
総合評価
(37件)| 15 | ||
| 11 | ||
| 6 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログ「迷っているなら自分に問いかけてみるといい。君にとってその信念は志し半ばで諦める程度のものなのか、命を懸けるべきものかどうか。もし、後者なら、時を間違えるな。常に機を探れ。」 「正義は刃です。その刃で利を得る者と傷つけられる者が出てくる。正義の価値とは、それを振りかざすことで傷つく者への考慮なくしてはあり得ません。その犠牲はどうしても必要なのか。どんなに憎い相手であろうと、切り捨てて終わりでは話しにならない。」
1投稿日: 2026.01.18
powered by ブクログ戦中から令和まで 80年間を描いた冤罪ミステリー 昭和18年4月20日、事件は起きた。 伊勢神宮の二十年に一度のお祭り・御木曳は、すごい人出と掛け声で賑わっており、見物に訪れていた父と娘も楽しい時間を過ごしていた。 ところが… 父・谷口喜介は強盗殺人の犯人として逮捕されてしまう。 その犯行時刻は御木曳の見物をしていたのだから、もちろん無実だ。 残された8歳の娘・波子はどうなってしまうのか… 冤罪における死刑ほど怖いものはないと感じた。 いくら乱暴な時代とは言え、恐ろしさと憤りで胸が破裂しそうだった。 罪を晴らすのに80年って… あまりにも長い…長すぎる。 弁護士などこの事件に関わった人々は、タスキを繋ぎながら世代交代し証人を探す。 しかし、あと少し!という所で届かず、時が過ぎる。 8歳だった波子は90歳… 壮大な大河ドラマだが、章ごとに主人公が変わるのも良いし、20年に一度の御木曳の描写が印象的で、読み応えのある一冊だった。 あぁ~ 冤罪って怖い。
64投稿日: 2026.01.15
powered by ブクログ第174回直木賞候補作 冤罪事件を扱って、司法と正義を描く 非常に考えさせられるテーマ ページ数が多いが、読ませる文章と展開で不思議とすらすら読めた
0投稿日: 2026.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この長編リーガルミステリーは圧巻でした。 涙も流しました。 大門氏の作品は何作か読みましたが、これは特別でした。 戦中、戦後の世で、まだ科捜研も存在せず、証拠品も充分な調べがつかない中で起きた強盗殺人事件で冤罪が生まれました。 それを取り巻く、検事や裁判所の司法の闇、様々な問題が世代を越え裁かれていくけれど冤罪が晴れないまま死刑が執行されました。 その娘、周りの弁護士たちの絆も含め、不条理な死を考えさせられました。 お薦めです! ぜひ一読してみてください。 読後感は心地いいです!
9投稿日: 2026.01.14
powered by ブクログ山田の街 懐かしい風景が脳内で鮮やかに蘇って来ました とても面白かった 冤罪事件をテーマに 戦時中のとんでもない濡れ衣 そして死刑執行 戦い続ける遺族 全ての登場人物が印象深い 丁寧に人物が描かれ最後までびっくりの展開 素晴らしかった
10投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ面白かったー!戦時中に冤罪で死刑になった男の無実を証明する長い年月に渡る弁護士や検事たちの闘いの日々。戦中の横暴な官憲による取り調べや天皇や国家の前で平然と一般市民を蔑ろにする裁判、現代の複雑であまりにも時間のかかりすぎる裁判制度、、あらゆることが壁となって立ちはだかるのにも屈せず、時代を超えて継承されていく信念、執念、絆。もう夜中に読んでいても何度も「え⁈」と声をあげてしまうほどの、そんな展開なの⁈みたいなことが続き、2日間一歩も外出せず引きこもって500ページいっき読み!舞台の伊勢地方の方言で紡がれる語り口調にも気持ちよく引き込まれて、ある父娘をめぐる怒涛の80年の歳月の流れに飲み込まれた。人物もみな魅力的で、誠実だったりカッコよかったりチャーミングだったりとこんな人と仕事したいなとか会ってみたいなと思わされる人たちが束になって命をかけて挑むこの冤罪を晴らす戦いをハラハラしながら応援した、とても刺激的な読書時間だった。
6投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ500ページを超えるリーガルミステリー。長編は嫌いではないものの、本作はさすがに色々な意味で「長い」と感じた。一つの事件の再審請求が昭和18年から令和に至るまで続き、その間に弁護士までもが世代交代していく。冤罪を晴らすために、これほどの年月が必要なのかと、制度の重さを痛感させられる。 物語は終盤にかけて二転三転し、ラストは予想外で強い印象を残した。読み終えて、あらためて冤罪のない社会であってほしいと、強く願わずにはいられなかった。
1投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ第174回直木賞候補作とのことで、手に取りました。 『神都の証人』は、5作品の中で一番の厚みを持つ作品です。 498ページという大ボリュームですが、年末年始に一気読みしてしまいました。 テーマは「冤罪」。 私をページをめくる手から離さなかったのは、読んでも読んでも姿を現さない「真犯人」への執着でした。 その正体を知りたい一心で、物語に引きずり込まれていったのだと思います。 とにかく、真犯人にたどり着くまでが長い。 「あと一歩で事件解決なのでは?」 そう思った矢先、さまざまな事情によってキーマンとなる人物が命を落としてしまう。 これを運命のいたずらと言わずして、何と言えばいいのでしょうか。 事件の真相が明らかになるまでの時間は、昭和から平成、そして令和へ。 三つの時代をまたいで、ようやく辿り着く結末です。 父親の無罪を証明したいと願う波子は、事件当初は8歳。 すべてが終わりに近づく頃、彼女は90歳になっています。 無実を証明することの困難さを、時間の重みとして突きつけられる物語でした。 当然のことですが、時代が変われば弁護士も関係者も変わります。 人物相関をある程度把握しておくことが、後半で描かれる事態の重大さを理解するうえで重要になってきます。 物語は章ごとに、三人の人物を軸に進んでいきます。 以下、個人的に印象に残った点を書いていきます。 【第一部 我妻太一】 おそらく、この人物が生きていれば、事件はもう少し早く解決していたのではないか。 そう思わずにはいられません。 最後の詰めの段階で、戦争に召集され、事件から身を引かざるを得なくなる。 この描写が『カフェーの帰り道』の時代と重なる部分があり、胸に迫るものがありました。 三人の中で、もっとも正義感と行動力を備えた人物だったように感じます。 【第二部 本郷辰治】 戦後日本における冤罪の実情を語るうえで、彼の存在は欠かせません。 一度「犯罪者」と見なされた人間が、無罪を証明することの難しさは、戦前と大きく変わっていない。 たとえ無罪となり社会に戻れたとしても、世間の目と戦い続けなければならない現実があります。 彼がどのように厳しい社会を生き抜いていくのか。 そして、その先で見出した人生の目的を、どう果たしていくのか。 非常に読み応えのある章でした。 また、「人は一人では生きていけない」ということを、改めて突きつけられる章でもあります。 人は人との関係の中で生き、支えられ、生かされている。 そんな当たり前の事実を、考えずにはいられませんでした。 【第三部 伊藤太一】 ここまで広げられてきた物語の風呂敷を、一気に畳む役割を担う人物です。 物語は、ほぼピンポイントで真犯人と思しき存在に焦点を当てながら進んでいきます。 しかし、この結末は……。 辛い未来しか想像できません。 読み終えたあと、本をパラパラとめくり、付箋を貼った箇所を振り返っていました。 その中で、特に胸に刺さった言葉があります。 我妻のセリフです。 「正義は刃です。その刃で利を得る者と傷つけられる者が出てくる。正義の価値とは、それを振りかざすことで傷つく者への考慮なくしてはあり得ません。その犠牲はどうしても必要なのか。どんなに憎い相手であろうと、切り捨てて終わりでは話にならない」 すべてを読み終えたあとに、改めてこの言葉の意味を考えてみてもいい。 そんな余韻を残す一冊でした。
38投稿日: 2026.01.12
powered by ブクログ無実の罪を着せられた末に死刑が執行されるという、現実世界では「起きていない」はずの出来事を描くのは、いくら小説とはいえ勇気のいることだと思う。著者は冤罪をテーマにした作品を数多く発表しているそうだが、もうこの志だけで評価したくなる。 昭和から令和にかけての約80年にわたる物語をこの程度の長さで収め、かつリーダビリティの高い読み物としてまとめ上げているのはまさしくプロの技といった趣だ。 しかしながら本作には看過できない問題があり、墓から頭部を掘り出して持ち運ぶとか、息子の事件を隠ぺいするために無人島に島流しするとか、葬儀場に忍び込んで奥歯を盗むとか、さすがにそれはあり得ないでしょといった感じで、リアリティ部分がおざなりになっているように見える場面が数多くあったのは非常に残念だった。 また新事実が明らかになりそうになるとキーパーソンが死んでしまう展開も、一度ならともかく何度も繰り返されるのはちょっと安易すぎるように感じられた。
1投稿日: 2026.01.10
powered by ブクログ正義が失われたとき、 私たちは何を信じて生きればいいのだろう。 『神都の証人』大門 剛明 読み終えたあと、しばらく言葉が出なかった。 幸せだった日常は、ある日突然、音もなく壊れてしまう。 父親が一家惨殺事件の犯人として、死刑判決を受けたのだ。 ただ一人残された幼い娘・波子。 「お父ちゃんを助けて」 その切実な声から、長く果てしない戦いが始まる。 ✧ 重くのしかかるのは、「冤罪」という現実。 物語の発端は昭和18年、戦時下の日本。 「お国のために」がすべてに優先される時代に、 個人の正義はほとんど意味を持たなかった。 秩序の維持が最優先。 国があってこその人民。 そんな社会で、死刑囚を救おうとする弁護士は 「変わり者」として冷たい視線を向けられてしまう。 それでも彼らは、立ち止まらない。 昭和から平成、そして令和へ。 気が遠くなるほどの年月をかけて、想いは受け継がれていく。 誰かが倒れても、約束だけは次へと手渡されていく。 ✧ 本書には、衝撃を受ける瞬間が3つある。 第一部、第二部、そして第三部のラストだ。 そのたびに思わず言葉を失ってしまった… 何度も見つかる新たな証拠。 それでも、あっけなくかき消されていく現実。 「再審」に辿り着くまでの道のりが、 これほど険しいものだとは知らなかった。 誰かが極端な悪人だったわけではない。 きっと皆、自分の手の届く範囲を守ろうとしただけ。 良心に蓋をしながら、 一人の命と、国の正しさを天秤にかけてしまった。 そして、あのラスト。 ここでこの事実を突きつけてくるのか、と息をのんだ。 人は、あまりにも弱くて、あまりにも業が深い。 読み終えたあと、行き場のない感情が 胸の中をぐるぐると回り続けている。
1投稿日: 2026.01.10
powered by ブクログ結構重厚に進んでいくが、終盤の展開が呆気なくも転々とする。その上、子供がこんなことするかできるかの違和感が数々。
0投稿日: 2026.01.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昭和、平成、令和にかけて、とある一家惨殺事件の犯人だとされていた人物の冤罪を晴らすべく戦うひとびとの物語……だけにとどまらず、その時代ごとの正義や悪、そして生活について書かれた帯び通り、究極の「冤罪」大河ミステリーでした。特に、冤罪を晴らそうとする男性たちーー弁護士や検事ーーの性格や生まれた環境が当たり前だけれど違っていて、でも、腹のど真ん中に据えた「正義とはなにか」、「どうしたら冤罪を晴らせるのか」には各々一本太い芯が通っていて、読んでいて、声を出して泣きました。スマートに綺麗に成し遂げる形ではないからこそ、そのある種の不器用さにもまた涙しました。私はアルコール得意ではないけれど、熱燗片手に読みたい、そんな本でした。
0投稿日: 2026.01.09
powered by ブクログまた冤罪モノかという気はしたけど、重厚で読み応えのあるストーリーだった。 最後のドタバタが作品の格を落としてもったいない気がした。
1投稿日: 2026.01.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
吾妻太一、弁護士。 花田勢太郎、バディ。後に政治家に。 冤罪の死刑囚、谷口喜介。そして、その娘、波子。 一人残された波子のために、戦時中で真っ当に裁判が行われない中、吾妻は必死に動く。 嘘の証言を許容された伊藤乙吉、しかし彼も証言を撤回しようとして警察に殺される。 それを無念に戦う息子、伊藤捨次郎は父親の首を墓場から切り落として再解剖を要求する。 真相が明るみに出ようとした中、吾妻太一に赤紙が届く。戦禍で亡くなった彼の思いは次の世代に繋がっていく。 伊藤捨次郎は弁護士になった。 そして、不良モンの本郷辰次はひょんなことから彼の法律事務所で働くこととなる。 本郷と波子はお互いを認め合う仲に。そして、なんとか父親の無罪を証明できそうな再審請求が通りそうな最中、無惨にも死刑が執行された。 そして、波子は行方不明となる。 荒くれ者の本郷辰次は検事となる。 そして、地元の権力者、岡グループの長男がサイコパスで、長い間離れ小島に幽閉されていたことがわかる。 なんとか波子を探し出し、今後こそ再審請求をと望みを繋いだ時に本郷は殺されてしまう。 死刑判決を下した暴力団組長の舎弟に刺されて。 伊藤捨次郎の次男、太一は小さい頃から成績も悪く、30を過ぎても無職だった。 ただ、波子の父親を無罪にしたいと言う思いに駆られて、なんとか弁護士になる。 真犯人の疑いが強かった岡麟太郎が100歳を超えて亡くなり、その通夜の中、波子が麟太郎の遺体を殴打するという事件が起きる。 実は太一の一人娘凪沙が麟太郎の歯を抜いていたのだ。 この歯を匿名で投函した太一。 そのおかげで谷口喜介の逆転無罪はほぼ確定したが、真犯人として検察が挙げてきた人間は全く違うすでに亡くなった老人だった。 自分が嘘の内容を投函したことを正直に告げようか悩んでいた最中、証拠として提出していた歯がニセモノだと気づく。 証拠を交換した太一の兄、乙彦に問いただすと、実は捨次郎は真犯人に気付いていたことを告白する。 真犯人は自分たちの祖父、伊藤乙吉だった。 その事実は伏せておこうとする兄に、太一は自分が責任を持ってすべて告白すると告げるのだった。
0投稿日: 2026.01.06
powered by ブクログ直木賞ノミネート作をすべて読んでみようとまず手に取った本。 読み終わるのに3週間ほどかかりました。 ひとつの冤罪事件に80年以上かける… 壮大な物語でした。そして結末は最後の最後まで予想できなかった。最後の5ページほどになってもくーーっっ!と思いながら読み終えました。
0投稿日: 2026.01.06
powered by ブクログおもしろかった〜! ある冤罪を解決するために、世代を超えて、人々が尽力する物語。 そして、この冤罪の解決の先にあるのが、、。 こういうことってありますよねえ。 片方を立てたら、片方が立たなくなる。 世の中ってこんなもんです。 全員にとってポジティブであることなんてないわけで、視野を狭くしないと、進めていけないこともあります。 どこまで視野を狭くするか、最近よく考えます。
42投稿日: 2026.01.01
powered by ブクログ1943年に起こった殺人事件が冤罪だったことを80年かけて証明していこうとする、壮大&長大な話。 分厚いのに長いと感じさない。意外性に満ちてるのとキャラ造形の巧さ。なぜそんなに時間がかかるのかの説明も巧い
0投稿日: 2025.12.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第174回直木賞の候補作ということで初の大門さん作品。 タツの言うとおり、人はただ生まれて死んでいくだけ。でも、それだけじゃ割り切れない。 人が人を裁くこと、自分の心の向くままに生きることの難しさを思い知らされた。
0投稿日: 2025.12.30
powered by ブクログ検事を辞めて弁護士になった吾妻太一。 疲弊した国民を厳しく取り締まり、上層部の金持ちたちが私腹を肥やす世の不公平に、身動きできずにいる日本。 今や司法は死んだも同然。今まで掲げてきた信念を志半ばで諦めるのか、命を懸けて未来を切り拓くのか。 死刑囚の子である波子を保護することから始まる戦時中の冤罪を描いたこの作品は、 正しくあることへの葛藤が何度も何度も胸に迫る。 戦禍で大勢が死んでいく中、人権などと言っている場合ではない。みんな耐えている、我慢している。責められているような世の中で冤罪事件に挑む姿に胸を打たれた。 司法は死んだと言われても、正義への渇望が細い細い光を未来へと発し続けていた。 弁護士として、検事として、ひとりの人間として、正式に戦うということ、味方を得るということがこんなにも困難なものなのか。 報われず、救われず、何故という問いばかりが残る。信じてきた道を呪いたくもなる。 命より決まった判決を守ることの方が大事だなんて決して許されないはずなのに、一向に覆らない判決に何度も心が折れそうになる。 検察の正義のせいで犠牲になった人とも一緒に泣くべきだと、 力なき者への嘲りを許してはいけないと憤る検事・本郷の姿に胸が熱くなった。 人の怒りや正しくあろうとする姿をこれほど尊く感じる作品は少ない。 平気で切り捨てられてきた、一方で人柱とされてきた人々の命がそこにあったことを思い知らされる。 冤罪をなくすということは、未来へ宿題を持ち越さないということでもある。 その場しのぎで別のひずみを生んではならないのだと、強く強く訴えかけてくる。 一つの事件に翻弄され続けた者たちの決着を見届けたい。 一直線に正義を願う姿は何より美しく、信じてもいいのだと前を向く力となる。 あなたとなら最後まで一緒に戦いたい、そう思える感動の長編小説。
6投稿日: 2025.12.28
powered by ブクログ山田風太郎賞 直木賞候補 直木賞候補ということで読み始める。著者の本を読むのは初めて。 最初から最後まで、ページをめくる手が止まらない。ちょっと荒唐無稽な点もないでもなかったが、面白さがまさった。 袴田事件などもあったが、冤罪事件に立ち向かう弁護士たちの正義感が素晴らしい。 戦時中など、人権などない時代ゆえ、弁護士が非常に軽んじられていて、街中の子供たちからも『お前ら、正業につけや』とやじられるほどだったが、冤罪事件を晴らすため闘った弁護士、吾妻から物語は現在まで続いていく。 法的安定性(判決がころころ変わってはいけない)という言葉をたてに、再審を妨害する検察にも怒りがわいた。 また、伊勢神宮がある宇治山田市(現伊勢市)は神都と、住民は神領民といわれ(現在でもそうらしい)、戦前は神が宿る世界一の都市になると庶民は信じていた。二十年に一度の式年遷宮もからめ、軍国主義下の空気をうまく描いていると思った。
26投稿日: 2025.12.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大門さん初読み。法務を仕事にしているので興味はあったが、これまで手を出せてなかった。死刑囚死亡後の相続人による再審請求に隠された真実の物語。再審請求まで大変な時間を有する中で、取り組む弁護士や検事が奮闘する物語で、多くのエピソードが胸を打つ。推理部分の落としどころも冴えてて、やられたと思うが、ラストに至って真実までの展開が、なるほど山田風太郎賞か納得してしまう。直木賞候補になって出会うきっかけとなって嬉しい。このウルトラ技へのプロセスへの評価次第では十分受賞範囲内と感じた。
2投稿日: 2025.12.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際にあった事件をモデルに大門剛明が80年を越えて冤罪と戦い続けた「正義」を描く。 「冤罪」で死刑。これは絶対に国が犯してはいけない罪だろう。 戦中から令和へつながるバトン。1人の男から始まった冤罪との闘いを彼によって人生を救われた男たちが弁護士になり検察官になり、そしてただ一つに新実を求め続ける。 汚名を被ったまま死刑になる。検察側が必死に隠そうとするもの。一度下された判決をそう簡単に覆すわけにはいかないという「法的安定性」という軸によって守られる過ち。 「罪」と「人」を描き続けた大門剛明は問う。正義を守るべき者は、法が本当に守るべき者はいったい誰なのか、と。 日本という国の司法の罪。その罪を暴くために人は一線を超えてもいいのか。 冤罪というものが生み出す多くの苦しみを消すことはできない。けれどその苦しみに寄り添い続けることはできる。諦めることのできない法律家たちの混乱と苦難、そして新たな罪への怒りを全力で読み切った。 伊勢を舞台に、遷宮が始まる令和7年に生まれるべくして生まれた一冊。
3投稿日: 2025.12.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まずは犯人がおじいさん、お父さんだったのか。 そして司法試験に受かった人が多くてびっくりした。 でもタツが殺される辺りまでは想像できていましたので、ストーリーはある程度予想通りでした。が、最後の歯が予想の範疇を越えましたが。 歯をすり替えるって無理があり過ぎでは? でもこの本は「無実を証明する」ことが主眼であって犯人が誰かは警察の仕事だよ。そこは求めちゃいけないよ。って言っている気がする。テレビの見過ぎかな...
1投稿日: 2025.12.23
powered by ブクログ大門剛明「#神都の証人」講談社読了。山田が世界一の大神都やと波子は思った。時は戦争の真最中で運命の糸が同郷の太一と結ばれた。その年、20年に一度の遷宮があった。その日に事件は起きた。なあ、長うなるけど聞いてくれるか。日本の冤罪・再審を舞台とした物語。読み応えある大長編ミステリーです。今風にいえばチーム吾妻(太一)が弁護士のバトンを繋ぐ。昔は冤罪が多かったんやな。警察の取り調べに耐えきれず屈した。そんなひとを救いたい。そして弁護士の地位向上が受け継がれていく。けど本物の犯人が捕まらへん限り君への疑いが完全に消えることはない。冤罪とはそういうもんなんや。→→→無実の人間に死刑が執行されるなど絶対にあってはならんのだ。事件から15年後チラシが手配りされた「求む、神都の証人」物語がひとを繋ぐ。正義がときにより暴走する。正義が勝つとは限らない。だが最後は人の心が勝つ。いくら戦中の混乱時期とはいえ事件から83年、衝撃の結末は? #神都の証人
0投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログ直木賞ノミネート作品ということで拝読。 戦時から今の令和の時代まで、途方もない時を巡り、事件の真実に辿り着く。 こんなにも人の想いが受け継がれていく物語は、他にないのでは。 この物語は、時代の流れに沿って、3人の人物の視点で展開されていく。 それぞれの苦悩や迷いが丁寧に描かれていて、それ故に読んでいる読者側もしんどくなる。 ただ、そのしんどさの中でも、この3人の信念は煮えたぎるほど熱いものだった気がする。 そして、信念を貫き通すことは、大切な誰かを傷つけてしまうリスクもある。 人は、時として、誰かの親であったり、子であったり、配偶者であったり、恋人であったりする。 どれかの立場であろうとすると、信念を曲げないといけなくなる時がくるかも知れない。 それも間違いではないのだと思う。 ただ、その後に待っているのは苦悩だったりする。 自分はどうするだろうか。 ある登場人物がそうであったように、大切な人を守るために信念を曲げるのだろうか。 この作品は、司法の闇と同時に、人間の心の闇にも光をあてているのだと思う。
0投稿日: 2025.12.20
powered by ブクログ冤罪で死刑囚となってしまった男の再審無罪を勝ち取ろうとする人たちの戦いを、戦中昭和から令和までの大きな時間スケールで描いたリーガルミステリでとても読み応えがありました。受け継がれる法曹界の矜持や執念には読んでいて何度胸を熱くされたでしょう。だからこそ、第三部の視点登場人物の序盤の熱量はトーンダウンさせず、継続したまま一気に突き進んで欲しかった。
1投稿日: 2025.12.20
powered by ブクログ昭和十八年、宇治山田市で起こった一家殺人事件で犯人として逮捕された谷口喜介は死刑判決を受けた。彼は無実を訴えるものの、時代が変わっても判決は覆ることはない。父親の無実を信じる波子を中心に、冤罪事件の重さとそれに立ち向かおうとする人々の戦いを描いたリーガルミステリです。 証拠物件の適当さといい取り調べの横暴さといい、戦時中日本の時代情勢がそういうものだったから、と言ってしまうのは簡単ですが。しかし時代を経ても冤罪を雪ぐことはなぜこんなに難しいのでしょうか。もちろん判決の揺るぎなさというものがなければその判決に安心できないというのも納得はできますが、それでも冤罪の被害者からするととんでもないことです。そして人権が今ほどに重く捉えられなかった当時においても、谷口喜介の冤罪を信じながらも表立って動けなかった人たちの多いことに哀しさを覚えました。これもまた時代だけの問題でもないのかもしれませんが。 多くの時代を経て、再審請求に関わった多くの人たちの奮闘が熱い物語。そしてミステリなので読者としてはやはり真犯人が気になってしまうところなのですが。「真犯人なんぞ、どうでもええ」というのにははっとさせられました。再審請求の主眼は冤罪から被害者を救うことであって、真犯人の訴求ではない、ということに気づかされます。確かに冤罪事件は稀なものだけれど、だけれどあってはいけないことだと心底感じました。
0投稿日: 2025.12.19
powered by ブクログテーマ 冤罪事件を親子に渡って解決しようとする弁護士 戦中から戦後 伊勢 何十年にわたってようやく無罪が立証できるところで、実は、真犯人が---だったとは。 これを立証すれば、自分は家族は弁護士をやっていられないばかりか 普通の生活はできないだろう さて どう進めるのだろうか
0投稿日: 2025.12.19
powered by ブクログ昭和十八年四月、宇治山田市内の民家に侵入し、一家三人が皆殺しにされるという事件が起きた。逮捕されたのは谷口喜介は死刑が確定している。検事から弁護士になったばかりの吾妻太一は偶然、夜道で苦しむ少女を救助する。彼女は死刑囚である谷口喜介の娘だという。面会した吾妻は谷口から、『わしは無実や』と聞かされる。吾妻が目撃証言者である伊藤乙吉を探すことに。しかし彼は闇米購入の取り調べの際中、脳溢血で亡くなってしまった、という。しかし頭部に不審な大きなこぶがあった。 というのが、本書の導入。私は恥ずかしながら本書を読むまで知らなかったのですが、実際にあった事件、正木ひろしの「首なし事件」がモチーフになっているそうです。ひとつの事件をめぐって、昭和十八年からはじまり、令和のほぼ現在にいたるまで続く法曹関係者たちの長い長い闘いを、その事件に大きく携わることになった吾妻太一、本郷辰治、伊藤太一の三者の視点から描いた作品になっています。 もしかしたらラストの決着の付け方、そこに付随する登場人物の性格設定が受け入れられない、というひともいるかもしれませんが、ある意味ではそういう展開だからこそ、この作品は徹頭徹尾、『冤罪』の物語だということが際立つ異様な迫力を生んでいるようにも思ってしまいました。『理由』までもが、昭和十八年のあの日に立ち返っていくように。
0投稿日: 2025.12.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦中。三重で一家惨殺事件が起こるが犯人とされる男は8歳の娘と祭りに出かけていた。 ◎ 弁護士の吾妻が事件を解く。 殺人現場から走り去る犯人を見たと証言した乙吉は警察署で死ぬ。頭に殴られた痕があっても脳溢血判定。 証人の息子の捨次郎は遺体の首を切り落とし、法医学者の元に持っていき司法解剖をすると、外傷とのこと。弁護士会総出で挑む。 大立ち回りで裁判を転がすも、被告人の暴行警察官が首吊り自殺をしたとのことで、裁判が終わる。 ちょっと追い掛ければすごい技で返してくる… その暴行警察官から死ぬ前に書いた手紙が届く。そこには本当は目撃者が嘘の証言をしたと言いにきたが、今更撤回すると天皇陛下のお墨付きで死刑にしたのが嘘などとは許されないので殴ったことが書かれていた。刑務所長や検察官などに話すも、これだけだと厳しいと言われ、なんと赤紙が届いて出征し死んだ。 ◎ 砂利を運搬する船に乗って名古屋まで行った戦後生まれ。時は昭和30年ぐらい。名古屋で落ちてた時計を売ったら、強盗殺人容疑で逮捕。前回の証人の息子が弁護士として助けに来る。その男は弁護士の事務所で働いて、波子が好きになるが、証人も出てきたのに、父親の死刑が執行されてしまい、波子は旅立つ。後に検事になったらしい ◎ 後編は検事になった本郷の話。昭和60年。伊勢市の轢き逃げ事件で検事の本郷と弁護士の証人の息子が交差する。昭和30年ぐらいには調子の良かった悪友がコソ泥で逮捕されたり。伊勢の式年遷宮の祭りで波子を探す。犯人と思しき岡麟太郎が戦争中に死んだと思われてたが生きている気がしてくる。轢き逃げの被害者が岡の社長の愛人。無人島にて監禁されてる岡麟太郎を発見する。 当時の第一発見警察官が、証拠物件血止めのシャツを持って現れる。犯人の母親から岡麟太郎が11人も殺していることを聞き、そして波子を見つけて一緒に再審要求を戦っていくことを決めた時に暴力団員に刺し殺された。 ◎ 捨次郎の息子の太一31歳が主人公。平成13年ぐらい。兄はエリート弁護士。自身は落ちこぼれて就活中。再審を高裁まで行くも認めない判決で、捨次郎が急逝。 時代は令和に。太一は弁護士になり、結婚して裁判官の嫁と小5の娘がいる。その嫁がアメリカに単身赴任し、太一は伊勢へ。娘と波子が仲良くなり、麟太郎の葬式で娘が麟太郎の歯を抜いて持ち帰りDNAをゲット。ただ、そのまま使えないので、匿名の犯人からの手紙をでっち上げて弁護団の知らない本郷の部屋で見た検察の情報を混ぜる。だが、なんと太一の兄の乙彦は父親の捨次郎から真犯人は父親の乙吉と聞いていた。シャツのボタンが違うのがきっかけで。なので乙吉の歯にすり替えて提示しDNAが一致する。しかしタイミング悪く財布を落として死んだ、当時火事場泥棒をした曽我さんが真犯人だと言われた。 兄弟は真実を語ったのか、後に余韻を残す。最後の語りの波子も、生きているのか、れいなのか… めっちゃ壮大な長い冤罪の話。どんでん返し付き。すごい。 ーーー 弁護士のことを三百と罵る。明治時代の無資格弁護士を指して三百代言という。300文(安価)でいい加減。 尾崎咢堂(おざきがくどう)は憲政の神様、世界平和を訴え衆議院議員に二十五連続当選の江戸末期から昭和初期(戦後)の政治家。
0投稿日: 2025.12.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ちょっと落ち着いたのでじっくり読もうと思っていたら、貸し出し期限内には読み終えないなと思って、延長しようとしたらちょうど直木賞候補になってしまい、あっという間に予約数がいっぱいになって延長できなかった... 戦前に起きた事件だったゆえに余計に再審請求への道というのはとても険しいのだなと。しかも死刑は執行されてしまっているし。
0投稿日: 2025.12.14
powered by ブクログ山風賞受賞作。やっぱ安心のブランドやね。本作もなかなか。冤罪の父と、その娘との物語。かなりのボリューム感を誇るし、内容も同一の事件を各視点から繰り返し語られるから、ともすれば冗長とも取られかねない。それを拒むのは、実際の冤罪に思いを致した場合、永遠に続くとも思えるような無力感に心当たるから。そのやり切れなさをも見事に現出している点でこの物量は必然だし、問題提起力も強いものとなる。
0投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログ3代に渡り冤罪を得ようと奮闘する弁護士。そして引き継いだ弁護士、代議士と様々な人らの働きによって裁判をやり直そうとするが一度決まった判決を覆すのは至難の業。挫折、屈辱を乗り越えていく話に加えて浮浪児だった人や家族の中で出来の悪かった人のドラマもあり物語の中にひきずりこまれていく。舞台がよく知る三重県伊勢市だったのもよかったのかも知れないが冤罪の難しさを知る。 雪冤をテレビで観たけど同じ作者だった。あの話も父親の息子の無実の訴えと息子が何故恋人を殺害したと言ったのかの苦悩だった。判決を覆す難しさをこのドラマで最初に知ったことを思い出す。
3投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
冤罪をテーマに描いたミステリー だがその一言では言い表せない素晴らしい作品だった この作品では主人公が三代に渡る 理想に燃える弁護士 浮浪児から検察になり、特別な女性のために冤罪を証明しようとする検察官 最後に落ちこぼれだったが、父の意思を継いで冤罪を追及する弁護士 それぞれの生き様が鮮明に描かれている 最後まで飽きさせないミステリーであり、大河ドラマのような読み応えのある作品だった 正義とは何かという問いに応える作品かもしれない
0投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログ昭和18年から令和まで続く冤罪についての物語 様々な人が関わり翻弄されてしまう すごく考えさせられる作品
0投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ昭和18年に起きた一家三人殺人事件。そしてそれは冤罪だった。戦中から令和までの時代の中でそれぞれに冤罪を晴らそうとした人たちが奔走する。志半ば無念のもとその生涯を閉じていく中でその使命は引き継がれていく。「検察は被害者と共にある」といった言葉が出てくるけれど、その被害者というのは冤罪に巻き込まれた人たちは決して入らない。警察や検事の中には一生悔いを残しながら生きている人もいるかもしれないが、国家の中では無力。80年余りにも及ぶ再審請求は意外な形で終わる。面白かった。
0投稿日: 2025.08.03
powered by ブクログ何を信じたらいいのかわからんわ。これだけたくさんの人が長い年月をかけて明らかにしていくのは大変なことや。嘘はあかんわ〜。
0投稿日: 2025.07.13
