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赤と黒(上)
赤と黒(上)
スタンダール、野崎歓/光文社
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総合評価

44件)
3.8
9
19
8
3
1
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    初めの情景描写が長くゴリオ爺さんを思い出した。 野心に満ちた青年ジュリアンが、恋と社会の矛盾に揺れながら、自分らしさを模索していく姿が印象的。理想と現実のギャップに苦しみながらも、少しずつ内面が深まっていく過程が心に残る。

    1
    投稿日: 2025.10.25
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    鬼スタンダール5です(鬼★5みたいな感じで言おうとしたけどめっちゃ字余り) いやーエグいなスタンダール やっぱすげーわスタタンダール 「タ」1個増やしたら急に面白くなったな お遊びはここまでだ! いや何がすごいってさ延々と続くわけよ、心理描写&情景描写が ふつうそんなことされるとべちゃっとしちゃうんだけど、スタンダールはこうなんて言うの?スピードが落ちないんよ めくるめく展開 ほとんど場面が動いてないんだけど、もちゃっとしてないんよ それはやっぱりこの恋の駆け引きというかさ、あるやん?誰しも経験あると思うんだけど探り合いみたいなあの感じ うわー絶対自分のこと好きだわー、これもらったわー、今告っちゃおうかなー、あれ?いやそうでもなさそう?危なっ!やば!がっつり振られるとこやったー、あれでもやっぱいい感じだよね、行けるんちゃう?むしろベタ惚れちゃうん?あ、だったら今後のことも考えて、言わしたろ、うん、こっちから行くことないわー、向こうからみたい感じにしたいよねー、あれ?やっぱ勘違い?え?でも、絶対好かれてるよね、弱い?やっぱこっちから行った方がいい?あーでも確信ほしいわー、あ、なんか他の奴といい感じに話してるやん、やばっ、早く行かな!でも待ってー みたいなコロンコロン気持ちがあっち行ったりこっち行ったり、ひっくり返ったりみたいな これを男女双方でやるのよ もうイラーッともするんだけど、そこの描写がうますぎて、男女の仲は一切進まないのに、どんどん読まされる スタンダール凄っ! そして凄いから200年も残るのだよ! あらすじ等々はググりなさい!(ピシャリ)

    73
    投稿日: 2025.09.23
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    モーム選の世界十大小説のひとつ。(読むのは、カラマーゾフの兄弟、戦争と平和、ゴリオ爺さん、に続いて四作品目) 発表は、1830年七月革命直後、執筆は七月革命前の王政復古(シャルル十世)の時代。 製材屋の息子(19歳)ジュリヤンが、町長宅の住み込み家庭教師からキャリアをスタートし、神学校勤務を経て、侯爵の秘書に内定するまで、が上巻。 叙述の多くを占めるのが、ジュリヤンとレナール町長夫人(30歳くらい)との間の禁断の恋愛関係。 巻末の「読書ガイド」によれば、史上初のサラリーマンを主人公とする小説、という説もあるらしく、すごろくものを読んでいるような独特の面白さだ。あらすじを全く知らずに読み始めたので下巻が楽しみだ。 思わせぶりなタイトルの意味は、軍服(赤)と僧服(黒)のことだそうで、当時の社会でのしあがるにはこの二つしかない、ということのよう。 貧しい青年が恋愛をも駆使しながらのしあがる、という設定から、往年の青年漫画、柳沢きみおの「青き炎」(1988-1991)をふと思い出した。結末は覚えてないが、自滅だったような。。 それにしても、200年近く前の作品とは思えないくらい読みやすい。 「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」という光文社古典新訳文庫のタグラインの面目躍如といってよいのではないだろうか。

    32
    投稿日: 2025.06.01
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    罪と愛との間の葛藤に揺れるレナール夫人と幼稚な出世欲に取り憑かれたジュリヤンの、絶妙に噛み合わない心情の描き方がとてつもなく緻密でした。そうした表現が物語前半に疾走感を生み出していたように感じます。 後半の神学校のパートは失速感があり読み進めるのがやや大変でしたが、ラストは2人の心が揺れ動く再会シーンが描かれ、下巻に向けて期待の高まるクライマックスでした。

    1
    投稿日: 2025.01.21
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    ミュージカル化、バレエ化もされた作品。 ソレルの内面の葛藤や、時代背景が濃厚で、 読むのは大変だが、確かに面白い。 舞台等から受ける印象とかなり違う…

    0
    投稿日: 2024.02.29
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    ナポレオン失脚後のフランスが舞台。 製材職人の息子ジュリヤン・ソレルの野望とこじれた恋愛の物語。 ナポレオンに憧れを抱くジュリヤンは、ラテン語で聖書を暗記するほどの知性により、出世の野望を持っている。僧職につき、レナール家の家庭教師となるが…。 ジュリヤンは果たして本当にレナール夫人を愛しているのか?心の内が多く描かれるが、理解に苦しむ。金持ちを蔑む心からその女を落としたいだけなのか、レナール夫人の純粋な気持ちに対してジュリヤンはよこしまな感情のようで、こじれた恋愛に思える。この頃のフランス貴族は不倫が珍しくなかったようだ。 レナール家を追われ、神学校に入学するが、その中でも孤立するジュリヤン。そんな逆境においても知性を発揮し、認めてくれる人に恵まれ自分の地位を上げていく。 生まれや身分で一生が決まる時代において、軍人(赤)と僧侶(黒)は、実力で将来をつかむ事ができる。 ジュリヤンは、ナポレオン時代に生まれ、軍服を着て戦い、実力出世できたほうが良かったに違いない。僧服をまとっていても神を信じる姿勢は感じられない。 レナール夫人とはどうなるのか? その後、ジュリヤンの人生はどのようになっていくのか? 下巻が楽しみだ。

    5
    投稿日: 2023.05.18
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    まずタイトルがいいじゃないですか。ルージュとノワール!!これが『軍服と僧衣』とかだったら人々も注目しないかも。もちろん青年の野心の物語だけど、そこにじりじりする身分違いのロマンスやら、聖職者の卑俗な根性やら、貴族のせこさやら、いろいろ盛ってあるからおもしろくて、次へ次へと読み進んでしまいます。もちろん古典の読書にありがち、キリスト教や欧米史の知識不足は否めないけど、それを置いといても、人間ドラマは味わい深い。なんだ?なにやってんだこの人たち?と思う。主人公は繊細で大胆で矛盾だらけで愛おしい。人間だもの。

    1
    投稿日: 2023.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ジュリアン・ソレルは、製材小屋の息子だが、体が小さく役立たず扱いをされていた。ジュリアンはナポレオンを尊敬していたが、この時代はナポレオンが失脚したあとの時代。ナポレオン信仰は隠すべきことだったみたい。 ジュリアンはラテン語がとても良くできたので、地元の大物であるレナール家に子供の家庭教師として招かれる。 最初は「度胸試し」のようなつもりで、レナール家の奥様を誘惑しようとするジュリアンだが、奥様との道ならぬ愛の沼に堕ちていく。この時代、姦通は死に値する罪だったようで、奥様は自分の罪に悩み苦しむ。 近所では奥様とジュリアンの関係を怪しむ人が増え、ジュリアンはレナール家を出て神学校に入校することになる。 神学校に入校してから、ジュリアンは優秀さゆえに妬まれたり嫌がらせをされたりしたが、野心と賢さで偉い人を味方につけながら出世していく。そんな中でもレナールの奥様のことを忘れられず、ジュリアンは神学校からの移動の夜にレナール家に忍び込む。奥様はジュリアンと会っていない1年の間、自分の罪を思い知り信仰を深めていたので最初はジュリアンを拒むが、結局二人はもとさやに戻って一夜を過ごした。 侵入者に気付いたレナール家の人たちが発砲する中、ジュリアンはレナール家からゆうゆうと逃げていく・・・というのが、大まかな上巻のお話。 子どものときに「漫画で読む世界文学全集」的本を読んでいて、その中に赤と黒もあった。 その時は赤と黒は面白い話だと思ったんだけど、実際に読んでみると、まぁ難解!! なかなか話が進まないと思いながら読んでいると、途端に倍速送りされたように急展開があり、理解が追いつかない部分もあった。 特に理解できなかったのは、ジュリアンが神学校に通うことになったところ。 奥様とジュリアンの仲が、レナール氏にも疑われるようになり、奥様が手紙の偽装をしたり色々と動き回るんだけど、その描写がすごーく長い割に、レナール氏がジュリアンの処遇を決めるところはあっさりしすぎてて「読み落とした??」と思うほど。 国王が来訪した際にジュリアンが馬に乗って行進に参加したというのは漫画の本でも印象的だったな。高貴な生まれでないジュリアンにとってこれは「大抜擢」だったわけだが、これはレナール婦人の交渉の結果だったということはこの本を読んで理解した。レナール婦人、大胆だなぁ。 私の記憶では、ラストは死なんだけど、どうしてそこに至るのかの記憶が曖昧でね。 しかし、このまま下巻を読み終えたとしても「???」という感じで終わる可能性もあるな。 漫画や舞台などの二次創作ではジュリアンの女性遍歴を中心に制作されるこのお話。小説を読むと、ジュリアンの内心描写の比重が重くて若干辟易とした。常に周囲の空気や力関係を伺い、人を出し抜いてやろうと考えているジュリアン。 恋愛も、野心を満たすためだったり、度胸試しの側面が強い。 友達から木材事業を一緒にやらないかと誘われると「それもいいな」と思ったり、レナール家を訪問したイタリア人音楽家(ジェロニモって名前だった。ミュージカルの語りべであるジェロニモってこの人?)を見ては「こんな生き方(出世や信仰に縛られない自由な生き方)いいな」と思ったりする。本心のジュリアンは、結構素朴なところがある。それでも、彼を動かすのはプライドと野心なのだ。 この時代の賢い人、頭が回る人ってこんなだったの?と、私は、宇宙人を見ているような気持ちにすらなった。 当時のフランスでは、本心をさらけ出すことができなかったのだろうか。 私のように歴史に疎いと、「???」となるだろう本だ。 追記。ジュリアンが神学校で「マルティンルター」と呼ばれて嘲笑されていた、という表現が、私には特に???だった。 ルターはプロテスタント派を作ったドイツの宗教家だが、当時のフランスでは嘲笑の対象だったということ? 宗教、キリスト教に関する深い造詣がないと、作中と同じ温度で笑うこともできない…悲しみ。自分の狭い世界と教養の浅さを思い知る読書だった。

    3
    投稿日: 2023.03.15
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    まずはスタンダールさんがフランス人であることをこの本の解説で知りました。 ナポレオン失脚後のフランスが舞台で、副題に「十九世紀年代記」とあるように時代背景を知らないと主人公のジュリアン・ソレルくんが単なる僻みやに思えてしまい、どうして上流階級の女性陣が彼にハマるのかがよくわからない。 まずは後ろにある翻訳者の野崎歓さんの読書ガイドから読まれることをおすすめします。 野崎さんのこの本は誤訳問題とか色々紛争があったらしいけれど、自分は別に気にしませんでした。 しかし、このジュリアンのどこが良いのだ? 文章だけじゃよくわからなかったので、勝手に20代前半のトム・クルーズをキャスティングし、向上心に燃える若くてちょっと暗めの神経質なイケメンを妄想して読んだら…。 こりゃ惚れるわっ! by太郎

    0
    投稿日: 2022.11.12
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    冒頭の舞台説明を耐えればあとは文章の勢いで最後まで連れていかれる。誤訳論争を抱えている翻訳ではあるが、このキレのある飲み口は正確性を犠牲にしてでも魅力的だ。フランス史やキリスト教に詳しくない場合は巻末の解説から読んだ方が物語の対立構造がよく理解できる。わたしも詳しくないため大いに助けられた。

    0
    投稿日: 2022.07.30
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    モームの選んだ「世界10大小説」の一つ。『赤と黒』の初版本には、副題として表紙に「19世紀年代記」、中扉に「1830年代記」と記されている。 「年代記(chronic)」という単語に「この作品を単なるフィクションとは受け取るなかれ」という著者の意図が見てとれる(訳者野崎さんの読書ガイドより引用)。 『赤と黒』で描かれるのはシャルル10世の治世(王政復古期)である。王党派や教会権力(保守的勢力)vs. 自由主義勢力(改革派)という対立構造があることを踏まえておくと良い。 また、この小説は「史上初の、サラリーマンを主人公とする小説だと述べる研究者もいるくらいで、ヴェリエールではレナール氏、パリではラ•モール侯爵に雇われるが、家庭教師に雇われる前の彼の蓄え、給料を比較しながら見ると、彼の社会的な「価値」のバロメーターがわかるというわけだ。

    1
    投稿日: 2022.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    <いやはや、幸福になるとは、愛されるとは、こんなものでしかないのか?それが自室に戻ったジュリアンのまず思ったことだった。長いあいだ欲していたものを手に入れたときに精神の陥る、あの驚きと不安な混乱を味わっていた。欲することに慣れているのに、欲するものはもう見つからず、かと言って思い出はまだない。閲兵式から戻った兵隊のように、ジュリアンは自分の行動を微に入り細に入り、注意深く思い返した。<自分の義務に何ひとつ、背きはしなかったか?自分の役割はうまく演じただろうか?>その役割とは?女を相手に華々しくふるまう男の役割だ。(pp.170-172)

    0
    投稿日: 2019.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    印象に残った文章 結婚のせいで恋愛に走らずにすむのは、女の中でも干からびた女だけである。  レナール婦人との恋のなりゆきは面白かった。途中教会?関係の流れはうまく入り込めなかったが、レナール夫人が最後に登場し、盛り上がった。下巻もレナール婦人がキーマンになるんだろうか?  今から下巻が楽しみ。

    0
    投稿日: 2017.09.30
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    1820年代のフランスを舞台に、立身出世を目指す貧しい木こりの子(この文庫本では、彼はそれなりに裕福な木材商の子弟とされている)・ジュリアンの野望と転落を描いた、スタンダールの小説。世界史の歴史に載るほど有名なのに、今まで読む機会がなかった。安倍政権発足以来、日ごとに高まる「反知性主義」に対抗するためには古典を読むのが一番だと思いながら書店内を散策していて、たまたま目に入ったのがこの本である。 主人公ジュリアンは実家を出て、地元有力者・レナール家の家庭教師になる。ほどなくして主人の妻・ルイーズと恋愛関係になり一線を越えた関係になるが、主人は二人の関係に疑念を持ち、レナール家に気まずい空気が流れてしまう。主人公の立場をおもんぱかったルイーズは、彼を神学校に入学させることにする。ジュリアンはレナール家の一員になって以降、上流階級の持つ欺瞞性を嫌悪していたが、神学校入学後はその思いを強めていく。彼は自らの知性と美貌を武器に「上流階級」に一泡吹かせようという野心を抱くようになる。 階級間の格差が広がりつつある現在、ジュリアンと同じ野望を抱く人間は増えていることだろう。問題はその野望が「世間をよくしよう」という方向ではなく、自己顕示欲に向かう人が多くなるのでは?ということである。1820年代のフランスに流れる空気が、現代日本にも漂っているのだろうか?

    0
    投稿日: 2016.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何度も叫んでしまった。「ジュリヤンこのやろーーー!!!」と。 この野郎、一人の親友に恵まれ二人の女性に愛され三人の恩師に助けられ(ピラール神父、シェラン司祭、ラ・モール侯爵)多くの民をその美貌と才知と得体の知れなさで魅了し死んだ後は小説になっちゃって今でも数え切れない人間の心に語り残り続けているというのに、出世?権力?なんじゃそりゃ!人間不信にも程があるし、勘違いも甚だしい。感情に煽られっぱなし。コミュ障。KY。挙げだしたらきりがない。でも憎めないんだ。嫌いになれないんだよ。「死ぬな」って願っちゃうんだよ。愛しちゃうんだよ。君みたいな男を。君だから。だからもう一度叫ばしてもらおう。「ジュリヤンこのやろーーー!!!」と。

    1
    投稿日: 2015.09.23
  • ジュリアン・ソレル、痛いけど素敵な青年。

    「赤と黒」といえば、古典名作として名を連ねる長編小説。 古典で名作で長編と三拍子そろっているものだから、 読まずに敬遠している人も少なくないのではないでしょうか。 この小説の主人公であるジュリアン・ソレルは、 とても優秀な青年で、その優秀さを自負しており、 それゆえにまわりを見下していたりと、 砕けた言い方をしてしまえばちょっとイタい青年。 けれど、読み進めるうちに惹きつけられていく魅力が この主人公には、そしてこの作品には、あります。 訳も新しくて、読みやすいと思います。 図書館の古ぼけた文庫本で途中で挫折した人も 再チャレンジしてみるチャンスです。

    1
    投稿日: 2015.04.30
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    ★評価は読了後に。 別訳だが相当に久方ぶりに手にする。 正直あまり好きではないんだが、何だか久々にフランスっぽい、つまり湿っているようなしつこいような(良い言葉で言えばアンニュイと言うのかな?)感覚を愉しんで(?)味わっております。 まぁそれはともかくちょっと長いかな、訳そのものの問題は当方には分かりかねます。

    0
    投稿日: 2014.10.28
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    スタンダールは、大学時代に読んだ「パルムの僧院」以来で、初読というのが恥かしくなるほどのド古典だが、初読。 訳者の野崎歓が言う通り、1830年代当時よりも、自らを偽って生きることの多い(そして恋愛のゲーム化がますます進む)現代において、なお共感されるところの大きな小説と言えるだろう。現代的なエンターテイメント小説と比較すると、構成に荒削りなところは多いが、それでも「近代小説の嚆矢」と言われるスタンダールの面目躍如といった作品で、ほとんど一気読みだった。 野崎訳に対する批判は、すでにあちこちで論じられている通り、違和感のある文章がなかったと言えば嘘になる。しかし、そもそもこの問題は、翻訳自体に対する批判というよりも、改訳に対する編集部の姿勢を批判しているものと理解している。

    0
    投稿日: 2014.06.27
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    2014年6月の課題本です。 http://www.nekomachi-club.com/side/12885

    0
    投稿日: 2014.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校生のときは新潮文庫で読んだ。当時はよく分からなかった部分も今となっては余裕をもって楽しめる。面白くてムラムラする。

    0
    投稿日: 2014.06.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フランスの歴史が少し分からないとつらいけれども ナポレオンが主人公に多大な影響を 与えてた、と言う事実を知れば 問題なくは読めると思います。 その気質ゆえに家では散々疎んじられていた ジュリヤン。 一見おとなしげに見える彼は 実は心のうちには「大きな野望」を抱いていたのです。 そして計算高い彼は 一人の夫人を誘惑し、 ついぞは彼女をものにさえしてしまいます。 そして彼はその計算高さ、狡猾さを武器に 地位までも手に入れようとしています。 だけれども脆さも見えるという不思議。 それが下巻では どうなっていくのでしょうか。

    0
    投稿日: 2013.10.30
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    貧しく家族にも虐げられてきた青年が、その抜群の記憶力と美貌で、貴族社会に入り込み、社交界を足場に出世していく。その飛躍の鍵は、それぞれタイプの異なる2人の女性。下巻で登場するマチルドと主人公の青年ジュリアンの、プライドと激情が数行置きに交錯するあたりは、その内容にも長さにも正直うんざりするが、物語の結末のためには、そのうんざりした気分が必要なのかもしれない。主人公も2人の女も、自分や相手の激情に感動しつつ、それをいかに打算的にコントロールするかに、常に心を砕いている。それがうまくいけば、社会的には成功するがうんざりした日々が続き、失敗すれば一瞬の生の充実はあるが滅びるしかない。マチルドは、いいとこどりで生き残ったような気もするが、その後最も不幸な人生をおくるのかもしれない。

    0
    投稿日: 2013.07.17
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    上巻は、非常に読むのが苦しかった。 登場人物たちの気持ちにあまり共感できず、彼らが激情にかられたり涙ぐんだりすることに、ついていけない。むしろ、なんだい、すぐにメソメソしちゃって、とげんなりしてしまう始末。 けれど、意外や意外、下巻になると・・・!?

    0
    投稿日: 2013.04.09
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    当時のフランスの状況を理解したうえで読んだらもっと楽しめたと思う。でも十分面白かった。ジュリヤンは幸せだったのかな?所々ジュリヤンが私と被っててなんかぞっとした。下巻も期待。

    0
    投稿日: 2012.11.18
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    ずっと手を出したいと思っていた名著にやっと手を出せた。 当時のフランスの状況のことはよくわからないが、それでも内容的に楽しめるだけの作品だと思う。 当時の時代背景のメモ この作品が書かれた時代はナポレオンの時勢が終焉後の王政復古期である。 当時の勢力抗争として考えられるのは、「王党派」(貴族、上層階級)と「自由主義勢力」(それ以外の庶民)である。「王党派」は復古した王政の権力維持を唱える保守勢力。「自由主義勢力」は革命的な勢力である。 主人公は「自由主義勢力」の立場である一方、彼が仕えたレノール町長、恋仲になったレノール夫人は「王党派」である。 上巻では、主人公の貴族的な「王党派」に対する憤り、革命的理想とともに、レノール夫人との階級差がある中での禁じられた恋を描いているように思う。

    0
    投稿日: 2012.10.17
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    たぶん初めて、乗り物の中で読むことができた本です。 今まで、乗り物で本読むと気持ち悪くなってたから。 それだけ集中して読めた面白い作品だったってこと 主人公のジュリアン、はじめはそこまで「美少年」じゃないんだと思ってた 作者もそうだったのかな。書いてたら付け足したくなっていったみたいな。 金がほしい、という強すぎる思いから、僧職につくため、乗り気じゃなかったのにかかわった貴族たち。 いつぞや自分は貴族的な生まれながら泣く泣く神学校に入る、みたいな感じになっていくジュリアン。 目的と手段と自分の心とを分けていたはずなのに もういっかあ、って 古典新訳は、内容には親しみたいが文体が、っていう需要にみごと応えてると思う。 欲を言えば本当にもっと今の言葉遣いでもいいと思うけど。斬新で。 あとこの本のせいで、私の現にも変な感情が吹き込まれた気がします。 注文していた下巻が今日入荷したらしい! 早く読みたい!こんな気分ひさしぶりだわ

    0
    投稿日: 2012.04.21
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    語訳の話もあったので、最新の4版を購入。 が、93ページから123ページまで紙がしわくちゃだったので3版に交換。 この本とは、相性悪いというか縁がない。。。

    0
    投稿日: 2012.03.01
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    上巻は読むのに苦労した。19世紀初頭のフランスの慣習や文化について知識がないからか。天気のように様々な面を見せるジュリアンの不安や憤りに共感することは多かった。冷静さと激しさなど、多くの正反対の性質を合わせ持つ彼だからこそ、多くの人の心に入り込めるのだろう。

    0
    投稿日: 2012.01.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

     『赤と黒』はナポレオン失脚後のフランスで片田舎の職人の息子ジュリアンが、立身出世を目論み上流階級の間隙を渡り歩くサクセス(?)ストーリーです。  この時代で出世をするに当たってなによりも必要なものはお金、高い身分、そして縁故でした。その中でジュリアンに備わっていたものは縁故のみ。それも司祭様の教え子であった程度。彼はその一本の蜘蛛の糸から己の才能と美貌で、新たな糸に繋いで登っていくのです。  上巻においてジュリアンを導いてくれた新たな糸はレナール夫人。  司祭様つてでジュリアンの優秀さを知った町長に子供たちの家庭教師にと雇われて、出向いた家の奥様です。金や身分のことしか頭にない夫と対称的に、人としての尊厳をなによりも重んじるジュリアンの純粋さに夫人は惹かれたのでした。  このレナール夫人は上巻におけるもう一人の主人公といっていい存在です。  夫人がジュリアンを導いた理由は恋心(もちろん不倫)にあり、その熱意は並々ならぬものがありました。  なにより私が感じ入ったのは国王様が町を訪問されるという大イベントに、ジュリアンを無理矢理に親衛隊の一人としてねじ込んだことです。親衛隊とは国王様の身辺を警護するもの。本来ならそれ相応の身分のある者しかなれません。かなりの難事だったはずです。  しかし、それを成し遂げた時の夫人の喜びは想像するに余りあります。普段のジュリアンは(夫人と比べれば)あまり良い服を着たりはしません。お金や身分に関係ない部分に惹かれたといっても、ふとした拍子に恋相手の頼りなさを感じてしまうのでした。もしジュリアンが自分に釣り合うくらいの身分だったなら……。そんな悩みを抱える夫人は一時でもジュリアンが国王様の親衛隊の一人として、立派な衣装を着て馬に跨がって颯爽と町の貴族や金持ち達に並び立つ姿に、どれほどの歓喜があったでしょうか。  その後も夫人はかなり賢く立ち回り、ジュリアンを様々な局面から救い導きます。そんな夫人はとても優秀な人物であるように見えますが、物語開始当初つまりジュリアンに恋をする前は全く違っていました。貞淑で従順ではあるものの、不器用で鈍重なただのお嬢様。  夫人の変化や成長が上巻の見所の一つです。  下巻でレナール夫人はどうなるのか、はたまた新たな女性が登場するのか楽しみです。

    0
    投稿日: 2012.01.11
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    なんかもうダメだこいつら… 他にすることなかったんかねフランスの貴族というものは? 1830年頃のフランスの時勢をよく反映しているのはとっても面白かったです。各都市がいったいどのような印象を持たれていたのかや、教会内部の対立などについてが生き生きと描かれていると思います。 誤訳がひどいということで大変叩かれていますが、すごく読みやすいのは確か。古典であるにもかかわらず(というとアレですが)、取っつきづらさはないと思います。 別に私は仏文学者ではないので、あらすじが大体わかればいーやと思ってしまうのです。

    0
    投稿日: 2011.12.14
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    周りから見れば、ジュリヤンは翻弄する人。読者から見れば、翻弄しているようで、実はそれ以上に翻弄されている人。斜めに鋭く見るジュリヤンは、本音と建て前をうまく使い分ける。そこに大きなギャップがある。もしも()書きで心理描写が記されていなかったならば、ジュリヤンは恐ろしいほどミステリアスに見えただろうし、読者からしても「どうしてそうなったのか」と突っ込まずにはいられなかっただろう。

    0
    投稿日: 2011.11.07
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    上下巻で1000ページというページ数だけで泣きそうですが、軽快なペースでサクサク読めます。ラストにびっくり。

    0
    投稿日: 2011.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ジュリアンという若く聡明な主人公の野望と挫折の本である。 野望とは出世と恋愛であり、恋愛のつけにより頓挫する。 フランスでは婚外子が約50%となり、結婚そのものの意味が変貌している。今日であれば死刑にはならない。 この本は実際におきた事件をもととしているので、安定した地位を得ている貴族がなぜそんなことを・・・。という多くの当時の人が思った疑問に応えたのではないだろうか。 また そういうことも起こり始めたんだという、19世紀の時代を表しているのではないだろうか。 様々な事件が今も昔も起きてはいるが、どういう事件に注目が集まるかはその時代精神が反映されるのである。

    1
    投稿日: 2010.12.15
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    浦野所有。 これは理屈抜きに楽しめる小説ですね。恋愛小説というより、痛快な冒険小説の色が濃くないともいえない内容です。時代背景がわからなくても、ストーリーだけで十分、読み進められると思います。 『赤と黒』は『モンテ・クリスト伯』とならび、「これぞ小説のなかの小説」といわれることも多い作品。この世界を触れるためだけにパラッと読むのも悪くないです。

    0
    投稿日: 2010.06.02
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    恋愛小説の傑作でしょう。 現代日本では見られないような野心満々・肉食男子のジュリアンもその恋人たちも、なぜか芝居がかって冷静に考えるとおかしいのですが、やっぱり読んでいて引き込まれてしまう駆け引きの様子とドキドキの心理状態。 少女マンガのようなフランス文学です。

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    投稿日: 2010.05.08
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    あらすじを読むと青年ジュリアンの恋愛と出世の話のように思われるが、読んでみると副題の十九世紀年代記にふさわしく当時のフランスの社会情勢をよく反映していることに気づかされた。要所要所に派閥の対立やもっと漠然とした体制的な臨場感がかかれており、ジュリアンを通してその時代を感じるようであった。 恋愛小説としては私たちの感覚とはすこし違うものを感じるのが正直なところだが、ジュリアンが恋愛によって支配しようとして逆にに翻弄される様はおもしろく、また悲劇的であった。

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    投稿日: 2010.04.07
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    ■学び(見たもの・感じたもの/テーマ) 七転八倒しながらも自尊心を持って精一杯生きること、自らの意志で自己実現のために運命を切り開くこと、そして自分の気持ちを偽らず正直であること。これがインチキまみれの世の中で得ることができる精神の幸福であり、幸せな生き方である。 ■感想 何度も読み返したくなるぐらいすごく面白かったです。ぐいぐい引き込まれました。ジュリアンの凛として力強く生きる姿はぜひお手本としたいものです。下巻でのジュリアンとマチルドの恋の駆け引きは、まるでシェークスピアの劇のようで笑えました。また今度は別の訳者の本も読んでみたいです。 満足度を★4つとしたのは、接続詞が明確でないために前後の内容が混乱する個所が何度もあったからです。これは訳が悪いというより、おそらく原文でも同じなのだろうと思います。 とはいえ、内容は素晴らしかったです。ちょうど今年は古典を多く読もうと思っていたところだたので、一気に古典に対する興味が強くなりました。

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    投稿日: 2010.02.20
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    「罪と罰」とは対照的に、主人公が出世欲や感情の激しさ、思考と行動を一致させようとしている点など、自分に投影できる部分が多く、面白い。こんな風に生きたいものだ。 「罪と罰」ではラスコーリニコフは「一人を殺すことで多くの命が救われるならば殺してもよい」と考え高利貸しの老婆をころしたが、結局は罪悪感にとらわれる。一方「赤と黒」のジュリアン・ソレルは、「多くの人間を救うためならば2・3人殺したってかまいやしない」と述べ、最後まで英雄的。非常に対照的な2作品である。

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    投稿日: 2010.02.14
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    歴史を全く勉強していなくても「とりあえず王党派と自由主義者が対立していてなかなか本音が言えない時代なのね」と納得して読めば大まかな図式はつかめるはず どうしても心配なら先に解説を読んでしまうのをオススメします 政治の話やら時代を中心にした描写の部分では?となるけれど、おもしろい 普段私小説とか日常を元にした本ばかり読んでいるから、歴史を基にした話は新鮮

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    投稿日: 2010.01.08
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    やべー。どんな内容だったかすっかり忘れた=3 「まぁまぁ面白かった」気が...。 ラスト、どんなんだったっけ??

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    投稿日: 2009.10.21
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    Amourの国、フランスの古典に初挑戦。 きっかけは、映画の予告編。 昼ドラっぽい雰囲気+ 早世されたなんとかフェリペとかいう 主人公の麗しい俳優に誘われて いつもと違う分野に手を出してみた。 が、結果は、あえなく惨敗。 自尊心の高さ故に人妻にちょっかい出したり 情緒が全然安定しない主人公が理解できず そこから燃えてしなだれる恋の駆け引きに 発展するのもよくわからなかった。 そう、私には気持ちと言葉が濃すぎました。 下巻も借りてますが、読まずに返却します。

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    投稿日: 2009.10.04
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    ロシア文学に負けないくらい登場人物が多い。 神父に教えてもらったラテン語を武器に上流階級の家で家庭教師をする農民の子ジュリヤン・ソレル。 私が読んだ(そんなに読んでない)フランス文学の中では1,2を争うくらい面白いです♪

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    投稿日: 2009.01.12
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    1830年の七月革命の勃発を予感させる時代。その時代背景としての身分・階級や党派の確執や思想を色濃く受けるなかで、人間関係と恋愛の策略とスリルを克明に描いた小説。 私は、小説を、いかに共感できるか、という視点で読み、評価することが多いが、この作品はそうした普段の視点とは別に物語の筋自体を楽しめた。ジュリアンの持つ、強烈な自尊心と偽善と情熱と崇高な精神は、時代中でかなり個性が強く共感しがたいが、そのこころの動きを一貫して丁寧に克明に描いている、その作者の抜かりのなさが素晴らしい。そして一瞬で移ろう人間の普遍的な心理を細かに、そしてリアルに描けている。上巻の野崎氏の解説で、歴史的背景への理解が深まり、また「この小説は『史上初の、サラリーマンを主人公とする小説』だと述べる研究者(Yves Ansel)もいる」との話と、その解説に納得し、最近流行りのビジネス小説(ハゲタカとか?)のさきがけなのかもしれない、とも思い興味深かった。恋愛という観点から言うと、手練手管の要素が多い中で、男女の心の微妙な変化、機微の中の表層的な部分をよく描いていると思う。

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    投稿日: 2008.09.03
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    読んだ理由:レビュー一覧に文学作品を載せたかったw 感想:階級社会における抑圧と葛藤、許されぬ恋を圧倒的な内面描写で表現している。プロット自体はよくできた昼メロのような感じ。「情熱の文学」という表現が見事に当てはまる一冊。 野崎氏の新訳は難解なところもなくすらすら読めた。「文学を読む!」というふううに肩肘を張らなくても、エンターテイメントとして楽しめるものに仕上がっていると思う。

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    投稿日: 2008.04.27