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御伽草子 21世紀によむ日本の古典
御伽草子 21世紀によむ日本の古典
西本鶏介、井上洋介/ポプラ社
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    (2012.11.08読了)(2012.11.01購入) サントリー美術館で開催された「お伽草子展」を見たのですが、結構知らない話が多いことに気がついたので、読んでみることにしました。 お伽草子展 主催:読売新聞社 会場:サントリー美術館 会期:2012年9月19日(水)~11月4日(日) 入館料:一般 1,300円 「絵巻を中心とした優品の数々によって、お伽草子ならびにお伽草子絵の新たな魅力をご紹介します。お伽草子の物語世界、そして描き出された当時の人々の息吹や内包された世相、中世末期の人々の豊かな想像力を心ゆくまでお楽しみください。」(美術館のホームページより) お伽話は、室町時代に民間説話などを中心に400ぐらい作られた、ということです。18世紀前半に、23篇を選んで、「御伽草子」と題して絵入りで出版されたものが、代表的作品ということになります。23篇の題名は以下の通りです。 文正草子 - 鉢かづき - 小町草子 - 御曹司島わたり - 唐糸草子 - 木幡狐 - 七草草子 - 猿源氏草子 - 物ぐさ太郎 - さざれ石 - 蛤の草子 - 小敦盛 - 二十四孝 - 梵天国 - のせ猿草子 - 猫の草子 - 浜出草子 - 和泉式部 - 一寸法師 - さいき - 浦島太郎 - 酒顛童子 - 横笛草子 聞いたことのある題名は、「物ぐさ太郎」「一寸法師」「浦島太郎」と言ったところでしょうか。あとは、まったく知りません。 現代語訳の本をあれこれ探してみたのですが、とりあえずこの本を借りてきました。 【目次】 はじめに 文正草子 鉢かづき 唐糸草子 木幡狐 ものくさ太郎 一寸法師 浦島太郎 酒呑童子 あとがき 解説  西本鶏介 8つの物語が現代語訳されています。いずれも読みごたえのある面白い話でした。ついでに残りの15の話も、現代語訳してくれるとよかったのに、残念です。 『一寸法師』『浦島太郎』は、絵本などで読んだ話と細部が違うようです。いろんなバージョンがあるのでしょうけど。絵本作者が変えてしまったのかもしれません。 『浦島太郎』は、子どもたちがいじめていた亀を買い取って、放してやった、という話だったと思うのですが、自分で釣り上げたけど、可哀想に思って放してやった、という話になっています。また、玉手箱を開けたら、白髪のおじいさんになった、という話が、鶴になって飛んでゆく、話になっています。 ●文正草子 舞台は、常陸の国です。鹿島大明神の神主の使用人の文太が主人公です。 文太は大変な働き者だったのですが、暇を出されたので、塩焼の仕事に雇ってもらい、一生懸命働いて、暖簾分けしてもらいます。 あっという間の財をなし、名を文正つねおかと改めます。結婚もしたのですが、子どもが授かりません。 鹿島大明神にお参りしてお願いしたら、二人の姫を授かりました。 姉姫は蓮華御前、妹姫は蓮御前と名づけられすくすく育ちました。 姫たちの望みは、都の身分の高い人と結婚することでした。 ●鉢かづき 舞台は、河内の国の交野です。夫婦に姫君が生まれ、すくすくと育ったのですが、姫君が13歳になったとき、奥方が病気になり、もはやこれまでと思った奥方は、近くの手箱から何やら重そうなものを出し、姫君の髪に乗せ、その上から片が隠れるほどの鉢をかぶせました。これが、長谷の観音さまに誓ったお願いだったのです。奥方はなくなり、姫君にかぶせられた鉢はぴったりと吸いついて離れません。 残された、父親は新しい奥方をもらいました。新しい奥方に子供が生まれた後、鉢かづき姫は、家を追い出されてしまいます。 頭の鉢はいつ取れるのでしょうか? 鉢かづき姫は幸せになれるのでしょうか? ●唐糸草子 舞台は、鎌倉。源頼朝の命を狙う唐糸という侍女の話です。 唐糸は、木曾義仲の家来、手塚太郎金刺光盛の娘です。 源頼朝が、木曾義仲を追討する命令を出したので、鎌倉の御所に務めていた唐糸は、急いで、木曾義仲に連絡しました。その際、義仲より、頼朝を殺害するための短刀を貰い受けてきてもらいます。 頼朝をねらう機会はなかなかなくて、そのうち、短刀を見つけられてしまい、東慶寺に預けられ、いったん逃げ出すのですが、再び捕まり、御所の後ろの石の牢に幽閉されてしまいます。 唐糸の故郷、信濃には、12歳になる万寿という姫がいました。風のうわさで、唐糸が石牢にとらえられていることが聞こえてきました。 万寿と乳母の更科が唐糸の救出に鎌倉に向かいます。 (歴史上の人物たちが登場するので、実話のような雰囲気ですが、…。) ●木幡狐 山城の国木幡に住む狐の話です。 狐の姫君なのですが、人間界の殿上人か関白殿の奥方になるのが望みです。 三位の中将に一目ぼれし、人の姿に化けて契りを結び、若君を生みました。 このまま幸せな生活が続くのでしょうか? ●ものくさ太郎 信濃の国の筑摩郡に住むものくさ太郎ひぢかすの話です。 大変な面倒くさがり屋の話です。 ものくさ太郎は、都に出て公務のために働く役目のため、出かけてゆき、都が気に入り、一生懸命腹いて、いい女と一緒になり、歌の才能を認められ、帝の前で歌を読むほどの出世をします。 ●酒呑童子 丹波の国の大江山に棲む鬼を退治する話です。 鬼退治に行くのは、源頼光とその家来、碓井貞光、卜部季武、渡辺綱、坂田金時、藤原保昌です。支援してくれるのは、老人の姿で現れる石清水八幡宮と住吉明神と熊野権現の神さまたちです。 (2012年11月8日・記)

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    投稿日: 2012.11.08