
総合評価
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powered by ブクログAmazonの紹介より 「誰だって痛みを抱えて生きている。」 孤独な男子高校生のコテツは、島根の刀鍛冶に引き取られて暮らすことに―。 人生に立ちすくんだ少年が一歩を踏み出す、再生の物語。 青春小説の旗手が贈る、感動の傑作! 火事に遭ったのを機に、島根に移り住んだものの、体にやけどがあったり、みんなの視線が気になったりと独り状態になっている主人公が、刀鍛冶を通して、一歩一歩成長していくストーリーになっています。 青年の成長物語だけでなく、現代においての刀の在り方や職人達の苦悩など考えさせられた部分もあって楽しめました。 言われてみれば、そうですが、今の時代に刀を作ることは果たして必要なのか。今は芸術品でしか扱えませんが、元々は身を守るためのもの。 下手すれば、銃刀法違反で逮捕されかねない今の時代になぜ作るのか。 改めて問われると、ハッとさせられた所もありつつ、刀鍛冶の仕事を知っていくにつれて、なかなか難しいなと思いました。 なんとなく刀がどのように作られるのかわかってはいましたが、詳細を知るにつれて、その難しさがひしひしと伝わりました。 そういった刀鍛冶の見習いとして働くことになった主人公。なんとなくで始めたものの、色んな迷いが生じ、苦悩していきます。 主人公だけでなく、そこで働く若者達の苦悩も描かれています。なぜ刀鍛冶の道を選んだのか。特に印象的だったのは、カンナ。その過去は凄まじく、なぜその道を選んだのか疑問はありつつも、最初は主人公との距離感に心配でしたが、徐々に近づいていく展開は、なんだか安心感がありました。 色んな人達の出会いによって、心の成長が垣間見える主人公。クラスメートの存在感が大きく、ほっこりしましたので、今後の高校生活に期待したいと思います。 最初は淡々とした日々を送っていた主人公でしたが、読了後にはたくましく映りました。 と同時に刀の魅力や刀鍛冶としての存在感や伝統を受け継ぐことの重み、執念みたいなものを感じ、より本物の刀を間近で見たくなりました。
4投稿日: 2025.10.24
