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1945年、14歳の僕が考えていたこと。【上・戦中編】 戦争を知らないキミへ
1945年、14歳の僕が考えていたこと。【上・戦中編】 戦争を知らないキミへ
大串潤児/ポプラ社
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総合評価

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    これは「福岡県久留米市の中学明善校(現在の福岡県立明善高等学校)に通っていた竹村逸彦さんが、10代の激動の日々を綴った日記」です。 上巻は1945年5月から敗戦の8月15日まで。 軍国少年がどのような日常を送っていたか、何を思っていたかを知ることができます。巻末には日記に書かれた出来事や用語の解説、写真も添付されているのでわかりやすい。10代の子らが読みやすいようルビをふってありおすすめです。 「中学明善校二年」 5月25〜30日 中間考査を受ける。 修身、数一、英語、漢文、数二、文法、物象、国語、用器画、地理、生物、歴史、教練。 聞きなれない科目は解説付き。 勤勉な少年で級長。 6月になると勤労奉仕が始まり、勉強に関しては殆ど記載が無くなる。配給や隣組、疎開の言葉に続き、入営、敵機来襲と不穏さが増す。 警戒警報が発令され、昼も夜も鳴る空襲警報の音に睡眠不足が続く。「眠くてたまらない」少年は、頻発に腹痛も起こしている(食あたりだろう) 農作業に始まり、7月に入るとゴム工場での運搬作業につくことが多くなる。 そして8月がやってきた。 8月11日の久留米空襲。 空は真っ黒で次々と焼夷弾が落下する。 広島、長崎に原爆が落とされた後も、終戦当日まで続けられた空襲。 「あくまで闘い、最後の一人まで戦って死にたいのである。まだ、こんなに兵力も武器もあるのに…。」と悔しがる少年の姿を見て、今の10代はどう考えるだろうか?

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    投稿日: 2025.08.07
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    1945年当時14歳だった少年の、5月下旬から8月15日までの日記です。 まず驚いたのは、度々挿入される写真でわかる少年の字の美しさ。丁寧に字を書く、ということが日記という「誰かに見せる」ことを想定していない文章でできている、その教育の練度に感心します。 一方で、それだけ教育があり(おそらく家庭の教養レベルも決して低くはない)環境だからこそ、なのかもしれませんが何の違和感も抱かずに戦争継続を当たり前のこととしてとらえ、日本が負ける、ということを露とも考えずに日々を過ごしている少年のありように、当時の社会全体が異常だったことが窺えます。 また、日本全国各地で空襲が激化している時期ではありますが、少年の日記からはそういった敗色濃厚な被害だけでなく日本軍の戦果(特攻や玉砕)について言及している部分はほとんどなく、勤労動員や警戒警報・空襲警報の有無、自信の体調(下痢症状に見舞われることが度々あったようで、栄養失調や多少古くなったものでも食べる、という食糧事情が影響しているのかもしれません)の記述が目立ち、物心ついた時から日本が戦争している時代に育った軍国少年であっても、あくまで「銃後」であり、自分の目の届く範囲に空襲がある、というようなことがなければ日々の生活を営むことに必死だった様子が想像できます。 下痢以外にも「ねむい」という記述も散見されますが、昼夜問わずに一日に何回も繰り返される警戒・空襲警報で十分な睡眠を確保できていないことが原因でしょうか。14歳の少年が21時~22時で就寝している、というのは現代の若者の生活からすると早すぎるかもしれませんが、灯火管制で夜に明かりがないこと、学徒動員による厳しい作業で体力を使っていることなどが原因かもしれません。 唯一、軍国主義教育を受けてきた、ということが発露しているのが8月15日の玉音放送についての部分です。 ーーー 我々の考えとしては、あくまで闘い、最後の一人まで戦って死にたいのである。まだこんなに兵力も武器もあるのに…。たとえ大和民族が絶えてしまおうとも、恥さらしな降伏をするよりも、世界の人々から、日本人は最後の一人まで戦って破れたと、たたえられる方がよい。…こんな事がはじめから知れてるなら、ありったけの兵器を特攻兵器として仇敵撃滅に使用したろうに。もう今日となっては、あの飛行機も無用の長物になってしまった。特攻隊の人なんか、どんなに地団太ふんで、くやしがったろう。 ーーー 筆者の周囲では空襲で亡くなった人もおらず、戦争による「被害」は少なかったといえるのかもしれません。いわば「恵まれた」環境にあったと言えるのかもしれませんが、それでもなお様々な制約がある生活を強いられるのが戦争だ、ということをまざまざと見せつけられた気がします。

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    投稿日: 2025.08.03
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    配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01438894

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    投稿日: 2025.07.02