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ブラフマンの埋葬
ブラフマンの埋葬
小川洋子/講談社
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総合評価

285件)
3.6
46
97
82
21
5
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    172頁と短くすぐに読めてしまった。 解説にも書かれていたけど登場人物や地名も固有名詞は出てこなくて、そういう意味で唯一スポットライトが当たるのが"ブラフマン"。彼が何という動物なのかは明言されず、森で生まれた水かきのあるしっぽの長い生き物ということのみわかる(犬?猫?リス?)。 最後の急展開にびっくり。タイトルから想像できた結末ではあるけど、余りにもあっけない。主人公はそれを受け入れられたのか?唐突でやるせないだろうけど作品ではそのあたりは触れられていない。

    1
    投稿日: 2026.01.08
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    もうわからないままふわふわと物語が進んでいく 犬? 猫ではないか 最後は埋葬させて終了 不思議すぎて謎のままの本

    0
    投稿日: 2026.01.03
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    ブラフマンという謎の生物 私の中では、我が家のワンコの脳内イメージで読了 とにかくブラフマンの描写が素晴らしい! 確か小川洋子さんも犬を飼っていたような…。そこからの描写だと、私は確信してます

    1
    投稿日: 2025.12.22
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    個人的にはいつもサバサバしてる娘が男に会うときだけ女の子らしくなる所が好き でもその恋愛を周りが認めてなさそうなのも好き まなみはブラフマンのことを犬だと思って読み終えたけど、実はなんの動物なのか明かされていないところが衝撃的でいいとおもった

    0
    投稿日: 2025.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不思議な手触りの小説。 まずブラフマンが人間ではないこと。でもどんな種類の生き物かは明かされない。 「僕」が何歳ぐらいなのか、どんな過去があってどうしてそこで働いているのか、そもそもどこの国のいつ頃の話なのか、すべてがはっきり語られない。 この手掛かりの少なさにも関わらず、ブラフマンの生き生きとして描写に冒頭から引き込まれる。 何と言ってもほとんど犬っぽいブラフマンの仕草の描写が可愛い。タイトルどおり「ブラフマン」は「埋葬」されてしまうという予測ができていたが、あまりの愛らしさに、ブラフマンが無事に元気なまま終わるように願いながら読んだ、 時々現れる、「僕」のブラフマンに関する観察日記のような、覚え書きのような文章。最後まで淡々と描かれるところが余計に悲しい

    3
    投稿日: 2025.11.11
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    犬でも猫でもない謎の生き物である「ブラフマン」がとても愛おしい。人物や場所の名前が「ブラフマン」以外に出てこないのも特徴で、その為か、現実感に乏しく幻想的な雰囲気がある。好きだけど悲しい。

    1
    投稿日: 2025.10.11
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    謎という意味のブラフマン。動きもなにもかもがかわいくて、僕との生活は微笑ましくて。タイトルが「埋葬」だからいつ死んでしまうのかドキドキしながら読みました。静かで独特な雰囲気の不思議な世界観。

    0
    投稿日: 2025.10.10
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    小川洋子さんの小説はいつも不思議が詰まっている。 ここはどこなの? この人はなんていう名前なの? この動物は何? たくさんの想像力をつかって、たくさんの優しさをもらって、たくさんの尊さを得ました。 次読んだら違う感想を持つのかな。

    9
    投稿日: 2025.10.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらゆる種類の芸術家が集う〈創作者の家〉。その管理人である〈僕〉と、肉球と水かきを持つ謎の小動物〈ブラフマン〉との、ひと夏の邂逅そして別れを描く。南仏を思わせる架空の村を舞台に、物語は〈僕〉の抑制のきいた一人称で、水彩画で描かれた大人の絵日記のように淡々と静かに進んでゆく。 正体不明ながらも愛くるしいブラフマンと、〈僕〉の心の交流が物語の主成分となっている。しかし、これを心温まるハートフルストーリーと呼ぶのは少し違うように思われる。物語の始めから終わりまで繰り返し現れるのは、取り繕いようのない死の気配だからだ。古代墓地、石棺、埋葬人、碑文彫刻師、身寄りなく死んだ老人の所有していた家族写真、そして生活感を全く感じさせない登場人物たち。 生身の肉体を感じさせるのはブラフマンと、〈僕〉が思いを寄せる雑貨屋の娘だけだ。しかし、ブラフマンは予めタイトルで死が暗示されており、いくら愛らしくともこの蜃気楼のような村の無自覚な虜囚であることから免れないように思われる。雑貨屋の娘だけが虜囚であることに満足せず、生身の人間らしい欲望に従って村から飛び出していこうとするが、その陳腐で無遠慮な生命力の前に、ブラフマンの存在はあっけなく掻き消されてしまう。 ハートフルストーリーとしてはあまりに仄暗い物語は、しかしどこか遠い国のお伽話めいて、誰を罰するでもなく何を嘆くでもなく淡々と終幕を迎える。ここではこの世の価値基準は無効化され、ただ夢のような読後感と無常感が読者に残されるのみだ。この作品が受賞したのが直木賞や本屋大賞ではなく、泉鏡花文学賞だったというのはさもありなんと言うべきだろう。

    5
    投稿日: 2025.09.02
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    静謐なものがたりだった。死は、特別なものではなく当然なものとして生活に溶け込んでいた。印象に残ったのが、アレルギーだからとあれほどブラフマンを毛嫌いしていたレース編み作家が、一晩でブラフマンのおくるみを編み上げたこと。黙祷を捧げたこと。そして、ブラフマンを轢き殺した娘にも、きっと悪意はなかったこと。だって、ブラフマンが飛び出してきたとき、きつくブレーキを踏み続けていたから。

    1
    投稿日: 2025.08.31
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    読後感はいい。 静かな文章を楽しませてもらった。 ブラフマン、かわいい、愛らしかった。 この独特の世界観に魅入らされた。

    0
    投稿日: 2025.08.10
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    犬を飼っていた時の事を思い出しました。 描写が一つ一つ柔らかくて、とてもリアルだと感じました。 ペットとの大事な思い出を思い出したい時、寂しい冷ややかな日等ほっこりしたい時に読みたい本

    0
    投稿日: 2025.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    懐いていただけに最後がさみしいです。世界観はあまりわからなかったですが、ブラフマンが可愛い。どんな姿をしているのか想像するのもちょっと楽しいです。

    2
    投稿日: 2025.06.08
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    得体の知れない毛の生えた生き物ブラフマンと主人公との物語。出会いから別れまで、2人が過ごす日常が描かれている。世界観は最後までよく分からないが、ありそうと思わせる文章の巧みさ。

    0
    投稿日: 2025.02.08
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    謎の生き物とのひと夏の暮らし。匂ってくるような自然。生と死を象徴するもの。石棺、古い家族写真、ブラフマン、肌の温もり。予感なく失う命。 2025.1.25

    0
    投稿日: 2025.01.25
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    〈創作者の家〉管理人の「僕」と不思議な生き物「ブラフマン」との物語。その生き物は、サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた。静かな静かな世界。ブラフマンをぎゅっと抱きしめたくなり私にとっても愛おしい存在となった。

    0
    投稿日: 2025.01.13
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     この人の文章、多分特に自分のツボなんだろうけど本当に魅力的。  小説の面白さの一つは、読み進めながら自分なりに想像を膨らませて着色していくところにあると思うけど、この作品ほど読者に想像のゆとりを設けてるものは無いように思う。  建物ひとつとっても、動物ひとつとっても、読む人によってまったく違った色形で記憶になっているような気がする。  小川洋子さんにしか書けないこの尊さというか、儚さというか、整いきった危うさはなんなんだろう。  沈むみたいに、縋るみたいに、飲み込まれるみたいに、ずうっと文章を読んでいたくなって、不思議。  今作においては、人物などの固有名詞が出てこないという世界観もてつだって、なにか物語全体に薄く靄がかかってるみたいな幻想的で、淡い、夢の中みたいな世界に浸れる。    日に当てられた古紙みたいな、薄い黄色なイメージのお話だった

    2
    投稿日: 2024.12.31
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    特筆すべきテーマや表現、共感ポイントは私にはないのだけど、解説にあった、「言葉のイメージ」というのに頷ける。 抽象画のように、淡く掴みにくいが、隣合う色同士が調和するように、人物の固有名詞が出てこない作品の中で、物の固有名詞が本の調和を奏でる。 ブラフマンの愛らしさ…みたいなのがいまいち私には煩わしく感じ、これは私が猫好きだからかもしれない。犬のような従順さとおちゃめさ。それから飼い主への絶対的な信頼感。どれも私が犬に対して苦手に思うことの全てだ。犬好きだったら受け取り方が違ったかも。 それにしても、間間にあるブラフマンの解説は何なのだろう。

    0
    投稿日: 2024.12.30
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    ブラフマンてなんなんだろう?多分100人いれば、100種のブラフマンを想像しながら読んだんでしょう。僕はカモノハシのような生物でした。ドラマティックな展開も起きず、ハイライトであるブラフマンの埋葬でさえ感情表現が描かれず、あまりにもアッサリと物語が終わる。退屈で詰まらないと感じた人がいるのも分かります。僕も1度中断したんですが、読書を再開したら〈創作者の家〉やブラフマンのイメージが面白くなり一気に読了しました。

    0
    投稿日: 2024.12.06
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    穏やかな文章で、自然に囲まれた美しくも切ない情景をずっと頭に思い描きながら読みました。 静かで境遇がわからない部分もあるけれど、それぞれの人生というものがあるんだなと感じた。 ブラフマンの愛くるしさにほっこりとした。

    1
    投稿日: 2024.11.13
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     小川洋子さんの作品を読んでいると、やはり他の作家の方々とは一味違う、静けさのようなものを感じずにはいられない。あとがきにもあったが、まるで夢のようである。  小川洋子作品の特徴として、登場人物の素性がわからないという点は誰もが知る所だろう。この点があるために、登場人物の感情に入り込みすぎず、夢を見ているように、俯瞰的に作品と向き合えるのかも知れない。

    4
    投稿日: 2024.10.21
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    小川洋子らしい、静謐で穏やかだけれど、そこに世の中の秘密というか、簡単には触れられない大事なものがそっと置かれているような世界。 死は悲劇でもネガティブなものでもない。生の対極にあるものじゃなくて、生のそばにただあるものなのかなと思える。 ブラフマンの愛らしさの描写が卓越している。

    1
    投稿日: 2024.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんとも不思議な空気感の作品でした 絵のない絵本を読んだような 謎の生物『ブラフマン』 ただ、登場者のなかで名前があるのは、この謎の生物だけ 具体的な生物名が明かされている訳ではないので、想像するにブラフマンは可愛い・愛くるしさを持った存在。なによりも主人公に愛されているし、ブラフマンも信頼している感じが伝わってくる。 だが、ブラフマンは主人公が想いを寄せている娘の運転する車に轢かれてしまう。 そこから主人公の感情の描写が消えたように感じた。 ブラフマンの葬儀にその娘は来ず、ブラフマンを毛嫌いしていたレース編みの老婆がきている。 なんか、ここの描写に心がザワ付いた。 人の心の奥にあるものが表に出る時って、その人の本質を表してるなって。

    4
    投稿日: 2024.09.05
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    図書館にてふらりと手に取った本でしたが、その書き出しに惚れ惚れして借りて帰って即読んでしまった。 小川先生の文章は途中突然異国が舞台なのだと気づかされてもすぐにその空気感にふわりと包まれ、その異国にあるだろうにおいまで漂ってくるような静かな説得力がありますね。すてき。 まず謎の生き物につけられる「ブラフマン」という名前が良くて、主人公の置かれた環境も少し変わったものという設定がとても良かった。 それが読み進めていくうちに、主人公自身の異質さに変わり、変わらない日々を繰り返しているようで彼自身はとても閉じていて鬱屈した部分があり、本当の意味で自分の深いところと外界とが繋がったことがない、あるいは過去に何かあってそうなってしまったのではないかと、静謐な中に違和感と警戒と同情に似た寂しさが沸いた。 それを際立たせるのが「ブラフマン」の存在であり、だが主人公に気を許していく謎の生き物の毎日の営みがゆっくりと主人公を変化させ、それは登場人物との関わりにも表れていく。 だからこそ突き放すラストの悲しみが胸を打つ。 しかしブラフマンと共に過ごした日々が、きっと道標になるのだと思う。 それはおかしな思いかもしれないが、瀕死のブラフマンの保護から始まった奇妙な生活が彼に暖かい「生」を齎したように、またブラフマンの喪失によって彼の人生に親友の「死」というどうやっても回避も誤魔化しもできない現実が与えられ、それは「生」の中にある穏やかで暖かい部分だけではない現実を彼に齎したわけだが、あのブラフマンとのかけがえのない日々こそがそれを救うと思ったからだ。 現実の方へ身体の向きを変え、心を開き始めた途端こんな悲しい結末になってしばらく放心してしまったが、たった一人ではなく彼の現実に居る人たちと丁寧に親友を埋葬する主人公の静かな芯の強さがとても温かく、悲しく、いやいやでもブラフマン、君との生活がきっと彼の血肉となって彼を癒し、救うのだよと思うとまた泣けて、とても良い読書体験でした。 勝手な読み方だけれども、多くの説明がない、ただ事象とすこしの情景だけが描かれる本は自由で、いいなあと思うのでした。 しかしもう手元にないので買い直さねば!記憶で書いているので所々内容と違っていたらすみません…!

    1
    投稿日: 2024.06.01
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    創作者の家の管理人は,傷を負った謎の生物と出会う。登場人物は全て名無しだが,謎の生物だけブラフマンという立派な名を貰う。ヤンチャなブラフマンの死の直後,心理描写が消え,この世の終わりのような喪失感。

    18
    投稿日: 2024.05.27
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    この小さなブラフマンと呼ばれる生き物は結局何だったのか記されていない。穏やかに進む前半から徐々に不穏さを感じていき…。 小川さんの筆力があってこその作品で、おそらくこういった一見何も起こらない物語を描くことがとても難しいのではないだろうか。 温かな春から、急な春の嵐に巻き込まれたような、そしてまた静寂がおとずれる、浮遊感のある作品だった。

    2
    投稿日: 2024.05.05
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    タイトルからも、どこかでこの愛すべきブラフマンとの別れがあるのか、と推測しながら、その美しい自然に囲まれた世界の中での、ブラフマンとの愛おしい生活を、爽やかな文体と共にドキドキしながら味わった。

    0
    投稿日: 2024.04.21
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    場所は日本なのか?登場人物は日本人なのか?それとも外国の話なのか?ブラフマンと名付けられた動物は猫なのか、野生動物なのか?最初から最後まで想像力をあちらへこちらへと働かせながら読書する絵のない絵本のような小説でした。 人生経験を総動員して小説中の情景を想像する。その情景をこれまで見聞きした人物、生き物、映像に当てはめる。あまりいい読書の仕方ではないなーと思いつつ、情景にあった映像パズル探しが覚醒しました。たぶん作者の意図に沿った映像を半分も見つけられなかったと思いますが、勝手に想い描いた映像を構成すると立派な映画が自分の中で出来上がっていました! 読書をする際に自分の感性を信じて読みひたることの心地良さを教えてもらったような気がします。 中学生に読んでもらいたいな〜

    21
    投稿日: 2024.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子さんらしい、優しく流れるような文章が素敵な作品でした。丁寧に描写されるブラフマンの一挙手一投足が可愛らしく、ずっと幸せに暮らして欲しいと願って止みませんでした。 芸術家が芸術をひねり出すために、献身的に、ときには透明人間のように人に尽くす主人公。唯一心を惹かれた女性の目線の先には、別の想い人。 慢性的な酸素不足のような主人公の日常において、ブラフマンは真っ直ぐに彼のことを慕い、彼の心を癒したのだと思います。ブラフマンにとっては、主人公が世界の全部だったのでしょう。 ブラフマンを最後まで、心ある誰かに愛された命だということを認めようとしなかった娘さん。対照的に、最初は動物アレルギーだからと彼を毛嫌いしていたレース職人がブラフマンのおくるみを縫ってくれた事にはっとしました。レース職人は、主人公のブラフマンを大切に思う気持ちまでは否定していなかったということなのだと思います。 芸術家、目に見えないものも大切に掬いあげようとする類の人種には、ブラフマンはただの未知の生物ではなく、一人の男の心を癒す友達に見えるのかも知れません。

    0
    投稿日: 2024.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全体としてフワフワとした夢物語のような感覚が 解説を読んで、なるほどなとスッと入ってくるものがあった。南仏にまつわる話、主人公を含む名前のない人間たちこそ夢の中で出会う行きずりの人物のように謎めいている、互いの領域に決して入り込まない人々の世界に起こった泉泥棒の登場と「僕」の侵犯行為、その結果としての死。 犬との関わり、育つ幼きものに寄り添う子育てを振り返りたくなるようなあたたかな前半もよいが 後半の展開は深く、余韻を残す一冊。

    0
    投稿日: 2024.02.23
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    作者の動物の描写には脱帽。ワールド全開。 章の終わりのブラフマンの取説が微笑ましい。 ラストは唐突でありながら埋葬品の中身で救われる。 いつまでも読んでいたいと思わせてくれる作品。

    0
    投稿日: 2024.02.17
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    「謎」の生物、ブラフマンが本当に愛くるしい。⁡ ⁡⁡ ⁡この物語の、登場人物は 干渉せずただ、静かに各々の時を過ごしています。⁡ ⁡⁡しかし、干渉しない物語から足を1歩踏み出してしまった「僕」。⁡ ⁡その先に訪れるのは…。⁡ ⁡⁡ ⁡なぜ「僕」はあんな行動をしてしまったのか⁡ 好意か嫉妬か、愛すべきものを否定された仕返しなのか。⁡ ⁡⁡ 鼻の奥がツンとするような作品を読んだのは⁡ ⁡久しぶりでした。 ⁡

    1
    投稿日: 2024.02.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これは残るなー何度も読みたい。 レース編み作家がなんとなく自分自身に重なる気がして、レース編み作家目線の話が読みたいと勝手に思ってみたり。

    1
    投稿日: 2023.12.07
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    物静かな主人公とブラフマンとの、静かな出会いと静かな別れが、淡々とした叙事的な文章で語られる。 先日読んだ井伏鱒二「山椒魚」と同じく、この作品の中では空想上の生物であるブラフマンの描写だけがリアルだ。 現実的に「あり得る」はずの他の登場人物達は、主人公が密かに想いを寄せる「娘」でさえ、あるいはその「娘」への想いさえ、どこかぼんやりしている(村上春樹の世界の終わりを連想させる)。 ブラフマンを失った主人公の悲しみについては何も書かれていない。 書かれているのは、「娘」から聴く言葉がどこか平板であり、声を発さないブラフマンの表情は主人公に豊かな心情を語りかけていることである。 ブラフマンが枯葉を踏み締める音や、食事を求めてふくらはぎにすり寄る体温を、主人公はつぶさに語れるということである。 ベッドで眠る我が子の手を握り、寝顔に見とれていたくなる、そんな本である。(単に疲れて帰ってきただけのことかもしれませんが) 2016.5.11

    3
    投稿日: 2023.09.28
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    “夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。” その子犬のような小さな生き物は、痩せて傷つき、震えている “最初に感じ取ったのは体温だった。 そのことに、僕は戸惑った。 朝露に濡れて震えている腕の中の小さなものが、こんなにも温かいなんて信じられない気持ちがした。 温もりの塊だった。” それから僕はブラフマンとの濃密な日々を過ごしていき、彼の生態について詳しく記録していくのだ。 ※ブラフマンの尻尾 ※ブラフマンの眠り方 ※ブラフマンの食事 ※ブラフマンの足音    ・    ・   そして最後は…… ※ブラフマンの埋葬 なんて愛おしいのでしょう。 愛情しかありません。 この物語の世界はとても美しく静か。 自然に囲まれた小さな村は、死者たちの世界のようで現実味がない。 古代墓地にいくつも転がる石棺や墓標。 埋葬人の見張小屋。 過去も未来も持たない僕。 この静けさや曖昧さが、なんとなく村上春樹の世界を思わせる。 その中で、ブラフマンの存在が生き生きと生命力に溢れているのだ。 170頁程の文章には、想像を巡らせるのに充分な余白と余韻があり、胸の奥深くに沁みていく。 あぁ、私達は生きているのだな。 ※この本は、いるかさん・地球っこさんに「小川洋子さんの好きな作品」として教えて頂いた中の一冊です。 ありがとうございます♪

    63
    投稿日: 2023.09.19
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    4.0くらい 小川洋子っぽいと言えばぽいけど解説に書いてあったみたいに南仏の夜明けみたいな雰囲気を密に感じ取れて真新しくて微睡むような空気を言葉として紡いだみたいな話

    1
    投稿日: 2023.08.13
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     太陽の光を浴びて輝く泉の水面、風に誘われてさざめく樹々たち、自然の中で思いきり遊ぶブラフマン……。すべての描写を記憶したくなる程、美しい文章だった。  架空の動物であるブラフマンの仕草は可愛さに溢れていて、見た事のない生き物を、ここまで鮮やかに描き出す文章に魅了され続けた。  穏やかな日常が次第に不穏な雰囲気へと変わっていく様子が、季節の移ろいと共に感じられる。主人公である〝僕〟の純粋さに翳りが差し、引き起こされてしまった結末は心が痛み切なさが込み上げた。しかし物語は〝僕〟の心に宿ったエゴを非難する事なく、淡々と出来事だけを書き連ねていく。その表現のされ方に心はより深い余韻に包まれた。

    1
    投稿日: 2023.08.10
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    作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。 とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。 高校の倫理を履修した人なら覚えているかもしれない。"ウパニシャッド哲学"なんて言葉と一緒に出てくる「ブラフマン」とは、宇宙の根本原理をさす。 つまり、全てのものの根源がブラフマンであり、「宇宙の創造主」とも言われる。 とすると、作中のブラフマンは、芸術家たちが活動する〈創作者の家〉が、その創作が、生んだものなのであろう。いや、それぞれの創作がうまれる根源がもつ生きた熱量がこの家で融合し、姿をもっただけ、すなわちブラフマンから創作がうまれたという見方の方が哲学に即しているのか。 いずれにせよ、ブラフマンは作中でも宇宙の根本原理であり、僕の存在が認識される世界における原理原則、各人がもつ領域の調和そのものであったのだろう。 しかし、僕はラストシーンで娘の領域に踏み込む。その結果、ブラフマンは失われる。 小川洋子の描く世界がこんなに言語化しやすいとも思わないので、ただの素人の解釈に過ぎないが、これが私が読んだものである。 「創作」「宇宙」などのワードが見られたので、遠からずな気もしているが。 今回も、言葉と脳みそでは掴めないような物語に心が休まった。幹に空洞ができることを「まるで森がため息をつく時の唇のよう」と表現するところなど、また小川洋子の世界に触れることができているんだと静かで幸せな気持ちになった。

    0
    投稿日: 2023.07.31
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    ブラフマンは勝手に犬だと思っていたけど、皆さんの感想を読むとカワウソかもと描かれていて、そうなのか!と。 淡々と進んでいく物語、最後もあっさり終わってしまうけど、自然に囲まれた穏やかな風景とブラフマンとの日々はじんわり残ってる。

    0
    投稿日: 2023.07.19
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    主人公と野生動物の話なのだが、人間関係やせっかくの舞台となる主人公の暮らす施設で物語が展開されることはなく、登場人物たちは動物を除き固有名詞がないまま、主人公の心情のみで展開する小説。博士の愛した数式を読んでからの自分には、期待はずれでした。

    0
    投稿日: 2023.06.19
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    どこか異国を思わせる風景。そう遠くはない昔の出来事。ブラフマンと名付けられた謎めいた生き物。 どこかの国の神話になぞらえた寓話を読んでいるような気持ちになった。 私はブラフマンを、尻尾の長い犬のような動物としてイメージしながら読み進めた。

    0
    投稿日: 2023.06.11
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    単行本が出た当初読んだきり。 久々に読んでみたくなり、単行本を手放したので文庫で再読。 何だかよくわからない生き物であるブラフマン。 私は馬と思い込んでいたけど違っていた。

    0
    投稿日: 2023.05.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    水掻きがある点は違うものの、カワウソにあまり馴染みがないので私の頭の中では犬のような生き物として話を読み進めていた。 検索をかけてみると、犬でもカワウソでもビーバーでもなく、"謎"の動物として"ブラフマン"として死んでいったと考えるのが妥当なようだ。 あるいは、ヒンドゥー教の神である梵(ブラフマー)は、4つの顔を持つ創造の神なので、犬の要素、カワウソの要素など、4つの動物が混じった創造動物かもしれない。 タイトルに埋葬とあるから死ぬのはわかっていたが、結構最後の最後で呆気なく死んだので少し驚いた。娘絡みの話が、たまに運転させてあげるくらいで、男との密会を知っている以外よくわからず、いまいち話に入り込めなかった。 もう少し早くブラフマンが死んで、余韻に浸る文がもっとあるか、死んで、即終了の方が個人的には良かったかも。

    1
    投稿日: 2023.05.15
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    宿泊施設を管理する僕が、小さな生き物と共に過ごす日常を描いている。 全体を通して、情報が少ない。つまり、余白が多い。小さな生き物に関しては、各章末に説明文がある。しかし、僕に関しては最初の情報しかない。 この余白の多さが、この一篇の魅力だと考える。 読者によって、余白の埋め方を委ねる。そんな作品なんだと思う。

    1
    投稿日: 2023.05.07
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    図書館の返却期限に間に合わず、途中で返却。ブラフマンは結局どうなったのか?タイトル通り埋葬されてしまうのか?気になるところ。

    0
    投稿日: 2023.05.07
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    あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している<創作者の家>。 その家の世話をする「僕」の元に、ブラフマンはやってきた。 サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、小さな生き物と触れ合い、見守ったひと夏の物語。 文章だけ読んでいると子犬のようにも思えるけれど、水かきを持っていたりする謎の生き物、ブラフマン。そのブラフマンとのひと夏を綴った物語です。 ともに過ごした時間は短いけれど、ブラフマンを愛おしむ僕の感情や、確かにあった絆が丁寧に書かれていて、小さな世界のささやかな話だけど心に刺さります。 こんな優しい物語の果てを、読者目線ではタイトルで既に知ってしまってはいるんですが、どうかその時が来ないように。この小さな幸せがずっと続けば良いのにと願わずにはいられません。 それでも終わりは訪れて、しかも想像とは違った形でなかなかショッキング。閉じた世界(理想の世界)から外界の物を望んでしまった時(欲望を知ってしまった時)、楽園は壊れてしまう、みたいな。楽園の追放とかそんなメタファーなのかな、とぼんやり感じました。 *** 冒頭で登場人物(?)の行く末を知ってしまうという点で、同作者さんの『人質の朗読会』(中公文庫)を思い出しました。 最期を知っていてこそ感じるものもありますよね。こちらも素敵なお話なのでぜひ。

    18
    投稿日: 2023.04.02
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    ブラフマンの健気さ、愛おしさ 淡々と進む日常 小川洋子らしさもありながら物語に入っていける 結局ブラフマンとは何なのか謎のままだったけれど、それがブラフマンなのだろう。

    0
    投稿日: 2023.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ブラフマンが愛らしくて可愛くて。みたこともない動物なのに抱きしめたくなってしまうくらいかわいかった。 うすく好意を抱いていた娘はブラフマンに全く興味を示さず、2度目に見た時も、「これ」扱い。彼の世話をすることは「面倒」と言う。そんな彼女と男との付き合いに意地悪く口をはさんだところでブラフマンは居なくなる。 なんという作品だ、と思った。家族がいるのかいないのか、知らない家族の家族写真を飾って心穏やかになる青年の気持ちを考えた。

    0
    投稿日: 2023.03.05
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    小川洋子 著 なんて素敵な小川洋子さんならではの世界に 誘ってくれる作品なんだろう。 やっぱり、この世界観好きだなぁと思う。 出だしの頁から既に誘われ、何処か知らない外国の土地に降り立って、物語の登場人物達に出会ってしまうのだ。 最初に姿を現した僕は、、少年かと思った。 そして朝早く裏庭のゴミバケツに潜んでいた動物らしきものは子犬かと思ったけれど… 予想は少しずつ外れてゆくが、それすら気にならないくらい、どんどん物語に引き込まれてゆく。 目をあけていられないほどの眩しい夏でも緑の匂いがする。泉がある。 静謐な雰囲気に漂いながら物語りを読む。 どうやら、少年は青年であるらしい。 そして、物語りの中で唯一名前を持つ僕が飼うことになったブラフマンは最初、子犬かと思ったけれど…違う生き物(動物)らしい。 最後まで、ブラフマンの正体は明かされてはいない。ブラフマンの容姿とも特徴とも言える表記には、途中⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ンッ?かなり驚いた部分もある₍ᵔ·͈༝·͈ᵔ₎ とても気になるんだけど…それ以上に自分の中の想像の中のくりっとしたチョコレート色の小さな瞳で僕を一番信頼して見ているブラフマンが愛らしくて見守っていきたいと強く感じてしまう(⑉︎• •⑉︎)♡︎ 解説で書かれていたけれど… “全編に漂う不可思議な雰囲気の中核をなすのだけれど、それ以上に、名前のない人間たちこそ、夢のなかで出会う行きずりの人物のように謎めいている。” 小川洋子さんの不思議な空気を纏う物語りはいつもそうだ。 その空気感の中にずっと漂っていたい気分になってるときに、いきなり、とても具体的にその姿の繊細な部分を描いていたり、さらりと深い悲しみをもたらす。 いつも、優しいような思いがけない場所に連れて行かれるような感覚がする。 それにしても、この厄介でいたずらっ子の相棒ブラフマン。この作品を読めば、きっと 愛おしくなるに違いない。

    41
    投稿日: 2022.11.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルからしてブラフマンが死ぬこと、残りページがほんの少ししかないことから娘の車の練習に付き合ったことでブラフマンは死ぬと想像できた。溺れて死ぬのかな〜と思っていたが娘が轢き殺してしまった。 娘に好意を持っている僕に反して、娘は僕に対してなんの興味も感情すらも示さず、挙句僕が大事にしているブラフマンまで殺してしまって、なんとも皮肉だなと思った。僕がブラフマンの死を悲しむ描写はあったのに娘が轢き殺したことに対してどのような感情を持ったのか描かず、葬儀に来なかった事実だけどというのがなんだか味があるな、、、 娘は男が来る日だったから葬儀に来なかったという理由が僕に対してなんの興味もないどころかぞんざいに扱ってもいいと思っているどうでもいい存在であることを示している。女って結構興味ない男に対して邪険に扱う気持ちはわかるし、男からの好意ってなんとなくわかるよね。娘は僕からの好意がわかっていた上でのこの態度なのかもしれないな。

    1
    投稿日: 2022.09.15
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    小川洋子の小説を読む時の、少し背筋が伸びる感覚が気に入っている。 ただし、それは作品自体のエッジとは全く関係ないしていないところでもあり、今作はタイトルからいきなり不穏だったりする。

    1
    投稿日: 2022.08.30
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    初めて読む作家さん。南仏でインスピレーションを受けて出来た作品らしい。確かに、風景描写はヨーロッパの田舎村という感じ。 全編通して不思議で静かな時間が流れる。ブラフマンが何の動物か分からなくて途中までイライラしてしまったけど(短気…)、カワウソを思い描いてからはすんなりと読めた。

    3
    投稿日: 2022.03.23
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    結局最後までブラフマンがなんなのか判明しなかったけど、なんとなくカワウソっぽい動物をイメージした。 そして最後があっけなくて驚いた。娘への主人公の怒りも感じなくて、消化不良。 でもこの人間味の無さが小川洋子氏の作品らしいと思う。 タイトルにあるブラフマンの埋葬は最後にようやく行われるシーンなんだけど、この物語自体が埋葬の儀式的なものなのかも知れない。ブラフマンが生きた時を記すことが弔いの儀式にあたるのかなと。

    2
    投稿日: 2022.02.07
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    小川洋子さんの作品は、生物の生と死を連続的なものとして、日常の延長線上に捉えているように感じることが多い。最後、ブラフマンは突然の死を迎えるような印象だが、生の次の形としての死として作者としては自然の成り行きと捉えているのかもしれない。また、ブラフマンの死の直前に青年と娘の関係性に変化が現れるような含みを持たせていて、ブラフマンの喪失が娘との関係性の発展を暗示しているのかも。穿ちすぎ?

    0
    投稿日: 2021.12.30
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    淡々と過ぎて行く孤独な日々で、いつも傍らにいたブラフマン。あまりにも唐突な事件に言葉を失ってしまった。読みながら涙が止まらなくなった。ずっと大事にしたい作品。

    5
    投稿日: 2021.12.03
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    率直に思ったのは村上春樹の文体や雰囲気に似ている、と思った。それが良いか悪いかは置いておいて、僕とサンスクリット語で謎といわれるブラフマンと名付けられた不思議な生き物とのひと夏の思い出。 個人的にストーリー的には特に秀でたわけでもないように感じた。しかし、文体のひとつひとつに小川洋子さんのカケラが見えたのでよかった。

    2
    投稿日: 2021.11.07
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    ブラフマンの足音の描写が好きだった。ブラフマンがどういう生き物なのかわからない部分もあるけど、足音を思い浮かべるだけで愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。足音だけじゃなく、食事を催促するために尻尾で床を打つ音、ひまわりの種を両手で持って齧る音、彼が生きている音がまるで耳元で聞こえてくるかのような描写が多くて、ブラフマンの気配を感じる小説だった。

    1
    投稿日: 2021.10.01
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    淡い雰囲気が漂う作品でした。 「現実感」が妙に薄く、どこか遠い国の生活を見ているようでした。 そして何より、ブラフマンがかわいい。どんな動物なのか想像しながら読み進めることはとても楽しく、可愛い姿を想像しては和みました。

    0
    投稿日: 2021.09.16
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    ブラフマンがなんなのか、動物だと思うが最後までわからなかった。 ただ、読んでるうちにタイトルの通り嫌な予感があって、やっぱりってなってしまった。 ただ、静かな世界観は心地よかった。

    0
    投稿日: 2021.09.01
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    久しぶりに小川洋子の小説を読んだ。連続して読んでいると、その世界に浸り過ぎてしまって、よくないなという気がなぜかするので、時々読むようにしている。 怪我をしている正体不明の動物を見つけ、自分の部屋で世話をすることにする。どんな動物なんだろうと想像するが、具体的に何なのか、または何に近い生き物なのかはイメージしないまま読み進めることに決めた。だからブラフマンと名付けられたこの愛すべき生き物は、わたしの頭の中でその姿は映像として浮かんでこない。 主人公は、芸術家が集まる寮(のようなもの)の管理人をしている。そこはモノを作る人であればだれでも訪れることができ、好きなだけ滞在することが出来る。彼はその人たちのお世話をしている。 生活に必要なものを買いに行く小さな雑貨屋には、お店の手伝いをしているオーナーの娘がいて、おそらく彼はこの娘のことを好きなのだろう。だけど娘には他に好きな人がいて、その人は列車に乗って定期的に彼女を訪ねてくる。いつも二人が愛を交わし合う場所は古いお墓の洞くつの中だから、きっとこの二人の関係はあまり表立ってはいけないものなのかもしれないと思わせる。 タイトルから想像できる通り、ブラフマンは唐突に死んでしまう。 寝るときにのブラフマンの様子はとてもかわいかった。甘えん坊でやんちゃなブラフマン。 泳ぐことが大好きだったブラフマン。 彼の死を一番悲しんだのはもちろん主人公であったと思うが、それでも悲しみの描写は特になく、わざとなのだろうかと思えるほど淡々と綴られていた。もしかしたら、読み手のわたしのほうが分かりやすく悲しんだのではないかと思うくらいだ。 穏やかな日差しの中にも、雨が降る前のひんやりとした風の中にも、買ったはいいけど勿体なくて着ることができない綺麗な色のセーターの袖口にも、見えないけど多分、死の影が澱のように積もっているのだろう。生きているわたしたちは、生の喜びに必ずついてまわる死の存在に気がつくことができない。そんなことを思わせるような、まるで一編の詩のような話だった。

    1
    投稿日: 2021.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作中に登場するブラフマンがなんの動物なのか、ヒントは書いてありますが最後まで明かされず。ヒントの内容にはあわないが、頭のなかではタヌキがずっと浮かんでいた。ネットで調べたところ、カワウソじゃないかという意見が多く出ていた。なるほど。

    0
    投稿日: 2021.08.07
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     登場人物は第一人称もしくは職業名で呼ばれ、わざと「個」を掴みづらい感じにしているように感じた。それが作品を貫く少し不思議な雰囲気に良く合っていた。唯一、名前が割り当てられている「僕」が飼っているペットの「ブラフマン」もなんの動物なのかが具体的に書かれているわけでもなく、不思議な生物としての印象が与えられていた。  作品や登場人物のもつ「不思議さ」や「不可解さ」は決して解き明かされるべきものではなくただそこにあるものとして肯定的に描かれていて、これがほんの少しの寂しさを含みながら作品全体を柔らかい優しい印象にしていた。

    0
    投稿日: 2021.07.29
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    最初はおぼろげなブラフマンのイメージだったけど、読んでいるうちに、ブラフマンの姿が浮かぶようになってくる。遠い国で、本当にあった話のような気がする。絵本みたいな感覚の物語。解説読んで、南仏イメージなのかと納得。

    1
    投稿日: 2021.06.25
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    森から迷い込んだ不思議な小動物を飼うことになった青年のお話。不思議な生き物がいじらしくて可愛くてたまらない。幻想的な、静謐な雰囲気のあるお話。

    0
    投稿日: 2021.06.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルで答えは出てしまっているとは言え、最後が唐突過ぎてひどく寂しい気持ちで終わりました。 結末以外で、強く印象に残っているのはブラフマンを紹介したあとの、雑貨店の女の子の冷たい反応ですね。 私は本を読み進めていく中でブラフマンに対して愛着を持っていたので、当然女の子もブラフマンを愛でてくれるものだと思い込んでいました。 しかし、女の子は「勝手に動物を育てるなんて犯罪だ」「保健所に連れて行った方がいい」という正論を伝えてきます。 少し抽象化すると、 温度感の違いや前提の違いによって、意図していたものとは異なる反応が出てくることはよくあって、それの期待が大きいとひどく落胆してしまうことがあるということかなと勝手に解釈しています。 (しかも、それは双方向的に起こる)

    1
    投稿日: 2021.06.19
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    タイトルから結末はわかってたけど、あまりにも最後が突然すぎて悲しかった。 別れというのは突然にやってくるんだなと。

    1
    投稿日: 2021.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

     引き込まれるように読んでしまった。ページを手繰ること数時間、日をまたぐことなく読み終えました。その誘いは至って優雅であり、決して推理小説のように貪るように本へ向かわせるのではなく、寧ろ私をそそのかすかのように優しく誘うようでありました。  としゃれ込んだ書き出しをしたくなるほど、本作の文章は美しく、帯に書いてある通り、静謐という形容が一番しっくりくる書きぶりでした。  文体が綺麗といっても、感覚とは相対的であり、人によって当然違います。異性の好みで例えると(ごめんなさい)、ちゃきちゃきした子がかわいいと思う人や、お嬢様系の人をかわいいと思う人、所謂グラマラスな方がいいとか、それはもう好みの問題とおんなじで千差万別です。  私が文章が綺麗と言うとき、真っ先に思い立つの西加奈子さんです。なんというか、個性的な美しさ、あるいは横溢する生命力のような力強さに惹かれます。一方小川洋子さんの作品もこれはもう美しいという以外の形容ができない文章でして、非常になめらかでおしとやかと言うのでしょうか。深窓の令嬢というか正統派美人というかのごとく、生まれや育ちが雰囲気から違うのを感じてしまうかのごとき美しさ。でもその雰囲気は、自然でいてかつ押しつけがましくない、寧ろ控えめといった体です。  と、書いた後で本作の文体の美しさが伝わったかやや不安になりましたが。。。  さて、本作の内容ですが、先ずタイトルからして予想がつきませんでした。冒頭で主人公の住処の窓を叩き、助けを求める存在。それが何らかの小動物だとわかりますが、ん?タイトル何だっけと肩に目をやりますと、ブラフマンの埋葬、とあります。ああ、何かしらの動物がブラフマンという名前で、これとの絆が構築され、そしてそれが途切れる、系の哀しい話なのかな、と当初は想定しました。  ところが実際には手に汗を握るような展開などなく、展開はいたって淡々と進みます。そしてあっけないばかりの突然の終了。  また、主人公以外にも数人の登場人物が出てくるものの、それらの背景や主人公との関係が騒がしく語られることもなく、その意味でも「静謐」。文脈や行間を想像しながら味わう作品であると思いました。 ・・・  実は小川氏の作品は遅ればせながら、私にとっては今回が初めてでありました。いくつかのブログで書評を拝見しておりとても気になっており購入に至ったものです。  ドラマチックな展開や大胆な構成が取られているわけではありません。ドラマ好きやアッと驚く系が好きな人にはお勧めできかねます。文章そのものの書きぶりを味わえる方にはおすすめできます。その点ではちょっと難易度高めだと思います。

    0
    投稿日: 2021.06.10
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    和製純文気分で、ブラフマンの埋葬読了。 ブラフマンは、主人公と暮らしはじめた何かの哺乳類に付けられた名前。 ブラフマン以外の者に名前のない物語の中で、ブラフマンと共に送る日々日々、その喪失が静かに語られる。

    0
    投稿日: 2021.05.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルが「ブラフマンの埋葬」なのだもの、ブラフマンの最期について読まなければいけなくなるだろうことは最初からわかっていた筈なのに。 たった180ページの作品の中で、ブラフマンは確かにその愛くるしい姿で生を謳歌していたのだ。 ブラフマンが何という動物なのかは作中で明らかにされてはいないけれど、私の脳内ではすっかりそれはカワウソとなって、せわしなく動き回り、水と戯れ、満ち足りて眠りについた。 ブラフマンの姿を見守ることは、私にとって、子どもを見守るときのような幸福を与えてくれた。 だからその瞬間、最初からわかっていたはずのその瞬間が来た時、私は全く無防備だった。 僕とブラフマンの間にある、言葉すら必要としない全きな信頼と愛情。 子どもが親を慕うように、無条件で僕を信じ、求め、僕に何かあったら全力で守ろうとするブラフマン。 こんなに美しい感情のやり取りがあるだろうか。 だからこそ、警戒しなければならなかったその瞬間、脳内でブラフマンの姿を追っていた私は、ただ涙を流しながら立ち尽くすことしかできなかった。 たった180ページ読む間に、ブラフマンは私の心の中にしっかりと住みついてしまっていた。 そしてその瞬間、その場所がパリンと乾いた音を立てて壊れたことを、感じた。

    2
    投稿日: 2021.03.04
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    ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受賞作。

    0
    投稿日: 2021.01.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ブラフマンが可愛い。 私はカワウソのような生き物を想像して読んだ。描写に愛しさが込められてる。 ブラフマンについてメモの様に書かれている部分、創作者の家で働く主人公、主人公が買ったある家族の写真、、その意味を読み取りたい。 埋葬人たちの仕事、その棺のある古代墓地、そこへ向かう娘と男。この村の文化の中で、死を厳かで丁寧に、かつ冷たくはないものとして描いている。 一方でブラフマンは静かな死と対照的な様に生き生きと動き回っていたが、やがて突然事故で死んでしまう。 それを悲しみながらも受け入れる主人公。死に対する捉え方。ただただブラフマンに対する愛情が、悲しみよりもずっと深かったのかもしれない。

    0
    投稿日: 2021.01.27
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    ぼくがブラフマンを大事に思っていることを 読者に伝える表現の仕方が、 こんなにたくさんあることに驚いた。 そして物語が進んで ブラフマンを愛しく思う気持ちが高まるにつれ、 きっと来る(と、読者は題名で知っている) ブラフマンとの死別のことを考えて 不安とか緊張とか、 心のざわめきが強くなってくるのを 感じながら読んだ。 「静謐」ってよく表現される小川洋子さんの文章、 個人的にとても好きだなぁ。 淡々と綴られるからこそ 小さくて鋭くて品のいい痛みが 感じられるというか。 博士の愛した数式をまだ読んでないので、 読了即Kindleで買いました。

    7
    投稿日: 2021.01.16
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    僕とブラフマンの幸せな日々。だけどそれは終わりに向かっていた。皮肉にも僕がきっかけを作った思いもよらぬ原因で。現実にはこういうこともある、という教えにも受け取れた。 創作者の家の泉でブラフマンは美しく泳ぐ。落ち葉の上で転げ回ったり、どんぐりを拾って森で遊ぶ。一つ一つの場面が浮かんで美しい世界が輝やきました。 (おそらく)自然界で居場所のなくなったブラフマンは優しい僕の元にやってきた。心が清らかすぎる青年、僕は社会で生き辛く感じていたのかもしれない。似たもの同士。 ブラフマンは僕の元で過ごせて、僕に抱かれて息絶えて幸せだった。 創作者の家の管理人僕は、自分も究極の創作物をと、 最高の埋葬でブラフマンに愛情表現をする。 ラストは泣けてしかたない。 最初で最後のたった一回きりの、ブラマンの声。どんなだろうと想像するのは辛すぎた。 レース編み作家の人間性が素晴らしいと思った。最初は冷たく感じもしたが、言っていることは真っ当だし、最後は限りない優しさを見せる。 淡々とした中に、優しさと残酷さがありとても心に染みました。現実逃避できそうな物語。周りの人に優しくしようと思えました。

    24
    投稿日: 2021.01.05
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    不思議な小動物のブラフマン。彼と過ごした一夏の思い出。とりあえず、カワウソのようなものを想像しながら読み進めた。自然豊かな田舎の避暑地という風情で、そこはかとなくヨーロッパの香りも漂う。結末を承知の上で読んだが、「僕」とブラフマンの日常が満ち足りており、それだけに最後はしんみり。分別という点で「僕」や「娘」に思うところはあれど、美しい情景描写と文章のリズムが心地よく、何度でも味わえそうな作品。

    0
    投稿日: 2020.12.18
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    静かな物語です。 ブラフマンがやってきて、ブラフマンが去っていく。 ブラフマンが来る前に戻るだけなのに、世界は全く違いものになっているんだろうな。 無常感を感じました。 村上春樹作品にあるような小説の空気感で、読んでいて心地よかったです。

    0
    投稿日: 2020.12.02
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    小川洋子さんの作品のなかでいちばん好きなもの。 こんなに愛おしくなる「謎」な存在ははじめてだった。小川洋子さんの確かな筆致が、小説なんだけど本当にいるような気持ちにさせた。 読み終わって数年経って細部はあやふやになっても、ブラフマン、と呼べば優しく切なくあたたかい感情が湧く。 私にもなにかを慈しむ思いがあったんだなぁと思わせてくれる。

    0
    投稿日: 2020.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    芸術家が集まる「創作者の家」で管理人んする「僕」がある日裏庭にたたずむ「ブラフマン」と出会う。 ブラフマンは茶色で胴の1.2倍の尻尾をもち、四足歩行で水かきのある小動物。 登場人物全てホルン奏者や碑文彫刻師、僕、娘といった具合に名前はない。 唯一、謎の小動物にだけブラフマンと呼ばれている。 ブラフマンと僕の静かな生活と、僕の書くブラフマンの成長記録で進んでいく。 最後は突然の呆気ない別れで物足りなさも感じたが、すごくシンプルな文章にはこの方がいいのかもしれない。

    0
    投稿日: 2020.09.30
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    僕は芸術家たちに仕事場を提供している「創作者の家」で用務員さん的な仕事をしている。ある日、森からやってきた生き物を拾う。彼をブラフマンと名付け、愛おしみながら育てる。創作者の家にはいろいろな芸術家が集まる。僕とブラフマンの生活を描き、様々な人との出会いを描く。 僕は誰なのだろう。出来るだけ人との深い付き合いをしないように暮らす。寂しさをブラフマンが埋めていく。煩わしい付き合いはないが、どうなのか。 しかし、ブラフマンは可愛い❤️

    1
    投稿日: 2020.08.01
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    ブラフマンが登場してから、ブラフマンがどうにかして死んでしまうんだろうと、そわそわとうっすら不安を感じながら読み続け、そのせいか最後に涙しました。この方の本は、もっと静かな気持ちで読むことが多いので、新鮮でした。新鮮さという点では、出てくる娘さんの素っ気なさ。主人公が彼女に惹かれる気持ちと、彼女の素っ気なさ、自分勝手さが切なかった。

    0
    投稿日: 2020.05.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    怪我をした謎の小動物を拾い育てる、静かな愛情に満ちた物語。 自然に囲まれた穏やかな生活と、その1つの愛をただただ大事にしていることが伝わる。登場人物たちに孤独を感じるけれど、皆どこかに優しさがあり情がある。 動物の素直さ、ひたむきさに心がギュッとなる。生きることに真っ直ぐな小さな命に教えられることは多い。

    0
    投稿日: 2020.04.16
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    最初、ブラフマンは、得体の知れない不気味な生き物としか写らず、拒絶感がありましたが、物語が進んでいくうちに、可愛らしい目で、ひげもあって、水かきもあるというふうに、ブラフマンに関する情報がぽつりぽつりと増えいき、加えて主人公の「僕」に懐く様子も微笑ましく、どんどん愛らしく感じられるようになりました。 情報を小出しにして、読者を惹きつける手法が非常に効果的に働いていると感じました。 誰ひとり名前で語られていないので、日本のお話なのか、どこか外国のお話なのかわかりませんでしたが、そのことがこの物語の独特な雰囲気を引き立てていると思いました。

    3
    投稿日: 2020.04.15
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    舞台は日本ではなく、ヨーロッパの片田舎なのか?登場人物は、誰も名前はなく、唯一名前が出てくるには、主人公の「僕」に助けられて育てられた小動物の「ブラフマン」のみ。愛くるしく、ちゃめっけタップリのこの動物が何かも明かされない。登場人物の誰もが、それぞれの領域を持ち、侵犯しない。そして、登場人物それぞれの素性が明らかにされないまま、「ブラフマン」と「僕」との生活が綴られる。しかし、「僕」が「娘」の領域に入ろうとした途端、「ブラフマン」との生活はあっけなく終わってしまう。

    0
    投稿日: 2020.02.18
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     林の中にある「創作者の家」と呼ばれる施設の管理をしている「僕」の元に、ある夏の日、傷を負ったブラフマンは現れた。「僕」はブラフマンの傷の手当てをし、元気になった彼とひと夏を過ごすことになった。  ブラフマンとは、サンスクリット語で「謎」という意味。その名の通り、物語の最後まで、ブラフマンがなんの動物なのかは明かされない。ところどころに挟まれる描写から、小動物であることが想像できる。犬なのか、テン、イタチ、オコジョ・・・読者の想像がかき立てられる。  また、「僕」を含めた登場人物の名前も、一切明かされることはない。そういえば、先日読んだ小川洋子さんの小説「博士の愛した数式」でも、登場人物には名前がなかった。名前という具体的なものが出てこないことで、物語全体が、輪郭のない雲のようにふんわりとした印象になる。しかしそのふんわりとした中から、ブラフマン(や、博士の)への真っすぐな愛が、少しずつ確実に描き出されていく。余計なもの、直接ストーリーに関係ないものを極限まで省いて、ゆっくり丁寧に、ときに回り道をしながら読者に語りかけていく文章のスタイルは(まだ二作しか読んだことないけど)、小川洋子さんの最大の魅力なのかなぁと思った。

    0
    投稿日: 2020.01.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子さんの小説を読んでいると、アメリカのアーチスト、ジョセフ・コーネルの作品をふと思い出す。シックな手作りの箱にに収められた砂や雑誌の切り抜き、ふちの欠けたワイングラスetc。作家周辺の何でもない雑貨や木片が愛情を持って組み合わされ、ノスタルジックな世界を作り出している。 著者の作品に登場する人物や動物もそのように愛情を持って丁寧に扱われていると思う。 余り好ましい登場人物でなくてもそう。 何となくホッとする。 結局ブラフマンって川獺だったのかな?

    0
    投稿日: 2019.10.09
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    図書館に行くと職場の女の子がいて、この本を勧めてくれました。ワタシは「マチネの終わりに」を勧めました。女の子に本を勧めてもらっった本を読むのは「世界の終わりと…」以来のことです。 ブラフマンという言葉を聞いて、何か哲学の匂いを感じましたが、そうだったのかどうかは分からずじまいでした。僕の心がちょっとそれて、ブラフマンが一番でなくなったその一瞬のあっけない幕切れに、行き場を失った感じがぬぐえません。

    0
    投稿日: 2019.10.04
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    小川洋子さん第1作 作風が心に馴染んでとても好きだと思った そよ風、牛乳、円やかで少し外国っぽい表現だなとも思った 悲しいことも描くけど、憎悪や絶望を抱くのではなく、すべて受け入れて流していくような優しい世界だった ブラフマンと主人公の関係も素敵だった 吉本ばななさんに似ている

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    投稿日: 2019.08.21
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    久しぶりに本を読みました。最近映画を観ることが多かった。 やっぱり落ち着くし、目が疲れないからいいなあ。 久しぶりに本を読んだので、読みながら、自分が本を読む意味って何だろう?というところから考えていました。 私の場合は、まず一つに綺麗な文章を眺めたいから…というのが強そうです。クラシック音楽を聴くように、美してくて現実離れしたものを取り入れることで、リフレッシュしている。 二つ目に、自分の無意識が何に向いているのかを自覚するツールに使っているようでした。 今回の「ブラフマンの埋葬」に関しては、私の無意識は「自分」というものに向いていました。 終始、ブラフマン=「僕」の分身という読みになっていたためです。 不器用で醜く、人から嫌われる「ブラフマン」。「僕」とは戸惑いとともに出会い、調和していく。共に侵略者と戦うも、最後は死に向かう。 創作者の家が「僕」の箱庭的位置だとしたら、少女もまた侵略者であり、ブラフマンはそれから守ろうとしている。 疲れている時に読んだら、また違う感想が出てきそうだなと思います。

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    投稿日: 2019.07.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子の小説はいつも死がそばにあり、時に死そのものでもある。静けさが漂う作品も多く、この作品では「らしさ」を存分に堪能できるのではないかなと思う。通勤電車で読んだが、短い物語なので、休日の夜中など音の少ない時間にじっくり読むとさらに世界に深く居れるかもしれない。 この世界もどこか淡白で、静かで、無国籍だ。そこに色濃く浮かび上がるのがブラフマンである。現実でも命の終わりのあっけなさを目の当たりにする機会は多い。そして愚かなことに人はすぐに忘れる。つらく苦しい記憶は忘れないと生きていけないのだという。 生死の境は本当にわずかなものでしかない。最後に並ぶ言葉は、淡々とした事実と愛おしさのみである。小さな死を取り巻く登場人物たちは、目の前の出来事がこの世の真理だと知っているかのようで、取り乱す者はいない。ただ、特別な存在が去る悲しみは確かに散らばっている。

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    投稿日: 2019.06.01
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    第32回(2004年度)泉鏡花文学賞受賞作品。 主人公は、芸術家が滞在する「創作者の家」の 管理人。ひょんなことから、生き物を飼うことになる。 ブラフマン(サンスクリット語で謎)と名付け、 その実際、謎の生物であるブラフマンと 過ごす穏やかな日々が描かれている。 その穏やかな日々は、主人公が好意を寄せている娘に よってあっけなく終わってしまう。悲しく凄惨な 終わり方のはずなのに、それすらも小川洋子にかかると 穏やかに締めくくられる。 もう15年も前の作品なんですね。 そのことに驚いてしまいました。

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    投稿日: 2019.05.13
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    山と川に囲まれた村にある〈創作者の家〉には,作家や彫刻家,演奏家といった芸術家が逗留する。そこで住む込みの管理人をしている僕は,ある日森で傷付いた小動物を救い,「ブラフマン」と名付けて一緒に暮らすことにした――四つ足で歩き,長い尾を持ち,上手く泳ぐための水掻きを持ち,ひまわりの種を好んで食べるこの小動物は一体何者なんだろう――。トイレを教え,家具を噛まぬように躾け,甘えるのをなだめ,暗闇を恐れるブラフマンを抱いて眠る。そして小説のタイトルは『〜の埋葬』である。謎めいた物語。寓話なのか? (乃木坂文庫版,表紙は久保史緒里さん)

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    投稿日: 2019.02.11
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    第32回泉鏡花文学賞 著者:小川洋子(1962-、岡山市中区、小説家) 解説:奥泉光(1956-、山形県三川町、小説家)

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    投稿日: 2018.12.21
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    最後 悲しい ブラフマンて何のことなんだろうと、普段あまりしない読み方をした。 不思議な気持ちになった。

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    投稿日: 2018.09.06
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    小川洋子さんらしい雰囲気の漂う物語。 不思議な動物との不思議な生活。日常生活は当たり前のように過ぎていくのだけど、その中で起こる非日常。 それが流れるようにゆるやかに起きていく。 映画を観ているように美しいシーン。

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    投稿日: 2018.08.16
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    なんとも不思議な雰囲気の小説。ネコのようなイタチのような正体不明の動物ブラフマンと主人公の僕との交流を描く。小動物を飼っている人であれば、自分に懐いてくる存在の愛おしさがわかるだろうが、この物語の大半はブラフマンのかわいさ推しである。タイトルから推測される通りブラフマンとの別れが待っているが、意外と悲しさの描写がない。登場人物には名前がなく淡々とした印象。 主人公僕が娘に抱く叶わぬ恋心があるが、破滅への願望が透けて見える。その結果として最愛のブラフマンとの別れを招いてしまう。淡々とした描き口の中にじんわりとした母性本能と寂寥感を感じられる小説。

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    投稿日: 2018.05.19
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    ブラフマンとは何か?ヒンドゥー教の超越的な宇宙心理を名前に持つ生き物は、結局具体的な生物としては示されない。名前の由来となった「謎」そのものだ。しかしそれは「僕」の生活に変化を与え、なんとなくせわしない毎日にそっと彩りを与えるような「愛すべき」存在だったのだ。 そのことは、ブラフマンに出会った時から感じていたのだが、改めてはっきり認識したのはその埋葬のときだった。ホルン奏者のホルンの音が遠く響くとき、森の静謐を改めて感じつつ、もうこれ以上心配しなくても「僕」はずっとそばにいると伝えるときだ。 「僕」が好きな娘からは冷たくされていることにうすうす気づきつつ、それが恋ごころの妨げにはならない、ということとどこまでも心配なブラフマンを守ってあげるという気持ちが崩れるとき、何が変わるのだろうか。小川洋子はそこは示していない。水面に小石が落ちた時の水紋が静かに広がっているように読者にさざ波をおこしたところで物語は終わるのだ。

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    投稿日: 2018.05.03
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    ブラフマンと、僕が過ごした一夏の物語。 ブラフマンがとてもいとおしくなります。 どんな動物かは想像するしかありませんが、かわいい。わたしもブラフマンを撫でたい。 日射しや風景が日本っぽくない、と思っていましたが、解説で、南仏のイメージなのだと知りました。 タイトルから感じてはいましたが、ラストが寂しいです。

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    投稿日: 2018.04.13
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    「いいえ、お安いご用です。いつでも助っ人に参ります」そう言うように、腕の中で、ブラフマンはフンと鼻を鳴らした。 きれいな本。ブラフマンについて事細かに描かれているのに輪郭がボヤっとした印象を持つ。ブラフマンは一言も話さないが、その表情や動作から、僕が想像するセリフがかわいくて、せつなくて、静かに涙する作品。

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    投稿日: 2018.03.02
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    はじめは犬に興味が持てなかったのだが、最後にはこの作品がいかに美しくまとまった芸術作品であるかを理解した。読了後は心に静けさが漂う。 ところで、ここのコメントを読んでいると、人によっては犬ではなく、猫だったりカワウソだったりカピバラだったりしてとても面白い。

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    投稿日: 2018.02.13
  • えっこれだけ…?という感想

    淡々と描かれる日常を追う物語。 読み終わったあとに、残る感情があまりなく、面白かったとは思いませんでした。 話題作だったので期待しすぎたかもしれません。

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    投稿日: 2017.11.11
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    小川洋子さんの物語を読むと必ずのように「静謐」という言葉が浮かんできます。活発で愛らしい小動物ブラフマン(カワウソ?)を主要な脇役とするこの物語でもそうです。おそらく文体がなせる業なのだと思うのですが、賑やかなはずなのに静謐。小川作品に手を出す理由は、その心地良い静謐感に浸りたくなる時が多いのです。 タイトルが示すように、最後にはブラフマンは死んでしまうのですが、なぜこのタイミングなのかは良く判りませんでした。何か小川さんなりのこだわりがあるのでしょうが。。。

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    投稿日: 2017.09.06