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弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂
弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂
阿部彩/講談社
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総合評価

51件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    貧困は誰にでもなりうるし、一度貧困の構造に取り込まれると這い上がるのは容易じゃない。 自己責任、個人の責任で、片付けられるものではなく社会構造がそうさせてるものが大半である。

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    投稿日: 2025.09.11
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    368.2アヘ お金がないことで、生活基盤が失われている人たちはたまたま「不運」ではない。ごく当たり前の世帯がつまずきから貧困に転落。国民に格差が生じてしまっていてこれは社会組織、制度の不十分さの表れであり、改善のための支援を早急に行わなければならないと警鐘を鳴らしている。 貧困に関するデータ(グラフや表)を用いて説明されているのでデータ系小論文の練習にもぜひ。

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    投稿日: 2025.03.07
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    社会から排除されないように努力をすべき、と考えられがちだけど、だれもが排除されないような社会を本来はつくるべきだというのが納得した。

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    投稿日: 2023.06.21
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    困難な環境に陥ることはいつ誰でも可能性がある。自分には関係ないと思わず、そのような環境に陥った時に手を差し出してもらえる社会の仕組が欲しいと心から思える内容だとおもいます。 ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

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    投稿日: 2022.11.04
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    自身に居場所や役割があること、頼ってくれる人がいることは金銭面での貧困を埋めるよりも(と同等に?)生きていくために大事。 社会の格差が大きいことは、それ自体が社会に悪い影響。他の階層の人たちへの憎悪大きくなり、平均余命は短くなり(ウェールズの富裕層はスウェーデンの富裕層よりも短命)、貧しい層の政治参加がどんどんなされなくなる。 マタイ効果…持てるものはどんどん持つ、持たないものはどんどん持たない=格差はどんどん拡大していく 一般的な潮流。止めるためには、持てるものが自身の豊かさは自分の能力だけで作り出したものではないと自覚すること 職業訓練→スキルアップ→失業者を就労につなげる、という流れは、結局彼らの非就労を能力不足につなげる=自己責任論。能力が足りない人たちは、職業訓練によってお行儀が良い人にならなければいけないのか?

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    投稿日: 2022.06.11
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    貧困問題に対し、自己責任論という個人の問題ではなく、社会包摂という社会の責任を問うアプローチをしている。 また、格差は社会の中での人と人の信頼関係の低下と相関がある等、インクルーシブかつ格差のない社会の重要性がわかりやすく提示されている。

    0
    投稿日: 2020.09.18
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    統計を使った分析もさることながら、ホームレスのエピソードが印象に残った!統計的には格差と社会への信頼が相関していることが、エピソードからは、頼られることの重要性が理解できた。 ロビンフッド指数、マタイ効果について、さらに勉強。

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    投稿日: 2020.05.22
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    社会的排除という言葉を初めて聞いた。 格差は確実に存在している。けれど、弱者をないものとして社会の隅に追いやる状況は、この本が発行されて9年経った今でも変わらないんじゃないかと思う。 いくら暮らしが発展して便利になったからとはいえ、やっぱり人とのつながりは大切。誰かに認められること、自分の居場所があることが何より生きがいになるし生きる活力になる。でも貧困と格差がその人間らしさを奪ってしまう。私の周りに貧困者がいたらどうするだろう。もし自分がその立場になったらどうするだろう。考えるきっかけになった。

    2
    投稿日: 2020.02.19
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    昔は地縁、血縁が基盤であったが、いまは職縁の時代である。ゆえに失業はその縁を失うことであり、失業が長引けば友人付き合いも希薄になり、だんだん社会の周辺に追いやられてしまう。これを社会的排除と言い、対の概念を社会的包摂という。 日本の相対的貧困率は16%である。つまり6人に1人が相対的貧困である。 では残りの84%はどうか。この84%の層には貧乏が蔓延している。 貧困は経済用語であり、貧乏は心の問題である。他者との比較から欠乏を感じるのが貧乏である。しかし、この84%の経済格差は小さい。この層は希望格差であろう。

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    投稿日: 2017.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2011年刊。現代日本の貧困・格差問題につき①貧困・格差の意味、②格差の与える社会的影響、③地震など自然災害による貧困を主題とする。①は既読感があるも、「社会的排除」、その中でも雇用からの排除(つまり失業)を、収入減と違う意味で格差問題の中核と見るのは興味深い。先の社会的排除論と②は、英国のリチャード・ウィルキンソン教授の著作(「格差社会の衝撃」等)を参照すべし。③は、震災後三年目に幸福度が急落し、震災直後の水準に陥るのは新奇。ただやはり本書は導入書で、阿部氏著の「子どもの貧困」程のインパクトには乏しい。

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    投稿日: 2017.01.19
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    貧困、格差という問題から一歩進んで、社会的排除という問題を捉えて、社会的包摂政策の必要性を説く。 データもありつつ、現場レベルの話もありつつで、あまり知らなかった貧困の実態が少しは見えてきた。

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    投稿日: 2016.12.30
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    貧困を学問的に追及すると、こうなるのね。貧困学入門。 貧困の定義、その測定の方法論、社会との関係、政策への反映のさせ方、等々単に貧困といっても色々な切り口があることを知った。 特に社会的排除と格差の理論はなるほど腹に落ちた。最も援助を必要とする人に基準を合わせれば皆が幸せな社会になる。情けは人の為ならず、と言うことか。 ただ格差是正の恩恵は目に見えにくいから負担とのバランスに社会の納得感が得られるだろうか?被生活保護者をナマポと呼んで差別する風潮が益々強くなっている現状を見ると、絶望的にならざるを得ない。日本人の民度はそこまで高くない。

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    投稿日: 2016.10.02
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    個人的にいままさに貧困と隣り合わせな状態なので、年々景気の良し悪しとは関係なく貧困率が上昇しているというデータがこわいー

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    投稿日: 2015.07.14
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    社会的包摂という新たな定義の紹介と日本や世界にその定義を適合させるという内容。 筆者とホームレスとのエピソードであったり、統計資料の説明だったりと読んでいて意外なことや新しい事実にショックを受ける。 どうなるんだろね。選挙過ぎたけど。

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    投稿日: 2014.12.20
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    格差とはなんだろうか?現代における貧困とはなんだろうか?その問いへの示唆を与えてくれる一冊。 これまでの様々な調査により、貧困の実態について、深く分析されているが、その解決方法について(特に社会の費用負担について)言及がないことが残念に感じられた。

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    投稿日: 2014.12.12
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    貧困や社会的排除・社会的包摂について、 くわしくわかりやすく説明する本です。 貧困については、自己責任論というのが、 現在主流になっているように感じられますが、 本書でも自己責任で話を終える人は多いとしている。 「日本人は冷たいのか?」の項で、 __________ すべての結果はその人の努力や能力の違いの当然の結果なので、 ある人が何かをもつことができなくても、 それはそれの人自身の責任なのでしかたがない、という考え方である。 __________ と、その自己責任論とはどういうものかについて説明していますが、 僕も実はそう考えてきているフシっていうのはあるなぁと思い到るところもありました。 僕の、「自助」というものをピックアップして考えるさまには、 自己責任なんだから、という背景が見え隠れしますが、 それは、(言い訳みたいになりますが)「社会が自己責任を主とするシステムだからしょうがなく」 そのなかで、より生きやすい選択肢としての「自助」を推奨しているんです。 それはそれとして、著者は続けてこうも言っています。 __________ しかし、いくら自己責任論を主張する人でも、 子どもにまでその論理を当てはめようという人は少ないであろう。 自己責任論には、公平なスタートラインと競争が存在するという前提があるからである。 競争が公平でなければ、結果としての不平等を肯定することは難しい。 「結果の平等」は支持しなくても、「機会の平等」はあるべきだと多くは考えるであろう。 __________ どうでしょう、この世の中、実際は平等な競争ってないですよね。 極端なことをいえば、金持ちの家に生まれて何もかも与えられた人と、 貧しくて、あまり与えられずにきた人とでは、この競争社会において平等な競争ではない。 機会の頻度さえ違うでしょう。 つまり、この世はアンフェアな競争社会なんですよね。 そんな中で自己責任だ、とする主張は実際的でも現実的でもありません。 なのにそれがまかり通るのは、格差社会の上層や中流層にいる人たちの、 ある意味保身なんだと思います。 それは、経済的な保身であるかもしれないですが、多くは心理面の保身です。 格差社会では、上のものが下のものを攻撃するチンパンジー社会のような力関係が 生じるようですが、こういったアンフェアな競争を肯定する「自己責任論」も そのひとつなのではないか、と読みながら思いました。 また、話は変わりますが、げんなりしたのは、 「頼れる人の有無」アンケートがあって、その結果、 僕も自分で考えて答えを出してみたら、 全体の下位3%くらいの位置に自分がいたことです。 孤独なもんだなって思いましたね。 いざとなったら頼るかもしれないですが、 そうなったときに、友人や知人は頼られてくれるのかがわからないです。 こういうことも紹介されています。 「人々は攻撃的になり、信頼感が損なわれ、差別が助長され、コミュニティや社会の繋がりは弱くなる。」 これは「格差」によってもたらされるとする、 ノッティンガム大学名誉教授リチャード・ウィルキンソン氏の主張の要約だそうで、 10年近く前に英国で大反響をおこした考えだそうです。 そして、「貧困」があるから、すなわち排除される人々がいるから、 社会の上層部にいる人間まで被害をこうむるといっているわけじゃなく、 要は「格差」が問題であって、人を「上」だの「下」だの段階を ランク付けするシステムが問題だといっている。 そういう考察もしながら、最後のほうには、 社会的包摂についての提言もなされている。 社会的包摂っていうのは、社会的排除の反対の言葉で、 居場所、役割、つながり、というのが三要素のようです。 要するにたとえば、 失業した→ 親戚や友人に会うのが恥ずかしくなり一人でいることが多くなる→ 頼れる人がいなくなる。 という流れが挙げられますが、それが排除されたとする考えです。 非正規雇用などにおいやられていくのも社会的排除です。 人間関係が希薄になり、社会の一員としての存在価値を奪われていくことを問題視して、 そういう人を社会から切り離さずにつなぎ止めていこうというのが、 社会的包摂であると言えるでしょう。 僕個人の意見としては、モースの『贈与論』からくる連帯の考え方が、 社会的包摂の考え方と結びつくことで、強靭な社会的包摂になるんじゃないか、 というのがあります。このあたりは、そのうち、贈与論やそれを論じた本を読んで、 もうすこし考える必要がありそうなんですけどね。 社会的包摂はほんとうに大事だと思うんですよ。 格差と生きにくさを見直してよりよくしていくにはこれだと思えますもの。 本書は200pくらいの薄めの新書です。 丁寧で読みやすく知識も頭にはいってきやすいので、 貧困や社会的排除に興味のある人、 いきやすさを求めてちょっと考えたい人にはおすすめです。

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    投稿日: 2014.07.27
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    貧困という概念を、物質的・金銭的側面だけでなく、社会的排除の視点から捉えている。 人が尊厳を持って生きていくには、「つながり」「居場所」「役割」等の社会的包摂(社会に包み込むこと)が欠かせないが、経済的貧困が、社会の一員であることからの排除を誘発する。 単に施し的な救済でなく、一人一人が社会の中で自分の居場所や役割を見出していく過程への援助、またすべての人が暮らしやすい社会(ユニバーサル・デザインの社会)づくりなどの政策等が紹介されている。 格差が大きい社会ほど富裕層も含め住みにくい病的な社会であるとのこと。貧困・格差は「対象者」だけの問題でなく、社会全体のあり方が問われる問題なんだ。

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    投稿日: 2014.07.06
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    ・結構な割合の人が相対的貧困の状態にある。 ・格差が大きい社会ほど人間関係が劣化してイジメや殺人が多くなる(ことが統計的に示唆される)。 ・人は経済だけではなく社会関係など多面的に包摂されている必要がある。 ・マタイ効果、富む者は更に富み、貧しい者はさらに貧しくなる、社会的格差が自然災害において露見する。 ・マイノリティも承認されるようなユニバーサルデザインな社会が社会構成員全員にとって生きやすい社会である。

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    投稿日: 2014.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

     出版された時期は、『子どもの貧困―日本の不公平を考える』(http://booklog.jp/users/ayahito/archives/1/4004311578)と『子どもの貧困II――解決策を考える』(http://booklog.jp/users/ayahito/archives/1/4004314674)のちょうど間にあたる。この本は子どもの貧困だけではなく、広く貧困一般を扱う内容になっている。そして震災復興への提言も含まれている。    先に『子どもの貧困』二部作を読んでいたためか、かなりサクサク読めた。一気に難易度が下がった印象がある。居場所といえば、先の都知事選で家入一真氏が「多様な居場所」を政策の一つとして提唱したことをまず思い出す。    貧困と格差は、社会的排除を進め、そして弱者やマイノリティを居場所からどんどん追い出していってしまう。    そしてそれは復興でも危惧されることなのではないか。ただインフラを整備するだけでは、もともと存在する格差は解消されるどころか強固になってしまい、居場所はどんどんなくなる。    『子どもの貧困』二部作と比較すると、著者の感情がストレートに表現されていたり、具体的なホームレスのストーリーを用いたりと、かなり読みやすく感じた。もし貧困について、何か知りたいのであれば、(少なくともこの著者であれば)ここから始めるのがいいと思う。

    0
    投稿日: 2014.04.30
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    [配架場所]2F展示 [請求記号]080/K-4 [資料番号]2012104068、2012104067

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    投稿日: 2014.04.12
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    社会的包摂という概念の導入本。 何が衝撃かと言えば、社会的弱者は災害時にも弱者になること。 そのままスライドしてしまうのだ。 生活保護だって現代の生活に当てはめれば、携帯電話やエアコンは必要だ。 日本にある貧困は、絶対的貧困ではなくて相対的貧困。 50年以上も前に作られた制度は時代に合わなくなっているのではないか。 私たちは現実をこの問題にもっと気がつくべきなのではないかと思う。

    0
    投稿日: 2014.03.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    子どもの貧困についての記事等を漁っているときに目にした「社会的包摂」という言葉が気になり手にした一冊です。 教科書的なオーソドックスな流れで(悪い意味ではないです)「社会的包摂」について解説されています。 読んでいて中だるみしてしまうところもあるけれど全体的にわかりやすかったです。 「社会的包摂の観点のない貧困政策は愚策」という一節がすべてを要約していると感じたけれど、あわせてあとがきの最後、アメリカの慈善団体のエピソードにハッとしました。 ボランティアとホームレスの間に上下関係はあっても信頼関係はない。 「格差は貧困を拡大させて権威主義を蔓延させ、ひいては人々の信頼性を欠如させる」というウィルキンソンの警告どおりのことが実際に起きている描写はおもいのほか切なかったです。 そして最終段落を読むまでそのエピソードに違和感を覚えなかった 自分の鈍感さにも凹みました…。

    2
    投稿日: 2013.10.01
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    貧困を社会のあり方に問題があるとする社会的排除として捉えなおし、これを解決するために包摂していく、新しい視点の社会保障をまとめた本。 これを具現化していくのが、これからの政治に必要です。

    0
    投稿日: 2013.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    チェック項目17箇所。「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」とは、従来の貧困の考え方をより革新した「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」に相対する概念で、平たくいえば「社会につつみこむこと」である。この震災を機に常日頃の生活において、すべての人が包摂される社会を構築しなければならないからである。本書は、どのようなショックにあっても、人々の暮らしを守るセーフティネットを構築していかなければならないという願いを込めて執筆された、本書で論じる「社会的包摂」とは、災害時だけでなく、平時においても社会政策の基本的な理念となる考え方である。 2007年の貧困率は15.3%、18歳未満の子どもに限ると14.7%であった、約7人に1人の国民が貧困状態にあるというこの数値は、日本には貧困が存在しないと考えてきた多くの人々に大きな衝撃を与えた。「貧困」という言葉は、社会として「許されない」生活水準のことである、すなわち、「貧困」を定義することは、逆に考えれば、現代の日本社会において、どこまでが「許容範囲」の生活なのかを定義することである。実際には、最低生活基準は、一般的な世帯の消費水準の約60%に設定されている敢行が1984年から続いているが、この慣行とて、国民の理解と合意のうえで設定されているとは言い難い。日本の多くの人が持っている「貧困」のイメージは、食べ物にも事欠いており、衣服もボロボロである、といった、発展途上国の難民や、終戦直後の日本の状況であるという、このような、生きることさえ危うい状況のことを「絶対的貧困」と呼ぶ。一方で、2011年の現在、たとえば、クラスで一人だけ給食費が払えない子どもがいる状況は、どうであろう、みんなが同じ給食を食べているとき、その子は一人、家から持ってきた塩おにぎりを食べているとしたら、これが相対的貧困である。【何が絶対必要か?】……「医者にかかれること」(89%)、「歯科医にかかれること」(87%)、「電話」(88%)については支持率が高く、80%以上の人々が「絶対に必要である」としている。働くことというのは、ただ単に賃金をもらうための手段というだけでない、働くことによって、人は社会から存在意義を認められ、「役割」が与えられる、働くことは、社会から「承認」されることなのである。職場で「アルバイトさん」などと名前でさえも呼ばれず、人間関係も育まれず、不景気になればモノのように切り捨てられる、次の職に就いたときに評価されるような経験を得られることはない、このような職では、社会から「承認」を得たと感じることは、極めて難しいのではないだろうか。私は独身時代、よく週末に、たいした仕事もないのに職場に行った、同じような経験がある読者の方も多いのではないだろうか、そこに自分の名前がついた机があり、自分の持ち物が置いてあり、そこに何時間座っていても誰も文句を言わない。驚くべきことは、明らかに格差の大きい州ほど、人を信頼する人の割合が少ないことである、この傾向は、設問に異なる文言を使った調査でも、国ごとのデータでも、同じ国の時系列のデータでも確認できる。人が人を信頼しない社会では、暴力が蔓延する、殺人率と所得格差は驚くほど正の相関がある、アメリカは、突出して殺人率が高いが、それ以外の国々ではほぼ直線状にデータが並んでいる、やはり、格差が大きい国であるほど、殺人率も高いのである。格差の大きい社会ほど、女性の地位が低く、社会進出が遅い、不平等な社会においては、男性間の競争が激しく、より攻撃的で「男らしい」ことが評価されるようになるからである、この傾向は、男女格差だけに留まらない、格差の大きい社会ほど、人種や宗教などといったグループ間の対立が激しく、人種間の偏見の指数が高いのである、格差は社会の中で亀裂を作り、上下関係を強いるのである。人間は自分と似た社会的地位にある人と交流し、仲間意識を持ち、自分から離れた社会的地位にある人とは関係を持つことが少ないということである、格差が大きい社会においては、自分と離れた地位にある人々が増えるため、すべての人にとって信頼できる人が少なくなるわけである。格差が大きい地域や国においては、社会的地位が低い者は自尊心を保つことが難しい、自尊心を傷つけられたことに対する反応として、暴力に走ってしまうこともある。格差が大きい地域の人々は平均余命が短いのであろうか? その最大の理由は、おそらく、心理的なストレスであろう、現代社会におけるもっとも大きなストレス要因は、①社会的地位が低いこと、②人間関係が希薄なこと、③子ども期の(貧困)経験、であると言う、格差は、この三つのどれをも悪化させるのである。

    0
    投稿日: 2013.06.29
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    社会的包摂についての導入本 社会的包摂とは、簡単にいえば「人を社会から追い出さず、包み込むこと」です。生活水準を保つための資源の欠如に着目していた従来の貧困概念に対し、人の社会的位置や人間関係に着目した概念です。 本書では日本の貧困・格差について論じながら、この社会的包摂を紹介しています。データなどにつっこみどころはありますが、わかりやすくていい本だと思います。すぐに読み終えることが出来ました。 個人的に、物質的欠如に着目した貧困論だとそのような状況に陥ることを自己責任とした上で「可哀想だから救済する」という色彩が強いと感じるのですが、社会的包摂概念は貧困をより社会構造と結びつけて捉え、階層に関わらず社会に生きる人間一般に関わってくる問題として貧困を捉えています。 貧困に全く自己責任の要素がないわけではないですが、生活保護バッシングをみるに自己責任の追求が行き過ぎているのではないかと感じる点もあるので、社会的包摂概念がもっと広まってそのような日本の貧困に対する見方に風穴を空けていってくれたらいいなと思います。 格差極悪論やマタイ効果、障害の社会モデルなどを引いて社会として貧困対策に取り組む必要性の根拠について触れている部分もあり面白かったです。

    2
    投稿日: 2013.06.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    貧困を個人の責任に帰することによって、一体今までにどれだけの人が社会から追いやられ空しく死んでいったのだろうか。 もちろん、勉強しなかった人や、明確な人生プランを考えずにのんべんだらりと貧困に陥った人も数多くいるのだろう。 だが、一旦そうなってしまった場合、再度やり直すことのなんと困難なことか。 現在の社会保険や就職支援は、ある一定のライン以上の人でないと有効に機能してくれない。 失敗してしまった/間違えてしまった人に厳しい社会…それは長い目で見れば決して効率的だとは思えない。 全ての人が平等に扱われる必要はないけれど、 ただ、全ての人に「尊厳ある人間の生き方」が保障されるべきなのだと、強く思わされた。

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    投稿日: 2013.06.03
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    著者が研究者であるため、「貧困って何?」や「最低限の生活の水準ってどう決まるの?」という基本的で古い問いから、これまでの社会保障モデルを反省する新しい議論まで含まれていて、とても良い。しかもわかりやすい。思いがけず勉強になった。

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    投稿日: 2013.03.29
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    大衆向けに書かれた格差貧困の本。めっちゃ読みやすい。が、この類の本を読んだことのある読者にとっては、割と知っていることばかり書かれていて面白みに欠けると感じるのではないかと思う。

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    投稿日: 2013.02.23
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    図表やデータが多く堅苦しい。ふつうに勉強しているようで、読んでいてあまり興味をひかず…。好みの問題だろうが、『どんとこい、貧困』ように気持ちが動かされることはなかった。 【キーワード】 社会的包摂 社会的排除 強制的消費 ベーシック・インカム ミニマムインカムスタンダード 社会的サポート 役割と承認 自転車反応 マタイ効果 格差極悪論 ウィルキンソン 社会資本 ユニバーサル・デザイン社会

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    投稿日: 2013.02.22
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    貧困問題について考える時、今現在何が主題になっているかを知るにはいいと思われる。ただ、理念的・同情的であまり具体的な言葉はなく、理想的。

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    投稿日: 2012.12.10
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     本書は、「社会的包摂(Social includion)」と言う概念の入門書です。一時期「格差」という言葉が流行りましたが、そこに手を差し伸べる社会的包摂という言葉はあまり定着していないかもしれません。  社会的包摂と対をなすのが「社会的排除(Social exclusion)」で、こちらは貧困や格差と密接に結びついてはいるものの、イコールではありません。というのも、社会的排除・包摂が注目するのは、彼・彼女らが貧困と言う状態に陥る過程であり、そうした過程を生み出す社会の構造と言う視点だからです。  つまり、貧困(=経済的問題)や格差、社会の制度といったものが、地域や家族、友人などといった人間関係を壊し、社会の中での居場所や役割(乱暴に言えばアイデンティティ)を壊してゆく。その広範で長い過程を射程に入れているのが「社会的排除」です。そしてこうした状況に支援を行うためには、社会の制度(政策)に「包摂」の視点が必要だということです。  貧困に対して経済的に支援するだけでは、排除された人に支援が行われるか分からないし、支援が行われたとしても、(とりわけ弱者に対して)社会に排除の仕組みがあるのなら、再び排除されてしまうだけかもしれない。  社会的包摂と言う概念は、その範囲は広すぎて頭がくらくらするほどです。が、本書はホームレスの”おっちゃん”たちの話を通じて、社会的包摂の考え方、望ましい社会制度の下書きを描いています。 小難しい制度や概念の話だけではないので、入門書としてはとても読みやすいと思います。 ちなみに、「かっちゃん」の衝撃の最期。

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    投稿日: 2012.12.02
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    ・お金や物がない貧困とは違う、社会的排除 ・現代日本での貧困とは? 社会関係資本がないことの切実さ、相対的貧困についてが興味深い。 「ホームレスのおっちゃん」たちの生活・気持ち、著者の思い入れを読めたのが良かった。

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    投稿日: 2012.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    * 社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン) * 従来の貧困の考え方を革新した「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」に相対する概念 * 社会につつみこむこと * 貧困が生活水準を保つための資源の欠如を表すのに対し、社会的排除とは、社会における人に位置や、人と人との関係、人と社会との関係に関するもの(=社会から追い出されること) * マタイ効果(アメリカの社会学者:ロバート・マートン) * 格差は自ら増長する傾向があり、最初の小さい格差は、次の格差を生み出し、次第に大きな格差に変容する性質

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    投稿日: 2012.11.06
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    「社会的包摂」という切り口から、従来の金銭的支援を中心とした貧困問題の取り組みに対して一石を投じている。 豊富なデータと著者自身の経験から並々ならぬ説得力のある論理が組み立てられている。 特に、格差の拡大が富裕層自身にも影響を及ぼすことについては多くの事例を積み重ねて強調しており、こうした知見が広く共有されることが望まれる。 貧困問題等の社会問題を扱うにあたっては必須の一冊である。

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    投稿日: 2012.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    阿部彩『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』講談社現代新書、読了。信仰する格差社会には「社会的包摂」という新しい概念が必要だと訴える。国立社会保障・人口問題研究所の職員である著者が、数字やグラフだけでなく人間ドラマから挑戦する「貧困問題の新しい入門書」。 誰でも「居場所・つながり・役割」を持って生きたいと願う。この他者との繋がり、相互の価値尊重が人間尊厳の一つの根拠となる。それが「包摂されること」。この「社会包摂」なしには、これからの社会保障政策は語れない。 「社会に包摂されること」とは、衣食住を含む「生活水準の保障」のためだけに存在するのではない。包摂されること自体が人間が「生きる」ことと密接に関わっている。ここは私たちが見落としがちな観点なのではないだろうか。 筆者のいう「社会的包摂」は、社会的排除の対立概念のこと、「社会が人を追い出していくさま」を問題視し、「社会が全ての人を包み込むこと」を新しい目指すアプローチ。社会的排除に抗うためには、誰もが尊重され、包摂されるあり方が必要となる。 筆者の議論で注目すべきは、「社会側に問題がある」という発想の転換。「自己責任論」で乗り越えられるほど現状は甘くないし、格差が大きいことは「誰にとっても(富裕層も、中間層も、貧困層も)」悪影響であると喝破する。 貧困は現状として拡大している。 食料に事欠く世帯、衣類に事欠く世帯……、「事を欠く」ことが「つながり」と「役割」を分断する。冠婚葬祭に着ていく服がない→人との「つがなり」がにくくなる→社会の一員としての存在価値が奪われる。 生活水準の保障」とは何を意味しているのか、認識を一新させられる。筆者の前著『子どもの貧困――日本の不公平を考える』(岩波新書)が「白書」的議論であったが、本書は、幅広い概論ながら、先に言及したとおりデータと実地のドラマで構成。迫力がある。

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    投稿日: 2012.07.21
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    今までの貧困対策では適応されなかった社会的弱者の包括的支援政策がメインの一冊です。 災害の一番の被害者は貧困層であるという指摘にはっとさせられました。 他者とのつながりや役割が、貧困対策の鍵であると著者は述べます。確かにそれらは必要だと思いますが、1970年代以降一貫して、人間関係の束縛を解放する方向に進んできたように思えます。近所付き合いやお中元・お歳暮、自治会、それらの煩わし人間関係を否定してきた時代だと言えます。そのような時代背景のなかで、今度は『絆が大事だ!』と叫ばれても、今一つピンときません。絆それ自体の重要性は理解しますが、果たして前時代のような人間関係に戻った方が良いのか、疑問が残ります。 強制的費用は、江戸時代の身分費用(『武士の家計簿』参照)という概念と同じで、特に通信機器の発達によって費用が嵩んでいる現実は看過できません。ところで、江戸時代の武士の借金は収入の2倍であったらしく、しかも金利が高いため、自転車操業に陥り、おトクな身分ではなかったようです。僕が着目するのは、『収入の2倍の借金』で、これは現代日本社会でも応用できないかと考えます。まぁ、借金に対するステレオタイプ(ネガティブイメージ)が強いので、すぐに却下されそうです……。 マタイ効果は興味深いです。マタイ効果とは別ですが、僕の体験談を書きます。僕は中学生の部活に携わっているのですが、所謂問題児に手がかかりすぎてしまい、真面目に練習に励む生徒に構ってあげる時間が取れないというジレンマがありました。真面目に練習する子にはそれに相応しいステージ、応用練習や練習試合、公式試合への参加等を用意してあげたいのですが、少数の問題児の影響で、素質ある子の芽を伸ばす機会を逸してしまい、また、真面目にやっても構ってもらえないという無気力にも注意しなければならない。かといって、問題児を放っておくのはできない。真面目な子はそれでも真面目に取り組むのですが、『ひょっとすると、真面目に練習しても損するばかりじゃないか?』と疑心暗鬼に陥ると、最早お手上げ状態になる……。実際はそこまできていませんが、そんな想像が現実になるのではないかという危惧はありました。 ウィルキンソンの主張は尤もで、格差が拡大してしまえば、富裕者も貧困者も住みづらい社会になることは容易に想像できますし、これは都市計画論でも論じられているものです(バージェスの同心円理論とか?)。 ただ、ホリエモンこと堀江貴史の名言『格差なんてあって当然。みんな同じだったらつまらないでしょ。』にあるように、格差がどの程度が許容されるかが問題です。 誰もが生きやすい環境を、ということでユニバーサル・デザインの社会を構築するのは賛成ですが、果たしてできるのかが、これは難しいように思います。 その地方に住む人のニーズの割合が問題となってくる上、自分の能力が発揮できる環境が身近にあるかという地理的な問題もあります。ただ、労働市場をもっと弾力的にし、すべての人が働きやすい環境を整えようとする改革の姿勢は大切です。こういった人達が政治を動かしてくれるのを願います。 僕の評価はA+にします。

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    投稿日: 2012.07.16
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    『子どもの貧困』(岩波新書、2008年)のあと、子ども以外の貧困に関する内容で予定されていたものを、東日本大震災後、「社会的包摂」を中心として書き直され上梓された本。  震災の被害を受けた人々のなかでは、生活再建に大きな差が出てきている。自然災害の被害者のうちでも、もともと生活基盤の弱かった、社会的弱者が災害弱者となっている。このことから自然災害の多い日本では、社会的弱者を減らすことを目指していかないと、自然災害のたびに、孤立死や自殺者が現れるのではないか。  会社の経営者が一転してホームレスとなる場合があるかと思えば、他方、失業してもサポートを受け、生活再建へ歩むことができる人もいる。自然災害等で困難な状況に陥っても、おカネや人脈に恵まれている人々は、社会資源を活用し、復旧への滑り出しも早い。一方、それらに恵まれない人々は、社会資源へアクセスすることすら難しく、支援の手が回らず、孤立を深めてしまう。このようにして、被災する以前からあった格差は更に拡大してしまう。  おカネがすべてではないが、今の日本では、おカネがないことはあらゆる生活場面で、生きづらさをもたらすことになる。おカネがないと、衣食住に困り、十分な医療や教育も受けられず、結婚もできない。病院や診療所が医療費負担を理由に、患者から治療や投薬を断られたりする、健康でないのに経済的理由から受診抑制が増えているといった現実がある。日本は50年前に、「国民皆保険・皆年金」を達成したが、現在、その意義や重要性が再認識されるべきである。  自然災害によるものであれ、経済情勢によるものであれ、社会の構成員が生活困難を抱えたときに、生活再建を支援する制度が整備されている国こそ、先進国と言われるべきだろう。阿部氏は、「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」という概念を用い、経済的な「貧困問題」だけでなく、個人と社会との関係や社会的な仕組みに着目して、展開している。  「社会的包摂」と「社会的排除」とは、対立する概念である。「社会的排除」に近い概念として「貧困」「孤立」などがあげられるが、それは、「社会的排除」の一側面に過ぎない。「社会的排除」は、より人間関係に依拠した考え方で、「つながり」「役割」「居場所」「人間の尊厳」といったキーワードが使われる。  社会保険、公的扶助、就労支援の3つの柱からなる、現行の社会保障制度では、現代の貧困や社会的排除に対応しきれない。そこで阿部氏は、ベーシック・インカムやユニバーサルな視点を持った公的制度を強調している。

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    投稿日: 2012.07.16
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    「西洋資本主義経済の限界」というテーマが、著者の専門分野や観点から論じられているのだと感じた。読みながら鳥内浩一の提唱する「日本発 新資本主義経営」が常に想起された。貧困・格差を「個人の責任・問題」と考えがちな日本人の、ある意味で良くない面と、震災当時世界を驚かせた素晴らしい面、そのバランスを取っていく、そのための一助に本書がなるのではないかと思う。

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    投稿日: 2012.07.10
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    「貧困」というと、遠い世界で起きている問題というイメージを抱かれやすい。しかし、今の日本で確実に広がる貧困と、心の問題、社会的排除の問題はつながっている。貧困は個人の自己責任ではなく、社会構造システムにあるのだと、認識を深めることができる書。わかりやすくまとめられ、最後に提言もあるので、初心者にもわかりやすかったです。

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    投稿日: 2012.06.18
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    まとめ: 絶対的貧困(食えないこと)ももちろん重要であるが、相対的貧困(所得の下裾が長いこと)がより現代的な問題。 近い概念として格差があり、貧困問題は格差問題と密接に関連(ほぼ同じ?)。 健康を害したり犯罪を増やしたりする極悪な格差は近年広がりつつある。 ただ、問題なのは所得格差自体ではなく、社会的に排除される(自分が悪いのではなく社会が悪いという視点)層が存在すること。 対策として、物質的な支援(社会に包摂されるためにも先立つものは必要)に加えて、全ての人が自尊心を持って生きられるような社会を作ることが必要(理想論)。 単純な再分配や就労支援では不十分。 感想: 全体としてデータの扱いに不安になる。(相関と因果、外れ値の処理、サンプリング) ホームレスとの接触を全面に押し出したとかそういうのは何の問題もないと思うが、数字を使うところは固く書いて欲しいなぁと。 新書だとこんなもんなのかもしれないけど。 内容に関してはどうこういうべきではないんだろうけど、やはり視点が偏っている印象は受ける。 問題があるらしい社会も人が作ったものであるわけで、インセンティブの議論を抜きにして問題は見えないし、政策にも繋がっていかないんじゃないんじゃないかと思う。 (ベーシック・インカムは素晴らしい制度なのかもしれないけど、誰が導入するんだろうか。) そういうこともあって最後のほうで「理想論」って保険みたいな記述があるのか。 国の政策にも関わってる研究者が理想論振りかざしてるってどうなんだろう。

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    投稿日: 2012.05.26
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    やっと、社会的包摂の本が日本人によって書かれるようになったのか~と思って、手にとった。 善人ぶる訳じゃないけど、 社会の問題から個々人に生じてる問題を、個々人の性格や気持ちの持ちようといった自己責任で片づけるのでなく、社会に目をむけて、解決していくような 一人一人の生きにくさが少しでも緩和されるようなユニーバーサルデザインな社会を目指していきたい と、思った。

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    投稿日: 2012.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    噂に違わぬ「良書」。 さまざまな領域をクロスオーバーする「社会的排除」の問題および「社会的包摂」の意味を、余すところなく突っ込んでいらっしゃると断言していいと思う。 特に、社会的包摂を「所得」や「就労」といった(社会的)次元から、「その人の承認」という(存在論的)次元までひっくるめてきちんと語ろうと切り込む著者の姿は勇ましいと思う。勇気づけられる。 誰よりも著者自身がまだ言葉にならない歯がゆさを感じていると思われる点が二点ある(と思う)。ひとつは、社会的包摂による「承認」が「あなたと私のあいだの承認」であること、もうひとつは社会的排除や格差を生み出す「社会のありよう」、「社会のしくみ」は「包摂と排除」が社会のイニシャルロジックになっている機能分化社会だという点である。 (2点目は自分もはっきり言えてないですけど……) あとがき214頁の「振り返り」と216頁の「危惧」は、「共感」と「不吉」という二つの意味で震えながら読みました。

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    投稿日: 2012.05.19
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     ルックスと経歴からもっと冷たい人かと勝手に思ってました。研究者として本意ではないかもしれないけれども,こういう形でバックグラウンドを晒すのは悪くないと思います。これもまた,筆者の属人的説得力とう話かw 内在的動機に裏打ちされた研究は好きです。本人はしんどい面もあるだろうけど。  言葉としては普通に知ってましたが,社会的排除という概念の意義を深く考えたことがなかったので改めて勉強になりました。社会的包摂って刑事の分野でしかとらえてなかったしね。むしろ貧困分野の方が先なのかも。「貧困問題の新しい入門書」いう帯に負けない中身だったと思います。  

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    投稿日: 2012.03.05
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    【読書その31】貧困問題の研究者である国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏の著書。 この本は、貧困とは何か、憲法の保障する最低限の生活とは何か、貧困論を基礎から丁寧かつ分かりやすく説明し、また、人と人とのつながり、居場所の大切さが論じている。 人は他者がいないと生きられない。人は、他者とのつながりの中で、互いの存在価値を認め合い、自分の居場所を感じることができる。 その中の一つが働くこと。賃金を得ることだけが全てではない。働くことを通じ、自分の存在意義を感じ、社会での自分の役割を認識する。 阿部氏の議論の魅力は、理論の下に、ホームレスへのインタビューなど、現場のフィールドワークがあること。 自分自身も上越市時代の生活保護のケースワーカー時代、担当した方の就労支援に携わったことを思い出す。ずっと仕事をやらず、家でゴロゴロしていた40代の男性。ずっと励ましながらハローワークに通い詰めた。運良く仕事を見つけ、就職。就職後、仕事を通じ、生活習慣を立て直し、自分の居場所を見つけ、楽しそうに生活をするようになった。結果的に生活保護から自立。その後も、自分宛に時折電話があり、「最近頑張っている。兄弟も安心してくれた。」と報告してくれた。そのときの電話ごしの嬉しそうな声が忘れられない。 また、東日本大震災後、地域コミュニティの大切さがこれまで以上に強調されるようになった。顔と名前がわかる関係の大切さ。全国で危惧されている地域コミュニティのつながりの希薄化を防ぎ、強化する先進的な取組である。 上越市では、平成の大合併の際に、1市13町村という、大合併を行い、その際に旧町村単位に地域自治区という行政区域を設け、その後、旧上越市の地域にも地域自治区を設けた。地域自治区には地域協議会を設けられ、現在、公募で選ばれた無報酬の委員である市民が地域の課題を議論している。詳しくは以下を参照。http://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/jichi-chiiki/jitiku.html なんだか最後は愛する上越市への想いなってしまったけど、まぁ、こういうのもいいでしょう。

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    投稿日: 2012.03.03
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    内容は,「子供の貧困」とかなり重複するので,どちらかを読むのなら「子供の貧困」の方がいい。 こっちは緊急出版だったのか,校正が甘かったりして微妙だから。

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    投稿日: 2012.02.24
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    「障害の社会モデル」と「貧困の社会的排除」は似ているという。問題は当事者ではなく社会が内蔵している障壁にあるということ。すべての人は程度の違いがあれハンディや生きにくさを抱えている。いちばんしんどい人に焦点を合わせた社会が、結局はすべての人にとって暮らしやすい社会になるということ。(ユニバーサル・デザインの社会) 社会的包摂の一方法としてベーシックインカム(BI)なる言葉も想起している。この社会に生まれた運命を支えてくれる人権・生活保障になりうるのか。おカネへの執着や将来に対する不安は減るだろう。障害、難病、介護、育児などに対する生活不安も減るだろう。生活不安に縛られた意に沿わない労働から本来の仕事を含め思いっきり得意分野で自己創造希求の営みができるのではないか。社会的包摂としての「BI」、批判も含め改めて勉強する価値はありそうだ。

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    投稿日: 2012.02.01
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    現代の日本で食料が買えなかったという世帯が8つに1つある。 必要な医療が買えなかったは5世帯に1つ。 お金がないから治療されると困る。 日本はどうなっているんだ。

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    投稿日: 2012.01.27
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    「社会的排除」という概念は、資源の不足そのものだけを問題視するのではなく、その資源の不足をきっかけに、徐々に、社会における仕組みから脱落し、人間関係が希薄になり、社会の一員としての存在価値を奪われていくことを問題視する 社会に包摂されることは、衣食住やその他もろもろの生活水準の保障のためだけに大切なのではなく、包摂されること自体が人間にとって非常に重要 日本の社会的孤立の指標はOECD22ヶ国諸国の中でも群を抜いて高い 社会的包摂政策をいち早く打ち出したEU諸国において、社会的包摂を促す政策の最大の柱は雇用政策。なぜなら、EU諸国では、現代社会において、個人が他者とつながり、自分の価値を発揮する最たる手段が就労だと理解されているから 社会的排除は、問題が社会の側にあると理解する概念。社会のどのような仕組みが、孤立した人を生み出したのか、制度やコミュニティがどのようにして個人を排除しているのか ウィキンソンの指標が衝撃的であるのは、各社が大きい社会に住むことは、誰にとっても悪影響を及ぼしていると論じている点である。格差が大きいということ、そのこと自体が、社会にとって望ましくないという指摘をしている 格差が社会における人間関係を劣化させているのではないかと示唆するデータは、山ほどある 人が人を信頼しない社会では、暴力が蔓延する。殺人率と所得格差は驚くほど正の相関がある ある地域に、どれほど社会資本または地域力が存在するか、それを測る際に、もっともよく使われるのが、地域やコミュニティにおけるボランティア活動への参加率である パットナムは、イタリアとアメリカの地域力と所得格差を測り、コミュニティ活動への参加の度合いが高い地域ほど、所得格差が小さいことを見出した。格差は人々の不信感を煽り、攻撃的にし、差別を助長し、人間関係を悪化させるだけでなく、コミュニティ自体の機能もマヒさせてしまう 従来の社会保険制度や公的扶助制度、就労支援が、人々の最低生活を保障することも、社会的包摂を約束することもできない なぜなら、現在の社会保険制度は、すべての人がまっとうな職業に就いていたり、または、家族のセーフティネットにより守られていることを前提としており、公的扶助制度そして、就労支援は、人々を労働市場に戻すことだけを目的としており、戻された労働市場での社会的包摂は問題視していないから 仮設住宅における孤独死が、被災直後に起こったのではなく、震災から2年後移行に急増したことも、心の問題が時間差で起きてくることを示している 問題は、生活保護制度の出口として、現在の労働市場における就労しか選択肢がなく、その就労が必ずしも、その人の存在価値を発揮できるような、尊厳をもっていきいきと働くことができる仕事ではないことにある

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    投稿日: 2012.01.11
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    元旦一発目に買った本がこれになるとは…貧困問題は、新たな局面となり議論が活発化しているので、これを機に勉強しようかな。

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    投稿日: 2012.01.01
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    (2011/12/25読了)「震災によって普通の暮らしを奪われた被災者」がクローズアップされる一方、震災の前からもとより「普通の暮らし」を奪われていた人々の問題について語ることが憚れる雰囲気に、複雑な思いを抱いているという著者の渾身の一作。

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    投稿日: 2011.12.26
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    貧困・格差について非常にわかりやすく最新の調査をまとめている良書。東日本大震災、孤独死、失業、ホームレス、セーフティネット・・・自らの立ち位置を知り、今後どんな方向性を持って社会と関わっていくのかを知る良い機会となった。引き続き読み進めたい。

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    投稿日: 2011.12.19