
総合評価
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powered by ブクログ明治10年吉原遊廓。武家の出であった主人公は出自を隠しながら見世で働く。過去と現在との葛藤、縁を切った家族、縁を得た知人。皆御一新を経て変わらなくてはいけない壁や諦めと闘っていた。 木内氏の名もなき過去の人物の描写は、やはり、まるで見てきたかのような、それ以上にその時代に居た登場人物かのような繊細さと緻密さ。それによる時代の背景を味わえる。
1投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ明治10年。根津遊廓に生きた人々を描く長編 ご一新から十年。御家人の次男坊だった定九郎は、出自を隠し根津遊郭で働いている。花魁、遣手、男衆たち…変わりゆく時代に翻弄されながら、谷底で生きる男と女を描く長編小説。第144回直木賞受賞作。木内さんは初読み。なんとなく乗り切れないまま読み終えてしまった。他の作品に期待したい。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公があまり無気力に描かれているが、実は忍びだったり仇持ちだったり…と裏の顔を期待したが、特にそんな秘密もなく、本当に主人公?と思うほどだった。廓という狭い世界でひたすら静かに物語が進み、主人公はいつまでも世捨て人のままだが、中盤以降から小さな事件が起きて、気づけば物語に引き込まれていた。 全体的に希望を持てない重い雰囲気なのは、江戸から明治という激動の時代に生きるのは、実際こんな感じだったのか…最後は明るい結末が見られて良い気分で読み終えられた。
0投稿日: 2024.04.05
powered by ブクログよこまち余話が面白かったので読みましたが、読んだことがありました。タイトルも木内氏の名前もまるで記憶になかったです。好みではなかったようです。
0投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログ最初は何の話かという感じだったが、最後の方の龍造との会話が美しすぎて泣ける。終始 感情の起伏を抑えた描写をしておいて、最後に落とす。あの数ページだけでも読む価値ある。
1投稿日: 2023.12.12
powered by ブクログ時は明治維新後、所は根津遊廓。登場するのは、客引きとなった元武士・定九郎、人気花魁・小野菊、噺家の弟子・ポン太。前半はダラダラ話が進む。後半は話が動くが、一体何が起こるのか?どう展開するのか?まるでミステリー。
8投稿日: 2023.05.28
powered by ブクログ大政奉還、明治維新、そこから10年。根津遊郭の美仙楼(心淋し川のご近所でしょうか)の立番となり、客引きをする男は、元御家人、定九郎。出自を百姓と偽り、今の仕事に流れ着いた。日本の変化に取り残された男と、自由は名ばかりの遊郭の女達。 明治維新の主役とはなれなかった人たちを取り上げて、自由という言葉だけが先走る空虚な日々。 定九郎が、ずーっとふわふわしているので、物語もふわふわしてる。行きどころの無い、遊郭の女達の覚悟した雰囲気との対比で、その不甲斐なさが際立つ。武士がその立場を失った当時が偲ばれる。 情景とか歴史感はとてもしっくりと読めるのだけれど、所々に挟む「学問のすすめ」や「自由民権運動」が、あまり物語にハマってこないなあと思う。 花魁の失踪と圓朝の噺を重ね合わせて幻想的で良いんだけど、失踪の顛末は、あまりに想像通りでした。
58投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ御一新後に時世のお荷物となった「昔のお武家」の定九郎は、江戸の香りが残る遊郭の下働きに身を置く。 「これからは誰しも自由に生きりゃあいいんです」と言われても、世の中の変化に自分の変化が追いつかない。 部屋でゴロゴロするニートが「幕末に生まれてりゃなぁー」と言う飯尾さんのネタがありますが、 定九郎は「幕末に生まれてこなければなー」と思ったに違いない
2投稿日: 2023.01.28
powered by ブクログ読売新聞に連載の作品が面白いので読んでみた。ポン太の正体がぼんやりだけどこれはこれで良かったかなとも思う
2投稿日: 2022.12.19
powered by ブクログ作中常に漂う閉塞感、倦怠感、息苦しさ。とてつもなく気怠い空気がまとわりついてくる。 加えて、ポン太が作り出す得も言われぬ奇妙で妖しいムード。 アッと驚く何かが起こるでもない淡々とした進行なのだがページを捲る手が止まらない。まじないにでも罹ったように摩訶不思議な読み心地。 御一新により、これまでの価値観・常識が覆った事でわかりやすく無気力に陥った定九郎の白けた様子がなんだかまるで現代人っぽくておかしくも共感出来る部分がある。 癖になるなあ。 1刷 2022.4.5
14投稿日: 2022.04.05
powered by ブクログ「自分は、まるで水底に溜まっている砂利粒だ。地上で起こっていることは見えないのに、風が吹いて水が動けばわけもなく揺さぶられる。地面に根を張る術もなく、意志と関わりなく流され続ける。一生そうして、過ごしていく。」
0投稿日: 2021.09.07
powered by ブクログ「選択の自由」、時代と共に流される「職」は、この明治初期と現代でも変わらない。 現代ではITが普及し今までの職がITによって置き換えられ、職が無くなる。それは今後も継続するのは間違いない。「転職の自由」、どこでどの様に見極め、自分の「天職」と言われるものを手にするかがこれからの時代だ。考えることより「行動」を是非ともお勧めしたい、それも35歳以下であれば。職種、職業(会社そのもの)が失くなる前に自分が思う「天職」を見つけ出すのはそのタイミングだ。
0投稿日: 2021.07.25
powered by ブクログ「さあ、徳川の時代は終わった。みんな自由だ」 自由ってなんだ?何をしろと云うんだ。 明治の新しい世に放り出された元武家の定九郎。 焦燥感と諦めを抱えてもがく姿がよく描かれている。 怪談調に導くポン太と凛とした小野菊とキャラクターも抜群に効いていて、直木賞受賞作品では久しぶりに夢中で読み耽った。読後感も爽やかでまさしく傑作である。
16投稿日: 2021.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2011年第144回直木賞受賞作品。 直木賞受賞作品ということで、図書館にリクエストして読んだ。 明治時代の遊郭の話。 昨年、龍馬伝にはまった、私としては… 時代が少し重なって、興味深かった。 「茗荷谷の猫」の方が読みやすかったかな。
0投稿日: 2020.03.25
powered by ブクログ不思議な世界に入り込んでしまう小説でした。 ポン太不気味だなーぁ と思ってたらなんとなんと。 また読み返したい。
0投稿日: 2018.12.04維新、武士、自由。象徴としての廓。
漂砂のうたう…。 ただ、それだけです。 文学というものは物悲しいものですね。 漂砂のうたう…。 花の色は移ろいけりな、というけれど…。 同じように時代の花も移ろうものです。 元武士の定九郎には時代が締め上げているように見えたのでしょう…。 ですが、彼は”武士”そして、卑しい嘉吉は武士ではないのです…。文学が冷静に描くように嘉吉には何の機会もないというのに、自由民権と来たとは言うけれど…。正義は時代によって変わります。 既に武士の子孫が多数を占める時代がこの作品の時代にも来ていたのかもしれません。いつものように時代の乱世、今、来たらん。 とそういうものかもしれませんね。 芸術というものは、変わらない人間性というものを移ろえない人間が歌い上げるものです。 文学の賛歌と決して打ち抜けない砂糖菓子の弾丸のような明日に! 星5つ。
0投稿日: 2018.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み終わるのに2週間もかかってしまった。 すごく不思議な読後感の本。 根津に、今はもうない遊郭があった頃が舞台。 遊郭の客引きの定九郎。 遊郭の中の権力争い、人気の花魁小野菊、切れ者の龍造。 夢うつつや幻が半分を占めていた昔の感じが所々に描かれながら、遊郭の現実、人権なんてなかった時代で、自由を追い求める人たちがいた。 手にしたものが、ずっとあるわけでもなく、手放したものが永遠に去ってしまうわけでもない、ポン太の、その人の芯にあるものは奪えないという言葉。 薄ら恐ろしいような、見通しているようなポン太。 途中で読むのをやめないでよかった。 面白かった。
3投稿日: 2018.04.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今の今までずっとポン太や圓朝の噺を聴いていたかのような夢現な小説。 どんどん引き込まれてお話と現実の境目が曖昧になっていった。 小野菊さんのきっぷの良さ、大変素敵でした。 こんな人に出会えることはお話の中でも現実でも、中々ないような… それに憧れはすれど、私にとっては定九郎さんの気持ちが大変わかるお話でした。 1万円選書の一つ。
2投稿日: 2018.01.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「自由」なんて聞こえはいいが、これほど「不自由」なものはない。 御一新から10年の根津遊廓。 武士の身分を失い遊廓の客引きとなった定九郎は、ただただやるせない日々を送っていた。 新政府の造り出した「自由」という厄介な柵に縛られながら…。 時折挟まれる落語や都々逸が物語の儚さをどんどん煽っていく。 捨てたはずの過去の柵の中でもがき逃げてばかりの定九郎。 それに対比するかのような花魁・小野菊の凛とした佇まいと華やかな笑顔が素敵! 時代の波に翻弄されても自分を見失わずに生きていきたい! 「自由」とは楽なようで、実はほんと難しい。
7投稿日: 2017.08.17
powered by ブクログずっと気になっていた。 ようやく読めたが、思っていたのとは随分違っていた。 不思議な読後感だった。 重い、というのともちょっと違う。 江戸から明治、この大変革の時代、人々はどんな暮らしをし、何を感じ、考えていたのか。 幕末の歴史小説を読む度に、TVで歴史番組を見る度に、結構気になっていた。 そこに一つの答えを示してくれたと思う。 もちろん遊郭は、ごく普通の人とは少し違う。でも、だからこそ、そこに流れ着いているのは変革からはじき出された人だ。そこに渦巻く感情、漂う諦観が鋭い輪郭をもって立ち上ってきた。 面白いというのとは違うが、興味深い作品だった。 しかし、直木賞を取ったというのは、意外だ。 確かに、後半の花魁の足抜けに関わる顛末は読ませるが、基本的には、一般受けするとは思えない内容なんだけどな。
0投稿日: 2017.08.10
powered by ブクログ定久郎は元武士、維新後家族捨て出奔。そして名を変え廓に身を潜めた。女は根津廓に売られてきた。どんなに美しくとも籠の鳥。小野菊花魁という名で生きている。彼女の情人、噺家ポン太。彼もまた名を捨て生きている。名を捨てた3人、カタチは違えど自由を求め行動をする。定久郎は翻弄されすぎて途中自由に負けそうになるが、小野菊とポン太がしかけた謎が明かされ全てに納得できた時、彼も彼なりの自由に出会えたのではないか。話に漂う面妖さは砂のよう。はらはらこぼれ心の片隅に塚を築いていく。塚が大きくなったその時、訪れるか私の自由よ。
3投稿日: 2017.05.24
powered by ブクログ江戸から明治、時代の波に乗れず遊郭に取り残された人々の物語。文体はさらりとしているけど、ざらりとした鬱屈感漂う雰囲気。時勢に身をまかせ漂うように生きるしかなくても、器用に生きらなくても、水底を流れて削る砂粒のように誰もが跡を刻んでいるはず。生きることを後押しされる作品でした。
0投稿日: 2017.01.15
powered by ブクログこれを読む少し前に「江戸開城」を読んだので、その時代背景を読み解くにはちょうど良かった。 二百何十年続いた大平の世が終わり、刀を捨てたお侍さん達の混乱は想像を絶する。内容とは少しかけ離れそういう事に思いを馳せてしまった。 今後日本人が経験する事は無いであろう最大級の革命、クーデター、大事件の爪跡の残る東京、根津遊郭の風景が頭に浮かぶ。それはとても暗くどんよりしていて下町の活気、風情などとはほど遠いゴーストタウンのようなものだったのではないだろうか。妓も、客も、廓で働く人たちも、なんだか誰もが腹の底から笑うような事もなく蜉蝣のように生きている様が浮かんでしまい、読むのが辛かった。 最底辺の仕事に就き住む家もお金も家族も無い定九郎であるが、きっとあのままずーっと暗い地下道を歩くような人生なのだろうなぁと思い、暗くなった。 今オカスな事だらけの 世の中だけど、時流れて、良い時代になったなぁ。なんて思ったりもした。
0投稿日: 2016.09.27
powered by ブクログ大人の小説だと思う。 今の歳になったから自分の中で噛み砕けたのかもしれない。 落ち着いた話の進行で、先を急ぎつつもまったりと読めた。
0投稿日: 2016.08.28
powered by ブクログ元武士の身分を隠し、遊郭の門番を勤める定九郎、看板花魁の小野菊。得体の知れない不気味な落語家ポン太。 木内ワールド。
0投稿日: 2016.07.21
powered by ブクログ第144回 直木賞受賞作品。 明治十年の根津遊郭が舞台。 江戸から明治へ代わり、武士という身分は無くなり、自由が叫ばれ、新政府がうまく機能しない混沌とした時代。 武士の二男に生まれた主人公「定九郎」は、遊郭の仕事に手を抜き、愛想笑いをうかべ、女にだらしなく、常に逃げ道を探している情けない男。 いつまでもうじうじして、魅力が感じられない主人公と、話が進展しないストレス。 聞かれたことに答えない、噺家ポン太のモヤモヤ感。 しかし、謎解き(?)部分はネタがぼろぼろ露見して、でも主人公はそれを次々スルーする不思議。 この時代の不安が見事に伝わる作品ですが、読んで面白いと感じる本ではなかった。残念。
0投稿日: 2016.06.28
powered by ブクログ武士の家系に産まれたがら、現在は遊廓の客引きをしてる定九郎。遊廓が時代の流れに漂い、将来の希望も見出せないやる気のない彼と、周りの人たちもまた、それぞれの人生を背負っている。
0投稿日: 2016.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
………霧が晴れるまでが、長い!! 小野菊のくだりは何となく察しがついてたから、そこに至るまでの定九郎のもやもやグズグズが長いこと、長いこと! 最後に収束するにしては、それまでの鬱屈とした流れが……これでもか、これでもか、で、正直自分の中では綺麗に瓦解しなかった。はっきりしないことも多かったし。しんどかったー。
0投稿日: 2016.02.27
powered by ブクログ明治維新後、根津の遊郭で働く元武家という身分を隠して働く定九郎。 時代に取り残され仕事に身を入れずただ流される日々を過ごすなかで定九郎は何を見出すのか・・・ 前半は読み進まないが後半は一気によめる。
0投稿日: 2015.11.23
powered by ブクログ籠の鳥とは、身体のことか、心のことか。 明治維新の頃の根津遊廓が舞台。時代はわかるけど、根津の遊廓のことは全然知らなくて、もっといえば廓のことは雰囲気しか知らなかったので、最初はちょっと難しかった。でも、読みとおせた。主人公の定九郎は、かっこいいというより心の弱さを見ているみたいで見たくない、かっこよくない。ここから逃げたい、でも逃げられない、逃げられなくても心は自由とは、そんなテーマ。 泥の中に身を置きながら、美しい小野菊。小野菊の強さ、美しさは、どんな悪意に晒されていても揺るがない。出られないのは、龍造も同じで、彼もまた揺るがない人。神出鬼没のマイペース、噺家の弟子のポン太。最初はこの人幽霊かと思った。自由とは、揺るがないことか。 直木賞ということですが、確かに読ませるな、と思った。木内昇さんの時代物は『新撰組幕末の青嵐』を読んだけど、これもなかなか面白く、他も読みたいと思った。
1投稿日: 2015.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み終わって、ストーリーを思い出し追ってみても 起承転結、驚きの展開、心踊る出来事などはなく 淡々と進んでいったような気がする それでも、この小説の世界に静かにずぶずぶと浸り なんとも言えない世界観に酔って読み終わる 浮かれたところも、落ち込み過ぎるところもなく 不思議な出来事も、すんなりと受け入れて 小説という架空の世界を経験する醍醐味にひたった時間
3投稿日: 2015.07.30
powered by ブクログここ最近、読む本にハズレがなく充実した読書ライフを過ごしてます。 面白かった。 それほどページ数が多くもないのに、ボリュームがありました。 いろいろな謎がラストで解決し、すっきりした読後感です。 遊女達の暮らしも、暗い描き方ではありませんでした。 題名の意味と、内容との関係が最後までよく分かりませんでした…。
0投稿日: 2015.07.19
powered by ブクログ中盤までは主人公に肩入れできず、読み進めるのが辛かった。新時代を受け入れる事も出来ず、かと言って逆行して新政府と戦う勇気もなく、今いる場所で努力することもせず、常に自分の居場所はここじゃないと逃げることを考えている主人公。でも結局今まで生きていた自分の証みたいなのは癖となって消そうと思っても消えないんだね。それが分かった時の感じは哀しいような…何とも言えない。 文章はきれいで好きなんだけど、キャラクターが好きになれなくて残念でした。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログ木内昇さんの作品では、最初に読んだ『茗荷谷の猫』が結構良かったので買ってみた。重苦しい展開で、途中読むのがつらくなることがあったが、次にどうなるかが気になって、どうにか最後まで読み通せた。 いろいろとクセのある登場人物が多く、けっして心安らぐストーリーとは言い難かった。しかし、最後まで読んでみると、この作品を通して作者が伝えたかったことがよくわかったし、さまざまな登場人物の役割もそのためにあったのだと納得できた。 物語終盤の大団円が、それまでの読みづらさを打ち消して、爽やかな気持ちに持って行ってくれたのが救いだった。
0投稿日: 2015.03.19
powered by ブクログ「櫛挽道守」がとても良かったので、さかのぼってこれを。作品としては「櫛挽道守」のほうが格段に優れていると思うが、これを読んで、作者の指向がよくわかったような気がする。 幕末から明治にかけての時代を背景としながら、作者が目を向け描き出すのは、新撰組でも彰義隊でも「坂の上の雲」的人々でもなく、宿場町で櫛を作る親子だったり、遊郭の立番をする青年だったりする。顧みられることなく、時代の流れに翻弄されて消えていく砂粒のような存在。いたって地味な、そういう人々の生に思いを寄せていこうとするのが、作者の基本姿勢なのだろう。小説として形にしていくのはたいそう難しいと思われるし、「華」がないのでバーンと売れたりしないのではないか、などとつい心配してしまう。熱心な木内ファンってこういう気持ちなのかなあ。 噺家圓朝の存在感が面白い。松井今朝子さんの「円朝の女」を思い出した。それから、これって案外映画向きじゃないだろうか。ヒットはしなさそうだけど(ダメじゃん)、渋いと思うけどなあ。万が一映像化されるなら、定九郎には亀梨和也君希望。「ジョーカーゲーム」より絶対こっちが似合ってると思う。
0投稿日: 2015.02.12名作です
明治維新で大きく変わる世の中が急流の大河なら 社会の底辺で働く庶民は水底の砂粒だ。 容易には見えない場所で激しく流れ漂う砂粒たちの、またその奥底にある矜持や抵抗が細かく描かれている。読んでいて痛いほどだった。 ここじゃないどこかへ行きたい。自分はまだ本気を出していない。ここは私のいる場所じゃない。若いときには誰もが一度はつぶやくフレーズだ。じゃ自由って何なんだ?自分を解き放つにはどうしたらいいのか?世界大戦が終わって70年たった平成の世でもわからない。実は武家の出の主人公は明治初期の20代の青年。全盛の花魁は20歳そこそこの籠の鳥。それぞれがその正体すら見たことのない自由を求める姿は実は激しくて熱い。生簀から出た金魚、事実になってしまうという噺家の創作、墨染の衣裳などシンボリックな場面がちりばめられて、どっぷり作中の世界に入り込むことができた。読後は疲労困憊である。文体、道具立て、人物造形、すべていい。文句なしの傑作。
4投稿日: 2015.01.04
powered by ブクログこれが直木賞受賞…ふぅん…? 主人公定九郎の心そのままに?もやもやとした物語、読後感でした。 『櫛挽道守』を読んでから、次にこれを読んだので、そう感じたのかも。
0投稿日: 2014.11.03
powered by ブクログどんな時代でも時流に抗えない、それにどう向き合うか。そして生きて刻まれた「跡」に目を背けてはならない。市井の人間に共通する永遠の命題。 出だしが非常に緩慢でこの先どうなることかと思ったが、そして小野菊の行方も読めたが、それでも最後は読ませた。流石は直木賞受賞作と言ったところか。 巻き返しの力を評価し★3.5のところ★半分評価を上げさせていただきます。
0投稿日: 2014.10.23
powered by ブクログ始めの数十頁は、気が入らずなかなか読み進めなくて、何度か本を置いた。しかし、後半は興に乗り、明治初期の、根津遊郭の雰囲気に浸りながら、たちまち読み終えた。 さすが、直木賞受賞作。 幕府互壊により、武士の身分を失い、空虚な日々を送る定九郎、遊郭に身を置きながら凛とした佇まいの花魁小野菊、等々、人物造型が見事。
2投稿日: 2014.09.23
powered by ブクログ明治初期、舞台は根津の遊郭。社会の変革期にあって行先を求めてさまよい、混沌の中から抜け出そうとする市井の人々の葛藤が描かれる。歯切れのいい江戸言葉による台詞や重層的に用いられる同時代の噺家の存在も効果的で、主人公が身を寄せる常磐津のお師匠さんが彼の代表的な怪綺談を連想させるのも面白い。
0投稿日: 2014.08.17
powered by ブクログ最初の100ページあたりは正直言って退屈だった。 この作者の本は、別の短編集でもスロースターターだったなあ… 途中から伝奇物の様相を呈するけれど、夢が覚めてみれば、明るい空の下であった…ような。 途中、世相を映して、西南の役の様子が語られる。 西郷の最後の言葉「もうここらでよか」 明治の時代に乗りきれなかった人の象徴なのだろう。 ここを乗り切ったからといって、決していい時代には進まないことを、後の世を生きる私たちは知っているけれど、主人公にはこの先、地に足をつけて生きて欲しいと願うのだ。 巻末に紹介されていて初めてわかったけれど、表紙の絵は、小村雪岱でした。 この絵ではないけれど、埼玉県立近代美術館で絵を見て、気に入って絵葉書を買った画家でした。
0投稿日: 2014.04.20
powered by ブクログ明治維新後の東京、根津の遊郭が舞台。 主人公の定九郎は妓楼の立番として働き、そんな己を嘲るように空しく日々を過ごしていた。 ************* 先を思えば不安ばかりが立ち籠めるのに、確かな手立てを探ることは面倒であり無駄にも思え、結局、どうとでもなるさと思考を投げ出すのもまた、定九郎の常だった。(p.35) *************** 大きな時代の変動から取り残されたような町と人々。 華々しい出来事や有名な人物が描かれがちな明治初期の、谷底のような町に息づく人々の姿は、フィクションなのにリアルな存在感を持っています。 定九郎のどんづまり感がもたらすやるせなさをひしひしと感じつつ、どうなるのかな、と頁をめくっていくと――。 私はこういう終わり方、嘘っぽくなくて結構いいと思います。
0投稿日: 2014.03.06
powered by ブクログ直木賞らしいが、あんまり良さがわからなかった。 明治時代の遊郭の、なんとも奇妙なストーリー。 途中でオチがわかってしまったせいで、 最後まで心躍ることなく終わった。 『小さなおうち』みたいな一発を期待してたのに・・・
0投稿日: 2014.02.26
powered by ブクログ人物設定は地蟲を思いおこさせるが、心情描写を主人公に絞り込んだため登場人物の個性がひとりひとり際立っているように感じられる。傑作。
0投稿日: 2014.02.26
powered by ブクログ144回 2010年(平成22)下直木賞受賞作。世が江戸から明治へ移った頃、遊郭で働く元武士の男と彼と絡む人々の話。明治維新により侍や遊女、廓の人々、博徒たちはそれまでの生業を変えることを強いられた。あくまでも現状にしがみつくもの、羽ばたこうとするもの、その足を引っ張るもの。そんな輩に囲まれるなかで、主人公だけがどこにも踏み出せずにグズグズともがくさまがおもしろい。おすすめ。 しかし、松井今朝子の『吉原手引草』やなかにし礼の『長崎ぶらぶら節』など遊郭を舞台とした直木賞作品は多いですね。そこには華やかさ、せつなさ、男女のかけひき、女どおしの争い、裏切り、廓システムの非日常性など小説をおもしろくする題材が全て揃っているからだと思います。
0投稿日: 2014.02.15
powered by ブクログ時代が軋みながら変化し、永く続くと思っていた居場所が唐突に消えるとき、自分は身を委ねられる側なんだろうか…などと思ってみたり。傑出の人物ではなく、渦に飲み込まれる凡庸な人々の側から見た維新に、この時代に生きたら吸っただろう空気を感じた。
1投稿日: 2014.01.27
powered by ブクログ主人公と年が近いせいか、とてもリアルな物語と感じました。焦燥感を抱えながらも廓で生きて行くしかない現状。廓で働く人は皆人間臭く、ああ、こういう人いる!と何度も頷きながら読みました。そんな中で小野菊だけが異様に強い。その強さはある人との絆が故だと。絆が人を強くするという教訓でしょうか…小野菊という人がとても好きですが、非現実的な完璧なヒロイン像という印象も受けました。最後、龍造に武士の子であることを見抜かれていたときの涙など、人の感情がとてもリアルで繊細に描写されており、すごい小説だと思います。
0投稿日: 2014.01.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
明治維新後の下町の遊廓に吹き溜まる人々。歴史の教科書で習うような維新後の出来事、大学の設置、自由民権運動、西南戦争だのを吹き溜まりから斜めに見上げるやさぐれた主人公の中途半端な荒みっぷりにゲンナリし、読んでいて楽しくはない。でも、このような視点もきっと当時あったのだと思えるリアルさ。籠の鳥は籠を開けても、必ず喜んですぐに飛び立つとは限らない。
0投稿日: 2013.12.29
powered by ブクログさすが木内さんと思える作品です。明治初期の世の中の急変と、そのなkでどこか江戸の雰囲気を残しながらも変わって行く遊郭の雰囲気がしっかり伝わってきます。ですが、好きかと言われれば左程でもなく。 『漂砂のうたう』と言うのは妙なタイトルだと思っていたのですが、読んでみれば納得。まさしく時代の激変の中で漂砂の如く漂う主人公達。特に 主人公の定九郎の諦念(というより逃避かも知れません)が精緻に描かれます。その姿が何とももどかしく。一方で時代に流されずしっかり根ざした妓夫の龍造や花魁の小野菊。むしろこ
0投稿日: 2013.12.17
powered by ブクログ明治維新後、遊女屋で働いている元武士の青年のお話。それまでの生活や考え方、社会の何もかもが覆って、自らの存在価値さえも見失った人々が鬱屈を抱えてもがき苦しむ様を、恐ろしくも哀れにも感じた。突きつけられた厳しい現実から逃げようとしてもどこにも行き着かない閉塞感、諦観。 そんななかで自分というものを見定めて、置かれた場所で生き抜こうとしたり、居場所を探して一旦逃げた場所に戻ったりする強さを持った男女もいる。 昏く、不思議な味わいの小説。最後に少し光が見えて、救われた気がした。
0投稿日: 2013.12.09
powered by ブクログ■読むまでの経緯 「茗荷谷の猫」で知り、好きになり、その他三作くらい読んでさらに満足し、直木賞受賞というこの本も気になっていた。そして中野翠さんの歌舞伎本か落語本かのどちらかで、「三遊亭圓朝の文化的存在感が(この本を読むと)よくわかる」というような紹介を読んだときには、私はこれは絶対読もう!と心に決めたのだが、どう検索しても単行本しかヒットしない。本屋にいくたび思い出して調べては、まだ文庫化されてない…と落胆。そんなある日、ふと電車で顔をあげたら、集英社文庫の中吊り広告に「漂砂のうたう」の文字が! ■残念な点 時代ものだし、遊郭が舞台の話、聞き慣れない用語が多い。こういうとき、司馬遼太郎は物語の勢いを止めずに物事の説明をしてくれるのがうまいと思う(楽しいだけじゃなく知識が増えた感覚が得られる)。折しも司馬作品を読んだ直後だったので、そこのところの置いてきぼり感が気になり、消化不良な感触が残る。読んでたらなんとなくわかるし、雰囲気でじゅうぶんでもあるのですが。 英雄的な人物を小気味良く書いて惚れさせるような司馬さんのタッチとはそもそも違う、って、わかっちゃいるのだが、読み始めは特に重さに馴染めず、熱中して読み進むことはあまりできなかった。単純に直前の読書との比較の問題かどうかはわからないけど。 つまりはっきりいって、難しくてよくワカンナイ、と思いながら読んだ部分も少なくない。 ■良かった点 明治維新という大転換のその直後、西南戦争とか、自由民権運動とか、世は激動なんだが、俺には係わりねえって言っていながら人一倍拘っていたり、自由だ平等だなんて嘘っぱちだと噛みついてみたり、閉塞感、鬱屈、惨め、諦め、そんなこんなの存念がうずまく、そんな雰囲気を、理屈じゃなく、味わった。基本、木内昇さんは「ヒーローじゃない」ものの人だと思います。 最近、幕末~明治初期ものが続いているので、なお楽しい。 圓朝という人が、この時代に、今にも残り歌舞伎にもなったような新作落語をたくさん作ったということ、これは、この本のおかげで忘れないと思う。 ■追記メモ 舞台となった根津遊郭は根津神社のあたりにあったが、作中でも語られた通り、近くに東大ができたため移転させられる。その移転後の場所は洲崎。洲崎アイランドの洲崎、現東陽一丁目。縁があるなあ。
2投稿日: 2013.11.30
