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学校の階段の踊り場2
学校の階段の踊り場2
櫂末高彰、甘福あまね/KADOKAWA
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総合評価

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    “息を吸い込んだ。 「「「「「「明けましておめでとうございます!!」」」」」」 年始の挨拶とともに、六人は一斉に飛び出した。 「うおりゃああああああ!」 井筒がスタートダッシュを見せる。手に持った懐中電灯をブンブン振って石段に突っ込んでいった。一段飛ばしで駆け上がる。その後を九重と三枝が並んで続いた。幸宏は天ヶ崎とほぼ同時に石段へ飛び込む。ほとんど真っ暗闇の中に身を投じたのだが、まったく怖くなかった。ゴツゴツと均一でない石段の感触も、すぐ足に馴染む。 よしっ、意外と周りも見えるぞ。 外から見たときは真っ暗闇に見えたが、実際に足を踏み入れてみると両脇の明かりがしっかり足下を照らしている。懐中電灯の光が加われば、駆け上がるのにも支障はなかった。 二、四、六、八っ……。 一段飛ばしで段数を数えながら走る。足場が平坦ではないので、瞬時に着地店を判断してテンポ良く足を下ろさないと、リズムが取りにくかった。左手の指で一〇の位をカウントしつつ、二、四、六……と頭の中で呟く。 「!」” いきなり番外編の二巻目が出てちょっとびっくり。 あーみんな相変わらずだなって思う。 先輩四人組は、これからもこのままでいてほしいなと思ったり。 井筒ちゃん可愛いよ井筒ちゃん。 “「そっか、そっか。ちづるちゃんはそっちに考えちゃったんだねえ」 駆け足になりそうな私の横で、遊佐君が勝手に一人で納得している。何を勘違いしているんか知らないけど、とにかく今度こそ駅まで無視を決め込むわ。 「…………」 ギュッと口をつぐんで五分ほど。意外なことに遊佐君は私に何も話しかけないで駅まで並んで歩いてくれた。無視すると決めていたけど、何もなかったらなかったで拍子抜けだわ。駅の改札の前に辿り着いたところで、私は一応挨拶をしようと思って遊佐君の方を向いた。 「ここで問題です」 狙っていたようなタイミングで、いいえ、きっと狙っていたのね、目が合った瞬間、遊佐君が先に口を開いたのよ。しまったと思ったんだけど、彼の声が耳に入る。 「この場合の『ライバル』とは誰と誰のことを指しているのでしょう?」 「え?」 思わず聞き返してしまう。この場合?もしかして、さっきの話の続きなの?九重と私がライバルなのかどうかっていう……。 「それじゃあ、ちづるちゃん。また明日」 私が戸惑っているうちに、遊佐君は自転車に跨って軽く手を振り、さっさと走り去ってしまった。くうううう、またやられた。勝ち逃げされた気分よ。どうしてあいつは一々先手を取るのかしら。いつかやり返してやるんだからっ。”

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    投稿日: 2010.11.19
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    2010 11/9 読了。本郷のUNI BOOKSで購入。 これ以上ないくらいに気持ちいい「青春の無駄足」を描いた快作『学校の階段』の、本編未回収エピソードや後日談を収録した短編集。 2年生になった神庭が、いい感じに痛い階段レース馬鹿になっていてにやにやした。 櫂末さん、やっぱ面白いなあ。 新作なかなか出ないが次回作期待したい。

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    投稿日: 2010.11.09