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大学生が伝えたい 非正規公務員の真実――現場から見る課題と未来
大学生が伝えたい 非正規公務員の真実――現場から見る課題と未来
上林陽治・立教大学上林ゼミナール、藤田和恵、畑間香織、竹次稔/明石書店
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総合評価

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    上林ゼミナールの学生が、非正規公務員を取材し、記事をまとめる手法により執筆された論集。 児童相談所職員やハローワーク職員等に取材している。非正規公務員に関して知らないことが多く、勉強になった。雇用において正規、非正規について考えるきっかけになった。

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    投稿日: 2025.10.28
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    上林陽治・立教大学上林ゼミナール編著「非正規公務員の真実」を読み終えた。 そもそも玉野図書館の非正規職員が気になったのがスタートで、図書館に買ってもらった本だ。 驚きの連続だ。 学校のことはある程度わかる。しかし市の職員の相当数が非正規で不当な扱いを受けている現実は誰にも知らされてない。市民と直接関わる各種相談員がほとんど非正規の会計年度任用職員であり、ジョブローテーションで動くプロの意識も技量も低く、給料だけ高い上司のハラスメントにさらされて働く。次年度の任用で脅される例もある。 玉野市の実状は分からない。だれも教えてくれないから。 もしかしたら民間以上に酷い状態かも知れない。

    5
    投稿日: 2025.09.19
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    タイトルの「大学生が伝えたい」を「大学生に伝えたい」だと思っていました。大学生がゼミでまとめたものを出版されたとのこと。 なんだそうだったのかとちょっと軽んじて読み出したものの内容は非常に非正規公務員問題の的を射ており、読み応えがありました。 取材もそれなりにされており、内容によっては見方がちょっと偏ってるかなとか、被害者や当事者に肩入れするあまり少し視野が狭くなってるかなと思われる視点や論調も若干ありましたが十分に出版されるレベルだと思います。 取材された非正規公務員として、児童相談所職員、臨採の教員及び学校職員、非正規の司書をはじめとする図書館職員、女性相談支援員、ハローワーク相談員、そして役所の非正規公務員など取り上げられています。 p76にコロナ禍時における保健所の人員不足を補うために公共施設を休館し職員をそちらに回す対応をした自治体について、肯定的に報道するものがあったこと。その対応を美談として捉える人が多かったことに取材者は激しい違和感を覚えたと書かれています。 これは、いい話のウラにまで想像力を働かせることが大切であるということだと思います。 近頃の人は、ニュースに触れても報道のとおりにしか受け止めない人が多いように感じます。 そこから読み取れることや、報道されていないことにまで想像力や推測をして自分の考えを持つということが一番大切なことであり、報道に触れる意味なのではないかと常々思っています。 p81「公募がかかる前からいた職員の再採用を決めている場合もある。その場合、初めて応募してきた人たちの時間は初めから無駄になることが決まっている」 これははっきり言ってかなりどこの自治体でも起きていることだと思います。 通常の、スタートラインがみな同じの採用試験だと思って応募してきた人たちをなんだと思っているのか、こういう採用制度があるからそれを遵守するためだけに行われている実体をみんな知らないのを良いことにこんなことをしていていいのか、とこれも常々思っていることです。 どうかすると正規職員の中途採用でもそういう出来レースはありました。今でもそういうことを行っている自治体は必ずあるだろうと思っています。 本当に非正規と正規の断絶っぷりにはどうやっても埋めがたい谷間があります。こんな制度を作った国の役人たちを自分は本当に心から恨みます。 福利厚生や昇給の不足、正職との職務範囲の区切りの曖昧さなど非正規に施してもらいたいことは全然改善されないのに、何かあった時だけ「公務員なので」と言われ正規と同じようにあるいはそれ以上に厳しく処分されることも本当に納得がいかないことばかりです。 p52図書館職員における女性職員の占める割合グラフが掲載されています。図書館職員である自分の実感としてもそうだったけれどこうして数字で見るとその偏りぶりには目を見張るものがあります。 自分の職場で言えば、収入からすると一人暮らしはできないくらいなので、扶養の範囲で働ける人を最初から採るという不文律のようなものがあります。となると必然的に主たる稼ぎ頭がいる主婦か、家業や副業(許可されるもの)などで他に収入を得たり生活が成り立つようなものがある男女(さらに年齢制限はなしになっているがこれも不文律で何となくの年齢の上下限はある)という採用の枠ができています。 …既に非正規公務員でなく民間委託になったので自分はまぁ事実上「公務員をクビ」にされておりますが、(正規職員にはありえないことなのに)雇用や時給が同等だからといって納得していることは決してないです。言っても仕方ないから言わないだけ。納得してこの職位に甘んじていると思っている正職に訴えたいことは山のようにあります。 言わないと思ってないのと同じ、というセリフが最近の朝ドラにありましたがね… 自分も不勉強で、非正規公務員と言ってもこんなに多岐にわたる職種があることを知りませんでした。 自分よりももっとしんどいつらい思いをしている非正規雇用の人たちがこんなにいることが腹立たしくてなりません(p96ほか) そしてその不安定な雇用制度の為に安定した支援が受けられず追い込まれてしまった人の不幸もやりきれません(p100) 一度非正規図書館職員の雇用の改善を訴える人のフォーラムに投稿したことがありますが、全くその立場を理解しない人から「そんなにたくさん不満があるなら辞めるか自分で図書館作って就職したら?」と意見が来たことがありました。 …ものすごい世間との認識の断絶を感じた出来事として何年経っても頭から消えません。本書を読んであの頃から何も変わってないどころかより問題は複雑化して深度が増していると思いました。 声を上げる非正規が増えてきた、とはいえいざオモテに出るとなると顔や名前を出せないと隠れてしまう人がいるというのも本当によくわかります。悲しいけれど自分もそうだから。 何十年も「図書館の仕事が好き」だけで働いてきました。やりがいを搾取され、資格があっても正しく認められず心を何度も折られました。 自分はもう諦めていますが、これからの若い人のことを考えて制度を改善してほしいと切に思います。 この問題を自分事、社会問題として多くの世の人に関心を持ってもらうにはどうしたら良いのでしょうね…。

    9
    投稿日: 2025.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童相談所、臨時的任用教員、公共図書館の非正規公務員、 女性相談支援院、男女共同参画センターコーディネーター、ハローワーク相談員、 正規職員はどんどん変わっていく。専門性の認識が人事担当者にはない。 非正規図書館職員は更新が4回までとなっている。5年目は、一般公募の志望者といっしょに面接をうける。それまでの実績は顧みられない。 埼玉県では1/3が雇い止めになった。 期末手当が支給されても、基本給が下げられている場合もある。

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    投稿日: 2025.07.01
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    自分が当事者だからこそわかる部分と、いやそうでもないなあと思う部分とどちらもある。 専門職であるのに、その部分は待遇として全く評価されていないように見えてしまうのは、「効率よく」専門知を利用したい行政機関の思惑があるからか。 最近は、福祉職を正規職員として採らなければいけないという意識が自治体にも出てきているようで、実際そういう動きもあるけれど、根本的な変化には至っていないのが現実。 大学のゼミ生が取材してまとめ上げた結果を書籍にしたものだということだが、コンパクトながら、非正規雇用という制度の問題を鋭くついた名著では。 問題意識を持ってくれる人が1人でも増え、社会の考え方も変わっていくよう願うばかり。

    4
    投稿日: 2025.06.27
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    配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10284644

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    投稿日: 2025.06.09
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    非正規公務員のハラスメント問題の実態 ハラスメントの深刻さ: 本書では、非正規公務員が日常的にハラスメントや差別を受けている実態が生々しく描かれています。 精神的な苦痛から体調を崩したり、中には自死という悲劇的な結末を迎えた事例も報告されており、その深刻さが浮き彫りになっています。 立場の弱さ: 非正規公務員は、雇用の不安定さや立場の弱さから、ハラスメントを受けても声を上げにくい状況に置かれています。 正規職員からのハラスメントが多く、力関係が背景にあることが示唆されています。 具体的なハラスメントの事例: 本書では、パワハラ、セクハラ、精神的な圧力など、様々なハラスメントの事例が紹介されています。 ハローワーク相談員、女性相談支援員など、具体的な職種における事例を通して、ハラスメントの実態が具体的に伝えられています。 ハラスメントによる影響: ハラスメントは、被害者の心身に深刻な影響を与え、時にはその後の人生を大きく狂わせてしまうことがあります。 退職後も精神的な苦痛が続き、自死に至るケースも報告されており、その影響の大きさが示されています。 ハラスメント問題の背景 雇用の不安定さ: 非正規公務員は、雇用期間が限定されていることが多く、雇い止めへの不安が常につきまといます。 この不安定さが、ハラスメントを受けても声を上げにくい状況を生み出しています。 立場の弱さ: 非正規公務員は、正規職員と比較して立場が弱く、ハラスメントに対して抵抗することが難しい状況にあります。 「臨時さん」「パートさん」など個人名で呼ばれない現状が、代替可能な存在として扱われている象徴として問題提起されています。 組織の風土: 一部の職場では、ハラスメントを容認するような風土が存在し、被害者が声を上げにくい状況を生み出しています。 加害者の多くが正規公務員であるというアンケート調査結果(87%)が示され、非正規公務員の立場的な弱さがハラスメントを助長する要因となっていることが示唆されています。 ハラスメント問題への対応 意識改革の必要性: ハラスメントは、個人の問題ではなく、組織全体で取り組むべき問題です。 正規職員、非正規職員に関わらず、すべての職員がハラスメントに対する意識を高める必要があります。 相談窓口の設置: 被害者が安心して相談できる窓口を設置することが重要です。 相談窓口の設置と周知、そして相談しやすい環境作りが求められます。 制度の改善: 非正規公務員の雇用安定や待遇改善など、制度的な改革も必要です。 非正規公務員が安心して働ける環境を作ることで、ハラスメントの防止にも繋がります。

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    投稿日: 2025.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    知らなかった。知らなかった。知らなかった。図書館で親切に本を探してくれたり、笑顔で挨拶してカウンター業務をしてくださる司書や働いている方々が、理不尽な待遇や格差に苦しんでいる。他の公的機関で働く専門職の方々も。一市民としてできることはないのだろうか?一刻も早い働き方の改善を願う。

    4
    投稿日: 2025.04.05