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どぶがわ
どぶがわ
池辺葵/秋田書店
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総合評価

20件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々に池辺葵を読んだ。 「どぶがわ」のある谷の集落に住む人々の群像劇。あるいはひとつの安アパートに住む人々の長屋もの。 台詞や説明がかなり少ない、とにかく静けさに満ちた漫画を描くなぁ。普段の漫画を読むペースよりも、一コマ一コマ丁寧に読み進めていく必要がある。 老いた女性が主人公ということもあり、 “老境” ってかんじ。 物語もあってないようなもの。ささやかな日々を令嬢姉妹の妄想にて過ごす。 最後おばあさんは引っ越したんよね。死んでないよね(汗) イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』が第1話に出てきて「おっ」ってなった。 レコード「私の青空」 歌詞はどうも古い「青空」のほうらしいが。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/私の青空_(歌) こういう漫画を穏やかに楽しめるような精神状態を保って生きていたいと思った。

    1
    投稿日: 2024.10.06
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    これまた傑作の1冊。 だれにだって楽園はあるもの!! 知らず知らずに誰かの救いや幸せになる! 目にみえない繋がりを信じたいね! ぜひ〜

    10
    投稿日: 2024.04.20
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    予備知識無しに冒頭を読んで「えええっ!?」となった。 現実と非現実の間を行き来しながら静かに流れていく時間がとても穏やかに感じた。

    1
    投稿日: 2022.02.14
  • メトロノームの音のように、規則正しく軽妙で、でも緩やかに変わっていく日常。

    一つ好きなシーンがあって。 無音のシーンなんですけれど、ある壁の薄いアパートで、一人の男性がレコードかけるんですよ。それでオーケストラの指揮者みたいに棒を振る。その音が同じアパートの学生さんの耳に届いてレンチンご飯の寂しさを慰めて、おばあさんの夢の中でのダンスにつながっていく。 全部台詞じゃなくて仕草でそれが語られてくんですが、ここ、すごく好きだなぁと。お互いに相手のことを意識してるわけじゃないのになぜか優しさのおすそ分けみたいになっていて、心温まるというか癒されるというか。

    1
    投稿日: 2016.12.29
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    書き下ろしが和んだ。男の子が夢を叶えたんだね。そしてマイク入れっぱ(笑) ここに出てくる人たちみたいに他人を侵食しない人ばかりだったらいいのに。現実は自分も含め、他人に期待を勝手に持って侵食する人ばかりかも。

    0
    投稿日: 2016.06.13
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    渋谷の漫画サロントリガーにての読了。どぶがわの近くに住む近隣住民達の群像劇で、どぶがわの近くのベンチで眠りながら中世ヨーロッパの夢を見るおばあちゃんを中心に物語が進む話。全体的なフワフワとした雰囲気がたまらないし、何よりもおばあちゃんが死んだのか死んでないのかあやふやな感じで終わったのも終わらせ方が上手いなと感じました。

    0
    投稿日: 2015.12.08
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    老婆の高貴なる妄想と何の関係もないけど微妙な繋がりのある人々。 どぶ川でも妄想に浸れる時間があるのは幸せな事。

    0
    投稿日: 2015.10.30
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    ドブ川のほとりのベンチでいつもうたた寝をしている老女。川沿いの、長屋のような安アパートに住んでいる。身寄りはないらしい。 うたた寝の彼女が遊ぶ妄想の世界では、彼女は豪邸に住む四姉妹の長女。ドレスを仕立てたり、ご馳走の食べ過ぎでウエストを気にしたり。現実の彼女の部屋には何もない。ちゃぶ台と数冊の童話。そんな生活を嘆くでもなく日々は淡々と過ぎていき、町の人々もそれぞれの毎日を抱えながら彼女の傍を通り過ぎていくーー。 柔らかな絵で静かに淡々と進む物語。なのに時折り、思いもよらないほど、胸のつぶれるように切ない一コマが挟まれる。これが池辺葵さんだ。 ある夜。老女がいつも口ずさんでいる歌を、同じアパートに住む工員がレコード屋で探してきてターンテーブルに針を落とす。音が筒抜けのその安アパートで、いつもはすれ違うだけの住人たちが皆で耳を澄ましている。工員と老女は、恐らく終生言葉を交わさなかっただろう。それでもここに、こんなに優しい触れ合いがあった。いつか消えてしまっても、そういう夜があったのだと。 他人の人生を、幸せだとか不幸だとか決めることは、出来ない。誰もがただ生きている。私も、皆も、これからも。

    0
    投稿日: 2015.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    立ち読みしてて、フォアグラの一コマに泣かされた。あのコマ数で、あのシンプルな絵で。だから突き刺さるのかな?ぎゅっと胸が苦しくなる、幸せな涙でした。

    0
    投稿日: 2015.07.25
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    池辺さんの作品はとても好きなのだけれど、これはタイトルでしばらく敬遠していた。子供の頃にかいでから、もう随分経ったのに、あの匂いが喚起されて。 でも、全然暗かったり湿った話ではなかった。静かに絡んだり付かず離れずでいたりする暮らしの話。 論理的な世界にある希望は、他人と言葉で理解し合えることだと思う。 そうでない世界の夢は、誰にも、もしかしたら自分にすら計れない、孤独の彩りの中に。

    0
    投稿日: 2015.05.04
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    老婆は川辺で夢を見る。4姉妹が優雅に暮らす幻想の世界とどぶがわ近くのアパートで独居する現実の間をゆらゆらと揺れながら、日々は流れて行きます。どぶがわの近くには様々な人が住み、それぞれの生活があり、楽しいことも嫌なこともあるけど…。静謐で優しい物語です。

    0
    投稿日: 2015.03.29
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    メディア芸術祭の展示を見に行ったときに会場で「あ、これわたしの好きなやつだ」と感じて、ミュージアムショップで自分用のおみやげとして購入しました。 綺麗でかわいらしい絵と静かで美しいお話。 時々読み返すであろう手元に置いておきたい本。 やっぱり大好きなやつだった♡

    0
    投稿日: 2015.03.10
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    「あなたがいなくても生きていける」 この帯の文句考えた編集さん素晴らしい。妄想は妄想。現実は現実。おばあちゃんもレンズ工場で働いている男性も成長していく子供達もそこがはっきりしているから曖昧じゃない確りとした足のついた話になっているのだ。

    0
    投稿日: 2014.11.30
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    恋愛ものとかがどうしても好きなので、作品紹介読んでもあんまり惹かれてなかったんだけど、あまりにも勧められてたので読んだ。 結果、良かった。 フォアグラは無理だけど、無償にアボカド欲しくなって買ってしまったよ。

    0
    投稿日: 2014.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独り身のオンナには ちょっと本気で別の危機感と言うか恐怖を感じなくも無いのですが(笑) 万人に薦められるとは言い難いけど、 とても良い作品だと思います。 大きな盛り上がりがあるわけでもなく 画面が華やかでもなく メジャーな熱い作品ではないけれども、 この作者独特の淡々とした、 しかし厭世的では無い そんなキャラクター達の小さな世界は心に残る。 私的には、説明しすぎないキャラクターへの描き込み具合が 絶妙に感じましたが この辺は人それぞれの感じ方ですね。 行間を残すと言うか 想像の余地が心地よいと思います。 読み終わった後 こういう作品がちゃんと雑誌に掲載されるのは イイコトだなぁと思いました。

    0
    投稿日: 2014.02.17
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    悪臭を放つドブ川を舞台にした連作集。ドブ川のほとりで老女が耽る夢想とドブ川の周辺に住む人々の生活とが交錯しながら、毎話主人公が交代し群像劇の形で物語が織りなされる。老女の夢想は貴族的できらびやかなものであり、ドブ川の悪臭とはかけ離れているが、そうであるからこそ人々の孤独や不安との対比となる。そして、その夢想はもまた、完璧なものではなく、老女自身の限界をも示している。 ひとつ物足りなかったのは、物語の狂言回したる老女自身の背景がほとんど見えてこなかったこと。安アパートに住み、洗濯掃除をし、そのあとはひねもす夢想に耽る以上のものがない。明示的に老女の背景を描くような野暮は不要だが、そうしたものをうっすらとでも感じられる演出であれば、もう少し深みが増したのに、と思う。

    0
    投稿日: 2013.12.22
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    なんだかちょっと物足りなかったな。 臭気漂うどぶ川のベンチでうたた寝をしながら優雅な夢想に浸る独り暮らしのお婆さんと彼女と同じアパートに住む住人達のエピソードが綴られている。お婆さんが空想する世界で物語を進ませながら現実世界の周囲の人々のエピソードを綴っていくのだが、周囲の人々の描き方が浅いように思われた。もう少し具体的に彼らが抱えている問題や感情が描かれていたらもっと感情移入出来たと思う。なんだかアッサリし過ぎているんだよね。

    0
    投稿日: 2013.12.21
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    池辺葵先生の作品は、優しい気持ちでいつもいっぱいで、普通の人達の普通の出来事が描かれていて本当に好きです。大切にします。

    0
    投稿日: 2013.11.30
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    どぶ川のほとりのベンチにいつも座っている老女と、折々に彼女に関わる人たちのゆるやかなつながりを描く。現代日本が舞台であるが、ヨーロッパの貴族のような姉妹のシーケンスが合間に挟み込まれる。これは老女の空想世界なのか、あるいは過去にあったことかもしれない(おそらく前者だろう)。80年代の「ニューウェーブ」少女漫画を思い出すスタイル。

    0
    投稿日: 2013.11.25
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    ある町のどぶ川沿いのアパートに住む老女の空想と現実、そして、その川沿いを行きかう人々との群像劇。老女は通る人が顔をそむけたくなるようなどぶ川沿いにある広場で一日を過ごす。孤独で切なくて苦しいのに、最後、一筋の明かりがみえたような気がした。フォアグラの話とアパートの住人の交流と、男の子たちが良かった。

    0
    投稿日: 2013.11.20