Reader Store
大栗先生の超弦理論入門
大栗先生の超弦理論入門
大栗博司/講談社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

71件)
4.1
18
28
12
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【おすすめポイント】物理学分野では、自然界に存在する4つの力、電磁相互作用・弱い相互作用・強い相互作用・重力、を統一的に説明できる「万物の理論」の研究が進められています。その理論に最も近いといわれている理論が「超弦理論(超ひも理論)」です。本書では、超弦理論の第一人者の先生が理論の内容を易しく解説しています。 【請求記号】ブルー420:Og 【配置場所】習志野:1階新書庫右 【URL】https://libopac.toho-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00265046

    0
    投稿日: 2025.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    西山事件というと沖縄返還における密約を新聞記者が暴いたが、その情報入手の手段が外務省の女性事務官に対する色恋によるそそのかしであるというもの。本書を読む前に読んでいた山崎豊子の『約束の海』で改めてそのストーリーを追っていた。その女性事務官の抗弁に「女性は情交した相手に逆らえないものだ」というセリフがある。真相は不明だが、少なくともそうした意見があったという事だ。なんでこの話かというと、同時並行で読んでいて頭が混乱してしまったのだが、次元の違う「超ひも理論」である・・・。 もとい。量子力学の超弦理論、イコール超ひも(紐)理論である。なぜ紐かというと、量子を最小単位で捉えようと追求していくと、「点」のイメージになるが、点は正確には「・」のように面積を持つものではなく、これが線や面にならぬから「点」なのであり、ゼロポイントである。だが、これが本当にゼロならば、境界のない存在にエネルギーが内包され、質量が無限大になってしまう。そのため重力の理論と量子力学を矛盾なく組み合わせる新しい理論が必要。そうした必要に迫られて、考えられる理論の選択肢を順番に潰していった結果として残ったのが、物質の基礎が「ひも」であるという超弦理論だった。つまり、点粒子などは考えず、電子に大きさがあるとすれば、無限大の問題は解消できる。超弦理論の発想の原点はここにある。その大きさを形容するために、線、紐、ひも状を仮定する必要があった。 このひもが振動する様式によって、電子やクォーク、光子などの性質が決まる。点ではなくひもであることで、エネルギーが空間に広がり、無限大の問題が回避される。 分かるような分からないような、だが、分かった気にさせてくれるのが本書の素晴らしい所。特に自然界における四種類の力の説明は他の本でも読んだことがあるが、本書の分かりやすさが抜群だった。強い力 >電磁気力>弱い力>重力という図式。 ― 自然界には重力・電磁気力・強い力・弱い力という四種類の力があることがわかっています。「重力」や「電磁気力」については古くから知られていましたが、二〇世紀になると、自然界にはあと二つ、「強い力」と「弱い力」という力があることが発見されました。強い力は、クオークを互いに引きつけあって、陽子や中性子をつくる力です。また、弱い力は、原子核からの放射線の原因となる力です。強い力は電磁気力より「強い」、弱い力は電磁気力より「弱い」ので、このように呼ばれています。あまり専門用語らしくありませんが、二つとも素粒子の間に働く基本的な力です。 ― 弱い力は名前が示すように電磁気力よりも弱いのですが、重力はそれよりもはるかに弱いので、これまで地上でおこなわれてきた素粒子実験においては、重力を無視した標準模型でもその結果が説明できたのです。 最も分からないのは9次元のイメージだ。次元の異なる「超ひも理論」、3次元の座標で描く世界線がパラレルに存在するなら、4次元、5次元と増幅させていく事も可能なのかもしれない。ひもの振動が面を描き2次元から3次元を創るように、世界の振動が+次元のイメージを可能にするのではないかと。そこで、振動するだけではなく、結び付けるイメージとしての紐(ひも)に帰ってくるわけだ。言葉の揺らぎが、多世界解釈に繋がっていく(・・ギブアップ)。

    74
    投稿日: 2025.07.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今となっては、少し古いが良い本です。 ただし、かなり詳しく丁寧に記述されているので、素人にとっては、難解な部分も多い。

    0
    投稿日: 2024.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください

    0
    投稿日: 2024.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「大栗先生の超弦理論入門」大栗博司 分子はランダムに運動しているのでエネルギーの値も常に揺らいでいるが、膨大な数の分子が集まると、エネルギーの平均として近似的に一定の値をとり、それを我々は温度と捉えている。 氷と水の区別のように、「温度」という概念は二次的なもの。温度とは分子の平均エネルギーの現れにすぎない。分子のレベルで温度という概念は消滅する。 つまり、温度とはマクロな世界に住む我々が感じる幻想。空間もより根源的なものから現れる幻想であるというのが超弦理論。 我々の身の回りにある全ての物質は素粒子の標準模型に含まれる17種類の点粒子(素粒子)の組み合わせでできているとされているが、宇宙には正体がわからない暗黒物質と呼ばれる物質が標準模型に含まれる物質の5倍以上ある。17種類の素粒子のどれでもない未知の素粒子からできているわけなので、この先もっと新たな素粒子が見つかるだろう。 2011年、宇宙の膨張は加速している事が判り、物質の他にダークエネルギーの存在が暗示された。 自然界には重力、弱い力、電磁気力、強い力の4種類の力がある。重力は他の3つに比べてとても弱いので現在の素粒子実験での影響はほぼない。 強い力はクオークを互いに引きつけ合って陽子や中性子を作る力で、電磁気力よりも強い。 弱い力は原子核からの放射線の原因となる力で、電磁気力より弱い。 強い力だけは粒子同士が近づくと力が小さくなる。 磁石のように、離れても伝わる力のことを遠隔力と言い、「場」という概念はこの遠隔力を説明する為に考えられた。物体と物体の間には場という実体があり、それが力を伝えている。 磁気の力を伝えるのは磁場で、電気の力を伝えるのが電場。 物理学の定義では「場」とは空間の各点で値(力の大きさや方向)が決まっているもののこと。 19世紀の半ばにマクスウェルは電気と磁気をまとめた電磁場を説明する方程式を発見した。 電磁場が伝わる速さは光速。つまり光の正体とは電磁波の事。 電磁場において働く力の強さは距離の2乗に反比例する。(クーロンの法則) 光とは電磁波という波でもあるし、光子という粒の集まりでもある。これを双対性と呼ぶ。 一つの光子が電子と陽電子のペアに変わったり、また元に戻る事がある。 粒子同士が高エネルギーで衝突するとそこに質量の重いものが生まれ、加速器のエネルギーをどんどん上げていくとどんどん重力が大きくなりブラックホールができる。ここでは重力が極限まで重い為、光さえ飲み込まれる。 脱出速度が光速になってしまう表面の事を事象の地平線と呼ぶ。 超弦理論とは、弾力のある弦が振動し、その振動の仕方によって様々な素粒子が現れると考えるもの。全ての素粒子が1つの弦から現れる。 弦にはタリアテッレのような開いた弦と、ドーナツのような閉じた弦がある。 開いた弦の振動には電磁気力を伝える光子が含まれている。 弦の振動は縦波は振動していない状態と区別がつかないので横波しかない。 電場や磁場には向きがあり、その電場や磁場の大きさが変化する事で起きるのが電磁波。 電子が光を放出して別の電子がその光子を吸収すると、二つの電子の間には電磁気のクーロン力が伝わる。 重力の理論を量子力学と組み合わせると重力波の粒である重力子が予言される。 重力は重力子のやり取りによって伝わると考えられる。 当初の弦理論は力を伝えるボゾンだけで、それに物質の元になるフェルミオンも加わったのが超弦理論。 同じ数同士を掛けると答えがゼロになる数をグラスマン数と呼び、これを座標に使う空間を超空間と言う。この超空間によってフェルミオンを加える説明がついたのが超弦理論。 フェルミオンは一つの状態には一つの粒子しか入れない。これは一回掛けると0となって終わってしまうグラスマン数の性質に由来している。 普通の数の他にグラスマン数も座標として使う超空間では、グラスマン数で示される方向に振動する弦からフェルミオンが現れる。 普通に座標の方向に振動するとボゾンになる。 見る方向を変えても同じように見える時は回転対称と言う。 超空間に超対称性があるとボゾンとフェルミオンの間にも必然的に入れ替え可能な対称性が現れる。 我々は三次元空間ではなく、実は超次元空間に住んでいる。グラスマン数という不思議な数を座標に使う余剰次元が存在する。 物理学の理論の多くは次元数を選ばないが、超弦理論は9次元空間しか許されない。 電場があると、電子は電位の高い方に引き付けられる。 磁場があると電子はクルクル回ろうとする。 未知の世界を探求する人々は地図を持たない旅人。 素粒子はスピン(自転)しており、時計回りの素粒子だけに弱い力が働いている。 朝起きた時に今日1日数学をやるぞと思っているようではとてもものにならない。数学を考えながらいつの間にか眠り、朝、目が覚めた時にはすでに数学の世界に入ってなければいけない。 10という次元は超対称性を持つ理論を考える事のできる最大の次元であり、それは超重力理論のみ。 10次元の超重力理論の中には1次元の弦ではなく、二次元の拡がりを持つ膜がある。 10次元の空間に時間を入れると11次元の時空間となる。 10次元空間の中では二次元の膜と五次元に広がったものが絡みつく事ができる。 開いた弦はブラックホールの分子。 ミクロな基礎理論までいくと、温度も空間もその中に働く重力も本質的なものではない。 数学で空間を定義する要点は、二つの点の間が近いか遠いかを区別する事。近いと関係が強く、遠いと弱い。空間とは関係性のネットワーク。空間の次元とはネットワークの拡がり方の事。 自然科学の基礎には因果律があるが、ある時刻の状態によって過去も未来も全て決まってしまうのなら、過去や未来は現在とは独立していない事になる。

    0
    投稿日: 2023.10.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1078 これのおかげで素粒子物理学の大まかな流れと、主に誰が関わってたかと、その時々での重要な発見が分かった。ブルーバックスの中でアレとアレも素粒子物理学の分野なんだというのも分かるようになった。ありがてぇ 今ブクログ登録1000冊ぐらいなんだけどこれが一番面白かったかもしれん。鳥肌立った。事実は小説よりも奇なりだお。 大栗博司 カリフォルニア工科大学カブリ冠教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員。1962年生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学大学院修士課程修了。東京大学理学博士。プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを経て、現職。アスペン物理学センター理事でもある。アメリカ数学会アイゼンバッド賞、フンボルト賞、仁科記念賞、サイモンズ賞、アメリカ数学会フェロー。朝日新聞WEBRONZAの執筆や市民講座などで科学アウトリーチにも努めている https://docs.google.com/document/d/1EpA8krjy21lFyaWd3t0h2o2W7kZs9NxKFponkkQa0g8/edit?usp=sharing 私たち素粒子物理学者はこうした問いかけを心に抱きつづけたまま、大人になってしまいました。そして、自然界の基本法則を見いだすことによって、こうした問いに科学の方法で答えようと努力しているのです。 古代ギリシアの時代から、現代の素粒子論に至るまで、人類は、すべての物質の基本は大きさを持たない「点」のような粒子であると考えてきました。ところが超弦理論では、物質をつくっているのは粒子ではなく、なにか「ひも」のように拡がったものであると考えます。 デモクリトスの原子論は、アリストテレスによって批判されます。原子が真空の中を動きまわっているというデモクリトスの主張に対し、アリストテレスは「自然は真空を嫌悪する」として、すべての物質は隙間のない連続体であると考えました。そして、このアリストテレスの考え方が、長きにわたってヨーロッパを支配することになったのです。 デモクリトスの原子論は、一八世紀後半から一九世紀初めにかけて、近代科学の発達によってみごとに蘇ります。物質と物質が反応して起きる化学反応が、すべての物質が原子の組み合わせでできていると考えるとうまく説明できたからです。  二〇世紀になると、原子は物質の基本単位ではなく、原子の中にさらに構造があることがわかってきました。原子には「原子核」という中心があり、その周りを「電子」が回っているのです。  さらに一九二〇年代に粒子加速器が開発されると、原子核に粒子ビームを当てて、人工的に破壊することができるようになります。これにより、原子核も基本単位ではなく、「陽子」と「中性子」が組み合わさってできていることがわかりました。その後の数十年間は、陽子や中性子が物質の基本単位、すなわち点粒子であると考えられてきました。  しかし、話にはさらに続きがありました。一九六〇年代になると、陽子や中性子も基本単位ではなく、「クォーク」と呼ばれる、より基本的な素粒子からできていることがわかりました。現在のところ、「標準模型」と呼ばれる素粒子理論ではクォークが基本単位、すなわち点粒子であると考えられています。  このように物質の基本単位の探求は、原子→原子核と電子→陽子と中性子→クォークと、玉ねぎの皮を 剝 くように進んできました。現在の素粒子論では、私たちの身の回りにあるすべての物質は、素粒子の標準模型に含まれる一七種類の点粒子(=素粒子)の組み合わせでできていると考えられています。ちなみに、この一七種類の中で最後に存在が確認されたのが、二〇一二年に欧州原子核研究機構(CERN)で発見されたヒッグス粒子でした。 しかし、自然界の基本となる単位は何かについての探究は、素粒子の標準模型が完成しても終わったわけではありませんでした。いま、標準模型には二つの大きな問題があることがわかっているのです。  一つは、過去十数年の精密な宇宙観測によって、宇宙の大部分は標準模型では説明できない物質でできていることが判明したことです。宇宙には、正体がわからない「暗黒物質」と呼ばれる物質が、標準模型に含まれる物質の五倍以上もあるというのです。標準模型の一七種類の素粒子のどれでもない、未知の素粒子からできていると考えられる暗黒物質の存在は、標準模型が自然法則を記述する理論として不完全であり、新たな素粒子をつけ加える必要があることを私たちにつきつけたのです。  暗黒物質をつくる未知の素粒子を捕まえようとする実験は、いま世界各地で行われています。ヒッグス粒子を発見したCERNでは、暗黒物質が人工的に生成され観測される可能性もあります。もし暗黒物質が検出されれば標準模型をどのように拡張すべきかがわかり、より基本的な法則を求める人類の歩みに新たな章が開かれることになりました。 自然界には、重力・電磁気力・強い力・弱い力という四種類の力があることがわかっています。「重力」や「電磁気力」については古くから知られていましたが、二〇世紀になると、自然界にはあと二つ、「強い力」と「弱い力」という力があることが発見されました。強い力は、クォークを互いに引きつけあって、陽子や中性子をつくる力です。また、弱い力は、原子核からの放射線の原因となる力です。強い力は電磁気力より「強い」、弱い力は電磁気力より「弱い」ので、このように呼ばれています。あまり専門用語らしくありませんが、二つとも素粒子の間に働く基本的な力です。 重力を無視するような理論に意味があるのかと思われるかもしれませんが、実は、重力はほかの三つの力と比べてとても弱いのです。そのため、現在おこなわれている素粒子実験には、重力の影響はほとんどありません。 重力が電磁気力より弱いことは、たとえば机の上に鉄製のクリップを置いて、上から磁石を近づけてみればわかるでしょう。六〇億×一〇億×一〇億グラムもの重さを持つ地球が、重力でクリップを引っ張っているのに、ほんの数グラムの磁石の引力がそれに打ち勝って、クリップはひょいと飛び上がり、磁石に吸いつきます(図1‐3)。これは、磁気の力に比べて、重力が弱いことを示しています。 これまでにわかっている自然界の四つの力を強さの順に並べると、 強い力 > 電磁気力 > 弱い力 > 重力 となります。弱い力は名前が示すように電磁気力よりも弱いのですが、重力はそれよりもはるかに弱いので、これまで地上でおこなわれてきた素粒子実験においては、重力を無視した標準模型でもその結果が説明できたのです。 余談ですが、私が勤務しているカリフォルニア工科大学は理工系の大学なので、構内を歩くと理系オタクとでも呼ぶべき学生によく出会います。彼らは理系テーマのTシャツを誇らしげに着ているので、すぐにわかります。たとえば『旧約聖書』の創世記の有名なくだり、 神はいわれた。 「光あれ」 こうして、光があった。 の「光あれ」の部分をマクスウェル方程式に書き換えたものがあります。Tシャツに書けるほどの簡潔さですべての電磁気現象を説明し、光の起源までも明らかにしたすばらしい方程式なのですから、理系オタクがうれしそうに着ているのもうなずけます。  電子の大きさがゼロでなければ、電磁場から受けるエネルギーも有限で、それから加算される質量も有限の値に収まります。電子が大きさのない点だと考えるから、電子の質量が無限大になってしまうのです。ならば点粒子などは考えず、電子に大きさがあるとすれば、無限大の問題は解消できるのではないか。超弦理論の発想の原点はここにあります。  しかし「はじめに」でも書いたように、物理学者は保守的な人々です。自然界の基本単位は大きさのない点であるというこれまで慣れ親しんだ考え方を放棄して「拡がりのある素粒子像」などという突飛なものを考える前に、もっと穏健な解決策はないものかと模索しました。 電子がどんどん小さくなって点に近づくほど、電磁場のエネルギーは無限大に近づくわけですが、ここで、電子固有の質量をどんどん小さくしてそれと相殺すれば、電子が点であってもかまわないではないか、というのがこのアイデアの骨子でした。  電磁場のエネルギーが無限大に近づくと、あるところで電子固有の質量は「負の値」をとらなければならなくなります。無限大の問題を解消するために質量を負の値にするなどという方便を使うのは、なにやらこじつけのように思われるかもしれません(図1‐7)。実際、暫定的な解決策というべきものでしたが、「くりこみ」と呼ばれるこのアイデアは、二〇世紀の素粒子物理学の発展に大いに貢献するのです。 量子力学が考えだされたそもそものきっかけは、光は「波」か「粒」かという問題でした。  光が「波」のような性質を持つこと、「粒」のような性質を持つこと、私たちはどちらも日常的に経験することができます。  まずは、光が波である証拠をご覧に入れましょう。本書ぐらいの厚みの本を二冊、右手と左手に持って、背表紙と背表紙を合わせてください。そして、二冊の背表紙の間にわずかに隙間を開け、その隙間から明るい方向を見てください。本の帯をつけたままにしたほうが、細い隙間をつくりやすいかもしれません。隙間に縦の縞模様が何本か見えるでしょう(図2‐1)。これは波の性質の一つである 干渉縞 というものです。光の波が背表紙の間を通るときに重なり合って、縞模様ができるのです。光が波だからこそ起きる現象です。 物理学はこれまで、自然界という大きな「玉ねぎ」の皮を一枚ずつ 剝 くようにして、そこに働いている法則を明らかにしてきました。当初は原子が「玉ねぎの芯」(基本粒子)だと思われていましたが、よく調べてみると、それは一枚の「皮」にすぎませんでした。そこからさらに、原子核と電子→陽子と中性子→クォーク→……と次々に皮を剝いて、新しい構造を発見してきたわけです。  玉ねぎのそれぞれの層には、そのレベルの現象を説明する法則があります。大まかな性質を知るためにはその法則さえ理解すればよく、その皮を剝いてさらに深い層を調べる必要はありません。たとえば原子の性質は、原子核が陽子と中性子からできていることを知らなくても、ある程度までは計算できます。というのも、原子核の直径は、電子の軌道半径の一万から一〇万分の一程度にすぎないからです。したがって原子内部における電子の運動を理解するときは、原子核を「点」と見なしてもかまわないのです。  実験技術が発達すると、原子核の皮を剝くことが可能になって、そこにより深い法則を見つけることができました。原子核が陽子と中性子からできていることがわかり、それを結びつける「核力」が問題になりました。これを説明したのが湯川秀樹の中間子論です。  陽子・中性子・中間子についても同様でした。これらの粒子の皮を剝くと、その中にクォークがあって、より深い法則にしたがって運動していることがわかったのです。  このように、自然界にはマクロからミクロへの階層構造があり、よりミクロな世界の法則ほど基本的なものであると考えられています。 ブラックホールはアインシュタインの一般相対性理論における重力方程式の解の一つで、そこでは重力が極限まで強いため、光さえ飲み込まれてしまいます。たとえば私たちの地球を、質量をそのままにして圧縮していくと、重力がどんどん強くなります。半径が九ミリメートルになるまで圧縮すると、重力に逆らって地球表面から脱出するために必要な脱出速度は光の速度と等しくなり、さらに圧縮すると光さえ脱出できなくなります。すると地球もブラックホールになるのです。脱出速度が光速になってしまう表面のことを「事象の地平線」といいます。光速でも脱出できないのですから、それを超えてしまえば、もう誰も戻ってくることができません。   量子力学の思考実験といえば、箱の中の猫が生きているのか死んでいるのか量子力学的に不確定になるという「シュレディンガーの猫」も有名です。これもその後、低温実験やレーザーなどによって、猫ではまだ無理ですが、代わりに数個の原子や光子を使って実質的には同じ実験ができるようになりました。 ウィリアム・トムソンは一九世紀英国の指導的物理学者でした。熱力学などへの貢献に対し爵位を与えられたので「ケルビン男爵」としても知られています。 日本の物理学界には、かなり早い段階で「拡がりを持つ素粒子」のことを考えた研究者がいました。日本人として最初にノーベル賞を受賞した湯川秀樹です。  湯川は大学を卒業して研究者として歩みはじめたとき、すでに二つのテーマを見定めていました。一つは陽子と中性子を結びつける核力の解明。もう一つは、電磁場のような「場」に量子力学をあてはめる「場の量子論」の問題です。  核力の起源は、その数年後に、中間子理論によって解明されました。しかし湯川の第二のテーマであった場の量子論は、無限大の問題に直面します。湯川は素粒子を「拡がり」のあるものと考えることでこの問題に取り組んだのですが、当時はまだ数学的な手法や場の理論に関する理解などが未熟だったこともあり、なかなか解決に至りませんでした。  それに対して、同じ問題を「くりこみ」という暫定的ながら実用的な方法で解決したのが、朝永振一郎でした。湯川と朝永では、同じ問題へのアプローチがまったく違ったわけです。 現実的な解決策を開発した朝永に対して、湯川のほうは、時代に先駆けたビジョンを追究するタイプの科学者でした。後年には哲学的な思索に傾いたようで、たとえば湯川の著した教科書には、中国盛唐期の詩人である 李白 の「夫天地者萬物之逆旅、光陰者百代之過客(それ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり)」という文章が引用されています。 しかし弦理論をよりくわしく調べていくと、実は弦も、それどころか弦が振動する空間さえも、何か別の、より根源的なものから現れてくることが明らかになるのです。でもその話は第9章までお待ちいただき、まずは弦がすべてのものの基本単位であると考えて話を進めましょう。 開いた弦はタリアテッレ、閉じた弦はペンネ  弦は一種類ですが、その状態は二通りあります。両端のある「開いた弦」と、両端がくっついて輪になった「閉じた弦」です。次の図3‐4を見ています。 物質の基本単位を点粒子と考えると、電子が光子を放出したり吸収したりする様子はファインマン図では図3‐5の右列のように表されます。これに対し、基本単位を弦と考える弦理論では、「電子に相当する弦」の振動状態から「光子に相当する弦」の振動状態が放出されるファインマン図は、図3‐5の左列のように表されます。この図を横割りに切っていくと、一つの弦が二つに分かれたり、また、二つの弦が一つになったりする様子が連続写真のようにわかります。 ところが、数学の世界では、この常識がいつも通用するとはかぎりません。同じ数どうしをかけると、答えがゼロになってしまうという不思議な数があるのです。ここで、そのような数を θ と書くことにすると、      θ × θ =0 となってしまうのです。もちろん、普通の数では(それ自身がゼロでないかぎり)このようなことは起きません。こうした奇妙な性質を持つ数のことを「グラスマン数」と呼びます。 しかし、そんな答えが出る不思議な公式を見つけた数学者が一八世紀にいました。レオンハルト・オイラーです。世の数学者に「歴史上で最も重要な数学者を五人選べ」と言えば、オイラーの名は必ず挙がるでしょう。数学のあらゆる分野で画期的な成果を残し、数学史上最も多くの論文を書いたといわれる超人的な研究者です。その論文を集めた『オイラー全集』は現在、七二巻まで刊行されていますが、まだ編纂は終わっていません。 そのオイラーが残した数多くの驚異的な公式の中の一つが、これです。  信じられるでしょうか。正の整数を無限に足していくと、負の数になるというのです。 (1+2+3+4+5+…)は、どう見ても「無限大」です。しかし無限大だからこそ、その値には正も負もないという考え方もできます。無限大とは、正か負かもわからないような、つかみどころのないものです。  オイラーの公式は、その無限大に「意味」を与えたと言っていいでしょう。オイラーがこの公式を導くまでの計算方法は、現在の数学の考え方からすると無限大や無限和の扱い方に問題があり、厳密さに欠けます。しかし、彼はその自由な発想によって、数学的な真実を見いだしたのです。数学者の黒川信重はこの公式を「滝に打たれたような衝撃」と評しています。 先生は樋口の下へ私の手をおいて、冷たい水が私の片手の上を勢いよく流れている間に、別の手に初めはゆっくりと、次には迅速に「 水」という語をつづられました。私は身動きもせずに立ったままで、全身の注意を先生の指の運動にそそいでいました。ところが突然、何かしら忘れていたものをおもいだすような、あるいはよみがえってこようとする思想のおののきといった一瞬の神秘な自覚を感じました。このとき初めて私は WATER はいま自分の片手の上を流れているふしぎな冷たいものの名であることを知りました。この生きた一言が、私の魂をめざまし、それに光と希望と喜びを与え、私の魂を解放することになったのです。  ヘレン・ケラーは『わたしの生涯』(角川文庫)のこの有名な一節で、「ものにはすべて名があること」を認識したときの感動的な経験を語っています。 電磁場は金融市場に似ています。  さて、この電場や磁場の働き方を決める原理を説明するために、ちょっと飛躍しますが金融市場のたとえ話を使うことにします。電子の動きが、お金の動きと似ていることに着目するのです。  金融市場では、利益の上がるような方向にお金が動きます。このお金の動きは、電子が電位の高い方向に引きつけられることと似ています。また、「お金を回して利益を上げる」ということがおこなわれます。これは、磁場の中で電子がクルクルと回るということと似ています。  先日、都内の金融業者の前を通りかかったら、外貨預金を勧める広告を見かけました。日本の定期預金金利は一年で〇・五パーセントにもならないのに、スイスでは三パーセント、南アフリカでは一一パーセントにもなる。そこで「南アフリカで外貨預金をしよう」という宣伝でした。  さて、このような仮定のもとで、二つの国の定期預金金利が異なると、お金を移動することで利ざやを稼ぐことができます。すると必然的に、金利が高い国にお金が集まることになる。これは電磁場の理論で、電位の高いほうに電子が集まることに似ています。つまり、金利=電位というわけです。  その前にもう一つ、電磁場と金融市場の似ている点をあげておきます。  マクスウェルの電磁気理論では、電場と磁場の間に関係がありますが、金融市場でも、金利相場と為替相場の裁定機会の間には深い関係があります。  たとえば、日本の金利よりも米国の金利のほうが高くなると、金利の高いドル建ての預金をしようと米国にお金が流れるので、円とドルの為替レートが影響を受けます。また、たとえば円に比べてドルが高くなると、ドルで持っているだけで、円に換算したときのお金が増えるため、あたかも金利を稼いでいるかのよう見えます。このように、金利相場と為替相場は、お互いに影響を与えながら変動しています。  これは磁場の変動が電場を引き起こし、電場の変動が磁場を引き起こす「電磁誘導」という現象とよく似ています。電磁誘導の発見は、電場と磁場がマクスウェル理論で統一されるきっかけとなりました。これと同様に、金利と為替も、金融市場という一つのシステムの中で関連しながら変動しているのです。  ワイルが発見したのは、マクスウェルの電磁気理論にも金融市場と同様の原理が働いているということでした。金融市場では各国が独自の通貨を持ち、それがものの価値を測る単位であるように、電磁気力も時空の各々の点に仮想的な「通貨」があって、その通貨についての金利や為替の裁定機会に対応するのが、電場や磁場であると考えたのです。  しかし、ワイルは数学者だったので「電磁場の通貨」が物理的に何を意味しているのかまでは問うていません。何か仮想的な通貨があれば、マクスウェルの方程式が説明できると指摘しただけでした。  ワイルが仮想的なものとして考えた「電磁場の通貨」の本当の意味が明らかになったのは、その一〇年後に量子力学が完成してからのことです。量子力学では、すべての粒子には「波」としての性質と「粒」としての性質があると考えます。そのため、電子にも波としての性質があります。  湯川秀樹は、自伝『旅人』(角川ソフィア文庫)に   未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅人である と記しています。科学の研究はオアシスを求めて砂漠をさまようようなものです。地図がないので、どちらに行けばオアシスにたどりつけるのかわかりません。  たとえば標準模型には〔アップ/ダウン〕、〔チャーム/ストレンジ〕、〔トップ/ボトム〕と、クォークが三世代あります。彼らはこの「世代の数」が、カラビ‐ヤウ空間の幾何学的性質で決まる、具体的には「オイラー数」と呼ばれる数が、世代の数を決めることを導きました。  このオイラーとは、第4章で登場した数学者オイラーにほかなりません。彼は「トポロジー」という数学の一分野の創始者でもありました。図形を連続的に変形しても変わらないものは何かを考えて、図形を大雑把に分類する方法を編み出したのです。  その説明によく使われるのが、コーヒーカップとドーナツです(図6‐9)。両者は一見するとまったく違う形ですが、表面を連続的に変化させると、カップがドーナツになることがわかります。一方、球面はどうがんばっても、持ち手のない湯呑み茶碗にしかなりません。表面を連続的に変化させるとき、「穴を空ける」という操作はできないからです。つまり、トポロジー的に見ればコーヒーカップとドーナツの表面は同じ種類ですが、球面は別な種類なのです。  素粒子研究者がもっとも美しいと考える答えは、数学的な整合性から「このカラビ‐ヤウ空間でなければいけない」と一意的に決まる(1)です。その対極にあるのが、「人間原理」を持ち出す(3‐B)でしょう。  超弦理論が大きく飛躍した一九八四年は、私自身にとっても思い出深い年です。少年時代に湯川秀樹の伝記を読んで以来、素粒子論に興味を持っていた私は、一九八四年の春に京都大学大学院に進学し、素粒子研究室に配属されました。その年の夏、グリーンとシュワルツがアノマリー相殺を発見し、第一次超弦理論革命が起きたのです。  大学院に進んだばかりのタイミングで、突如としてこのような新しいフロンティアが拓けたのは、実に幸運でした。それまでは誰も手をつけず、シュワルツがほぼ一人で取り組んでいた分野ですから、研究者の卵にもできることはたくさんあったのです。  一方、チェコッティはその後、イタリアの政界に身を投じます。彼はイタリア北部のフリウリ語を話す少数民族の出身で、民族独立を訴える党を創設し、当時躍進していた北部同盟と連携して、フリウリベネチア・ジュリア自治州の知事になりました。のちにはフリウリ地方の中心地ウディネの市長にもなり、およそ一五年間政界で活躍しましたが、最近引退して物理学の研究に戻りました。  ベルシャドスキーは私たちとの共同研究のあと、カナダのトロント大学の教授になりますが、金融界に転進し、現在はニューヨーク近郊のヘッジファンド会社の重役になっています。「くりこみ」の株式市場への応用も研究しているようですが、企業秘密なので教えてくれません。  このような面接を経て、一九九四年末からバークレイ校の教授になりました。そこで再会したのが、東京大学で一緒だった村山斉です。彼は大学院卒業後、東北大学の助手になり、ポストドクトラル・フェローとしてバークレイに滞在していたのです。その翌年には村山も助教授に採用され、それから六年間、私がカリフォルニア工科大学に移籍するまで彼と私とは同じキャンパスで切磋琢磨しました。現在も彼は機構長、私は主任研究員として、同じカブリ数物連携宇宙研究機構に関わっています。  私は研究をするときに、そのプロジェクトがどのようにして決着するかについて、あらかじめ予想を立てないようにしています。研究とは地図を持たずに砂漠の中を歩き回るようなものなので、早くオアシスにたどり着きたいという気持ちが強くなるのは確かです。しかし、あまり早くに「落としどころ」を見つけると、研究が小さくまとまってしまいます。  私は理論物理学者ですから、数学の方法を使って研究します。論理に導かれるままに数学の世界をさまよい歩くと、思いもかけない、見たこともない場所に行き着くことがあります。しかし、  「いくら恐ろしいといつても それがほんたうならしかたない」のです。  この問題について深く考えたウィッテンは、思いがけない結論にたどり着きます。そして、彼の発見は、私たちの空間概念を根本から覆すことになるのです。  たとえば水蒸気、水、氷は、化学記号で書くとどれも同じ ですが、温度や圧力を変えると、気体から液体、固体へと変化します。五種類の超弦理論も、それと同じようなものでした。見かけはまったく違うものの、そこにはのような共通の起源がある。ウィッテンは超弦理論も実は一種類で、五種類の理論はその現れ方が異なっているにすぎないことを発見したのです。  どんな世界にも、多数派が目を向けない問題に魅力を感じる人はいます。とくに英国人には群れるのを嫌う気質があるのか、第一次超弦理論革命によって超弦理論が主流になっても、「道なき道を行こう」と超重力理論に取り組む研究者がいました。  英国の科学者にはアマチュア精神の伝統があるように思います。彼らを見ていると、趣味の素人芸なのに、たまたま収入を得て職業になってしまったようにさえ思えます。アマチュアだから、自分の分野にこだわる理由もない。知らない分野にいって失敗しても、素人なので困らない。そのため、分野の垣根を越えた研究をしやすいのです。趣味としての研究なのだから、流行の話題を追いかけるより、自らの道を開いていこう。このようなスタイルが、英国で独創性の高い研究が多く生まれる理由になっているように思います。  ウィッテンの超弦理論の研究は、物理学だけではなく、数学の発展にも大きなインパクトを与えてきました。そのため彼は、「数学のノーベル賞」と呼ばれるフィールズ賞も受賞しています。  数学と物理学とは、歴史的にも密接な関係にありました。たとえばニュートンは、力学と重力の体系を完成するために、微分や積分の方法を開発する必要がありました。科学の進歩によって私たちの経験世界がひろがると、それを理解するために新しい数学の言葉が必要になるのは、むしろ自然なことです。  そもそも、素粒子論や超弦理論の新しい発展が、既存の数学ですべて理解できるとはかぎりません。研究をしながら、新しい数学をつくっていくことも必要になるでしょう。そして、このような研究から新しい数学分野が開けていくこともあります。たとえば、私たちの開発した「トポロジカルな弦理論」の方法が、現在では世界各地の数学教室で盛んに研究されているのも、そのためだと思います。 「超弦理論の研究をしている」と人に言うと、なぜ物質の基本単位は一次元の弦でなければいけないのか、二次元の面や、三次元の立体ではいけないのかと聞かれることがあります。一九九五年以前には、このような質問をされると、「物質の基本単位を拡がったものとして考える試みとして、うまくいっているのは弦しかない」と答えていました。  しかし、ウィッテンの発見によって、弦を基礎とする理論だと思われた超弦理論に、さまざまな次元に拡がった物体が現れることがわかりました。こうなると、もはや弦は超弦理論の主役とはいえません。弦とは、物質の基本単位がさまざまな次元に拡がったものの一つにすぎない。ウィッテンの「双対性のウェブ」は、弦の「降格人事」になったのです。  もちろん、私たちの日常生活では、温度というのは便利な概念です。私たちの世界では近似的に意味がある。それと同様に空間も、ある近似の範囲では意味がある。重力を感じることもできる。しかし、ミクロな世界の基礎理論までいくと、温度も、空間も、その中に働く重力も、本質的なものではない。すべては、マクロな世界の私たちが感じているだけの幻想なのです。  前章では、温度の概念が分子の運動から現れてくるように、空間自身も弦の運動から現れてくるものにすぎないという話をしました。ウェルズがいうように「時間と空間の三次元の間には、われわれの意識が時間に沿って移行するという点以外には、何らの差がない」とすると、時間も何かより根源的なものから現れる二次的な概念のように思えてきます。  空間が幻想だとすると、時間も幻想なのでしょう。  では、そもそも空間とは何なのでしょうか。これまで物理学の立場から考えてきたので、数学者に意見を聞いてみました。  私 「空間とは何ですか」  数学者 「集合の一種です」  数学者に質問をすると、よくこのように木で鼻をくくったような対応をされます。集合とは物の集まりのことです。数学では、空間とは点の集まりなので、集合の一種なのは確かです。だから間違った答えではないのですが、これではあまりにも漠然としています。  私 「空間とは、どのような種類の集合なのですか」  数学者 「近いものと遠いものの区別がつくような集合です。  超弦理論は、素粒子物理学における究極の統一理論の候補です。しかし、まだ実験や観測によって十分に検証されていないので、自然の法則として確立しているわけではありません。  超弦理論が自然の基本法則として確立されるかどうかは、検証を待たねばなりません。しかし現状では、重力と量子力学を含み、数学的につじつまが合った唯一の理論です。    重力と量子力学を統合すると何が起きるのか    素粒子の標準模型は、そのような理論からどのようにして導けるのか    そのような理論では、ブラックホールの謎はどのように解かれるのか    宇宙の始まりのような問題に、どのようにアプローチしたらよいのか    時間や空間の本性は何か  このような根源的な問題に、超弦理論は数学的につじつまが合った枠組みの中で考える 術 を与えてくれます。超弦理論の研究から得られる、重力や量子力学に関する深い理解は、仮にこの理論が自然の法則として採用されなかったとしても、生き残るものが多いはずです。  研究が始まってから四〇年、いまや空間やそこで働く重力についての考え方にも大きな影響を与えている超弦理論の発展はどこまで続くのでしょうか。難しくなりすぎているのではないか、そもそも究極の統一理論の発見など、人知を超えた目標ではないかと心配する向きもあります。  しかし、私は、この分野は今後さらに力強く進むと思っています。  そう思う根拠のひとつは、学生が大学院に入学してから超弦理論の論文を書けるようになるまでの年数が、私が大学院生だった三〇年前も現在も、変わっていないことです。この三〇年間で超弦理論は大きく進歩しました。当然ながら、若い研究者が自前の論文を書くまでに学ぶべきことは、昔よりも大幅に増えています。にもかかわらず、新入学した学生は以前と同じ年数で、この分野の最前線に出ることができています。それは理論についての私たちの理解が深まったために、若い人々がこれまでの成果を効率的に学べるようになったからでもありますが、超弦理論の研究が、まだまだ人間の知力の限界に突きあたっていない証拠でもあると私は思います。もし限界に近づいているのなら、学生が最先端に追いつくのにはどんどん時間がかかるようになるはずです。いまのところそうした兆候は見られないので、さらなる進歩が期待できるのです。  ブルーバックスは今年で創刊五〇周年ということで、私とはほぼ同い年です。私は小学校高学年の頃、都筑卓司さんが当時著されたばかりの相対性理論や量子力学、統計物理学の本を読んで物理学に興味を持つようになりました。そのため物理学の研究を職業にするようになってからは、いつかはブルーバックスで自分の研究のことを書きたいと思っていました。  自然科学の現場にいる者としては、科学の方法とは、次のような手続きだと考えます。  一、この世界を説明するあらゆる可能な仮説を考える  二、この世界で起きている現象についてのデータを集める  三、仮説の中から、データにもっともよく合うものを集める。  本書の表紙は、書名がブルーバックス創刊五〇年にして初めての「縦書き」になっています。  超弦理論のような基礎科学の研究が可能なのは、国の支援のおかげです。基礎科学の研究者は、各国の納税者への感謝を忘れてはいけないと思います。本書も、その感謝の気持ちで書きました。  四〇年前の私がブルーバックスを読んで科学への道を志したように、本書によって、若い世代の方々が科学への興味を高めてくださることを期待します。

    0
    投稿日: 2023.09.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    うーん、これはダメなタイプの本だと思う。 大事なところとかを詩で誤魔化した怪しい教養本のように感じてしまう。ただ、友人はこの本を褒めていて、超弦理論の世界観を楽しめたようなので、彼とは少し違う感想を持った。 「金融市場にもある電磁誘導」というキーワードが来た時点で、そりゃないだろと。何かまやかしか、アナロジーかわからないけど、そういうものが含まれているような感じがしてしまった。

    0
    投稿日: 2023.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本においてヒモ理論といえば大栗さんですが、私自身まだまだ理解が追いついていません。 Newtonなどでは断片的に理解していましたが、本書ではなぜ次元を高次元にし、そして点ではなくヒモでなければ成立しないのか?がよく理解できます。 一方で、これを完全に理解するためのトポロジカルな見識が私には不足していて、ところどころ不明な部分もあります。 他の専門書と合わせてまた読み直したい1冊です。

    17
    投稿日: 2023.07.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    “ 私たちは習慣によって、 重力があったり、 次元があったり、 空間があったりすると思うが、 現実に存在するのは…… (p.248)”  『重力とは何か』、『強い力と弱い力』といった優れた啓蒙書を世に送り出してきたカリフォルニア工科大学カブリ冠教授 大栗博司。本書のテーマは、まさに彼の専門分野である「超弦理論」だ。  超弦理論に関しては、「物体は極微のひもから出来ている」、「空間は三次元ではなく実は九次元」といった何ともワクワクさせられる煽り文句(?)が広く人口に膾炙していると思う。一方で、その内実、つまり「『なぜ』物体がひもから出来ていると考えるのか」、「九という数字は『どのように』導かれるのか」といったことはほとんど知られていないのではないだろうか(もちろん僕も知らなかった)。超弦理論は現代物理学の最前線にある理論で、当然かなりの難解さを誇るわけだが、本書は、専門家が理論のエッセンスを噛み砕いて一般向けに易しく、しかもなるべく誤魔化しを入れずに解説してくれている貴重な一冊だ。また、当時の研究の現場の活気溢れる様子を紹介できるのも、第一線で活躍してきた筆者ならではだろう。  扱われているのは次のようなトピック。 ・標準模型の限界 ・なぜ点ではなくひもなのか ・超対称性とは何か ・空間の次元はどのようにして決まるのか ・双対性のウェブ ・AdS/CFT対応 ・時空とは一体何なのか  個人的には、九次元がコンパクト化されて三次元になる、六次元多様体「カラビ-ヤウ空間」のオイラー数から素粒子の世代数が決定されるというのが興味深かった。  ただ、これだけ難解な理論を数式を用いず言葉だけで説明するというのにはやはりどうしても限界がある。「なるほど!」と腑に落ちたこともあったのだが、正直なところ、僕には理解が追いつかない箇所が多かった。特に、空間次元D=9を導く過程で、例の 1+2+3+4+5+…=-1/12 という式を使っているけれど大丈夫なのか?(Re s>1でしか成り立たないはずのζ(s)=Σ1/n^sという関係をs=-1に適用しているが…) 多分問題ないのだろうとは思うが、モヤモヤが残る。 1 なぜ「点」ではいけないのか 2 もはや問題の先送りはできない 3 「弦理論」から「超弦理論」へ 4 なぜ九次元なのか 5 力の統一原理 6 第一次超弦理論革命 7 トポロジカルな弦理論 8 第二次超弦理論革命 9 空間は幻想である 10 時間は幻想か 付録 オイラーの公式

    22
    投稿日: 2023.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    物資の基本は、点ではなく、ひも、とする超弦理論(Super String)の解説ですが難解です。空間は弦の運動から現れる、集合の一種です。重力は、空間や時間の伸び縮で伝わる、とか、時間も幻想かもしれない、という辺りは、理解が追いつきません。とはいえ、138億年前の宇宙の始まりが、理論的に解明されるようになった時代の統一理論を追いかけている大栗先生の良くわかる超弦理論の説明。あまり良くわかりませんが、★四つです。

    0
    投稿日: 2023.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論については、何冊か本を読み、ネットでも参考となるものを見たりしました。超弦理論の入口はとても興味深く、何とか、この不思議な世界をイメージとして、もっと理解したい!と思っていました。 今回、この分野の第一人者である大栗先生の解説本を読み、超弦理論の全体像について、何割かでもいいので、納得したいと思ったわけです。 読み終わった結果は・・・・。 完敗でした。 書いてある事が、さっぱり分からず、頭の中で意味を持って咀嚼する事はできませんでした。 いま、私は、大きな絶望感の中にいます。 もっと時間がたてば、また、あらためて超弦理論を理解したいと思えるのでしょうか? もっとも、本書で書かれた通り、「時間」も「空間」と同様に幻想にしか過ぎないのであれば、超弦理論を理解する事自体が幻想なのかもしれないとも思えます。 他の方の感想を読むと、わかりやすいという声も多いので、ちょっとびっくり。 確かに、この理論を取り巻く、大栗先生を含む物理学研究のこれまでの歴史などに関してはとても面白いと思いました。 ただ、わたしが知りたかった、超弦理論をイメージとして捉えることは、できなかった。 とりあえず、しばらくは「超弦理論」には触れないでおこうと思います・・。

    0
    投稿日: 2023.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    語りがうまい 物理の歴史総まとめ からの先端理論 ■前書き ○時間と空間 アリストテレス 空間も時間も、物質やその運動に付随して定義されるものである 最初の革命 ニュートン力学「絶対空間」「絶対時間」 第二の革命 アインシュタイン 相対論 時間や空間は伸び縮みする 第三の革命 今起きようとしている “空間とは私たちの「幻想」にすぎない”

    0
    投稿日: 2022.10.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057340

    0
    投稿日: 2022.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    理論物理学、素粒子論、宇宙論の最先端がわかりやすく説明されていてワクワクする。 特に疑問だったなぜ空間が9次元とか10次元とか言われているのかがようやく理解できた。 けど「時間」についてはまだ謎らしい。 不思議だ。

    0
    投稿日: 2022.01.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    物質の基本は「点」ではなく「ひも」。 ニュートンの力学、アインシュタインの相対性理論に続く時空概念の超弦理論。 重力理論と量子力学の統合、空間が九次元、空間は幻想、時間は幻想、という結論。 分かりやすく書かれているのですが、数学や物理が苦手な私には難解でした。

    0
    投稿日: 2021.05.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    極力数式を使わずに展開されるから、逆に難しかったかも。 とは言え、その時々の「最新の数学」を発明して対処する様な領域だから、数式載せちゃ誰も付いて来れんのかな。 工学系からすると、所与の数学で対処できるモノしか接してこなかったから「最新の数学」という概念がこれまでピンと来なかったけど、この本で初めてイメージが持てた。本筋からズレるがオイラーの公式は確かに滝に打たれる様な衝撃だったが、巻末の解説を見ると納得。 空間がホログラフィックなモノだという説明を理解しきったわけではないが、時間と空間の本質なモノがありそうだと言うことは、ままイメージが持てた

    0
    投稿日: 2021.03.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     文系が頑張って読んだ。ひも理論。超弦理論だ。  いや、読み流した。  というより、50%以降はフィーリングだ。。。  すっごいわかりやすい、フェルミオンとボゾンのイラストでの説明。「…で?」と思ってしまうが、まあ、頑張って読み進むのだ。  ハイライト、56人が引いているところ。 「超対称性とは、この回転対称性の概念を超空間にまで拡張したものです。超空間の座標は、普通の数とグラスマン数の両方からできています」 「…お、おう…。」  もうほんと全部パスタで説明して欲しい…。徹頭徹尾パスタでいって欲しい。  9次元、25次元、読んでるときは必死で考えているけど、こう、後でまとめるとかはできん。できんけども、こういう世界があることはうっすらわかった。  わたしたちの三次元の+時間経過の四次元の一瞬のことについて書いてもある。ここは参考になる。  そしてさらに突き詰めて、  「わたしたちは習慣によって、   重力があったり、   次元があったり、    空間があったりすると思うが、   現実に存在するのは…」  この「・・・・」に当てはめるべき言葉を知らないという。重力や次元や空間は幻想であることが確かである!!!!でも本当のこと、根源的な理解に達していない…。  なんかどこかで聞いたことのあるような話。  人間ってなにやっていても、こういうところに行き着くのだろうか。  それにしても数式で様々なことを解き明かしていくというのはすごく不思議で痛快でもある。数式見てもまったくわからんけど。  仏教的時間空間の話を理解するために読んだのだけど、まあ、このくらいで勘弁しておいてやるという心持ちである。  でもわからんなりに読み通せたので、この大栗先生のお話は面白い。YouTubeも見た。そんな気なくて読んではまる人もいるかもしれない。という感じの本。

    1
    投稿日: 2020.12.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    物理学者 大栗博司氏による超弦理論についての解説書。ブルーバックスから刊行されているため、専門外の人が読むことを前提に書かれています。ニュートンの力学に始まり、アインシュタインの相対性理論、弦理論から超弦理論へと発展する歴史を俯瞰しつつ、それぞれの持つ問題点や限界を明示し、その解決策を示しながら話を進めていくので、なんとなく分かった気になります。今後、この分野で、どのような発見があるのか楽しみになりました。凄く難解な事をこうやって、ある程度平易な言葉で表現するって、凄いことだと思いました。

    0
    投稿日: 2019.11.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    申し込み受付中! 著者新刊2冊 限定サイン&メッセージ付 ◆プログラム  大栗博司(カリフォルニア工科大学カブリ冠教授)と池谷裕二(東京大学大学院薬学系研究科准教授)による対談 ◆参加特典の新刊 『大栗先生の超弦理論入門』(大栗博司著)8月20日刊行予定 『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二著)9月4日刊行予定 13.9.10 ◆登壇者略歴 大栗博司(おおぐり・ひろし) 1962年、岐阜県岐阜市生まれ。理学博士。東京大学理学部助手、プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを経て、現在、カリフォルニア工科大学カブリ冠教授。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員、アスペン物理学センター理事でもある。著書に、『重力とは何か』、『強い力と弱い力』(ともに幻冬舎新書)など。市民講座などで科学アウトリーチにも努めている。 池谷裕二(いけがや・ゆうじ) 1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。現在、東京大学大学院薬学系研究科准教授。脳研究者。海馬の研究を通じ、脳の健康や老化について探求をつづける。日本薬理学会学術奨励賞、日本神経科学学会奨励賞、日本薬学会奨励賞、文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞などを受賞。主な著書に『記憶力を強くする』『進化しすぎた脳』(ともに講談社ブルーバックス)、『脳はなにかと言い訳する』(新潮文庫)、『脳には妙なクセがある』(扶桑社)などがある。

    0
    投稿日: 2019.05.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論はやっぱり難しい、けれど最後まで読み通せるし、今までより内容に少し踏み込めた感じがしました。大栗先生の研究が目指しているところや、そのおもしろさが伝わってきました。

    0
    投稿日: 2019.04.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論が歴史的発展にそって解説されていて、非常にわかりやすく面白い それぞれの理論の特徴と現代における位置付けがわかる 特に理論の次元が決定される理由などは詳説されている ゲージ理論を金融で説明するのは斬新

    0
    投稿日: 2018.11.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第四章なぜ九次元なのか、あたりから???となって、とにかく話を追っていくだけになっていました。ただ、物理学者の研究の雰囲気はなんとなく感じられたように思います。

    0
    投稿日: 2018.10.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これね、最高です。わかりやすい。まあ全然わかってないんだろうけど、次元ってたいしたことないんだよ。9と10とかあんまり変わんない。って感じなんだと。大栗さんの他の著作も読んでみよう。しかし、多次元が脳内でイメージできるかどうかが鍵だよね。さらっと、空間は幻想だよね。実体が写ってるスクリーンに過ぎません。みたいなことが。でもね、そうなると、私達がこういうことを理解しているということは、映画館のスクリーンは人生とか言って暮らすのもわるくないってことですかね。違うか。

    0
    投稿日: 2018.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    難解な理論の発展の過程を(理論の内容はわからなくとも)誰でも見通せるように書かれていると感じた。科学の入門書はこうあるべきという模範的な一冊だと思う。

    0
    投稿日: 2018.05.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本は現代物理学理論において注目されている超弦理論について書かれた本です。 そもそも超弦理論とは直感的に言ってしまえば、物質を構成する最小単位である素粒子を点ではなく弦であると考えましょうという理論です。 現代物理学にはこの世の中に存在する力を1つの数式で表すという大きな目標があります。そのためには重力理論と量子力学を融合させる必要があります。しかし、それには数学的な困難が多々あります。 なぜ超弦理論が注目されているのかというと、素粒子を”弦”と考えることで”点”の時にはうまくいかなかった計算が上手くいくことがわかってきたからです。 そんな超弦理論についてその歴史に沿って書かれているのが本書です。 個人的には第9章「空間は幻想である」が印象に残っています。超弦理論の発展によって”空間”が”温度”のような二次的な概念であるということがわかったという点が目から鱗でした。 超弦理論についてその歴史に沿って学んでいきたい方には良い本だと思います。 ちなみに数式はほとんどなかった印象です。購入の際の参考になれば幸いです。

    0
    投稿日: 2017.09.20
  • 弦理論の基礎が知りたければ買うべし!

    なぜ、弦理論に高次元が伴うのかがあっさり理解できます。 光子の性質を使った、南部陽一郎の弦の次元導出、超弦理論の理論導出は本書の肝でこの2つの式のエレガントさを理解するだけのためにも本書は買う価値があります。弦理論の運動方程式の話など、数式は出てこないですが、興味を引くトピックスも多いです。米谷氏の弦理論は重力理論を含んでいるという、驚異の発見を日本人も行っていたことなど初めて聞くことがいくつも載っています。 こういう良書がどこからでも手に入る今の子供たちが羨ましい。 星5つ。

    0
    投稿日: 2017.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論を判りやすく説明していて流石です。難しい数式もほとんど使わず、図解を駆使して概念を説明しているので、ちょっと物理や数学は苦手…という人も手に取りやすい&理解しやすいかと。 研究の当時の熱気含めて書かれてるので、そういう現場の雰囲気含めて堪能しました。 (ちょっと古い本になりますが、はじめての〈超ひも理論〉 (講談社現代新書)を併せて読むと、ブルーバックスの方ではサラッと「知ってますよね」前提で書かれてる辺りを補完しながら、宇宙論との関係など理解してさらに読み込めるかと)

    2
    投稿日: 2017.06.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    かなり難しい現在の素粒子物理学の内容をわかりやすく解説していると思う。とはいえ後半は少し消化不良だった。少し時間をおいて再読したい。

    0
    投稿日: 2017.03.24
  • 多分、中学生でも理解できるかも

    最先端の理論が日本語で解説されている! 物理と数学が忘却の彼方にある私でも、 なんとなく理解した気になる良書です。 大栗先生の本、3冊目を読み切って、 少し頭が良くなった気がします。 是非とも小中学生に読んでもらいたい本です。

    1
    投稿日: 2016.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「なぜ、点ではいけないのか。点とは部分を持たないものである。」で始まる、物質の最小単位・サイズ・形状をめぐる超弦理論が展開する挑戦の物語。夏休みから秋にかけてのお薦めの一冊。

    1
    投稿日: 2016.01.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    講談社科学出版賞受賞。物質の基本は「点」ではなく「ひも」とする超弦理論。重力理論と量子力学の統合にはなぜ「ひも」が必要なのか?

    0
    投稿日: 2015.12.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「超弦理論」、別名を「超ひも理論」。物質の最小の単位は「弦」=「ひも」である。 私達は普段空間を3D=「3次元」だと知覚していますが、実は9次元? 物質の最小単位を扱う素粒子論(標準模型)とアインシュタインの特殊・一般相対性理論を統合する究極の理論候補「超弦理論」の入門書。数式が苦手な貴方に読んで頂きたい一冊です。

    0
    投稿日: 2015.06.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一般読者に向けて書かれた,超弦理論の解説書. 最先端の理論を非常に明快に解説しており,素晴らしい. 特に弦理論および超弦理論で扱う空間次元がそれぞれ25次元と9次元 になることは,やや厳密性を書くとはいえ,数式で求めており, 関心した.専門書にははるかに及ばないのでしょうが, 一般人向けとしては,これ以上のものは望めないのではないだろうか. 最先端の物理の世界を味わってみたい全ての人にお勧めです.

    0
    投稿日: 2015.05.21
  • 超ひも理論より超弦理論

    量子力学も重力も「弦の振動」によって記述できる。物質自体に起源をもとめない発想が面白い。数学的視点から高次元をベースとした理論のため、三次元の現象が統一的に説明できることも当然と納得。次元のコンパクト化、理論の統一・検証法など一流科学者の論理的思考法は勉強になる。現実とは多次元の事象が「人間原理」により三次元空間へ投影された幻想なのかな。最後に「時間」の仮説も興味深かった。時間に向きがあるのはビックバン以前が今より秩序だった宇宙だったから。その中で地球があるのはやはり人間原理を信じずにはいられない。

    0
    投稿日: 2015.05.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ニュートン力学、量子力学までは、何とかおぼろげながら理解できたつもりだが、全ての現象を説明できる統一理論の構築過程で出現した矛盾点を解消すべく、超弦理論が出てきたのだということだろう.でも、この様な難しいことを真剣に考えている科学者がいることも驚きだ.電磁場と金融市場の類似性の説明は明快だった.

    0
    投稿日: 2015.05.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論(超ひも理論の方が有名かも。)が10次元 時間を除けば9次元でしか成り立たないということは、他の啓蒙書に書かれていたけれど、その根拠を示しているものは見かけなかった。 まさか、オイラーの公式 1+2+3+4+ ......=-1/12が関係していたとは!

    0
    投稿日: 2015.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論に詳しくなりたくて、個人的に大傑作だと思う「重力とは何か」を書いた大栗先生の本ということもあり、喜び勇んで読んだのだが、ちょっと難しかった。 素人にも分かるように色々と工夫されているのだが、理解が追いつかなかった。いつかもう一度チャレンジしてみたい。

    0
    投稿日: 2014.10.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本を読んで驚いたのは「数式を癒やす」という表現、この分野の科学が「哲学」「神学」などに近づく理由が垣間見れたこと。さらには、基本的なコンセプトは仕事にも活かせそうだというところ。 本書では数式はほとんど登場しないし、あってもかなり簡単なものに置き換えられている。実際には高度な論理を解いているはずで、その抽象化は半端ない。逆に言うと、この抽象化スキルが現代の数学と物理を推し進めているのだと理解する。故に「癒す」となどの我々が知っている算数や数学ではあり得ない表現を使うのだ。 さらに驚くのは、何らかの基準や思い込みを捨てることで、この学問が発展しているという事実である。たまたま、マクロでは見えていた現象はミクロの確率の集まりでしかなく、量が多量だったために見えていたに過ぎないということらしい。 私が現在使える道具は中学生までの数学、主に四則演算、確率統計の基礎、そして、初等幾何である。とはいえ、これだけの道具でも、問いを正しく設定すれば解ける問題は多い。思考停止に陥らず、考え続けることはやはり大事だ。物事の本質を問い続けることはやはり我々の本能なのだ。

    0
    投稿日: 2014.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    また、ちょっと発作的に物理(数学)の本が読みたくなって、読めそうにない本を買ってしまった。量子論や相対論から始まり、弦理論そして2つの超弦理論革命、そして空間の話と続く。縦書きで数式をなるべく使わず、イメージしやすいように解説されているが、5章に入って、電磁場を金融市場に例えるあたりから置いて行かれた感じがする。それでも、なんとか超弦理論が9次元であるとかいう話が何を意味するのかは、なんとなく分かった気がする。しかし、あのオイラーの公式はどうなんだろう。1+2+3+・・・=-1/12 って。 ??? 確かに式の変形は(中学生では無理です)高校生で十分に理解できる。でも、キツネにつままれたような。そんな式で、超弦理論が10次元だとか、9次元だとか、そんな議論をしていたのか。数学的につじつまが合うかどうかが最優先のようだ。まあ、朝永先生のくり込みの話がなんとなく分かったし、超弦理論の雰囲気も分かったので、これは読んで正解としておこう。

    0
    投稿日: 2014.09.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    正直、半分も理解できていない。おすすめしている書評をみたので、読んでみたのですが… でも、著者の先生は本当にわかりやすく、噛み砕いて説明してくださっているので、何回もよんで、分からないところは前に戻ったりすればきっと理解できると思います。やっていないだけで。 ただ、分からないのに心をゆさぶられる内容でした。それは、今、私がいて、見て、感じている世界が、人間ならではの視点でしかとらえられていないということが分かったから。空間が3次元とか、時間は一定とか、それは当たり前ではないんだな、と。深すぎる内容で、自分がちっぽけな存在だと改めて実感。

    0
    投稿日: 2014.09.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    現代のキホーテにならないために、現代の(理論)物理学を簡単に知ることができる1冊です。超弦理論が必要とされた背景から、これからの課題までが、他の物に比べてわかりやすく書かれています。 ただ、最低限の常識と、量子力学周りのわかりやすい本が1冊ほしい感じかも。 空間の余剰次元って、イメージしにくいと思うのですが、自然現象を説明するのに必要な項目と思っていいと思うのです。 例えば、普段の生活空間は、3次元的な広さだけを気にしているわけじゃないですよね? ここ暑いな~と感じたら、気温が高いとか、湿度が高いとか思うはずです。 その気温や湿度のような説明が、3次元的な広がり以外にも、空間に必要となっているということなのです。 また、気温が高いというのは、分子との衝突で受けるエネルギーとその頻度と言い換えれますよね。 同様に、余剰次元についても、自然現象の振る舞いの説明でしかないため、別の説明をするなら、次元も変わっていくよね?ということなのです。 あと、不思議な感じがするのは、次元の数の根拠となる ・1+2+3+…=-1/12 の導出です。 現代数学は、公理系…計算するための世界を定義することで、初めて成り立ちます。 算数のように、実数平面上だけの世界もあります。 ・1+2+3+…=∞(計算不可) 範囲を複素平面まで拡張して、実数からは無理でも、虚数側から収束させれる世界もあります。 ・1+2+3+…=ζ(-1)→-1/12 どっちの世界を当てはめたらいいの?と思うのですが、自然の公理系はわからないため、当てはめて問題なく振舞う方が、より自然に近い世界と言えるのです。 それで元の式を思い出してください。 ・光子エネルギー=2+(D-1)(1+2+3+…) → 0 元々、質量無限大の問題を解決するためのものと考えると、解の収束する世界が適切と推測できますよね? 当てずっぽうじゃない?と思うかもです。 だからこそ、証明がとっても大切な分野なのです。

    0
    投稿日: 2014.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大栗先生による。とても分かりやすい。次元が確定する話とか、ゲージ対称性の話とか、単語や結果だけは聞いていたことが、中身のストーリーについても少しだけ理解が進んだのは嬉しい。

    0
    投稿日: 2014.08.02
  • 余った次元はドラえもんのポケットの中か?

    超弦理論をわかりやすく解説してくれてはいるのだが、それでもわからないものはわからない。超弦理論と言うのは計算結果があうので都合よく使われた方便だと考えていいのだろう。この理論が正しいかどうかは何らかの実験的な証拠が得られないと何とも言えない。A→Bが正しいからといってB→Aは正しいとは言えない、計算結果があうことは超弦理論の正しさを証明してはくれない。いまのところはだ。 電子が動くと電磁場へ変化を与える。これが電磁気力のしくみなのだが力の強さは距離の二乗に比例するとして電磁場は動いた電子自身へも影響を与えてしまう。こうすると距離はゼロなので自身に影響を与える電磁気力は無限大になってしまう。それをE=MC2にあてはめると電子の質量も無限大になってしまう。これは何かがおかしいということで原因は電子を大きさのない点だと考えたことから起こった。電子などの粒子を有限の大きさを持つ点だと考えることで無限大の問題を回避しようとしたのが超弦理論の発想の元となっている。 電磁場のエネルギーが無限に大きくなって行った際に計算上粒子の質量をマイナスにするアイデアが生まれ「くりこみ」というそのテクニックは機能したがよりミクロな世界を観察しようとすると理論上の限界が来てしまう。光学顕微鏡、電子顕微鏡とより小さな世界を見ようとするとより波長の短い光が必要になるのだが波長を短くするにはどんどんエネルギーを上げて行かざるを得ず、それだけの高エネルギーの光を粒子にぶつけるとブラックホールができてしまうようなのだ。 そこで粒子の基本を点ではなく「ひも」にしたのが弦理論でひもを振動させることで点粒子が色々なエネルギーを持つことができるようになる。弦理論と超弦理論の違いは対象となる粒子を光子や重力を伝えるヒッグス粒子の様な力を伝える粒子だけに限定するか、電子やクォークのような物質を作る粒子にも適用させるかで、だから何だといわれてもこれ以上の説明は手に余る。 よく分からないのだが超弦理論は9次元以外の空間では矛盾が出るそうだ。ちなみに弦理論では25次元になる。なるんだからしょうがない。余った次元はどうなってるかというと小さく丸め込まれているという話を聴いた様な聴かない様な。ともあれ目に見える大きさであれば3次元でことは足りる。 数学を扱った本では何度も出てくるオイラーがここでも出て来て(1+2+3+4+5+・・・・・)=−1/12というとんでもない式が出てくる。光子のエネルギーをあ求める式にこの公式を使うと弦理論では25次元でエネルギーがゼロに、超弦理論では9次元でゼロになるという。巻末にはこの式の証明もつけられてはいるのだが、やはりさっぱりわからない。 4次元自体が3次元空間にいると想像しがたいが、2次元と3次元であればまだわかる。平面状の2点は2次元区間では決まった距離を持つが、これを3次元的に折り畳んでやると接触させることができる。しかし2次元平面内では3次元的に折り畳まれたことは知覚できない。3次元空間も4次元的に折り畳んでやれば離れた場所に接触できる。ドラえもんの4次元ポケットやどこでもドアはこの応用だろう。ヤマトのワープも似た様なものだ。物理学では空間と時間を同じように取り扱うので時間も一つの次元として捉えられる。物理学の公式は次元を選ばないらしい。 この本はブルーバックスとしては初めて縦書きのタイトルで書かれており、「超弦理論の様な物理学の最先端でも、日本語の力で、ここまで深く解説できることを象徴したい」という編集部の意向だそうだが、縦書きになったからといって理解できるわけではない。数式は横書きの方が見やすいしね。それでもこの本が少なくとも手元にある第5刷まで増刷されているというのはすごいことだと感心するばかりだ。

    2
    投稿日: 2014.05.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論をわかりやすく解説してくれてはいるのだが、それでもわからないものはわからない。超弦理論と言うのは計算結果があうので都合よく使われた方便だと考えていいのだろう。この理論が正しいかどうかは何らかの実験的な証拠が得られないと何とも言えない。A→Bが正しいからといってB→Aは正しいとは言えない、計算結果があうことは超弦理論の正しさを証明してはくれない。いまのところはだ。 電子が動くと電磁場へ変化を与える。これが電磁気力のしくみなのだが力の強さは距離の二乗に比例するとして電磁場は動いた電子自身へも影響を与えてしまう。こうすると距離はゼロなので自身に影響を与える電磁気力は無限大になってしまう。それをE=MC2にあてはめると電子の質量も無限大になってしまう。これは何かがおかしいということで原因は電子を大きさのない点だと考えたことから起こった。電子などの粒子を有限の大きさを持つ点だと考えることで無限大の問題を回避しようとしたのが超弦理論の発想の元となっている。 電磁場のエネルギーが無限に大きくなって行った際に計算上粒子の質量をマイナスにするアイデアが生まれ「くりこみ」というそのテクニックは機能したがよりミクロな世界を観察しようとすると理論上の限界が来てしまう。光学顕微鏡、電子顕微鏡とより小さな世界を見ようとするとより波長の短い光が必要になるのだが波長を短くするにはどんどんエネルギーを上げて行かざるを得ず、それだけの高エネルギーの光を粒子にぶつけるとブラックホールができてしまうようなのだ。 そこで粒子の基本を点ではなく「ひも」にしたのが弦理論でひもを振動させることで点粒子が色々なエネルギーを持つことができるようになる。弦理論と超弦理論の違いは対象となる粒子を光子や重力を伝えるヒッグス粒子の様な力を伝える粒子だけに限定するか、電子やクォークのような物質を作る粒子にも適用させるかで、だから何だといわれてもこれ以上の説明は手に余る。 よく分からないのだが超弦理論は9次元以外の空間では矛盾が出るそうだ。ちなみに弦理論では25次元になる。なるんだからしょうがない。余った次元はどうなってるかというと小さく丸め込まれているという話を聴いた様な聴かない様な。ともあれ目に見える大きさであれば3次元でことは足りる。 数学を扱った本では何度も出てくるオイラーがここでも出て来て(1+2+3+4+5+・・・・・)=−1/12というとんでもない式が出てくる。光子のエネルギーをあ求める式にこの公式を使うと弦理論では25次元でエネルギーがゼロに、超弦理論では9次元でゼロになるという。巻末にはこの式の証明もつけられてはいるのだが、やはりさっぱりわからない。 4次元自体が3次元空間にいると想像しがたいが、2次元と3次元であればまだわかる。平面状の2点は2次元区間では決まった距離を持つが、これを3次元的に折り畳んでやると接触させることができる。しかし2次元平面内では3次元的に折り畳まれたことは知覚できない。3次元空間も4次元的に折り畳んでやれば離れた場所に接触できる。ドラえもんの4次元ポケットやどこでもドアはこの応用だろう。ヤマトのワープも似た様なものだ。物理学では空間と時間を同じように取り扱うので時間も一つの次元として捉えられる。物理学の公式は次元を選ばないらしい。 この本はブルーバックスとしては初めて縦書きのタイトルで書かれており、「超弦理論の様な物理学の最先端でも、日本語の力で、ここまで深く解説できることを象徴したい」という編集部の意向だそうだが、縦書きになったからといって理解できるわけではない。数式は横書きの方が見やすいしね。それでもこの本が少なくとも手元にある第5刷まで増刷されているというのはすごいことだと感心するばかりだ。

    0
    投稿日: 2014.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とてもわかりやすい文章で書かれていて、なんだか超弦理論について理解したような気分になれる。 また、議論の前提として述べられている、「電子」や「質量」等の基本的概念についての定義の簡潔さに感動した。

    0
    投稿日: 2014.03.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分達が存在している次元よりも、さらなる上位の次元が存在し、それらは重なりあうようにして存在している・・・。 ファンタジーやラノベの世界の話ではない。 最先端の量子力学や数学の世界では、もはや幾重にも重なり合う次元の存在が否定できないところまで来ているようだ。 近年、急速に進みつつある、物質の究極の単位である素粒子の解明と、宇宙の真の姿。 この本には最新の世界における宇宙物理学の研究と学説が、著者の考えを交えて説明されている。 数式を使ってある程度宇宙の姿を、理論上説明できるとのことではあるが、興味深いのは次元の話だ。 次元の違いを数学で表すことができるが、9次元や10次元、あるいはそれ以上の次元を設定しないと、今この世界で起きている様々な物理現象が説明できないらしい。 自分達が住んでいるこの宇宙は、実は確固としたものでなく、もしかすると一定期間現われている幻想なのかもしれない。 この宇宙は、人類に明かしていない秘密をまだまだ多く持っているようだ。

    0
    投稿日: 2014.03.02
  • 『大栗先生の超弦理論入門』 大栗博司 (著)

    大栗さんの本は、素粒子物理学を最新の研究成果まで含めて読者に解りやすく伝えることを第一目的として書かれている。難しい数式を一切使わずに、且つできるだけ誤魔化さずに。 読んでみると、確かに本物だと感じる。確証は無いけれど、研究者が認識している概要、若しくは一端に触れることができたように思う。 本書も第三者的な視点から客観的に超弦理論を丁寧に説明してくれている。読了後は他の本では断片的な一面しか見えなかった超弦理論の全体像が見えた感じがした。 以前読んだ本では「超弦理論の記述する世界を検証するためには、現実的な加速エネルギーでは到底無理であり、検証不能な理論である。検証不可能な理論は科学と言えるだろうか?」という批判があったが、本書を読むことで、理論屋、実験屋の努力でもうすぐ検証出来る可能性もあると知り、とても楽しみに思った。これからも最新理論/実験に着目していきたい。 また、時間・空間のみならず、空間次元も我々の幻想に過ぎない、という主張を初めて聞いて驚いた。 尚、本書を読む前に幻冬舎から出ている二冊の新書を読んでおいたほうが理解しやすいと思う。

    6
    投稿日: 2014.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本のこの分野の第一人者である大栗教授の入門書。超弦理論は、物質を形づくっているのは粒子ではなく、多次元(10次元)の中でひものように一次元に拡がった何ものかであるというものであるという理論。この理論を採用することによってのみ、重力の理論と量子力学の理論が矛盾なく統合できるというものである。 この理論を宇宙論まで突き詰めると多宇宙論に行き着くというのが最近一般にも広がりつつある流行りの理論で、リサ・ランドールやブライアン・グリーンらの本がそこそこ売れているようだ。本書はそこまで振り切れずに、超弦理論の解説をきちんとやっている。 超弦理論の研究が進化発展する現場にいた研究者らしく、研究者でしかわからないようなエピソードを本の中で色々と入れてきている。この分野で同じくいくつか書籍を出している村山斉氏とも研究人生の中で絡んでいるようだ。この世界も狭い世界なんだろうな。 はっきりと理解できたと言うのは難しいが、少しづつそういうもんなんだなと思えるようになってきたのが不思議。 ブルーバックスシリーズって、安っぽいけど、昔からそんなに悪くない。

    0
    投稿日: 2014.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    やたらと評判の良いこの本、気になり読んでみました。さすが超弦理論の第一人者、かみくだいてうまく説明されています。特に超弦理論を第一線で研究してきた著者ならではのリアリティーが感じられます。著者は第一線の研究で忙しいと思うのですが、よくこんなに丁寧な本が書けるな、と感心です。片手間で書いたという感じでは全くなく、本気が感じらせます。これに比べると世間ではいかに大学の先生が書いた手抜きないい加減な本が多いことか... 超弦理論に限らず、その基礎となる量子力学やゲージ理論の解説もわかりやすい。「量子ゆらぎのエネルギーはゼロではない」というのを振り子と不確定性原理で説明されている箇所が良かった。ゲージ理論を金融市場に例えて説明している箇所は秀逸。このゲージ原理を最初に考えたのは数学者のワイルとのことですが、”リーマン面”の著作のあるワイルなんですね。私のような数学を専攻したものにはおなじみの名前ですが、物理でこんな重要な業績があるとは知りませんした。 余談ですが、本書を読んで、世間では”超弦理論”、ということばと”超ひも理論”という言葉が使われていますが、正式には”超弦理論”だということがわかりました。 また、大栗先生と村山先生、よくごっちゃになってしまうのですが、大栗先生のが先輩なのだということがわかりました。大栗先生が東大の助手として赴任した年に村山先生が大学院1年生として入ってきたそうです。その後もカルフォルニア大学や東大でも一緒の長い付き合いとのことです。

    0
    投稿日: 2014.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    深く理解していいる人はわかりやすく説明できる、というのは本当なんだな、と思った。今までいろいろ超弦理論の本を読んでみたけれど、腑に落ちたことはなかった。ところがこの本には実に納得感がある。 「空間は幻想である」というのは哲学にとっても重大な結論だろう。数学的素養のない、文学的な哲学研究者では書誌上の問題はともかく原理的な問題には対処できないことになる。 これだけ進んだ内容でありつつ、最後は希望に満ちて終わるのもいい。考えてみれば、こんなにいろんなことがわかっていない、というのはネガティブな言葉なのだが、科学者はそれだけいろんな研究素材がころがっている、自分も何か貢献できるし絶対に人間はそれを解明できるというように楽観的に捉えるものなのだ。難題があればあるほど、自分に自信がある限りそれは楽しめる状況なわけだ。 アタマの中が整理された、という感覚と、最後に希望と楽しみを持って読み終われる。面白かった。

    0
    投稿日: 2014.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    出張の行き帰りで読了 全然わからなかった・・・ 重力とはなにかは面白く読めたのに これが子供の頃読めて面白いと思ったやつが 将来物理学者になるんだろうな 自分の能力を思い知った1冊 評価しないというかできない

    0
    投稿日: 2014.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    超弦理論の全体イメージ・意義がわかる本 超弦理論の解説本は何冊も持っていて、その内の何冊かはきちんと読み終わったが、さっぱりわからんというのが結論。高度に数学的で、実験とは遊離したシロモノという印象をもっていた。ただ、持っている本はみな10年以上前の本だった。 ヒッグス粒子が発見され、標準モデルが実験的にもほぼ確立してきた現在・2013年7月に出版された本ということで期待して(先入観は捨てて)読んでみた。 これは凄い本でした。目がクラクラするような感動! はじめて超弦理論の全体像がわかってきたように思えます。 物理学全体の中での位置づけ、意義のようなものを実感できる。 ただ、著者が超弦理論の専門家なので当然なのだが、ちょっと超弦理論推進側のポジショントークに偏っているような気もする。 とにかく歯切れが良い。したがって意図的に捨てた部分も多いハズ。 内容: 1 標準モデルを超えて 点粒子の問題 2 自然法則の階層性 くりこみ処方の成立と限界 3 点粒子 → 弦理論 → 超弦理論 無限大解消 光子、フェルミオン、重力子 4 世界の次元が決まる (9次元) 5 力の共通原理 ゲージ原理 (金利相場、為替相場、通貨単位と対応させての説明は秀逸) 6 アノマリーの相殺と空間次元のコンパクト化(9次元→3次元) 7 トポロジカルな弦理論 (著者の研究) 8 第二次超弦理論革命 双対性のウェブ、次元が増える 9 空間(次元)は幻想である ブラックホールのエントロピー、重力のホログラフィー原理 10 時間は幻想か 宇宙のはじまり解明への野望 やはり、ブレインが出てくるとわからなくなってくる。 もう少し説明して欲しかった点; ・何をもって「超弦理論」というのか? M理論(の完成形)なのか? 出発点から変わってきているのでわからない。 ・超弦理論が正しいと認めるためには、あと何が必要なのか? ・超弦理論から標準モデルの導出はうまくできているのか? 異形のヒッグス場が生まれる必然性などが説明できるのか? ・軌跡の解釈。 同じことになる、区別がつかない 等の記述があるが、どう考えるべきか説明されていない。 まとめ: 超弦理論の絶対的なお勧め本

    0
    投稿日: 2014.01.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    難し過ぎてよく分からないうちに終わってしまった、、、情けない。 9次元って何ですか?理論的とか言う前に、そもそも多次元という発想を直感的に把握できない輩はまさに途方に暮れるばかり。 それはともかく誠実に丁寧に繰り返し理論を説明しようとする態度には感銘を受けざるを得ない。 こういう研究者がいて、それを支える資金の出し手がいて、啓蒙の手段が確かに存在する、あまり日本という国が好きでない当方ですが、素直に喜ばしい限りと思います。

    0
    投稿日: 2013.12.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ブルーバックスとしては白眉といって良い出来。 類書の解説を孫引きで持って来るのではなく、本書で初めて提示される解説、喩えで記述されている。 「できるだけやさしく、しかし、ごまかしのない」と、繰り返し宣言される通りの誠意と熱意。 決して本書で理解は出来ず「わかった気になる」のが精々だし、硬派で難解と言ってよいが、同時に良書である。 カブリには優秀な人が集っているのか。

    0
    投稿日: 2013.12.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ・次元すらも二次的に発現しているものかもしれない ・ベルシャドスキーはくりこみの計算を株式の分析に応用している

    0
    投稿日: 2013.12.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    重力理論と量子力学を含み,数学的に矛盾のない唯一の理論である超弦理論。もちろん難解で不思議だらけなのだが,大栗先生の明晰な文章で,その合理性と魅力が伝わってくる。なぜ10次元だったり11次元だったりするのか,その理由にも触れてくれていて,理解したとは言えないけれどなんだか納得してしまう。 芽が出ないかに見えた超弦理論が,二度のブレイクスルーによって広く認められるようになっていくさまもドラマチック。この秋に素粒子論のNHKスペシャルを観て感心した人にはおすすめ。 本文縦書きで,数式はほとんど出てこない。ブルーバックス創刊50年にして,表紙も縦書き,という記念すべき本でもあるらしい。

    0
    投稿日: 2013.12.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    p274"自然界の基本法則の探求はこの広い世界に私たちが存在する意味について深く考える機会を与えてくれます。" 基礎科学の意義は理解されにくい。それはきっと内容が難しいからではなく(もちろんそのこともあるだろうけれど)、そこで研究者達が何をしようとしているかが理解されないからだろう。役に立たないという批判を免れるために基礎科学が役に立つかのように論じてしまう本もあるけれど、この本ではそんな誤りに陥ることはない。この世に生まれた以上、誰もが一度は考えたことのある疑問を探求することの面白さを教えてくれる。基礎科学の意義は役に立つことにあるのではなくて、役に立つ・役に立たないという造り物の物差しをとっぱらった世界へ誘ってくれること。 かつて素粒子物理学を学んでいた者として、その素晴らしさの一旦を垣間見たものとして、このような書籍が一般向けに出版されていることに喜びを感じる。自分がここにいることに対する疑問を一度でも感じたことのある方には是非とも手にとってほしい本。

    0
    投稿日: 2013.11.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ポイントは3つ。超弦理論は数学的矛盾の解消を根拠とし、実験や観測で証明されてないながらも物理学の統一理論として最有力候補であること。二つ、超弦理論へと至る素粒子論はこれまで湯川・朝永から南部・小林・益川とノーベル物理学賞を受賞してきた日本人がその研究をリードしてきたが、そのバトンを現在は大栗先生が継承していること。そして三つ、超重力理論と超弦理論を交差させることで9次元と10次元の壁は定数の変化で乗り越えられるものであり、これを突き詰めればいつか2次元と3次元の壁を超える理論も夢ではないってこと。イエィ。

    1
    投稿日: 2013.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「宇宙は本当にひとつなのか」「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」を読んで、最新の宇宙論を知ると、最終的にそれが、現代物理学で相対性理論と量子力学とを結びつける最有力候補である「超ひも理論」(この本では超弦理論)と密接に結びついているようだということがわかりました。 そこに、この本が現在科学書としては異例のベストセラーになっているという記事を見かけたので、早速買って読んでみました。 最先端の理論を相当がんばって噛み砕いて説明してくれているのですが、それでもやはりかなり難解。9次元や10次元の空間の性質・幾何学を数学的に解くことによって求め、実験的に明らかにされているクオークなどの既知の素粒子の性質との適合性をみることで理論の正しさを確認して行こうとしているようだということはおぼろげに感じ取れましたが、日常体験とはかけ離れた感覚の世界で、もはやSFとの区別がつかない感じです。 ただ、いかに常識的な感覚外のSF的世界のように見えても、そこから得られた計算結果が現に実験的に確認(または否定)されているというのは、まさに科学。すごいし、おもしろいと思いました。

    1
    投稿日: 2013.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何とか噛み砕いてわかりやすく説明してくれています。 が、やはり物理のぶの字にも触ったことのない人にはキビシイかも。 ある程度の基礎知識があって、へ~と思い、それなりに理解していて初めてスゴイ!となるような。

    0
    投稿日: 2013.10.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大変面白く一気読み。 超弦理論以前から興味あり、いろいろ啓蒙書読んできたが、あまりよく理解できたとは言えなかった。他書では通り一辺倒に触れられている部分も、本書ではたとえ話などで分かりやすく理解できるよう書かれており、とてもよかった。 また、超弦理論の最前線で実際に研究に携わってこられた方ならではの、理論誕生の歴史や現場の話は、臨場感あふれており、非常におもしろかった。 それにしても、第2次超弦理論のくだりからの、今の最前線の本理論の話は、「次元は絶対的なものではない」など、想像をこえたビジョンで、目眩がしそうだ。まだまだ、この宇宙(だけでなく多元宇宙だっけ?)には、分からないとだらけだ、と思うと、呆然とするとともに、早くこの宇宙のナゾを解き明かしてほしい。今後の超弦理論の発展に要注目だ。

    0
    投稿日: 2013.10.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     天才である大栗博司教授が、自身の専門である超弦理論の進展を数式なしに正確な説明を試みたものである。超弦理論は、物質や宇宙はどのような仕組みで存在しているのかを解明するための有力な手段であると見られている。素粒子が点ではなく2次元の弦であると想定して理論構築してみると、現在主流の標準理論よりもうまく説明できる場合が多々あるとのことである。  難解な学問を一般人にもわかるように、かつ変な比喩にならないような説明は、けっこううまく行っている様に思える。他にも一般人向けの素粒子物理学系の解説書を書いたり講演しているだけのことはある。  しかし、たとえば回転対称性など、この人には自明なことも一般人には難しく、説明がいまいち力が入っていないと感じられるところもある。もともとが難しい学問分野なのだから、そう簡単に理解できるものではなく、なんとなく分かったような分からないような読後感でも十分なのかもしれない。

    1
    投稿日: 2013.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    幻冬舎から新書で出ている「重力とはなにか」、「強い力と弱い力」に続き、ブルーバックスでも大栗先生の本が出版された。幻冬舎の二冊では、今非常に注目をされている物理の話題が、分かりやすく説明され、楽しくて知的好奇心をそそられる本だった。 本書は、先生の専門である超弦理論について物理学を本格的に学んでない人にも丁寧に解説し、様々な比喩を用いてイメージがつかめる様に工夫されている様だ。ブルーバックス50周年を記念したこともあるのか、専門領域ということもあるのか、本書は普通の教科書的なものではなく、なんというか熱意の伝わってくるものを感じた。 書かれている内容については、朝日カルチャーセンターでの講座を聴いていたのが理解の助けとなり、かなりスムーズに読めたと思う。ただ、ゲージ原理の説明を金融市場のたとえで説明されていたので、そういう素養のない自分には少し理解が難しかった。 本書も先生の手書きのイラストがふんだんに使われており、見るだけでも楽しいと思う。理論物理の最先端に関する一冊、何度でも読み返したい。

    1
    投稿日: 2013.09.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    どこかに感銘を受けたのではなく、書物全体として感銘を受けた。記述が平明かつ本質的。難易度は読み手にもよるが、興味や好奇心が読書の推進力になるのも珍しいかもしれない。科学、物理、数学に対する信頼を培うことに成功しているのも大きな功績だろう。

    0
    投稿日: 2013.09.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     超弦理論が非常にわかりやすく説明されていて、超弦理論の持つ意味、役割がどういうものなのかイメージできるようになってきた。超弦理論を歴史的経緯とともに紐解いていくことで最終的に、空間、そして時間が幻想であるという大胆な仮説が登場する。一見受け入れがたいこの仮説についても、どうしてそのような仮説が成り立つのかが隙なく説明されていて認めざる得ない。とはいっても分子の振動が温度に繋がるという感覚がようやく受け入れられるようになったぐらいではやはり抵抗がある。分子論のように超弦理論も身近な物になれば受け入れやすくなるのだろうか。  そして大栗先生の本は本当に分かりやすい。分かりやすくするために数式を使わず文章だけで説明している本は多いが、かえって分かりにくくなっているものが多い。しかし本書は文章だけで説明しているのにもかかわらず分かりやすい。やはり大栗先生が超弦理論の最先端の研究者であることが大きいし、何をどうを伝えれば理解してもらえるのかを理解していて、さらには伝えたいという気持ちが分かりやすさにつながっているように思う。

    1
    投稿日: 2013.09.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    宇宙は「ひも」でできているという話を聞いたのは30年くらい前、大学生のころでした。 当時、物理科に籍を置いていた私は、ミクロな世界では、常識に反した不思議なことが起きるという量子力学を習い、実際にトンネル電流を測定する実験を行い、(実感として)確かに素粒子は確率的に世界に存在しているのかもしれないと思うようになっていました。 そんな私でしたが、物質を細かくこまかくしていくと、最後には「ひも」になるとか、世界は26次元でできているといった弦理論については、「そういう数式が当てはまるだけでしょ」って冷ややかな目で見ていました。 そう、10年もしたらこの仮説はもっとよい仮説に置き換わるだろうって。 少なくとも、「ひも」はないよなぁって。 ★★★ ところが、本書を読んで何故、点ではなくひも(正確には弦=一次元)でなければならないのか、どうして、空間が9次元(10次元)でないと安定して存在できないのかということが分かったような気になりました(実際は分かってないのですが)。 空間とは何か、時間とは何か、宇宙の初めに何が起こったのか、、、それは、ほんの短い時間しか生きられない人間にとって最大の興味なのではないでしょうか。 難解な話をこんなに分かりやすく説明できる大栗先生に嫉妬すら覚えつつ、、、。

    1
    投稿日: 2013.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最後の方の物理的な内容は正直ついていけなかったが,例え話やそこに辿り着くまでの物理学者たちのエピソードが面白かった

    0
    投稿日: 2013.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大栗さんの本は前2冊の新書同様、文系の私でもわかりやすい。あっという間に読んでしまった。ブルバーックスをこの速度で読めるなんて驚き!ブルーバックス創刊50周年で、初の縦書きだそうで、内容とともに記念すべき一冊となったように思う。6月に講座をきいた時にオイラーの公式の解説についていけなかったので、本書に付録として解説が載っていたのはありがたかった。本書では「重力のホログラフィー原理」が比較的わかりやすく書かれており、理解が少し進んだように思う。しばらく時間をおいて再度読んでみたい。

    1
    投稿日: 2013.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「重力とは何か」の著者の最新刊であるので、その説明の分かりやすさに期待していたところでしたが、期待に違わず真っ正面から正確さを失わないで分かりやすく説明がなされていた。この分野の一般書としておすすめだと思う。

    0
    投稿日: 2013.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最近、先端の物理学を解説した新書は沢山あるが、自分がこれまでに読んだ書籍の中では超弦理論について最も突っ込んで書かれていた。 個人的には、超弦理論で規定される次元が9次元である理由についての話が面白かった。

    0
    投稿日: 2013.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2013/8/23 Amazonより届く。 2014/2/7〜2/21 大栗先生の超弦理論。物理学を志して大学に入ったものの才能のなさに断念した自分には縁の無かった超弦理論であるが、流石大栗先生、数式をあまり使わずわかりやすい解説であった。私の昔からの持論に、頭の良い人は比喩が上手い、というものが有るが、金融に例えた話は分かりやすく目ウロコであった。とは言うものの九章あたりからは、話が抽象的過ぎて難しかった。化学にぶたいを移して良かったなぁ。

    0
    投稿日: 2013.08.24