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文学は何の役に立つのか?
文学は何の役に立つのか?
平野啓一郎/コルク
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総合評価

10件)
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    いろんな雑誌に著者が書いたエッセイを中心にまとめた本。わかりやすい。 平野氏はなんとなく敬遠していた作家だった。デビュー作の『日蝕』を読んだのもほんの数年前。ところがやはり同じころ、私は死刑について考えたくなっていて、たまたま書店で平野氏の『死刑について』を見つけ買って読んでみたところ、見事にはまった。文章の運び、思考の流れが滑らかで素直に頷けた。 ちょうど同じころに東京新聞で「本心」の連載が始まり、毎日欠かさず読んだ。読ませる面白さがあった。 そんなこんなで作家平野啓一郎の書くものが好きになった。 そしてこの本。文学をどう捉えるか考える上で私にとってよい導き手になった。

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    人間はひとつの生しか生きることは出来ない。しかし、だからと言ってひとつの価値観や眼差しか持ちえないかと言えば、否である。小説や美術、映画、政治に対して書かれた思考が何処から生まれてきたのかを考えれば、文学が何の役に立つかは自明である。閉塞した時代だからこそ、文学は必要なのである。

    0
    投稿日: 2025.10.31
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    おはようございます。 朝早く3時過ぎに目が覚めて4時過ぎくらいから読書。 ここ何日かかけて読み進めていた平野啓一郎氏の文学は何の役に立つのかを読了しました。 三島由紀夫はじめ大江健三郎や交流のあったドナルドキーン氏や瀬戸内寂聴氏や安部公房や戦前の色んな著名な作家の文学解説や芸術解説に触れて興味深い話でしたけど、和多志にはちょっと小難しかった。

    12
    投稿日: 2025.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

     評価が低いのは自分が理解できないところがたくさんあったからで、決してこれがつまらないというわけではありません。  ドフトエフスキーなんてカラマーゾフ上巻で挫折したし、絵画に至ってはほとんど分かりませんでした。  平野さんがあらゆる芸術の造詣が深いことは分かりましたね。  瀬戸内寂聴や大江健三郎との対談や弔辞は、羨ましいですね。これからの日本文学会をしょって立つ人ならではです。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    秀作。 読む度に作者の見識の高さを感じさせられる。 戦争についての内容が多い。作者は戦争を体験した世代でないのを踏まえながら。 森鷗外の良さは分からない。三島由紀夫は凄い作家だと思う。 分人は面白い発想。人は場面毎に色々な顔を持つが全てその人なのだと。なるほどと思わされた。それでいいんだと。

    0
    投稿日: 2025.10.11
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    本書はいわゆる、エッセイ集といったものであるから、タイトルにある「文学は何の役に立つのか?」について、延々と語られるわけではない。 小生はタイトルのみで本書を手にとったため、やや拍子抜けしたが、オッペンハイマーに関する内容はとても興味深かった。

    0
    投稿日: 2025.09.25
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    【文学は何の役に立つのか?】 平野 啓一郎 著  いつも疑問に思うことがタイトルになっていたので読んでみました。本書は、著者の講演などをまとめたもので、表題については冒頭の35ページとなっています。著者も「答えるのに苦慮する問い」とのことですが、「一つの理由」を見つけたとあります。ネタバレはまずいと思いますが、この理由やその後の論考などは同意するところ大でした。  平野氏の著作は好きでほとんど読んでいますが、本書のほかの論考を読むと、自分と幼少期の経験が似ていることがわかりました。また、文章もきらきらと美しいのですが、三島由紀夫に留まらず、ハイデガー、大江健三郎など多数の文学・芸術に接していることもわかり、本書は一つの芸術評論という建付けにもなっています。  平野氏の『あなたが政治について語る時』も8月に出版され、並行して読みましたが、時事問題についても強い関心を持っていることがわかり、平野ワールドに浸った猛暑日でした。

    0
    投稿日: 2025.09.18
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    なかなかに難しい本でした。 ドストエフスキーに関しては、まともに読んでないからさっぱり理解できず(汗 三島由紀夫、森鴎外、安部公房は、少しだけ見識深めたかも。上面ですが・・・ 個人と分人、なかなかに興味深いお話でしたが、説明しろといわれるとそこまで理解できていないのが本音かな。 文学は役に立つのか? そんな高尚なことは考えず、読むだけの私です。

    12
    投稿日: 2025.09.16
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    学校の教科書に載せてほしい!と思うほどの内容。 子どもの頃は読書を娯楽として純粋に楽しんでいた。大人になって日々に忙殺され、今また読書をする時間を持つようになったが、読んでいて、この時間に意味はあるんだろうか、単なる趣味ではあるのだけれど…とモヤモヤした事が何度ももある。その感覚を、うまく解消してくれた。 難しくて理解に時間のかかる批評もあったが、総じて素晴らしい1冊。これは手元に置いて、時々じっくりゆっくりと読みたい。

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    岩波から出ているので、タイトルをテーマにした書き下ろしかと思っていたが、エッセイ集だった。しかも、最初の講演録は、YouTubeで見たものだった。まあ、しっかり復習になって良かった。僕が本を次々には買わなくなった理由は、置く場所がないからです。まあ、それも経済的な余裕があれば解消されるのだけれど。「舞姫」論の中などに出てくるが、アンチ自己責任論というのがなかなかいいなと思う。無責任な奴と思われがちな豊太郎だが、自分ではどうしようもない状況に置かれてしまった、と考えることもできる。森鴎外のほかの作品についても読んでいかないといけない。「阿部一族」の殉死については、そうかなと思っていたけれど、やはり乃木希典のことがあったのだなあ。センが言っていることを受けて書かれているが、政治的な立場が違う人とでも、音楽の趣味が同じだったりするとそこから話が広がり、政治的、思想的な部分についても歩み寄ることができる。但し、順番が大事。先に音楽の話をして仲良くなってから、政治的な話もしてみるというのが大事。とても納得できる。でも、実際問題を考えてみると、宗教と政治の話はちょっとしにくいかも知れない。親友であっても受け入れられなくなるかもしれない。後半の芸術論はなかなか難しい。「葬送」のドラクロワの言葉の数々は大変興味深かった印象が残っているのだけれど。他の作家について。安部公房は全部再読してみたい。瀬戸内寂聴は「源氏物語」の翻訳を読んでいるのでとりあえずいいか。大江健三郎は全く読んでいないのでできるだけ早く手を付けたい。何から読むべきか。ドナルド・キーンもちょっと興味はある。古井由吉はちょっとわからない。ハン・ガンはとりあえず3冊図書館に予約した。三島の戯曲はまだあまり読めていないので近々読んでみよう。ドストエフスキーは取り上げられた作品はだいたい読んでいるけれどなかなか中身についていけない。「カラマーゾフ」以外は登場人物のイメージがほとんど描けない。どこかの建物とか橋とか庭とかいくつかイメージできるのだが、「白痴」だったか「悪霊」だったかいろいろと混ざってしまっている。電子書籍で流し読みしているからかな。「アンナ・カレーニナ」ならわりと頭に残っているのだが。そして、平野啓一郎の作品も、まだ読んだことのない短編やエッセイ、対談なども含めて、早く読み尽くしたい。難しいものも多いのだけれど、それを何とか読み取って行きたいという思いがある。それと比べて、村上春樹の作品は何もかも読みやすく、受け入れやすい。平野啓一郎は村上春樹についてはどう考えているのだろうかな。そこも知りたいなと思う。どこかで書いているのだろうか。そうそう、書き忘れてたけど、人物名のさん付と呼び捨てを区別されている。そこも共感できる。ここでは、僕はすべて呼び捨てにしている。身近ではないメジャーな固有名だから。できれば、平野さんと呼べるようになりたいな。

    4
    投稿日: 2025.08.16