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ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ
ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ
髙橋洋一、山田吉彦、松原仁/産経新聞出版
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総合評価

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    海洋資源発掘から日本国を豊かにするというアプローチは面白い。 投資と採掘できるかの成功確率を判断することは自身できていないが、今までにない立場から政治課題に切り込むという方が国会議員としていても良いのではと感じた。

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    投稿日: 2025.10.10
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    日本は海洋に囲まれた国で昔から海洋資源に恵まれていると本等で読んだことがあるのですが、この30年間一向に実用化に向けて進んでいないように思っていました。海洋資源のことを忘れかけていた昨今、ネットでこの本を見つけて読んでみることにしました、三人による共作本で、そのうちの一人はよくお世話になっている高橋氏です。 海洋資源開発にはお金がかかりますが、実用化できた暁には日本のエネルギー自給度合いも変わってくるはずなので、国が先頭に立って、投資をして欲しいです。現在総裁選が行われてますが、どの候補もこの点には触れていないようで寂しい限りですが。。。 以下は気になったポイントです。 ・士農工商という階級制度を崩壊させたことは、民の持つ活動力と生命力を大いに飛翔させたと考えられる、これほど完膚なきまでの階級否定が、短期間に、しかも多くの国民の合意のもとで成し遂げられたことは極めて稀である(p14)人種差別撤廃提案を国際連盟に提起したことも、明治維新において国内の階級の撤廃を成し遂げた日本人の意識と経験が反映されていた(p15) ・神社の総本山とも言える伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮で、その中心にある内宮と外宮の古い社殿を壊して新しい社殿に作り替える、あえて20年に一度、古いものを壊し、その隣に新しい社殿を作る、一定期間を過ぎると取り壊され、作り変えられる、こういった例は、世界広しといえども日本以外の国では聞いたことがない(p19) ・日本が高度経済成長したのは、この背景に米ソの冷戦下、地政学的に重要なアジアに位置する日本が、当時の覇権国アメリカによって、超円安為替レートという「下駄を履かせてもらう」支援環境を享受していたという事実がある(p22、165) ・1980年代後半から1990年代初頭にかけて日本経済は未曾有の隆盛を誇り世界を席巻していた、当時のアメリカにとって日本は「反共の砦」から、政治的同盟国であると当時に、経済的には、競争相手から次第に「脅威」へと変貌しつつあった、アメリカは戦略的かつ制度的な手法を用いて、日本経済を長期的に弱体化させる動きにでた、単なる外交圧力でなく、経済制度・規制・会計基準などの非関税障壁への批判を通して、ソフトパワーを駆使した周到な対日戦略をとった(p31) ・東京裁判において、連合国が派遣したインド・パール判事が、この裁判は違法であり、それを認めることができないと、被告人全員の無罪を主張したことは、今なお語り継がれている。事後の法律によって、その制定以前の行為が遡及して裁かれたこと、連合国によって行われた広島・長崎の原爆による一般人の大量殺戮が全く判決に書かれなかったこと(これについては、日本に対する弁護団が裁判の中で指摘)など、この裁判は公平なものとは言えぬのは明らかであろう(p36)しかし、日本は1952年のサンフランシスコ講和条約において、この裁判を受詫することによって、国際社会への復帰を果たすことになった(p36) ・国連憲章における「敵国条項」とは、第二次世界大戦における旧枢軸国に対して、国連加盟国が武力行使を含む制裁措置を行う際に、特別な手続きを要しない、とする極めて不自然な条文であり、国際法上の差別的規定である(p43) ・国際海洋条約に明記されているように、EEZ(排他的経済水域)は公海ではなく、一定の主権的権利が認められた海域であり、沿岸国の同意なき調査行為は違法である(p60) ・1960年代における高度経済成長期の日本は、東海道新幹線・東京オリンピック・全国高速道路網整備といった明確な国家的目標に基づき、財政と政治が一体となって未来の日本のブルー・プリントを描き、それに向かって国を動かした。そこでは選挙区への利益誘導ではなく、国家全体の成長に資するかどうか、が政治判断の主軸であった、今再び「海洋大国」という大義を掲げることにより、日本の政治がその原点に立ち戻れる可能性がある(p75) ・世界6位の広さを誇る日本の領海・EEZとして延長大陸棚の実態は、未開発のまま眠る海底資源が豊富に存在しながらも、長年にわたり手付かずのままであった、メタンハイドレード・レアアース泥・海底熱水鉱床など、海底に眠る資源は、将来のエネルギー安全保障や産業基盤の自立、そして国際的交渉力の強化に資する戦略資源である、この資源を独自に安定的かつ環境に配慮して開発する技術が確立できれば、それは資源小国から資源大国へ変わる「資源国化」にとどまらず、「資源開発技術大国」として変貌し、新たな国際的地位を確立することになる(p77) ・日本は2014年のCPLPサミット(ポルトガル語を母国語とする国々からなる9カ国、ブラジル・ポルトガル・アンゴラ・モザンビーク・カーボベルデ・ギニアビサウ・サントメプリンシペ・東ティモール・赤道ギニア)にて、オブザーバ参加が承認され、当時の安倍首相はCPLP諸国の発展に協力していきたいとメッセージを寄せている(p81) ・TPP11は、アメリカの離脱にも関わらず、日本の主導によって、維持・発効(2018年)に至った、数少ない戦略的成功例である、ここで注目すべきは、イギリスのTPP11参加である、EUと距離を置きながら、アジア太平洋における新たな連携を模索しており、日本との関係強化に大きな期待を寄せている(p83) ・メタンハイドレートは、燃える水、とも呼ばれ、天然ガスの主成分であるメタンガスと、水が低温高圧の条件下で結晶化したシャーベット状の物質で、特に日本海側(富山湾、上越沖、隠岐周辺)の表層型と、太平洋側の南海トラフ(静岡、愛知、三重、和歌山県沖)などの砂層型に、膨大な量(120-130兆円)があると推定されている、石炭や石油などの化石燃料に比べて燃焼時の二酸化炭素排出量が少ない(p94) ・レアアース泥(100兆円)は、高性能磁石、発光ダイオード、触媒、バッテリー材料など、最先端のハイテク製品、グリーンテクノロジーに不可欠な元素群である、2018年に南鳥島周辺のEEZ内の深海底で発見された、超高濃度のレアアース泥である(p98) ・コバルトリッチクラスト(200兆円)はコバルトを中心に、ニッケル、白金、マンガン、銅、モリブデン、タングステン、レアアースなど、多様な有用金属を高濃度で含有している、南鳥島周辺、小笠原諸島周辺に存在している(p100) ・1971年に変動相場制へ移行したが、日本は直ちに変動相場制の現実に直面したわけではなかった、急激な円高が日本経済に与える打撃を恐れ、資本の国際的移動に対して様々な規制を維持し、為替市場への介入(円売りドル買い介入)を頻繁に行った、これは表向きは変動相場制を装いながらも実質的には円相場を一定の範囲内にコントロールする「ダーティフロート=汚れた変動相場制)と呼ばれた。この政策で日本の巨額な貿易黒字をさらに拡大させ、アメリカとの間で貿易摩擦を引き起こす要因となった(p167) ・政府は国債を発行して資金を調達する、これは政府にとっては負債だが、その国債のかなりの部分を中央銀行である日銀が金融政策の一環として市場から買い入れている、これは日銀にとっては資産となる、政府単体で見れば負債が増えるだけだが、政府と日銀を統合して一つのグループとして見れば、グループ内での債権(日銀の保有国債)と債務(政府の発行国債)は相殺される、これにより政府・日銀グループが外部(民間部門、海外)に対して純粋に負っている負債の実額が明らかになる(p178)総資産1500兆円に対して、国債や借入金などの総負債(日銀保有分などを相殺;統合バランスシートを考える際には、日銀の負債=現金、日銀当座預金と、それに対応する資産=保有国債は実質的に相殺される、p184)は、約800兆円であり、差引純資産は700兆円のプラスとなっている(p181) ・日本が財政的に見て有数な豊かさを有していることは、日本の国債金利が低い水準で安定的に推移していること、そして国家のデフォルト(債務不履行)リスクを示す「CDS;クレジット・デフォルト・スワップ)の保証率が主要先進国の中で最も低い水準にあることで理解できる(p185) ・公共事業の経済的な合理性を評価するには、将来にわたって発生する便益を、現在の価値に割り引いて計算し、その合計額(便益の現在価値総額)と、初期投資コスト(費用の現在価値総額)を比較する必要があるが、この将来価値を現在価値に換算する際に用いられる率のことを「割引率」という、割引率の設定次第で、同じプロジェクトが、やるべき事業にも「やるべきでない事業」にもなり得る(p191)日本の公共事業評価において標準に使われている割引率は4%、この数字は、2004年度に設定されて以来、一度も見直されていない、日本の長期国債の利回りは、1%台前半以下で推移している(p192)100兆円の投資で500兆円の便益というプロジェクトを、割引率4%で評価すると、その現在価値は大幅に目減りする、場合によっては初期投資コストを下回ると評価され、経済合理性なし、と判断される(p198)「100兆円の財源があるか、ないか」ではない、問うべきは、「その100兆円の投資が、将来にわたって、そのコストを上回る便益、すなわち国民全体の資産の増加をもたらすか否か」である(p216) ・日本は、再び強い成長軌道を取り戻して豊かで持続可能な社会を次世代に引き継いでいくためには、1)「海洋資源大国化」=EEZに眠る潜在的な富を掘り起こして、エネルギー安全保障を確立し新たな基幹産業を創出、2)人口減少による労働力不足という制約とを、AIとロボテックスの徹底活用によって乗り越え、社会全体の生産性を飛躍的に向上させる「AI立国」である、大事なのは、この2つのエンジンが互いに独立しているのではなく、相互に補完し合い、強力な相乗効果を生み出す関係にあることである(p212) 2025年9月22日読破 2025年9月30日作成

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    投稿日: 2025.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日本には500兆円以上の宝の山が深海に眠っており、そのためには100兆円規模の投資が必要。なので、それは政治が引っ張っていって、国家プロジェクトにすべき。それによって、国力と自信を取り戻そう。エイエイオー。 という内容で、とてもそのとおりだと思った。こういう大きな夢を語れる政治家や専門家が政治を引っ張っていってほしい。

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    投稿日: 2025.07.21
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    日本人を元気にする本。そしてここでいうことが実現できれば元気な日本が戻ってくるであろう。夢だ。実現しなければならない。 日本に海洋資源が豊富にあることは多くの人が指摘している。しかし本格開発が始まることはない。巨額の資金の問題があるからだ。しかし、高橋が指摘するように、資産ができるのだから新たな投資は全く問題ないのだ。あまり知られていないが、割引率の問題も大きい。なぜ財務省はそうまでして日本の発展を妨げるのか。 それにしても松原仁。熱い。頑張れ!

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    投稿日: 2025.06.25