくる。 うっかりミスなのか?わざと?
0投稿日: 2015.07.11
powered by ブクログゆっくりと忍び寄ってくる恐ろしさ。 この世界観が堪らない。 「クームン」と「私はフーイー」が好き。
0投稿日: 2015.06.27
powered by ブクログ沖縄を舞台にした風土感のある幻想譚7編でした。優しい筆致の中に理不尽な現実やいつも近くに潜んでいる死が常に見え隠れしていて、登場人物たちのすぐそばにある異界の優しさも怖さも引き立てています。 幻想譚と言うべき物語が多い中で、「夜のパーラー」は格別の怖さ。
0投稿日: 2015.06.14
powered by ブクログ感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201503/article_7.html
0投稿日: 2015.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
安定の面白さ。 「夜市」や「秋の牢獄」はしっとり感のある幻想譚。 本作は舞台が沖縄ということでカラリとした幻想世界を見せてくれた。 でも、クームンの家、少年が出会う影のように希薄は女など時折しっとりしたものが滲み出てきてくれる。 「月夜の夢の、帰り道」が爽やかで好み。 「ニョラの穴」はホラー「夜のパーラー」怪談的で好み。
1投稿日: 2015.03.20
powered by ブクログ201501最初の段階で読む気が失せてしまった。なぜだろう。直前に金色の獣を読んだからかも。とりあえず「わたしはフーイー」だけは最後まで読んだ。でも、金色の獣のほうがおもしろかった。ホラー要素がもっとあればよかったかも。
0投稿日: 2015.02.13
powered by ブクログほの暗い幼少期の記憶。忘れかけていた心を呼び出すかのように懐かしさとともに押し寄せてくる物語たち。沖縄の離島、過去と現在が交錯するといった構成も面白い。
0投稿日: 2015.02.09
powered by ブクログ好きです、恒川さん(真顔) 沖縄を舞台に、不気味で不思議な世界を美しく描く短編七作。ニョラやクームーといった聞き慣れない語感の言葉の数々に、柔らかい方言の響き、リアルの中にじわりと紛れ込む幻想の風景、得体のしれない生物やヒトビトの存在感。今作も恒川ワールドにどっぷり浸かりこみました。 描写や設定が一番好みだったのは「弥勒節」。クライマックスの胡弓の演奏シーンは圧巻です。 個人的に一番怖かったのは「夜のパーラー」。解説にもありましたが、七作の中で最もファンタジー要素が少ないこの作品で、他のどれより背筋が寒くなりました。
1投稿日: 2015.02.03
powered by ブクログメディアファクトリーから 2012年11月に刊行された『私はフーイー 沖縄怪談短篇集』の改題文庫版で作者の住む沖縄の島々を舞台にした怪談、奇談の7話で構成される短編集。 デビュー作『夜市』以来、毎回「どうしてこんな話が描けるのだろう」と感心することしきり。琴線に触れるストーリーは、本編で語られる弥勒節(みるくぶし)を奏でる「胡弓」のようだ。 その旋律ともいえる独特のテンポと文体は、むかし、子供の頃に聞いた婆ちゃんが警句を込めた不思議で怖い怪談風味の土地寓話のような懐かしい「耳触り」がなんとも素敵。 南方や近隣の島々から渡来して住人と成る独特な民族構成とその文化、そして時代の流れの中に激しく翻弄されてきた土地の歴史。「南国の楽園」と言うイメージに裏側に潜む暗く恐ろしい人間のエゴと自然と共存するために伝えられてきた信仰が絡み合うファンタジー。
3投稿日: 2015.01.24
powered by ブクログ沖縄を舞台にしたホラー、になるのでしょうか。 全部で7編の独立した短編集となっています。 共通しているのは“異世界”、そして“死の匂い”、 中でも印象的であったのは“フーイー”の物語。 転生を繰り返しながら“琉球”を俯瞰する一人の女、 歴史に翻弄されているとも見ると、なかなかに興味深く。 なにはともあれ、沖縄に行きたく、なりました。
3投稿日: 2015.01.23
powered by ブクログ沖縄を舞台とした、妖怪(?)ストーリー7本。 ホラーではない感じです。 沖縄にならこんな事も有るかも と思いながら読めますが、 タイトルは単行本の、時の 『私はフーイー 沖縄怪談短編集』 のほうが、しっくりきます。
0投稿日: 2015.01.21
powered by ブクログ沖縄を舞台にしたホラー短編集。 解説にある『異界の沖縄』という言葉が表すように、現実にある世界を舞台にしながら、作中の世界には不思議と現実感が無い。沖縄に行ったことがあれば、また違うのだろうか? クトゥルー的な異形の生き物が登場する『ニョラ穴』、ループものSF(タイムトラベルものという解釈も有り得るか?)を彷彿とさせる『月夜の夢の、帰り道』、輪廻転生ものの『私はフーイー』のように、王道ホラーに限定しない短編があるのも嬉しい。
0投稿日: 2015.01.10
powered by ブクログ沖縄を舞台にした怪奇譚を7編収録した短編集。 各編のページ数は30ページほど。個人的に恒川さんの作品は『夜市』や『秋の牢獄』など長編まではいかなくても少し長めの話が好きなので、どうかなあ、などと読み始める前は思っていたのですが、そんなことを考えてしまってごめんなさい、と恒川さんに謝罪の気持ちでいっぱいです(苦笑)。 沖縄出身で沖縄在住の恒川さんですが、そのためか各短編の雰囲気や風土が読んでいて自然に自分の中でとても鮮やかに想像されます。 そして各短編の異界の雰囲気や”魔”の空気感というのも沖縄という世界観に非常にマッチしていると思います。クームンやニョラといった妖怪(?)たちのネーミングも舞台が沖縄であるからこそ、本当にそういう存在がいたのではないか、今でもいるのではないか、と想像させられるのです。 恒川さんの作品は読んでいると、なぜか安心してその世界に浸っていられるような気がします。決して各作品は穏やかな話ばかりではなく、死や人の罪なども描かれるのですが、それをどこか突き放したように見て、 そしてそうした残酷な現実と地続きながらも、どこか神話的な美しさ、民俗的な懐かしさのある異界や幻想が描かれるからこそ、そうした安心感があるのかな、と思います。
2投稿日: 2015.01.04
powered by ブクログ沖縄を舞台にした怪異譚。現実と地続きになっている怪異が、そこにあります。よく判らない妖怪のようなものがそこにおり、気が付けば怪異に覆われている。沖縄独特の言葉や環境が、そこに彩りを与えます。そんな世界がそこにあると思わせるのが、沖縄の持つ力なのでしょうか。沖縄から連想される青い空青い海が、却って禍々しいものを連想させる要因となることに戦慄を覚えます。 死者と語る胡弓の調べ、望みを叶えてくれる妖怪との思い出、無人島で出くわした怪物の恐怖、心身ともに蝕まれる娼婦の囁き、など沖縄の空の下から怪異はやってきます。
0投稿日: 2015.01.02
