
総合評価
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powered by ブクログシリーズの中における短編を集めた作品集なのもあり、大きな物語が展開されるわけではない。描かれるのは魔道に通じる者たちの暮らしぶりや生き方についてであり、「魔法」は登場するものの何でも簡単に解決できる万能の力なんてことは無く、その力に振り回されぬよう慎重に真面目に向かい合う職業小説的な側面が強い。それもあってか魔道師を主役としていても彼らを特別扱いすることは無く、違う職能を持った人たち同士が関わる、くらいの意味合いとなっている。そんな、”市井の人々の一員として魔導師のことを知ってもらう”というフラットな視線が新鮮だった。 「呪(まじな)い」を良心の呵責と繋げている点が特徴的で、誰かに対して害となる魔法は使うことによって自分自身の良心が傷つき、その先の人生に悪影響を与える、といった意味で「人を呪わば穴二つ」的なことを描こうとしている点も面白い。ではどのようなモラルを持って魔法を使うべきなのか、という部分が読みどころになっており、その意味で、作者が意識していたかどうかはわからないけれど、本書はメタ倫理学的な側面を持っている。善と悪について、というよりも、その基準を決めるためにはどのように物事を見つめるべきか、といった道徳を説くことより"一段階高い視座"が感じられた。 読んでいて気持ちのいい話ばかりでは無い(と私は思う)し、気持ちのいい人物ばかりが出てくるわけでもない。しかしそのことは本小説の価値を減じるものでは全くなく、物事が簡単に白黒付くようなものではないことや、自分自身の思考や見方もまた一面的でしかないこと、そしてそれを自覚することで視界を広げて物事を見る可能性について描くことに成功している。 大きな物語は語られないけれど、合間合間でこのファンタジー世界における歴史や国の成り立ちが見えてくるのも良かった。たぶんこの辺の話は他作品で語られているのだろうけど、英雄以外の人物に焦点をあてた本作の良さを引き立てる役割となっていたから。 好きな話は【陶工魔道師】。上記した感想の要素がひとまとまりとして納められている。【闇を抱く】は秘密結社として結束する魔女たちの話。長編向きの題材がごろごろしてた。
7投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
オーリエランドの魔道師シリーズの第四作。 いろいろな魔法と魔道師が描かれていて良かった。 ひとりひとりが1冊の本になるほど、 綿密な人物背景があって、 それを次々と読めるとはなんて贅沢。 ホールケーキと同じぐらい、 いや小さい分だけそれ以上に手間がかかっている美味しいプチフールを ひと口で食べてしまうようなもの。 しかも細長いお皿に並べて、次々ぱくぱくと。 人生を自分の手に取り戻した三人の魔女の話も面白かったし、 復讐のために漂うように生きる魔道師の生き方も、 本を与えて性根を直すチャンスを与える夜の写本師の話も面白かった。
0投稿日: 2022.03.03
powered by ブクログ短編なのにどれもしっかりとした世界観があって読んでて飽きない作品でした。 終わり方が突然だったりするので、ここで終わり〜!先が気になる。。。とも思ったけど、でもだんだんと、いい意味で気にならなくなる良作だと思います。 でも、いつかどこかのシリーズでチラッとでもオーリエラントの魔道師が出てくるに期待!
1投稿日: 2020.11.17
powered by ブクログ魔導士というよりは魔法職人といったほうがいいような職人技としての魔法の描き方は相変わらず興味深い。 魔力の源泉は心の闇だとしても、それを制御する技術としての職人的熟練が語られることで、ただ暗いだけでなく人間的な要素が加わってより魅力的に思える 短編ということもあってか前作より表現もすっきりしてより読みやすくなっているのもよかった
1投稿日: 2020.05.12
powered by ブクログ不能换中文。。。リトン運命神、アイトラン気まぐれ神、イルモア大地母神、イルモネス美と芸術の女神、キサネシア健康神。生命は奪われなかったが生命より大事な何かを奪われた。。。
0投稿日: 2019.11.01
powered by ブクログ2017.2/12 夜の写本師シリーズ4作目は短編集なのですね♪前の3巻からしばらくぶりに読んだけど違和感なしの濃密な世界観。市井の生活の中に沈む者たちと、手を貸す魔術師の抱える闇を丁寧に描いていて素晴らしい。前に感じた重厚さの語りの中に浮く現代口語的な文章も減ったようで良し。次つぎっ!
1投稿日: 2018.01.09
powered by ブクログ様々な種類の魔道師たちの短編集 これまでの作品では見ることのなかった魔道師や、 馴染みの魔法 あそこと繋がりのあるものが!と バラエティに富んで面白かった 個人的にどれも読後が爽快で 救いのある話だったなぁという印象 魔法を使うのは全て業、というのが いいなと思う 人間らしい
1投稿日: 2017.04.09
powered by ブクログ魔導師シリーズの短編集。ファンタジーという言葉を冠したくないと思う重い闇の物語。乾石さんの物語は読むたびに 言葉の美しさ 文章の味わい深さに感動する。今回も 一気に読み進めたい気持ちを 抑えながら 少しずつ 少しずつ味わいながら読んだ。 満足。
1投稿日: 2017.03.06
powered by ブクログ短編集の1冊。 私は「闇を抱く」がいちばん心に残る。女性たちの密かな、しかし確固とした意思のもと、魔法を使う姿勢に、佇まいを正されるように感じた。 私も闇を抱えている。誰しも年を重ねていけば大なり小なり闇を抱えていくのだ。それを認めて、向き合うこと。それなくして深みは増さない。
1投稿日: 2016.11.24
powered by ブクログ短編集。 少し説明的な部分は目立ったけど、面白かった。 相変わらずダークではあるけれど、長編に比べるとダークさは薄まって戦闘場面も少なめ。 短編の方がひとつひとつの主題がはっきり出ていて読みやすいかも知れない。やはり真面目な作家さんという印象でした。
0投稿日: 2016.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
それぞれ努力して力を持った魔導師や写本師が、思いを抱き日々を黙々と過ごす姿が描かれていて、ファンタジーな雰囲気も凄く惹かれるものがあるのと、自分にはここまで熱中できない部分に嫉妬すら覚えます。こういう世界だったらもっと学んで魔道師になりたいとか思えるのになとちょっと思ったり。現実より険しそうですが。そんなに分厚いものではないですが、ずっしりと話は読み応えがあると感じました。
0投稿日: 2016.09.21
powered by ブクログ時代もいろいろの中編集。 魔法を扱う者は、闇を身の内に抱えており、人の昏い欲望にも応え、引き受ける、というようなこれまでも語られてきた精神が、頑なに貫かれている。 解説にもあるが魔法の種類がさまざまなのが面白い。焼き物に力を込め、その皿や杯を使うことで願いが叶ったりする陶工魔導師とか。 良かったのは「闇を抱く」かな。権利も自由も制限され、虐げられることも珍しくない女たちが秘かに立ち上がり、戦う物語。辛い目に遭うのは全て夫など男たちのせいなのに、魔法による闇を抱えることを承知するという理不尽を乗り越えてでも、逃げ場のない女を助けようとする、いわば人情味あふれたおばちゃんたち。ひとたび本気になれば、女の方がずっと賢く強い、男はバカだ、と言わんばかりの展開が痛快。
0投稿日: 2016.09.02
powered by ブクログ今までで一番おもしろかった。 乾石さんの長編はやや苦手なので、短編でちょうど良かった。 物語にも入り込みやすかったし、読んでいてほっとした。
0投稿日: 2016.07.28
powered by ブクログ夜の写本師から読み続けてきて なんだか懐かしい感じが胸にじわじわ。 この作品には壮大さはありませんが それだけに この世界を生きた魔道師や 夜の写本師たちが 自分自身も含めた 多くの人々の切なる求めがあってこそ 生まれるべくして生まれた存在なのだと 虚構でありながら ある種の実感に 包まれました。 憎悪も欲望も愛もある当たり前の世界。 私たちの世界にも 魔道師はいます。 きっと。 決して美しい物語ではないのに 不思議に心が豊かになるのです。 乾石智子さんの作品って。
0投稿日: 2016.07.09
powered by ブクログシリーズ初の短編集。単行本版とは収録作が異なるが、今回、文庫化されなかった1編は、別に文庫化されるようで良かった。 様々な魔法が登場するのが面白い。それぞれにルールがあり、法則があり、『魔法』イコール『何でも出来る』ではない。 何処か物悲しいストーリーも良かった。
0投稿日: 2016.07.01
