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阿Q正伝・狂人日記 他十二篇-吶 喊
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇-吶 喊
魯迅、竹内好/岩波書店
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総合評価

68件)
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    中国史に詳しくないため、肝心の阿Q正伝を読解しきれない。でも面白い。訳註が詳しくて助かった。 「小さな出来事」が好き。太宰治の「黄金風景」をなんとなく思い出した。

    0
    投稿日: 2025.10.20
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    中国の文化などの背景を知っていないと楽しめない内容だった。注釈を読んでまた別で調べてという感じで読むのに時間がかかったが、当時の中国の少し暗い部分を感じることが出来て面白かった。

    0
    投稿日: 2025.08.16
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    中学生の時に読んだ「故郷」に惹かれて、大人になって改めて読んでみた。 今だからこそわかる魯迅の熱さがたまらない。 小説にこれだけ作者が見える作品って凄いと思う。 命をかけて書いた歴史的小説だからこそ、今なお読まれているんだな。

    1
    投稿日: 2025.08.09
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    高校の頃に読んだ故郷や、初めて読んだ阿Q正伝など多くの魯迅の作品が盛り込まれた書籍。故郷は魯迅のバックグラウンドを学んだ上で読むと感じ方が大きく変わった。

    4
    投稿日: 2025.07.06
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    当時の中国を描いた作品なので、情勢が分かっていないと読みにくい部分も多々あった。巻末の索引と解説を見ながら読んだ。明るい話は少なく当時の社会の暗い部分をこれでもかと読まされる。それでもどこかしらユーモラスで面白い。

    0
    投稿日: 2024.10.13
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    短編集。やはり阿Q正伝が心に留まる。 自分の中にも阿Qがいるのではないか?山月記の李徴のような。 「思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」(99頁、故郷)

    0
    投稿日: 2024.10.02
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    阿Q正伝と狂人日記だけ 高校の授業の文学史って全然作品の中身に触れないけど、実際に読んで解説される授業があったとしたら、もっと多くの人が文学に興味持つようになるんだろうな 時代背景知ってると近代文学がもっともっと面白くなる、でも時代背景知ってないと面白くないかも

    0
    投稿日: 2024.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ⚫︎受け取ったメッセージ 無知は最大の罪 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 中国の文学者・思想家である魯迅の長編小説。1921年、中国の新聞「晨報」に発表され、注目を集めた長編小説。辛亥革命の時代を生きる阿Qという日雇い労働の男が、ある事件をきっかけに土地を追われ、意味もわからぬまま革命に加担、処殺されるまでを描いた。自尊心が高く無知蒙昧な愚民として典型化された主人公を通して、当時の中国社会の病理を鋭く告発した作品として評価された。特にこの作品を気に入った毛沢東が談話でしばしば引き合いに出したため、魯迅の名声が高まったと言われる。 ⚫︎感想 都合の良い方ばかりを信じる人間の習性、何も学ばない人間の行き着く先は、身の破滅。常に広い視野を持とうという姿勢を大事にしなければならない。興味がなかなかわかない、でも大切だと思うことにも、一通り知識は持っていたい。

    1
    投稿日: 2023.10.31
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    学生時代教科書に載ってたいくつかの短編以外も急に気になって、初めて自分から魯迅の一冊を読んだ。 魯迅先生は僕の最も尊敬している人間の1人で、10年前仕事で仙台に行った時も、魯迅がかつて留学した時使っていた教室を見学したり、当時使用していたノート(確か)や成績簿の展示を見たりしたくらい。勉強が嫌いだったので基本的に教科書に載っている文章こそ嫌いになりがちだが、こころから感心していたのは魯迅の文章くらいだった。特に「故郷」は、今回読み返してもほとんど一文も忘れていなくて当時は確か全編暗記してたような気がする。 やはり魯迅先生は偉大な作家だけではなく、筆を武器にして戦う戦士だなぁと改めて感じた。少しずつ他の作品集も読んでいこうと決めた。

    3
    投稿日: 2023.07.31
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    1900年代初頭の中国の社会情勢がよく読み取れるような本だった。 中国史には詳しくないが、それでもどのような背景でこの短編・中篇小説が書かれているか、背景が思い浮かぶ描写が所々に見られた。 少し言葉が難しいところもあるが、注釈も書かれているので読み進めやすい本。

    0
    投稿日: 2023.07.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    有名な阿Q正伝を読んだ。 著者が日本に留学していたためなのか、それとも翻訳者の作風なのか、この本が書かれた時代の他の日本の文豪が書いた作風になんとなくにたもの感じる。 彼が医学から文学へ転向したのは、中国人スパイが処刑されるのを、同胞が処刑されるのをぼんやりと見ている中国人を見たからといった逸話が最初にできているが、全体を通じ、決して中国人だからというよりは、普通に昔の日本人にも通じるような、逸話が全体を通じて散見されるように思う。 もちろん中国と日本は違う文化的変化を遂げていること、当時の中国固有の社会システム等の中での出来事を語っているので、ぱっと見は違うが、何かしらの外的要因により、酒を飲んであばれる、自分を高めて見せようとする、皆でバカにするといったアウトプットにつながっていく様はなんだか日本人とも非常に似ている気がしてならない。 彼が言いたかったことは、もしかしたら下記の一文に全て現されているのではないだろうかと思ってしまった。 P.180 もし創造主を責めることを許してもらえるなら、私は言いたい。かれはあまりにも無造作に生命をつくり、またあまりにも無造作に生命をこわしすぎる。

    0
    投稿日: 2023.04.04
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    じぶんの書物とその発露のことを吶喊!と言える覚悟よ〜 まあなんてことなく、寂しさから、とか、あることをなんとなく書きました、とか言ってるけどほんとうに心決めてないとできないことよね、かっこいい 文章もかっこいい、逃げてないかんじがある

    1
    投稿日: 2023.02.09
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    清朝末期の貧窮知識人(?)を描き出す短編 ■孔乙己  官僚身分であることを示す官服(すでにボロボロになっている)を着てツケで呑む。そのうちツケも通らなくなり… ■風波 村の知識人 本を振りかざして三国志の人物批評をする “趙七爺は隣村の茂源酒店の主人である。五里四方の内ではたった一人の図抜けた人物で兼ねてなかなかの学者先生である。彼は学問があるのでいささか遺老の臭気がある。

    3
    投稿日: 2022.11.03
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    読んでてまったくわからん。笑 『孔乙己』については、宮崎市定の『科挙-中国の試験地獄-』(中公新書)の巻末近くにその背景が出てくる。それを読んでやっと少し理解できた。

    0
    投稿日: 2022.10.04
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    岩波文庫  魯迅 「 吶喊 」 解説 竹内好 愚民の精神を改造するには、医学でなく文芸だと宣言した「自序」に始まる短編集。苦労人 魯迅の雄叫びと皮肉といったところ 儒教道徳が人を生きづらくすることを人喰いに喩えた「 狂人日記 」〜ラストシーンは、仁義道徳をまだ知らない子供に将来を託したということか? 奴隷根性の世界を描いた代表作「 阿Q正伝 」〜ラストシーンは、自序の「具弱な国民は〜どんなに頑強であっても〜見せしめの材料と、その見物人になるだけだ」を意味? 政治的な意図を持つ啓蒙小説なので、対立は匂わせるだけで、抵抗を煽るレジタンス文学というより、寂寞を憂い、民心改造を強調している 「髪の話」の「すべてを忘れるのが幸福なんだ。自由とか平等とか、そんな言葉をおぼえさせると、一生苦しみの種だ」が奴隷根性だと思う 「故郷」思うに希望とは〜それは地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ

    0
    投稿日: 2022.06.09
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    近代文学の祖である魯迅による短編集。 当時の中国の社会背景や共通認識が分からなくてよくり理解できないところは多々あったが、ユーモアとシニカルの混じった魯迅の表現が面白く、一気に読了してしまった。 ・阿Q正伝 阿Qの本質はそのポジティブさにある。何が起こっても自分を蔑まず、いや蔑むことすらも自分の長所だと捉えることで、めげずに成功を求め続ける。自分を棚に上げて他人を見下すことができる。これは人間の精神衛生的にはとても良いことだと思う。 たとえそのせいで死んでしまったとしても、阿Qは幸せだっただろう。 ・故郷 『故郷』は中学の時に教科書に載っていた以来に読んだが、当時とは違って非常に心を動かされた。自分の心境の変化によってまったく見え方が違っている故郷、今の立場の違いからまったく関係性の変わってしまった幼馴染、子世代にはそうなって欲しくないと願いながらもそれが不可能だと薄々感じている絶望感、すべて今の自分に刺さる描写だった。 何かを得たならば何かは手放さなければならない。言語化すれば自明ではあるが、改めて突き付けられると中々に手厳しい。

    0
    投稿日: 2022.04.13
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    阿Qの最期は自業自得である。一族の抗争など当時の人々の考え方や社会の雰囲気が短い小説の中に凝縮されておりそこが興味深い点であった。

    1
    投稿日: 2022.02.13
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    格差社会の最下層として生きる上で、なんでも自分の都合よく考え、自分を騙すくらいでないと、生きるのが辛いのではないかと感じた。 最後無抵抗のまま死んだのは、自分が周りより劣っていてとてもちっぽけな存在だということに気づいてしまったから、無抵抗のまま死んだのだと感じた。 当時の中国の情勢がよく伝わる内容であった。

    1
    投稿日: 2021.10.03
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    誰が狂人だって言うんだ。お前が狂人なのではないか?昔からやってるからっておかしくはないのか? それを指摘する俺が狂人だって言うのか?? 疑心暗鬼になる彼、中国の当時の様子が伝わりました。 故郷。まるでペールグリーンのような爽やかな物語。風を感じる。日本にも通じるようなノスタルジー。

    0
    投稿日: 2021.09.28
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    おまえ(祖国フィリピン)は社会的な病に苦しんでいる。わたしはみずからの自尊心さえ犠牲にして、ベールに隠された(病に苦しむ)おまえの姿を明らかにしよう。わたしもおまえの子として、おまえの欠点と弱点のために苦しまなければならない。ホセ・リサールRizal『ノリ・メ・タンヘレ』1887 ++++++++++++ 阿Q。日雇い労働者。自尊心が強い。強者には媚びへつらい、弱者には威張り散らす。強者の理不尽には理屈をつけて自分を慰める「精神勝利法」。都合の悪いことはなかったことにする「忘却術」。ちっぽけな自尊心を癒している。無知と無自覚。中国民衆に蔓延した情けない道徳観(奴隷根性)を変えなければならない。魯迅『阿Q正伝』1922 女の天性には母性と娘性とがあるが、妻性はない。妻性は無理に作られたもので、母性と娘性との混合でしかない。魯迅『而已集 小雑感』 絶望は虚妄である。希望がそうであるように。魯迅『野草』1927 *魯迅Lu Xun(ルー・シュン)。日本へ留学(1902)。(現)東北大学医学部で藤野教授に医学を学ぶ。魯迅「中国人は日本人の誠実さ・真面目さを学ばなければならない」▼同胞が公開処刑されるのを好奇の目でみる中国民衆に衝撃を受ける。文学で民衆の精神を変えようとした。

    0
    投稿日: 2021.08.16
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     標題の「阿Q正伝」は、阿Qと呼ばれる名前もはっきり分からない、行状もはっきり分からない、当時(1920年頃)の中国の最底辺で暮らす、家も無い、家族も無い、日雇労働者で稼いだ金は全て飲み代に使ってしまうような男が主人公。  皆から馬鹿にされ、しょっちゅう殴られているのだが、変なプライドがあり、例えば殴られた時でも「息子に殴られたようなものだ」とか「我こそ自分を軽蔑出来る第一任者なり」などと考え、自分を納得させて、殴った相手よりも意気揚々とその場を立ち去る。  しかし、自分よりも見すぼらしい者や女性のことは軽蔑している。  ある時、その町に革命軍がやってきた。その革命軍が町の有力者を怯ませたと聞いて、「革命軍に入るのも悪くないな」と考えるのだが、革命軍側についたのは、町の有力者で、阿Qは革命軍に入れて貰えるどころか、とっととその場を去れと言われる。  結局、無実の罪で、拘束され、それでも見せしめの処刑になる寸前までそのことに気づかず、悲しい最後を遂げる。  これは中国の当時の社会の闇なのか、その当時の世界の流れなのか、それとも負の連鎖で、今のこの日本でもこのようにいつまでも報われない底辺の人がいることに私が気付いていないのか……と哀しくやるせなくなる中篇だった。  他の作品は短編が多く、社会の底辺の悲哀を描いたものが多かった。魯迅は、自序に書いている通り、子供の頃は父親の病気のために、質屋とくすりやに通い詰める、貧しい暮しではあったらしいが、それでも少しは人を雇うような家で、当時の西洋学を学ぶ学校に行き、日本にも留学している。「故郷」という作品では、子供のころ仲良くした使用人の息子と二十年ぶりくらいに出会い、「旦那様」と呼ばれ、彼の暮らしが大変で有ることに距離感を感じてしまう寂しさが書かれていた。 貧しさの経験があり、底辺の人を描きながら、ある程度偉く有名になってしまった自分に矛盾を感じていたのかもしれない。

    20
    投稿日: 2021.02.26
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    「故郷」は確か、高校の現代文の授業で読んだ覚えがある。非常に情景描写の美しい短編で、印象的である。特に好みなのは、「孔乙己」。酒場の描写で、映画「紅いコーリャン」のワンシーンを思い出した。それにしても、孔乙己はお人よし過ぎたのだ。 中国事情に疎すぎるため、巻末の注をパラパラとみていると、頁がなかなか進まなくて苦労した。背景知識もある程度ないと、本当の意味では楽しめないのかもしれない。

    2
    投稿日: 2018.06.18
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    この歳になるまで魯迅を読まずに来てしまったのですが、勿体ぶらずにさっさと読んでおくべきだった。こういう世界であったか、まさに近代文学。著名な表題作のほか、「故郷」のラスト1行が心を打ちました。

    0
    投稿日: 2017.07.19
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    阿Q正伝 自分の中で折り合いをつけていく阿Qの考え方は必要 読んでいてつげ義春を思い出した 井上井月に似てる

    0
    投稿日: 2017.03.01
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    多分大多数の人と同じく、教科書で「故郷」を読んだだけで大人になってしまったのだが、名作をきちんと読みたいと思うようになり、読んでみた。やっぱり魯迅は竹内好、と昔買ってほったらかしていた岩波文庫を読む。 原題は『吶喊』。はじめの「自序」で、魯迅が文学を志し、この短編集を書くに至った理由が綴られている。父が闘病中、名医と言われていた漢方医にかかり、高価な薬(三年霜にあたった砂糖きび、つがいのコーロギなど、)を処方された挙句死んでしまい、「漢方医というものは意識するとしないとにかかわらず一種の騙りに過ぎない」と西洋医学を学ぼうとするが、仙台の医学専門学校に留学した時、ロシアのスパイの容疑で斬首される中国人と、その様子を見る野次馬の中国人のスライドを見せられ、「医学などは肝要ではない、と考えるようになった。愚弱な国民は、たとい体格がよく、どんなに頑強であっても、せいぜいくだらぬ見せしめの材料と、その見物人になるだけだ。病気したり死んだりする人間がたとい多かろうと、そんなことは不幸とまではいえぬのだ。むしろわれわれの最初に果すべき任務は、かれらの精神を改造することだ。」と考えるに至る。  その思いが一番よく表れているのが「阿Q正伝」である。この本の中で一番長い。最底辺に生きながら、自分の中で理屈をつけてプライド高く生きる愚かな男阿Q。その死に方は、魯迅の憤りを伝える。お前たちは阿Qと何の違いもないのだぞ、ここまで書けばわかるだろう、という。 しかし、本当に名作なのは「孔乙己」ではないかと思う。「故郷」もそうだが、ここには憐れみとやさしさがある。ユーモアは阿Qにもあるが。その他「薬」「小さな出来事」「端午の季節」なども良い。これを読むと、魯迅が作家として優れていることがよくわかる。 名作はやはり読む価値ありと思える一冊だった。

    2
    投稿日: 2016.08.18
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    再読。20世紀の初め、動乱の大国中国で地を這うように生きる阿Q達。かつてよりも自分と阿Qが重なるのを寂寞たる思いで読んだ。別に人生に絶望を感じている分けでなく、諦めた分けでもない。ただ、色んなものを受け入れやすくなっている自分の変化に気づけた。

    0
    投稿日: 2016.07.10
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    「それになんとまぬけな死刑囚ではないか。あんなに長いあいだ引き廻されながら、歌ひとつうたえないなんて。これでは歩き損じゃないか、というのだ。」 ちゃんと読んだことなかったけど面白いね。阿Qとそれを取り巻く人々を通じて旧弊な前近代が浮き彫りになる。その一方で、阿Qの死は近代化の波のなかで起こっていて、だから阿Qを殺したのは前近代と近代との相克だとも言える。

    0
    投稿日: 2016.03.06
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    魯迅はJ.ジョイスのダブリナーズを読んでいたのだろうか?ダブリナーズが世に出たのは1915年。一方でこの本に収められた短編のうち最初となる「狂人日記」発表は1918年。 ダブリナーズは短編15編から成り、幼年、思春期、成人、老年といったあらゆる階層のダブリン人を題材とし、人間の欲望や宗教観など、目に見えない人それぞれの精神的な内面について、ダブリン人の日常から切り取り抽象化することで普遍性を描き出そうと試みている。 ジョイスがダブリン人に執着したのは、その底流にダブリン人共通の「パラリシス=知的麻痺」から発散される「腐敗の特殊な臭い」を見出したからだという。 だがジョイスはダブリン人から湧き上がるような鬱々さだけを描きたかったのではない。彼が「エピファニー」と言うところの「言葉や所作が俗悪であっても、その中から突然姿を見せる精神的顕示」に注目し、「美の最高の特質を見出すのは、まさにこのエピファニーにある」と述べている。 一方で、魯迅のこの短編集の多くは、辛亥革命前後の中国民衆の日常的風景が題材にされ、纏足、辮髪、科挙といった旧弊の悪習をはじめとして、民衆の迷信、我欲、現状への盲従などの否定的要素がこれでもかと書かれている。 序文で魯迅は、中国人民の文化的覚醒の必要性を痛切に感じ、この作品集を出したというが、あまりに文化的に停滞した人民の姿(つまり目をそむけたい人間の陰の部分)が次々と出てくるため、「故郷」を読みたくてこの本を手にした人の多くを戸惑わせ、魯迅不信に陥らせるのではと心配さえしてしまう。 中国の精神上の進歩を目指すという序文での強い意志と、民衆のありのままの、ある意味下卑た面の描写と、どちらが魯迅の“本心”かを図りかねていたが、「屈折に満ちた文学」という文字をある時目にして、腑に落ちた。 きれい事や説教じみた、文学的に“整った”作品なら、作家自身はそれで満足なんだろうけど、そんな“お高い”作品が、清濁相持つすべての人心の進歩をもたらすなんて簡単にいくと思えない。そう考えると魯迅の一連の作品は、まるで一見泥だらけの中国人の精神の中に手を突っ込み、そこに埋もれて見えない光源を取り出そうとしているように思える。泥を探って光を掘り出すには、自らが泥にまみれる覚悟がないとできない。魯迅の泥臭いとも思える作品群は、見た目からも魯迅の心情面からも、屈折という言葉が言い得ている。 しかしいくら魯迅が光を抽出しても、読む側が光を光と感じられるだけの“心の鏡”を磨くこと、つまり、真実に対して謙虚で、受け入れるだけの豊かな態度がなければ、見えてこないだろう。出版後90年近くを経たこの作品から、今の私たちは光を感知するだけの心の鏡を持ちえているのだろうか? まるで阿Qのように他人の尻馬に乗って騒ぎを起こし、そして隣国を罵り否定して満足し、そんな愚かな方法でしか自分の優位性を見出しえない現代人(もちろん中国人の話だけではない!)は今一度、魯迅を精読すべき。そいつらのやっていることの空虚さは、すでに魯迅によって明らかにされている。(2012/10/22) ※以下を参考にしました。 「ダブリン市民」(安藤一郎訳)新潮文庫解説 「新・魯迅のすすめ」(NHK人間講座) 藤井省三著

    0
    投稿日: 2015.11.08
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    ・狂人日記…よくこれほど狂人心理を精緻に洞察し入り込めるなあ。「孔乙己」なんか憎めないし勿体ない哀れな人間。こんな人、いる。序章で書かれている寂寞感をまさに感じる作品。「明日」は号泣した。読み終わった時の息苦しさ、本当に現実に宝児が死んでしまった悲しみで打ちひしがれる母親の姿、そこにいる登場人物すべてが自分の世界にぽっと立ち現れ、人物に憑依してしばらく呆然としたり、哀しくて絶叫してしまった。あまりにリアルな描写で呼吸が苦しくなる作品だった。題名は「明日」だ。たとえどんな残酷な現実があろうとも容赦な「く暗夜だけが明日になり変わろうとして静寂の中を疾走し続けるばかり」なのである。

    0
    投稿日: 2015.08.15
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    狂人日記が印象的。他の短編も、当時の中国の農村の様子が目に浮かぶ佳作。翻訳もとてもこなれていて読みやすい。 (2015.6)

    0
    投稿日: 2015.06.16
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    狂人日記は多分家制度ムラ制度を狂人の目を通して批判するために書かれたものなんだろうけれど、狂人の語りが迫真であるが故に、まーそりゃあ迫害されちゃうよね狂ってるんだしってなってしまった。 阿Q正伝はコメディー。ダメ人間はいつの世もダメ人間なので現代日本にも阿Qはいて我々は阿Q的なものになってはいけないとインテリ崩れが言いそうではある。とはいえ、死の寸前までは不幸を不幸と思わなかった阿Qは割と幸福な部類かもわからんよ。

    0
    投稿日: 2015.04.26
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    二十世紀初頭の中国民衆が抱えていた前近代性に対する作者の強い危機意識が全編に貫かれている一冊です。 本書の登場人物は多くが今日か明日くらいまでのことしか考えていません。革命が起ころうとも、彼らの関心はせいぜい辮髪を切るべきか切らざるべきかという程度のもの。そんな彼らの生き様が面白おかしく描かれているのですが、そこにはこんなんじゃダメなんだという強いメッセージが込められています。 歪ながら大衆化の進む今日の中国を見て、魯迅は何を思うでしょうか…

    0
    投稿日: 2014.05.31
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    中国文学史のレポート用に。 ほとんど使わなかったけど。 狂人日記、故郷は高校時代に読んでいた。故郷は教科書に載ってたかな。 タイトルメモ忘れましたが、白光かな?ようは科挙浪人が半ば狂気により死ぬ話とか。孔乙子だったかな…元漢学徒て落ちぶれた人の有様とか。 昔狂人日記が儒教批判て言われてもピンとこなかったのが、同時期の作品と並べて読んでようやく腑に落ちたのが良かった。

    0
    投稿日: 2014.03.11
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    教科書で読んだときも寂しい風と、潮の厳しい香りが立ち昇るような話だったけど、いま読んでも虚しさは変わらず。 可笑しみを湛えた阿Q正伝はなおのこと憐れさが増した。阿Qという男が馬鹿で愛嬌がある分なおのこと……。 どの物語にも下の場所で生きる人たちのどうしようもない運命がざくっと切り取って並べられていて、読んだあとなんだか虚しい。これで奮起できる人間は偉い。

    0
    投稿日: 2014.02.13
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    魯迅の代表作。辛亥革命期における何の変哲もない一民衆の姿が描かれている。抑揚のない筋書きの中で愚劣な民衆のありようが淡々と表現されている。

    0
    投稿日: 2014.01.04
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    ほとんどの話が短編だった。 ほんと超短い。10ページくらいで終わるのとか。 短編だけど、ちゃんと内容はある。 岩波はやはり何か読みづらいと感じてしまう。 昔の中国の話で、背景がよくわからないので楽しめないというのもあった。 何か終始あまり読む気ないままサラッと読んでたから、レビューも超適当。

    0
    投稿日: 2013.10.31
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    ちょこちょこ読んでなんとか読破。狂人日記は本当に怖い。なんか凄まじいものを感じずにはいられなかった。阿Q正伝はよくわかんなかったなぁ…。兎と猫、あひると喜劇は結構好きだったけど。2011/168

    0
    投稿日: 2013.09.25
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    魯迅の短編集です。魯迅は短編集がほとんどで、唯一の中編小説がこの「阿Q正伝」だそうです。14作品おさめられています。短編はほんとに短くて、10数ページのものがほとんどでした。 内容は全体的に当時の時代背景や登場人物などある程度知らないと難しいです。何度も読み返しつつ、なんとか読んだという感じ。訳注ももちろんありますが、いちいち全部訳注を見るわけではないので; 少しこころに残った作品を紹介します。 「狂人日記」 題名の通り狂人からの視点を描いたもの。周囲が人食いとし、自分も食われる恐怖を感じ、さらに自らも人食いをおかしてきたと自覚し絶望する。ふと、映画の「The sixth sense」を思い浮かべました。 「阿Q正伝」 中国の最下層の人物「阿Q」の話。当時の中国社会を描いている。 「故郷」 魯迅が北京に引っ越すときのことが題材となっているようです。高校の国語の教科書にあったのを思い出しました。整った作品でこの中では読みやすいもののひとつでした。 「あひるの喜劇」 それまでとは雰囲気が変わって、読みやすかったです。 ロシアの方が日本から追放され北京に住んでいた時に魯迅とともに住んでいたらしく、その時のことが題材になっています。6ページくらいの非常に短いもの。どこかせつない。 最初に自序が書いてありますが、小説を読んだ後にも自序を読むといいかなぁと思います。

    0
    投稿日: 2013.06.25
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    国語の教科書で読んだ「故郷」が、妙に印象に残っていたので。 歪んだ倫理やおぞましい迷信を暴露した話は読んでいて背筋が寒くなった。我々の社会はこんな病根を抱えているのだよ、という魯迅の訴えを感じた。

    0
    投稿日: 2013.05.08
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    2012年初めに読んだ。 おかしなキャラクター、当時の現状の批判、現実から逃げ続けたことによる結末。ものすごいものだった。 私の中ではベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーです。

    0
    投稿日: 2012.12.10
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     順序からいうと「狂人日記」が先で「阿Q正伝」が後だ。自序を除いて14篇の短篇集である。  中国社会に蔓延している病根は「馬々虎々」(マーマーフーフー)、一言で言うなら「いい加減」「どうでも良い」といった態度のことだそうだ。魯迅はこれに日本留学中に気が付き、それまでの医学を止め文学に転向し、「馬々虎々」と戦い続けた。  「狂人日記」は中国の封建社会においては、支配者が儒教を利用して人間の肉をも食らうことさえも礼賛するという「礼教食人」という欺瞞を暴露している。魯迅は支配者たちが儒教を単に人民を支配する道具として利用していたに過ぎないことを小説で明らかにした。  「阿Q正伝」は魯迅唯一の中篇小説であり、かつ代表作、しかも最高傑作といわれる。ユーモアに満ちた文体で、この作品が成功した原因の一つはこのユーモアによって調子づいた「従容不迫」(しょうようふはく)の文体にあるそうだ。主人公の阿Qはその文体にピッタリのチャランポランないい加減な男であり、この文体でなければ「馬々虎々」の極め付きのような阿Qを表現することができなかっただろうといわれる。  いい加減な阿Qは気分で革命軍につこうとしたり、でも入れてもらえなかったりで、結局は銃殺刑にされてしまう。それでも村人たちは、銃殺は首切りより面白くないなどと不満をいう。彼らもどうでも良い「馬々虎々」なのだ。  魯迅はこの短篇集全体を通してこの「馬々虎々」を告発したかったのだ。

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    投稿日: 2012.11.05
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    初、中国文学。狂人日記は心が病んでいた10代の頃の自意識過剰な自分を思い出した。自分の存在が他者からの観察によって認めらるっていうか、なんていうか。それを風船の様に肥大化して、もう右も左も分からない状況が私の思春期。

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    投稿日: 2012.10.08
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    わたしは阿Q正伝を読んでわたしもまた阿Qだと思ったが、阿Qは阿Q正伝を読んでも己を阿Qだと思うことはないのだろう。 装飾と情緒を削いでなおふくらみと余韻のある、魯迅の文章は好みだ。 訳が良かった、日本語として好きな文章だった。竹内好訳。肌触りがしっとりさらりとしていて、心地良い。 とても陰鬱な色調の話で始まって戦慄いたのだが、行きつ戻りつだんだんとほの明るい色調になった。 昼の明るさではなく月のささやかな光。最初のどうしようもないどん底の絶望を読まねば、この明るさをさほどに感じなかったと思う。 話の配置の良い短編集。 最初の狂人日記の食事がすげーまずそうなのに、最後の村芝居の食事はすげーうまそうなんだよね。空豆を煮ただけなのに!

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    投稿日: 2012.06.02
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    もっと劇的な凄味のある物語を期待していたのだが、肩すかしを喰らった感じ。辮髪は17世紀に満州族が中国へ侵入し、明朝を倒して清朝を樹てたとき 、この風俗を恭順の印として道士と僧侶を除く漢族の男子全部に強制したものであるという事実を初めて知った。

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    投稿日: 2012.05.11
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    今でも、中国では好きな有名人のトップ10には入っているそう(1位はジャッキー・チェン、毛沢東は4位だったか) 辮髪のもつアイデンティティはすごい刺激的。

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    投稿日: 2011.09.25
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    故郷なつかしいな~中学の教科書に載っていた以来。背景知識不足のためそこまで楽しめなかったけど、その時代の中国人を痛烈に批判していることはわかった。髪の話とか面白い。

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    投稿日: 2011.08.09
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    1900年代初め、革命の混乱、新思想と儒教的思想とのぶつかり合いから生じる中国社会の陰鬱さをえぐり出した本書。表題作の他に12編の短編を含む。 儒教由来の封建社会が中国社会の病巣だよする魯迅は、農村社会の風景を切り取ることで、それを伝えようとした。 「狂人日記」では、儒教における親を大事にする教え「孝」を例としている。人肉が薬用になるという俗信に基づく、「病気の父母には子が自分の肉を食わせなくては立派な人間ではない」という教えが儒教には存在する。 もちろん、これは親を敬う比喩でしかない。これを誤って理解し、自分も村人にいずれ食われるのだと思い込んだ狂人の手記を通して、儒教的な思想を痛烈に批判している。 元々つじつまの合わない破壊的な文体の手記が、「自分も食われる」という妄想を帯びるにつれ、恐怖感を露わにしていく様は、生々しく、戦慄させられる。妹の肉を食べたと思い込み、崩壊するラストシーンも衝撃的だ。 表題作「阿Q正伝」では、最底辺階級に属する阿Qを通して、中国農村社会の旧き悪しき習慣を切り取る。打破出来ない封建制度の根強さ、そして革命の到来が阿Qを絶望の道へと歩ませる。 近所の遊び人にボコボコにされても「せがれにやられたみたいなもんだ」などとほざく、異常なほどのポジティブシンカーである阿Q、一見、彼のこの性質を魅力的に捉えることが出来なくもない。 しかし、暴行されてる最中に「自分は虫ケラだ」と痛々しく許しを請い、その後すぐに「自分は自分を軽蔑できる第一人者だ」と言い放ち、意気揚々と去るその姿からは、病的な何かを感じ、寒気が走る。 儒教的な封建制度が、そんな阿Qを作り出してしまったとするならば、この時代にはびこる闇とそのパワーが圧倒的なものであったことを明確に物語っていることになる。 その他にも、「兎と猫」のような寓話的な世界に心の闇を映してみたり、「小さな出来事」のように訓示的なアプローチをとってみたりと、魯迅の作家としての意思が垣間見える。 しかし、全体的に文体が難しく、また註が多すぎて、ストーリーがつかみづらい。中国の制度や慣習を厳密に解説してくれているのはありがたいが、初心者には厳しい。何度も読み直してこそ得られるものがあるのかも。そういう意味で、星4つ。

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    投稿日: 2011.02.18
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    要するに只当時の中国に、警鐘をならすだけの作品でないと感じた。慣習や自分の集団のもつ思想はずっと人を縛るものだし、これからもそうだ。そこから外れることは異端となることである。今にだって置き換えることができる価値観の問題じゃないかと思う

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    投稿日: 2011.01.31
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    有名作家の無名の短編を読んでいる気分になる。これが代表作ですか。 各話の主人公に自分が重なったりするものの、読む気力が無くなりフェードアウト… 作品のバックグラウンドを知っていれば面白いのかもしれないが、予習の必要な本は好きではない。

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    投稿日: 2011.01.20
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    魯迅の短編集。 「狂人日記」はやはりいい。 中学の時の教科書に載っていた「故郷」も収録されていて、あらためて読み返すことができた。 中学生の時には少しも面白いと思わなかったけど、今は作品の全篇にただよう薄曇りのような雰囲気と、変わり果てた幼なじみを目にしたときの「私」の失望に心を寄せて読むことができる。

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    投稿日: 2011.01.06
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    『阿Q正伝』 辛亥革命(1911年)当時の農村が舞台。阿Qは、みんなから馬鹿にされ、地主や腕力の強いものからひどい仕打ちを打けても抵抗せず、勝ちを譲ってやったのだというほど自尊心が強い。逆に、相手が弱いとわかれば、いたけだかに襲いかかる。そんな彼が革命さわぎにまきこまれ、革命党を気どっていい気になっているところを泥棒とまちがえられ、弁解もできないまま、群衆の眼前で銃殺されてしまう。 当時の中国社会を鋭く描いており、自分のことが書かれたのではと疑った人もいたほどであった。 阿Q正伝を読んで、何だか遣りきれない気持ちになりました。

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    投稿日: 2010.12.05
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    ・阿Q正伝 日雇いの仕事をし、大したビジョンも持たず、だらだらと過ごしている阿Q。 人から笑われ、蔑まれ、殴られても、相手を見下すことで精神的に満足する性格を持つ。その精神的勝利を得られれば、殴られたことはすぐ忘れてしまう。 ちっぽけな名誉を得るために嘘をつき、それが元で捕まり、銃殺される。 しかし銃殺されるのに気づくのは直前になってから。本人は何がなんだか分からないうちに銃殺される。 魯迅は当時の中国人のマイナス面を、阿Qとその他の人で表現した。 そして中国人を変えるためにこの物語を書いた。 果たして中国人は、魯迅が期待したとおりに変わったのだろうか?・・・変わっていないと思う。 文学による精神の変革、は出来ないのだろうか? また、私にも阿Qの性格があると思う。 自分は大したことをしていないのに、他人を蔑む。人の幸福を素直に喜べない自分。自分より社会的地位が高い人を蔑視し、それで満足感を得ている自分。 他人を落として満足感を得るという、最低の行為。やめるべきだ。 それとも、それがやめられるのは聖人君子しかいないのだ。人間の精神衛生上必要なことなんだと考えて、諦めてしまえるのだろうか・・・。 ・狂人日記 なんらかの精神病(統合失調症か)患者の日記、という形式をとっているが、これも当時の中国へ警鐘を鳴らしている作品だと思う。 「あの人達がわたしを食おうとすれば、全くあなた一人では法返しがつくまい。しかし何も向うへ行って仲間入をしなければならぬということはあるまい。 あの人達がわたしを食えばあなたもまた食われる。結局仲間同志の食い合いだ。 けれどちょっと方針を変えてこの場ですぐに改めれば、人々は太平無事で、たとい今までの仕来りがどうあろうとも、わたしどもは今日特別の改良をすることが出来る。 なに、出来ないと被仰るのか。兄さん、あなたがやればきっと出来ると思う。こないだ小作人が減租を要求した時、あなたが出来ないと撥ねつけたように」 この言葉が、魯迅が言いたかったことを端的に表わしているのではないだろうか。

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    投稿日: 2010.10.15
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    意外と読みやすかったです。 やっぱり代表作の狂人日記と阿Q正伝が良かったですね。 ただ物語の時代背景とか文化風習みたいなものがさっぱりなので、物事の重要度や意味、恐らく含まれているだろうアイロニーだのメタファーなんかもサッパリ分かってないです。髪の毛の話とか特に。 これを読むためのガイドブックを読んでないとだめだわ。 10.07.20

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    投稿日: 2010.07.20
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    日本を代表されるといわれる作家達と、世界を代表する作家達に、決定的な違いがあるとすれば、それは何か。 ある識者は「行動する思想家であるかどうか」だと指摘していました... 【開催案内や作品のあらすじ等はこちら↓】 http://www.prosecute.jp/keikan/010.htm 【読後の感想や読書会当日の様子などはこちら↓】 http://prosecute.way-nifty.com/blog/2006/01/10_ddd7.html

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    投稿日: 2010.06.03
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    上海に赴任して、魯迅公園だとか魯迅博物館に行って以来、 読まなきゃと思っていた魯迅。 魯迅の最初の作品集である『吶喊』(とっかん)をそのまま 再現した短編集。 冒頭の「自序」を含めて15作品が収められています。 中国近代文学の父と呼ばれる魯迅が、20世紀初頭、 清代末期から中華民国の時代までの、中国人民の 苦悩を皮肉も交えて描いています。 どこかで感じたことのある雰囲気だなと思ったら、 日本の明治の文豪、夏目漱石と会い通じるところが あるように思えます。 古い価値観と新しい価値観の狭間の中で揺れ動き、 世を憂う心。 代表作である「阿Q正伝」だとかは入っているのですが、 日本にもゆかりの深い「藤野先生」は収録されていません。 別の文庫には入っているので、そちらで読みました。 http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-05-10

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    投稿日: 2009.11.30
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    魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたやりきれない暗さの自覚から中国の新しい歩みは始まった。(表紙裏解説より引用) ふと、中三の教科書に載っていた「故郷」がまた読みたくなってこの本を手にとりました。 読み返してみたら、思っていた以上に暗い話でした。 ルントウは「閏土」っていう字だったんですね。いい名前です。 そういえば私はこの物語で「偶像崇拝」という言葉を学びました。 最後の「道」に関するくだりは忘れたくても忘れらないですね。 1920年代の鬱屈とした中国が舞台となっており、どの物語も悲哀を感じさせました。 故郷以外では「孔乙己」と「白光」が好きです。 「狂人日記」その他は難解というか、1920年代前後の中国について勉強不足で、背景があまりわからずに魯迅の意図するものが汲み取れなかったです。 これはもっと勉強する必要がありそうです。

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    投稿日: 2009.10.23
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    なんで魯迅が『吶喊』というタイトルをつけたのに それを無視するんだろうなー。 無視ってわけじゃないけど。 あまり知られた言葉じゃないから意味がわからんということなんだろうけど、 作家の意志を軽視するのは良くないと思う。 『狂人日記』は面白く読んだ。 『阿Q正伝』は、 私にはちょっと辛かったかな。 何故そういう最下層の人たちをあんなに惨めたらしく描かねばならないのか、 私にはちょっと分かりかねた。 感情移入しやすいタチなのでああいうのは苦手です。 収録作品 ・狂人日記 ・孔乙己 ・薬 ・明日 ・小さな出来事 ・髪の話 ・から騒ぎ ・故郷 ・阿Q正伝 ・端午の節季 ・白光 ・兎と猫 ・あひるの喜劇 ・村芝居

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    投稿日: 2009.07.21
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    当時のチャイナに生きていたら、もっと人生経験が豊かだったら、それか時代背景に関する知識があったなら、きっと違った読み方ができるのかも知れませんが、今のおれは特になんとも思いませんでした。つまらなかったわけではないんだけどね。

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    投稿日: 2009.03.15
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    誰もが知ってる本シリーズ。 狂人日記は精神病に携わる人にとって一読の価値あり。私も現状携わってる一人なんで役に立ちましたよ。 なるほど、なるほど。

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    投稿日: 2008.01.02
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    収録されている『故郷』に惹かれて買いました。中学校の国語の時間にこれだけのものを読んでいたとは・・・驚愕でした。 『阿Q正伝』もサクサク読み進めることができました。スゴイ作品です。

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    投稿日: 2007.12.24
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    当時の中国人の内面をモデル化したものが阿Qであり、でも自分自身にもあてはまる部分があるんじゃないかなと思いました。

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    投稿日: 2007.05.15
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    壮大な被害妄想を描いた狂人日記だと思っていたが、妄想ではなく現実のような気がする。人は色々な犠牲の上で生きている。動物を殺して生きている。でもなぜ人間を殺してはいけないのか?結局人間は「殺し」をしているのだから良いではないか。「せめて何も知らない子供には真実を伝えていきたい」という気持ちが伝わってきた。

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    投稿日: 2007.03.04
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    阿Q正伝: プライドが高い阿Qが自身について思っているイメージと周囲の阿Qについてのイメージには雲泥の差がある.その差に気付くことができないほど愚かな阿Qが哀れに思えた. しかし一方で,阿Qの愚かな思考や振舞いは自分にも見に覚えのあることではないかと思った.阿Qは俺の中にもいると思った.

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    投稿日: 2006.11.29
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    魯迅の第一小説集。 『吶喊』とは正に魯迅の心の叫び。「絶望の虚妄なることは正に希望と相同じい」魯迅の絶望って何だろう希望って何だろう

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    投稿日: 2006.09.24
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    当時の中国の「暗さ」を描き出す作品。この時代特有の「闇」と魯迅作品の独特の「暗さ」になれないと少しつらいかも。

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    投稿日: 2006.02.09
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    この訳者が一番いいと思います。「故郷」は教科書にも出ていて、一番好きなものです。 「古い中国」に苦しんだ魯迅の名作がたくさん載っています。

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    投稿日: 2005.10.17
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    時代を感じた。この時代に読めばすごいって思えるのだろうと思う。近代中国を垣間見る。るーーーんとーーー!

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    投稿日: 2005.10.04
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    中国文学にはほとんど馴染みがなかったのですが、これを読んで俄然興味を持ち、少しずつですが読むようになりました。短編集なので非常によみやすかったこと、註のお陰で理解が深まったことも大きかったと思います。内容は空しい様な、苦しい様な後味を残すものですが、私にとって縁遠かった中国の歴史と日常の一部を見せてくれました。

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    投稿日: 2005.02.05