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普通の底
普通の底
月村了衛/講談社
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総合評価

71件)
3.7
12
25
24
3
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【あらすじ】ある青年から届いた手紙には、幼少期から「普通」を願って生活を送ってきたことが書かれていた。普通の家庭、普通の教育、普通の交友関係。多少の挫折はあっても、彼は「普通」の軌道に乗り続けている--はずだった。今、彼はとても困難な状況にいる。どこでそうなったのか。どうしてそうなったのか。両親が不仲だからか、トー横に行ってしまったからか、それとも大学時代の起業サークルが原因か、それとも重くのしかかる奨学金のせいだろうか。三通の手紙があぶり出すのは、あらゆるものが可視化された現代社会にはびこる精神的幼稚さと、その行く末。 ぼくだけが悪いのでしょうか?見えますか? この暗黒が。 【感想】完全に前情報無しで本屋でジャケ買いした1冊。もっと古めの純文のような重たく陰鬱な話かと思っていたが、読み進めるとトー横だったり闇バイトだったり割と現代的な話だなと感じた。だがやはり、内容は最悪で最高の重さだった。家庭環境、友人、恋人、仕事、全てが意図せず最悪の選択肢を辿ってしまう人生。自身も仕事のクライアントが不祥事で倒産してしまい、こちらの仕事が無くなった経験があり、それが自分の会社だったら…等、決して他人事では無い場面が多くゾッとした。そしてどんどん地獄にはまっていけば行く程に抜け出すどころか雁字搦めになっていく様もとても共感できてしまった。だが、第三者視点で観てみると自身の浅はかさ、薄っぺらさ、現代の病的なタイパ重視で人情ど返しの人間像だと思われても仕方ないと、そこも共感できてしまい悲しくなった。ジャケ買いはほとんどした事がなかったし、あまりしたいとも思わないが、今回に限っては本当に良い出会いができた1冊だった。 下記印象に残った文を記す。 「貧困層の人間は百円のおにぎりを盗んでも逮捕されます。そういう人、ぼくがバイトしていたコンビニでも何人かいました。すぐに何人もの警官が飛んできて、みんな小突かれながら連行されていきました。でも、政治家なら公金をいくら盗んでも捕まらない。脱税しても捕まらない。しかも「うまくやっている」というだけではありません。世間にバレても、なぜか罪に問われないのです。そんな光景を、ぼく達は小学生くらいの頃から当たり前のように見せつけられているのです。」 (2025年11月12日読了)

    0
    投稿日: 2025.11.13
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    啓光図書室の貸出状況が確認できます 図書館OPACへ⇒https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50405668 他校地の本の取り寄せも可能です

    0
    投稿日: 2025.11.11
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    疎遠な自分の親族がこうなってしまったら、自分にどんな不利益が起こるのだろうまで想像してしまって怖かった

    0
    投稿日: 2025.11.06
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    子供の頃から目立たないこと、普通であることを旨として生き続けた男が、人生に躓き堕ちていく姿を手紙という形で描く本編は、先に待ち受けるであろう闇を想像させてただただ陰鬱。 最後まで自分の最悪の選択を「これしかなかった」と言い訳し、親ガチャという言葉でひたすら責任転嫁する他責思考は胸糞悪い。 でも、こういう人身近にもいるよね的な怖さも。 男を取材する手紙の宛先人であるジャーナリストの覚書を読むにつれ、今の世の中に蔓延する空気のようなものへの恐怖がひたひたと押し寄せる。 「社会的炎上せず、叩かれることもない「普通」を望みながら、大衆に埋没するだけの「凡庸」である自己は認められない。親ガチャに代表される他責思考。そんな精神性を持ち合わせないと断言できる人が、今の時代、果たしてどれだけいることだろう」 このくだりが響く。

    1
    投稿日: 2025.11.04
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    普通の子供が普通の生活を送る内にドン底まて堕ちる鬱作品。語り手の手紙という体裁の一人称視点で語られるが、もどかしい気持ちで一杯になる。

    17
    投稿日: 2025.10.21
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    怖いなぁ。 どんだけ頑張っても過去の過ちで転落することが往々にしてある。 他責、と言われたらそう思えなくもないけど、やっぱり抗えないことなんて人間たくさんあるし、そんなこと言ってたら人生どこでも気が抜けない、、 確かに他の選択肢はあった。あったけど、これといった明確な正解もなかった気がする。 人生運なのかなぁ、そう思わずにはいられない。 2025.10.19 195

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代に生きる私たちの核心をついた1冊だった。 正直、最後のジャーナリストの感想のパートを読むまで、なんとも言葉にし難い感想を抱いた。 この本を手に取った時、普通になりたいという言葉には思わず同情してしまうような悲惨な過去や、もしくは知的障害のグレーゾーンな人物を想定していた。 だがあくまでどこにでもいそうな普通な青年。確かに両親が不仲だったことや、トー横に無理やり誘われたことなど可哀想ではあるけれど、それでもここまで道を踏み外すものなのかと考えさせられてしまった。 ただ最後のジャーナリストのパートを読み、彼のそして現代人の私たちを端的に鋭く刺す言葉に納得した。 自分の卒論で若者が推し活に夢中になる理由を調べた時もかなり似たような結論に辿り着いたこともあり、なるほど彼の抱いていた普通という言葉は普通以上の、願いが込められていたのだと気がついた。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    怖い。ただそう感じた、不思議な本だった。 中学受験を体験しているなど、何かと主人公と共通点が多いためどんどん転落していく様子に呆気に取られてしまった。 ひたすら救いのない物語。

    3
    投稿日: 2025.09.28
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    普通で生きたい気持ちはわかるけど、なんとなく嫌な人と話してる感覚になる本。感情がひとつも見えてこない。

    0
    投稿日: 2025.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どうかなと思いつつページ開けば大変読みやすく、一気読みできた犯罪小説でした。 主人公川辺優人は幼少より普通を意識して行動し、周りの人からもそう思われながら社会人になったものの過去の悪事から逃れられず死刑にもなる犯罪を犯すわけですが。 自分を顧みると物心ついた時にはもう自分が普通でない事を意識していたので(自称生まれながらのオタク)、普通である事など苦痛で仕方なかったんですけど、でも高校時代あたりから「このままだと社会生活送れなさそう」と危機感を抱き、どうにかこうにか世間一般的な普通を意識して日々送っている訳ですがそれでも気が付くと世間から離れてる自分を意識してしまうのですね。 そういう普通を意識して生活を送っていると、普通とか常識の範囲とその中心点が常に移動していることに気が付きます。その範囲や位置の観察と自分の意識の調整をしていればどうにか普通を装えるのですが、この仕組みに気が付かない人や調整をしない人がいる。 といったようなことを多分自分より賢い川辺が何故理解できなかったのか不思議でならなかったのですがそれは川辺の手紙の送り先である松井の言う人間としての薄さ、無意識で他人や社会を見下し、世間に向き合わなかった結果なのかなと思いました。 川辺には特定の趣味がないのが特徴で、賢いと言ってもテスト勉強が得意というだけで世間はおろか自己とすら対話した感じがない。終盤手紙の送り先であるジャーナリストが川辺の事を「薄っぺらい」と表現しますが、その薄さは趣味の無さや人間関係の希薄さから来てるもので、川辺と自分の違いはそれ(すいません、人間関係は自分も希薄です)なのかなと思ったりしました。 あと終盤の強盗に入ってからの描写が筒井康隆ばりのコメディで大いに笑わせてもらいました。特にメガネ。コイツヤバすぎ。って笑ってるくらいだから多分川辺とは自分も五十歩百歩なんでしょう。 現代社会に対する警鐘、その鐘の音は幾つも鳴っているけどさて、何処から鳴り止ませるのが良いのかな、と考えてしまいました。とりあえず奨学金ですかね。

    0
    投稿日: 2025.09.07
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    一人の人間が壊れて行く話しでした。 小学生の頃から妙に大人びていましたねぇ 選択が裏目裏目に出てしまいました、でもその選択をしたのは自分な訳で…

    0
    投稿日: 2025.09.06
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    普通として生きたかった青年が転落するまでの克明な記録。 お受験から両親の不仲、クラスの様子など解像度が高く、読んでいてずっと沈んだ気持ちになる。 高校の時に1回ミスをしたから転落した、と読み解くこともできるだろうが、実際は"普通"と思っていた選択肢が全て最悪となるほうに転がっていったように思う。今は底に沈むシステムができているので、一旦そこに乗ってしまうと抜け出すのは難しい。 SNSで社会や政治に怨嗟の念を書いている人たちもこういうものなのかなぁ...と思えた。

    0
    投稿日: 2025.09.02
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    「普通」の人が転落していく様子が描かれる。その思考プロセスはリアリティがあるけど、気持ちのいい話ではなかった

    4
    投稿日: 2025.09.01
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    早く読めた。おもしろかった。が、すごく後味が悪い、というか…気持ちが重かった。職場で、どうかした?と聞かれるくらいに。 最初の手紙で、そんな考え方の小学生いる?と思ったのは自分のその頃を思ったから。今なら、そういう子いるよなぁ、と。 イジメの空気があるところがどんなにか人格を蝕んでいくことがよくわかった。当事者だけでなく、周りも荒んでいく。 第三の手紙。本当にどうしようもない状況に追い込まれるもの?そんな気もするし、どこかで踏みとどまれる気もするけど、わからなくなった。

    0
    投稿日: 2025.08.30
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    どこにでもいそうなのに、この違和感をおぼえる浮世離れした感じの人は身近にはいないなと思えた。子どもの時からこんなに処世術を考えてこれたなら、きっといくつかの決定的な分岐点でも「普通でい続ける」選択をできたはずなのに。相手になめられてはいけない、弱みを見せてはいけない、そのような無意識の優越感が、曇りをもたらすのだろうか。小説がめちゃめちゃリアルだからこそ、自分との違いを見つけたくて仕方なかった。

    0
    投稿日: 2025.08.29
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    今、犯罪の主流になっている闇バイトの真相を真摯に問うた本。閉塞した社会そのものそれが今の日本だということだろう。ただ世界はそんなこと言っている場合ではなかろうという気はするのだが、、、 時期を得た本。

    0
    投稿日: 2025.08.26
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    第一の手紙、第二の手紙、第三の手紙と時系列に、誰かに宛てた手紙が書かれています。 誰に宛てたのかは最後にわかるようになっています。 主人公の川辺優人は幼い頃から争いごとは避け、人より前に出ずに普通であるように生きてきた。 普通であることを意識するあまり、誘いにはっきり断る事が出来ない。 最初は大した事ないが、それが最後は取り返しのつかないことになってしまう。 普通の人生が幸せという願望をもつ人は多いと思う。しかし、普通の人生とは? 一昔前は、男らしさ女らしさという基準があった。それが普通の基準であったと思う。 今の時代は、普通の基準がなくなった。故に基準に縋る生きるかたは、生きずらい世の中になったと思う。 周りを見渡すと積極的に人の前に出ようとせず、周りに合わせることを意識して生きている人は多いように思う。自らも積極的かと聞かれれば正直そうではないが。 周りにどう思われるかそんなことに囚われすぎていると、自分を見失ってしまう恐怖を感じさせてくれる一冊です。

    8
    投稿日: 2025.08.24
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    3つの手紙から構成される。書き手の川辺には全然共感できないのですが、なぜかぐいぐいと引き込まれる文章。夢中になって読みました。面白かったです。

    29
    投稿日: 2025.08.23
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    読書備忘録939号。 ★★★★。 読んでてぜんっぜん!楽しくない! メンタルを根こそぎ持っていかれる! ★5つは無理! 主人公の転がり落ちていく不幸が自分のこととして夢に出て来そう。 なんなら、既に家を出た息子とか娘の人生が破壊される可能性があるのでは?とうなされる・・・。 主人公の川辺優人。 どうやら誰かに手紙を書いている。 第一の手紙。 この世に生まれて普通に幼稚園に通い、普通に中学を卒業するまで。普通に。 第二の手紙。 高校から新卒で入社した教育コンテンツを手掛ける会社を退職するまで。 普通でいたいが為に高校でちょっと判断を誤る・・・。 さらに普通が良かったんじゃないの?と思わざるを得ない退職理由。 第三の手紙。 転職から人生破滅まで。 もうここは普通じゃないです。決して。 辛いから備忘したくない。 トー横。 未成年女子を食い物に。 奨学金返済の重い負担。 外国人差別。 闇バイト。普通のバイトと闇バイトの区別がつかなくなる末期症状。 最後にジャーナリストが言っている。 普通とは? 普通がいいけど凡庸ではないことを望む薄っぺらさ。 誰もが紙一重の時代。世代ではなく時代。 最後に。この世が若い世代にとってちょっとでも住みやすい世の中であって欲しい。 ワタクシは年金要らん!働けるだけ働く!頑張って支給開始を遅らせるよ!支給開始直後からの速攻でコロリを目指すよ! 身体鍛えるよ!健康寿命伸ばして医療費掛からないようにするよ! だから、若い世代の笑顔が絶えない世の中であって欲しい・・・。

    59
    投稿日: 2025.08.22
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    ある人物に向けた手紙で淡々と自分の人生を振り返る主人公。普通を望んでいただけと綴る手紙からは、他責思考でタイパコスパの理論武装でガチガチの虚ろな目をした青年の像が浮かびました。読後はただただ今の時代に漂う虚無感と不安感が押し寄せました。 "普通にやっていただけなのに。普通にやっていたはずなのに。 気がついたら転落している。ここからどうやって抜け出せばいいのでしょう。"

    0
    投稿日: 2025.08.22
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    社会が悪いことはなんとなく認識しているが自分にできることはない、選挙に行っても無駄だと思ってるような人に読んでほしい

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    読み始めてすぐ、早く読み終えたいと思った。実際2日で読み終えた。 こういう話には、もううんざり。 現代の社会の生きにくさとかいじめとかコロナ禍とか、最近の小説はどれも同じような話でもう読みたくない。社会への愚痴は聞きたくない。 冒頭で「あー、主人公は犯罪者なんだろうなぁ」と分かるし、想像通りの内容で、そういう小説はもういいって、と心から思った。

    0
    投稿日: 2025.08.16
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    小学校から大学に至るまでの受験、スクールカースト、就活等、現代社会を順調に歩んできたはずの主人公が、トー横と奨学金のために闇バイトに巻き込まれていく。 誰にでも起こりうる悲劇。 学べる点があるとすれば、歌舞伎町には近寄らない、大企業は辞めない、の2点かな。

    0
    投稿日: 2025.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読みやすい文章で1時間半ほどでするすると一気読み。 トー横に行った時点でその後脅されたりするのかなと思いましたが、まさかの闇バイトからの死刑囚。本当の底まで落ちていく話で言葉を失いました。 社会的に炎上せず、叩かれることもない「普通」を望みながら、大衆に埋没するだけの「凡庸」である自己は認められない。親ガチャに代表される他責思考。 最後のジャーナリストの覚書にあったこの文言。悪目立ちしないような普通を演じながらも抑えきれない承認欲求に溢れた今の時代をすごく表していて、印象的でした。

    1
    投稿日: 2025.08.12
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    こ、これは…!! 読んでいる途中で、とある小説に雰囲気が似ていることに気づきました。 それは――太宰治の『人間失格』。 ものすごく似ている。現代版・人間失格と謳ってもいいかもしれません。 まず、手紙が三つに分けて書かれている点。 主人公・川辺優人の生い立ちが、時系列で三つに分けて描かれています。 そして、自分のことなのに、どこか他人事のように綴られていて、彼が本当はどう思い、何を考えていたのか、その実態がつかめないのです。 自分があるようでいて、ない。 倫理的にまずいことでも、他人の指示に従ってしまう。 そして、逃げない。逃げられない。 読み進めるほどに、主人公の輪郭がぼやけ、気分が悪くなっていく――そんな感覚に襲われました。 彼が「闇バイト」に手を出すに至った理由は何だったのか。 生まれ育った環境か、学生時代に出会った悪友か、新卒で入った会社を辞めたことか。 どれも決定的な原因には見えません。 おそらく、原因はひとつではない。 彼の性格と選択と運命――最初はゆるく絡まっていただけのものが、年月を経て強く結びつき、ほどけなくなってしまった。 とても抽象的ですが、そんな空気を感じました。 人が落ちていくとき、その瞬間には気づけないのかもしれません。 本人が「落ちた」と自覚したときには、もう元の「普通」に戻れない条件が、いくつも積み重なっている。 彼の人生を遡っても、「彼のようにならないためには」という明確な答えは出ません。 そこに気味の悪さを覚えると同時に、恐怖すら感じました。 その感覚を、言葉にしてくれていた箇所があります。 「ジャーナリスト・松井達行による覚書」の中の、この一文です。 “私とO氏がともに抱いた根源的な恐怖。それは、今すぐにでもその<何か>を解明しなければ、明日闇バイトに応募しているのは私自身かもしれないという予感である。” 私も、いまだにその<何か>が分からない人間です。 正直、自分よりも、子どもが主人公のようにならないか…という不安が強く残りました。 この小説から私が学んだことはただひとつ。 付き合う人間は選ぶべきだ――それも、幼いころから。 「三つ子の魂百まで」とはよく言いますが、人間関係にも当てはまると思います。 小学生時代の人間関係が、成人してなお続き、人生をコントロールされることもあるのです。 自分の身を守れるのは、自分しかいません。 悪意ある人との縁の切り方を、早いうちに知っておく必要があると感じました。 小説で、ここまで心理的に不安にさせられるとは――。

    41
    投稿日: 2025.08.12
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    久しぶりに手にしたフィクションは『ノワール』で知った月村了衛先生の一作です。「普通」を望む主人公に降りかかる連鎖的悲劇を通し、現代的社会問題である闇バイトの構造と本質が鋭く描き出されていました。予測不能な展開に終始惹き込まれました。

    0
    投稿日: 2025.08.10
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    年代に応じて進学、友人、恋愛、就業、結婚、子育て、住居、キャリアアップ、趣味、健康と、まあさまざまな分野に関する夢や希望を持つわけでしょ。年齢を重ねるに従って自分の能力やら気力やらが知れてくるんだけれど、挫折があってもできうる限り夢や希望は叶えたい、その思いこそが「普通」っちゃあフツーに違いない。「ただ普通でありたかった」などと極めてネガティブな思考こそ、まったく普通ではなかろうね。自我を殺して存在感を消す所業に努めるほど他者から浮くし、苛立たせてつけ込まれる。結局「ぼくだけ」ではなかろうともぼくが悪い。

    1
    投稿日: 2025.08.06
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    ある青年から届いた手紙には、幼少期から「普通」を願って生活を送ってきたことが書かれていた。普通の家庭、普通の教育、普通の交友関係。多少の挫折はあっても、彼は「普通」の軌道に乗り続けている--はずだった。今、彼はとても困難な状況にいる。どこでそうなったのか。どうしてそうなったのか。両親が不仲だからか、トー横に行ってしまったからか、それとも大学時代の起業サークルが原因か、それとも重くのしかかる奨学金のせいだろうか。三通の手紙があぶり出すのは、あらゆるものが可視化された現代社会にはびこる精神的幼稚さと、その行く末。 著者名を見て手に取ったのが、読むきっかけ。久々の読後感。

    7
    投稿日: 2025.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ただ普通でありたかった」 闇バイトという名の強盗殺人の罪で死刑判決を下された、「普通」を目指して生きてきた男の人生のお話。 幼少期から学生時代、就職し、闇バイトに手を出すまでを、3通の手紙という形で表現している。 「何も考えてなかった」というのが、大きな結論かな? 考えているようで考えてない、というか、、、最悪な選択ばかりしているというか、結局のところ他責しているだけなんだけど。 なんだろう、、、もやもやするけど、わからん。 ひとつ感じたのは、愛されてる実感がなくて、その事に気づかず成長しちゃったのかな?と。 とにかく自分のことだけなんだよね、考えてることが。親とか友達とか、それこそ「普通に」生きてきたら大切に思えるだろう存在がまるでない状態。 かと言って、生命が脅かされるほど、目に見えて虐待されているとかいじめや暴行受けているとかでもなく、表面上は問題なく生きてきた結果がこれって感じ。最悪だな。 親の立場からすると、親である自分に責任感じちゃうけど、そんな責任を感じられる親なら、こんな子には育たなかったんだろうな、と。 フィクションなので、あまり深く考えても仕方ないのだけど。 とりあえず、読み返しはしないかな、1回読めば充分。

    1
    投稿日: 2025.08.03
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    引き出しいっぱいの月村さん。何となく「普通でありたかった」という主人公が常に普通でない悪手を選択。最後は闇バイトまで堕ちるのかなと想像してたらその通りの展開。社会批判の件は共感できる部分もあるが、全体的に薄っぺらでモヤモヤした気分残り、読後感よくない。

    2
    投稿日: 2025.08.01
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    普通でありたい主人公。 でもその普通であること、維持すること、道を外れないことが一番難しかったりする。 最後の覚書がまたいい味だしててえぐってくる 普通の底 ってタイトル、どういう意味だろうって 読む前は思ってたけど読み終わるとすごい端的なタイトルだなと 現代をあらわす作品だと感動してるけど これをもし50年後読んだときにどう感じるだろう?と ちょっと楽しみになるような作品だった

    1
    投稿日: 2025.07.29
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    「ただ普通でありたかった。」という一文で、第一の手紙は始まる。書いているのは2001年に、会社員の夫と(結婚の際、周囲の空気に合わせるように退職をした)専業主婦の妻のもとに生まれた、ごく普通の青年。誰宛てへの手紙なのかは伏せられている。その手紙で、彼は、生まれてから幼稚園、小学校、中学校と、起こった出来事とその時に考えていた自分の気持ちを、じっくりと見つめて、逐一丁寧に明かしている。お受験をさせられたが、普通の公立小学校に通ったこと、そこでの自分の地位、周りの人たちの力関係、受験に熱心な母親、第三志望だった私立中学への進学、高校受験、大学受験。自分の目標は大手の有名企業への就職であり、学校はそのための期間である。同級生たちとは、適当に話題を合わせて過ごせばいいというスタンスは一貫していて、結果、理想的な有名企業への就職を果たすのだが、同級生によってややこしい男と引き合わされ、未成年者への暴行、強制わいせつ事件への関与が疑われ、退職してしまう。そこから職を転々として、最終、コンビニバイトまで落ち、奨学金の返済による生活の苦しさから、同級生に巻き込まれるようにして闇バイトに手を出してしまう。第二、第三と続いた三通の手紙は、民家で4人の住人が惨殺された強盗事件を取材しているジャーナリストのもとに届いた、被告からの罪を告白する手紙だったことが明かされる。 ごく中流家庭の、多少、勉強は出来たようだが、特に何か秀でたところがあるわけでもない、普通の青年。自分の人生の転落について、淡々と述べているが、すべてどこか他人事のようで、事件についても、自分はあくまで関わりたくない同級生に足を引っ張られてこうなったという意識である。それで声高に言うのは、親ガチャに象徴される、社会の不平等である。 「ぼくだって、普通に生きていければいいって思ってましたから。その結果がこのありさまです。気づいてみたら極悪人の死刑囚だ。」 「誰もが被害者でありながら、誰もが加害者ともなり得る」そんな社会はおかしい、地獄だと主張していて、「一歩間違えたら、わたしだってそうなっていたかわからない」と、思わせるような締めくくりになってはいるが、なる人とならない人との間には、ちゃんと線が存在していると思う。小学校時代、いじめっ子に、「お前もやってみ」と言われ、いじめの対象になっていた子に本気で蹴ったり殴ったりしていた、そうしないと代わりに自分が対象になってしまうからだ、というくだりがわりと早い段階であり、それを読んだ時、この主人公に対して不快な感情を持った。自己評価が異様に高く、評価されない理由を、自分の家の貧しさだとか、両親の不仲だとかに転嫁している。自分より低い位置にいるものを、ずっとうっすらとバカにしている。 だからその後の転落についても、自分が蒔いた種としか思えなかった。こうなる人間だった。ただ、そういう思考の人間が生まれるのも、今の、成功者が可視化され、正しさで簡単に人を傷つけることのできるSNS社会ゆえかと思うと、社会の犠牲者なのかもしれないな、とも思う。

    2
    投稿日: 2025.07.28
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    『ただ普通でありたかった』 川辺優人は3通の手紙で自分の人生を幼少期より誰かに綴る。その生きざまは、よくあるけれど、表紙の男のように、何もないもので形作られているような生き方。突出してもいないし、劣ってもいない。むしろM大(明治、慶應は書いてあるのにGMARCH以下はアルファベット)卒なので、恵まれている方だと思う。はっきりいって、本人のやりたいことや目指したいもの、好きなものが全くなくて、読んでいて気持ち悪い。だから、読み心地良いものがいいのが好きな人には向きません。 目立たないようにしていて、時に悪いものにからめ捕られると、そこでも断りきれずに巻き込まれ、どんどん堕ちていく。確かに日本で30歳くらいで非正規雇用者になってしまうと、底辺になってしまうのかもしれないけど、それでも工夫すればそれなりに生きては行ける。そこに幸せを見つけられない心根や、卑屈になる、軽蔑して下に見るのが間違っているという道徳観教育が必要なのかと。 中学生と淫らなイベントありで高校以上。

    2
    投稿日: 2025.07.27
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    前半の3通の手紙に引き込まれました。 湊かなえさんっぽいです。 後半はここまでくるかとなんだか絶望を感じました。 イソップ童話の北風よりも激しい時代の風が、人を奈落へ奈落へと押しやる。 そんなお話です。

    12
    投稿日: 2025.07.21
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     普通でありたかった…と、川辺優人はこれまでの人生を回顧しつつ手紙に綴ります。普通に生きてきたはずなのに…なぜ?そうなったのか??どこが自身の岐路だったのか??回顧しつつも、すっきりはしません…。  清々しいまでの落ちっぷりでした!川辺優人だから??もちろんそれもあるでしょうけど、普通に生きたい私たちだって、こんな極端な落ちっぷりはしないかもだけれど、落ちるリスクは誰にでもあるんでしょうね…。  気になるのは、普通に生きたいと思いながらも、普通に生きられないのは自分のせいじゃない…という面が強くよみ取れたこと…。ある意味、自己中なのかも…!!気をつけないと、ね(^-^;

    76
    投稿日: 2025.07.20
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    普通を目指して生きてきたつもりだったのに、いつの間にか外れてたみたいな。空気を読むことが得意だったのにね。何がダメだったのかなーと私が思うには、夢中になれることが一つもなかったこと。マンガや映画、鉄道…夢中になっている人をバカらしいと思ってるよね。そこに楽しみが見いだせれば、「普通」の人でいられたんじゃないかな。

    12
    投稿日: 2025.07.16
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    普通になりたくて、普通になれなかった男。何にもツイていない人物は存在する。 一歩間違えれば、自分もこうなっていたかもとゾッとさせられる。 いかにも後味の悪い本。イヤミスが好きな人にオススメ。

    2
    投稿日: 2025.07.16
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    小学生の頃から悪目立ちしないように中庸を人生訓として心掛けてきた主人公は、無事に有名大学を卒業、優良企業に就職したが、高校3年生の時に同級生の誘いに乗りとある場に同席していたことがきっかけとなり人生が暗転していく。 職を失い、両親からの援助もなく、奨学金の返済に苦しむ中、闇バイトに手を染め、強盗殺人を犯し、死刑囚となってしまう。 主人公からの3通の書簡と、それを受け取ったジャーナリストの覚書からなる本書のエッセンスは最後の覚書にあり、「普通」の暮らしを心掛けていてもちょっとした躓きを契機に社会の底辺まで転落する可能性が誰にでもある我が国の状況を作者は著している。 学生の勉学を支えるはずの奨学金が卒業後の人生の重石となり、あまつさえ人生転落の罠にもなり得るというのは本書に書かれた通りであり、制度の見直しが必要だろう。

    0
    投稿日: 2025.07.15
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    目立たず普通の人として人生を送ろうとしていた主人公・川辺優人がちょっとした人生のずれから死刑囚になるストーリー。 大学を卒業し大手企業に勤めていた彼がなぜ闇バイトの末端として強盗殺人に関わってしまったのか。親、学校、会社、上司など様々な「ガチャ」と呼ばれる他責思考がその一端なのか。極めて普通と思っていた人生において「貧困ではない、底辺ではない、ここはあくまで普通の底なんだ」と思いたい感覚なのかなと感じるとともに、自分だったら確かにそうなのかも、、、と深く考えさせられる作品。 死刑囚からジャーナリスト宛に届く手紙の体裁でストーリーが進みますが、普通の小説のように会話も情景描写もあるので読む手が進み一日で読んでしまいました。 桐野夏生さんの作品のような「日常の中にある見ないようにしている闇の世界」を描いているようでとても面白く読めました。久々に触れた良作! #普通の底 #月村了衛

    3
    投稿日: 2025.07.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この小説が今を語っているならば、今の若者の現実や考え方に同情を感じる 50年前とはまるで違うので、孫の気持ちや環境には気をつけて発言しないと老害と言われる理由が少しだけ感じれた アンテナ高く、今を理解するよう頑張ります

    0
    投稿日: 2025.07.12
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    ただ普通でありたかった。 この書き出しで始まる手紙。 スクールカースト、いじめ、中学受験、奨学金、闇バイト。 学校での自分の立ち位置を常に考え、目立たぬように息を殺している。 就職しても変わらず。 あっけなく仕事も辞めてしまう。 重くのしかかる奨学金の支払い。 追い詰められ、闇バイトに手を出す。 自分が犯した罪に対しては、反省も何の感情もないのが気持ち悪い。 考えが短絡的で他責的。 親や付き合う人達。 自分の置かれている環境も影響するのかもしれないが、それだけではない。 普通に生きたかっただけなのに。 自分は悪くないのに。 どうしてこんなことになったのか。 自分の事だけしか考えられない。 普通って何だろう。 普通ってよく使う言葉だけど、普通なんてないのかも。人はそれぞれみんな違う。 とにかく読了後も気持ち悪さでいっぱい。

    17
    投稿日: 2025.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「スクールカースト」「いじめ」「受験」「貧困」「タイパ」「東横キッズ」「闇バイト」などの社会問題を扱った本書。令和の都心部に住む若者の生きづらさが過酷。そんな過酷さの中で生き残る術は「普通」であること。目立ちすぎず、下に見られず程よいバランスをキープする。 本書は、闇バイトで殺人を犯し捕まった一般的な子が、いかにして犯罪者になったかを自身の幼少期から振り返り、3通の手記にまとめ、読者はその内容を読んでいく形で展開する。 とても読みやすく、運の悪い状況に同情する側面もあるが、その子の思考の展開の中に妙な気持ち悪さが底通しているのが怖い。本書ではその気持ち悪さを「薄っぺらさ」と表現している。 「普通」を維持するために「タイパ」が良いからと「闇バイト」に簡単に手を出して犯罪を犯してしまう。仕方がないと諦めてしまう。合理性を優先するが故に、倫理観が破綻した思考は、完全にホラーであったし、現代的なのかもしれない。 好感が持てたのは、そういった若者批判に収まらず、現代に生きる人すべて、誰でもそういったホラーな考え方を持っている事は否定できないと述べている事。それを行動に移すか移さないかは、人生経験などによって変わるのだろう。

    5
    投稿日: 2025.07.11
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    最後グロテスクで気持ち悪い場面があったが面白かった こういう人いっぱいいる でもなんでこれだけ選ぶべきではない方を選んでいくかなぁ?? 泥沼に自らはまっていく 君子危うきに近寄らず!

    3
    投稿日: 2025.07.11
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    すごく気持ち悪くてただただひたすらに怖かったです。 なぜなら主人公に起こる出来事が他人事とは思えないから。 主人公が薄っぺらく幼稚で自分がない事もすごく怖さを増す。 自分の人生、もっと先の事考えて想像して生きようって思ってしまう。 もっと自分の事、自分の人生大切にしようよって。 プライドが高いのも問題だと思った。

    1
    投稿日: 2025.07.09
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    とても読みやすい。漫画みたいで2時間もかからず読み終えてしまった。 ラストのジャーナリストの覚え書きに、3つの手紙の解説が全部書いてあって答え付きのドリルのようだ。 と、感じてすぐに、本来は解説者とか読者に期待するべき分析や読み取りを全部作者が書いてくれる親切設計なのは、作者(ジャーナリスト)側の考え方がもはや「普通」ではなく、読者は川辺側かもしれない=読者によっては覚え書きのほうが理解し難い考え方なのかもしれないって事を想像させたかったのかなと思いました。知らんけど。 エンタメとしてはウシジマくんのほうが面白いと思います。

    1
    投稿日: 2025.07.01
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    ニュースで報じられる犯人は、きっとこんな主人公のような人生を歩んできたのか、それを一概には出来ないが、その一端を小説を通じて垣間見た時、こうなってしまった人生と、今はこうなってない自分の人生との違いって、結局何だったのか、子供にそんな人生を歩んで欲しくないなら、何が出来るか、何をしてはいけないのか。そんな事を考えさせられる、今のイヤな世相と、その世相で苦労する若者を深く描いた作品。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    ある青年の手紙に綴られた彼の人生 それは現代社会の気鬱そのものだった 「普通」の人生を望みながら転落してしまう人とそうでない人 その差は紙一重 誰にでもあり得る"底"を見せられた 政治家と選挙に行かない人に是非読んでもらいたい

    4
    投稿日: 2025.06.24
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    内容は終始暗く、本当に普通の底という言葉が 当てはまる。 この本を読んで僕を含め、ちゃんと生きなきゃと 思う人がいるだろう。 そう、ふとしたところに落とし穴が潜んでいる。 頑張ろう。

    1
    投稿日: 2025.06.17
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    それほど恵まれていない家庭に育った男が、中学受験を経て、結局墜落していく様を手紙を通じて描く。 普通とは何か大いに考えさせられる。物語としては、こういう人いるだろうね、という感じ。リアリティはあるが読む喜びに欠ける。

    2
    投稿日: 2025.06.13
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    『普通』を切望した川辺優人の手記。自身を取り巻く環境、人々、政治、社会、時代等…数多の要因が、己の生き方に影響するのだから『普通』に生きることは存外大変なのだ。物語は帰着しつつも、モヤッとした読後感。

    4
    投稿日: 2025.06.12
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    読み終わった後実話と思わされるくらいリアルに書かれている。普通とはなにか。普通であり続けるためにもがき帳尻を合わす。でも帳尻は合わない。それでももがく。誰でも陥る可能性は大いにある。

    2
    投稿日: 2025.06.12
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    悪い人間に出会ってしまったことが運の尽きか。上野千鶴子が入学式で言っていた、あなた達は環境に恵まれたからここに居る、という言葉が腑に落ちた気がする

    63
    投稿日: 2025.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025/04/08予約 8 どうしてこうなってしまうんだろう。この本ほどタイトルと内容が一致するものも珍しい。 普通に育った青年がいつの間にか凶悪犯罪をし死刑判決。普通を何より望む面倒も争いも避けコスパタイパが重要、今の若者が見えるよう。本人の選択も悪い方ばかりだが、些細な偶然が重なりどんどん堕ちていく。 「昔は頑張れば貧乏から抜け出せた」に激しく共感。がんばってもどうにもならない日本になっているのを痛感する。 とても辛い現実。

    2
    投稿日: 2025.06.05
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    普通であることを心掛けていたひとりの人間が真っ暗な底へと堕ちるまでを手記の形式で書いていて切実性はあるものの総じてダイジェスト感は否めず、やはり中篇よりも長篇の材料かと思う。〈昭和の昔にあったという「貧乏」と、今の「貧困」とはまったく別物です。〉という一文がとてもやるせない。

    3
    投稿日: 2025.06.03
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    一人の青年の独白といった3通の手紙。ただ普通でありたかった、といった彼が堕ちていった蟻地獄。事なかれ主義で他責思考だったりの青年。全体像は読んですぐ分かるだけに、ここで堕ちていったのかとその岐路が分かるだけに苦しくなる。なぜそんな選択をしてしまうのか、普通というのは流されることではないのに、といった感情が湧く。「昔は頑張れば貧乏から抜け出せた」というくだりで大きく頷いてしまう。今は頑張っても頑張っても貧困のままということがあって切ないな。普通でいることさえ難しい。

    3
    投稿日: 2025.06.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代の社会を批判している、と同時に現代に生きる人間の精神性を批判しているところがとても面白い。 最後の手記でも書かれているが、社会批判に関してはそれなりに頷けるけど、完全に全て他責思考になってしまっているところに嫌なリアルさを感じられた。 昨今の若者、確かにこういうノリで悪事に手を染めるやついっぱいいそうだわ。他責思考。

    3
    投稿日: 2025.06.01
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    主人公(?)は、普通でいることに執着しているという自己評価ではあるものの、普通よりちょっと上で、優越を感じていたいと思っているように感じた。だからこそ、自分の地位を脅かす物事に異様に恐怖し、自己保身から最悪の道を選び続ける。自分の本心に向き合い、身を捨ててでも真摯に生きないと、明日は我が身とも思える。

    3
    投稿日: 2025.05.31
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    手紙による独白で話がすすむけれど でも、何があって 誰に宛てたものなのか最後までわからず なんだか延々と現代社会に対する愚痴と 言い訳を聞かされているようで 気が滅入った… 結末においても同情など湧くこともなく もしかしたら、これこそが 今という時代のリアルなのかもしれない。 実体のない優越感と 他者への無自覚な冷酷さによって 特殊詐欺や闇バイトに 容易に陥ってしまうような世の中に 少し恐ろしさを感じた。

    9
    投稿日: 2025.05.30
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    名の知れた学校、会社に入ることに拘り、ただ普通でありたかっただけなのに‥という愚痴を延々と聞いているようでウンザリ。ちょっとしたきっかけで闇落ちしてしまう怖さ。 主人公にイラついて、終始気分の良くない読書だった。

    2
    投稿日: 2025.05.29
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    普通を目指しちゃった時点で、終わってます。 読んでてイライラしてくる主人公。圧倒的な他責体質。 昭和の貧乏と平成・令和の貧困は、構造が異なるそうです。 貧乏は努力次第で克服できたが、貧困はそうではない。蟻地獄のようで、一度貧困層に堕ちてしまうと、ほぼほぼ這い上がれない。だから、堕ちないよう、最善を尽くす。尽くしてたつもりが、いつの間にやら……ってな、かんじで闇バイトに加担し、ついに殺人にまで手を染めてしまう主人公。過去の悪行を暴露されたくない一心で、覚悟とか全く無く、流され、巻き込まれ、自発的な意思のないままに底の方に堕ちていく。

    3
    投稿日: 2025.05.24
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    あくまでも「普通」に生きたかったと語る川辺優人の回顧録ともいえる手紙。それなりの努力をし、決して高望みはせず、ただ普通の人生を望んでいた彼に何が起きたのか。息苦しくなるような小説です。 悪いことをしたわけでもない、特別に愚かだったわけでもないそんな彼がなぜ転落していくのか。ただ普通に生きることがこれほどまでに難しく、弱者を切り捨てる社会のシステムと運の悪さに翻弄されただけの彼は現代社会の被害者なのでは、と思えてしまいますが。……本当にそうなのかな? 一見他に選択肢のない状況に追い込まれたかのように思えますが、結局は自分で選んだことだし。高望みしないと言えば謙虚だけれど、何事に対しても無気力でしかないし。何の楽しみを持つこともなくただ「普通」を目指して、彼はいったい何をしたかったんだろうか、と疑問に思いました。そして行き着いた先で吹っ切れてしまった感のある彼の空虚さには、ぞっとさせられます。

    3
    投稿日: 2025.05.24
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    自分が考える普通が他の誰かの普通と必ずしも同じではないという事に気付いてから、私は「普通」という言葉を極力使わないようにしている。 だがこの物語の主人公・川辺優人は幼少期から普通に拘り、決してそれ以上にも以下にもなるまいと心を砕いて来た。 本作は彼が書いた三通の手紙で構成されている。 勉強が出来、計算高さも併せ持つ彼であれば、要領よく人生を渡っていけそうなものだが、一つの過ちから坂道を転げ落ちるように転落していく。 それは負の連鎖などと軽々しく言えない程の墜落ぶり。 普通である事に囚われ、底で視た景色はまるで地獄。

    15
    投稿日: 2025.05.21
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    怖い気持ちになった。 普通を求めて国立大を出て、大手企業に就職できた人がどんどん落ちていって最終的に犯罪に手を染める話。(いや、最初から落ちていてそれが徐々に露呈してきた話なのかもしれない。。) 主人公は、世間に対するネガティブな思い込みが激しく、他責で流されやすく、それでいて自分自身に対する当事者意識を持つのがいつも一歩遅い。 この性格になった背景として、 色んな情報が飛び交うSNS、過剰な自己責任論、いきすぎたキャンセルカルチャー この辺の社会問題が関わっているんじゃないかなと思った。 今の時代の暗い部分を描き出している作品だった。 過剰な自己責任論も行きすぎたキャンセルカルチャーも確かにある。 「それは間違ってる」とか、「それを受入れたらダメだ」っていう確固たる自分の考えがあったら、主人公が犯罪に手を染めることもなかったかもしれない。 でも玉石混交する情報の中で、良い情報を自分で選び取って周りに批判される覚悟を持って、その考えを磨き続けるのってすごく難易度が高いことだと思う。 (えてして「正しいこと」は自分にとっては受け入れがたく苦しいことが多いし) こんなことを書くと非難されそうだけど、 だから、主人公が犯した犯罪もしょうがなかったことなんだろうなと思ってしまう。 こういった問題が起きてもしょうがない世の中だから、 「しょうがない」にならないために、周りの意見を聞いたり、知識をつけたり、そういった努力をしていく必要があるんだろうなと思った。

    2
    投稿日: 2025.05.17
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    「ただ普通でありたかった。」という書き出しで始まるこの手紙は、幼少期から今まで生きてきた自分のことを書き綴っている。 普通に目立つことなく学生生活を送ってきた彼が、何がきっかけでこうなったのか…。 不仲な両親のせいか、トー横に行ったことか、大学時代の起業サークルが原因か、警察がきたことか、会社を辞めたことか、重くのしかかる奨学金の返済のせいか、闇バイトに関わってしまったことか… 時代ごとの三通の手紙に書かれたことは、特別なことなどないと思えるにはかなり重い告白のようである。 何が重いのか…とんでもなく貧困だとかネグレクトを受けているとか差別されているとか虐められているわけでもないのに読んでいると息苦しさを感じる。 多かれ少なかれこの程度の経験はある、と誰もが言うのだろうか? これが今の時代だとすれば普通に犯罪が蔓延る世の中で生きているということだろうか。 普通とは何なんだろう。

    73
    投稿日: 2025.05.12
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    普通でありたかった。この言葉が重いなー。 川辺優人が、己の人生を語る手紙が大半なのだけど、怖いと思ったのは、本当にクラスに何人かいそうな平凡なキャラクターで周りに埋もれてしまいそうな子が、ふわふわと流されて生きている間にだんだん底辺まで落ちていったということ。 全く他人事じゃない。今の時代に刺さるノンフィクションのような作品だなと思った。

    16
    投稿日: 2025.05.10
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    川辺優人という25,6歳くらいの男の生い立ちから始まる自叙伝。 淡々と読み進めて第二章の後半で急にジェットコースターのように坂を登り始め、第三章で奈落の底に落ちる。「普通の底」というタイトルがピッタリな小説でした。 川辺のような人間は世の中にごまんといて誰しもが川辺になりゆる選択肢が散りばめられていて怖くなった。(隣でスヤスヤ寝てる0歳の息子を案じながら) 親ガチャ失敗と言ってるけど小中高、大学受験までさせてもらえても失敗なの? なぜすぐ捕まる闇バイトなんかに手を出すのかってよく言ってるけど、もうせざるを得ない状況ってことなんだよなー 広域強盗のシーンはまるで自分もトクリュウの一味になってるかのような臨場感。ホラー小説でした。

    15
    投稿日: 2025.05.10
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    同時代ノンフィクションとして読んで差し支えない傑作フィクション。読者の世代や人生感で感じ方が全く異なる小説と思うが、今の日本社会を忠実に再現しているホラー小説といってよいと思う。Z世代の子供を持つ親として読んだが、主人公の性向と転落劇は決して他人事とは思えず、本当に恐ろしさを感じた。この小説で一番共感できたのは奨学金制度の恐ろしさだ。猫も杓子も大学・大学院進学という考えは改めるべき(まだまだ学歴社会なのが根本問題だが)だが、本当に進学して次代を背負って立つ人財を社会で後押しする制度には程遠いと感じている。わざと薄っぺらさを強調して書かれているが、主人公の前に立ちふさがる壁の数々が重要な社会問題であることを噛みしめながら読むべき問題提起型傑作小説。

    4
    投稿日: 2025.05.09
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    令和の人間失格「普通でありたかった…」という書き出しの手紙に記された青年の幼稚な叫び声 #普通の底 ■あらすじ ある青年からの手紙には、幼い頃から「普通」を願って生きてきたをことが書き記されていた。多少の失敗はあれど、ほぼ「普通」の人生を歩めてきたはずだったのが… ■きっと読みたくなるレビュー 本作はある青年からの手記によって構成される物語。 彼は幼年期から目立つことを避け、いかに普通に生き抜くかだけを最優先に考えている。常に利己的で合理的、無駄なことは一切したくない。いつも正しそうな理屈ばかりこねている。現代的で理にかなった生き方かもしれません。しかし私には幼稚すぎて、彼の生き様は見るに堪えなかったですね。 物語の前半は彼の幼年期から学生時代、中盤以降は社会人になってからのお話。後半に入ると、まさしく現代の社会問題になっているテーマがいくつも描かれています。リアリティがあり過ぎて… なんでこんな世の中になってしまったんだと憂うしかありません。 彼の気持ちはわかる… しかし、説教したくてしょうがない。 ・自分の利益を最優先に考える人には、同じ考えの人しか集まってこない ・なんでも他人のせいにする人は、自分の人生すら他人のせいにする ・社会の責任だと批判してもいい人は、自ら進んで社会を変えていこうとする人だけ ・学歴フィルターは存在する、ただあくまで基準のひとつでしかない ・上級国民は存在する、ただどれだけ羨んでも他人は他人。自分にプライドを持ち、胸を張って生きるべき 一方で、現代の日本で「普通に生きる」ことがいかに難しいというのもよくわかる。一度社会のレールからはみ出すと、セカンドチャンスが与えられず、元のレールに戻っていけないんだよね。私も恥ずかしながら大学を中退しているので、どれだけ大変なことかは痛いほどよくわかるし、肌で感じるよ。 ただ誰も彼に手を差し伸べてあげられなかったのが残念でなりません、しかしそれも自業自得なんですよね。「情けは人の為ならず」と言います、現代こそこの座右の銘を広げたいと思いました。 ■ぜっさん推しポイント この青年の手紙を読んでいると、自分の人生をゲームみたいに「仮の人生」にしてしまってる感じがするんですよね。負け=リセットして終わり、みたいな軽い感じがするのです。 知らぬ間にどんどん年齢を重ねて、いつの間にか他人の都合に巻き込まれていく。自分自身クソみたいな人生だと気づいてたとしても、必死にもがくことはせず、すぐに諦めちゃう。 現代でもこういった人生を送ってしまう人は少なからずいますが、どんなことがあっても、まごうことなき、あなたの人生であるということを忘れないでほしいです。

    108
    投稿日: 2025.05.08
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    普通─── それは1Qさんみたいな人のことを指します ま、私ってものすごーく普通じゃないですか 何かに秀でているわけではなく、何かに劣ってあるわけでもなく、ものすごーく普通だと思っています それが一番です それを望んでいます だけど、ブク友さんの中には本を読むのが異常なまでに速い人や、本の知識が異常なほど豊富な人たちもいらっしゃいます このような人たちは「普通」ではありません しかし、それは素晴らしいことですし、尊敬しますし、羨ましいです また、中には異常なまでに裸になりたがる人もいらっしゃいます この人も「普通」ではありません それは、変態ですし、犯罪ですし、軽蔑します さて、何が言いたいかといいますと、、、 えーっと、何が言いたいのでしょう、、、 うーん、分からなくなってきました、、、 とにかく、本作は執拗に「普通であること」を望んでいた者が「普通でない」選択をして堕ちていくという話です

    59
    投稿日: 2025.05.06
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    ただ普通でありたかった 普通であり続けるために いろんなものを犠牲にし続ける 共感できる しかし内容は最近話題の事柄を羅列しているだけ トー横を舞台にした話なんて もう胸焼けしそうです

    7
    投稿日: 2025.04.27
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    ・・・・・どう生きればよかったのでしょうか? トー横に行かなければよかったのです。 高校生で新宿(トー横)を知らなかった無知は仕方なかったとするならば、カラオケルームで歳下の女の子が一緒になってから、トイレに行くふりをして逃げる事は可能だったはずです。それも無理ならトー横の件で脅迫めいた事情が生じたら親、教師等に相談して過ちを表面に出してしまう潔さを普通の人間なら持って欲しいです。 普通に生きることに拘り過ぎでは無いでしょうか? 今の世の中は多様性を重んじる割に枠からはみ出た人間には冷ややかなのでしょうか? そんな事はないと思います。人に迷惑をかけたり罪になる事をしないで生きていけば人それぞれの生き方があって良いと思います。 学生時代によくグループで行動する事に拘る人がいますが、1人でいる事、1人でいられる自分でもあって欲しいです。 連むの事に固執するのは決して意味はないですよ。   これは今の世の中を知るには貴重な1冊ですね。 流石は月村了衛さん、圧巻でした。

    12
    投稿日: 2025.04.24