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地のはてから(下)
地のはてから(下)
乃南アサ/講談社
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総合評価

25件)
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    ものすごい読了感だった。 便利な世の中になった今、森だった険しい北海道に身ひとつで開拓していく家族の一員であった、女の子、とわのお話。まず母親の目線から、娘の子供時代そして結婚・子育ての流れが、女性の一生を時代と共になぞるような構成で面白い。女は家、男は外、というジェンダーの役割分担がハッキリしていた当時の様子が、ひしひしと伝わってくる。淡々と話が進んでいくのがリアル。大好きだった男性と結ばれるでもなく、式で初めて顔を見た好きでもない男と家庭を持つところの葛藤とか。行動力も這い上がりたい!という強い志があるとわは、女性であるばかりに自分で新しい商売を始めることができない。ぐうたら旦那のいうことを聞かざるを得ない。これが、おばあちゃんたちの時代のスタンダードだったと思うと、今どれだけ変わったことか。これはどれも、とわみたいな、目立たないけど強い女性たちの、「子どもには味合わせたくない!」という気持ちの積み重ねから、昔に比べたら段違いに生きやすい世の中になってるんだと思う。現代のジェンダー・社会問題はまだまだ色々あるけど、とわみたいに、強く生きなきゃね。勇気が出る本だった。

    0
    投稿日: 2024.08.09
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    とわの生きる力が凄いと思った。 昔の人のたくましさと、今自分たちがどれだけ恵まれた時代に生きてるのかが分かった。

    0
    投稿日: 2024.04.13
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    知床を舞台に開拓民少女が過酷な自然、貧しさ、戦争を生き抜く 息子が小学生の時に自由研究でアイヌ文化を勉強していて、夏休みにアイヌを学ぶ旅で道東に行く前に一度読みました。 そして、知床半島の美しい知床連山と知床五胡に心を打たれながら、開拓民の壮絶な人生を思っていました。 再読し、また心に重く深く。 時代の流れと運命は受け入れ、その中で力強く精一杯に生きる、ということ

    1
    投稿日: 2024.02.25
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    方言での読み方が最初戸惑ったが、読み進むうちに慣れた。知床、カムイワッカの滝等にはバイクで1985年に行ったが、あの辺が大正時代からの開拓で苦労したのは初耳でした。大正時代から昭和、戦争を経て苦労続きだが、子宝に恵まれどちらかといえばハッピーエンドで良かったです。

    0
    投稿日: 2022.05.10
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    壮大な話だった。選択肢がないとはいえ、自分なら、とわのように力強く生きられるか?現代の日々の悩みが本当に些末なことに感じる。

    0
    投稿日: 2022.01.23
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    乃南アサの描き方がすごい。 読んでるうちに感情移入どころか、その本人になってくる。笑笑 わたしはトワです。って。なる。ホントに。 とわになって物語に翻弄される。 知床開拓に来た家族の苦労話、苦戦話なんだけど。わたしが動き出す。夫や家族、バッタ、冷害その他いろんなものに振り回されて、それでも家族を守らんとして必死に生き続けるそのとわやトワのお母さんになってる。読んでる間は完全になっちゃうのよ。わたしを一人ここに残して、完全に『あんにゃは我慢しすぎるけぇ』とか呟いちゃうから。 もう、本を読んでるこのわたしすらトワでした。笑笑 人生の落ち込み、浮き、そしてまた落ち込み、それで少しづつ年を重ねていくそのとわの人生を自分の体で再体験するようなそんな一冊です。 乃南アサがすごい。ホント。ここまで引き込むか。 物語自体はさほどじゃないんだけど、歴史を追うような内容なのに、何故かわたしの目の前に大量のバッタが登場したりするんだ。 これ、乃南アサマジック。 凄まじです。

    2
    投稿日: 2020.04.17
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    戦中・戦後の北海道開拓史を、とわ家族を中心に丹念な自然・人物描写と独特の表現で綴られた作品。世の不条理や国策に踊らされる人々。それとなく挿し入れられた主義主張。端折れる部分もあるが、これはまあこれでいいだろう。 「だからせめて深呼吸の一つでもして、あとは時をやり過ごす。そんなときには、笑っているより他、出来ることもないと思う。だから何となく笑うようになったのかも知れない。」

    1
    投稿日: 2019.08.28
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    主人公、とわの人生後編。戦火が激しくなり、生きろよ、なんとしても生きろ、と言った人たちが死んでいく。そんななかで思い通りにならない人生を、どう生きるのか。次の世代へとバトンを託す小説。 アイヌの文化を知りたくて課題図書的に読んだのだが、個人的には恋愛模様や人間の生き死にが、「こうなるだろう」と高をくくっていたところをみごとに裏切られて、読み終わって、もやついた。たぶん、理解するには今の自分では若いのだと思う。もう少し年を取ってから、もう一度読み直すと思う。

    1
    投稿日: 2019.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ニサッタニサッタ」の前日譚。エエ味出してたあのとわさんが主人公。 大正から戦前戦中戦後といえば、戦争で悲惨なことになったとはいえ、文明国家だと思っていたの本。俺らの祖父祖母の時代だから地続きの世界と思っていたが、北海道開拓史においてはl、こうまで俺の知らない過酷な世界だったとは。 それにしても、主人公とわ、そしてその母親のたくましさ、しぶとさが素晴らしい。物語の中で何度も何度もしつこいくらいに悲惨な目にあう、とわさんや母親。それでも彼女らは生き延びること、子供や家族をなんとしてでも養うこと、それだけを念頭に「今日を生き延びる、今日をやり過ごす」ことに集中する。そして何度も何度も地べたを這い、泥水をすするような事態にあっても、生き延びてゆく。その描写のすさまじさに眉間にしわが寄るのを止められない。そしてなぜか、とても大きな勇気をもらえる。 彼女らの境遇からすれば、俺なんてまだまだ生きていけるし食えてるし眠れてるし逃げ場もたんまりあるじゃないか。もっともっとあがけるじゃないか。 できれば、お国を運営している連中に読んでもらいたい。連中の舵の取り方、羅針盤の見方一つで、どれだけの尊い命が無駄にされていくか。しかと心に焼き付けてほしい。 とわさんのお兄さんはじめ戦争で散っていった命一つ一つをないがしろにするつもりは一切ない、だが国の舵を握った連中が間違った航路を進めば尊い命が無駄死と化すのだということを、俺たちもしかと覚えておきたい。 「お国のいうことは信じちゃなんめえ」 パヨクるつもりはないが、作中に出てくるこの言葉の重み、きっちり感じておこう。 それにしても、男連中の情けなさ…父親、義父、亭主、孫(これはニサッタニサッタの方)、まさかの三吉までもが実になさけないダメ人間。 俺もその仲間かもしれないなぁ。老い先も短い人生とはいえ、もうちょっと生きるしたたかさを持つようにしたい

    1
    投稿日: 2018.08.30
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    最後まで暗い内容だった。終章で幾分明るくなったが。 大正から昭和、第二次世界大戦まで、北海道東部への入植者の苦労が描かれている。 暗いけど、面白く一気に読んだ。以前、吉村昭の赤い人という北海道樺戸刑務所の囚人が北海道開拓に一役をなしたという小説があるが、時代は赤い人より後になるが寒さ厳しき北海道東部の開拓本当に大変だったと思う。人間のすごさを感じるととともにそのような環境の中で、少しのことで幸せを感じるということに感動した。

    1
    投稿日: 2018.03.31
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    小樽への子守奉公、奉公先の破綻で知床に戻り、切ないアイヌの成年との恋、そして結婚。主人公のとわは、懸命に家計を支え、子供たちも育てていく。そのさなかにも、悲しい出来事は次から次へのとわを襲う。生きること、生き抜くことの辛さ、政府主導の北海道開拓の現実、そして戦争。 主人公とわと乃南アサ作品『ニサッタ、ニサッタ』が連続性があることを、巻末の「解説」を読んで知った。

    0
    投稿日: 2017.11.22
  • 北海道開拓の物語、痛烈な反戦小説、女性の強さを語った小説。

    知床の厳しい自然の中で生き続ける『とわ』の半生を描いた小説。一方で、甘言を弄し北海道移住を喚起した『国家』、後半は第二次世界大戦という歴史(ある意味、『国家』の犯罪)に翻弄されながらも家族を成し、家族を育てた女性の強さを描いた小説。女性にとって、かつては『自然も国家も』敵だったということか。それにしても女性は強い。この本を読みながら、時代設定は少し前だが、坂東真砂子『梟首の島』との類似性を感じた。女流作家の後半では、このような小説(近代女性史)を書きたいものなのか。ぜひ読んでいただきたい佳作だと思う。

    0
    投稿日: 2017.08.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とわは12歳で小樽で洋品、雑貨、小物を卸す大きな商家の子守として奉公に出されるが、商売が傾き、16の時、実家に帰される。とわは三吉への思いを秘め、親の勧めるままに結婚するが、戦争に向かう不穏な時代が始まる。 アイヌの青年三吉との淡い恋と、その後の再会には胸がつぶれそうになる。これが現実。でも、三吉と結ばれていたとしても、幸せであったとは限らない。 戦争が、いかに人々の人生を翻弄してきたか、それに加えて北海道の自然の厳しさ。ときに自然は人々に恵みを与えてくれた。それを使って生きる術を教えてくれたのは、アイヌの人々だった。「地の果て」での暮らしは、人々が支え合わなければ生きて行けない、極限の環境であった。 とわはどのような試練にあっても、「生きなければならない」という計り知れぬ強さを持ち続けていた。子どものために、家族のためにと、こんなにも強くなれたのは、母つね、兄直人のおもいがあったからだろう。 「ニサッタ、ニサッタ」は、とわの孫にあたる青年の物語であるらしい。現代に至っても、男たちは女の強さに敵わないようだ。現在、北海道は豊かにみえる。私には、その影に人生に敗れていった多くの開拓移民の姿が見え隠れする。

    1
    投稿日: 2017.02.05
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    奉公から戻ったとわは、初恋の相手と再会するも嫁に行くことになる。 自分の気持ちも殺し、親の言うままに生きていかなくてはならない辛さや寂しさが伝わってきて切なくなる。 やがて母となり、更に強く強くなるとわ。 地のはてまでやってきた幼子の頃から母になるまでの壮絶な人生は、涙なしでは読み進むことが難しかった。 2015.2.2

    1
    投稿日: 2015.02.02
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    下巻も引き続き、 不運が続く。 ただ主人公が大人になってきたので、 子供のときのような周りに振り回されるだけではないから、ちょっと穏やかに感じる。 個人的にはアイヌの男性との恋物語が 気になったが、結末はなくても良かったような。想い出はそのままキレイであってほしい、私の願望か(苦笑)。 いい後味が残る大作でした。

    1
    投稿日: 2014.08.31
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    大正の初期に知床の地に入植した一家の娘「とわ」を主人公にした一代記。「おしん」のオンエアは見ていないが、さながら知床版「おしん」と言った感じの苦難の歴史。 これが私の父と10歳程度しか違わない世代の物語とは到底思えない。 「生きること」を真摯に問う長編小説。

    1
    投稿日: 2014.04.07
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    オホーツク海、原生林に覆われた極寒の地・知床。 アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に追われるようにやってきた開拓民の家族。そして少女とわの物語。 「とにかく生きる。生き抜くんだ」 生が凝縮された一冊。

    1
    投稿日: 2014.03.25
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    26.02.2014 上巻の一家の移動が想像しようとしてもしきれないほど気の遠くなるもので、読み終わった今も思い出す。荷車、汽車、船、そんなに昔じゃないのに途方もない移動をしていたのかと思うと胸が苦しくなるほど。 とわの生き方は強くて逞しくて、いつか幸せにと願ってしまう。きっとこんな女性がいたのだろう。 重いけど、読み応えのあるいい小説。

    1
    投稿日: 2014.02.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自由をかなり制約され、生きるために生活するとわがとてももどかしく、せつない気分になった。 それと、この物語に出てくる男はなんでこんなにダメなの・・・。 全編をとおしてセリフが方言。おそらく、かなり忠実に方言を再現したのだろうと思う。 だけど、五十音で方言を表現するのって無理がある。方言は好きなんだけど、かなりセリフが読みにくく、文字から単語、単語から文章に変換してからセリフを読まなくてはならなかった。テンポよく読み進めることができなくて、それが残念。

    0
    投稿日: 2013.09.11
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    過去の日本にはこんな時代が本当にあったんだろうなぁとは思いますが……、後半はただひたすら生きていくことに一生懸命なだけで、諦めにも似た境地で、読んでいてしんどかった。 逆境でも前向きな心根で立ち向かって欲しかったかも。 方言を読ませるのは味わいあっていいのかもしれないけど、ちょっと読みづらかったです。

    0
    投稿日: 2013.07.28
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    必死に生きる。とにかく生きる。生きていくために丁稚奉公に行かされ、親の決めた顔も知らない相手と結婚する。そんな生活がたった100年前のこの日本にも確かにあったなんて信じられないくらい時代は変化してきた。自分の欲を出せるような状況が何一つなく、常に大自然の厳しい寒さと戦い続けなければならかった時代に生きたとわ。それでも私は、とわは幸せだったと思う。

    2
    投稿日: 2013.07.13
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    北海道の開拓民の、苦労、苦労、苦労続きの人生。 読みながら、明るい方へ向かうのかと期待しては突き落とされ、 今度こそと祈っては諦めさせられ・・・ そう、こんなにも思うようにならないことばかりでも、人は生きていかなければならない。 何にも希望が持てなくても、人は生き続けなければならないのだという、作者の思いを 最果ての地で生きる「とわ」や関わる人々を描くことで伝えようとしているのだろう。 ただこの作品、受け止めながら読んでいくことが、胸に厳しくしんどい。 「面白かった」とは言えない重さが残る。

    0
    投稿日: 2013.05.20
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    貧しい時代に、家族の為に必死にたくましく生きる女性の姿。現実にそうやって生き抜いた人たちがいるんですよね。

    1
    投稿日: 2013.05.06
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    大正から昭和にかけて、北海道 知床の開拓移民の子として生きた、一人の女性の人生が描かれている。 そんなに昔の話ではない。実際、私の祖父母と、この物語の主人公とわは、ほぼ同世代だ。そんな時代に、こんな過酷な環境で生きた人達が現実に多勢いたのだということに、驚きを感じた。今の自分の便利な生活につながる時間の糸のつい先にこういう生活があったのだと思うと、感慨深い。 主人公とわは、貧しい苦しい生活のなか、更に、開拓の失敗や父の死などの不幸に次々見舞われる。思い通りにならない人生。とわは、「何で生きるんだろう」「何のための人生なんだろう」と繰り返し自問しながら、それでも歯を食いしばって逆境に耐え、生き抜いていく。とわと同様、とわの母や周りの女性達もたくましく生きていて、勇気付られる。

    0
    投稿日: 2013.04.20
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    3月30日~4月4日 小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が…。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とともに生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞作。

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    投稿日: 2013.04.04